3.個別の検査検定制度についての意見
以上のような見直しに当たっての基本的な考え方を念頭に置いた上で、当委員会・横断基準認証WGとしての主な検査検定制度の検査主体についての意見は、現在のところ、以下のとおりである。(表2参照。なお、当WGの意見に対する各制度所管省庁の考え方を◆印として付記した。)
なお、ここに意見を書いたもの以外の検査検定制度についての検査主体、検査検定対象の指定、性能規定化等の検査検定基準の枠組み、事後チェックの拡充・強化についても、上記観点からの見直しは必要であり、当委員会においても引き続き注視していく予定であるが、各省庁においても、閣議決定された内容に基づく厳正な対応が必要である。
○遊技機(警察庁)
ぱちんこ屋等の営業を営む事業者が、その営業所にぱちんこ台等の遊技機を設置して営業を営むに当たっては、あらかじめ、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第20条の規定に基づき、当該遊技機について、認定(営業者が1台ずつ確認を受ける)又は検定(製造業者が型式ごとに確認を受ける)を受けることができるとされている。
この認定又は検定は、著しく客の射幸心をそそるおそれのある遊技機を設置することを排除し、もって善良の風俗を保持するため、当該遊技機が著しく射幸心をそそるおそれがあるものとして定められた基準に該当しないことについて事前に確認を受ける手続である。(なお、認定・型式検定を受けていない遊技機を設置しようとする場合には、営業許可申請の際に1台ずつ都道府県公安委員会の確認を受ける必要がある。)
このように、遊技機について認定・検定を行うことについては、善良な風俗の保持という目的に照らし、一定の合理性が認められるが、実際の認定・検定の基準は、遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則において、例えば「1分間に100個を超える球を発射できるものでないこと」、「1個の球が入賞口に入賞した場合に、15個を超える数の遊技球を獲得することができるものでないこと」等、客観的かつ具体的に示されている。
このように、本認定・検定の基準が客観的かつ具体的なものになっていることから、現在、その業務の実施は、行政機関(都道府県公安委員会)のほか、指定試験機関に実施させることができるとされているが、指定試験機関になるためには民法第34条の規定により設立された法人(公益法人)であることが必要とされている。
しかしながら、このように基準が客観的かつ具体的なものとなっている以上、指定試験機関については、それが能力を有し、かつ、公正中立に業務を実施できる主体であれば足りることから、公益法人に限定するのではなく、民間法人にも開放することが適当ではないか。
◆ 遊技機の認定・検定は、善良の風俗の保持等といった風営適正化法の趣旨から、賭博に直結する可能性のある事柄について確認を行うものである。その基準の基本は、著しく射幸心をそそるおそれの有無であるが、これは人間の欲望・本能に根ざしたものであり、射幸心をそそる遊技機ほど遊技客の需要が高いのが現実である。
このため、これまで各種不適正事案が頻発しているところであり、遊技機の認定・検定の試験事務については、高度に公正・中立性を確保し、試験の適正な実施を担保する必要があることから、風営適正化法は、試験事務を委託する指定試験機関を業務の適正を確保するための各種の仕組みが設けられている公益法人とし、試験事務に関する守秘義務のほか、刑法その他の罰則の適用に関して公務に従事する職員とみなす(みなし公務員)旨の規定を設けているのであり、仮に公益法人以外の民間法人に当該試験事務を開放することとなった場合には、これらの制度と同等の制度が必要であると考えられる。
なお、試験事務を適正かつ確実に実施することが認められる他の適当な公益法人があれば、指定を検討するのはやぶさかではない。
○病院等(厚生省)
病院等の構造設備の検査は、医療法第27条の規定に基づき、病院等の構造設備が医療法上の基準に合致しているかどうかを確認するものである。
本来、病院等の開設に当たっては、医療法第7条の規定に基づく開設許可が必要であり、当該許可の段階においても、構造設備について上記の基準に合致していることが必要とされている。このため、この検査は、病院等が実際に開設許可のとおりに建設されたことを事後的に担保するとともに、手術室や病室等の重要な構造設備の安全性を確認することによって患者の安全性を確保しようとするものである。
しかしながら、病院等の開設許可の基準を見ると、その内容は、例えば病室についてはその設置階(原則として地階又は三階以上に設けない)や床面積(療養型病床群の場合、患者1人当たり6.4平米以上)や廊下の幅(療養型病床群の場合、1.8米以上)等であり、手術室に係る事項も「なるべく準備室を付設しじんあいの入らないようにする」ことなど、客観的かつ明白な事項も含まれており、検査の業務も、特に行政機関でなければ実施できないような内容とは考えられない部分がある。
このため、このような検査については、行政機関が自ら実施するのでなく、第三者検査機関に委ね、例えば使用許可を申請する際にこのような第三者検査機関が発行した基準適合証明書を添付するよう求めることとし、行政機関の役割は、その後実際に病院等が使用された段階で適時立入検査を行う等、事後的なチェックにとどめるべきではないか。
◆
・安全性の確認が十分でないために万一事故が発生した場合には、患者に甚大な健康被害が生じるおそれがあるため、安全の確認には万全を期す必要がある。仮に検査を第三者機関に委ねた場合には、行政による第三者機関の監督や入念な検査が必要となり、かえって行政の肥大化を招く。
・医療機関における構造設備は、生命・身体に直接関わるものであり、高度の安全性が求められるものであることから、そもそもその検査を第三者機関に委ねることについて国民的理解を得ることは難しいと考えられる。
・病院の開設許可等の審査事務と一体不可分の事務であることから、許可権限者たる行政において行うことが必要である。
○クリーニング所・美容所・理容所(厚生省)
クリーニング所・美容所・理容所の検査は、クリーニング業法第5条の2、美容師法第12条、及び、理容師法第11条の規定に基づき、これら施設の使用に当たり、あらかじめその構造設備が所定の基準に合致することを確認するもの制度である。
この制度は、適切な衛生管理ができる施設があるかどうかについての確認を営業開始に先立ち行うことにより、クリーニング所、美容所、理容所の利用者に疾病等が感染することを防止しようとするものである。
