−速報のため事後修正の可能性あり−

第8回規制緩和委員会議事概要

1 日 時:平成10年10月27日(火) 午後2時〜4時15分
 
2 場 所:中央合同庁舎第4号館共用第1会議室
 
3 出席者
(委員会)宮内義彦委員長、鈴木良男委員長代理、] 石倉洋子、川口順子、神田秀樹、田中一昭、浜田広浩、アンソニー・ミリントン、八代尚宏の各委員
(政府)阿部正俊総務政務次官
(外務省)大島経済局長、羽田北米局北米第二課長
(米国大使館)グリーンウッド公使
(欧州委員会代表部)エヴァンズ公使、熊代総務政務次官、水野内閣総理大臣補佐官
(事務局)大澤内閣審議官、西村総務庁長官官房審議官、江澤規制緩和委員会事務室長、高野主任調査員
 
4 議事次第
(1)外務省より各国の規制緩和要望について説明
(2)米国規制緩和要望説明
(3)EU規制緩和要望説明

5 議事概要

(1) 外務省より、各国の規制緩和要望概要及び規制緩和をめぐる情勢について説明がなされた後、質疑応答が行われた。その主な内容は、以下のとおり。

(外務省の説明)

・外務省として規制緩和は重要課題だと認識しており、米国・EUも日本の規制緩和に関する関心は高い。特に先の9月22日に行われた日米首脳会談でも、規制緩和は金融システム改革、景気回復の為の内需喚起策と並んだ3本柱の一つとして挙げられた。

・OECDでも各国の規制緩和の進捗について注目しており、規制緩和による各国のGDP上昇率の推定を行っている。これによると、既に規制緩和が進んでいる米国における効果は相対的に低いが、日本は5%台後半と高いと推算されている。

・日米間では規制緩和対話を「日米の強化されたイニシアティブ」として次官級会議に格上げし、バーミンガム・サミットに先立って議論を行った。また米国は10月7日に対日規制緩和要望を提出しており、既に外務省では事務レベルの第1回のヒヤリングを行った。11月6日に規制緩和に関する次官級の会議を予定しており、米国からはフィッシャーUSTR次席次官補が来日することになっている。日本からも既に米国に対する規制緩和要望は提出済みである。11月19日、20日のクリントン大統領来日の際にも、規制緩和は話題になるであろう。

・EUについては11月4日に局長級対話が予定されている。当方からは既にEUに対して規制緩和要望を提出している。EUとしては、これまでのEUにおける規制緩和推進は非常に大変であったが、意義ある作業であったと評価しており、今後とも規制緩和を継続していく必要があるため、日本からの要望を歓迎するとのことであった。さらに日本の要望は直接EU内部に説明してほしい旨の依頼を受け、日本から代表団が説明に訪欧したが、これを受けてEUは早急に対策を講じ、次のような成果が得られた。a)国によりまちまちだった乗用車のヘルメットに関する規制はEU内で統一される見込み、b)日本からのペットフードの輸入が可能となる見込み。相対的に見て米国の方が当方の要望に対する動きは遅れている。

・米国要望の中で今回特に新しいのは、規制緩和の一般原則として、「規制の効果分析」という手法をもって規制緩和の効果を検証すべきという提案をしていること。その他主な総論の論点は次のとおり。a)規制の透明性確保、b)法令に定めがない限り、許認可権限の民間団体への委譲の禁止、c)地方レベルの規制の撤廃、d)サンセットの導入、e)独禁法の強化(質疑応答)

・EUと米国では、米国が相対的に当方の規制緩和の要望に対する動きが遅いとのことだが、その理由は米国は既に規制緩和が進んでいるからか、あるいは当方の要望が的を得ていないからか。
 →米国の言葉から推測すると、やはり米国は規制緩和が進んでいて、もはや難しいところしか残っていないのが大きな理由であるようだ。例えば、「メートル法への変更」は、米国政府は了解しているにもかかわらず、実際には進んでいない。また「バイ・アメリカン法」は多分に政治的要素が大きく進まない。

・要望をめぐる米国・欧州との外交レベルでの交渉と当規制緩和委員会の仕事の仕方とのかかわりについて、当委員会でテーマとして取り上げるか否かに関係なく、交渉は進んでいくのか。
 →規制緩和はあくまで国内問題であり、諸外国から要望されてもできるものとできないものがあり、すべてについて日本が譲歩するというものではない。ただ、3月の「規制緩和推進3か年計画」で取り上げてなかったが、米国から要望があり5月までにこちらが譲歩したものも中にはある。例えば、NTTの「長期増分費用方式」については、米国との対話を通じて2000年までに移行することとなった。

・11月4日、6日に予定されているEU、米国との会議の内容について聞きたい。また、その結果を終わった段階で教えてほしい。
 →先方から規制緩和要望に関する一層深まった説明を受けることになると思われ、その過程で先方の興味のポイントを絞り込める会議だと考える。結果についてはもちろんお伝えする。

・規制緩和委員会の事務スケジュールと外交ルートでの交渉のタイミングが合わないのは問題である。要望リストそのものではなくとも、そのハイライトについては規制緩和委員会のテーマを概定する8月以前にもらわなければ、テーマに織り込むことが難しい。
 →日本国内の作業日程は事前に伝えてあるが、今後更に改善を申し入れたい。しかしながら要望もすべてが新テーマではないので、前年の要望リストを極力参考にしていただきたい。

