−速報のため事後修正の可能性あり−

名古屋一日行政改革会議議事概要

1 日時 平成9年2月26日(水) 14:00〜16:00
2 場所 名古屋市 名鉄グランドホテル11階 柏・梅の間
3 出席者
(行政改革会議委員)
有馬朗人、猪口邦子、豊田章一郎、水野清の各委員
(会場参加者)
約350名
(事務局)
水野事務局長(再掲)、八木事務局次長、小山参事官(司会)

4 議題
 (1) 基調説明
 (2) 会場参加者との意見交換

5 会議経過

(1) 行政改革会議水野委員から、開会のあいさつ及びこれまでの行政改革会議の活動状況についての基調説明があった。

(2) 会場参加者福田功氏から、別紙1のとおり意見が述べられ、これについて以下の意見交換が行われた。

(有馬委員)国際比較すると、日本は大きな政府ではなく、中くらいである。小さな政府にした上で首都機能を移転するとの提案だが、具体的にはどれくらいのことを考えているのか。

(福田)実務部門を民営化又は自治体移転し、企画部門のみの政府として、機能移転するのがよいと思っている。

(豊田委員)福田氏の発言、特に、コストの高いものから先に見直しをすべきであるとの点、経済効果の高いインフラから投資・整備すべきとの点など、全く同感である。効率化は、どれだけやってもやりすぎるということはないと思う。

(3) 会場参加者丸山加代子氏から、別紙2のとおり意見が述べられ、これについて以下の意見交換が行われた。

(猪口委員)地方分権は重要であり、行革会議でも中心的にとらえているが、分権の結果、行政サービスに差が出た場合には、行政サービスの受益者たる住民サイドがサービスの質について評価するシステムをワンセットで作ることが必要。なぜならば、行革の目的は行政サービスの充実であって、分権はそのための手段であるからである。
  全国規模で実施すべき政策の例を挙げられたが、他にもあるかもしれないので、あらかじめ決めつけずに、結果的に住民・国民が、国からも地方からもサービスを受けられるようにという観点から考えていきたい。
  福祉の充実は非常に重要なことであるが、これからは、利用者がサービスを選択し得る、利用者中心のシステムを作ることが重要である。
  官邸機能の強化、特に危機管理が重要との指摘はまさにそのとおりだと思う。思うに、冷戦が終わったことに伴い、リスク、危機が長期化していくと思われる。なぜなら、冷戦の集結に伴い、危機の解決手段が非暴力化し、平和的解決をしっかりと求めていくようになるからである。リスクが長期化することに伴い、ペルー問題が片づかないうちにナホトカ号の重油流出事件が起こったように、危機が複合化することも多くなると思われる。こうした長期化、複合化する危機に平和的に、政治的リーダーシップをもって的確に対処することが非常に重要になると思われるので、御指摘の点は行革会議に持ち帰って検討したい。

(水野委員)今の話は、我々の目標をそのまま御指導いただいたような感じである。内閣法6条が、今後官邸機能強化の上で大きな問題になると思われる。内閣総理大臣は偉い者だと思われているが、内閣法6条により、実は、各省庁の行政に直接指示することができず、閣議で決まった方針に従って指示を行わなければならないというハードルがある。以前内閣法6条の改正を検討したことがあるが、憲法に触れるという内閣法制局の見解があり、改正することができなかった。内閣総理大臣は、実は号令一下でどこへでも声が届くというものではないことを申し上げておきたい。

(4) 会場参加者須田寛氏から、別紙3のとおり意見が述べられ、これについて以下の意見交換が行われた。

(水野委員)中央省庁の統廃合において、指摘のように、強大な官庁の弊害も配慮する必要はある。しかし、細かい官庁をたくさん作るというのも問題である。明治以来必要であった司法、警察、財政、外交、防衛など、基本的な国家機能を有する官庁は置かざるを得ない。しかし、産業、公共事業、厚生、労働、教育、科学等に関する官庁については、大括りがよいと考えている。というのは、現在、各省の設置根拠は各省設置法であり、法律事項となっているが、省庁の統廃合の在り方は一度に決まるものではなく、試行錯誤することとなると思う。その際、国会で設置法を改正しなくても閣議で統廃合できるように、11とか12省に大括りすればよいのではないかとも考えている。委員の間でまだ議論に入っていないが、御指摘の点を念頭において議論を進めていきたい。

