−速報のため事後修正の可能性あり−
行政改革会議第4回議事概要
1 日時 平成9年1月29日(水) 18:00〜19:55
2 場所 内閣総理大臣官邸 大食堂
3 出席者
(会議)
橋本龍太郎内閣総理大臣(会長)、武藤嘉文行政改革担当大臣・総務庁長官(会長代理)、芦田甚之助、飯田庸太郎、猪口邦子、河合隼雄、川口幹夫、佐藤幸治、塩野谷祐一、豊田章一郎、藤田宙靖、水野清、諸井虔、渡辺恒雄の各委員
(総務庁行政管理局)
陶山晧行政管理局長、堀江正弘企画調整課長、藤岡博管理官
(有識者)
石原信雄前内閣官房副長官
(政府)
与謝野内閣官房副長官、古川内閣官房副長官、田波内閣内政審議室長
(事務局)
水野事務局長(再掲)、八木事務局次長
4 議題
(1) 行政組織の現状、沿革等について(総務庁)
(2) 石原信雄氏との意見交換
5 会議経過
(1) 総務庁行政管理局より、明治維新後、明治18年の内閣制度発足から戦後改革を経て現在に至る国家行政組織の変遷とともに、現在の国家行政組織と行政組織管理の概要等について説明があり(別紙1及び2参照)、これを受けて質疑応答が行われた。
- 国家行政組織法3条による行政委員会については、昭和26年の政令改正諮問委員会の答申に基づいて大幅整理が行われたが、それらの所掌していた事務はどうなったのか、また、昭和50年代に青木一男氏による3条委員会違憲論があったと承知しているがどうか、という質問があった。これに対して、総務庁より、これらの整理された委員会の事務はそれぞれ関係の深い各省庁に吸収されたものである、また、内閣の指揮監督を受けない行政委員会は憲法上問題があるとの議論があったことは承知しているとの説明があった。
- 昭和58年の国家行政組織法の改正によって府省及びいわゆる大臣庁に置かれる官房及び局の総数に上限が設けられて以降、純増がないということだが、その上限を上げるべきという議論や圧力はないのかとの質問があった。これに対して、総務庁より、組織管理上新たな局等の設置に当たっては同等の組織を廃止するとのスクラップアンドビルド原則を適用してきており、最終的に局等の数の上限を引き上げるべきだという議論になったことはない旨の説明があった。これに関し、厳密にいえば、全く議論がなかったわけではないとし、例えば、大喪の礼に際して各国からの使節が大挙して来られたときなど、外務省の地域担当局の編成が対象となる国の数等に照らして必ずしも均衡が取れたものでないことにつき問題が顕在化したことがあった。同様のことは、局レベルだけでなく課のレベル等でも、新規緊急の行政需要に対して新しい組織を作る必要が生じた際に、これまでの経緯等から廃止し得る組織がなかなか見つけられないといったこともある。ただ、組織の膨張を抑えるに当たって、組織新設に当たって同等組織の廃止を求めるというスクラップアンドビルドの原則が果たしてきた役割は否定できないとの発言があった。
- 国、地方及び政府企業を含む人口千人当たりの公務員数の比較をみると、日本は著しく低いが、これはどう分析すべきかとの質問があった。これに対して、総務庁から、一つには防衛分野の比重の違いがあるが、それをおいても連邦制か単一国家か、政府企業の範囲がどのようなものかなど、国によって様々異なる前提条件がある。しかしながら、同種類似の組織等について比較分析を行うと、それぞれの分野において日本の職員数は諸外国に比較して少なくなっており、そうした結果が全体に反映されているものであるとの説明があった。
(2) 石原信雄前内閣官房副長官から、行政改革の課題について説明があり(別紙3参照)、これを受けて意見交換が行われた。
- 例えば、英国では総選挙が実際上誰を総理に据えるかという選択を行う選挙となっているために総理の指導力が強い。このように、内閣の総合調整については、制度問題の次元とは別に指導者の政治的権威という問題があるのではないかとの質問に対し、石原氏から、制度論で言えば、日本の選挙は議員を選び、議員が総理を選ぶものであるが、政党によりあるいは人物によってリーダーシップには違いがある、いずれにせよ制度というより政治の問題ではないかとの答があった。
- 内閣の総合調整機能の強化のためには、情報の流れが重要であり、各省庁の重要情報が必要な場合に官邸にスムーズに入ってくるような仕組みが確立されている必要があると考えるがどうかとの質問があった。これに対し、石原氏から、阪神淡路の震災の際の教訓を基に自然災害への対応策を中心として改善が進められてきた。議院内閣制の下、行政責任は各主務大臣に分担されており、各省庁が第一次的に情報を集めるという基本は変えようがないが、問題はどれほど速やかにスムーズに必要な情報を集めることができるかという点にあるとの答があった。
- 総務庁の人事局や行政管理局の業務、予算編成や外交防衛の基本方針の策定、国と地方の間の権限調整や税財源の配分に関する事務等を総理府に移管するというが、主務大臣たる内閣総理大臣の下で実質的に総理府所管の事務を監督している内閣官房長官は、現状でも国会対策、各省調整及び内閣のスポークスマンとして多忙を極めており、それ以上に多くの事務を付加して、それらを十分に果たし得る人材が得られるのかとの意見が述べられた。