・OECDはこの夏来日したので、近いうちに日本の規制に関するカントリー・レポートを出すと思うが、情報をもらいたい。
 →調べて御報告する。

(2)在京米国大使館グリーンウッド公使より、米国からの規制緩和要望について説明がなされ、これを受けて質疑応答が行われた。その主な内容は以下のとおり。

(米国大使館の説明)

・米国が規制緩和に関心を持っている主な理由は2つ。1つは米国企業に新しい機会を作ること、2つはアジアで最も大切なパートナーである日本に競争力の強い国になってほしいということである。

・10月7日に270項目に上る要望書を提出し、「強化されたイニシアティブ」のワーキンググループで議論した。

・新しい規制を実施する際には、規制のコストとメリットを分析するregulatory impact analysis(規制の効果分析)を実施することを提案する。米国、豪州、ドイツ等にある制度で、効果がある。

・分野別の要望事項の中から、電気通信(相互接続料金、線路敷設権)、住宅(改正建築基準法の実施のためのパブリックコメント手続、木材関税の撤廃等)、医薬品・医療機器(価格制度、新製品承認の迅速化等)、金融サービス(透明性の確保等)、エネルギー(高圧ガス保安法、発電施設等)、法律サービス(パートナーシップに関する規制の撤廃等)、流通(大店立地法の運用等)、競争政策(競争政策局の設置等公取の強化、私訴の活用)、透明性(パブリックコメント手続等)、自動車・自動車部品(自動車整備工場の規制緩和、高速道路における自動二輪車の最高速度規制等)の内容について、簡単な説明があった。

(質疑応答)

・競争政策の関係で、公正取引委員会への「競争政策局」の設置を挙げている理由は何か。また、「小売産業競争促進計画」の策定を取り上げ、かつこれを公取に行わせようという理由は何か。
 →米国企業の日本市場へのアクセスについては、非競争的な商慣行があり、公取に措置を執ってほしいと考えている。大店法が廃止された後、新しい制度を濫用して新規参入を排除することが可能であるという懸念がある。大店法は通産省が責任を持っていたが、新制度では都道府県に移るが、目的は産業政策ではなく、自由競争の促進であるので、公取の方が適当だと考えている。

・NTTを縛って競争的環境を作るというが、NTTも入れた競争を考えるべきではないか。米国のATTも同様の考え方ではなかったか。
 →支配力を持った企業にはどういう規制が適当かという問題である。民間企業でも独占の地位にある者に対しては規制強化すべき面がある。ATTも分割して競争圧力をかけた結果として、特に長距離については競争相手が増えた。

・法律サービス分野では、フルパートナーシップを認めるようにしたので、一度それに乗って、弁護士事務所が日本に進出してみてはどうか。
 →規制がなくなっても弁護士協会が反対したらどうなるかという懸念があり、急には無理だが、徐々に増えていくと思う。

・線路敷設権は、公的なものには入れることになっているが、電力会社は民間企業であり、強制するのは無理があるのではないか。
 →NTTの話と同じで、新規参入を促進して競争させるためには、電力会社に電柱を貸す義務を課すことも必要ではないかと考える。

(3)欧州委員会代表部エヴァンス公使より、欧州委員会からの規制緩和要望について説明がなされ、これを受けて質疑応答が行われた。その主な内容は以下のとおり。

(EU代表部の説明)

・一般的なコメントとして、1)規制緩和は日本経済の健全性を速やかに回復する上で極めて重要な役割を担っていること、2)EUにおける経験は、規制緩和が機能し、大きな成果をもたらすことを示していること、3)規制緩和を成功に導くことは変化の必要性を受け入れることであること、との発言があった。

・分野別の要望事項の中から、電気通信(相互接続料金等)、流通(大店立地法の運用等)、農業(検疫についてEUを単一体として扱うこと)、航空(成田空港のスロット配分)、金融サービス(保険商品の自由化、金融監督庁の強化等)について、簡単な説明があった。

・総括的なコメントとして、特定セクターの規制緩和だけでなく、長期的な規制という制度全体の改革を図ることが重要であること、パブリックコメント手続は規制改革に必要不可欠な制度であり注目していること、との発言があった。

(質疑応答)

・規制緩和と景気対策との関係でEUの経験から学べるものはないか。日本では経済状態が悪い中で、今規制緩和を行うと一層悪くなるという声もある。経済状況が悪いときでも、規制緩和を行ってよい結果が出た例があったら教えてほしい。
 →80年代初めは欧州経済も悪い状態にあり、同じように「規制緩和の時期が熟していない」という議論があったが、「機が熟する」ということは決してない。また、失業が増えるという懸念ばかりが言われがちであるが、規制緩和の結果新たに生まれる機会や企業がどれだけの雇用を生み出すかという説明が足りないと思う。

・規制緩和といっても、分野によっては競争促進が目的となり、そのためには一部規制強化が必要になるところもあると思うが、どう考えるか。
 →正にそのとおりで、規制を除去するだけではなく、適正な規制にすることが必要。ただ、一般的には、事前の過剰な規制は避けるべきである。こうすることにより、経済的な自由とセーフティネットの両方が担保できると思う。

・検疫に関しEUを単一地域として認識するという要望については、検疫の場合、単一の地域として見るか否かは病虫害の発生状況等の場合によるのであり、検疫という面ではそれぞれの発生地域ごとに見るということではないか。米国でさえ、検疫については、フロリダとカリフォルニアでは別々に扱っているという記憶がある。
 →検疫についても、EUは米国以上に共通の法体系を有し、域内の移動も自由であり、単一体と見るべきであると考えている。

(4)次回委員会は、11月17日午後2時から開催することとされた。

(文責:規制緩和委員会事務室)