行政改革推進本部
−速報のため事後修正の可能性あり−

第10回規制改革委員会議事概要

(公開討論(その1)
「少子高齢化対策対策の推進(保育所及び介護施設への民間参入を中心として」)

1 日時 平成11年10月8日(金)午前10時00分〜午後1時10分
 
2 場所 総理府本府講堂
 
3 出席者
(委員会)
宮内義彦委員長、鈴木良男委員長代理、野口敞也(進行役)、牧野昭次郎、八代尚宏の各委員及び河北博文参与
【第一部「少子化対策」出席者】
(有識者)田中良一(ベネッセコーポレーションチャイルドケア事業部長)
中西雅子(横浜市福祉局児童福祉部長)
藤本勝巳(日本保育協会常務理事)
普光院亜紀(保育園を考える親の会代表)
中村紀子(ポピンズコーポレーション社長)
(厚生省)小林和弘児童家庭局企画課長
清水美智夫同保育課長
【第二部「高齢化対策」出席者】
(有識者)佐藤陽慈(ベネッセコーポレーション社長室ウェルネス推進統括)
橋本泰子(大正大学教授)
見坊和雄(全国老人クラブ連合会副会長)
新福正剛(ダスキンヘルスケアホームヘルスケア事業部ジェネラルマネジャー)
(厚生省)大臣官房審議官
山崎老人保健福祉局老人福祉計画課長
神田介護保険制度施行準備室次長
古都社会・援護局福祉人材確保対策室長
4 議事次第
(1)開会
(2)公開討論第一部「少子化対策」
(3)公開討論第二部「高齢化対策」
(4)閉会

5 議事概要

 「少子高齢化対策対策の推進(保育所及び介護施設への民間参入を中心として」)についての公開討論が行われた。冒頭、委員長による開会あいさつに引き続き、医療・福祉分野担当の主査である野口委員の進行により、第一部「少子化対策」、第二部「高齢化対策」が順次進行した。各部においては、順に、委員会側の基調報告、出席者による意見陳述及び討議が行われた。その主な内容は以下のとおり。


【第一部「少子化対策」】

(1)基調報告

【八代規制改革委員会委員】 少子化対策としては、基本的に、女性の就業継続を前提として、結婚・出産との両立を可能とする仕組みが必要である。そのためには、現在の働き方を前提とすれば、保育サービスの充実が不可欠になる。従来のように子育てを家族の役割とし、生活のためにやむを得ず働く家庭の「保育に欠ける」児童を対象とした行政処分でなく、平均的な共働き家庭を対象といた「保育サービス」の抜本的な見直しが必要である。親の希望を聞きすぎるのは子のためにはならないという見方もあるが、仮に子供の両親よりも行政の方が、何が子供の利益であるかをより良く判断できるのであれば、従前の措置制度の方が良いことになる。「サービスとしての保育」という考え方を重視すべきである。

 保育問題を単に待機児童の問題であると短絡的にとらえれば、厚生省調べによる4〜5万人の待機児童さえ解消すればよいことになる。しかし、保育サービスに対する需要を待機児童数だけで見るのではなく、低年齢児保育、保育時間の延長、夜間保育などの「質」の改善の問題がより重要である。「就業構造基本調査(平成9年)」で見ると、家事や育児の制約のために就業したくてもできない人が25〜39才の既婚女性で140万人もいる。現実に登録された待機児童数だけで見ることは、保育サービスへの潜在的な需要の大きさを過小評価することになる。 なぜ多様な保育サービスが進まないかというと、事業者間の競争が限られているため、供給者主体の生産活動が行われているからと考える。他のサービス分野であれば、需要に見合う供給を行わなければ事業者は倒産する。他方で、需要側のニーズに良く応えた供給者が、「お客」を集め、利益を上げることで事業を拡大させ、そうでない事業者を駆逐するメカニズムが働く。保育サービスだけが、なぜそうした消費者主体の競争原理を全面的にそ否定するのか。

 現在の認可保育所の設置基準については、保育所内に専任の調理員を必置すること、土地・建物の賃貸方式を許容しないことなどの規制があるが、それは例えば十分な保育士数の確保のような、本来の保育サービスに絶対不可欠なものかどうか疑問がある。既に子どもを保育所に入れている家庭では、少しでも現在の保育所の設備等が良いことが望ましいだろうが、入所定員や営業時間の制約から、やむを得ず質の低い施設・高コストの保育を強制されている人や、保育所に入れたくても入れられない人の立場も十分に考慮する必要がある。厚生省が既にサービスの水準を公的に容認している無認可保育所と、国の補助金給付の対象としての認可保育所との設置基準の差は、一種のダブルスタンダードである。これを速やかに解消するためには設置基準の弾力化と消費者選択の余地を一層高めることが必要である。

 現在は、企業や非社会福祉法人NPOなどは、公益性と経営安定性の確保等の観点から、認可保育所の設置が認められていないが、企業を参入させたら儲け主義によって保育サービスの質が悪くなるという批判がある。しかし、問題は競争条件の有無であり、地域独占に近い状況であれば、設置主体の是非にかかわらず、供給者主体のサービスになり勝ちである。逆に、競争状態にあれば、設置主体の如何を問わず、利用のニーズに応えない保育サービスの事業者は淘汰される筈であり、それが結果的に消費者の利益になる。現在のように、多様な経営主体を認めない、過度の事前規制を設けることは、かえって消費者のためになっていない。

 来春導入される介護保険では、一種の利用者への直接補助方式が採られている。保育サービスについても、これと同様に利用者への直接補助方式を導入し、消費者の多様な選択肢の拡大を図ってはどうか。措置制度は外されたものの、今のように市町村が中途半端な形で介入することによって、必ずしも消費者が自由に保育所を選べない。現在、全額自己負担で保育サービスを購入せざるを得ない立場の利用者を支援するため、サービスの情報公開などの措置とともに、消費者主権の観点から、利用者への直接補助方式の導入を積極的に検討すべきである。

(2)出席者による意見陳述

【田中ベネッセコーポレーション部長】 保育分野については、少子化対策、雇用創出、行政改革の観点から、次の点を基本に置いて改革を実施する必要がある。つまり、現在の利用者の多様化している価値観に対応すること、保育所を利用する親の利便性だけでなく子供の受けるサービスの質が一定以上保障されること、このために、一律の基準や限られた事業者ではなく民間企業やNPOを始めとした多様な事業者の参入と事業展開が可能となること、民間企業の活動が阻害されない環境整備と支援体制を整えることが必要である。

 ここ数年、保育行政は弾力化、簡素化されてきているが、利用者のニーズ等が多様化し、保育環境整備に求められるものが高度化していることから、次の抜本的改革を進めるべきである。@利用者がサービスを自ら直接選び、契約を結ぶ形態とすべき。A保育料と保育内容は保育所がその責任で設定し、利用者に内容とサービスを明示し、利用者は納得した上で支払うこととすべき。B保育料について、保育料負担軽減補助金は幼稚園就園奨励費補助制度と同じようにバウチャー方式とすべき。C施設整備補助は撤廃、ただし残る場合は事業主体にかかわらず、同等に交付すべき。D賃貸方式の場合は、事業主体にかかわらず家賃補助を認めるべき。E多様な事業主体への保育事業の委託は行政の責任放棄ではなく、利用者のためにサービスの質を一定に担保しつつ、公費経費を効率的かつ有効に活用することが公的責任である。F現在の保育所の最低基準を一律ではなく、地域の事情、今後の社会経済環境の変化を反映し、全面的に見直して改めるべき。G保育料負担軽減補助金は、利用者の立場から家計の収入、保育料負担額に応じて補助されるべき。H社会福祉事業の構造改革は更にスピードアップが必要。育児、介護など民間企業の参入を促す分野と採算が採りにくく、社会福祉法人が中心的役割を担う分野を精査した上で、利用者にとってサービスの質が向上するためにどういう枠組みが必要か検討すべき。社会福祉法人の規制を緩和し、経営の自由度を高め、税制、施設整備補助金での不平等を解消し、競争的環境を利用者のために作るべき。

