−速報のため事後修正の可能性あり−

行政改革会議第6回議事概要

1 日時 平成9年2月19日(水) 18:00〜20:00
2 場所 内閣総理大臣官邸 大客間
3 出席者
(会議)
橋本龍太郎内閣総理大臣(会長)、武藤嘉文行政改革担当大臣・総務庁長官(会 長代理)、芦田甚之助、有馬朗人、飯田庸太郎、猪口邦子、河合隼雄、川口幹 夫、佐藤幸治、塩野谷祐一、豊田章一郎、藤田宙靖、水野清、諸井虔、渡辺恒雄 の各委員
(有識者)
 石弘光氏(一橋大学教授)
(政府)
 古川内閣官房副長官、田波内閣内政審議室長
(事務局)
 水野事務局長(再掲)、八木事務局次長

4 議題
(1)石弘光氏との意見交換
(2)諸外国の行政組織と行政改革について(その2)
(3)今後の審議スケジュール等について

5 会議経過
(1)石弘光氏から、行政改革の目標とシナリオ、手段等について説明があり(別 紙1参照)、これを受けて以下の意見交換が行われた。

・行革のシナリオとして政府内部のリストラから国・地方関係の見直し、次いで官 民の守備範囲の見直しになるとの説明であったが、官民分担の見直し抜きにリス トラはできないのではないかとの指摘があった。これに対し、石氏から、行政の スリム化の手法としてエージェンシーとアウトソーシングがあり、これを政府か ら見るとリストラになるという意味で両者は表裏一体であるが、国民はまず政府 内部のリストラを求めているとの回答があった。

・日本では法の執行は国が直接行うべきとの考え方が強い。英国では「法の支配」 という理念があるが、エージェンシーが法の執行を担うことについて英国ではど のような議論があったのかとの質問に対し、石氏から、英国に限らずその国々の 法の慣習、慣行があり、それをうまく取り入れているのではないか、詳細につい ては法学者による調査を待ちたいとの発言があった。これに関連して、英国のエ ージェンシーやアウトソーシングの状況について質問があり、石氏から、英国の 例として印刷局や高速道路の建設、刑務所等の紹介があった。

・国民の側からみた場合、エージェンシー化等がサービスの向上につながるかとの 質問に対し、石氏から、功罪の見極めは必要であるが、宅配便の普及からして郵 便業務を政府が行う必要はないし、国鉄も民営化されてサービスが向上している との指摘があった。

・エージェンシーと日本の特殊法人はどのように違うのかとの質問に対し、石氏か ら、特殊法人にもいろいろあるので一律の比較は困難であるが、エージェンシー はより民間に近い経営であり、民間事業者との競争状況の下での契約制の考え方 が特徴的であるとの紹介があった。

・日本の予算編成過程はかなりオープンであり、このことが財政改革に困難さをも たらしている面があるのではないかとの質問に対し、石氏から、編成段階をオー プンにしている日本の現状を変えることはできず、イニシアティブを取る人の号 令一下で財政改革を進めるほかないとの指摘があった。これに関連して、委員か ら、リーダーシップの発揮を期待するのは結局一人の政治家ということになるの か、それとも広く多くの人々に対してかとの質問があり、石氏から、少数の有力 政治家ないしは内閣となろうとの考えが示された。

・地方交付税の算定基礎を変えることで現状が変化するかとの質問に対し、石氏か ら、現在の複雑な方式をいつまで続けていくかについては疑問である、一人当た り税収といった収入面の平準化を基本とし、支出面は基準としない方式も考え得 る、専門的な検討が必要だが簡略化の方向で議論すべきであるとの指摘があっ た。これに関連し、委員から、交付税ルールの簡略化はよいが現状との乖離をど こまで認めるべきかとの質問があり、石氏から、乖離幅は計算法式によって異な るが、自立できるだけの税源を持ち得る基礎自治体を構成することが肝要である との回答があった。これについては、さらに委員から、過疎地域では合併の組合 せをどう工夫しても効率性の追求には一定の限界がある場合もあるとの指摘がな された。

