−速報のため事後修正の可能性あり−

行政改革会議第9回議事概要


1 日時 平成9年4月2日(水) 14:00〜16:00
2 場所 内閣総理大臣官邸 大客間
3 出席者
(会議)
武藤嘉文行政改革担当大臣・総務庁長官(会長代理)、芦田甚之助、有馬朗人、飯田庸太郎、河合隼雄、川口幹夫、佐藤幸治、塩野谷祐一、豊田章一郎、藤田宙靖、水野清、諸井虔、渡辺恒雄の各委員
(政府)
古川内閣官房副長官、田波内閣内政審議室長
(事務局)
水野事務局長(再掲)、八木事務局次長

4 議題
  委員からの意見開陳(その1)

  5 会議経過
(1) 有馬、河合、佐藤、塩野谷、藤田、諸井、渡辺の各委員から、行政改革の理念、他の5つの改革との関係、国家機能の在り方、組織改革の基本的な視点、中央省庁の在り方及びその再編の基準、内閣機能の在り方・危機管理体制の在り方、関連する行政諸制度の改革の方向等について意見の開陳があった。 各委員から開陳された主な意見は以下のとおりである(なお、有馬委員及び諸井委員の意見につき別紙1及び2参照)。

・六大改革は、金融改革を尖兵とし、行革を要とする一つの改革であり、これを総合的、一体的かつ迅速に進めなければならない。

・自律的個人を基盤とする自由な社会の形成を目指す上では、行政の改革とともに、国会の立法機能と行政監視機能を高め、また、法曹人口の拡大などの司法改革も行うことが必要である。

・地方分権を進める上で、道州制の導入及び基礎自治体を300前後に統合することが必要である。

・1)国家の存続、2)国の富の確保、拡大、3)国民生活の保障、4)教育や国民文化の伝承等という4分類はおおむね妥当であるが、これに加え、科学技術(狭義の科学技術に防災や環境を考慮に入れたもの)を第5の国家機能として独立させるか、ないしは第4の機能を「教育と文化」、「科学技術」に分けることを提案したい。

・縦割り行政の弊害については、省庁の大括りによる再編が唯一の処方箋ではない。ただし、各省庁に属する官僚達の組織への過度の帰依が最大の根源であれば、省庁再編は大きな効果を持ち得る。

・中央省庁をある程度大括りとする方が効率的である。その際、文化・教育・学術研究に注意すべきである。

・課題に従ってプロジェクト・チームをつくり、局や省を超えて、政策の企画、立案などを積極的に進めることを多くすべきである。

・いわゆるエージェンシーの導入についても、企画立案機能のうち何が中央省庁に残されるべきか、外部に出しても差し支えないものは何かという角度からよりきめ細かく分析する必要がある。

・国立大学の民営化に関しては、先進諸国の大学がほとんど国公立であること、私立大学の多いアメリカでも私大の学生数の割合は日本より小さいことなどから、民営化が適切か疑問がある。

・国公立大学は私学化すべきである。

・公的貯蓄%投資機構の見直しと民営化は、規制緩和・地方分権と並んで行政改革の尖兵となるべきものである。

・省庁再編に当たり、まず郵政三事業をどうするかを決定する必要がある。通信政策、電気通信、放送行政の通信・放送関係3局と、郵務、貯金、簡易保険の3局は、あまりに業務の性格が違いすぎ、これら6局を合わせて1省としておく理由はない。もし、三事業民営化に反対が強ければ、最小限外庁化すべきである。

・政策目標の一元的設定を総理官邸において行い、それを実現する手段の執行を各省庁において行うという体制ができるようにすべきである。よって、省庁の再編成と官邸機能の強化とはリンクして考えなければならない。

・内閣法第6条については、改正しなくても解釈と運用で相当程度の対応が可能である。

・内閣法第6条を改正して、首相の指揮権を強化し、非常事態に際し、行政各部を直接指揮し、また閣議にかけずに緊急な決定をすることができるようにすることは、憲法に違反しない。

・危機管理のための特別の組織の設置も一つの方策である。また、情報アクセス権を含む情報の収集能力及び分析能力の強化が重要である。また、国民の安心感の確保という観点からも、危機に際し執られた措置についての速やかな情報公開が重要である。

・総理大臣に直結する補佐体制をつくるべきである。危機においては高度の専門知識を必要とすることが多いので、民間の専門家に委嘱しておくことも考えられる。

・生首は切らないことを原則とするとともに、倒産に伴う失業に対して、官民、労使こぞって最大限の努力をすべき。

・金融ビッグバンに伴って金融恐慌が起こることは絶対に防がねばならない。その危険が生じた時は政治があらゆる方策で対応し、パニックを起こさせないとの決意を予め表明し、国民の合意を取り付けておくことが必要である。