しかしながら、実際の検査の基準をみると、その内容は、例えばクリーニング所においては「洗濯機及び脱水機をそれぞれ少なくとも1台ずつ備えなければならない」ことや、「機械及び器具を清潔に保つこと」、「洗場の床が不透性材料(コンクリート等)で築造されていること」等いわば当然の事柄となっており、必ずしもこの基準を満たしたからといってそれにより感染症を予防できると考えられる程度の内容となっていない。
この検査は、本来、届出制とされているクリーニング所、美容所、理容所について、実際の使用に先立ち行われるものであり、検査の基準が合理的かつ明確になっていない場合には、実際上は許可制度に準じた形で届出制が運用されているのではないかと懸念される。本来、この検査のように、国民生活に密接に関連した施設においては、利用者の側も十分に納得できる程度の具体的かつ合理的な安全性の基準がきちんと示されることが望ましく、実際にそうした基準に合致しているかどうかの検査については第三者機関に委ねるべきである。
このため、これらの検査については、例えばクリーニング所、美容所、理容所の営業の届出に当たって、第三者検査機関が発行した基準適合証明書を添付するよう求めることとし、行政機関の役割は、その後実際に施設等が使用された段階で適時立入検査を行う等、事後的なチェックにとどめるべきではないか。
◆
・理容所、美容所及びクリーニング所における必要な衛生措置は、法律並びに都道府県の条例又は規則に規定され明確にされているとともに、具体的事項について通知により周知されているところである。
・さらに、いずれの施設も、国民生活に密接に関連した施設であり、かつ、人体に直に接する等の業を行うものであることから、衛生行政の専門家である環境衛生監視員による法律及び条例等に基づく客観的かつ公正な判断により検査を行い、開設当初から公衆衛生上の問題が生じることのないよう適正な衛生措置を確保する必要がある。
・具体的には、理容所及び美容所については、器具を用いて人体に直に接して業を行うことから、消毒設備等の適正な衛生措置を講じるところであり、クリーニング所に関する一部の例示をもって、クリーニング所と理容所及び美容所とを同一として考えることは適切な記載ではない。
・また、クリーニング所における洗濯物は、基本的に感染症や皮膚病に汚染されているおそれがあるものとして取扱うべきであり、例示として挙げられているものの他、都道府県知事が定める衛生措置として、洗濯物の処理のために使用する洗剤、溶剤等の取扱い方法や感染のおそれの強いものの消毒方法等、感染症等の予防措置や有機溶剤による人体危害防止の措置を講じている。
・民間機関である第三者機関に委ねた場合、専門的な知識を有する者の体制や安価なコストを常に確保することが困難であるとともに、的確な指摘が行われず運用が安易なものとなるおそれがある。
○食品等(命令検査)(厚生省)
食品等の検査(命令検査)は、食品衛生法第15条の規定に基づき、ハム等の特定の種類の食品について、有毒物質の混入や病原微生物による汚染が発見された場合であって、当該食品を加工した者の検査能力等からみて、当該食品について引き続き同様の問題が生じるおそれがある場合に、食品衛生上の危害の発生を防止するため、都道府県知事が、当該都道府県知事又は厚生大臣が指定した者の行う検査を受けるべきことを命ずることができるとする制度である。
この制度は、ハム等の食中毒被害等の危険性が大きい食品を対象とし、かつ、実際に問題のある食品が発見された場合に検査を命じるものであり、消費者の健康と安全を確保するために必要最小限度の規制を行おうとする趣旨のものであることは認められる。
しかしながら、命令検査の実施主体は、食品衛生法第19条の4の規定により、民法第34条の規定により設立された法人(公益法人)に限定されており、民間法人については、たとえどのように高度な食品検査技術を有していようと一切当該検査業務に参入できる余地はないこととなっている。
この検査業務自体は、ハム等の食品に有毒物質や病原微生物が混入していないことを確認するものであり、必ずしも公益法人でなければ遂行できない業務とは考えられないことから、民間法人であっても、検査能力を有し、かつ、業務を公正中立に実施することができる第三者機関に対し、広く業務を開放すべきではないか。
◆
・食品検査について
食品衛生上の危害は事後的救済を図ることができないケースも多いことから、極めて慎重に対処すべきものと考えているが、食品衛生に係る検査については、件数が膨大であることもあり、原則として、民間法人による自主検査に委ねられている。
・検査命令制度について
食品衛生法第15条に基づく検査は、特定の種類の食品について、有害物質の混入等が発見された場合であって、食品を加工した者の検査能力等からみて、当該食品について引き続き同様の問題が生じるおそれがあるという食品衛生上看過できない場合に指定検査機関(公益法人)において行われるものであり、このような検査を営利を目的とする民間法人に行わせることとすると、国民の食品衛生に対する不安を払拭できないおそれがある。
・公正性の確保について
食品衛生法第15条に基づく命令は、行政処分であることから、これに伴う検査についても、公正性確保のため本来行政庁が行うことが望ましいが、年間34,000件に及ぶため、指定検査機関制度を導入しているところである。指定検査機関は行政庁と同等の公正性が要求されるため、営利を目的としない公益法人に限っている。
・民間法人への委託の困難性
仮に、民間法人に行わせることとした場合、営業者との関係等から検査の公正性が確保されないおそれがあること、また、公正性を確保するためには、公益法人と同等の経営内容や事業に対する行政の監督を必要とすることから、民間法人に行わせることは極めて困難である。
・民間法人の検査に伴う問題事例について
民間法人が検査を行って問題が生じた具体的事例としては、平成10年5月に起きた北海道産のイクラ醤油漬けによる大量食中毒事件が挙げられる。このケースでは、民間法人の検査機関が、データを改ざんしており、また、警察の捜査に際して、証拠隠滅容疑で送検されている。
○廃棄物処理施設(厚生省)
廃棄物処理施設の検査は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の規定に基づき、一般廃棄物処理施設及び産業廃棄物処理施設のそれぞれについて、施設の設置許可を受けた者が、当該施設の完成後、それを実際の使用に供する前に検査を受けなければならないとする制度である。