・財政投融資について将来の役割をどのように考えるべきかとの質問に対し、石氏 から、政策金融は高度成長など日本経済の発展に寄与してきたが、もはやその役 割は変わってきている。政策金融として残るものはあるが、今よりずっと小さく なるはずである。にもかかわらず、その入口である郵貯が膨らんでおり、このミ スマッチを縮小することが課題であるとの指摘があった。さらに石氏から、金融 の自由化、グローバル化が進む中、公的金融が長期・固定金利の借入れにどこま で耐えられるかとの議論もあるとの紹介があった。

・都道府県制度についてどのように考えるべきかとの質問に対し、石氏から、現状 の都道府県がベストとは思わないが、国から都道府県への権限の委譲と市町村の 改革を先行すべきである、また道州制はよいが連邦制は日本になじまないのでは ないかとの指摘があった。

・国の出先機関をどのように考えるべきかとの質問に対し、石氏から、地方に力が つけば出先機関は不要となるはずであるとの指摘があった。

・地方自治体による課税の自主権をどこまで認めるべきかとの質問に対し、石氏か ら、中央政府から資金が流れてくるという前提を切れば住民による負担とサービ ス水準の組合せについて選択が行われる。そうでないままに米国の州のような自 由度を与えると税率引下げ競争が起こる懸念もある。いずれにせよ自治体が税収 確保で汗をかくことが必要であるとの指摘があった。

・財政改革を行う際に個別の歳出を抑える手法をどのように考えるべきかとの質問 に対し、石氏から、社会保障や教育、公共事業等についてそれぞれ価値判断をも って軽重をつけるのは官僚機構には不可能であり、政治家が責任をもって取り組 むべきであるとの考えが示された。

(2)事務局調査員より、アメリカ合衆国、ドイツ連邦共和国、フランス共和国、 大韓民国の行政組織及び行政改革の動向について説明があり(別紙2及び3参 照)、これを受けて前回説明分(連合王国、ニュージーランド、カナダ、スウェー デン王国)と合わせて以下の意見や質疑応答があった。

・報告のあった各国では政策立案と執行を明確に分離し、政策は政治が立案するが 法の執行は中立的な行政やエージェンシーに行わせていくという流れにある。こ れにはスウェーデンを典型とするように、法の支配の観念の下で政治から独立し た中立的な行政が法執行を担うべきという考え方と、執行の領域の効率性を向上 させようという2つの要素がある。これに対し、日本は立案と執行が渾然として いることに特色があり、それゆえのメリットもあるものの、今後ともこれを継続 するのか、変えていくのかが課題であるとの指摘があった。

・英国でエージェンシー化を進めた際に、法執行などは一挙に民間に移行できない ので、一つの手順という考え方があったのかとの質問に対し、事務局から、英国 のエージェンシーは国の行政組織の一部であり、手順という考え方ではなく、民 間的な運営手法等の導入を目的としたものと思われるとの回答があった。

・ニュージーランドのクラウン・エンティティーと英国のエージェンシーはどのよ うに違うのかとの質問があり、事務局から、クラウン・エンティティーは、日本 で言えば外局、特殊法人、公益法人や審議会などにあたる多種多様の組織を含む 幅広い概念であるが、効率性を追求するため裁量権が与えられ、株式会社的な財 務会計を採るところに共通性があるとの回答があった。

・ニュージーランドでは通信事業等の国有財産を外資に売却して財政及び経済の再 建の一助としたが、こうした措置が今後の経済発展に支障をもたらす懸念を感じ ていないのかとの質問に対し、事務局から、連立与党のニュージーランド・ファ ースト党が選挙期間中に買戻しを唱えていたが、現状ではそうした動きは出てい ないと承知している旨回答があった。

・米国における郵政事業の現状についての質問に対し、事務局から、1971年に 郵政省が廃止されて独立機関としてのUSPSが設置されたところである。日本 の郵貯や簡保に当たるものははもともと存在しないとの回答があった。