 こうした対策を実行し、多様な需要の充足、サービスの質の向上、費用の効率化を実現すべきである。

【中西横浜市児童福祉部長】 横浜市での「横浜保育室」の名は既にご存知かと思う。社会福祉法人以外による民間保育所経営への参入を正面から認めたという点では画期的であったともいえる。規制緩和を先取りした感もあるが、実際は、積極的な施策というより、人口急増による待機児童数の増加が制度化の背景にあった。

 民間の認可保育所は社会福祉法人が設置主体であるが、横浜保育室は個人、法人又は任意団体が設置主体である。設置者の内訳は、個人が42%、株式会社を含む法人が26%、その他の任意団体が26%である。社会福祉法人でなくとも良いので、特別の法人認可は必要ではない。社会福祉法人の財産所有の問題がないので、土地・建物ともに賃貸で始める方がほとんどである。それに対応するため家賃補助をしている。必要に応じて施設補助もしている。

 質的なものへの対応として、障害者保育、延長保育、夜間保育等に加算助成をしている。入所形態は、横浜保育室の場合は施設との直接契約であり、認可保育所の場合は福祉事務所を通している。助成の対象が待機児童が多い低年齢層であり、園庭を持たなくても良い0、1歳中心だが、園庭のないところは、公園で遊ぶようにしている。

 横浜市が規制緩和に先行したのは、背に腹はかえられないというか、止むを得ない事情があったからだ。待機児童解消のために認可保育所を作るのには、時間も掛かるし反対運動も多いなど、都市部では手間暇がかかる。量的なものの確保をすべて認可保育所で行うのでは市の財政的な負担も大きい。基本的に認可保育所の設置主体の制限の撤廃には賛成であり、国は質的な面の確保をどうやるかを考えればいい。黒い猫でも白い猫でもねずみをとる猫が良い猫である。

【藤本日本保育協会常務理事】 日本保育協会は認可保育所の団体であり、子供や保護者の立場に立って保育問題を考え、民間の良さを活かしながら保育を考えている。日本の保育制度は優れており、普及度合、保育士の質、地域における一定の保育水準、保育所・利用者等への公的な支援体制等、総合的には世界トップクラスである。基本的には現行制度を維持し、必要に応じて改善を図るべきである。

 利用者にとっては、市町村が希望に添って入所決定をするので、選択が尊重されかつ施設の選り好みが許されない仕組みになっている。施設については、設備等の基準があり、必要な環境が確保される。市町村にとっては、保育の必要度に応じた優先順位により入所させることにより保育義務が果たせる。認可保育所の事業主体の見直しをどうするかは十分な検討が必要である。保育事業の公共性、継続性を考慮すれば、今後とも社会福祉法人がサービス提供の主体となるが、地域の需要状況から社会福祉法人以外の団体の設置も理解できる。保育所の普及状況の地域差の問題が重要であり、一部の保育所不足市町村では新設が急がれる。現在厚生省が打ち出した緩和施策は有効であると考えている。

 直接補助方式の目的は利用者の選択を保証しようとするものであるが、先の児童福祉法改正も同じ趣旨であり、利用者の選択は保証されたと認識している。一刻も早く改正の成果を定着させたい。今、敢えて公費支払方式を改める必要はない。供給量の増加こそ利用者にために行うべきことである。

【普光院保育園を考える親の会代表】 保育園の民間サービス化について保育園を考える親の会が99年に行ったアンケートによると、合計227のうち、賛成56、反対84、分らない86、無回答4であった。賛成意見には、公立運営のムダなど硬直性、公立保育園の民間委託の問題、柔軟なサービスへの期待、供給量が増える期待などがあり、条件付きで賛成の意見としては最低基準を含む質の確保、保育料金の維持、情報開示、苦情システムの保証等があれば賛成という意見があった。反対意見は、保育は福祉であり、営利追求には馴染まない、コスト削減の努力や保育士の身分の不安定が保育の水準を低下させる、参入促進の最低基準の緩和が質の低下させる、親の利便性が優先される問題、経営の継続性の不安、責任の所在が不透明である、といった意見である。

 今回の経営主体の緩和によって、保育の供給量が増える可能性、良質な認可外保育所が認可保育所となりうる可能性が生まれたことは、利用者として歓迎できる。

 しかし、民間参入促進のための最低基準の緩和には疑問。経営主体にとっては規制緩和であるが、子供にとっては必要な基準である。乳幼児にとって一定の環境水準は重要であり、保育士等の配置基準、資格等は必要。園庭も重要な要件である。子供はエネルギッシュであり、運動量が必要である。調理室も、臨機応変な対応、子供の生活感覚のために必要である。民間参入の場合の継続性、責任の所在も心配している。採算が悪いからといって撤退するのでは困る。どこの地域にも一定基準の質を持った保育園が必要である。問題があった場合、選んだ親の責任があるとしても、余り選べないのが保育園である。待機児童が解消されたとしても、毎日通うところという地理的、時間的制約は残る。保育の質をチェックする第三者評価機関は必要である。

 バウチャーにも疑問がある。保育のコストは一時的に非常に高額になるので、多少の金券では質のいい保育のコストは払えない。認可と認可外の不平等が是正されるというが、良質な認可外保育所が基準を満たすよう施設を援助する方法もある。金銭の平等よりも機会の平等がほしい、バウチャーあって保育なしでは困るという声もある。

 継続就労者でみると、働き続けられない理由は労働問題である。認可保育所はコストが高く増やせないとのことだが、質のいい保育所は次世代への投資であり、継続就労する女性が払う税金、社会保険料、夫の扶養者控除等を考えると、認可保育所のコストをかけることには意義が見出せるはずである。

【中村ポピンズコーポレーション社長】 利用者に情報が行き渡っていないことが問題。認可保育所を増やすことが国民の利益に適うことかどうかは疑問だ。東京都の場合、認可保育所定員の1名増で月額50万円の国費及び自治体の金が入っている。民間ならばその3の1で運営可能である。民間を認可保育所に参入させるために以下の規制改革が必要である。@設備への補助、A会計システムの変更(民間の借入金の減価償却の問題等)、B公立の認可保育所の設置運営に社会福祉法人以外の民間企業を参入させること、C人員配置、資格についての見直し(保育士を全体の4分の3にするという考え方)。

 民間企業が認可保育所に参入するといっても、社会福祉法人立の認可保育所と共存するということであり、公立の保育所もスペシャルニーズ、不採算地域の為に存続させるという考え方であることを確認しておく。

