−速報のため事後修正の可能性あり−
1 日時 平成9年3月19日(水) 18:00〜20:00
2 場所 内閣総理大臣官邸 大食堂
3 出席者
(会議)
橋本龍太郎内閣総理大臣(会長)、武藤嘉文行政改革担当大臣・総務庁長官(会長代理)、芦田甚之助、有馬朗人、飯田庸太郎、猪口邦子、河合隼雄、川口幹夫、佐藤幸治、塩野谷祐一、藤田宙靖、水野清、諸井虔、渡辺恒雄の各委員
(有識者)
住田正二東日本旅客鉄道株式会社最高顧問(元運輸事務次官)
(政府)
古川内閣官房副長官、田波内閣内政審議室長
(事務局)
水野事務局長(再掲)、八木事務局次長
4 議題
(1) 住田正二氏との意見交換
(2) 主要論点項目(案)について
5 会議経過
(1) 住田JR東日本最高顧問から、予算の無駄遣いをなくすための方法、規制緩和の推進と自己責任原則の確立の必要性、行政の抵抗を排除するための人事改革等について説明があり(別紙参照)、これを受けて以下の意見交換が行われた。
・ 局長、次官の収入が少ないという問題もあり、天下りをなくすためには待遇を変える必要があるのではないかとの質問に対し、住田氏より、待遇面を含め制度的に種々の手当てが必要であろうとの回答があった。
・ 優秀な官僚OBを大学教授として進んで受入れている現実があるが、天下りの制限対象に大学も入るのかとの質問に対し、住田氏より、天下りの制限を提言したのは民間企業との関係においてであるとの回答があった。
・ 予算の無駄遣いが生じる背景の一つに予算の年度内消化の原則があり、これを緩和すると無駄が減ると思うとの指摘に対し、住田氏より、民間企業では予算を余らせるのは良いことであり、官庁においても翌年度に繰越して流用できるようにすべきであるとの発言があった。
・ 天下りの制限に関連して、米国ではリボルビング・ドア(回転扉)といわれるように政策立案に携わる人々が官と民の間を往復しており、民間シンクタンクが主な受皿となっている、日本でも民間にこうしたシンクタンクが林立すれば官庁だけで政策を立案することがなくなり、市民全体で良い政策を立案するようになるのではないかとの意見があった。これに対し住田氏より、今回提案している天下りの制限はまた次元の異なる事柄であり、予算の無駄遣いを減らし規制緩和の妨げをなくす観点からのものであるとの説明があった。
・ JR東日本の株主が清算事業団のみであったときと、一般株主が生まれた現在とで経営に変化があったかとの質問に対し、一般株主が生じて以降株主代表訴訟を意識しなければならず、かなりの緊張があるとの回答があった。
・ 国鉄からJRになったときに従業員の意識変化にどの程度の時間を要したかとの質問に対し、住田氏より、不沈艦といわれた国鉄でも分割民営化されたこと、雇用問題を経験したこと等を背景として思ったより早く意識改革がなされ民営化成功の重要な要因となったとの説明があった。
・ 公共投資に関連して10〜20年先の需要を見越した投資は国にしかできないとの理由付けには一理あるのではないかとの指摘に対し、住田氏より、採算を無視して国が行わなければならない投資もないとは言わないが、多くは計画がずさんなものであり、20年、30年先を考えても無駄なものであるとの見解が示された。これに関連して、住田氏見解に従えば計画の合理性をチェックする以外に方法がないということかとの重ねての質問があり、住田氏より、港湾に限って言えば現在の中期計画は貨物の大交流時代の到来を想定しているが、そうした前提そのものに誤りがあるとの指摘があった。
・ 官僚の行動様式である権益追求と民間性善説を認めることが両立するかとの質問があり、住田氏より、天下りのために権益・規制を追求するのであって、天下り制限等の条件が整えば自己責任原則に基づく性善説と両立し得るとの回答があった。
・ 国民代表訴訟制度を導入すると嫌がらせの訴訟が増えて行政効率が落ちるのではないかとの指摘に対し、住田氏より、例えば行政監察等でのスクリーニング等の措置を講ずることにより、濫訴の弊害は排除可能であり、国家公務員にも訴追される可能性が出れば公務員の行動が変わってくると考えるとの意見が述べられた。
・ 性善説とはいっても談合などは必ず起こるとの指摘に対し、住田氏より、談合は性善説とは無関係であり、国鉄からJRになって購買も入札から相見積りに変わり20%以上のコスト削減ができたとの紹介があった。
・ 官僚の定年を延長すれば天下りはなくなるのではないかとの意見に対し、住田氏より、定年延長は天下りの縮小に一層の効果があるとの見解が示された。
