規制改革委員会
−速報のため事後修正の可能性あり−
第20回規制改革委員会議事概要
- 1 日 時:平成12年2月8日(火)午後2時〜5時
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- 2 場 所:中央合同庁舎第4号館共用第1特別会議室
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- 3 出席者
- (委員会)宮内義彦委員長、鈴木良男委員長代理、川口順子、田中一昭、西村清彦、野口敞也、牧野昭次郎、アンソニー・ミリントン、八代尚宏の各委員、河北博文参与
((社)経済団体連合会)大賀副会長・行政改革推進委員会委員長、立花常務理事
(EU代表部)ユールヨーゲンセン大使、プルヒ参事官、ポーラン参事官、マシュウ一等書記官
(米国)グリーンウッド経済担当公使、ホーナン経済参事官、ブリスコ経済担当書記官
(日本労働組合総連合会)村上政策グループ長、成川総合政策局長
(事務局)齋藤内閣審議官、瀧上行政管理局長、坂野審議官、田部規制改革委員会事務室長、高野主任調査員、熊埜御堂主任調査員
- 4 議事次第
- (1)(社)経済団体連合会ヒアリング
(2)EU代表部ヒアリング
(3)米国ヒアリング
(4)日本労働組合総連合会ヒアリング
5 議事概要
(1)(社)経済団体連合会(経団連)大賀副会長・行政改革推進委員会委員長から、経団連が取りまとめた規制改革に関する重点要望の提言(総論)及び分野別重点事項につき説明があった。続いて立花常務理事から補足説明があった後、意見交換が行われた。主な内容は以下のとおり。
<説明の概要>
(大賀副会長・行政改革推進委員会委員長)
- 一部には規制改革に逆風の動きも見られる中、規制改革委員会の日々の努力に感謝している。
- 1月18日の各省庁の中間公表について、各省庁における経団連要望の実現状況を取りまとめたが、実際の実現状況は数字の表面よりもっと少ないのではないかと思われる。また、そもそも回答のないものも、特に税に関するものを中心に、34項目に上っている。
- 自賠責の再保険廃止についての運輸省の中間公表は、経団連が運輸省からの意見交換申し入れを断ったから検討が進まないとの内容であるが、これは自賠責審議会や規制改革委員会で検討を行うべきものであると考え、断ったものである。
- 総論のポイントは以下のとおり。@規制改革は持続可能な経済成長を実現する。A再改定において再要望事項を全面的に盛り込むことを望む。B政府の方針どおり、税・補助金も対象にすべきである。C規制改革推進体制の強化に向け、総理のリーダーシップを期待する。
- 分野別は15分野39項目。その中で特に重要と考えるのは、一つは、経済活動の電子化が進んでいるにもかかわらず、規制がそれを想定していないものである。その観点から、電気通信事業法による事業区分の見直しと競争ルールの整備、旅行取引に関する取引条件書や約款等の電子的手段による交付の実現、社会保険診療報酬支払基金から保険者に対して送付するレセプトのデジタル化について積極的に取り上げてほしい。
- 二つ目は、税・補助金に関する規制改革である。連結納税制度はもとより年金分野や土地住宅分野でのSPC(特別目的会社)に関するものも積極的に検討してほしい。
- 規制改革には政治の見識とリーダーシップ、それを後押しするマスコミの世論の喚起が必要である。経団連としては、規制緩和が緩められることがないよう昨年12月に国際シンポジウムを開いた。
(立花常務理事)
- 重点要望のうち具体的な要望をいくつか補足的に説明する。中間公表の中で措置済、措置予定、検討中となっているものでも、措置困難に近いものがたくさんあった。厚生年金基金の代行部分返上及び厚生年金基金から税制適格年金への移行の選択を認めてほしいという要望に対する厚生省の回答では、いつまでにどのように検討しているのか分らず、積極的とは思えない。
