行政改革推進本部
−速報のため事後修正の可能性あり−
第9回規制改革委員会議事概要
- 1 日時
- 平成11年10月1日(金)15:00〜17:20
- 2 場所
- 中央合同庁舎第4号館共用第1特別会議室
- 3 出席者
- (委員会)
宮内義彦委員長、鈴木良男委員長代理、後藤晃、田中一昭、西村清彦、野口敞也、浜田広、牧野昭次郎の各委員及び古城誠、宮村鐵夫の各参与
- (政府)
太田総務庁長官
- (事務局)
齋藤内閣審議官、総務庁瀧上行政管理局長、坂野官房審議官、田部規制改革委員会事務室長、高野主任調査員
- (公正取引委員会事務総局)
山田経済取引局長、舟橋経済取引局総務課長、細田経済取引局調整課長、山本経済取引局企業結合課長、上杉取引部長、山木取引部取引企画課長、酒井審査局管理企画課長
- 4 議事次第
- (1)開会
- (2)横断基準認証分野の中間的整理について
- (3)競争政策についての意見交換
- (4)公正取引委員会ヒアリング
- (5)その他
- (6)閉会
5 議事概要
(1)冒頭、出席の太田総務庁長官から発言があった。
- 21世紀の日本の経済社会の在り方にとって、「規制緩和」「規制改革」は決定的な重要性を有する。そうした重要性についての認識がもっと広まることを心より希望している。自分は、近々内閣を去ることになると思うが、今後とも委員会の活動を応援していきたい。
(2)横断基準認証分野の中間的整理について、浜田主査から説明があった。その主な内容は以下のとおり。
- 横断基準認証分野については、全省庁にわたる検査・検定制度の見直しを進めているが、現時点までにおける検討の結果を中間的な整理という形で取りまとめることとした。今後、各省庁からコメント等をもらい、10月19日の委員会にもう一度報告した上で、対外的に公表することとしたい。現時点での考えを公表することは、見解を作成する上で有益であると考えている。
- 現在、危険を伴う製品については、民間事業者の自己確認・自己検査ではなく、政府又は政府の指定する法人が検査・検定を実施しているものがほとんどである。これでは、近年のグローバリズムの進展にも沿わず、競争原理が働かず、コストも高止まりとなり、検査技術も向上しない。
- 今回、リストアップした計66の検査・検定制度のうちの約半数について、自己確認化するべきもの、第三者機関による検査へ移行させるべきもの、政府認証とするが優良事業者へのインセンティブ付与等改善を図るべきものの3つに分類して当方の問題意識をまとめている。なお、今回直接触れていない残りの検査・検定制度についても、今後、引き続き検討の対象としていくこととしている。
(以上について各委員からの主な意見)
- 国際化の観点から、検査・検定の実施主体を民間機関としていく必要がある。国際的に相互承認を進めていくためには、総合的な検査機関の設立の促進が重要であり、そのためには、民営化が不可欠である。
(3)競争政策についての意見交換に先立ち、西村委員より、競争政策に関して意見発表が行われた。
(西村委員の意見発表の概要)
- 広い立場に立って、日本の現状、規制改革の問題について述べてみたい。経済活動の目的は、@新しいモノ・サービスすなわち効用を生み出す、Aモノ・サービスの品質を高くする、B少ない犠牲でモノ・サービスをつくる、の3つある。すなわち、高い生活水準、効用水準が目標となる。
- こうした目的達成のためには、大きく「組み合わせの最適化」、「プロセスの最適化」の二つの手法がある。「組み合わせの最適化」は、自由な「個人」を前提とし、組み合わせで新しい価値を創造し、試してだめならすぐに変えるというアングロサクソン的なスタンダードである。「プロセスの最適化」は、与えられた状況は与件でしかたがないとして、それをどのようにカイゼン(改善)するかという考え方である。
- 我が国のこれまでの環境は「プロセスの最適化」であり、技術的後進性を背景に「全能の政府」が「愚かな民間」を導くという形であった。自動車生産におけるカンバン方式等が「プロセスの最適化」の成功例であり、急速で良質な「社会資本」の蓄積も同様の成功例である。
- しかし、冷戦の終結と「ネットワーク革命」により、「組み合わせの最適化」の効果が「プロセスの最適化」の効果を凌駕することとなり、日本経済において、部分最適化が全体の最適化を妨げるようになった。
