−速報のため事後修正の可能性あり−
5 会議経過
(1) 行政改革会議水野委員から、開会のあいさつ及び行政改革の現状等について基調説明があった。
(2) 会場参加者船津秀樹氏、相馬暁氏、水元尚也氏から、それぞれ別紙1、別紙2及び別紙3のとおり意見が述べられ、これに関連して以下の意見交換が行われた。
(水野委員)3氏の意見を聞くと、我々が目指しているところと同じ点を指摘しており、心強く、また、理解されているとの感を強めた。
3氏の意見から若干離れるが、個人的見解として北海道開発庁の在り方について少し述べたい。現在の北海道開発庁は、農林予算の関係では農水省から、河川、道路の関係ではそれぞれ建設省各局から課長等が出向してきており、予算配分に当たっては、それぞれの本省まで上げている。そこで、自治体から陳情する場合でも、開発局ではなく本省まで行かなければならないという状況にあり、常々、これでよいのかと疑問に思ってきた。北海道に対しては、国から約1兆円の公共事業費が投入されているが、これが十分に活かされていないのは、各省の縦割りが北海道開発庁内部にも及んでいるからであり、これが最大の問題である。北海道の公共事業費として1兆円を出すのであれば、北海道が創造性を発揮し、これを、自己の責任で使うということが必要だと思う。財政の厳しい折から、1兆円が8000億円に削られるとしても、北海道が自主的かつ生きた使い方ができれば、その方がよいのではないかと思う。
このことは、北海道東北開発公庫についても同じことである。以前自民党の行革本部で北東公庫を統合しようとしたことがあったが、北海道のための金融機関を廃止するのではなく、看板を変えるだけにもかかわらずうまく行かなかった。北海道の産業振興を真に考えた政策金融機関は必要だと思うが、道内で第3セクターが鉄道建設を行うにあたり、北東公庫と開発銀行が融資を取り合って競うなど、愚かなことをしている状況にある。公庫の関係は現在自民党が改革を進めているが、政策金融の必要性は認識しており、金融機関を単に廃止してしまうというものではないことを理解していただきたい。
その他、3氏のご意見については、なるほどという感じをもった。
(諸井委員)3氏ともよく勉強されており、行革会議で行われている議論と違和感がない。
相馬氏の提案する「炭素税」については、趣旨はよく分かるが、どのような形で導入し、また課税対象をどうするか等について具体的な考えがあるのであれば伺いたい。
水元氏の、中央省庁の実施機能を北海道開発局のような総合的横割り組織に移行すべきとの議論はごもっともである。
北海道は、都道府県の単位が道州制の単位と一致した特異なケースである。地方分権委員会でも道州制のことはよく議論になる。今回は道州制に踏み込むことはできないかもしれないが、中央省庁の中には、道州制になれば、当該省庁のもつ権限を相当委譲してもよいという考え方をしているところもある。行革会議でも国の出先機関の在り方も含めて検討しているが、国の地方出先機関を統合すると、地方分権を受けた道庁との関係はどうなるのかという点が気になった。
(芦田委員)北海道開発庁があった方がよいかどうかについて、北海道開発庁による公共事業は、道庁の権限とオーバーラップするから、国は道庁に対して一元的に補助をすればよいのであって、北海道開発庁は必要ないという意見があった。一方、水元氏は、中央の発想、縦割りであっては困るが、地元を理解した総合開発庁はあってよいと述べている。これを聞いていて、北海道のように比較的歴史が浅く、かつ、開発が必要なところについては、開発庁のような国の機関が総合的に開発するのがいいのか、開発庁を廃止して道庁にまかせるのがよいのか、迷っているところである。
(3) 会場参加者小林雪夫氏、村井俊郎氏、北良治氏から、それぞれ別紙4、別紙5及び別紙6のとおり意見が述べられ、これに関連して以下の意見交換が行われた。
(水野委員)村井氏の発言に関連して、情報公開について紹介しておきたい。情報公開については、行政改革委員会における約2年間の審議により基本的政策が固まり、閣議決定もなされ、現在総務庁と内閣法制局とで法案作成を進めている。この基本的政策は、前科、前歴、預貯金等の個人情報を守る一方、防衛、外交、捜査などに関する特殊なものを除いて、一般行政情報は広く公開するというように踏み込んだものである。この法改正がなされれば、霞ヶ関の景色は一変するのではないかと思っている。課内の会議、省庁間の合意事項等まで開示することとなり、例えば、公共工事の箇所付けのプロセスなども公開されることとなって政治家の踊り場がなくなるのではないかと思う。こうした情報公開法が生まれる予定であり、注目してほしい。
また、官庁用語が分かりにくいとの村井氏の指摘はその通りであると思う。
