−速報のため事後修正の可能性あり−

第14回規制緩和委員会議事概要

1 日時  平成11年2月2日(火) 午後2時〜5時45分
 
2 場所  中央合同庁舎第4号館共用第1特別会議室
 
3 出席者
(委員会)宮内義彦委員長、鈴木良男委員長代理、川口順子、野口敞也、浜田広、アンソニー・ミリントンの各委員
(政府)太田総務庁長官、阿部総務政務次官
(事務局)大澤内閣審議官、瀧上総務庁行政管理局長、西村総務庁長官官房審議官、江澤規制緩和委員会事務室長、高野主任調査員、永長管理官、松田管理官、石井管理官、岩本管理官、田中管理官、宮島管理官
(経団連)大賀行政改革推進委員長、飯田同共同委員長、立花常務理事
(関経連)倉内経済構造改革委員長、長戸常務理事、栗山企画調査部長
(連合)笹森事務局長、村上総合政策局長、成川経済政策局長
(米国)フォーリー大使、グリーンウッド公使
(EU)エバンス公使
 
4 議事次第
(1)開会
(2)総務庁長官あいさつ
(3)関係団体等からのヒアリング
(4)「中央省庁等改革に係る大綱」について
(5)閉会

5 議事概要

(太田長官)中央省庁改革の大綱を提出し、それにそって法案の策定作業を始めており、規制緩和と不可欠な関係である。本日の閣議で規制緩和委員会への審議協力の要請をした。必要に応じ、私が関係閣僚と相談する。

(経団連)作用法の見直しが必要である。規制緩和の加速させるには、作用法の見直し条項を盛り込み、需給調整の廃止、費用対効果等の一定の基準に従って例えば5年毎の見直しが必要である。新しく設けられる規制、作用法には全て見直しを義務付ける。狭い規制緩和だけでなく、制度改革まで踏み込んで欲しい。例えば自賠責保険における政府再保険の廃止、郵便事業の民間参入などがあるが、これらは中間公表には項目がない。また税制、補助金は規制として働く問題もあるが、門前払いされている。経済戦略会議の提言の中間報告でも権限の範囲を税制、補助金等までの拡大した制度改革委員会の設置が提案されており、この提言に同感である。パブリックコメントについての政府の取組は評価しているが、欧米では法律に基づく制度として確立している。法制化に向けて取り組んで欲しい。規制緩和、制度改革についてはスピードが重要である。

(経団連)経団連の要望事項585項目に対して措置済・予定が120項目、検討中が152項目、措置困難が221項目、その他76項目、記載なし36項目で延べ件数なので、合計は605項目となる。産業再生の分野については、国立大学教員の兼業規制の緩和、工場制限法の根本見直し、会社組織再編法制などは検討していただいているものの、内容は不十分である。生活空間の拡大につながる土地・住宅、公共事業分野に関しては公有地の拡大の推進に関する法律における届出対象の緩和、第一種・第二種低層住居専用地域における付属駐車場面積制限の緩和、PFI促進に関わる規制緩和などは措置済、検討中とされているが、要望とはかけ離れている。医療・福祉分野に関しては、企業の病院経営の参入は検討の方針だが、後退している感じがするし、期限の設定もない。

(委員会)行政手続法について民間の取組はどうか。

(経団連)官尊民卑であり、意識改革が必要である。

(委員会)要望の実現度はどう評価するのか。

(経団連)官の努力は評価するが、ここをチャンスと考えて規制緩和を進めて欲しい。

(長官)作用法に見直しは、省庁再編の顧問会議でも話題になっており、何らかの視野に入れていくことが必要ではないかと思う。

(関経連)関経連の要望については措置予定20%、検討中25%、措置困難35%となっており、整理して次年度以降も要望したい。労働・人材の国際化の規制緩和に関して、有料職業紹介のネガティブリスト化を更にに拡大し、裁量労働制の緩和を進めるべきである。都市機能の再生に関し、工場等制限法をできるだけ早く撤廃してほしい。行政手続面の負担軽減の観点から、ワンストップサービス、各種申請の電子化、オンライン化を推進して欲しい。今後の課題として、経済法規、税制との関係、地方分権との関係がある。経済戦略会議の制度改革委員会への改組という意見には賛成である。

(委員会)広域行政についての考えは。

(関経連)先般、協議会をつくって取り組んでいるところである。

(委員会)昨年は委員会の論点公開ができたあとに、関経連から意見が出たが、もっと早くプライオリティをつけて出すことは可能か。

(関経連)今回は必ずしもかみ合っていなかった。

(連合)連合としては、経済的規制は緩和すべきだが、社会的規制はむしろ強化すべきである。競争促進も重要だが、競争激化による失業にも目を向けなければならないので、雇用悪化、消費者被害の事前防止を重視している。また、事後チェック型へのルール整備、監視など、「規制改革」の取組を求める。