- 日本経済の現状をみると、全般的な生産性の低下が見られる。特に、労働生産性の低下が深刻であり、90年以降、急速に低下し、95年には5年移動平均で米国よりも低くなっている。それ以降大企業の経営は、リストラ等による間接労働費の低下により持ち直しているが、中小企業の経営は更に悪化しており、日本経済全体では悪い状況が続いている。日本の株価は持ち直しているものの、地価が更に下落している。株価が「日本企業」の、そして「地価」が「日本」の将来に対する期待のバロメータとすると、これは、日本イコール日本企業という図式の崩壊である。国際型企業は回復しているが、建設業、サービス業の生産性が低く、国内型産業がうまく機能していない。
- 政府は部分最適化の固まりであり、弊害が大きくみられる。規制改革によって部分最適化というこれまでの政府のやり方を変え、競争力を増加させる必要がある。競争政策の分野で言えば、公正取引委員会の行動によって広い意味での生産性が上がっているか否かをチェックする必要がある。公取委の行動の効果について計量経済学的に分析した結果では、フォーマルな勧告については、効果的な影響はなかったが、インフォーマルな注意・警告レベルになると有効な影響を与えている。日本経済全体の活性化のためには、さらに、企業合併によるコスト削減、生産性向上の効果が本当に存在したのかチェックすることが必要であろう。
(以上について各委員からの主な意見)
- 公正取引委員会は、公正な取引が行われているか否かを調査することを目的として設立された機関であり、生産性向上という目的は有していないのではないか。
- 例に挙げられた自動車生産のカンバン方式等も、顧客の変化に合わせて変えていく全体の最適化を目的としているのではないか。
- 公正取引委員会には市場の監視役としての権限があり、期待は大きい。当委員会としても、公取委の活動の一層の充実・強化について後押ししており、公取委がその役割を十分自覚しているのか、積極的な活動を行っているのかどうか確認する必要がある。
(4)次に、事前に提示した質問事項に即しつつ公正取引委員会より説明があった後、委員との間で意見交換が行われた。公取委の説明の要旨及び意見交換の主な内容は以下のとおり。
(公正取引委員会説明の要旨)
- 経済社会の急速な変化に対応するための重要・緊急な課題については、3つのプライオリティがある。すなわち、規制緩和と競争促進の積極的推進、独占禁止法違反行為に対する積極的な取組、競争政策の国際的展開への対処である。具体的な取組として、制度面では、独占禁止法適用除外カルテル等制度の見直し、企業結合規制の見直し、民事的救済制度の検討等に取り組んできており、また運用面では、規制緩和後における公正な競争秩序確保のための調査・提言、地方公共団体による参入規制等に関する実態調査、民民規制に関する実態調査、競争政策に対する理解の促進・独占禁止法遵守マインドの醸成、違反事件に対する積極的な取組、海外当局との協力等を行っている。
- 競争制限的な産業分野の存在についての考え方と具体的取組状況については、電力、電気通信事業、航空、放送などの公益事業において、独占禁止法等による事後的な対応のみならず、競争を促進するための積極的な政策的対応を図っていくことにできる限り努めている。また、政府規制制度に係る実態調査の実施、政府規制の問題点や改善の方向、競争政策の在り方等についての研究会の開催等による調査結果、提言等を取りまとめ、公表している。
- 大規模会社や金融会社の株式保有規制などの外形規制の扱いについては、企業間の株式保有、系列取引の実態等について、引き続き実態把握に努め、その結果を踏まえた持株会社規制及び大規模会社の株式保有規制の見直しを平成14年までに行うこととしている。
- 企業結合に係る事前相談については、昨年12月に企業結合ガイドラインを新たに公表したほか、大規模な合併等については、事業者から独占禁止法の問題の有無について、事前相談が求められる場合、適切な対応に努めるとともに、主要な事例については支障のない限り、その概要を公表している。
- 違反被疑事件の注意については、可能な限りの透明性を図る観点から、年次報告において注意の対象となった行為の業種・行為類型別の件数を明らかにしている。