- 確定給付型企業年金におけるハイブリッドプランの導入、過去勤務債務の償却方法の弾力化については、厚生省から回答があったが、大蔵省からは回答がなかった。税に関することという理由かと思われるが、せめて規制とのかかわりについては説明がほしい。規制改革委員会でも是非取り上げてほしい。
- 医療・福祉分野については、レセプトの一次審査の問題についても、健康保険法法の本来の趣旨に沿った運用をお願いしたい。営利法人による施設介護サービスの経営についても、重ねて要望したい。
- 法務分野については、外国人株主の増加等を踏まえ、現実的な観点から株主総会制度の見直し等をお願いしたい。
- 旅行取引の約款等の電子化については、中間公表では旅行以外の他分野と併せて検討すべきと言っているが、こうした意識のままで果たして規制改革が進むのか疑問である。
- 自賠責の政府再保険廃止については、重ねてお願いしたい。問題の本質は、官は民でできないところをカバーするということであるが、問題が被害者救済強化ということにすりかえられている気がする。我々は再保検することの是非について問うているのであって、自賠責自体の廃止を求めているわけではない。官と民の役割分担の観点から適切かどうか判断して御尽力いただきたい。
(意見交換)(○:規制改革委員会、→:経団連)
○医療分野に関し、レセプト審査の電子化を進める必要がある。病院は電子化できる体制だが、病院側からすると電子化された情報を提供するメリットがないため、支払基金には電子化情報を送っていない。全体の体制を整えるには、法律を作るか、保険者が電子化情報提供者にメリットを与えるようにしないと進まない状況にあり、規制改革の観点からのみでは手詰まりな状況である。
→システム自体が医師側と保険者の立場が対等ではなく、制度そのものが供給者サイドに傾斜した運用がなされている。医療費を支払う側の立場から見ると、なぜ病院側と基金との間が電子化されていて、基金サイドから保険者への情報が電子化されていないのか、非常にアンバランスではないか。
○支払基金の在り方そのものも今のままでいいかどうかも検討しなければいけない。ただ、委員会だけでなく、経団連を始め支払側、患者側でも声を大きくする必要がある。
○共同住宅の建て替えにおける都市開発手続の採用は、現行の法律の解釈という形ではなかなかうまくいかない。法改正を前提として経団連としても努力してほしい。
→具体的に努力していくが、規制改革委員会でも検討の一つに取り上げてほしい。
○電気通信事業者の一種、二種の事業区分の問題については、かねて要望が寄せられているが、何が困っているのかよく分らないで今日まで来ている。何が問題か要望元の外国政府に質問したこともあるが明確な回答はなかった。日本の法制では、基幹通信設備の保有で分けている。設備保有には回線を引く際に土地を収用したり、道路を占用したりするので、何らかの区分けは必要だろう。二種のように許可制でなく登録制にした場合、例えば道路を掘り返すのを自由にしてもよいのか。それ以外に何か一種、二種の区分で困ることはあるのか。
→経団連でも海外の実態調査や法制度を民間の立場で勉強している。アメリカ、ヨーロッパでは、設備を持つ持たないで分けてはいない。アメリカの場合、電話サービスを提供する、しないで分けている。それに対して土地収用等の公益使用特権を与えている。市内網における競争条件の整備をしようとする時に、一種でなければ線を持ちたくても持てないということであっては、事業を展開する場合、最初線路を持たずに借りて始める場合もあるのに対応できない。一種として参入してもトラフィックが少ない場合はリセールで借りてやるという選択肢も考えられる。
○それは分かるが、線を持たずに借りて電話サービスをやっていて、利用が増えたところは自分で線を持つという時にも、二種のままでもやらせてほしいということか。
→そこまでは十分承知していない。基本的な考え方の流れとしては、設備を持つ持たないではなく、電話サービスを提供する、しないということで分けるという考え方がある。
○自賠責の政府再保険の廃止については、経団連と運輸省の間ですれ違いがあったように感じるが、どのようないきさつか。
