規制改革委員会
−速報のため事後修正の可能性あり−

第16回規制改革委員会議事概要

1 日 時:平成11年11月24日(水)午前10時〜12時
 
2 場 所:中央合同庁舎第4号館共用第1特別会議室
 
3 出席者
(委員会)宮内義彦委員長、鈴木良男委員長代理、田中一昭、西村清彦、本間正義、牧野昭次郎、アンソニー・ミリントン、八代尚宏の各委員、河北博文参与
(関西経済連合会)富士原常務理事・事務局長、栗山企画調査部長
(米国)在京米国大使館フォーリー大使ほか3名
(事務局)齋藤内閣審議官、坂野審議官、田部規制改革委員会事務室長、高野主任調査員
 
4 議事次第
(1)見解案総論審議
(2)関西経済連合会ヒアリング
(3)米国ヒアリング

5 議事概要

(1)見解案総論について、委員間で議論を行った。その主な内容は以下のとおり。

 ・規制改革の意義に挙げられている「環境変化への適合」については、環境変化が景気変動のような一過性のものではなく、経済の成熟化や国際化、人口の高齢化等の不可逆的なものであることを強調する必要があるのではないか。

 ・政策効果で支えているうちに規制改革を行うべき緊急性を強調する必要があるのではないか。

 ・多様な価値観が生まれているにもかかわらず、それが画一的な規制・制度と矛盾していることに問題があることを指摘すべきではないか。

 ・規制改革のコストの認識として、行政機関のコスト、社会全体のトータルコストのほかに、規制なき場合に得られたかもしれない多様な選択肢が失われるという機会コストを指摘する必要があるのではないか。

 ・規制緩和による影の部分に対するセーフティネットの議論は重要だが、その前に光の部分を論ずるべきではないか。雇用創出や消費の多様性等の規制改革のメリットを強調すべきであり、影の部分はあくまでも過渡的な問題である。

 ・諸外国と比較して、日本の規制改革がどこまで進んできているのか、現在何が問われているのかを記述すべきではないか。

 ・ストレートにポイントを伝えるためにも短くした方がよいのではないか。その方がインパクトがあり、理解してもらいやすい。

 ・日本の国際社会における立場についての記述が必要ではないか。WTOシアトルラウンドで日本が指導的役割を果たそうとするなら、規制制度についても国際的な模範となるべきである。キャッチアップの時代は終わりであり、国際的に共通なルールを導入すべきである。

 ・規制改革を進める上で地球環境の問題は重要な視点ではないか。次世代に負担を強いないという観点を含めるべきであり、その中で「公」の在り方についても記述すべきではないか。

 ・規制改革は、競争を通じて経済が活性化し、成長すれば全体としての雇用は増えるというものではないか。規制緩和で雇用が喪失されるというのは一過性であるし、それにはセーフティネット等で対応している。

 ・委員会としては、胸を張って規制改革を進める、自信を持って取り組むという姿勢を明らかにすべきである。そうでないと、日本には規制改革を進めるところがなくなってしまう。

 ・財政が深刻になっていることや、規制や官業が影を落としていることを強調すべきではないか。

 ・総論の中に、各論の中の重要なエッセンスを具体例として例示する方法を採るのも一案である。

 ・今年の総論だけを読む人のために、これまでの取組の成果について記述することにより、現在の位置づけも明らかにできるのではないか。

 ・例えば、医療福祉分野では官の過剰な責任論が非常に強い。分野としての前文が必要と考えている。また、医療分野に限らず、政治力の強い部分を避けて通りたいという気持ちが関係省庁や事務局にもあるようだが、それを避けてはいけない。

 ・官の役割という面では、これまで小さな政府としか言っておらず、具体的に議論する必要のある命題である。

(2)(社)関西経済連合会(関経連)富士原専務理事・事務局長から、関経連が取りまとめた規制緩和要望等について説明の後、意見交換が行われた。その主な内容は以下のとおり。

(説明の概要)

 ・経済社会環境の変化に対応するための法的な整備が十分でない。雇用、医療福祉、教育、司法等の分野で早急に改革を実施すべきである。

 ・生産者資本主義から消費者資本主義へのトレンドの変化を踏まえ、関経連では、関西経済再生のためのビジョンとアクションプランを策定しようとしている。ビジョンとして、1)強い産業をつくる、2)面白い社会をつくる、3)住み良い地域をつくる、の3つを掲げ、重点的に11のアクションプランに取り組もうというものである。アクションプラン自体は民間が主体的に取り組むものだが、そのためには教育、労働、情報通信等における規制緩和・撤廃が必要と考えている。

 ・具体的な規制緩和要望は法人会員のアンケートの結果を取りまとめたものである。規制的に働いていると思われる税制や補助金の改革についても取りまとめた。特に、1)工場等制限法の緩和(本年3月に一部地域において緩和されたが、都市の空洞化の現状を踏まえると更なる大幅な緩和が必要)、2)産業競争力強化を促すための規制の見直し・国際整合化(純粋持ち株会社や企業結合に加えて、会社分割制度の早期施行、ストックオプション利用環境の整備等)、3)大学や企業の知的資源活用のための大学に係る規制緩和・労働法制の抜本的見直し、4)行政の効率化・透明化を図るための申請・届出手続の電子化並びにワンストップサービス化の実現、を要望している。

 ・電子商取引に関するルールづくりも重要。技術の進歩に法整備が追い付いていない。電子署名、電子認証の信頼性を高めるためにルールづくりを急いでいただきたい。

 ・ベンチャーの育成も大きなテーマで、税制措置が有効と考えている。ベンチャー優遇税制、エンジェル税制の拡充を要望したい。

(意見交換)(○は質問・意見、→はそれに対する回答。)