(猪口委員)内容の多い発言で、参考になった。地方の行革の必要性を言っていただき、パートナーだなという考えを深めた。地方自治能力を高め、経済効果を計測できるような自治体をつくる必要があると思う。
  道州制については、個人的には、行革会議の任務が重大かつ本質に迫るものなので、あれもこれもとあまり広げると各所から反対が出てくるのではないかと考えている。福田氏から指摘のあった首都機能移転や、道州制の問題などは、いずれもリンクする可能性はあるが、そういう大きな問題から入ると、タイムスケジュール内で省庁再編の成案をつくるというミッションが達成できない可能性がある。今度こそ結論を得られるようにするため、そこまで議論を広げるべきか疑問もある。
  福田氏の「首都移転をやりやすいような行革」というのは、問題の設定の仕方が違うのではないかという気がする。結果的に首都機能移転に資することはよいが、そのために行革をやるのではなく、よりよい行政サービスを行うことが目標であり、目的を限定的に理解することがより効果的と思う。
  危機管理について水野委員から内閣法6条の改正の問題がでたが、現行法の枠内でも危機発生時に官邸がより効果的な初動態勢をとる方策はいろいろあるので、これを考えるという観点もあると思う。総理大臣の人事権の強さについて、解釈を変えることの検討も法改正の前にできることではないか。リスク発生時に、的確にかつ平和的に知識を結集してこれに対処することの重要性についての認識が深まれば、最初の何時間かを無為に過ごすということはなくなると思う。こうした意識を強く喚起し、そのための行政のサポートシステムを作るだけでも、相当のことをすることができる。

(有馬委員)地方分権の中で真っ先にやれるのが教育である。日本の教育が画一的との批判があるが、画一的であることが悪いことばかりではない。しかし、べらぼうにできない者がいない反面べらぼうにできる者もいないというように、能力の範囲が狭いのが特徴。こうした点で、教育分野で地方にもっと活躍してほしい。地域社会の教育への参加が、悪い意味での画一性を破る上で重要である。教育改革においては地方による教育の強化を進めたい。
  危機管理については、国会等移転審議会の会長代理として心配していることを述べたい。先日の阪神淡路大震災では、幸い東京が無事だったので、初動対策が遅れたものの何とか追い付くことができた。しかし、東京がやられたらどうなるのかが非常に心配である。その意味で分散・多極化が必要である。危機管理の一つの切り口として一極集中の時にその中枢がやられてしまったらどうなるかという点も考えて国会等の移転に当たっていきたい。その意味で今の意見は参考になった。

(5) 会場参加者鈴木和雄氏から、別紙4のとおり意見が述べられ、これについて以下の意見交換が行われた。

(豊田委員)自分も製造業に携わっているが、今後は、現存する事業に加えて、新しい事業を発展させ、雇用を創出することが必要である。そのためには、独創性の発揮が必要であって、教育も含め、日本人が個性を発揮することが必要。
  規制緩和について、これを一度にやってくれという発言であったが、行革委は、毎年3月にまとめて提言している。これには期限も付してやっており、かなり実行されているものもある。規制緩和によって改善された点をPRすることが必要である。
  省庁再編について、数合わせでなく実質的に行うべきとの意見は全く同感。企業の立場からも、省庁の壁があって困ることがあるのも確かである。

(水野委員)規制緩和について全体的な話をしたい。日本の規制は1万2000位あると言われている。この中には、必要な規制もあるし、自然増もある。ここ3年間で、1900件位の規制を緩和した。やり方は二つあり、一つは総務庁から各省へ「緩和するものを一つ出せ」というやり方。これだと、各省は権限の軽い規制から出してくる。これに対し、ここ2年くらいは、内外価格差の大きいもの、外国からやかましく言われているもの、金融証券に関するものなど、目標を定めてやってきた。規制緩和は、ピンセットで魚の小骨を抜くようなものだと言われ、なかなか難しい。業界による規制もあり、誰が規制しているのか見えない面もある。行革委でやっているが、基本的な問題も出てくる。例えば外国為替法改正が行われようとしているが、これによって金融業界が変わってくる。これは、大蔵担当者が自らやろうとしたことであるが、余波も大きい。外為法を改正する際、有価証券取引税をそのまま残すと、すべての取引が外国で行われるようになってしまう。そこで、有価証券取引税法の改正も考えられている。また、建築基準法についても、国際基準に合わせるなどの規制緩和が行われているが、建設省がよく踏み切ったと評価している。
  規制緩和をやりすぎると弱肉強食の世界になるとの心配が指摘されているが、そのため、昨年公正取引委員会の大改革を行い、3部を3局にし、検察でいうと特捜部に当たる特別検査部を新設し、トップに法務事務次官経験者を据えるなどし、水道メーター談合を摘発したり、損保料率の問題を取り上げたりした。後者は業界が自ら廃止した。ようやく公正取引委員会もこうして国際的にも評価されるようになってきているので、御理解いただきたい。

(猪口委員)中央省庁の再編を数合わせでなく考えるべきとの意見に関連して述べる。先ほど述べた住民の利益の水準ということとともに、行革は、とかく内向きに考えられがちであるが、実は国際競争力の問題が重要だと考えている。冷戦終了後、初めて地球的問題を国際的に解決しようとする機運が出てきた。誰がグランドデザインを書くのかというとき、日本の行政が姿を現さないのでは寂しい。日本の行政が、知的指導力、問題への対策力を発揮して、グローバル時代のトラブルシューターとしてやっていけるようになることが大切。戦後日本では、企業は国際競争力を高めた。行政も今次の行政改革で国際競争力を付けるべきである。環境、貧困、識字率、女性の人権、地位の問題等、今後の問題の解決に当たり、日本の知恵が発揮されるような行政を持ちたい。単なるスリム化でなく、本当の意味の能力を高めることが必要と考える。
  危機管理については、やはり諸外国の例を学ぶ必要がある。重油事故も世界各地で起きているわけで、これら海外の事例に学び、重油回収船を海外から借りるなど、海外との協力連携関係を作ることも重要である。