→再保険の廃止ということでは、業界の意見は一致している。その後の方法についてはいろいろ意見がある。運輸省からの話し合いの申し入れについては、自賠責審議会、規制改革委員会で議論している最中に、運輸省と経団連であらかじめ落とし所を探るというアプローチは妥当なのかどうか、という観点からお断わりしたものである。
○規制改革委員会としては、この問題については、国としてのあるべき姿の視点としてとらえ、国がやるべきか、民間がやるべきかどうかという観点から民間でやるべきと判断して見解を取りまとめた。ただ、感想としては、当該業界は長年規制に守られてきたこともあり、競争条件に関する意識が甘いと感じた。したがって、見解でも、再保険廃止に対して結論を得るというだけでなく、競争条件を促進するよう書いたところである。
○引き続き経団連には当委員会の活動への御協力をお願いしたい。御意見については、できるだけ早い時期にお聞かせいただきたい。
(2)EU代表部ヒアリング
EU代表部ユールヨーゲンセン大使から、EUの規制緩和要望等について説明があり、その後、意見交換が行われた。その主な内容は以下のとおり。
(EU代表部ユールヨーゲンセン大使)
- 昨年末貴委員会が取りまとめられた「規制改革についての第2次見解」は、かつてないほど包括的であり、我々としても意を強くしている。昨今の日本の経済状況が明るくないことを考えれば、規制緩和の重要性は一層高まっている。
- 特に規制改革委員会の見解を尊重するという総理の表明を歓迎しているが、政治的混乱の中で必要な規制緩和措置が埋もれてしまうことのないようにするためにも、今後の委員会の活動が重要だと考える。
- さる1月18日に各省庁が公表した中間報告については、全体としては大きく前進しており、また国際的基準の導入も進んでいることを評価したい。規制緩和のプロセスが成熟してくることに伴って、今後は横断的なアプローチを拡大することが必要だろう。
- 前回のヒアリングの際に、投資と競争政策について関心を示したが、投資について一つ申し上げると、規制緩和と外国からの対日投資とは、非常に強い結びつきがあるという点を御理解いただきたい。
- 個別分野については状況がまちまちだ。全体として前進はしているが、改革の手が及んでいない分野もある。
- 競争政策分野については希望をはるかに下回っている。公取に制裁権限と罰則権限を装備させることで抑止効果を持たせることが重要だ。競争のための平坦な土壌を造る上で、公取がもっと役割を果たすべきだ。
- 保険分野については、ファイルアンドユーズ(即時発効の届出制)が企業向け保険には導入されているが、個人向け商品についてはまだ導入されていない。十分な消費者保護がなされないことがその理由とされているが、EUとしては共鳴できない。消費者保護は事後監督で十分達成可能であると考える。
- 医薬品分野についての主たる懸念は、承認プロセスの途中で何らかの理由でストップされ、結果として12か月以上を要することがあるのではないかということである。
- 航空分野については、成田空港のスロットの割当てについて、ユーズイットオアルーズイットの国際基準の導入で未使用のスロットが出てきた。使えるスロット数の割当ては、毎時の離着陸数をベースにした厳格な基準が求められると考える。国内線の混雑空港のスロット配分についての貴委員会の見解中の指摘は、成田空港のケースにも適用できると考えている。
- 外国法事務弁護士については、雇用の問題などを含め、規制改革委員会の見解を支持する。しかし、単なる微調整に終ってしまっては不十分だ。将来的には、全ての雇用制限を撤廃するという方向での法務省のレビューを希望する。
- 漁船用エンジンについては、外国メーカーが日本市場において平等になるための解決策が見つけられていない。
- 以上述べたものについては、すべて一定の進捗が見られたものであるが、この他に動きのない分野が残っているので、以下に述べたい。