- 国と地方の間の権限調整及び税財源の配分に関する事務を所掌する機関を総理府に帰属させるということは、いわば自治省を廃止することになるのではないかとの質問に対し、石原氏から、全省庁を白紙に戻した議論をするという立場から申し上げており、新しい組織に吸収されるということではないかとの答があった。
- 提言によれば、強大な総理府が出現することになるが、そうであればいっそ憲法を改正し、総理に大統領型の指揮権を付与するような改革を考えるべきではないかとの質問に対し、石原氏から、米国型の大統領制においては大統領に行政権が集中しており、各長官等はその補佐をしているに過ぎない、これに対して我が国は議院内閣制であり、あくまでも行政権は合議体たる内閣に帰属し、各行政分野の執行権限はそれぞれの主務大臣にある。そうした憲法上の原則を変えないことを前提に、どうすれば内閣又は総理の総合調整権を強化し得るかということにつき私見を述べたものであるとの答があった。
- 内閣又は総理の総合調整権の強化のため、内閣総理大臣補佐官の活用や内閣官房の内政審議室、外政審議室、安全保障室等を強化してはどうかとの提言であるが、米国の大統領補佐官の歴史をみても、フーヴァー大統領の時に二人しかいなかった補佐官がルーズベルト大統領時代に制度化され、やがてはキッシンジャー補佐官のように国務長官をも凌ぐ補佐官が登場するような機構及び権限の膨張、ビッグ・ホワイトハウスの出現にも至ったのであり、そうした方向を目指すのかとの質問があった。これに対し、石原氏から、議院内閣制の下での行政事務の分担管理という基本的な憲法原理を前提としつつ、側面的な方策によって総理又は内閣のリーダーシップが発揮しやすい仕組みをつくるため、各省庁の間の調整に関する権限は総理府に集めたらよいという趣旨であるとの答があった。
- 提案を実行すれば、内閣総理大臣の権限は強大になると思うが、危機管理等の場面に限定されたもっと中間的な方策はないものかとの質問に対し、石原氏から、例えば、自然災害については、災害対策基本法を改正して既に対応済みである。その他の内政・外政の重要課題についてどのように総合調整機能を強化するかということが課題であるが、議院内閣制の基本に触れるような直接的な総理の権限強化はできないので、調整権限の集中という側面強化策により、結果としてリーダーシップを発揮しやすい環境をつくるべきであると考えるとの答があった。
- 公務員制度について改革すべき点は何かとの質問に対し、石原氏から、例えば一括採用論があるが、一元的な人事管理ということは実際上無理な提案である、今回の省庁再編の議論では、機能別に抜本的な省庁再編を目指すものと聞いているので、その再編成された大括りの省庁単位で採用を行うことでかなりの改善効果が期待でき、それ以上に政府全体で一括採用を行う必要はないと考えるとの答があった。
- また、退官後の公務員の処遇についての質問があった。これに対し、石原氏から、次官に残った人物とそれ以外の人物と、人材として必ずしも大きな差があるというわけではない。能力もあり、経験もあり、意欲もある人材が、組織活力の維持という必要性から段々退職せざるを得ないという実状があるのであり、単に次官の定年を延長すればよいという問題ではない。各省庁の許認可権限や補助金等を背景に再就職先のあっせんが行われるような弊害を防ぐためにも、全政府的なシステムとして人物本位で人材の社会的な活用ができるような仕組みをつくっていくことが重要であるとの答があった。これに関し、例えば、事務次官の定年は70歳、局長は65歳というように定年延長を行えば、天下りもなくなるのではないかとの意見があったが、石原氏からは、そうした手法でクリアされるのは原則1人であり、絞り込みを行わなければならない事態に変わりはない、個人差はあるが、組織活力からみて70歳というのはいかがかとも思う。いずれにせよ定年延長という手法のみで解決する問題ではないとの答があった。
- 最近の官僚批判についてどう思うかとの質問に対し、石原氏から、一部に不心得の官僚がいたことは確かであるが、改革論議は冷静に行う必要がある。情熱も能力もある官僚は少なくないのであって、確かに政策決定は政治の問題であるが、政策立案から官僚を一切排除するのはいかがなものかとの答があった。
- 内閣法第6条にいう「閣議にかけた方針に基づき」総理が指揮監督できるという条項を活用してはどうかとのことであるが、個別ケースを超えていわば包括的な授権を行うような閣議決定をすべきとの提案かとの質問に対し、石原氏から、内閣法第6条は、包括的な授権を想定している規定ではないと考えており、例えば、毎年度の予算編成についてその性格、規模、重点方針等を決定し、それに基づいて総理が指揮するようなことを考えてはどうかとの趣旨であるとの答があった。
(3) 次回会議は、2月5日午後6時目途から開催することとされた。
以上
(文責 行政改革会議事務局)
連絡先:行政改革会議事務局 高野(電話03-3581-2641) 根本(電話03-3581-0270)
行政改革会議第4回資料(別紙1、別紙2、別紙3)
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