この検査の際に用いられる具体的な基準は、例えば一般廃棄物処理施設の場合、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則第4条において、「自重、荷重等に対して構造耐力上安全であること」や、「処理能力を有すること」、「ごみの飛散及び悪臭の発散を防止するため必要な設備が備えられていること」、「汚水又は廃液が漏れ出し、又は地下に浸透しないこと」等となっている。
このように、この検査の趣旨は、ごみ処理施設の円滑な機能を確保するとともに、周辺に対して、ごみの飛散や悪臭による被害をもたらさないようにすることであり、厳格な実施が必要と考えられるが、現在では、検査の主体は行政機関(都道府県知事)に限定されている。
しかしながら、特に小規模な地方自治体の場合、廃棄物処理施設の検査能力が必ずしも十分でなく、周辺に対して悪影響をもたらさないことをきちんと担保するために必要な検査を行う能力を有していない場合もあると考えられる。
ダイオキシンをはじめ、廃棄物処理施設が周辺に与える影響に対する社会的関心が高まっているからこそ、廃棄物処理施設の使用前検査については、経験・能力の面で疑問の残る個別の地方自治体に委ねるのではなく、全国ベースで専門的に業務を実施でき、ノウハウの蓄積が期待できる民間の第三者機関に委ねることが適当ではないか。
また、これとは別に、廃棄物処理施設については、事業者が定期的に検査を実施しなければならない制度はあるが、行政庁にこれを報告する制度がないので、維持管理について報告義務を課すことが必要ではないか。
◆
・使用前検査について
貴委員会の認識に以下のとおりの誤認が認められる。
貴委員会の意見では、使用前検査とは、完成した施設が、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「法」という。)施行規則第4条に規定する施設の技術基準等に適合しているか否かの検査としている。しかしながら、施設の技術基準等に適合しているか否かの判断は、使用前検査の前に施設を許可する段階で行うものである(条文からも明らか。)。そもそも、使用前検査は、許可を行った後に、施設の設置許可申請書に記載された施設の位置、構造等と許可を受けて実際に竣工された施設のそれとが一致しているかを確認する制度にすぎない。したがって、使用前検査と許可は別個の制度であり、貴委員会の認識には、誤解がある。
この検査は、許可(申請)の内容と合致する施設の竣工を担保することを目的としているため、許可に当たって申請内容を精査・判断した行政庁により一貫して行われることが効果的かつ効率的である。
なお、このような、許可(申請)の内容との合致を確認する能力については、都道府県・政令市が許可権者であることから当然に十分に有しているものであり、現在も支障なく行っているところである。
・事業者の報告義務付けについて
次のとおり、現行法上で対応できるため、改めて事業者に報告義務を課す必要はない。
@施設設置者は施設の維持管理事項に関する事項を記録し、利害関係者の
求めに応じ閲覧させることが義務付けられている(法第8条の4他)。
A都道府県知事は設置者に対し、施設の構造又は維持管理等に関し必要な
報告を求めることができる(法第18条)。
○水道施設・浄化槽(厚生省)
水道施設・浄化槽については、水道法及び浄化槽法の規定により、水質検査等の実施が義務付けられている。
このうち、水道施設については、簡易専用水道(会社やマンション等で、受水槽を設け、各戸に水を供給するもの)については、水道法第34条の2の規定により、その設置者に対し、定期に、地方公共団体の機関又は厚生大臣の指定する者による受水槽・水質の検査を受検することが義務付けられており、また、浄化槽については、浄化槽法第7条及び第11条の規定により、新たに設置した場合には使用開始後6月を経過した後2月間に、その後は毎年1回定期的に、浄化槽の外観・内側の目視検査、水質検査等を行うこととされている。
しかしながら、簡易専用水道の場合、有効容量が10m3を超える受水槽であってもその受検率は約85%にとどまっており、有効容量が10m3以下の受水槽においてはその受検率は約20%の低率にとどまっている。また、浄化槽については、浄化槽の不具合による水質悪化の影響は、浄化槽設置者ではなく、下流域の者がこうむるという特殊性もあり、その受検率は、設置後の検査において約70〜80%、定期検査にあっては約20〜30%にとどまっている。
このように、これらの検査においては、受検率の向上が重要な課題となっている。しかしながら、現在、これらの検査を実施できるのは、簡易専用水道の検査については水道法に関する通知において、また、浄化槽の検査については厚生省関係浄化槽法施行規則第33条において、民法第34条の規定により設立された法人(公益法人)に限定されており、民間法人が参入することはできないこととなっている。
これらの水質検査は、検査器具の進歩もあり、民間法人であっても十分に精密な測定が可能となっている。むしろ、現在の課題は、低迷している受検率を引き上げることであり、そのためには、行政機関及び公益法人がこれらの業務を独占する現状を改め、能力を有しかつ公正中立な業務の実施が可能な民間法人にも広く業務を開放することにより、検査サービスの質の向上と検査料金の低下を図ることが必要ではないか。
◆
・簡易専用水道の検査について
管理の検査の受検については、簡易専用水道の管理における不適合率が改善されていないことや、有効水量10立法メートル以下の小規模受水槽において法的に検査を義務付けられていないことから低い率にとどまっていることが問題となっている。
したがって、この問題については単に受検率を上げるために検査機関の民間開放をするかどうかの議論ではなく、簡易専用水道全体の問題として、規制の在り方そのものについて検討を行う必要があるものである。
そこで当面は現行制度のもとで、地方公共団体の指導等、管理の実態の改善を図るとともに、管理態勢の強化の側面を含め、規制の在り方そのものについて検討を行っているところである。
・浄化槽について
民間法人に開放した場合、検査受検を促す普及啓発といった非収益部門への取組みがおろそかにされると、受検率の向上が達成されないおそれがある。
また、当該民間法人の所在地と浄化槽の設置場所との距離など地理的条件の差により手数料に大幅な格差が生まれるおそれがあり、競争原理の導入が必ずしもすべての消費者に対する負担軽減とはならない。
浄化槽の検査は、全て指定検査器官が行うことになっていることから、検査機関の倒産や撤退によって浄化槽の検査業務が滞ることがあってはならない。
○農産物(農林水産省)
農産物検査は、農産物検査法の規定に基づき、米、麦等一定の種類の農産物について、国が検査を実施する制度である。
