−速報のため事後修正の可能性あり−

行政改革会議第12回議事概要

1 日時 平成9年5月7日(水)14:00〜16:30
2 場所 内閣総理大臣官邸 大客間
3 出席者
(会議)
武藤嘉文行政改革担当大臣・総務庁長官(会長代理)、芦田甚之助、有馬朗人、飯田庸太郎、猪口邦子、河合隼雄、川口幹夫、佐藤幸治、塩野谷祐一、豊田章一郎、藤田宙靖、水野清、諸井虔、渡辺恒雄の各委員
(説明者)
(警察庁)野田官房長、金重総務審議官
(法務省)頃安官房長、房村官房秘書課長
(労働省)渡辺官房長、征矢職業安定局長、野寺官房審議官
(政府)
古川内閣官房副長官、田波内閣内政審議室長
(事務局)
水野事務局長(再掲)、八木事務局次長
4 議題
(1) 警察庁からのヒアリング
(2) 法務省からのヒアリング
(3) 労働省からのヒアリング
(4) その他

5 会議経過

(1) 警察庁から提出資料に基づき説明があり、これを受けて以下のとおり意見交換が行われた。

・ 国家公安委員会は、GHQ占領下において警察権力を骨抜きにする意図で制定された旧警察法の下で設置されたものと理解しているが、現状において重要な役割を果たしているとは言えず、機動的でもない、また、警察にとって耳の痛い発言をする委員がいないのではないか、との指摘があった。これに対し、警察庁より、委員会は戦前の警察において内閣が変わるたびに警察幹部が替わったり選挙活動の取締りに公正を欠いた等の反省から生まれたものであり、毎週木曜に開催される委員会においては委員から厳しい質問を受けており、地方警務官の処分権もある。また緊急時に通常の開催場所とは別途の地に委員を集め、委員会を開催する等の訓練もしているとの回答があった。

・ 治安・保安機構の一元化に関して、少なくとも麻薬取締官は警察機構に統合すべきであるとの発言に対し、警察庁より、麻薬取締官が逮捕した者について警察で留置する等の協力もしているが、それぞれが同一事案の捜査を行うといったケースもある。麻薬取締官の扱いは厚生省がどのように考えるかであるが、かつての鉄道公安職員については警察と統合し有効に機能しているとの回答があった。

・ 広域捜査に関連して県警間等で軋轢があると聞く。また、公安警察と刑事警察の間も同様である。治安・保安関係機関については分散している意味が無いので一元化した方がよいと考えるとの指摘があった。これに対し、警察庁より、グリコ・森永事件の際に厳しい批判を受け、警察無線も県警間で共通性を持たせるように変えた。また、広域捜査が円滑にできるよう警察法の改正も行った、との回答があった。

・ 一元化については海上保安庁も視野に置くべきではないかとの発言があった。

・ 一元化には権力の肥大化というデメリットがあると警察庁は説明するが、それを回避する措置は何かとの質問に対し、警察庁より、一元化した場合にあっても当該機関を民主的コントロールの下に置くとともに、政治的中立性を保つ必要があるが、公安委員会制度も担保機能を果たし得るとの回答があった。

・ 治安・保安機構の持つ情報については自治体の情報公開条例でも適用除外としている例が多い状況にあるが、警察庁として情報公開についてどのように考えるかとの質問があった。これに対し、警察庁より、情報については国家機密とプライバシーの問題があり、厳密に管理する必要があるが、公開可能なものは公開していく所存である。権力機構のチェックという意味から情報公開は重要だが、現状では公開できる情報とできない情報とが渾然一体となっており、公開には仕分けが前提となる。ちなみに米FBIも情報公開のために大変な人手をかけている。また、公開してはならない情報が漏れないようにすることも大事であるとの回答があった。