・各国においては省庁を大括り化してその数を減らそうという動きは少ないが、こ れは省間の調整機能がしっかりしているためか、エージェンシー化等により省庁 には企画調整部門だけが残るのであればその必要性もなくなると考えるべきかと の質問があり、事務局から、確かに近年そうした動きは少ないが、かつて米国で はニクソン大統領時代に省庁削減の計画があり、また英国においても巨大省構想 により環境省が設けられた等の事例があるとの紹介があった。これに関連して、 委員から、我が国の公共事業の発案から実施にいたるまでには極めて多数の省庁 と手続が関与し、コストアップの要因ともなっているとの指摘があった。

・米国ホワイトハウスのシチュエーションルームの設立と発展経緯、そのスタッフ のリクルートと養成方式、ゴア副大統領が主導しているといわれるホワイトハウ スの情報収集力強化の方策、韓国の高級官僚登用における海外のPh.D、M.A.等保 有者の取扱い、議院内閣制の各国における首相権限とその根拠の比較について質 問があり、事務局より後日調査の上回答することとされた。

(3)当面の審議スケジュール及び一日行政改革会議の開催(別紙4)並びに5月 から6月に各省庁ヒアリングを実施することが了承された。

(4)次回会議は、3月5日(水)午後6時目途から開催することとされた。

以上


(文責 行政改革会議事務局)
連絡先:行政改革会議事務局 高野(電話03−3581−2641)
根本(電話03−3581−0270)

行政改革会議議事概要は、インターネット(官邸ホームページ(http:// www.kantei.go.jp/)の「最近の話題」欄又は「連載」欄中の「審議会等」の項)及びパソコン通信ネットワーク(PC−VAN及びGサーチ)でも御覧になれます。



別紙1(石弘光氏説明資料)

報告メモ

行政改革に向けて

1997.2.19 行政改革会議において
石 弘光

1  行革の目標とシナリオ
・「簡素で効率的な政府」の構築
・三つのシナリオ
シナリオ1 ――― 政府内部のリストラ
シナリオ2 ――― 国・地方関係の見直し
シナリオ3 ――― 官と民の守備範囲の見直し

2 行革の具体的な手段 ―― その1(シナリオ1、3に関連)
・agency化 と outsourcing 例、外局化、民間委託
・民営化   例、特殊法人、郵便貯金など
・官の役割を廃止・撤廃 例、価格支持、規制撤廃
・歳出カット

3 行革の具体的な手段 ―― その2(シナリオ2に関連)
・国から地方への権限移譲  例、機関委任事務の見直し
・地方分権の前提条件 ―― 市町村合併の促進
アメとムチの併用
・国への依存体質からの脱皮 ―― 地方交付税、補助金の抜本的な改革
「おんぶにだっこ」の是正、一人当たり税収の平準化、補助事業の廃止
・住民の費用 ―― 便益と課税自主権
「汗をかいて税収を確保」

4 政治家のリーダーシップ ―― 行革の成功の条件
・主要先進国の実態
・財政構造改革と一体化
・国民の支持


別紙2

諸外国の行政組織の現状(U)

