規制改革委員会
−速報のため事後修正の可能性あり−

第20回規制改革委員会議事概要


 
1 日 時:平成12年2月8日(火)午後2時〜5時
 
2 場 所:中央合同庁舎第4号館共用第1特別会議室
 
3 出席者
(委員会)宮内義彦委員長、鈴木良男委員長代理、川口順子、田中一昭、西村清彦、野口敞也、牧野昭次郎、アンソニー・ミリントン、八代尚宏の各委員、河北博文参与
((社)経済団体連合会)大賀副会長・行政改革推進委員会委員長、立花常務理事
(EU代表部)ユールヨーゲンセン大使、プルヒ参事官、ポーラン参事官、マシュウ一等書記官
(米国)グリーンウッド経済担当公使、ホーナン経済参事官、ブリスコ経済担当書記官
(日本労働組合総連合会)村上政策グループ長、成川総合政策局長
(事務局)齋藤内閣審議官、瀧上行政管理局長、坂野審議官、田部規制改革委員会事務室長、高野主任調査員、熊埜御堂主任調査員
 
4 議事次第
(1)(社)経済団体連合会ヒアリング
(2)EU代表部ヒアリング
(3)米国ヒアリング
(4)日本労働組合総連合会ヒアリング

5 議事概要

(1)(社)経済団体連合会(経団連)大賀副会長・行政改革推進委員会委員長から、経団連が取りまとめた規制改革に関する重点要望の提言(総論)及び分野別重点事項につき説明があった。続いて立花常務理事から補足説明があった後、意見交換が行われた。主な内容は以下のとおり。

<説明の概要>

(大賀副会長・行政改革推進委員会委員長)

(立花常務理事)

(意見交換)(○:規制改革委員会、→:経団連)

○医療分野に関し、レセプト審査の電子化を進める必要がある。病院は電子化できる体制だが、病院側からすると電子化された情報を提供するメリットがないため、支払基金には電子化情報を送っていない。全体の体制を整えるには、法律を作るか、保険者が電子化情報提供者にメリットを与えるようにしないと進まない状況にあり、規制改革の観点からのみでは手詰まりな状況である。
→システム自体が医師側と保険者の立場が対等ではなく、制度そのものが供給者サイドに傾斜した運用がなされている。医療費を支払う側の立場から見ると、なぜ病院側と基金との間が電子化されていて、基金サイドから保険者への情報が電子化されていないのか、非常にアンバランスではないか。

○支払基金の在り方そのものも今のままでいいかどうかも検討しなければいけない。ただ、委員会だけでなく、経団連を始め支払側、患者側でも声を大きくする必要がある。

○共同住宅の建て替えにおける都市開発手続の採用は、現行の法律の解釈という形ではなかなかうまくいかない。法改正を前提として経団連としても努力してほしい。
→具体的に努力していくが、規制改革委員会でも検討の一つに取り上げてほしい。

○電気通信事業者の一種、二種の事業区分の問題については、かねて要望が寄せられているが、何が困っているのかよく分らないで今日まで来ている。何が問題か要望元の外国政府に質問したこともあるが明確な回答はなかった。日本の法制では、基幹通信設備の保有で分けている。設備保有には回線を引く際に土地を収用したり、道路を占用したりするので、何らかの区分けは必要だろう。二種のように許可制でなく登録制にした場合、例えば道路を掘り返すのを自由にしてもよいのか。それ以外に何か一種、二種の区分で困ることはあるのか。
→経団連でも海外の実態調査や法制度を民間の立場で勉強している。アメリカ、ヨーロッパでは、設備を持つ持たないで分けてはいない。アメリカの場合、電話サービスを提供する、しないで分けている。それに対して土地収用等の公益使用特権を与えている。市内網における競争条件の整備をしようとする時に、一種でなければ線を持ちたくても持てないということであっては、事業を展開する場合、最初線路を持たずに借りて始める場合もあるのに対応できない。一種として参入してもトラフィックが少ない場合はリセールで借りてやるという選択肢も考えられる。

○それは分かるが、線を持たずに借りて電話サービスをやっていて、利用が増えたところは自分で線を持つという時にも、二種のままでもやらせてほしいということか。
→そこまでは十分承知していない。基本的な考え方の流れとしては、設備を持つ持たないではなく、電話サービスを提供する、しないということで分けるという考え方がある。

○自賠責の政府再保険の廃止については、経団連と運輸省の間ですれ違いがあったように感じるが、どのようないきさつか。
→再保険の廃止ということでは、業界の意見は一致している。その後の方法についてはいろいろ意見がある。運輸省からの話し合いの申し入れについては、自賠責審議会、規制改革委員会で議論している最中に、運輸省と経団連であらかじめ落とし所を探るというアプローチは妥当なのかどうか、という観点からお断わりしたものである。