 病後児保育の予算が保育所についているが、効果については疑問に思う。在宅と集団の保育の組合せは効果的である。従来の保育制度は評価するが、今後は多様なサービスが利用者に提供されるべきである。公費は利用者の選択に基づいて公平に支給されるべきであり、それは保育産業の発達のためにも必要なことである。そのような流れの中では、認可、無認可という言葉は形骸化していくはずであり、これは横浜の保育所を見ても実感できるはず。最後に、民間企業の参入を議論する一方で、与党合意の少子化対策のための2,000億円が社会福祉法人にしか流れないのは疑問に思う。

【厚生省】 保育の在り方の方向について議論する際には、どこのことをイメージするかが肝心である。一部地域の話ではなく、全国でどうするかということを考えるべきである。

 平成10年4月から実施した新入所方式は、来年当たりから徹底すると思う。利用者が保育所を選択できるシステムになっており、具体的には入所希望保育所を明記して申し込む形になる。選択を保障しつつ、単親家庭の児童の入所も保障するものである。

 保育所の絶対数増加が必要である。子供の数は減っているが低年齢児の入所は159万人から174万人と増加している。国レベルでは全体として待機児童解消の枠を確保している。

 入所が4月に限られていたのは過去の話である。年度途中の受入れは増加している。グラフの傾きを見ても毎年増してきている。定員超の入所も今年度から25%まで許可している。延長保育の実施数も伸びてきている。

 更に規制緩和を進めるため、民間参入については9月22日に中央児童福祉審議会での了承を得た。定員要件(30名以上)を20名以上へ、施設の自己所有規制についても11年度中に緩和の措置をする。認可外保育所でも内容の良いものは認可保育所となり易くなると考えている。また、平成12年度には、延長保育を8,000個所にする、分園方式を導入する、乳幼児健康支援一時預かり事業を保育所で実施可能にする、休日保育モデル事業を推進する等の施策推進のための予算、及び議論のある夜間保育の調査研究についての予算、保育ママの支援等について予算要求している。

(3)意見交換

【規制改革委員会】 保育所問題については論点が多いので絞って議論する。ニーズが多様化すると体制の問題も明確になる。問題があるとすれば改善点は何かということになる。とりわけ認可保育所への一般参入をどう考えるか。認めるとすれば問題は何か。

【規制改革委員会】 「保育所を考える親の会」の意見は、既に子供を認可保育所に入れている立場の親だけを代表するものではないか。そのように組織化されていない、認可保育所に子供を入れられない親の意見をどうやって吸い上げるかという問題が別にある。調理室の問題も、既に子供を入所させている親の意見とすればそのとおりであるが、とてもその様なことを言っていられない多数の親の意見とのバランスが重要である。認可保育施設の水準が高いことは、同時に設置基準が厳しいため供給が増えず、常に満員で入所できない待機児童の存在と表裏の関係にある。保育所経営の継続性が言われるが、継続しさえすれば何でも良いというものではなく、逆に利用者選択のためには、サービスの質が悪い保育所がなくなる可能性がなければ、その質の向上は図れない。経営主体の問題も、一部企業が参入したところで、主力は公立及び社会福祉法人立であるのは当然であるが、一部企業の参入により大部分の公立、社会福祉法人のサービスの質を上げる効果を期待できる。厚生省の改革への取組は評価できるが、問題はそのスピードであり、利害関係者の顔色を伺いながら、徐々に改革するので間に合うのか。
 夜間保育の件ではそこまでやるかという意見があるらしいが、それを決めるのは、事業者側ではなく、利用者側であるべきだ。また、政府の予算はいくらでも増える時代ではなく、同じレベルの保育サービスを可能な限り少ないコストで効率的な経営を行うことが、同じ予算規模で良質な保育所の数を増やすことにつながる。

【保育園を考える親の会】 会員の中には、認可外保育所の利用者もおり、低年齢児のとき認可外保育所に入れ、その後に認可保育所に移るというケースが多い。認可外保育所に入所させる理由は、低年齢児保育サービスの供給が認可保育所の定員枠で満たされないから、あるいは時間が合わないから、というものが多い。時間が合えば認可の方に行きたいと思っている親は多いのではないか。また、一方で熱意をもっていい保育をしている認可外保育所に子どもを預けた人で感謝している人も多い。こうした保育の志の高い無認可保育所がより認可保育園に近い環境で保育できるように援助されればよいと考える。厚生省の経営主体の緩和、人数規模の緩和で可能になるかと考える。

【規制改革委員会】 両親が週末にも働いているケースも多いが、今の認可保育園のシステムでそれに応えられるのか。

【ポピンズコーポレーション】 シンガポールでは、少子化対策として当初、所得税税制の優遇等で対応したが、一向に効果が上がらなかったため、事業所や公的施設、ショッピングモール等への保育施設の設置を進めたところ、一気に効果が上がったという例がある。日本では駅前や街中の認可保育所ができるかということになろうか。こうした対応には民間企業の方が若干機動力、実行力、ニーズの把握その他に長けているかと思う。認可保育所と認可外保育所の適材適所による、利用者のニーズにあった住み分けも可能だろう。土日休日保育についても同様に考えられる。

【日本保育協会】 認可保育所として一括りされることに抵抗がある。認可保育所も機敏に、夜間保育、休日保育、一時保育等に弾力的に対応してきた。ユニークな保育を実施する保育所の数が少ない等の御意見もあるが、目に付くのは公立の保育所であって、認可保育所でも十分利用者の利益にあった形のサービスは提供している。保育所が行っているのは集団保育であり、集団保育になじまない保育ニーズに対応するためにはベビーシッター等の個別保育も必要である。

【規制改革委員会】 厚生省は、今回の認可保育所経営への民間参入で対応可能といっており、日本保育協会もそういう意見のようだが、どう考えるか。 X【ベネッセコーポレーション】 利用者のニーズに対応する場合に、地域の実情によっては、認可保育所だけで対応できる場合とそうではない場合がある。待機児童の解消にしても、待機児童が1,000人いる地域では、民間ならば4〜5か月で対応できる。サービス業、自営業の方の多い地域では、土日保育のニーズが高く、民間企業の方がニーズを正確に把握できるはずだ。社福、公立、民間でそれぞれ良いところ、悪いところがある。設立主体の問題ではなく、サービスの提供主体として、地域の実情に応じて、利用者のニーズに応えるにはどのような主体が適正かということで判断して貰いたい。 X【横浜市】 行政も今までは多額の補助金(措置費)を出し、社会福祉法人等の法人に責任を持って運営させていたが、今後は施設が本当に良い保育をしているかといった点も外部監査の観点でのチェックが必要になる。これは、横浜保育室立ち上げ後の課題でもある。行政は、今後事前の規制ではなく事後のチェックに注力すべきである。具体的には、認可に当たってはどのような主体でもよいが、その後のサービス内容のチェックをいかにするかを考えるべきである。横浜市も半分は公立の保育所であり、先ほどから公立保育所についての話が出ているが、公立だから民間だからということではなく、それぞれの保育所でどれほどの保育を実施できるのかという問題だ。

