−速報のため事後修正の可能性あり−

大阪一日行政改革会議議事概要


1 日時 平成9年3月26日(水) 14:00〜16:15
2 場所 大阪市 ホテル大阪ガーデンパレス 2階 桜・桐の間
3 出席者
(行政改革会議)
猪口邦子、河合隼雄、佐藤幸治、水野清の各委員
(会場参加者)
約250名
(事務局)
水野事務局長(再掲)、坂野参事官(司会)

4 議題
(1) 基調説明
(2)会場参加者との意見交換

5 会議経過
(1) 大阪府山田勇知事から、歓迎のあいさつがあった。
(2) 行政改革会議水野委員から、開会のあいさつ及び行政改革の推進体制について基調説明があった。
(3) 会場参加者児嶋祥悟氏、伊東文生氏、田中裕子氏から、それぞれ別紙1、別紙2、別紙3のとおり意見が述べられ、これについて以下の意見交換が行われた。

(猪口委員)政府のリーダーシップ発揮に関して、日本では問題があると制度そのものを変えて対応しようとする。英国では強いリーダーシップが発揮されているが、制度変更によらない改革によって実現されている。内閣や官邸の機能を高め、早期に対応できる形にしていくことが大切だが、制度を変えなくとも、スタッフや情報機能の充実によってできるように考えていかなければならない。
行政の国際競争力を高めていくためには、アジェンダ・セッティング能力を高めていく必要があり、そのためにはエフィシェンシー(効率性)とエンパワーメント(実力をつけること)が大切である。
情報機能の強化に関しては、内閣で手を付けるということだろうが、できることから実行していくことが重要である。
公務員の採用に関しては、新しい時代の先取りもみられる。世界を広く見てきた国際感覚のある人材を公務員に任用していくことが必要ではないか。

(河合委員)縦割り行政を是正していくためには、縦割りの壁を破ってダイナミックに動ける人材が必要である。また、一つの問題に対して色々な省庁から人材を集め、プロジェクト的に対応することを考えてもよい。
総理のリーダーシップの強化に関しては、日本人の意識として権力の集中を嫌うところがあり、これまでリーダーシップのある総理の評判は概して悪かった。これからはリーダーシップのある総理を支えていくことが大切であり、公務員のみならず日本人全体の意識改革が必要である。

(水野委員)財政赤字は現在520兆円にのぼり、GDPとほぼ同額である。間もなく600兆円に膨らみ、個人金融資産1200兆円の約半分の規模を占めることになる。親方日の丸で、会計をしっかりやってこなかったし、ディスクローズ(情報公開)もきちんとしてこなかった。そしてプラザ合意以降、大型補正を繰り返してきたことが今の状態を招いたわけであるが、こうした流れを変えていくしかない。これが行革の基本であると考えている。
憲法改正に関しては、行政改革会議では考えていない。今の政治情勢の中で改憲しようとすると、行革自体がどうなるか分からなくなる。
年金問題に関しては、5.5%の利回りで120兆円が積み立てられており、法律によってそれがすべて財投に回っている。郵便貯金の流れも含めてその仕組みを再考する必要がある。
中央省庁の業務に関しては、政策立案と現業に分けて、現業の部分を株式会社化、エージェンシー化しようと考えている。ただし、昔の食糧庁のような大掛かりなものを作るということではなく、ゴミ処理や学校給食などの仕事に競争原理を入れていこうということである。

(佐藤委員)日本の政治システムの中で、内閣、総理のリーダーシップが発揮されないよう考えてきたところがあるが、それは我々日常の生き方そのものであったのではないか。しかし、今はそれでは済まされない。現行憲法の下でもやれることが多々あるが、今まではそれを放置してきたところがあり、何とかしたいと考えている。英国では政党の党首を見て、また何をやるのかを見て国民が投票しており、議院内閣制というより「内閣総理大臣制」というべき状況である。政治的なリーダーシップは正に政治の問題であることを考えれば、我々の投票行動を変えていくという手もあろう。他方、強い権力には危険も伴うことに留意する必要があり、国会、裁判所もそれぞれの役割を十分果たすべきである。

(4) 会場参加者生駒伸夫氏、名賀亨氏、厚地諭氏から、それぞれ別紙4、別紙5、別紙6のとおり意見が述べられ、これについて以下の意見交換が行われた。

(水野委員)株式会社の農地取得問題に関しては、株式会社が法人税を払って農業をやっていく分には何も問題ないのではないか。問題は農地を転用する可能性があることで、農水省はその点を工夫すればよいのではないか。
  農業には産業の側面だけではなく、多面的な価値があることは認識している。しかし、ウルグアイラウンドの6兆円が批判されているのは、所得政策なのか、環境政策なのか、食料安全保障の問題なのか、曖昧なまま情緒的に決められたことに問題がある。減反の問題もそうであり、もっと総合的な議論が必要である。
  地方分権に関しては、今の制度は、地方で何かやろうとする場合、県や国に伺いを立てなければいけないようになっており、極めて良くない。こういった点を改めるべく、今、地方分権推進委員会で検討してもらっている。
  NPOの支援に関しては、積極的に取り組んでいかなければならないと考えている。ただし、悪用するケースが出てくると問題であり、そこをどう排除しながらやっていくかが難しいところである。