農産物検査の目的は、「農産物の公正かつ円滑な取引とその品質の改善とを助長し、あわせて農家経済の発展と農産物消費の合理化とに寄与すること」(農産物検査法第1条)とされている。本検査が果たしている主な機能は、検査によって農産物の品位を明らかにすることにより、これら農産物の全国的な流通を円滑にすること(農産物の実物を確認することなく、検査によって確認された品位によって取引を行うことを可能にすること)であり、その受益者は、農産物の取引流通に携わる者であるとされている。
農産物検査については、現在、農林水産省において、早期民営化に向け検討が進められているが、その在り方については、当委員会が7月30日に公表した論点公開において示したように、市場原理に委ねつつ生産者等が自ら商品の品質に責任を持つという視点を踏まえるべきである。したがって、国による検査を民間検査機関による検査に移行させた後においても、生産者等が自ら行う検査にするとの方向性を示す観点から、一定の要件をクリアした者ならば誰でも自由に参入できる登録制を前提としたものとする必要があると考えている。
なお、農産物検査の在り方については、現在、当委員会の第2WG・流通分野において検討中である。
○石油パイプライン事業用施設(通商産業省、運輸省、建設省、自治省)
石油パイプライン事業(許可制)においては、石油パイプライン事業法の規定に基づき、事業用施設の完成時及びその後定期的に検査を受けることが義務付けられている。
これらの検査の目的は、石油パイプライン事業用施設に不備があり、それが損壊し、石油が流出することがあれば、周辺に大規模な火災が発生するおそれがあることから、施設の安全性をあらかじめ確認しようとするものである。
しかしながら、石油パイプライン事業の実態を見ると、同法の制定後今日にいたるまで実際に許可を受けて事業を行っているのはわずか1社にとどまっており、今後の参入も当面は見込まれない状況にある。
石油パイプライン事業と同様に危険物を多量に取り扱う施設の検査としては、他には、高圧ガスの製造・貯蔵施設や、火薬庫、危険物施設等があるが、これらについては、最近、優良な管理体制を有する事業者については自主検査を認めるよう制度改正が行われてきている。
このため、石油パイプライン事業用施設については、管理体制が優良と認められる事業者が1社しかない現状を踏まえれば、他の施設と同様に、管理体制が優良な場合には自主検査化を認めるよう制度を改正する必要があるのではないか。
◆ 現在、石油パイプライン事業法の適用を受ける石油パイプライン事業用施設は、千葉港から成田空港へジェット燃料を輸送している新東京国際空港公団所有の航空燃料パイプラインのみであるが、これまで当該検査制度について改正要望が国に対して提出されたことはなく、また、他の事業者による石油パイプライン事業に対する今後の参入も当面は見込まれない状況にある。
新東京国際空港公団所有の航空燃料パイプラインを含め、石油パイプライン事業用施設においてひとたび事故が起こった場合には、周辺地域に甚大な影響を及ぼすおそれがあることから、立法時からその安全性の確保が国に対して強く求められてきたところであり、このことは、下記のとおり立法時に衆参両議院において附帯決議がなされたことからも明らかである。
従って、自主検査制度の導入等に際しては、関係省庁のみならず、関係地方公共団体及び関係地域住民の意見も踏まえつつ、慎重な検討が必要であると考える。
「衆議院商工委員会における石油パイプライン事業法案に対する附帯決議(抄)」(昭和47年6月5日)
政府は本法施行にあたり、石油パイプライン事業の必要性と保安確保の重要性にかんがみ、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
1.過密地帯等における石油パイプラインの設置にあたっては、公共の安全を確保するため、特に万全の対策を講ずるとともに、主務省令で定める技術上の基準は、専門の学識経験者の意見をとり入れ、地震、地盤沈下等がわ国の特殊な条件に十分対応するよう厳格に策定し、工事計画の認可にあたっては、地層、土質等当該地域の固有の条件を十分配慮すること。
2.石油パイプライン事業の適正な運営を確保するため、所管四省庁間において緊密な連絡協議体制を確立し、円滑かつ効率的な石油パイプライン事業行政を行うとともに、石油パイプライン事業者に対しては、事業用施設の設置及び事業の運営にあたり、関係地域住民の意見を尊重し、その不安の解消に努め、安全かつ適正に行なうよう協力に指導すること。
3.過去におけるガス爆発事故発生の経験にかんがみ、他工事による石油パイプラインの破損事故発生の防止について、万全の対策を確立するとともに、石油パイプラインにより万一環境汚染、人命、財産等に被害が生じた場合は、十分な補償措置を講ずるよう指導すること。
「参議院商工委員会における石油パイプライン事業法案に対する附帯決議(抄)」(昭和47年6月16日)
政府は本法施行にあたり石油パイプライン事業の実施に伴う保安確保の緊要性にかんがみ、とくに次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
1.石油パイプライン基本計画の策定、事業の許可および工事計画等の認可にあたっては、とくに公共の安全の確保に留意すること。
2.主務省令で技術基準を定めるに際しては、人口稠密、地震多発等のわが国の特殊性を考慮し、日本国有鉄道、新東京国際空港公団等の既往の技術基準にとらわれることなく、保安確保の見地から最高かつ完璧な内容のものとするとともに、保安規程の認可にあたっては、保安管理上万遺憾なきを期すること。
4.石油パイプライン事業用施設に関する工事の施工および各種検査の実施については、主務大臣は、保安のための技術基準に合致させるため、とくに消防職員立ち会いのもとに厳重な点検を励行するものとし、不良工事に対しては、必ず工事のやり直しを命ずること。
5.石油パイプライン事業者の事業用施設の設置および事業の運営については、関係地方公共団体及び関係地域住民の意思を尊重し、とくにその保安上の不安を解消するため具体的な措置をとるよう協力に指導すること。
○石油コンビナート(石油と高圧ガスを共に用いる第一種事業所)(通商産業省、自治省)
石油と高圧ガスを共に用いる第一種事業所(石油コンビナート等特別防災区域内にある事業所で、石油・高圧ガスの取扱量が一定以上のもの)の新設等に際しては、石油コンビナート等災害防止法の規定に基づき、あらかじめ主務大臣に届け出るほか、当該新設等の完了後、主務大臣の確認(同法第11条)を受けなければならないこととされている。