・ 交通警察と道路行政、運輸行政の関係が不分明であるとの指摘に対し、警察庁より、例えば自動車の保安基準は運輸省令で定めているが、その策定にあたって警察の持つ情報を提供している、道路構造についても同様であるとの説明があった。これに関連して、3者を一体化したらどうなるかとの質問があり、警察庁より、例えば道路の場合、道路管理者が建設省、農水省などに分かれているが、警察は一体とした規制をすることができ、一緒になる必要性は感じないとの回答があった。

・ 管区警察は通信を主体とする実施部門ではないかとの指摘があった。これに対し、警察庁より、管区内の警察間の調整や管区機動隊の派遣等を行っている。警察事務は国家的性格と地方的性格とを併せ持っているが、皇宮警察を除き、都道府県が執行している。管区単位でできる調整は管区で行うのがよいとの回答があった。

・ 松本サリン事件の際に被害者を被疑者扱いしたが、その後の手当てはどのようになっているかとの質問があった。これに対し、警察庁より、当該事件の際には検証令状を被疑者不詳で請求し第一発見者方を検証し、記者会見においても被疑者扱いにならないよう慎重を期したが、実際には被疑者として報道されてしまった。本件については、国家公安委員会において、結果として被疑者と見られた点についてはお詫びすべきであるとの指摘もあったことから、警察白書において、反省教訓の項を初めて設け、多大の迷惑をかけ、申し訳なく思う旨意思表明を行ったことを記載したところであるとの回答があった。

(2) 法務省から提出資料に基づき説明があり、これを受けて、以下のとおり意見交換が行われた。

・ 出入国管理等の一元化が困難とする法務省の説明は管理・取締りの実効性や効率性を論拠としているが、適用対象となる利用者側からすれば一元化した方が効率的であるとの指摘があった。これに対して、法務省より、重複があるのであれば早急に改善すべきであるが、それが入国管理、検疫、税関の問題であるとすればそれぞれの趣旨・目的が違うので若干の重複があってもやむを得ないとの発言があった。

・ 法務省は、出入国管理を治安機関に委ねると入国・在留管理がもっぱら犯罪捜査の観点から行われることとなって問題であるとしているが、これは組織統合の困難性の理由になっていないのではないかとの発言があった。これに対し、法務省より、出入国管理の基本は国際的な人の交流を円滑化することである。欧州諸国では内務省が入国管理を行っている例があり、これも一つの考え方であるが、我が国では在留外国人から自分達は管理の対象かとの問を受けることがあるなど管理の対象とされることに対する反発が強い。こうした問には、人間が管理の対象ではなく、入国・在留等の行為が管理の対象であると答えているとの発言があった。

・ 入国管理局長が外務省のポストとなっているのはなぜかとの質問に対して、法務省より、当該事務が外務省から移管されたという歴史的経緯でそのようになっているが、現状は省庁間の人事交流の活発化に役立っているとの回答があった。

・ 入国管理関係省庁間で緊密な連携を保っているとの説明ではあるが、現実には不法入国者が増えており、適正な処理を行っているとはいかなる意味かとの質問があった。これに対し、法務省より、現在不法就労者は28万人いるが漸減している。密入国の取締りについても法改正で密入国の斡旋者に対する刑罰が強化されたところであり、関係省庁と連携してこれを活用していきたいとの回答があった。

・ 公安調査庁と警察機構の統合は権力の過度の集中を招くと法務省は主張するが、分散すれば能率は落ちる。そもそも日本で分散しなければならないほどの集中が起こるかどうか疑問である。破壊活動防止法は死文化しており、公安調査庁の必要性にも疑義があるので、警察機構に統合する時期にきているのではないかとの発言があった。また、破防法が死文化しているなら団体規制機関としての公安調査庁は不要であるが、情報機関たるならそれらしくすべきであるとの指摘があった。これに関連して、法務省より、破防法が死文化しているとの批判があったことは承知しているが、公安調査庁が調査していたことによる抑止力があったと考える。オウム事件の際にも政府が破防法を適用するという姿勢を示したことで国民の不安を鎮め、オウムがそれ以上のテロ活動を行うことを抑止する効果があったと考えるとの発言があった。