(河合委員)ボランティア活動は今後ますます大事になってくるが、中には性善説に立って活動していないケースもあり、そこをどうするかが難しいところである。
  省庁の縦割り是正に関しては、壁をそのままにしてプロジェクト的に問題に対処していくのがよいのか、あるいは統合して壁を取り払ってやったほうがよいのか、いろいろ思案しているところである。

(5) 会場参加者津村明子氏、奥田直幸氏、野田敏彦氏から、それぞれ別紙7、別紙8、別紙9のとおり意見が述べられ、これについて以下の意見交換が行われた。

(佐藤委員)男女共同参画に関しては、制度的にはかなり是正されつつある。問題は我々の意識であろうが、その点についても今後いろいろ積み重ねていく中で徐々に変わっていくのではないか。
  学校教育の問題に関しては、偏差値偏重などにみられるように日本人の発想が膿んでいる。企業も出身大学に基づいて採用してきたことが付けとして出てきている。テストのやり方などの制度を変えるだけでは駄目であり、我々の意識を変えていかなければならない。点数だけではなく、その他の面も考慮していくというやり方をどれだけ許容していくかにかかっている。
  「税金を取られる」という意識を是正していくためには、地方分権を進め、「これだけ払えば、これだけのサービスを受けることができる」ということを目に見えるようにすることが重要である。会計検査院の検査にも工夫の必要がある。情報公開を徹底することも国民の納税意識を高めることにつながっていくことになろう。
  行革の取組みに関して、「大風呂敷を広げてやれるのか」と言われることがある。しかし、もう個別の問題に対処しているだけではやっていけない時代になっており、行革によって国全体の形を作っていかなければならない状況にあると考えている。

(猪口委員)男女共同参画の問題に関しては、行政改革会議に提出されている「主要論点項目」の中にも入っており、今後検討していくことになっている。我が国の男女共同参画の水準は経済水準にふさわしくないレベルにとどまっており、その格差を埋めていくためには内閣に近いところでこの問題を扱ってほしいと考えている。行政の国際競争力という観点からもこの問題をチェックしてみる必要があろう。諸外国は男女共同参画問題を解決してきているが、どうして日本でそれができないのか、何をしなければならないのかを考える必要がある。
  学歴、少子化の問題に関しては、マイナスの側面だけを見ずに、どう活かすかを考えていくことが実践的であろう。一人一人に教育を施すことに力を入れていくこともできるわけで、そうすれば学歴社会が変わっていく可能性もある。
  NPO、ボランティアに関しては、重要な役割を担っていくことになると思う。人は他人に役立ったときに成長していくのではないだろうかと感じている。
  危機管理に関しては、その対象として、1)国防、2)重大緊急事態、3)重大事件、4)自然災害、5)重大事故、6)その他(O−157等)などがある。従来はどちらかといえば国防等が重視されていたが、今は自然災害や事故などに関心が集まっている。今後内閣で危機管理機能を強化する場合は、そのようなことにも注目して検討していくことが必要である。危機に対応していくためには、マンパワーが必要であるが、これをいかに素早く動員して効率的に対処していくかが重要である。その際にはNPOの協力をどのように取り付けるかといったことも行政の課題となろう。海外のNPOがよく使うスケーリング・アップという言葉があるが、海外ではNPOが行政をうまく活用することによって自分たちの目的を達成している。

(6) 意見交換を終えるに当たり、4人の委員から次のような感想が述べられた。

(佐藤委員)会場の皆さんも日本の現状に対して厳しい認識を持っておられると痛感した。我々は、司馬遼太郎の言葉を借用すれば「この国のかたち」をどうするかということの検討を開始したところである。その動向は国際社会も注目しており、やれなければ国民も国際社会も失望してしまう。そうならないようにしなければならないとの思いを改めて強くした。これからも皆さんの意見をぶつけてもらいたい。

(水野委員)行革が失敗すると、間違いなく橋本内閣もなくなる。皆さんのご支援をいただきたい。5月、6月になってくると、省庁の統廃合案も出てくる。きちんと報道するので、おかしいと思うようなことがあれば投書などをお願いしたい。

(河合委員)日本が好きであり、この国のために役立ちたいと思っている。皆さんの何とかしたいとの思いがひしひしと伝わってきた。今後とも努力していきたい。

(猪口委員)政治がリーダーシップを持つ必要性は多くの方が指摘している。しかし、強いリーダーシップには問題も多い。重要なことは、何のためのリーダーシップなのかを正当化できるように考えておくことである。初動体制がないために人命が奪われていることを考えれば、人命重視、救助という点で正当化できるのではないかと考えている。

6 参考事項
次回の一日行政改革会議は、平成9年4月9日、福岡市内において行われる予定。

以上

(文責 行政改革会議事務局)