・ 省庁を再編し、大括りとすることについてどのように考えるかとの質問に対し、住田氏より、再編の前に仕事を減らすことが重要である、国と会社とでは異なるがJRの場合には7会社に分割して良くなった、大きな組織が良いとは一概に言えないとの回答があった。
・ JRの成功は、清算事業団に債務を移し、余剰人員も負担しないで事業資産も継承したことの効果も大きいとの意見があり、住田氏より、JR各社も多額の債務や余剰人員など重い負担を負って発足したとの説明があった。
・ 科学技術や研究の分野では外部評価を取り入れているが、港湾等の分野ではそうしたシステムがないのはおかしいとの意見に対し、住田氏より、昨年行政監察局から監察結果が出て無駄が指摘されているがその指摘が尊重されていないことに問題がある、またこうした事後評価だけではなく、担当者レベルからの意識改革や国民代表訴訟の脅威などの事前の抑制システムが必要であるとの指摘があった。
・ 省庁を大括りすれば、現在は県レベルでなされていると前提されている公共投資のニーズが国レベルで冷静に判断されるとの意見に対し、住田氏より、港湾関係に限れば現実には中央省庁で立案している、地方分権が言われるが現在の都道府県の規模を前提とする限り県レベルでは十分こなせないのではないかとの発言があった。
(2) 事務局より、前回会議において提示された主要論点項目(案)について説明があり、これを受けて今後の進め方等について以下の質疑応答が行われた。
・ 4月の委員意見開陳の進め方等について質問があり、事務局より、主要論点項目の中で特に関心の深い事項を中心に開陳願いたい、各委員の意見はそれぞれの専門からのもので何ら差し支えないと考える、委員意見は整理のうえ会議の了解が得られれば5月に公表の運びとしたいとの説明があった。
・ 5月以降の省庁ヒアリングはポイントを絞って聞くべきである、また、事前に各省庁の説明資料を委員に配布してほしいとの意見があり、事務局より、しかるべく対応したいとの回答があった。
・ 危機管理等の問題について委員間の合意が得られる場合には、11月前に対処方策を提起してはどうかとの意見があった。
(3) 次回会議は、4月2日午後2時目途から開催することとされた。
以上
(文責 行政改革会議事務局)
連絡先:行政改革会議事務局 高野(電話03-3581-2641) 根本(電話03-3581-0270)
別紙
平成9年3月19日説明資料
住 田 正 二
一 予算の無駄遣いをなくすために
1 目に余る予算の無駄遣い
(1) 新聞、雑誌、テレビの報道
(2) 港湾における予算の無駄遣い
2 何故無駄遣いが起きるか
(1) 公務員のモラルの低下
国民の貴重な税金を扱っているという自覚の欠如
予算をとると自分が自由に使える金という意識になる
(2) 数あるチェック機能が働いていない
縦割り行政
シーリングによる予算の既得権化
3 無駄遣いをなくす方法
(1) 公務員の倫理観の再構築
(2) 公務員の責任の明確化
@ プロジェクトにかかわった者の氏名を明示
A 国民代表訴訟制度の創設
民間企業は株主代表訴訟制度を常に意識する
(3) 予算制度の改正
@ 国の直轄事業をやめる
A 高率補助をやめる
B 予算の一律削減
二 規制緩和
1 規制緩和についての基本的な考え方を確立する
自己責任の原則に立つ
具体的な基準として
@ 性善説に立つ
企業は自己責任の原則に従って行動している。性悪説に立つと規制は際限がない。
A 民事不介入
企業は自己責任の原則に立って商売しているから、行政の介入の余地はない。
B 画一的な扱いをしない
画一的な規制をするから、規制は必要以上に厳しくなる。企業の自己責任を前提に、規制の方法を考えるべき。
2 具体的な法令の整理は専門家に任せる
基本原則をどう適用するかは、省令、通達の整理を含め、専門家(法制局)に任せること。
ただしフォローアップは必要。
3 具体的な処分についてその責任者を明確にし、後に誤った処分をしたことが明らかになったときは、処分を受けた者が責任者に損害賠償をすることができる制度を導入する。
三 行政の抵抗を排除するために
1 天下りの必要性をなくす
上級公務員の採用を減らす。
定年まで勤務する。
一律昇進制度をやめる。
天下りは課長までとする。
2 選挙の立候補の制限
選挙は業界との癒着を増進する。
選挙の立候補は課長までとする。
3 在任中最低二回二年ずつ、民間企業に出向する。
4 品性について問題がある公務員は絶対に局長、場合によっては部長にもしない。