【米国】

◆政体(国家形態、三権の関係、党と行政の関係)
○大統領制、連邦制
○三権は典型的な抑制と均衡の関係。法案提出は立法府のみ、大統領に法案拒否 権。各省長官(大統領任命、要上院承認)の議員兼職禁止 等
○政党の行政支配が弱い。
◆行政組織
1.政府中枢
○行政権は大統領個人に属する。
○大統領府の組織、機能が充実(20名程度の大統領補佐官、行政管理予算庁、国 家安全保障会議等の内部組織(相対的に各省の権限は弱い)
○閣議(大統領府、各省長官等で構成)は開催されるが、重要事項を決定する合議 の場ではない。
2.省庁
○14省
○長官の下に副長官、数名の次官、次官補で構成(その大部分が政治任用) 
○次官、次官補(部局長クラス)の下にいくつかの部局が配置
3.エージェンシー、独立行政機関、政府機関等
○50の独立機関。23の独任制機関と27の合議制機関。合議制機関の中心は独 立規制委員会。委員は大統領任命、上院承認、任期制で大統領の解任権なし。
○大統領の下に公社7社
◆行政組織改廃
○各省は設置法により設置(一般的な連邦行政組織法はない)。
○基本的に行政組織改廃権は議会が有する。
○行政組織の一定範囲について議会の承認を前提に大統領が改正可能。
○米国では省の新設等、大きな組織改正は少ない。省は長期的には増加傾向。
◆行政組織間調整
○主として大統領及びその補佐機構としての大統領府(行政管理予算庁、国家安全 保障会議、国家経済会議等)が案件に応じ各省庁間調整。
○一部、人事管理庁、緊急事態管理庁等、独立機関による調整あり。
◆危機管理体制
○重大な緊急事態: 国家安全保障会議(大統領府)が指揮、各省調整
○国内で生起した天災、人為的災害等:緊急事態管理庁が担当、各省庁調整
○海外で生起した緊急事態:国務省が担当、調整
◆国家公務員の任用等
○約286万人(除軍人)、人口千人あたり10.8人
○政治任用が各省庁次官補(局長クラス)までを占め、大統領の交替時期には 3,500名程幹部交替。
○職業公務員は各省庁別資格任用制。各省庁間交流はほとんどなし。
◆中央と地方(州)の関係
○50州、約3000のカウンティ、約18,000の市町村等。
○各州は主権を有し、州独自の議会、行政組織有り。
○連邦は憲法上の明示的、黙示的委任権限のみを有し、それ以外の権限は憲法で否 定されてない限り州に留保。

【ドイツ】

◆政体(国家形態、三権の関係、党と行政の関係)
○連邦制。連邦政府は主に法律・計画案策定等の企画事務。
○議院内閣制。戦後一貫して連立政権。建設的不信任の制度もあり、首相の地位が 安定し、在任期間が長い。
○政党の政策形成能力が高い。
◆行政組織
1.政府中枢
○大統領の権限は形式的・儀礼的
○首相は、単独で政治の基本方針を決定し、議会に対し単独で責任を負う。首相は 内閣の中で他の大臣に優越し、政策決定に強い指導力を発揮。
○首相府(約500名)の補佐機能が充実。閣議に先立ち事務次官会議を主宰し、 省庁間の政策調整。
2.省庁
○16省。各省付属の外局約60。
○大臣以下の省内中枢は、1−2名の政務次官、1−2名の事務次官から構成。政 務次官は議会対応が主。
○政権交代に伴い、事務次官・局長は大臣により政治登用可。
3.エージェンシー、独立行政機関、政府機関等
○連邦・州政府が任務の遂行を委託する公法上の団体(連邦印刷局、連邦公文書館 等)が多数存在。
○独立行政機関として、連邦会計検査院が存在。
◆行政組織改廃
○連邦省の設置・改廃は首相の裁量。首相発議で閣議決定された命令で決定。但 し、予算上認められることが必要。
○戦後当初14省。60年代に19省に増加した後、整理統合し14省(69年) に削減。現在16省。
○省内の組織は大臣が定める。
◆行政組織間調整
○首相府が各省に調整上の影響力を及ぼすためには首相のリーダーシップが重要。 事務次官会議で調整のつかない問題は首相府長官が調整。
○閣議の議案の整理は、首相の指示を得て、首相府が行う。
◆危機管理体制
○戦時には軍に対する指揮命令権が国防相から首相に移行、連邦政府が州の行政機 関を直接指示し、私有財産徴用時の補償は法律によらないでも可能。
○閣僚レベルの「安全保障会議」が存在。
○自然災害への対応は州の権限。連邦は州に協力。
◆国家公務員の任用等
○36.5万人(除軍人)、人口千人あたり約4.5人。
○各省別採用。事務次官・局長は政治登用可。省庁間の異動は少ない。殆どが65 才の定年まで勤務。
○公務員の政治活動には寛容で、公選議員への立候補は自由、選挙運動のための有 給休暇可。
◆中央と地方(州)の関係
○州(16)、郡(約4百)、市町村(約16千)
○連邦政府は、限られた分野(税務等)でのみ州レベルで行政を直接執行。
○郡・市町村は法律の範囲内で自治権を有し、広範な任意事務を執行。