○都市の活性化の具体的なイメージを知りたい。
→例えば、大学の出先を都心に集積させて、生涯教育を含めて、職住遊修に魅力のある都市を実現するというもの。

○関西国際空港を核とした物流ネットワークの高度化とあるが、関西国際空港の着陸料の高さについて、どう考えているか。
→空港会社に対しては意見を申し上げているが、一企業の問題でありなかなか難しい。

○再販制度で書籍だけが書かれているが、何か意味があるか。
→たまたま、会員の要望がそうだったということ。

○一般医薬品の販売の規制緩和に取り組んでいるが、関経連としてどういう意見を持っているか。消費者の立場から強い要望はないか。
→会員企業アンケートからは出てきていない。消費者重視の考えは持っているが、これと規制との関係はこれからアクションプランを進めていく中で要望を集約していきたい。

○土地利用・建築物における「近隣同意書」とは何か。
→自治体の行政指導で、業者に近隣住民の同意書を持って来させられるということ。

○行政手続法は官民の対等な関係構築に大切なものであり、ほとんどの自治体で条例化されているので、関経連からも会員に指導して頂きたい。

○医療費は西高東低と言われ、特に関西は不健康で寿命が短いというデータもあるが、何か要望は出ていないか。
→特に出ていない。

(3)在日米国大使館フォーリー大使から、規制緩和要望等について説明の後、意見交換が行われた。その主な内容は以下のとおり。

(米国の今年度の要望)

 「規制緩和及び競争政策に関する日米強化イニシアティヴ」の下での協議は3年目に入ろうとしている。一連の専門家会議が過去2、3週間にわたって行われたが、継続的な努力が大きな変化をもたらすと考えている。今年度は、10月6日に河野外務大臣に対し、具体的な規制改革に関する本年度の要望書を提出した。幾つかの事項を紹介させていただきたい。

 電気通信分野:電気通信ビッグバンの採用、NTTとの相互接続料率の大幅な引下げを求めている。

 医療機器・医薬品分野:医薬品の承認過程や医療品の償還過程の迅速化、外国の臨床データの更なる受入れを求めている。

 エネルギー分野:独占から競争への転換の成功裏の進行が重要である。

 住宅分野:借地借家法、建築基準法、住宅金融政策の改正、さらに非木材建設資材に対する障害の改善措置を求めている。

 金融分野:透明な規制制度や監督制度の確保、保険分野における金融監督庁の監督スタッフの増員、保険商品の許可手続の迅速化を求めている。

 流通分野:通関手続の近代化・迅速化、大店立地法が濫用されないことの確保を求めている。

 法務サービス分野:日本弁護士と外国弁護士の自由な提携を求めている。

 競争政策分野:省庁再編に当たっての公正取引委員会の独立性の確保、公正取引委員会の刑事捜査権限の強化、私訴制度の導入を求めている。

 透明性その他の政府慣行の分野:大きな経済的影響をもたらす規制制度の変更の提案に対する「規制効果分析」の義務付け、許可手続の改善・迅速化を求めている。

(意見交換)(○は質問・意見、→はそれに対する回答。)

○透明性、規制効果分析に関する米国の経験を教えていただきたい。
→1970年代の運輸分野、80年代の電気通信分野での経験は、議会主導、裁判所主導という違いはあるが、透明なプロセスで行われた。すなわち、公聴会が行われ、意見提出が奨励され、出された意見は無視せず考慮することが求められる。個人のプライバシーや国の安全保障に関するもの以外は公開の場で議論される。  規制効果分析については、例えば安全性担保のための規制を提案する場合、それに伴うコストと効果の比較を算出することが求められる。具体的な適用例の資料を提出したい。

○規制効果分析の義務付けについて既に議論したのか。したのであればその時の日本側の対応はどういうものだったか。
→2週間前にワーキンググループで議論したと聞いている。その状況は後ほどお知らせしたい。

○規制効果分析の義務付けは新しい規制の導入のときだと思うが、日本で既に多くの規制が存在している。それを1つ1つ分析しなければならなくなると大変だが、何かアドバイスはないか。
→全ての規制で規制効果分析をするのは健全なプロセスだが、大きな負担になるのであれば、主要なものの定義を決めてそれについては行うというようにするとか、規制改革をする際に現行の規制についてレビューするという方法があるのではないか。

○米国では議会主導で規制緩和が行われたと聞いたが、最終的にそれを受け入れるかどうかについて政府の裁量はあるのか。
→議会は法律をつくる権限があり、そこで決めれば政府に裁量権はない。また、政府に対してレコメンデーションを出すとか、その規制の必要性について説明を要求することもある。
 米国の規制緩和の動きは多く議会から出てきている。官僚等の抵抗はあるが、規制緩和は新しい成長、雇用創出のエンジンである。社会の不安定化や失業増加といった影の部分も言われるが、効果の方がそれをはるかに上回る。この5年間で情報通信分野で80万人の雇用が創出された。情報技術という面で見れば何百万である。1998年だけでも120万人の雇用が創出された。

○先程挙げられた項目は優先順ではないと言われたが、現在の日本を見て、どこにプライオリティを置くべきと考えるか。
→それはなかなか難しい。例えば、情報通信でいうと、NTTの接続料率に関して今提案されている長期増分費用方式ではまだ不十分で、大きな問題である。国際電話はこの半年で50%も安くなったが、接続料はまだ欧米の数倍高いため、競争促進・新規参入が妨げられている。

(以上)
(文責 規制改革委員会事務室)