- 電気通信分野については、高い接続料が新規参入しようとする者にとって不利に働いているのではないか。競争の欠如は、質の低下とともに価格の上昇を招く。日本からの極めて小さな幅の値下げ提案はあるが、それを実施したとしても依然としてEUの3倍の料金である。EUとしては、NTTが高い接続料によって国際電話料金を支えているのではないかということを憂慮している。長期増分費用方式については、このままでは、日本における競争は結局何も変わらないのではないかと懸念している。規制改革委員会は、この分野において競争を実質的に制限しているNTTを追及することが必要だ。この問題は、物言わぬ国民の利益が阻害されている典型的な例である。
- 農産物分野については、EUとしては9つの生物を非検疫リストに加えられることを希望している。細かい話と思われるかもしれないが、これらの生物は既にに日本にも存在するものであり、EU諸国から入れる場合に、それらが拒絶若しくは燻蒸処理されるというのは明らかに不公平である。
- 規制緩和の実行、実施について述べたい。単に法律や規則を変えるだけでなく、現実に適用される人々が実際に便益を感じることが重要だ。規制緩和推進3か年計画の再改定の後の規制改革の進め方については、短期的にいえば、3か年計画が100%実行されるようにするための規制改革委員会の活動が肝要だと考える。EUにおける市場統合の経験からいえば、大きな問題をビッグバンスタイルでやるだけでは問題は解決しない。多年にわたるローリング方式が重要である。例えば、インターネットの問題について言えば、一般民衆からの苦情を聞くことも問題点の所在を探るためには必要なことだろう。新たなシステムで改革を進めることになるとしても規制改革委員会の存在は重要であり、2000年4月以降もこのような構造を維持し、これまで培った専門知識、経験が継承されることを望む。
- 最後になったが、是非委員の方々にブリュッセルにお越しいただき、EUの経験を学んでいただきたいと考えている。
(意見交換)(○:規制改革委員会、→:EU代表部)
○前回のヒアリングで、新薬の承認検査について、EUで承認されている薬の80%は日本で承認されてないという発言があり、これについての詳細な資料を依頼したが、まだ頂いていない。どうなったのか。委員会としては、審議に必要な資料だと認識している。
→前回の時点では根拠となる数字を業界から入手できるかどうかが明確ではなかった。改めて調査したい。なお、この問題については、厚生省の担当官が多少増員されたことによって、ある程度改善が見られたと聞いている。ただ、更なる改善の余地があるのは、先程も述べたように、12か月を超えた期間を要することになるのはどのような場合なのか、ルールを明確にしてほしいという点である。
○競争政策について、公正取引委員会に力がないという発言があったが、これについてもう少し具体的に説明してほしい。
→個別具体的に説明することは難しいが、若干示唆したのは情報通信の例である。すなわち、反競争的な慣行がはびこっていないかどうか評価を行う必要性がある。これを一つの例とお考えいただきたい。もう少し相対的に言えば、日本がなぜ高コスト構造の国になっているのかを考える必要がある。港湾の使用料、空港の使用料だけでなく、電気通信、建築費用など日本ほど高い国はない。この原因は、公正で自由でオープンな競争が確保されていないことによる部分が大きいのではないか。きつい言葉で述べたが、最も重要なことは、実行力を持ってルールが適用されることである。
○つまり、EUは公取のパフォーマンスに失望しているということか。
→EUが市場統合を成功させた経験から確信しているのは、「厳格な競争ルール」を厳しく適用していくことが必須だということである。そのためには政治の強い決意が必要だろう。こうした競争ルールによって便益が生まれてくるのだということを特に強調したい。
○引き続きEUには当委員会の活動への御協力をお願いしたい。御意見については、できるだけ早い時期にお聞かせいただきたい。
(3)米国ヒアリング
米国大使館グリーンウッド経済担当公使から、米国の規制緩和要望等について説明があり、その後、意見交換が行われた。その主な内容は以下のとおり。
(米国グリーンウッド経済担当公使)
- 本日は、去る1月18日に公表された各省庁の中間公表について、米国の要望と比較してのコメントを申し上げたい。