(委員会)規制緩和の暗い面という話があったが、それは規制緩和がもたらしているものなのか。今の日本には構造改革が必要であり、その上で規制緩和が重要な役割を果たすと考えている。先日米国のフィッシャーUSTR次席代表と懇談した時も、米国においては規制緩和が大きな経済効果をもたらしたと言っていた。
 派遣労働の話があったが、雇用の問題は官だけでは解決できない。民間も前向きに協力してくれないと失業者は減らない。

(連合)市場経済は選択したが、市場社会は選択していないという趣旨で申し上げた。構造改革の必要性は否定しないが、逆に規制強化になっている面もあり、これをどう評価するか。構造改革は規制強化で実現できるか。日本のこれまでの経済発展を支えてきたものは何だったのか。むやみに欧米化するのはどうか。社会的規制のルールまで緩和するのは反対である。
 派遣については、2割をこえる企業が違反している。違反には厳しい罰則が必要。ただ、現実を見ると8割が長期雇用であり、派遣や裁量労働が進んでも、この8割の部分はせいぜい7割程度にしかならないだろう。雇用形態を安く済む方向(派遣等)に切り換えるのはいかがなものか。 
 失業率が米国と比較されるが、我が国の場合は非自発的失業が約3分の1と多く、この点で短期雇用が一般的な米国とは事情が異なる。雇用については、政府や経営者側だけの責任とは思っておらず、今後、非自発的失業の解消に向けて政労使の懇談の場が必要だと思っている。新規雇用機会創出へ向けた検討のための予算措置が必要だろう。どういう分野に雇用の創出ができるかは、連合としては提案しているつもり。

(委員会)市場社会を選ばなかったということだが、その趣旨について説明していただきたい。すなわち、例えばトラック運送料金の適正化を主張されているが、本来料金というものはマーケットにおいて決まってくるものであり、これをある程度高い価格を人為的に設定せよということなら疑問である。弱者の保護の必要性は認めるが、これは例えば失業保険など別の手法によって解決すべき問題。

(連合)トラックについてはトラック労組からの要望を提示した。ここで言おうとしているのは、労働条件を守れる範囲内での料金を設定できるような条件を考えて欲しいということ。勤務時間が延長され、従来2人でやっていたことを一人でやらなくてはならないという実態をどう解決するか。今の規制緩和の方向では解決できないと思う。公正な労働条件を守るためには、すべて市場に委ねるのではなく、ある程度適正化に向けた判断が必要。

(連合)市場経済万能主義でいいのか。負けたものは死んでしまえと言うことか。日本の場合、一旦雇用を失うと再雇用は非常に厳しい。強い者が勝って、弱い者が負けて、それで負けた者に対して何ら手当をしないということでよいのかという趣旨。

(委員会)登録型派遣を禁じると主張されているがこの趣旨はどういうことか。

(連合)登録型派遣の場合、半年未満の雇用だと社会保険加入が不要ということもあって、非常に短期間の形態が多い。継続雇用や労働条件の確保の点で非常に不安定な雇用形態だと考えている。今回の派遣法では専門職以外の一般職まで広がるということなので、この点を懸念した。連合としては常用型の派遣として欲しい。

(米国)アメリカ人は、市場開放に向けた規制制度改革の恩恵というものを理解している。例えば電気通信、航空、トラックなど。規制緩和については、政治的指導力が重要な意味を持つ。ここ数週間、日本政府、政界で「今は規制緩和の時期ではない」という感触が広がりつつあると感じるが、そのような考え方は物事を後戻りさせるだけである。個別には電気通信、医療機器、医薬品、金融サービス、住宅、エネルギー、流通、法務サービス、透明性及びその他の政府慣行、競争分野について言及する。

(委員会)今は規制緩和の時期ではないという話があったが、具体的にはどこで聞かれた話か。規制緩和の推進は政府として取り組んでいるし、先の総理の所信表明演説でも日本政府として取り組んでいく旨表明されたこととギャップがあるのではないか。

(米国)確かに公に言われたり書かれたりしているのは非常にポジティブである。しかし、個々人に話を聞くと、「しかしながら、……」とつながり、こんなに経済状況の悪い時期に規制緩和するのは最悪であって、状態の良い時にやるべきだという話をよく耳にする。
 私が議員であったときにも、正直私自身規制緩和に疑問を持っていたし、産業界にもそういう声があった。しかし、規制緩和の恩恵が直ちに表れてくると、憂慮の声は消えていった。規制緩和によってもたらされたもっとも重要な事実は、小規模のビジネスがたくさん出てきたことであり、雇用の拡大、消費者利益の拡大をもたらした。

(委員会)これまでも日米間において規制緩和について話し合われ、日本で可能なものは実現するようこれまでも努力してきた。しかし、実現しても現実には利用してもらえないものがあるのが残念である。例えば、法務分野におけるパートナーシップ。それと港湾運送の規制緩和についても米国に門戸を広げたが未だに米国企業からの参入がないのはどうしたことか。