【フランス】

◆政体(国家形態、三権の関係、党と行政の関係)
○大統領制と議院内閣制の混合形態。直接公選の大統領が首相を任免。行政府を代 表し、議会に責任を負うのは首相。
○行政権の優位。広範な行政立法権。司法裁判所と行政裁判所の分離。
○政党・議会に対する行政の力が強い。
◆行政組織
1.政府中枢
○強大な権限を有する大統領が、閣議を主宰。
○大統領府が、政策の企画・立案、各省庁との連絡調整を行う。 
○首相府の内閣事務局が、閣議等の事務局として各省庁との連絡調整に当たる。こ の他に首相直属のスタッフあり。
2.省庁
○内閣の交代の度に、大臣ポストや中央行政組織が大幅に再編。現在、首相、各省 大臣16、担当大臣11、担当閣外大臣5の33名。
○大臣は、同調的な高級官僚を、大臣官房(各局の調整・指揮を行い、大臣の交代 により異動)に任命。
3.エージェンシー、独立行政機関、政府機関等
○情報公開委員会・証券取引委員会など、政治的中立と経済的利害から独立した独 立行政委員会あり。
○公企業は、ミッテラン政権下で国有化が進んだが、86年シラク内閣、93年バ ラデュール内閣で民営化法を制定し、銀行等の民営化を実施。
◆行政組織改廃
○大統領が、閣僚の数、名称、任務分担及びその指揮下に入るべき行政部局を定 め、閣僚を任命する方式。内閣によりその数はまちまち。
○国家行政組織の一般的基準を定める法律はなく、行政組織編成はデクレ(統令) で定める。
◆行政組織間調整
○閣議、閣僚委員会、閣僚懇談会、事務レベルの省庁間連絡会があり、大統領府、 首相府、内閣事務局、各省大臣官房との間に張り巡らされたネットワークにより、 情報交換、協議、調整が行われる。
◆危機管理体制
○平時の緊急事態については、その都度関係省庁を指定する。
○国外で発生した緊急事態については、外務省が対応、国内での事件では基本的に は各県知事、重要な案件は内務省が所掌。
◆国家公務員の任用等
○約177万人(軍人・国有企業除く)、人口千人あたり30.6人
○各省幹部は、ENA等を卒業した高級官僚。グランコールに所属する者の一部 は、多くの省庁・大臣官房を回り、1省庁への帰属意識は低い。
◆中央と地方(州)の関係
○州(22)・県(96)・市町村(約36,800)の三層制。州・県レベルで は、議会の議長が執行機関の長である一方、政府が任命した知事が各省大臣を代表 して、国の地方部局を指揮。
○市町村の約9割が人口2千人未満。

【韓国】

◆政体(国家形態、三権の関係、党と行政の関係)
○大統領制。(大統領は任期5年、重任禁止)
○大統領を首班とする行政府優位の三権分立。
○政党は選挙組織としての性格が濃い。各党党首が大統領候補となるため、有力党 党首が大統領になるが、閣僚等の政治任用ポストは政党員に縛られない。
◆行政組織
1.政府中枢
○大統領府(青瓦台)が強大な権限を保持し、国家の基本方向、重要な政策を立 案。
○政府権限に属する重要な政策は「国務会議」にて審議。(大統領が議長、国務総 理が副議長)
2.省庁
○2院、14部、5処、13庁、2外局
○院、部、処の長官は、国務総理の提請により大統領が任命、同時に国務会議のメ ンバーとなる。
○各省の組織や定員は個別の設置法により規定。
3.エージェンシー、独立行政機関、政府機関等
○検査・監督機能の公平性を保つための独立機関として「監査院」、「公正取引委 員会」がある。
◆行政組織改廃
○「政府組織法」の改正により実施。
○大きな改正は大統領府で構想・発案。
○大小含めると頻繁に何らかの組織改編が行われており、1948年の建国以来、 延べ90回近くの組織を改編。
◆行政組織間調整
○国務会議が行政各部の権限の画定や、行政各部の重要な政策審議・調整を実施。
◆危機管理体制
○大統領は、国会の事後承認を条件に財政・経済上の処分、法律の効力を持つ命 令、兵力の行使、戒厳の宣布が可能。
○危機の種類に応じて、国防部、非常企画委員会、内務部、外務部、警察庁などが 実務を担当。
◆国家公務員の任用等
○55.8万人(軍人・国有企業除く)、人口千人あたり12.5人。
○政治任用は院・部・処の長官、次官。
○新規採用は総務処(日本の総務庁)が一括実施。
○希望に応じた省庁間異動(転任)は比較的盛ん。
◆中央と地方(州)の関係
○国−広域自治団体(15)−基礎自治団体(260)の三層構造。地方自治法に 基づき、国が監督。
○公務員数、予算規模ともに、国:地方は概ね2:1。
○地方財源のうち、国からの補助は概ね1/3。