- 米国としては、中でも電気通信分野が最重要であると考えているが、中間公表を読んで全く前進がないことに失望した。電気通信改革は米国にとっても最重要だが、日本のIT産業の成長にとっても極めて重要である。IT産業の成長は、日本全体の経済回復にも不可欠である。接続料については、新たな料金引下げがあれば、競争が促進され、投資も増え、ひいては雇用創出にもつながるものと考えている。しかし日本の提案する引下げ幅は極めて小さく、4年後の料金を見ても、現在の欧米の水準より高い。今後欧米でも4年間の間に更に料金は下がるだろうから、日本との料金格差は更に拡大するだろう。競争がなく、価格も下がらず、イノベーションもないことは極めて残念だ。これからの前進を期待したいが、今の状況ではどうだろうか。また、線路敷設権の問題やドコモの接続料の問題についても前進がない。
- 医療機器分野については、製品の評価期間を短縮したことを評価したい。しかし、価格設定については懸念を持っており、革新的製品に対して障害になるのではないかと考えている。
- 競争政策分野については、自然独占の適用除外を削除するとしていることを評価する。しかし、依然として公務員への罰則がないことや、公取委の調査権限の強化がなされないことには不満である。また、公取委が総務省の一部になったときの独立性はどうなるのかについての回答もなかった。一番の問題は、私訴の導入について対象が不当廉売だけだと聞いていることだが、これは民間独占や取引を阻害する行為なども含めてもっと広げる必要がある。
- 輸入手続については、事前承認制度があると言っても完全には動いていない。製品が税関に入ってから出てくるまでに6時間掛かることもある。これについては、制度を完全なものにしてほしい。なお、大蔵省は関税法の改正を検討しているらしいので、ちょうどいいタイミングだと思う。
- 外国法事務弁護士の問題については失望している。パートナーシップを可能とするようにお願いしているが、否定された。規制改革委員会の見解にも取り上げられている特定共同事業の緩和についても、日本政府からは、やるつもりはないという返事だった。雇用の問題についても同様である。規制改革委員会の見解は政府として最大限に尊重されるはずなのに、どうしてこうなるのか。大臣がやるといったことを、なぜ官僚が無視できるのか理解できない。
- エネルギー分野については、託送の件は、完全ではないが評価できる。現在、約款について勉強しているところであり、本当に新規参入できるかどうか検討している。
- 金融分野については、全体としては進捗しているが、保険分野についてだけは例外である。新しい商品を評価する手続を簡素化していただきたい。
- 運輸分野については、二輪車のスピード制限についての緩和は評価する。しかし、二人乗り規制については、警察庁は規制を変えるつもりはないという説明であり失望した。
- 先週、ワシントンで高級レベルの協議を行ったところであり、3月21、22日にも同様の協議を行う予定になっている。3月末までには大統領及び首相へ共同報告書を手渡しすることになるが、国民に誇れるような良い報告を出したい。しかし、今のところ楽観はできない状況だ。
(質疑応答)(○:規制改革委員会、→:米国)
○民事的救済措置、いわゆる私訴について、対象が不当廉売だけに限られるという旨の説明は初めて聞く話である。日米規制緩和協議でそういう話になったのか。
→先週の日米間の事務レベルの規制緩和対話で話が出た際には、主として不当廉売が対象となる可能性があるということだった。ほかに、不公正取引なども対象となる可能性はある。米国としては、民間カルテルや独占の問題を含まないのでは困る旨の発言をしたが、日本政府からは検討中ということで、確たる返事はなかった。
○不当廉売規制が恣意的に使われることに対しては警鐘を鳴らすべきであり、今の話が本当であれば、再度当委員会としてもワーキンググループで審議する必要があるのではないか。
○外国法事務弁護士についてだが、日米規制緩和協議の場では、特定共同事業や外国人弁護士の雇用がダメだということになったのか、それとも具体的にこういうパートナーシップを導入したいという提案が否定をされたのか、どちらなのか。