○規制改革委員会としては、この問題については、国としてのあるべき姿の視点としてとらえ、国がやるべきか、民間がやるべきかどうかという観点から民間でやるべきと判断して見解を取りまとめた。ただ、感想としては、当該業界は長年規制に守られてきたこともあり、競争条件に関する意識が甘いと感じた。したがって、見解でも、再保険廃止に対して結論を得るというだけでなく、競争条件を促進するよう書いたところである。

○引き続き経団連には当委員会の活動への御協力をお願いしたい。御意見については、できるだけ早い時期にお聞かせいただきたい。

(2)EU代表部ヒアリング

 EU代表部ユールヨーゲンセン大使から、EUの規制緩和要望等について説明があり、その後、意見交換が行われた。その主な内容は以下のとおり。

(EU代表部ユールヨーゲンセン大使)

(意見交換)(○:規制改革委員会、→:EU代表部)

○前回のヒアリングで、新薬の承認検査について、EUで承認されている薬の80%は日本で承認されてないという発言があり、これについての詳細な資料を依頼したが、まだ頂いていない。どうなったのか。委員会としては、審議に必要な資料だと認識している。
→前回の時点では根拠となる数字を業界から入手できるかどうかが明確ではなかった。改めて調査したい。なお、この問題については、厚生省の担当官が多少増員されたことによって、ある程度改善が見られたと聞いている。ただ、更なる改善の余地があるのは、先程も述べたように、12か月を超えた期間を要することになるのはどのような場合なのか、ルールを明確にしてほしいという点である。

○競争政策について、公正取引委員会に力がないという発言があったが、これについてもう少し具体的に説明してほしい。
→個別具体的に説明することは難しいが、若干示唆したのは情報通信の例である。すなわち、反競争的な慣行がはびこっていないかどうか評価を行う必要性がある。これを一つの例とお考えいただきたい。もう少し相対的に言えば、日本がなぜ高コスト構造の国になっているのかを考える必要がある。港湾の使用料、空港の使用料だけでなく、電気通信、建築費用など日本ほど高い国はない。この原因は、公正で自由でオープンな競争が確保されていないことによる部分が大きいのではないか。きつい言葉で述べたが、最も重要なことは、実行力を持ってルールが適用されることである。

○つまり、EUは公取のパフォーマンスに失望しているということか。
→EUが市場統合を成功させた経験から確信しているのは、「厳格な競争ルール」を厳しく適用していくことが必須だということである。そのためには政治の強い決意が必要だろう。こうした競争ルールによって便益が生まれてくるのだということを特に強調したい。

○引き続きEUには当委員会の活動への御協力をお願いしたい。御意見については、できるだけ早い時期にお聞かせいただきたい。

(3)米国ヒアリング

 米国大使館グリーンウッド経済担当公使から、米国の規制緩和要望等について説明があり、その後、意見交換が行われた。その主な内容は以下のとおり。

(米国グリーンウッド経済担当公使)

(質疑応答)(○:規制改革委員会、→:米国)

○民事的救済措置、いわゆる私訴について、対象が不当廉売だけに限られるという旨の説明は初めて聞く話である。日米規制緩和協議でそういう話になったのか。
→先週の日米間の事務レベルの規制緩和対話で話が出た際には、主として不当廉売が対象となる可能性があるということだった。ほかに、不公正取引なども対象となる可能性はある。米国としては、民間カルテルや独占の問題を含まないのでは困る旨の発言をしたが、日本政府からは検討中ということで、確たる返事はなかった。

○不当廉売規制が恣意的に使われることに対しては警鐘を鳴らすべきであり、今の話が本当であれば、再度当委員会としてもワーキンググループで審議する必要があるのではないか。

○外国法事務弁護士についてだが、日米規制緩和協議の場では、特定共同事業や外国人弁護士の雇用がダメだということになったのか、それとも具体的にこういうパートナーシップを導入したいという提案が否定をされたのか、どちらなのか。
→両方とも否定された。すなわち一般論として日本の法律制度ではパートナーシップという考え方はない。また、特定共同事業についての具体的な提案については、日弁連から文句があってスムーズに動かないという状況だった。雇用の問題についても委員会の見解では禁止の撤廃を検討すべしということなので聞いてみたら、検討するつもりはないということだった。ただし、これは出席者の都合により、法務省からではなく外務省からのコメントだったが。