【規制改革委員会】 厚生省はどうか。

【厚生省】 まず、議論の整理をしてほしい。良いアイデア、サービスのための民間参入については反対しない。が、今、必要なのは、土日保育や夜間保育を含めての供給増に関して何がネックになるのかという問題だ。具体的には土地の確保、運営費の地方公共団体の補助の問題がある。ということは設立主体の如何にかかわらず、3,300人いる市町村長が本気になることが保育を一番よい方向に持っていくために大切なことになる。通常の規制改革なら国なりが緩和して消費者と当事者が相対峙して良いサービスとなるというスキームだが、保育ではそうはいかない。市町村長が本気になるためには、国も本気になって規制改革委員会の考え方等を大きな必要条件だと話してゆき、対話を続けながら公費をいかに予算措置をするかが現実的に大切なことになる点が異なると考えている。首長の意識が重要だ。

【規制改革委員会】 土地、運営費の問題は、正に規制緩和の問題だ。土地は賃貸を認めることである程度解決できる。運営費はコスト次第だ。先ほどから議論に出てくるように、児童1人当たり50万円の費用を民間なら3分の1でできるなら、同じ予算措置でも民間参入を促すことにより供給量は増大する。地方の長が本気になることも重要であるが、同じ意欲でも設置基準が緩和されることにより、いっそう大幅な供給量増加が実現できるはずである。

【厚生省】 市町村長のコストの掛け方には規制はない。厚生省の規定によれば、1人当たり15.5+アルファになっている。そこをどうするかも大きなポイントである。

【規制改革委員会】 子供に対する福祉とはどうあるべきか。弱者救済という従来の考え方から子供も含めての個人の尊厳、自立という方向に見直すべきだ。また、児童福祉は一部の子供だけではなく、子供全体にとっての政策であるべきであり、一部の子供への国の御膳立てが、すべての子供に当てはまることかどうかは慎重に検討すべきである。公のサービスは限定的にし、計画立案、結果評価を公の主な仕事とすべきではないか。公としては事後的・最終的な結果のチェックができればよいとすれば、公立、社福以外の法人の参入を排除する必要はない。
 また、すべての子供にバウチャー的に補助するのが良い。所得に応じてという考え方があるが、所得に応じて子供の受けるサービスが変るわけではないだろう。料金が払えない人たちに対しては、当然補助があってしかるべきであるが。

【厚生省】 バウチャーをどのような意味で使っているのかは分らないが、伝統的な意味で使っているとすれば、母子家庭など保育所に入らなければならない人たちの利用が妨げられないようにという点、結果監査を機能させるという点で困難がある。特に結果監査は、0才児保育では、保育士が目と目でコンタクトをとりながら、常に一緒にいる必要があり、外部監査では、こうしたことが適正に行われていることができないため、現状でも難しい。バウチャーにすればそのあたりが一層難しくなると思われる。御提案を頂きながら考えてみることになると思う。こうしたクリアできない問題が色々あり、みなさんからの御提案があれば、考えていきたい。

【保育園を考える親の会】 バウチャーを提案する方は、いくらの金額で、支給対象は誰で、財源はどうするのか、といったことをどう考えているのか。0歳児1人当たり月50万円は東京都心の公立の話であって日本全体の話ではないが、平均月20数万円のコストだとしても、バウチャーでいくらくれるのかは親にとっての関心事だ。またバウチャーによって従来の認可保育園の制度が崩れてしまうことは不安だ。

【ポピンズコーポレーション】 )財源というが、日本国中で子育て支援に使われている金額がどの程度のものかを明確にする必要がある。保育料で国から2兆円以上、自治体も何千億円、企業が手当てでいくらか、税金の所得控除で何千億円、全体で3〜4兆円位になるかと思う。この金額を小学校就学までの児童数で割ればバウチャーの額面は算出可能だ。それと今の費用と比較して足らないなら公費を補充すれば良い話だろう。バウチャーの財源等も含めて、可能か否かという点についても真剣に考える時期である。

【日本保育協会】 民間参入の議論に混乱がある。バウチャーは認可のみを対象とするのか、認可外をも対象とするのか。議論する上では、認可に限定するべき。認可保育所に民間参入で対応していく、というのが議論の前提のはずだ。市町村が関与することにより保育所が利用者の希望を拒むことができないということ等先に申し述べた現行システムの良さを失わせるべきではない。

【規制改革委員会】 医療の評価に長年従事してきた観点から発言させてもらえば、行政の関与、認可という仕組みは、開設主体とか構造のチェックが中心になっている。機能、結果を評価することを中心にすれば開設主体、機能は関係なくなる。福祉の選択肢を広げるという意味で、参入規制は撤廃、そのための条件として今の開設主体も含めて情報開示を徹底するという方向にすべきである。

【規制改革委員会】 調理室について、どなたか。

【日本保育協会】 保育所は生活の場なので、家庭に台所があるように、調理室が無いという保育所の存在や議論は理解できない。そのような条件での参入を考えている主体に参入資格はない。

【規制改革委員会】 なぜ調理室が必要かどうかを消費者に決めさせないのか。自由な選択があれば、親が必要だと思えば調理室がある保育所を選ぶはずだ。消費者が施設を選ぶので施設が消費者で選ぶのではない。この調理室の問題は、消費者主権を否定するという意味での象徴的な規制としてとらえている。
 バウチャーの水準については、政府が現時点で保育所に支払っている措置費を消費者に流れる仕組みを作ればよいだけで、現在の公費助成を単に入所希望者数で割ればよい。非常にコストの高い保育所、認可保育所、認可外保育所と多様な段階で消費者が施設を選択できるようにするための手段だ。バウチャーでの額面以上にコストの高い保育所には、消費者が自己選択に基づき自己負担をするという考え方もできる。今は認可外保育所と認可保育所の入所者での自己負担に開きがありすぎる。また、バウチャー方式であればすべて均一というのは単純な誤解であって、例えば母子家庭には手厚い支給を行う等、個々の家庭の事情に合わせてきめ細やかに金額を変更することも可能になる。現在は施設を対象に公費助成を行っているので、入所できた者は正に天国だが、そうでないものは地獄という著しい不公平になっている。

【保育園を考える親の会】 選択の問題だが、保育所の選択には地域的制約があるため、待機児童の問題が解消されてもいろいろなものから自由に選択するという形にはならないと思う。供給が十分にされる形になれば選択のメリットは生まれるが、利益がそれほど出る事業ではないので、供給者が多く現れるとも思えない。そうした場合、調理室の有無や保育内容で保育所を選択できるということにはなかなかならないのが親の側の実際。保育園を選択するメリット(選択することで良いものが残るという)には疑問があり、選択は自己責任と言われても困る。また、規制緩和により多様な保育所が現れた場合には、是非ともチェック機関の整備をしてもらいたい。

【規制改革委員会】 採算をとれない高コスト体質を作ったのが規制であり、その穴埋めに行政が補助をしている。補助金を含めてその規制を撤廃し、バウチャーを導入すればコストは下がる。

【厚生省】 基本的な問題は供給量と質の問題だ。量の問題は一定の公費助成によって一定の質を担保できる認可保育所、そして設立主体は社会福祉法人という枠組みがあって、それでは地域的な問題もあり限界がある。そこで多様な設立主体という議論があり、民間参入を認め、また認可保育所を作りやすくするという事でも量の拡大を考えている。質の問題は、親が選択するということもあるが、ともすれば子供は一人の人格で親の利害と子供の利害が一致しない場合もある。これについて真摯に考え、保育所の問題では常に子供への配慮、目配りをする仕組みを忘れてはならない。