(6) 会場参加者高田弘子氏から、別紙5のとおり意見が述べられ、これについて以下の意見交換が行われた。

(水野委員)機関委任事務については、責任の所在がはっきりしないという問題があり、これを整理しようとしている。これと別に縦割りの問題があり、これらが末端で絡みあって、苦労されているものと思う。我々委員が、それぞれの組織などを代表しているのではないかとの指摘は残念である。メンバーの数が限られているのであらゆる立場の方をメンバーにすることはできないが、本日のように広く意見を聞く機会を設けて、出てきた問題を行革会議の俎上に載せようとしているところである。

(有馬委員)省庁内部での縦割りを是正しろという意見には全く同感である。例えば、教育でも、文部省には初等中等教育局、高等教育局があり、生涯学習局もある。これらをなるべく統一的にしようとしている。
  「地方」という言葉の問題点が指摘されたが、私自身は「地方」という言葉はなるべく避けている。東京も名古屋も地域社会の一つであるという意味で、「地域」という言葉を使うようにしている。中央と地方ということでなく、それぞれ皆地域であるという考えでやっているので、理解してほしい。

(猪口委員)一人の研究者として行革会議に参加しているが、自由な立場として発言しており、発言に圧力をかけられたことはない。開かれた会議であって、プロセスも従来と違うことをやろうという志が見える。学者委員が多く、専門的良心に照らして自由な発言ができる。その点について心配はないと思うが、なお留意したい。
  NGOやNPOについて、各国で新たな動き、波が出ている。その一つは、スケールアップして、政府と連携関係に入り、自分たちの主張を反映させようということである。魂を売るのではなく、戦略的にやっている。これがNPOの模索している道のような感じがするので、紹介しておきたい。

(7) 会場参加者近藤牧雄氏から、別紙6のとおり意見が述べられ、これについて以下の意見交換が行われた。

(有馬委員)食糧の問題は心配であり、ある程度自給する必要があると考えている。日本だけのことではなく、世界の食糧という観点で考えることは重要で、外国に対する技術支援は是非続けてほしい。現在世界に60億の人口があるが、2050年には100億になると言われており、このとき食糧がどうなるかが問題である。日本だけを見るのでなく、世界をにらむという視点が必要だと思い、同感である。

(水野委員)農業に関しては、専業農家を本当に大切にしているのかが、農政の問題である。焦点がきちっとせず、全体としてどう考えるかが定まらないまま、その場その場で農政を行っていることが問題である。ウルグアイラウンドの対策費にしても、所得政策なのか、食糧安保なのか、環境問題なのかあいまい。

(豊田委員)デンパークを是非見せていただきたいと思う。

(8) 会場参加者伊藤明人氏から、別紙7のとおり意見が述べられ、これについて以下の意見交換が行われた。

(水野委員)民間人の登用が大切だという意見はおっしゃるとおりであり、難しいがやるべきである。行革会議事務局の調査員は26人いるが、半分は民間から出向している。質問に対する答にはならないが、このように足下から実行している。

(有馬委員)縦割りの問題として、競争原理としてはメリットがあるという御意見であるが、例えば科学技術会議というような統合的な機関を上に置くのがよいと思う。
  首都圏移転の問題については、すべてを捨てて引っ越せるかどうかは分からないが、考えに入れておきたい。

(9) 各委員から、以下のとおり感想が述べられた。

(有馬委員)地域の方々の率直な意見を賜り、大変感謝している。参考にしたい。

(水野委員)心からお礼を申し上げる。

(豊田委員)大勢の方に参加していただき、参考になった。今回の橋本総理は本気であると感じている。首相が本気ではないとしてやじる向きもあるが、これについて私自身反論している。改革を完成しないことには日本は本当に駄目になる。
  企業側も、規制緩和を中心に痛みを伴うが、関係団体が一致して支持、後援したい。国民の支持、世論の結集が必要であるので、よろしくお願いしたい。

(猪口委員)総理大臣が会長である会議の重みということもあろうが、名古屋の人がこれだけ熱心にやってくれたということで、ますます重要性についての認識を深めた。専門家として、できる限り貢献したい。
  国民の半分は女性で、少子高齢化の時代にあって、女性の能力を社会の中心に位置づけてほしいと考えているが、こういう観点からも、唯一の女性委員としてがんばりたい。ローカルとグローバルの両面から、日本の行政をレベルアップさせるようにがんばりたい。

(豊田委員)今国会では外為法、日銀法、金融検査監督庁などの法案が提出され、大改革が行われようとしていることを報告しておきたい。

6 参考事項
 次回の一日行政改革会議は、平成9年3月13日、仙台市内において行われる予定。

以上

(文責 行政改革会議事務局)