- 著作物再販制度に関する見直しの現状とこの問題について国民の議論が深まるためのアクション及び平成13年春を目処に結論を得るとしていることへの具体的なステップについては、「新聞業における特定の不公正な取引方法」の全部改正(本年7月21日)、「出版物小売業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約」の一部変更の認定(本年9月16日)等の取組を行うとともに、これらの見直しを通じて関係業界等との議論を深めてきた。さらに、平成10年12月以降の弊害是正等の取組状況の第二次取りまとめを行っている。また、こうした取組内容の広報活動を行ったり、関係業界等との議論を行うことを通じ、著作物再販制度の議論を深めるよう努力しており、こうした議論の深まりや問題点の改善等の状況を踏まえつつ、公正取引委員会としての結論を平成13年春までに得ることとしている。
(委員との意見交換の要旨:○は委員、→は公正取引委員会)
○事業法や地方公共団体等の関係で競争政策上問題の大きい分野については、公正取引委員会として、どういう取組を実際に行っているのか、また行い得るのか。
→自由化・規制緩和を実施した公益事業等の分野、例えば電気通信分野では、固定通信と移動通信などは競争が活発になったが、依然として地域網の問題等がある。規制緩和する際に、競争基盤の整備という観点から、事前にもっと議論を尽くす余地は無かったかという反省もある。これを踏まえ、電気、ガスについては、競争基盤の整備、新規参入阻害の除去という観点から、過去の研究会での提言内容も踏まえ、関係省庁と共同で検討を行っている。電気、ガス、通信、航空については、研究会を組織し、競争政策の観点から提言をしていく。
○大規模会社や金融会社の株式保有制度の外形規制については、説明内容は以前と変わっていない。強く再考を求めたい。また、参入規制の中で、司法書士、行政書士は調査したとのことだが、弁護士はどうして調査しなかったのか。
→外形規制については、株式の相互持合いなどの状況も正に変化している時期であり、まず実態をよく把握したい。規制緩和推進3か年計画でも、実態把握を踏まえた見直しを平成14年までに行うこととなっている。自由業については、法律に基づく料金の規定があるものないものなど多様であり、一律には論じられない。弁護士については法務省で既に検討が開始されていることもあり、国民生活に密着している司法書士と行政書士を調査対象として取り上げた。
○資格者団体への強制加入の問題については競争政策上どう考えるか。
→強制加入の是非については単純には言えない。根拠法で定める目的も含め、総合的な検討が必要である。
○業務独占資格の中でも弁護士は一番影響力が大きい。独禁政策として問題のあるものは、聖域なく手をつけることはできないのか。また、NTTの問題については、公正取引委員会の方から郵政省に検討を持ちかけることはできないのか。さらに、再販問題については、国民の議論を深めるために、公取委との議論の中身は公開しているのか。
→弁護士については、現行法の下での料金と参入の規制については、それ自体では独禁法上の問題は生じ難い、と考えている。競争政策的な取組については、まず実態把握に努める必要があるが、多数の職種がある中で、すべてを同時に調査することはできない。再販についての議論はこれまでのところオープンな形では行っていない。景品について、値引きか景品かという議論の過程で、値引きであれば再販の問題になるということで、業界関係者と議論をしてきた。文化の振興、普及と出版物の再販問題の関係については、公正取引委員会だけで議論を深めていくことについて限界がある。業界との対話をオープンにすることについては、検討の余地はあるが、相手方もあることなので容易ではないと認識している。
○限られた人的資源を効果的に使用するため、重要分野に集中するという考えはないか。また、透明性の改善に関し、政策に対する効果の評価を可能とするためにも、例えば企業合併等についてのデータ等を外部の研究者等がアクセスできるように配慮していただきたい。