○法務省の説明によれば、パートナーシップについては、日本人間の日本法に基づく法行為(裁判等)については対象としないが、それ以外のパターンはすべて認められるということだった。米国の御主張は、前者のケースに限定されたものと理解してよいか。
→要するに一つの事務所で完全なサービスを提供したいということだ。すなわち、M&A(企業合併・吸収等)などを考えても、様々なパターンのサービスが必要になってくる。その際に一部の行為についてはサービスが提供できないというのでは不自由である。

○もう少し具体的に言ってもらわないと分からない。例えば、A社(外国)、B社(日本)、C社(日本)が業務提携をしようとした場合に、3社であれば一つ外国の会社が入っているからOKだが、仮に何らかの事柄をB社とC社の間でのみ契約しようとした場合には扱えなくなるという趣旨か。それなら理解できるが。
→そういう細かい話は何度となく検討してきた。その際の検討資料を後ほどお届けしたい。いずれにしてもローファーム(米国の法律事務所)は客を探している。その時にこの取引はOKだがこれはダメだとか、あるいは日弁連がうるさいとか言っていられない。例えば、分社化したい会社があったとして、ローファームを探すわけだが、その時点では誰に売るかは決まっていない。そういう相談サービスを提供するにしても今の制度では難しい。コストが高いことの大きな理由の一つはそういう現行制度によると考えている。

○先程、うるさい(「ニューサンス」)という表現を使われたが、それは妨害(「オブストラクション」)と同義と理解してよいか。
→ニューサンスという表現ではむしろ甘過ぎるかもしれない。それによって効率性が落ちてしまっているという問題が発生している。

○引き続き米国には当委員会の活動への御協力をお願いしたい。御意見については、できるだけ早い時期にお聞かせいただきたい。

(4)連合ヒアリング

 連合成川総合政策局長から、連合の規制緩和要望等について説明があり、その後、意見交換が行われた。その主な内容は以下のとおり。

(成川総合政策局長)

(質疑応答)(○:規制改革委員会、→:連合)

○派遣労働については、常用代替の防止という従来の連合の考え方は変わったのか。紹介予定派遣について、労働者の同意が得られること、個人情報の保護を確保する体制の整備が前提というが、何をもって整備されたと見るのか、またそれを誰が判断するのか。派遣労働の見直しについても、この2点が確保されれば認めるということか。
→常用代替については、途中解雇など派遣者にとって不安定な条件は改善されておらず、このような不安定な身分の者に容易に切り替わるのは認められないという考え方である。派遣者が契約に守られるという条件が整備されるということが重要と考えるが、まだ整っていないという認識である。

○銀行等が販売できる保険商品の拡大について、「銀行による影響力を行使した販売による弊害発生のおそれ」を理由に反対しているが、現在は既に間接金融万能の時代ではないので、認識を変える必要があるのではないか。現在投資信託が伸びている一つの理由は、銀行販売によって消費者に便利になったということがあると思うが、保険についても同様に考えられるのではないか。消費者利便をどう考えるか。既に全労災の商品は銀行で扱っているのではないか。
→消費者利便は重要であるが、金融システムの安定化が何よりも重要であると考えている。これが担保されれば、新たな在り方を考えていくということである。全労災は銀行窓口にパンフレットは置いてあるが、加入については全労災に問い合わせる必要があり、銀行員が勧誘したりはしていない。また、投信が伸びているのは、低金利が続いているので何とかしたい、銀行で売っている投信なら安心と思っているからではないか。情報開示、市場透明化については改善の余地があり、社会問題化しないよう、貴委員会でも検証してもらいたい。

○金融システムの安定と言うが、銀行で保険商品を売ることがどうして安定を阻害するのか理解できない。
→銀行で生保商品を売るとなると、現在の生保会社の状態ではその経営体質に問題を生ずるおそれがあると考える。

○自賠責については、政府再保険を廃止すれば運用益がなくなるが、必要な事業は一般会計で担保するという考えか。
→運用益で行っている事業を再検討し、政府としてやるべきことは、一般会計等で財源を確保すべきである。

○タクシーの規制緩和に関する運輸省案についての考えはどうか。
→タクシー業においては、基本的に労働条件が高いとは言えない状況であり、需給調整廃止、運賃競争を率直におそれている。ただ、労働条件の確保を規制にリンクさせて考えるのではなく、なぜそうなのかを考えているところ。傘下の組合からは、規制緩和の中で労働条件の悪化、収入の低下が起こっていることを認識すべきと言われている。

○引き続き当委員会の活動への御協力をお願いしたい。もし御意見があれば、できるだけ早い時期にお聞かせいただきたい。

(以上)
(文責 規制改革委員会事務室)