別紙3

諸外国の行政改革の動向(U)

【米国】

◆行政改革の背景、原動力
1.政府機能・サービスの低下や非効率な行政への批判
2.財政赤字(高齢化社会への対応)
3.クリントン大統領の行政改革に対する議会の圧力
◆推進体制
行政改革を計画する専門組織として、ゴア副大統領をトップに、ナショナル・パー フォマンス・レビュー(NPR)を創設。実施は大統領府(行政管理予算庁、NP R等)が中心となり、各省庁の実施を監視・調整する体制。
◆具体的施策
1.形式的手続主義を結果主義に改革(93年〜)
(1)予算、人事、調達等に関し、煩雑な手続主義を廃止し、公務員に結果責任を 持たせる。
(2)各省庁毎に計量化できる目標を設定させ、業績・結果を監視する新行政管理 システム(99年完全実施)
2.顧客優先主義の徹底(93年〜)
省庁間、民間セクターとの競争を導入し、諸施策の改善圧力を創出
3.財政再建(90年〜)
(1)2002年の財政均衡を目標に歳入増加策、各種経費削減施策を実施中(所 得税率引上げ、福祉予算、国防費の削減等)
(2)公務員数の削減(93年〜)
1999年までに27万9千人の削減を目標(既に93年から96年までの3年間 で23万人〔うち15万人は国防省の文官〕の削減を実施済)
[備考]
 1992年過去最高の財政赤字(2094億ドル、対GDP比4.9%)を記録 したが、その後赤字は着実に減少し、96年には1073億ドル(対GDP比 1.4%)となった。なお、累積赤字は、96年で対GDP比64.1%。

【ドイツ】

◆行政改革の背景、原動力
1.財政赤字の増大、高失業率等の構造問題に対する包括的改革の必要性
2.旧東独に対する財政支援継続の必要性
3.通貨統合に係るEMU財政基準達成の必要性
◆推進体制
国家組織のスリム化推進のための行政から独立した専門家から構成される審議会 を設置(95年7月)。議長には議会内与党代表を任命し、事務局を内務省内に設 置。なお、最終答申(本年2月予定)内容については、首相の指示により、内務省 が実施・調整を行う。
◆具体的施策
1.国家組織の再編(95年〜)
(1)国家活動の縮減
(2)業務の外部(下部機関含む)委託の検討
(3)省庁統合、再編等による行政のスリム化
2.公務員制度改革(93年〜)
(1)能力主義強化のための条件整備(96年)
(2)連邦公務員数の統一前水準への削減(ポスト数を毎年1%削減するとともに 公務員数を32.4万人から30万人に削減)
3.財政・税制改革
(1)税制簡素化、直接税の軽減(50%超の公的支出GDP比率を2000年迄 に46%に引下げ)
(2)97年度連邦予算を前年度比2.5%削減
4.社会保障制度改革(89年〜)
(1)社会保険料率の引下げ
(2)早期年金受給制度の見直し
5.民営化・規制緩和
(1)郵便・郵貯事業の株式会社化(95年)
(2)電信電話事業の株式会社化(95年)及び同分野への参入規制緩和(96 年〜)
(3)鉄道の民営化(94年〜)
(4)空港管制の民間委託(93年)
[備考]
一般政府赤字のGNP比3.5%、累積赤字61.6%(95年)。97年度予 算の削減により、一般政府財政赤字が2.5%まで減少の可能性。(統一ブームに よる構造改革への取り組みの遅れを指摘する声あり。)