小林氏が指摘された郵政事業の問題は難しい。ややすれ違いの答えになるかもしれないが、郵貯・簡保の資金については、郵政職員の努力に加え、大蔵省の金融行政の失敗後、国の保障があるので安心ということでますます国民資金が郵貯・簡保にシフトし、国民の個人預金資産の半分、国民の金融資産全体の六分の一を占めるに至っているという事情がある。これが財投に投資されているが、その出口が非能率な特殊法人であるところに問題がある。郵貯が悪いのではなく、日本全体の経済の仕組みの問題である。年金については、厚生大臣が自主運用の方針を立てたが、郵貯も自主運用に踏み込むかもしれないと思って見ている。自主運用ということになれば、郵政省も集めた金の行き先に無関心でいられなくなる。郵便については、郵便まで民営化してもうまくいかないと思ったり、宅配業者が成り立っているのだから大丈夫だと思ったりしている。いずれにしても、郵政三事業は、今後議論すべき大きな問題点である。
北氏の発言中に「地方からの行革」ということがあったが、日本人の国民性かもしれないが、地方から、「国はこうあるべきだ」という議論が発生し、これが国に切り込まれて来るということがない。そこで、中央で議論を始め、地方の声を聞きながら進めるという形にせざるを得ない面がある。
(芦田委員)3氏の話に共通して、高齢化社会を迎えての給付と負担の在り方に関わる問題が提起されていたように思う。どんな高齢化社会であっても、給付と負担のバランスをとる必要があるし、500兆円という国の負債の中で、給付のみ充実させるのも困難と思っている。医療についても、年金についても、給付と負担のバランスを考える必要がある。
身を切る覚悟が必要という発言があったが、これは互いに負担をするということであろう。「身を切る」ということに関連し、雇用の問題について述べると、改革には必ず対象となる分野があり、そこでの雇用に関わる問題があり得るのであって、雇用に関わる問題が発生することを予期しておくことが必要である。どんなことがあっても、生首を切るような行革は成功しない。ただ、労働者の雇用の保証をその現場に限定すると改革が大変困難になってくるので、広くセーフティーネットを張り、最終的には労働者に心配はかけないような体制をとることが重要である。
(諸井委員)小林氏の地方分権に関する意見は全く同感である。連合が地方分権をバックアップしてくれるということで心強く感じた。
行政改革に伴う雇用問題については、芦田委員と同感である。自分自身、行革会議の中で、生首を切るべきではない、また、民間で限界的企業が倒産した場合、その失業対策に万全を期すべきであるとの意見を述べている。
村井氏の「垂直、閉鎖、規制」から「水平、解放、自律」に変えるべきという主張は卓見であると思う。同氏の指摘した言葉の問題に関連し、審議会でいつも悩むのは、一般に分かりやすい言葉で書くと役人が理解できず、他方役人に分かる言葉で書くと民間に全く分からないという奇妙な現象があることである。自分は「官僚文学」という言葉を使っているが、行革会議の答申の作成に当たっては、一般の人にも分かり易い形にする必要があると思っている。
「痛み」の問題については、痛みがないことが一番よいのであろうが、目先の痛みは起こらなくても、5年、10年先に大きな痛みが来るということもある。今多少の痛みを感じても将来には夢があるという状況であることを御理解いただきたい。
地方分権に関する北氏の発言も概ね同感であるが、地方分権に関する読売新聞のアンケートによれば、北海道は、合併に対する反対が強いということであった。しかし、これから地方分権をやろうという時に、あまりに小さい行政単位は非効率であり、どうしても合併の方向は避けられないと思われる。もっとも合併を強制すべきではなく、合併を促進するシステムを考える必要がある。一つ考えられる解決策は、情報通信のネットワークを張り巡らすことによって、行政サービスを住居地の近くで受けられるようにすることである。いずれにしても、合併問題は難しい問題であり、地方分権委員会の最終勧告まで、まだ相当検討が必要と考えている。
(4) 会場参加者五十嵐徳美氏、辻富美子氏、大黒宏氏から、それぞれ別紙7、別紙8及び別紙9のとおり意見が述べられ、これに関連して以下の意見交換が行われた。
(水野委員)分権問題、地方自治の問題に関連して、今回行革会議が自治省に対して投げかけている主なヒアリング項目を紹介したい。「地方分権に当たり、都道府県、市町村合併その他広域行政体制の在り方、国と地方の間の税財源配分や地方交付税の在り方についてどう考えるか」、「地方行財政制度の企画・運営に関する事務を総理府に帰属させるべきとの意見についてどう考えるか」、「消防行政について、防災・災害対策行政全体との関係及び組織の在り方をどう考えるか」等の質問であり、これらについて自治省から回答があることになっている。