この確認の目的は、実際の新設等があらかじめ届け出た計画どおりになされていることをチェックすることにより、周辺住民等の安全を確保し、また、地域の消防活動との連携を確保しようとするものである。
しかしながら、確認の対象となる施設の配置(レイアウト)の基準は、例えば、「同じ種類の施設は同一の施設地区に配置すること」、「施設地区の外周が特定通路に接すること」等、外観上明らかな事項ばかりであり、また、事業者も大規模な石油化学会社等であることからあらかじめ届け出たレイアウトと異なるレイアウトを行うことは実際上考えにくい。
このため、石油と高圧ガスを共に扱う第一種事業所の新設等の際の施設の配置(レイアウト)の確認については、現在の国による確認は廃止し、事業者自らによる確認とする(自己確認化する)べきではないか。
◆ 主務大臣は、石油コンビナート等災害防止法第11条の規定に基づき、実際に行われた新設又は変更が法第5条又は第7条に基づき届出された当該新設又は変更の計画に適合しているかを確認することとされている。これは、石油コンビナート等特別防災区域が石油と高圧ガスの双方を多量に扱い災害の発生・拡大の危険性が著しく高いものであることから、万一の災害の発災時の特殊性、当該区域のみならず周辺地域にも被害が波及する蓋然性に鑑み、現実に届出された計画のとおりに新設の工事等が行われているかを確認することが、迅速かつ有効な消防活動等を含め防災上の観点から極めて重要であるとの理由から行っているものである。したがって、自己確認化することは困難である。
また、ご指摘の「外観上明らかな事項」であっても、事業者が大規模な企業体であることをもって届出内容に全て適合した新設又は変更の工事を行っているとは言い切れない。現に、大規模な石油化学会社等において、工事完了の届出を受けての現地確認で、例えば、工事が完了していなかった、特定通路の幅員が不足していた、セットバック上に認められていない工作物を建築していた等の事例が指摘されている。
現地に赴き確認するという制度は、届出された計画のとおりに新設の工事等がなされることの担保となっており、国が確認するという現制度の維持は防災上必要であり、自己確認化することは困難である。
○鉱山坑内用品・工作物(通商産業省)
鉱山においては、鉱山保安法の規定に基づき、あらかじめ国が行う検定を受検し合格した機械器具等でなければ、坑内で設置・使用することはできないこととされている。
この検定の目的は、これら鉱山坑内用機械器具等の安全性を確認することにより、鉱山労働者の安全を確保することであり、機械器具等の良否が鉱山労働者の安全に多大な影響を与えることから、国がこれら機械器具の製造業者等に検定の受検を義務付けることに合理的な理由が認められる。
しかしながら、実際の検定の内容は、鉱山保安規則によって明らかにされている技術基準に合致していることを確認するものであり、必ずしも国が自ら行わなければならない必然性があるとは考えられない。また、同様に危険を有する品物について規制を行ってきた消費生活用製品安全法においては、本年の通常国会において、これを大幅に自己確認化する(特に危険性の高い一部の品目については第三者検査化を義務付ける)こととする改正がなされたところである。
このため、鉱山坑内用品・工作物の検定については、消費生活用製品の検定と同様の見直しを行い、現在の国による検査は廃止し、これらの製造業者等に対し能力を有しかつ公正中立な第三者機関の検査を受検することを義務付ける(第三者検査化する)べきではないか。
◆ 検定を受けた鉱山坑内用品が主として設置・使用される炭鉱の坑内では、ひとたびガス・炭じん爆発(坑内)や坑内火災等の災害が起きると、極めて多くの死傷者が発生する大災害となる可能性があるが、かかる災害は社会的、経済的に大きな影響をもたらすもの。鉱山坑内用品の検定は一般消費生活用品の検定とは性質が異なるものである。
○自動車検査用機械器具(運輸省)
自動車分解整備事業場に備える自動車検査用機械器具については、道路運送車両法の規定により、それが一定の技術上の基準に適合することについて、運輸大臣の定める者の行う検査に合格したものでなければならないこととされており、現在は、公益法人がその検査を実施している。
この検査の目的は、これらの機械器具が自動車の点検整備又は自動車検査に用いられ、安全・環境に与える影響が大きいことから、機械器具の一定水準以上の精度等を確保するものであり、自動車の安全な運行を確保するために、自動車分解整備事業用の機械器具について国の基準に適合することを求めることには合理的な理由があると考えられる。
しかしながら、検査の基準は、「自動車検査用機械器具に係る運輸大臣の定める技術上の基準」により明らかにされており、その内容は明確であることから、必ずしも公益法人が行わなければならない必然性があるとは考えられない。
このため、自動車検査用機械器具の検査については、検査能力を有し、かつ、公正中立に業務を実施できると認められる第三者機関(営利法人も含む)により、基準に適合した機械器具であると確認されたものであればよいとする(第三者検査化する)べきではないか。
◆ 自動車検査用機械器具の精度等の確保は、自動車が一定の技術基準に適合していることを確認するために不可欠であり、自動車の安全の確保及び公害の防止のために極めて重要である。
仮に、営利を目的とする民間機関に自動車検査用機械器具の検査を任せた場合、利潤の追求を目的に安易に手抜き検査が行われる恐れがあり、この場合、一般的な製品検査と異なり、検査を受けた自動車ユーザー自らがこれを検知し得ず、@ブレーキ装置等の故障により事故が起き、検査機器の不具合が判明したときには手遅れになってしまう点、A排出ガス性能が悪化している場合等自動車ユーザー自身が不利益を被らないのでチェック機能が働かない点から、公益法人以外に検査を行わせることは慎重に検討すべきである。
○専用バスターミナル(運輸省)
バス事業者が自らの使用のために設置するバスターミナル(専用バスターミナル)については、自動車ターミナル法第15条の規定により、あらかじめ、その構造及び設備が政令で定める基準に適合するものであることについて国の確認を受けなければ使用できないこととされている。
この確認は、バスターミナルが、多数の一般の利用者が利用する施設であることから、構造設備に一定の安全性を担保しようとするものであるが、確認の内容は、その構造及び設備が「自動車ターミナルの位置、構造及び設備の基準を定める政令」において示された基準に適合していることを確認するものであり、その内容も、構造耐力や、誘導車路の幅員、停留場所の長さ等であり、必ずしも国が自ら行わなければならない必然性があるとは考えられず、専用自動車バスターミナルを設けようとするほどのバス事業者であれば当然自らその適合・不適合を判断できる事項ばかりである。