・省庁間のみならず、官民(学者も含む。)の人材交流をもっと図るようにすべきである。

・東大出身者の公務員採用を抑えるよりも、法学部出身者の採用を抑えるべきである。そのため、試験の比重を経済に移すべきである。

(2) 次回会議は、4月16日に開催し、芦田、飯田、猪口、川口、豊田の各委員から意見の開陳が行われる。

以上

(文責 行政改革会議事務局)


連絡先:行政改革会議事務局   高野(電話03-3581-2641)  杉山(電話03-3581-0272)


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別紙1
「主要論点項目」に対する意見

行政改革会議 委員  有馬朗人

1.我が国は、グローバリゼーション等の進展による国際的な競争の激化、産業の空洞化、高齢化、少子化による社会の活力低下等の課題を抱えており、その解決は、我が国が今後とも発展していくのに不可欠なものである。また、人類の将来には、地球規模の諸課題として、環境、食糧、エネルギー問題等が立ちはだかっており、我が国は国際社会への主体的寄与という観点からもこれらに積極的に対応していくことが必要である。

2.これらの重要課題に対し、我が国はどのように迅速かつ効果的な施策が展開できるかが問われており、我が国が将来にわたり、世界のフロントランナーの一員としての地位を担っていくためには極めて大きな問題である。行政改革の論議においては、このような視点を踏まえた国の機能論、省庁再編の検討も必要であり、単なる数合わせの論議のみが先走ってはならないと考える。

3.ところで、科学技術の振興は、我が国のみならず人類共通の「知的資産」を創成・活用し、未来を切り拓いていく活動であり、他に資源を有しない日本にとっては、その重要性は他の国々のそれと比較にならぬほど大きいものである。科学技術の振興なしには21世紀において日本の活力を維持、発展させることは不可能である。このことは、「科学技術基本法」の制定および「科学技術基本計画」の策定の過程において、十分に論議、認識されており、その一環として、「科学技術の振興に関する総合的な施策の策定及びその実施は国の責務」であるとされている。

4.前回の会合において総理が、科学技術が国のあらゆる機能に関連すると考えられるとして発言されたことには、私も同様の感想を持っており、4つの国家の機能は誠に要を得たものであるが、他に代替案が無いものかどうかも論議をしては如何かと考える。科学技術については、第4の機能として、「教育」、「文化」とをひとくくりとした行政体制の提言が見られ、これは大学が教育と研究の二面性の役割を持つことに由来すると思われる。しかし、教育とくに初等中等教育は人間の育成に中心があり、かたや科学技術は知の創出を目的としていることから、この両者の役割の相違に十分留意しなければならない。

5.以上のような論点を踏まえ、科学技術が、科学技術基本法にもあるとおり、我が国及び人類社会の将来の発展のための基盤であり、科学技術に係る知識の集積が人類にとつての知的資産であることにかんがみれば、科学技術創造立国を推進するため、「国家の存続」、「国富の確保、拡大」、「国民生活の保障」、「教育、国民文化の伝承等」の4つの国家機能に加え、科学技術の振興を中心とする「知的資産の創成」を「第5の国家機能」として位置づけることが適当であると考える。

別紙1の表1

諸外国における設置者別大学数と在学者数

大学数
(校)
割合(%)在学者数
(千人)
割合(%)人口千人当たりの
国公立大学の学生数(人)
イギリス国 立※87997539912.94
(1993年現在)
公 立
私 立
88100753
フランス国 立87861,3369823.12
(1994年現在)
公 立
私 立141422
1011001,358100
ドイツ州 立260801,8279822.41
(1994年現在)
公 立
私立652030
3251001,857100
アメリカ州 立
公 立
604285,85267 22.7
(1993年現在)
私 立1,586722,88834
2,1901008,740100
豪州連邦立
州 立
359858195 32.18
(1995年現在)
私 立31
36100612100
日本国 立9817599245.46
(1995年現在)
公 立5284
私 立415741,864 73
5651002,547100
※ 中世以来、伝統的に国王勅許の形で大学が設立しているため、形式面では私立に分類されている場合もあるが、運営費の大半を公財政で負担しており実質的に国立として機能。

(各国教育統計資料より作成)

別紙1の表2

国民総生産・国民所得に対する公財政支出の文教関係費の比率

対国民総生産比対国民所得比
初等中等教育高等教育初等中等教育高等教育
アメリカ(1992)4.1%1.2%5.1%1.5%
イギリス(1993)3.3%1.4%4.3%1.9%
フランス(1993)4.1%0.9%4.7%1.1%
ドイツ(1993)2.6%1.6%3.5%2.1%
日本(1993)2.9%0.7%3.8%0.9%

(各国の統計資料より作成)


別紙2

平成9年4月2日

行革会議意見発表要旨

諸井 虔

 今なぜ行革か。
・ 日本は早急に改革を進めないと長期衰退に陥る。
・ 橋本総理の六大改革は一つの改革であり、これを総合的、一体的かつ同時に進めねばならぬ。
・ これまで行政主導、中央集権で国を運営してきただけに、行政改革が六つの改革の要となる。
・ 六つの改革の相互関係