大黒氏の発言は非常に興味深かった。農業問題を議論するとき、農業団体の人や農業行政に携わる人は建前論になりがちで、農業者としての立場で発言しているのか団体等の立場で発言しているのかはっきりしないことが多い。その点、大黒氏の指摘は、実際に酪農等を営んでいる人の立場からのものであり、感銘を受けた。具体的には、役場と農協と農業委員会がバラバラで何をやっているか分からないという話であったが、農水省の政策は、専業農家を対象としているのか、兼業農家も含めて考えているのか、あるいは食糧政策という形で食糧全体を見ているのかはっきりしないところに問題がある。
辻氏の問題意識のうち、食品の安全の問題は、製造者責任制度で解決されつつあるのではないかと思っている。消費者行政の一元化については、辻氏の指摘するとおり、現在の各省庁の多くは生産者を対象とした政策を行っており、消費者側に立って考えていない場合が多いと思う。
(諸井委員)五十嵐氏からの地方財政についての指摘はそのとおりであるが、国税、地方税、その他全部を合わせてその地域に戻しても、現在使っている行政経費に足りず、交付税的なバランスを取らないと財源が足りないところに問題がある。財源の不足と自主性の確保の関係が悩みの種である。それにしても、地方の自主性が生きるような配分方法を採るべきと思われる。
辻氏の「国民生活省」の発想は、生活に関連するところをなるべく一つに括っていこうという行政改革会議の現在の流れと同じ方向である。
農業については、経済界の大部分の人は日本の農業を守るべきとの考え方を持っているが、今の農政で守れるかどうかについて疑問を持っている。農水省は農業基本法等の抜本的改正を考えており、現在審議会で審議しているが、かなり抜本的な対策を出すと思われる。今までの自作農中心主義は間違っていないが、結果として自作農の後継者がいなくなったことから農業の壊滅が危惧される事態になっており、農業の受皿を作り、農業の競争力を付けていくという基本的問題を考えなければならないと思う。その観点で、大黒氏の意見は貴重な意見である。
(芦田委員)消費者行政の問題については、指摘されたとおり、これまでの行政は生活者サイドに立つことがなかったので、これからの行革に当たっては、消費者サイドに立った行政に視点を当てる必要がある。
危機管理の問題がクローズアップされたのは、阪神淡路大震災の時であり、それまでは危機管理は特に論じられることはなく、特に、55年体制の下では、危機管理について議論すること自体忌避されていた感があり、国会で掘り下げた議論がなされなかったことが問題であったと思う。
首相のリーダーシップの問題点についても、首相に大きな権限を与えることの是非については意見が分かれると思うが、首相のリーダーシップは、法律・規則で明確にする必要はあるにしても、リーダーの資質にかかわる面が大きいと思う。吉田茂はワンマンといわれたようにリーダーシップがあったと思うが、阪神淡路大震災の時の内閣は、首相のリーダーシップも危機管理体制もなく、国民の間でもこれでよいのかという議論が出てきたものと思う。ただ、首相のリーダーシップといっても、首相の任期が数ヶ月ではリーダーシップを発揮し得ない。吉田茂も、西独のコール首相も英国のサッチャー首相も長期間首相の座にあってリーダーシップを発揮した。このように腰を落ち着けて国をリードするだけの基盤が必要と思う。
(水野委員)危機管理について一言述べたい。危機管理の問題が深刻に言われ出したのは、村山政権下の阪神大震災、オウムのサリン事件のときである。危機というのはあらゆるケースを想定する必要があるが、最も心配な直下型地震については、一応マニュアルができている状況である。
現在の危機管理の責任者は事務の内閣官房副長官であるが、内閣は少人数である上、その権限は、一般には大きいように見えるかもしれないが、実際は調整機能を有するのみである。そこで、危機管理の責任者を置く必要があるが、少なくとも内閣官房副長官クラスの人を責任者としておこうということを考えている。省庁の統廃合は本来11月に取りまとめるが、危機管理の部分は取り出して早急にやろうと考えている。現在固まっているのは、内閣官房副長官クラスの危機管理の責任者を置くことなどであり、これらについて5月1日の行革会議で決め、8月の概算要求に入れてもらうことを考えている。
不思議なことに、危機は重複して起こることが多い。危機が3つ4つ重なると官邸はパンクしてしまう。我が国周辺で不慮の大事件が起こるときに邦人をどう救出するか、また、大量の難民がきた場合どうするか等について、考え、また、その対策の演習も行う必要がある。
総理のリーダーシップについては、憲法、内閣法は、なるべく総理に権限を与えないような構造になっている。内閣法第6条によれば、総理は、閣議で決めた方針に基づいてのみ各省に指示監督ができることになっているが、総理のリーダーシップの確保のため、会議で検討をしているところである。
(5) 意見交換を終えるにあたり、水野委員から、行革は、内閣にとっても国民にとっても後に引けない大事業であり、御支援を賜りたい旨のあいさつが行なわれた。
6 参考事項
今回の札幌一日行政改革会議をもって、計5回の一日行政改革会議は、終了した。
以上
(文責 行政改革会議事務局)