→両方とも否定された。すなわち一般論として日本の法律制度ではパートナーシップという考え方はない。また、特定共同事業についての具体的な提案については、日弁連から文句があってスムーズに動かないという状況だった。雇用の問題についても委員会の見解では禁止の撤廃を検討すべしということなので聞いてみたら、検討するつもりはないということだった。ただし、これは出席者の都合により、法務省からではなく外務省からのコメントだったが。
○法務省の説明によれば、パートナーシップについては、日本人間の日本法に基づく法行為(裁判等)については対象としないが、それ以外のパターンはすべて認められるということだった。米国の御主張は、前者のケースに限定されたものと理解してよいか。
→要するに一つの事務所で完全なサービスを提供したいということだ。すなわち、M&A(企業合併・吸収等)などを考えても、様々なパターンのサービスが必要になってくる。その際に一部の行為についてはサービスが提供できないというのでは不自由である。
○もう少し具体的に言ってもらわないと分からない。例えば、A社(外国)、B社(日本)、C社(日本)が業務提携をしようとした場合に、3社であれば一つ外国の会社が入っているからOKだが、仮に何らかの事柄をB社とC社の間でのみ契約しようとした場合には扱えなくなるという趣旨か。それなら理解できるが。
→そういう細かい話は何度となく検討してきた。その際の検討資料を後ほどお届けしたい。いずれにしてもローファーム(米国の法律事務所)は客を探している。その時にこの取引はOKだがこれはダメだとか、あるいは日弁連がうるさいとか言っていられない。例えば、分社化したい会社があったとして、ローファームを探すわけだが、その時点では誰に売るかは決まっていない。そういう相談サービスを提供するにしても今の制度では難しい。コストが高いことの大きな理由の一つはそういう現行制度によると考えている。
○先程、うるさい(「ニューサンス」)という表現を使われたが、それは妨害(「オブストラクション」)と同義と理解してよいか。
→ニューサンスという表現ではむしろ甘過ぎるかもしれない。それによって効率性が落ちてしまっているという問題が発生している。
○引き続き米国には当委員会の活動への御協力をお願いしたい。御意見については、できるだけ早い時期にお聞かせいただきたい。
(4)連合ヒアリング
連合成川総合政策局長から、連合の規制緩和要望等について説明があり、その後、意見交換が行われた。その主な内容は以下のとおり。
(成川総合政策局長)
- 基本的な考えとして、雇用、労働条件、環境保全などの公正なルールや、競争が激化する市場環境の整備のために、検査・監視の透明なルールなどが強化されなければならない。雇用創出への条件整備を進めるとともに、高度情報社会におけるプライバシー保護、契約の安全性の確保、包括的な金融サービス法の制定を急ぐ必要がある。
- 雇用創出・地域社会活性化のための規制改革としては、介護事業や保育サービスへの民間事業者の参入促進、医療における広告・後方及び情報開示の積極的推進、循環型社会経済システムの構築、司法分野での人材の大幅増加、社会サービスの提供基盤の拡大が必要である一方、病床規制は当面継続が必要と考える。また、病床の人員配置基準や構造設備基準の引上げについての結論が必要である。さらに、電気事業の規制緩和の検証が必要である。
- 公正な労働条件の確立のための規制改革としては、労働者派遣事業及び職業紹介における個人情報の保護等の実効性を確保するルールの確立が必要である。労働者派遣事業の見直しについては、労働者の公正な雇用契約と労働基準の確保の観点が重要であり、紹介予定派遣事業については、労働者個人のニーズに基づき、労働者の同意が得られること、及び個人情報の保護を確保する体制を整備することが前提となる。派遣労働の1年間の期間の見直し、専門的業務の範囲拡大については、現時点では反対である。また、整理解雇4原則の緩和は、雇用の不安定化を促すもので認められない。