【規制改革委員会】 今日の公開討論は、規制改革委員会も各パネリストと同じ立場で発言させてもらった。いかに保育サービスをよくするかということについて、今後とも参加パネリストの方々、厚生省と議論をさせていただく。


【第二部「高齢化対策」】

(1)基調報告

【八代委員】 高齢者の施設介護については、保育所と共通の問題が多い。多くの待機者がおり、限られた財源を如何に有効に使うかという問題である。特別養護老人ホーム(特養)は、経常費と資本費で公的助成を受けているが、特養に入れない人が入る民間の有料老人ホームについては、全て自己負担であり、やはり不公平な仕組みとなっている。介護保険でも特養と比べて有料老人ホームには大きな格差がある。厚生省の見解では、有料老人ホームは、老人自らが入ることを選択したものであり、特養の基準を満たしていないため、在宅の扱いである。しかし、介護保険の考え方は要介護度に応じてサービスを受けるというものであり、少なくとも特養と同じ基準を満たした有料老人ホームについては、施設サービスとして対等な扱いをすることが、供給量を増やすために効果的ではないか。また、特養は、建設費の12%程を寄付で調達しさえすれば後は公的補助により建設できる条件となっており、全額負担しなければいけない民間の主体と比べて著しい格差がある。長期的に見れば、介護報酬の中に建設費の分も含めて公的な助成金をより平等に分配する必要があるのではないか。

 誰が運営主体かということよりも、現にどういうサービスが提供されているかが重要であり、異なる供給主体間の競争を促進することで、消費者の選択肢は広がる。社会福祉法人だけに設備や経常費を手厚く補助することでは、競争の不足からサービスの質は必ずしも向上しないのではないか。福祉の担い手には暖かい心が必要なのは当然であるが、それが果たして供給独占に近い状態から生まれるのか、それとも厳しい競争状態から生まれるのだろうか。競争を促進させるためには民間主体を含めた自由な参入を可能にするとともに、公的助成を平等に配布する仕組みが必要ではないか。

(2)意見陳述

【佐藤ベネッセコーポレーション社長室ウエルネス推進統括】 我々は、コミュニティケアの理念に基づき共同生活型高齢者住宅を中心に福祉事業を幅広く実施している。ホームヘルパーや介護に関わる人材育成も行っている。我々が直面する問題についてお話しする。

 特養等の第1種社会福祉事業については、民間企業の参入が原則として認められていない。中央社会福祉審議会で基礎構造改革の案が出されたがこの点については不変である。こうした制度上の参入障壁もさることながら、社福に対しては4分の3もの施設整備補助が出るが、民間に対しては全くないということが問題の本質である。特養の入所者は家賃に相当する費用の負担がないが、我々の施設では全額自己負担である。家賃を全く払わずに入れるという制度は世界的に見ても極めて例外的な制度であり、利用者の間に不公平を生んでいる。社福という事業主体あるいは施設類型に着目して事業主体を直接補助するやり方はもう止めるべきである。

 社会福祉事業法が出来た当時は、福祉を必要とする高齢者が一様に貧しく住む場所もない状況で、事業主体と施設に着目に着目した補助体系が効率的であった。現在は、高齢者の置かれている状況も多様化しており、どうきめ細かく対応するかが問われている。施設に対する直接の補助金を個人に着目した公平な補助に再編するべきである。仮に事業者に配るとしても、公平な社会基盤の整備として公平に配るべきである。基本的には補助・優遇措置を縮減し、サービスに対する給付を幅広くとる考えが求められている。使用者は施設のグレードに応じて家賃を払うこととなるが、低所得者については、別途家賃を補助する仕組みをとるべきである。

 介護保険報酬についても大きな問題がある。賄いつきの有料老人ホームは、老人福祉法上は住宅でなく施設であるが、介護保険上は介護保険施設でなく居宅に分類されている。調理師・栄養士の人件費等の賄い代が掛かるので、特養には「基本食事サービス費」が介護保険から給付されるが、賄いを前提としている有料老人ホームには「居宅である」という理由で支給されない。これは利用者にとって家賃と並んでハンディとなっている。民間施設において特養と同等の人員配置基準で同等の質・内容のサービスが提供されている場合、特養と民間施設とで同じ評価をするという措置をお願いしたい。

 新しい保険制度を歓迎しているが、公平性の確保が今後の高齢化社会で維持可能なシステムを作っていく上で重要であるので御配慮を賜りたい。

【橋本大正大学教授】 給付の公平性、経済効果という観点から議論されることが多いが、バランスある議論が必要である。高齢者にとっての生活の質(QOL)とは、持てる能力を最高に発揮して自分の意志で生きていくことである。心身の衰えから他人の手助けが必要になってくると、特に施設に入所すると、自分らしく生きることが難しい。特別養護老人ホームの入所者は、@24時間の生活のすべてを支えてもらわねばならない、A心身に何らかの障害をもっている、B障害(特に痴呆、体の不自由)のために要求し難い、C他に戻る所がないので権利を主張しにくい人たちである。

 日本の介護の水準は高いことは世界で定評がある。その理由は、@介護福祉士が専門職として制度化されている、A社会福祉法人による施設運営(安定した長期雇用と利益を追求しない点)、B施設の設置・運営に関する規制が強く都道府県等による事業内容(多くは公費の使い方)に関する指導監督が厳しくなされている、Cボランティアの協力が多い(北欧とも違う)ことによる。

 社福の特徴としては、様々な優遇を受けており、基準面積と基準単価については、4分の3の補助、運営費についても委託費(措置費)が支給される。税法上も優遇されている。その代わり、収益事業については厳しい制限があり、法人を作るときにも知事(県をまたがる場合には厚生大臣)の認可を得なければならない。委託費の使い方に非常に厳しい規制がある。解散する場合には、寄付は個人には戻らず、他の社会福祉法人か国庫に帰属することとされている。優遇されている反面厳しい規制がある。

【全国老人クラブ連合会見坊副会長】 戦後より住民サイドで福祉に携わってきた。福祉の事業は、利潤・効率を考えるよりも生命・健康・生活を如何に守るかというものであり、自由競争・市場原理の中では生活困難な人のため、戦前戦後を通じて非営利・公益・ヒューマニズムを基本に今日に至っている。介護保険制度を控えて俄かに市場競争原理・規制緩和・自由な選択・民間企業の参入が論じられているが、基本的にその点を認識する必要がある。

 特養はそこに居を移して専門的なケアを受ける生活の最後の拠り所である。家族にとっても生活の安定のメリットとなっている。社会福祉法人は公的性格を持つ民間団体であり、民間の営利企業体とは異なる。公に準ずる経営主体である。非営利であるので国民としても寄付・ボランティア等で協力する。住民と一体となった運営を目指してきた。その成果が今日の介護の社会化・普遍化となっている。この50年間の足取りが国民に十分に理解されたと認識しているし、それに拠り所を求めているというのが利用者の率直な意見である。

 民間営利企業の参入については、納得の行く点もあるが、全体としては高齢者全般が警戒している。介護保険制度を前に在宅サービスにおける民間事業者の制度の趣旨に反する営業戦略が始まっており、高齢者に大きな不安を与えている。中には極めて悪質な例もある。この点については慎重に行って頂きたい。介護保険制度で高齢者全体では8,000億円を納めなければならず、利用時の1割負担も5,000億円を下らないと思っている。この公的資金が乱用されて、医療費の膨張と同様なことになってはいけない。耐える点は耐えながら時間をかけて実績を見ながら改善していく姿勢が必要である。その点から特養に対する民間企業の参入については現在では反対である。