(米国)港湾労働については2社あるが、免許申請をしようとしたところ、ストが起こるのでないかとの懸念があり、断念したと承知している。港湾以外に、規制緩和によって多くの米国企業が日本に参入してきている。特に通信分野で目立つ。しかし、日本の場合、競争環境が不十分だと思う。米国の参入を求めるのであれば、その点でよい環境を作って欲しい。金融などは良い例だ。利益が得られるような環境かどうかが重要。

(米国)弁護士の問題は、今までの措置が十分な結果を生んでいないと考えている。米国の法律事務所が日本の法律事務所と完全なパートナーシップを組むことができない。

(長官)日本では、現在、中央省庁の改革を行っている。その中で、国民が選挙によって選出する政治家のリーダーシップを強めるようにする。 また、政府の機関のうち、決まったことを実行する機関についてはエージェンシー化していこうと考えている。これは、行政機関を透明で自己責任のある組織へ変えるために取り組んでいることである。
 米国人が米国政府を見る目と日本人が日本政府を見る目とは、だんだん似通ってきていると思う。その中で規制緩和も進めることもできると思う。例えば公務員の数についても、事前行政の部門を減らし、事後の調整部門を飛躍的に大きくすることを考えている。
 また、新たに今国会で司法制度を改革する予定であり、米国人に分かりやすい仕組みに変わってくると思う。

(米国)行革、中央省庁再編については、透明性、効率性を増すものであれば、どういうものであれ拍手をして賛成する。改革の過程に応じて、政治がリーダーシップをとることについても賛成である。
 日本の官僚制度を見てみると、世界に類を見ないほど優秀な人が官僚になっている。日本政府が大き過ぎるとは思わないが、いろいろな方向づけを見ていると、左右に揺れてきたと思う。米国や他国の規制緩和はほとんどコントロールを少なくしていくものだが、日本では再規制をするという行動も見られる。大臣に、委員会の仕事の内容、重要性についてのコメントをいただいて勇気づけられた。

(EU)日本の規制緩和についての見解を要約すると、失望、楽観、心配の3つとなる。
 先日の中間公表については、EU提案項目のうち、受け入れられられたのは全体の3分の1であり、半分は拒絶された。重点項目としては、行政手続、流通、競争政策、金融サービス、農業、電気通信、外国人弁護士、運輸である。

(委員会)EU委員会の立場から見て、日本の規制緩和で、形式的には緩和されても実際には日本独自の障害により緩和が実効的でない場合があるという事例があれば教えていただきたい。

(EU)規制緩和に対する障害は日本だけにあるのではないが、日本の場合の事例として、日本の国内航空のオペレーションの例がある。航空路線を持っていても、地方の空港にチェックインカウンターが1つしかないために、航空路線が十分活用できないという事例である。

(長官)EUの場合、「統合」ということがあったので、規制緩和を進めざるを得ない状況にあったという特殊性があったと思うが、これは大変勇気ある選択。一方、日本も行動をしていないわけでなく、金融・航空等、規制緩和を進めている分野もある。また、現在進めている中央省庁改革で、国民と政府との関係を変えていこうとしている。これは、自己責任、透明性、さらに規制緩和ということであり、こうした動きの中でエバンス公使の意見に対する回答が毎年出されていくことになると思う。

(EU)規制緩和を進めることによってEUにとってもすばらしいパートナーである日本ができあがっていくことを期待。

(委員会)EUの制度の下では、活動が阻害されていると感じた企業は直ちに委員会に訴えることができるという話であったが、こうした制度はEUが始まる前から各国にあったのかどうか、及び、この制度を知る上で参考になる資料があればいただきたい。

(EU)この制度はEUに対する訴えであるので、欧州委員会誕生前にはなかった。本制度の目的は、EUレベルの法律を各国が国内法に置換していくことをフォローするためであったが、その後、企業や個人が活用するようになっていった。この制度が存在するということだけで意味がある。先の例では、航空会社が委員会に苦情を申し立てれば、それがEUと加盟国との間の問題として取り上げられることになる。また、資料については、欧州委員会の担当部局がスコアカード的なものを作成しており、それが役にたつのではないか。

(EU)追加的に説明すると、EUとは別に、加盟国でも独自にそうした制度がある場合もあるが、すべての加盟国にあるわけではない。

(委員会)医療について、外国で開発された薬の承認手続等についてEUの規制緩和要望が受け入れられていないという話があったが、日本でも検討が進んでいることを申し上げたい。例えば、バイアグラの早期認可は新しい手続によるものである。問題は、こうした取組みがなされていることが十分に知られていないということである。

(EU)医薬品に関する活動のすべてを内外無差別に開示していくことが重要。

(EU)この話は厚生省で検討中ということは承知しているが、委員会でも後押しをしてプロセスを早めていただくことを期待。

(文責 規制緩和委員会事務室)