このため、専用バスターミナルの確認については、現在の国による確認は廃止し、事業者自らによる確認(自己確認)とするべきではないか。
◆ 自動車ターミナル法については、平成8年度において、近年におけるバス輸送の利便性の向上及び物流の効率化の要請に対応し、自動車ターミナル事業を免許制から許可制に改めるなど抜本的な改正を実施し、制度全般に係る見直しを既に行ったところである。
その中で、専用バスターミナルについては検査制度を廃止したが、一般バスターミナルと同様に不特定多数の一般公衆及びバスが出入りする施設であるため、同様に適切な機能及び運営が確保されなければならないことから、必要最小限の制度として書面審査による確認(一般バスターミナルにおいては許可時の審査)を行うこととし、従来に比べ事業者の負担を大幅に軽減したところである。
また、専用バスターミナルの設置主体はバス事業者であり、一般にイメージされるような、大量生産を行う製造メーカーが実施する自己確認と異なり件数がほとんどなく、建築技術上のノウハウ等が十分に蓄積されているとは必ずしも言えない状況にある。さらに、安全基準は単に建築物単体のみに着目しているのではなく、道路交通の円滑と安全を勘案し、公安委員会との協議規定を設けて周辺の道路状況等に合わせて弾力化を図っており、自己確認にはなじまないものである。
以上の理由により、専用バスターミナルの確認については、引き続き国が実施することが望ましい。
○気象測器(運輸省)
気象庁以外の政府機関又は地方公共団体が気象観測を行う場合、及び、その成果を発表するために民間機関が気象観測を行う場合には、気象業務法の規定により、国の行う検定(同法第27条)に合格した気象測器を使用しなければならないこととされている。
この検定は、気象観測が災害の防止等に重要な役割を果たすものであり、観測値の誤り、観測精度の不統一があると社会的混乱を招くおそれがあることから、その精度を担保するために行われているものである。
しかしながら、このような目的を達成するためには、必ずしも国が自ら検定を行う必要はなく、気象測器の製造事業者に対して基準に合致することを求め、それを第三者が確認することとすれば十分と考えられる。
このため、気象測器については、現在の国による検定は廃止し、能力を有しかつ公正中立な第三者機関の検定を受検することを義務づける(第三者検査化する)ことが適当ではないか。
◆ 検定件数は、現在、年間約1万5千件で、手数料も約8千万円と少なく、また、今後とも件数が急激に拡大する見込みもない。第三者機関に気象測器の検定を行わせることは、現行の検定手数料では、検定に必要な検査設備・要員等を備えることはできず、採算をとろうとすると、手数料を値上げせざるを得なくなり、申請者に多大な負担を強いることになる。
なお、現在、国による最終的な確認を前提としつつ、個別の検査について民間の能力を活用する方法について検討している。
○電気通信設備(郵政省)
電気通信設備については、電気通信事業法第50条の規定により、電話機やモデム等の端末機器について、あらかじめ技術基準に適合していることの認定を受けることにより、第一種電気通信事業者による接続検査を受けることが不要となる、端末機器の技術基準適合認定制度が設けられている。
この制度は、電気通信ネットワークや端末機器の高度化が急速に進展する中で、技術基準に適合しない端末機器が電気通信回線設備に接続されることによって、電気通信回線設備が損傷したり、他の電気通信サービス利用者に悪影響を与えることを防止するために設けられた制度である。
現在、技術基準適合認定は、民間の認定試験事業者による試験結果を活用しつつ、郵政大臣が指定した指定認定機関が行っている。しかしながら、端末機器については、その満たすべき技術的基準が明確である等、公正中立な第三者機関の活用等を検討する余地があるのではないかと考えられる。
端末機器を始めとする電気通信設備に係る検査検定制度については、電気通信ネットワークが基幹的なインフラストラクチャであることや、セキュリティ確保の重要性が近年特に高まってきていることとともに、技術革新に対して柔軟に対応できる仕組みを構築するという視点も重要であることから、公正中立な第三者機関の活用の可能性等について議論を行っていくことが必要ではないか。
◆ 電気通信ネットワークは、国民生活や社会経済活動に不可欠な、基幹的インフラストラクチャであり、災害発生時の緊急連絡手段として、ライフラインの役割を担うものである。特に、近年、我が国の社会経済全体の情報化の進展に伴い、ネットワークや端末機器の高度化が急速に進むとともに、高度情報通信社会の基盤として、その重要性が一層、高まっている。
こうした電気通信ネットワークでは、一部にでも障害が発生した場合、社会・経済活動の広汎な範囲にわたり重大な影響を及ぼす可能性が大きく、更に国際的にもその影響が瞬時に及んでいくこととなるため、電気通信ネットワークの安全・信頼性やセキュリティ等は、極めて重要な課題である。
また、電気通信サービスは国際的にサービスが提供されるものであり、端末機器等に関して国際的な相互承認の実施が推進されていることから、その制度については国際的整合性が重要である。
このため、端末機器を始めとする電気通信設備に係る検査検定制度については、国際的な動向を踏まえ、ネットワークや端末機器の高度化が急速に進展する中で、電気通信ネットワークを国民が安心して使用できるよう、その安全・信頼性やセキュリティ等が確実に確保されるものとすべきであると考える。
○特定機械等(労働省)
ボイラー等、特に危険な作業を必要とする特定機械等については、これを製造し、輸入した者は、製造、輸入等した場合(製造時等検査)、及び、製造時等検査により交付される検査証の有効期間を更新する場合(性能検査)において、労働安全衛生法の規定に基づき、国又は国の指定した機関により検査を受けなくてはならないこととされている。また特定機械等以外で危険な作業等を必要とする機械についても、同法により、小型ボイラー等については個別検定を、また、動力プレス等については型式検定を、国または国の指定した機関により受けなくてはならないこととされている。
これらの検査・検定は、労働者の労働安全上重要な機械等について安全性を確保し、もって労働災害の発生を抑止するために行われるものである(注3)が、検査業務を行うことができる指定検査機関は、特定機械等の性能検査を除き、製造時等検査代行機関等に関する規則の各規定により、民法第34条の規定により設立された法人(公益法人)であることが要件となっている。