【ダスキンヘルスケアホームヘルスケア事業部新福ジェネラルマネジャー】 過去11年にわたり民間で介護を行ってきた立場から、在宅も含めて話をしたい。介護保険では10種以上在宅でサービスが提供されるが、平成9年までは民間で提供できるのは、訪問介護、訪問入浴、福祉用具貸与に限られていた。平成10年からデイサービス、介護保険対象外だが在宅介護支援センター、平成11年から訪問看護も解禁になった。これに対して社会福祉法人では、在宅サービスに施設サービスを含めた総合的なサービスの提供が可能である。

 私どもは、平成元年から東京において主として訪問介護を始めたが、法的に提供できるサービスの内容が限られていたので、思うようには事業展開できなかった。他社では社会福祉法人を設立して施設サービスの運営ノウハウの獲得や民間に規制された訪問看護ステーション等を実施する所もあった。ここ2年の規制緩和で自治体からの複合サービスの委託が増えてきている。現在実施ないし準備している施設のサービスを資料に列挙したが、委託の形態で施設の運営を行おうとしているケースもある。

 複合的なサービスを提供することで収益性が向上した。単独サービスで事業を展開することは非常に難しい。色々なサービスを複合的に提供することで人員的に効率的な運営が図れるようになってきた。自社で福祉施設を作るには、社会福祉法人に比べてかなり費用が掛かるため、投資回収まで計算ができない。したがって、投資の少ない公設民営のケースを請け負っている。ここ2年単年度では黒字になっているが、累積では赤字である。

 サービスの質の向上には競争が不可欠である。サービスの評価は、基本的に利用者が行うべきことと考える。民間は営利に走るとして不安視する意見があるが、@福祉事業については参入すること自体に高い倫理性が企業に求められる、A公的介護保険を含めて公的システムに運営規定、苦情処理について要綱が出てきている、B介護福祉士、看護婦等の専門職が多く職業倫理に支えられているという特性があり、今後、介護保険で自己負担があり事業者は利用者の厳しい選別を受けて、評判の悪い業者・施設は淘汰されていると思う。

 ルール違反に対する制裁は厳しくするべきである。税金と保険料半々で介護保険システムが支えられるので、当然のこととして行政の監視は必要だが、なるべく事後的チェックにウェイトを置いて煩雑な手続は最小限にとどめてほしい。しかしながら、違反者には厳しく対処すべきであると考える。

 限りある社会資源の中で、福祉の中に質的なものと量的なもののバランスを考えるべきである。施設サービスにおいても民間を含めた供給主体が同じ条件で競い合い、利用者が自由に選択できる状況を作ることが大切と考える。

【厚生省】 社会福祉基礎構造改革については、一昨年以来検討している。現行の社会福祉制度は、戦後の引揚者、戦災孤児、戦争による身障者が多数発生した中で福祉サービスがないという戦後の状況を踏まえ、行政が主導的な役割を担ってサービスを決定するという仕組みである。戦後50年たって介護保険に代表されるように、全ての国民がいかなる障害があっても自立支援をしていくというサービスになっており、行政が決定する仕組みから利用者が選択して決定する仕組みに改めることを基本にした。介護保険の流れに沿った改革を高齢者介護だけでなく障害者に対しても適用していくというものである。

 今後は、利用者が中心になるので、行政が担っていた部分の制度化が必要であり、利用者の利益を保護する仕組み(情報提供、権利保護、苦情解決等)を併せて提供する。同時に利用者が選択することになるので、サービス事業者の活性化も併せて図りたいと考えており、新規事業の追加、社会福祉法人の設立要件の緩和、運営の弾力化を図り、社会福祉事業を活性化する改革を実施したい。また、在宅事業を中心に民間参入を進め、保育所についても認めていく。

 サービスの質も重要であるので、質の向上を図る仕組みを併せてビルドインするとともに、事業の透明性を確保する仕組みも整備する。国民が参加できる地域福祉の推進も併せて行う。規制改革委員会の関連では、社会福祉法人に掛かる規制の緩和、社会福祉事業の利用方式を利用者が選択できる仕組みにする法改正を早急に行いたい。

【厚生省】 老人福祉については、在宅と施設とは大きく違う。現在介護保険の準備を行っているが、現在、在宅サービスが不足している状況であり、規制改革委員会の指摘も踏まえ、在宅サービスについては民間企業が全面的に入れるようにする。在宅サービス拡大の意味でも効率性の向上の意味でも、民間サービスに期待している。

 規制緩和で懸念されるのは要介護者の利益をどう確保するかという点であるが、在宅の場合は、企業が撤退するケースがあってもお年寄りは自分の生活拠点を持っており、お年寄りの最終的な利益は保護されるだろうということで在宅の民間参入を進めている。施設については、民間企業が全面的に入ってくる形の規制緩和は、利用者の利益保護の観点から慎重に検討せざるを得ないと思っている。民間企業の特徴として、事業の多様性と事業撤退の自由があるが、特養という施設サービスの場合は、そこを終の住処にしているお年寄りは、事業者側の都合あるいは設置主体が兼業する他業の経営状況次第によって事業をやめるとなった場合には、終の住処を失うことになり、社会不安になる。社会福祉法人は優遇されているというが、その一方で大変な規制がある。他事業の禁止、投機的な行為の禁止、事業は県の指定であり指導を受け、事業撤退の自由がない。施設サービスと在宅サービスとを同一線上で議論することはできないと考えている。

 セーフティネットとして銀行の預金保護機構と同様なものを作ったらどうかという話があるが、銀行は免許業である。施設サービス事業は届出制で、自由な事業であるが、逆にセーフティネットを考えるのであれば、免許業とするという規制が必要という議論にまで進むのではないかと思う。また、事後規制については、良い企業と悪い企業の選別の問題があり、すべてを事後規制にすることは難しい。米国のナーシングホームの例もあるが、お年寄りの虐待があった後で見つけ出してやれというのでは、監査に多数の人間が必要であり、どうしても最低限度の事前規制がこの分野では必要ではないか。逆に社会福祉法人を活用する道を考え、規制緩和ということで設立要件を緩和している。

 有料老人ホームについては、実態を考えると、これはあくまでも住居である。大半は健康な高齢者が入っており、消費者として有料老人ホームを住居として選択している。住居の空間は個室であり多様性がある。特養のような4人部屋とは違い、消費者の選択した住居である。ただし、介護が必要な高齢者については、介護の部分について介護保険から支給される。介護部分については、特養並みの看護・介護の基準を置き、それに見合った給付を行う。多様な選択の住居部分に介護の部分を上乗せしたのが有料老人ホームであり、逆に有料老人ホームを全て施設にするのであれば、多様な住居選択がなくなる。国民の多様なニーズと選択という面では、有料老人ホームのアプローチは大きな部分であり、それを施設化するのは選択の幅を狭めることにつながるのではないか。

(3)意見交換

【規制改革委員会】 施設介護への民間参入を考えるとき、社会福祉法人の要件を緩和し、民間主体が社会福祉法人になりやすくするというアプローチと、社会福祉法人に限らず施設介護への参入を認めるというアプローチがある。