- セーフティネットの確立のためには、公正取引委員会の独立性の担保、独占禁止法の強化、消費者契約法(仮称)の早期制定、包括的な個人情報保護法の制定、医療福祉、金融機関、学校法人等に係る情報開示の促進が必要であるとともに、包括的な金融サービス法の制定を求める。
- 金融分野について。厚生年金基金の自家運用に係る運用対象資産の拡大については、まず受給権保全措置法を制定することが前提である。銀行等が販売できる保険商品については、子会社等の住宅ローン関連の長期火災保険等に限定し、これら以外の商品への拡大は保険審議会報告(97年6月)の趣旨を尊重すべきである。
- 交通分野について。自賠責の政府再保険については、被害者保護策の確保等に配慮しつつ、廃止の方向で検討すべきである。国内航空の需給調整廃止に関連し、混雑空港の発着枠の制約をなくすため、大都市の拠点空港の整備を重点的に進めるべきである。自動二輪車の高速道路での二人乗りは、安全走行の徹底を図りつつ、認めるべきである。
- 規制改革の進め方に関しては、政策評価システムを活用し、事前評価した上で政策決定し、政策実施についても、フォローアップ評価を行い、問題発生に迅速に対処することが必要である。
(質疑応答)(○:規制改革委員会、→:連合)
○派遣労働については、常用代替の防止という従来の連合の考え方は変わったのか。紹介予定派遣について、労働者の同意が得られること、個人情報の保護を確保する体制の整備が前提というが、何をもって整備されたと見るのか、またそれを誰が判断するのか。派遣労働の見直しについても、この2点が確保されれば認めるということか。
→常用代替については、途中解雇など派遣者にとって不安定な条件は改善されておらず、このような不安定な身分の者に容易に切り替わるのは認められないという考え方である。派遣者が契約に守られるという条件が整備されるということが重要と考えるが、まだ整っていないという認識である。
○銀行等が販売できる保険商品の拡大について、「銀行による影響力を行使した販売による弊害発生のおそれ」を理由に反対しているが、現在は既に間接金融万能の時代ではないので、認識を変える必要があるのではないか。現在投資信託が伸びている一つの理由は、銀行販売によって消費者に便利になったということがあると思うが、保険についても同様に考えられるのではないか。消費者利便をどう考えるか。既に全労災の商品は銀行で扱っているのではないか。
→消費者利便は重要であるが、金融システムの安定化が何よりも重要であると考えている。これが担保されれば、新たな在り方を考えていくということである。全労災は銀行窓口にパンフレットは置いてあるが、加入については全労災に問い合わせる必要があり、銀行員が勧誘したりはしていない。また、投信が伸びているのは、低金利が続いているので何とかしたい、銀行で売っている投信なら安心と思っているからではないか。情報開示、市場透明化については改善の余地があり、社会問題化しないよう、貴委員会でも検証してもらいたい。
○金融システムの安定と言うが、銀行で保険商品を売ることがどうして安定を阻害するのか理解できない。
→銀行で生保商品を売るとなると、現在の生保会社の状態ではその経営体質に問題を生ずるおそれがあると考える。
○自賠責については、政府再保険を廃止すれば運用益がなくなるが、必要な事業は一般会計で担保するという考えか。
→運用益で行っている事業を再検討し、政府としてやるべきことは、一般会計等で財源を確保すべきである。
○タクシーの規制緩和に関する運輸省案についての考えはどうか。
→タクシー業においては、基本的に労働条件が高いとは言えない状況であり、需給調整廃止、運賃競争を率直におそれている。ただ、労働条件の確保を規制にリンクさせて考えるのではなく、なぜそうなのかを考えているところ。傘下の組合からは、規制緩和の中で労働条件の悪化、収入の低下が起こっていることを認識すべきと言われている。
○引き続き当委員会の活動への御協力をお願いしたい。もし御意見があれば、できるだけ早い時期にお聞かせいただきたい。
(以上)
(文責 規制改革委員会事務室)