→公正取引委員会の役割は、独占禁止法の執行が核である。カルテル・入札談合事件、市場参入阻害事件、いわゆる民民規制事件等について重点を置き、違反行為の排除に努めている。効果については、例えば、パラマウントベッドの例では、東京都では価格は40%以上下がり、全国では約13億円支出額が減少していると推計している。水道メーターでは、東京都の発注が、50%以上低い価格になった。したがって、東京都だけで約15億円の節約になっている。透明性については、例えば合併等に関する事前相談の事例について、できるだけ公開することにしている。公開のタイミングについても、これまで年1回から公開が可能になった時点でできるだけ出していきたいと考えている。
○警告、注意という手法に関して、特に不当廉売に関する注意は年間約600件も出されているが、そのうち大多数が酒やガソリンの不当廉売に関するものであり、必ずしも競争政策上最重要ではないのではないかとの指摘もある。どう考えるか。
→御指摘のような議論があることは承知しているが、規制緩和策の影響として、業界から不当廉売に関する情報提供が非常に増えている。公正取引委員会としては、独禁法第45条により、具体的な情報提供があった場合には調査する義務があり、調査した結果、未然防止を図る観点から、注意すべきケースが多い、という事情によるものである。
○これまでの研究では、公正取引委員会は、インフォーマルなところでかなり有効な活動をしているという理解がある。今後、フォーマルな仕事でも有効な活動をしているという理解を得るためにも、情報の公開、透明性の確保に努めていただきたい。また、不当廉売に関する注意については、やはり、本質的に重要ではないところに力を取られているという印象を受ける。全体的な資源配分を上手く行うシステム、工夫が必要であると、これは公取委への後押しとして申し上げたい。
〇新しい制度が出来るときは、是非、公正取引委員会から関係省庁に積極的に持ちかけて、事前の議論を尽くしていただきたい。
→応援していただいている上でのお話と理解している。制度的には課徴金が平成3年に高くなり、平成4年には刑事罰が強化され、抑止的効果は高まった。しかし、それでもまだ問題はある。入札談合は、諸外国からの強い批判もある。市場の開放性の問題とも絡み、重点的に取組を行っている。一番重要なのは、独占禁止法の運用、適用であると考えている。またそれ以外にも、競争政策の観点からの規制や行政的指導への取組についても強化していきたい。透明性の向上についても常に心がけていきたい。
〇来るべき経済社会における公正取引委員会の立場は、更に大きくならなければいけないと考えている。世の中が更なる市場経済に移ったときに、規制改革委員会から公正取引委員会にバトンタッチすることにより、我々の取組が完成する面もある。その際、旧来の独禁法の違反取締り中心の考え方だけでは、日本経済全体に公正な競争をもたらすだけの力は期待できないから、更に積極的に関与する新しいシステムが必要なのか、あるいは現状の延長線でよいのか、この点について考えを伺いたい。また、再販問題については、平成13年春までにはもう時間がない。それまでに世論を喚起していくというが、それには戦術が必要なはずだ。きちんとしたアクションプランを作る必要があるのではないか。
→一点目については、独占禁止法の第1条の目的を達成するために公正取引委員会が置かれ、その所掌事務である経済法令等の調整を活用して、各省庁への働きかけを行ってきたところである。また、人員的な資源についても例えばアメリカと比べると非常に限られている。すべてのものについてやるのは難しい。やはり、実態をよく調べて、独占禁止法違反のおそれのあるものを足掛かりにしていくことになる。再販については、具体的なスケジュールを作っていく必要性については御指摘のとおりであるが、関連の3業種のそれぞれにおいてかなり取組に違いがあり、理解が進んでいるというより前の段階にあるものもあることは事実。業界と議論を進める中で、議論が深まるという方向性には、我々にも異存はないが、それぞれの業界の事情もあり様々な困難を抱えながら検討を進めている状況にある。
○我々は公正取引委員会の大応援団である。今日の意見交換も参考にしていただいて、もっと活性化する方向で頑張っていただくよう心からお願いしたい。同時に、規制緩和推進3か年計画の推進についても、御協力をよろしくお願いしたい。
(5)田部事務室長から、規制緩和に関する総務庁作成の漫画入りパンフレットが完成した旨の報告があった。
(以上)
(文責規制改革委員会事務室)