【ベネッセコーポレーション】 社会福祉法人の見直しの問題は、施設整備費の問題を別にしても、優遇税制の問題が残っている。医療法人と比べても、かなり手厚い。助成をそのままに残して、規制だけ緩和しろというのは、現実に合意を得られない。社会福祉法人の規制緩和も中途半端に止まることになってしまう。このような状態では、社会福祉法人の数を増やし、競争によりサービスの質の向上を図るということは、とても期待できない。

【規制改革委員会】 日本で、非営利という考え方は精神論でしかなく、組織論になっていない。営利と非営利の違いは、利益の処分方法の違いではない。利益に対して非課税であれば、同じ事業に再度注ぎ込んでいくというのが非営利事業体の在り方であって、非営利であるから効率性を追求しなくてもよいというわけではない。非営利だから公共性が確保されるというわけでもない。私は、営利、非営利というのは、組織論として議論すべきであると考える。
 営利であれば利益を追求するためにいいところばかり取り、本当に必要なことをやらないのではないかという意見があるが、私はそれは価格設定の問題であると考える。予算化された公費補助の設定により価格が適正な水準となれば、非営利であろうが営利であろうが対応できることとなり、営利法人によるいいとこ取りは起こらないと考えている。社会福祉法人が持っている施設について、どう費用に変えていくかという議論が今後必ず出てくる。減価償却費、金利負担というものが、現在社会福祉法人の運営費には反映されていない。将来的に日本において、PFIやSPCを利用して、施設、土地、不動産をどんどん債権化、流動化していかなければ、価格の競争力が発生しないと考えている。社会福祉法人の会計に、施設の減価償却、金利負担の考え方を入れるべきであり、そうすれば、垣根が取り払われる。

【厚生省】 社会福祉法人には税制面での優遇もあるが、一方で、その財産は、最終的には国庫に帰属するものであり、私的に分配できない厳しい規制がある。社会福祉法人は、公共的な性格を強くもっており、規制も多く、事業の永続性が担保されている。今後、介護保険の実施により、施設も措置費の世界からサービス選択の世界へ入っていくことになり、当然、効率性は上がっていくことになる。

【全国老人クラブ連合会】 社会福祉法人が特別に優遇されているかのごとく論じられているが、私どもとしては、優遇ではなく、当然の措置であると理解している。社会福祉法人による福祉サービスの提供は、憲法に根拠をもって始まったものであり、公的性格が強く、高齢者の人格、尊厳を守るものである。そして、心身機能が低下し、再び自由競争社会に復帰することが困難な高齢者の最後の拠り所として位置付けられたものである。

【ベネッセコーポレーション】 優遇税制の理由付けは分かるが、そのこと自体社会福祉法人に対する公の支配を象徴しており、税制、補助金などを改めさせ、効率性を上げるべきだ。経営の自由度を高めてサービスの質の向上を図るという流れの中で、その基本的なスキーム自体が足を引っ張っている。

【橋本教授】 改善すべき点についての、先ほどの指摘はおおむね妥当と思われる。しかし精神論ではなく組織論が重要というのは、理論上の指摘だ。精神とは体質であり、規制とは関係のないことである。介護職員一人一人が、どういう経営方針の下に働いているかが重要である。現に、民間企業の行う介護の在宅サービスでは、かなり恐ろしい事態が生じている。競争すれば質が良くなるというのは、ある意味で幻想ではないか。悪貨が良貨を駆逐するという競争もあるのではないか。ものを言えない人の暮らしを守る場合、競争の社会を作り出すことが望ましいかどうか慎重に議論する必要がある。

【規制改革委員会】 社会福祉法人の見直しの議論の中で、介護の問題について、いつ頃どんな方法で見直しを行うこととするのか。

【厚生省】 介護保険は来年4月から施行予定であり、それからである。社会福祉基礎構造改革の中で、社会福祉法人の設立要件の緩和、弾力化を図ることとしている。さらに、雇用創出、産業競争力強化の中で、社会福祉法人の資産等の要件緩和を図ることとしている。特に、土地要件については大きな問題であり、早急に緩和することとしている。

【規制改革委員会】 競争原理について誤解がある。高齢者の間で競争するのではなく、高齢者に対してサービスを提供する事業者側の競争促進を奨励している。先程、厚生省から、良い企業と悪い企業をどうやって選別するのかという話があったが、それと同様に、「良い社会福祉法人」と「悪い社会福祉法人」とをどうやって区別するのか。社会福祉法人はすべて性善説で良いのか。社会福祉法人に限らず、競争がなければ、色々な問題が起こり得る。
 経営主体の制限は、事後的規制の代替措置とはならず、事後的規制をきちんとやらなければならない。社会福祉法人が、事業撤退の自由がないことをあたかもメリットのように主張されているが、それは、逆に言えば、どんな悪いサービスを提供しても潰れないということである。基本的に消費者選択の自由のないところに、どれだけ良いサービスが期待できるのだろうか。

【規制改革委員会】 民間が参入すれば、サービスの水準が下がる、悪質なところが出てくるという意見についてどう考えるか、を中心に議論を進めていきたい。

【橋本教授)確かに、社会福祉法人の中に、問題があるところがないわけではない。しかし、民間法人が提供しているサービスについて現実に起きている事態を考えると、社会福祉法人と比べてバラツキの幅がまるで違うことは言えると思う。社会福祉法人がなぜ安定した品質のサービスを提供できてきたかというと、都道府県、政令指定都市などが金の使い方等について厳しい指導監督をしてきており、質の管理が行き届いているからである。

【規制改革委員会】 民間にも公費を出して、同じように監督・チェックを行うとした場合、どうか。

【橋本教授)利益を追求するという体質なのか、その利益を社会福祉事業に還元するという体質なのかという違いである。

【ベネッセコーポレーション】 一番大きな問題は、民間法人が助成の対象となっていなかったことで、ほとんど放任の状態であったことである。したがって、御指摘のように、民間法人の設置する有料老人ホームで問題が発生したのである。その度合も、確かに社会福祉法人に比べてひどいという指摘もある。今後、介護保険制度が施行され、ソフト部分が介護報酬の対象となるに当たり、サービスの質を確保するための内容に踏み込んだ最低基準を作ってもらいたい。

 市場にまかせる一方で、必要な規制を行うということが当然のこととして求められてくると考えている。我々としても、最低基準のサービスは守った上で、顧客満足のためにどのくらいのサービスを上乗せできるかということを考えていきたい。

【厚生省】 企業について規制を強化すれば、どんどん社会福祉法人に近づくだけだが、それでよいのか。

【ベネッセコーポレーション】 度合の問題だ。介護は、医療に比べても市場原理になじみやすく、あくまでも最低基準に限定した話である。例えば、どこか他に預かり先を探した後でないと撤退できないとか、預かり金については全部を株式に運用してはだめ等の規制が必要である。

【規制改革委員会】 利益追求という点に誤解があるようだが、私自身の経験に照らして言うと、社会保障の分野において、営利企業体の方が、ニーズに対応するという点で社会福祉法人よりもはるかに敏感である。ところが、社会保障の分野では、制度で何もかも決めてしまい、愚かであるという前提で利用者を取り扱ってしまっている。やはり、賢い利用者が育つということが大切である。