【フランス】

◆行政改革の背景、原動力
欧州通貨統合参加基準の達成のため、財政赤字を97年にGDP比3%に削減
◆推進体制
高級官僚による上からの改革が中心。政権の交代とともに頻繁に変更される。シ ラク大統領下での「国家行政改革」は、第一次ジュッペ内閣では、国家改革・地方 分権・市民権大臣が、第二次内閣では、公務員・国家改革・地方分権大臣が担当。
◆具体的施策
1.メディアトゥール(フランス版オンブズマン)の設置(73年)
2.行政文書公開法等の制定(78年)
3.地方分権法の制定(82年)
5.民営化政策(86、93年)
6.財政改革(95年以降)
(1)社会保障基金の累積債務返済のため、社会保障債務返済税の導入、赤字対策 として保険料払込み期間の延長など。
(2)公務員数の削減として、97年度予算法案で、一般公務員を6,000人削 減する方針(87年以来10年ぶり)。今後、中央省庁の職員を年3%ずつ減ら し、公務員全体で10%削減することを検討。
(3)人件費の抑制として、96年に10年ぶりの給与の凍結を実施。
(4)民営化として、97年1月よりフランス・テレコムの民営化を実施。このほ か国鉄分割以外には行政サービスを民間セクターに移す議論はない。限定的な分野 で外部委託が検討されているが、抵抗が大きく徐々に行う予定。

【韓国】

◆行政改革の背景、原動力
1.盧泰愚前政権からの民主化の流れと金泳三政権の政治的安定の確保
2.世界経済への統合、先進国入りを目指すなかでの経済力強化の必要性
◆推進体制
93年2月に就任した金泳三大統領が、青瓦台(大統領府)スタッフととも に、「先進国への仲間入り」をスローガンに、ナショナリズムに訴えかけて、 「上」から改革を推進。
◆具体的施策
1.中央省庁の再編(94年12月)
省庁の統合、省をまたぐ重複業務の一本化、実態に合わせた名称変更などを実施。22あった院・部・処を20に、また1000以上のポストを削減。最大の変 更は、予算、経済計画担当の「経済企画院」と財政・金融を監督する「財務部」と の統合・スリム化(「財政経済院」新設)。
2.規制緩和(93年〜)
「経済5ヶ年計画」(93〜97年)の中で、「規制緩和」と「経済正義具現」 を2つの柱に策定。「行政刷新委員会」で総合的に規制を見直す一方、経済規制に ついては、特に「経済行政規制改革委員会」を設け、財界と一体で産業競争力の向 上に努力。
3.地方首長の直接選挙(95年6月)
前政権からの公約であった地方自治団体の首長選挙を実施。
[備考]
 一連の行政改革の効果を定量的に分析することは困難。他の先進国に共通に見ら れる「高齢化社会への対応」、「財政赤字の克服」は、今後の課題。


別紙4

当面の審議スケジュ−ルについて(案)

平成9年2月19日
行政改革会議

第6回(9. 2.19)
1)財政審委員(石弘光氏)との意見交換
2)諸外国の行政組織の現状、行政改革の説明聴取(事務局)(その2)
  《(9. 2.26)  一日行政改革会議(名古屋)》
第7回(9. 3. 5)
1)行政組織の現状、沿革等の説明聴取(内閣官房)
2)各界提言の整理について説明聴取(事務局)
3)主要論点項目(案)の提示
  《(9. 3.13)  一日行政改革会議(仙台)》
第8回(9. 3.19)
1)主要論点項目について説明聴取(事務局)及び委員間の意見交換
  《(9. 3.26)  一日行政改革会議(大阪)》
第9回(9. 4. 2)
1)各委員からの意見開陳
  《(9. 4. 9)  一日行政改革会議(福岡)》
第10回(9.4.16)
1)各委員からの意見開陳(前回分補足)
2)中間整理について審議
   《(9.4.23)  一日行政改革会議(札幌)》
第11回(9.4.30)
1)中間整理について審議(臨時)
2)今後の進め方について審議

※ 審議スケジュールは、今後の審議の推移によって、変更することがある。