このように検査業務を行うことができる機関を公益法人に限定している趣旨は、公正かつ中立に業務を実施することを確保するためと考えられるが、例えば特定機械の性能検査については、上記規則第4条の規定により、公益法人以外に、「特定機械等に対する損害保険の事業を行う保険会社で、その役員又は社員の構成が性能検査の公正な実施に支障を及ぼすおそれのないもの」も認められており、公益法人以外であっても公正中立に業務を実施する民間営利会社が存在することは既に労働安全衛生法の体系の中で認められている。
このため、検査業務については、その質とサービスを向上させるため、公正中立性の判断条件を更に明確にした上で、性能検査以外の検査についても、能力を有し、かつ、中立・公正な立場で正確な検査を実施できる民間法人にもこれを広く開放するべきではないか。
◆ 労働安全衛生法に基づく検査・検定代行機関については、公正性、中立性、技術水準の確保のための判断条件を明確にすることを前提に、公益法人要件の限定を解除することについて検討している。
(注3)事業所で働いている人を災害から保護するという本来の目的からみたとき、現状における災害は、昭和30年代に比較すると3分の1になってきているとはいえ、未だ十分とは言えない状況にある。このため、労働安全法制については、特定機械等の検査だけでなく、職場の安全・環境整備の視点から、システム保証や優良事業者等に対するインセンティブの導入をはじめとする抜本的な見直しが必要ではないか。
〇許可された開発行為工事および宅地造成工事(建設省)
地方公共団体が許可した開発行為(建築物の建築等を目的とする土地の区画形質の変更)や宅地造成工事規制区域における宅地造成工事については、都市計画法及び宅地造成等規制法の規定に基づき、工事完了時に許可の内容に適合した工事が行われているかについて、あらかじめ許可を行った者による検査を受けなければならないこととされている。
これらの検査は、地方公共団体が、あらかじめ行った開発行為の許可や宅地造成工事の許可について、当該許可に基づいて実際に行われた工事が許可条件に合致したものであるかどうかを確認するものであり、これらの許可制度を事後的に担保するものである。
土木工事が許可条件どおりに施工されたかどうかを確認することは、その後、これらの土木工事により造成された宅地等を購入する者にとっては重要なことがらである。したがって、その完成検査に当たる者については、客観的かつ透明性の高い資格基準に基づき土木工事の検査について専門的な能力を有する民間事業者が当たることが効果的であると考えられる。
このため、このような完成検査の実施については、土木工事の完成検査を行う能力を有し、かつ、公正中立に業務を実施することができる第三者機関が行うことができるよう制度を改めるべきではないか。
◆ 今回の中間的整理における完了検査に関する記述については、地方公共団体、開発業者、消費者等から十分意見を聴取する必要があるのではないか。
中間的整理では、現在、検査を行っている地方自治体の担当者には、公正に検査をする専門的な能力がないという認識に立っているものと思われるが、以下の理由により、地方自治体の担当者は十分な事務遂行能力を有しているといえる。
@開発行為及び宅地造成に関する工事の許可の窓口には、土木、建築などについて専門的な知識を有する職員が配置されていること、
A職員は、配置換え等により、関係する専門的な職務について様々な実務経験を重ねていること、
B研修、マニュアルの作成等により、職員の資質向上に勤めていること、
C制度創設以来相当期間が経過し、相当の実務の積み重ねがあること。
なお、完了検査は、許可、完了検査、検査済証の交付という一連の手続の一部であり、許可の内容どおりの工事が行われているかどうかを審査するもので、許可権者である地方公共団体が行うのが適切である。
仮に、第三者機関が完了検査を行うこととすると、以下の問題点が想定され、申請者にとってかえってコストの増大、手続の遅延につながるおそれがある。
・手続の迅速化については、従来から強い要望がなされているが、申請者は改めて第三者機関に対して許可申請関係書類等を提出しなければならず、第三者機関は提出を受けてから初めて許可の内容について把握することになるため、手続の遅延と申請者の負担の増大につながるおそれがある。さらに、検査済証の交付後に完了公告のため申請者が都道府県へ報告しなければならず、手続が複雑となる。
・現在、完了検査のみに着目して手数料を徴収していないが、第三者機関へ開放した場合は、当該第三者機関に対して手数料を納める必要が生じ、その額も現在許可申請手数料の中に含まれている額より高く設定される可能性が大きいため、申請者にとってはコストの増大につながる。
○消防用機械器具等(自治省)
消防用機械器具等の検定は、消防法第21条の2の規定に基づき、消防の用に供する機械器具等について、その製造者等に検定の受検を義務付ける制度である。
この検定の目的は、火災発生時の初期消火に重要な役割を果たすことが期待されるスプリンクラーや消火器等の消防用機械器具等が、確実かつ安全に機能を発揮することを確保することにより、国民の生命、身体及び財産を火災から保護しようとするものである。
しかしながら、これら消防用機械器具等の検定業務は、現在、型式承認・個別検定のいずれについても、日本消防検定協会又は自治大臣の指定する者(同法第21条の46の規定により、公益法人でなければならない)しか実施できないこととなっている。
確かに、消防用機械器具等については、実際に火災が発生した場合において確実に機能することが求められるが、このことはただちにその検定業務が特定の法人に限定されることを正当化するものではない(注4)。
このため、消防用機械器具等については、それが確実に作動することを確認する能力を有し、かつ、業務を公正中立に実施することができる第三者機関の認証を取得することを義務付ける形で制度を見直すことにより、検定の実効性を高めるとともに、検定業務の効率化を図るべきではないか。
◆ 消防用機械器具検定は、次の理由により、政府代行機関により行われることが必要不可欠である。
(1)違反発生時の影響が極めて大きいこと。
消防用機械器具等は、ホテル、百貨店、病院等の公衆の出入りする施設等に公共危険性の排除の観点から設置するものである。これらの施設等において火災等が発生し、初期消火、避難等が奏功しなければ、多数の被害者が発生することは、過去の教訓からも明らかである。