【全国老人クラブ連合会】 福祉の措置制度が役所一方の都合で作られたかのように言われているが、それは誤りである。戦後の福祉制度は、高齢者、障害者等の要望を受け、財政が抑制される中で、制度が作られ、運用されてきたものである。老人ホームについては、生活保護法から始まっている。昭和38年に、すべての高齢者の福祉ニーズに応えるために老人福祉法が制定された。その時の措置制度の考え方は、申請によって必要があれば措置をするという申請主義であり、希望を添えて申請し、自治体が判断するというものである。なお、利潤追求の意義について否定はしないが、弱い人達に対する対策は、長い歴史の中で、営利企業では無理であるということで今日に至っている。この経緯を考えるべきである。

【規制改革委員会】 施設サービスのニーズについてどう考えるか。先日公表された総務庁の行政監察のデータを見ると、特別養護老人ホームの入所を待機しており、かつ、措置する必要ありと認められる高齢者の数は、1995年から1998年にかけて約1.6倍に増えている。介護制度の導入について議論を行っている間に急速に増えていることになる。この点について、厚生省はどう考えるのか。

【厚生省】 その数字については、中身を見ていただく必要がある。待機者にも、在宅で特別養護老人ホームの入所を待っている者と、他の施設に入りつつ特別養護老人ホームの入所を待っている者の2種類いる。現実は、在宅待機の方は増えておらず、むしろ減っている状況にある。他の施設に入っているにもかかわらず、特別養護老人ホームへの入所を希望する者が増えているのは、特別養護老人ホームの入所に係る費用が安く、施設間のアンバランスが生じているからである。介護保険が実施されれば、利用者負担は完全にバランスが取れることになる。都市部において施設は足りないが、地方部においては施設整備が進んでおり、その結果、逆に地方部において介護保険料が高すぎるという問題が生じている。後は、都市部において、所得の高い層のニーズにどう対応するかが問題となっている。その場合、有料老人ホームも一つの選択肢として出てくるのではないかと考えている。

【橋本教授】 高齢者は、生活をする上で、どんなに小さなことでも解決できない支障が発生すれば、入所型サービスに移行していかざるを得ない。したがって、もう少し在宅サービスを利用できれば必要ないと思われる高齢者が特別養護老人ホームへ入ってきてしまう例が少なくない。これからは在宅サービスが増えてくるので、構造が変わってくるのではないかと考えている。

【ダスキンヘルスケア】 私どもは、施設介護については、一般的な競争条件が整備されていないことと、撤退する場合規制があるということから、公設民営のような形以外での参入は考えていない。まずは、在宅サービスへの参入を考えている。今回の介護保険の施行によって、今まで、株式会社が参入したことのない公的な意味合いの強い世界に参入するということになるので、質の問題について意識して仕事をしていくことになると考えている。

【ベネッセコーポレーション】 私どもとしても、在宅サービス重視で行きたいが、原則としてサービスは利用者やその家族が選ぶものであり、現実に東京都だけで1万5千人の特別養護老人ホーム待機者がいる。施設に行きたいという人がいれば、当社としては施設を用意していきたいと考えている。
 厚生省から、有料老人ホームには元気な人が入っており、「終の住処」ではなく住宅であるという指摘があったが、有料老人ホームに入所している方の中には、要介護度の重い方もいるし、財産を処分して「終の住処」として入っている方もいる。利用者としては、特別養護老人ホームや在宅の方よりも不安定な状態であり、セーフティネットが必要である。ただし、市場に任せてサービスの質を向上させていくことが原則である。特別養護老人ホームは4人部屋であり、1人部屋の要望が強くても、公費が入っている以上は上乗せのサービスはできず、今後も4人部屋であり続けるというのでは、顧客がついてこないのではないか。
 もう一点、厚生省に質問させていただきたい。有料老人ホームと在宅、施設では、介護報酬に大きな差がある。有料老人ホームは、特定施設生活者介護という報酬を受けるが、最も高い介護報酬で月24万5千円程度、最低だと月16万5千円となる。在宅であれば、最高月36万8千円であり、施設だと、最高で月36万8千円、最低でも月30万7千円ということになり、大きな格差が存在する。どうしてこのような格差が生じているのか、特に、同じように保険料を支払って同じ要介護度でありながら、在宅と有料老人ホームでどうしてこのような差が生じているのか。

【厚生省】 介護保険においては、有料老人ホームを在宅として位置付けている。これは、元気なうちから入所するということが一般的であること、途中で要介護になったからといって、ずっと入所させておかなければならないという縛りもないこと、介護職員を最初から張り付けておかなければならないということもないこと等から考えると、自分で選択した家であると考えているからである。したがって、有料老人ホームにおける介護サービス部分については、在宅の人と同じように給付していこうということである。集合的に住んでいる方々に対して介護サービスを提供するということであり、介護サービスの人員配置については、介護が必要な人が出た場合には、特別養護老人ホームと同じ人員を配置することになる。その費用を介護保険で支払うこととなるので、基本的には、特別養護老人ホームの介護職員と同じだけの費用は支払うという位置付けとなっている。
 減価償却費等については、自分で選んだ自宅であるので、そこまで支払うことにはなっていない。

【全国老人クラブ連合会】 介護保険については、やってみなければ分らないところが多い。私は、介護保険制度については、必ずしも賛成論者ではなかったが、介護保険制度で非常に期待しているのは、地方分権への動きである。市町村住民の参加を得た見える制度の運営が期待できる。ぜひ時間を掛けて見守っていただきたい。今、急速に改革、規制緩和といって、どんどんこれを進めようとすることは、介護保険制度をやめさせるほどの反動が起こりかねない。この点について規制改革委員会でも十分御認識いただきたい。

【橋本教授】 民間の方がニーズに敏感であるという点については良く分かるが、賢い消費者である必要があるという点については、疑問がある。賢い消費者になれないのが心身に障害のある高齢者であり、それをサポートしていく仕組みこそが必要で、厚生省がこのための権利擁護の制度を一生懸命作っている。この分野では、事後規制では間に合わない。事前に、弊害が起こらないような準備をする必要がある。

【厚生省】 サービスの利用の仕組みがどうなるか、つまり、サービスを自分で選択できるかという利用の仕組みの議論と、どういう主体が供給するかという主体の議論を分けて考える必要がある。社会福祉法人であるから、すなわちだめ、という議論ではない。その辺の議論が錯綜していたように見受けられるため、そこは整理すべきであると考える。

【ベネッセコーポレーション】 施設の方が効率が良く、在宅の方が効率が悪いから報酬が少ないという説明であるが、逆にいうと在宅の方が自由であり贅沢な面もある一方で、施設は不自由であるが仕方なく入るという面もある。やはり、要介護度に応じて一律に給付するということを原則に報酬を計算してほしい。

【規制改革委員会】 介護保険制度の在り方の検討については、実際に制度が始まる来年度以降、きっちり取り組んでいきたい。このような問題を取り扱っていると、我が国は官尊民卑という考えが強いことが実感される。民営と官営について、きっちりとした監視・評価システムを作り、幅広いサービス提供者を確保し、消費者の選択に資するような方向で議論を進めていく必要がある。
 いずれにしても、福祉分野は、人間の生活にかかわり、大事な問題である。本日の議論も参考にしつつ、今後も検討を深めていきたい。

(以上)
(文責 規制改革委員会事務室)