このように、消防用機械器具等は多数の人命の危険性に直結するものであり、決して「ある程度の危険度や、ある程度の危害発生の蓋然性が認められる」分野に区分されるべき性質のものではなく、「違反発生時の影響(危険等)が到底看過し得ない程重大である」分野に区分されるべきである。
(2)人命保護等のための「最後の手段」であること。
火災予防のためには、様々な施策が講じられているが、それらにかかわらず、万一火災が発生した際には、消防用機械器具等が、これを大惨事につなげないための、いわば最後の手段となるものであり、消防用機械器具等が正常に働くことは各種制度の前提となっているとも考えられる。このような消防用機械器具等には、他の物品に比べても特段の安全性が求められるものである。
(3)国民意識の上からも官庁が対応すべきと考えられること。
ホテル、百貨店等で火災が発生した場合に発生する多数の被害者は、たまたま当該施設を利用したにすぎない国民であり、かつ、これらの施設は国民が日常的に利用しているものであって、国民誰もが被害者となり得る。しかも、これらの施設を利用する際には、当該消防用機械器具等の品質について何らの情報も有していない。したがって、これらの施設については官庁の責任において消防用機械器具等の設置を義務付けるとともに、その品質の確保についても、万全を期すことが国民意識の上からも求められているといえる。
(4)市場原理が有効に機能しない分野であること。
消防用機械器具等は、日常生活において頻繁に使用されるものではなく、事故発生時にはじめて使用されるものであることから、国民は製品の良否を普段から判断することができず、不良品が発見された時には、人命、財産等に取り返しのつかない損害を伴うことが予想される。このような市場原理が有効に働かない分野の製品については、官庁が検定制度により製品の安全性を保証する仕組みが必要である。
(注4)現に、例えば一部のガス用品のように、ガス漏れ時に確実にガスを遮断することが求められる製品についても、本年の通常国会における法律改正において、原則として自己確認(一部、特に危険性の高いものについては第三者機関による検査を義務付け)に移行したところである。
○危険物施設等(自治省)
危険物施設等の検査は、消防法の規定により、指定数量以上の危険物を取り扱う製造所・貯蔵所・取扱所について、その設置の前(同法第11条、第11条の2)及び設置後定期的に(同法第14条の3)、市町村長等が行う検査の受検を義務付けるものであり、検査を行う必要性は合理的なものとして認められる。
このような危険物施設等に類似する施設としては、例えば、高圧ガスの製造・貯蔵施設や、火薬庫等がある。これらの施設については、既に高圧ガス製造・貯蔵施設については平成8年の法律改正において優良事業者の自主検査制度が導入されたほか、火薬庫についても、その事故の原因が構造設備に起因するものよりもヒューマンエラーに起因するものが多くなっている実態を踏まえ、本年の通常国会において、構造設備に関する検査について、優良事業者に自主検査を認める制度を導入する等の見直しが行われたところである。
危険物施設等についても、本年3月から、一定の要件を満たす施設の変更工事に伴う完成検査について、優良事業者の自主検査を認める制度が発足したところであるが、こうした他制度の動向も踏まえ、その対象を保安検査にも拡大する等の見直しを行うべきではないか。
◆ 危険物施設において事故が発生した場合には、当該施設のある事業所のみならず、周辺住民の生命、財産等にも重大な脅威を与えるおそれがあること等を鑑みると、危険物の保安に関する技術基準は国が定めるとともに、市町村長等が危険物施設の許可及び検査を行うことにより危険物の保安を確保する仕組みを維持することが重要であると考える。
消防庁は、本年3月、工事管理を含む保安のための優れた体制を有することが実績からも明らかであると認められる事業者が行う一定の変更工事に係る完成検査及び完成検査前検査について、事業者の自主検査結果を活用する制度を開始したところであるが、これは上記原則によりつつ、危険物施設の安全の確保に問題のない範囲で危険物規制の合理化、簡素化を図ったものである。
保安検査をこうした措置の対象とすることについての、現時点での消防庁の考え方は以下のとおりである。
(1)昭和50年代中頃より概ね緩やかな減少傾向を示していた危険物施設における事故件数は、平成6年を境にして増加に転じるや年々増加しつづけており、特に平成9年中と比較した平成10年中の事故件数の増加率は著しく、平成10年中の事故件数及び一万施設当たりの事故発生率は過去10年で最高の値となった。
したがって、危険物施設が消防法令に定める技術上の基準にしたがって的確に維持管理されていることを市町村長等が定期的に確認する保安検査制度は、極めて重要であると考える。
(2)現在、消防法において市町村長等による保安検査の対象となっている施設は、貯蔵最大数量が1万キロリットル以上の屋外タンク貯蔵所及び配管の延長が15キロメートルを超える等の移送取扱所で、その数は2,796施設(平成10年3月31日現在。以下同じ。)であり、全危険物施設数(551,816施設)のわずか0.5%である。
そのうち、屋外タンク貯蔵所については、貯蔵最大数量が1万キロリットル以上という極めて大規模な屋外タンク貯所のみを対象としており、その数(2,786施設)は、全屋外タンク貯蔵所数(83,334施設)の約3.3%であり、その他については事業者自身が行う定期点検によることとされている。
これは、屋外タンク貯蔵所の保安検査については、原則自主検査であるところ、昭和49年に発生した水島コンビナートの重油流出事故が瀬戸内海を多量の重油で汚染し、地域社会に多大な影響を及ぼしたことを受けて、ひとたび事故が発生すると周辺に大きな被害をもたらすおそれのある大規模な施設のみを市町村長等による保安検査の対象としたものである。
屋外タンク貯蔵所に保安検査が義務付けられたのは昭和52年であるが、検査制度の施行前後の屋外貯蔵タンクに係る漏油事故件数の発生率を比較したところ、事業者が自ら定期点検を行う1万kl未満の屋外タンク貯蔵所と、市町村長が保安検査を行う1万kl以上の屋外タンク貯蔵所では、漏油事故の発生率の改善に格段の差がみられ、市町村長等による検査の実施が検査精度の向上に寄与し、事業者による自主的な検査を補完するために不可欠な制度であることが明らかになった。
(3)以上のことより、現時点では、消防庁としては、国民の生命、財産等を危険物災害から保護する観点から、保安検査について事業者の自主検査結果を活用する制度の導入については、更に慎重な検討が必要であると考える。