・ 公安調査庁に関する法務省の説明は説得的であったとの意見が述べられた。

・ 公安調査庁に関する法務省の説明は、一方で情報機関の統合には問題があると言いつつ、他方で内閣に情報を統合するシステムを作ることが有益と考えると述べるなど論理がすっきりしていないのではないかとの質問があった。これに対し、法務省より、情報収集機能と分析・評価機能は別のものであって、収集は多元化した上で内閣で分析・評価を行い、政府全体で活用することが重要である。収集した情報を各機関が抱え込んで内閣に上げないことに問題があり、情報に対する内閣のアクセスを認める立場である。内閣情報局を作ったり、公安調査庁と警察機構を一体化すればそれでよいというわけにはいかないことを説明したものであるとの回答があった。

・ 登記・供託事務については、現実には司法書士が書類を作成しているにもかかわらず職員が多い。コンピュータ化等で合理化が可能ではないか。また、独立機関化は困るとの説明であるが、英国においてもすべてのエージェンシーが独立採算で運営されているわけではないことを参考とすべきではないかとの指摘があった。これに対し、法務省より、コンピュータ化には従前から取り組んでおり、登記所の統合も進めている。エージェンシー化については概念が不明確なので想定しうる懸念を述べたにすぎないとの発言があった。

・ 人権擁護委員中の女性委員の比率につき現状の水準を法務省として十分であると思うかとの質問があり、法務省より、現在女性の人権擁護委員の比率は25%であるが、男女共同参画社会の趣旨を踏まえて50%に近づくように努力したいとの回答があった。

・ 公立の学校における体罰は、公務員による民間人(子供)に対する人権侵害であるが、これに対して人権行政はどのように対応してきたか。文部省との関係において不便はないかとの質問があった。これに対し、法務省より、いじめ問題などもあることから、平成6年度より人権擁護委員の一部を子供を重点的にみる専門委員化する等の措置をしており、体罰については学校とのネットワークづくりに努めている。文部行政とは取組みの方法が異なるが、共通の目的があるのでそれぞれの特色を活かして対応しているとの回答があった。

(3) 労働省から提出資料に基づき説明があり、これを受けて、以下のとおり意見交換が行われた。

・ 労働行政と福祉行政の一体化に関し、労働省の説明では、両者は違うと言いつつ、他方では密接な関係があると言うが、両者を一体化した場合にどのような弊害があるのか具体的な説明をしてほしいとの発言があった。また、労働行政は社会を支える側の立場の人を対象としているのに対し、福祉行政は社会が生活を支えなければならない人を対象としているので両者は視点が異なるとの労働省の説明は詭弁である。社会保障制度としてみれば、両者とも国民が国民を相互に支えるということであって、一体的に考え得るとの発言があった。これに対し、労働省より、労働行政は労使関係を対象とし、両者の調整を図るという視点に立っているのに対し、福祉行政は、労使関係ではなく、国民一般が対象となっており、その行政手法に差異と専門性があり、これらを統合すると行政組織として余りに大きなものになり過ぎるのではないかとの見解が示された。

・ 説明では、労働行政は、橋本総理大臣の提唱する国家機能の分類でいうと第3の「生活」ではなく、第2の「経済」に入るというようにも聞こえるがどうかとの質問があった。これに対し、労働省より、労働行政は経済関係省庁のすべてに関係するが、基本的に産業と労働者の著しい力の違いを前提とし、労働側に立ち最低賃金や労働基準を定めてきたものであり、産業行政と一線を画してきた。したがって「経済」に分類できるものではなく、他方、「生活」とも別のものであるとの説明があった。これに対し、各省がそのような考え方をしていては行革はできない、とりあえず反対するという姿勢を改め、各省庁とも積極的に対応すべきであるとの発言があった。

・ 説明で、公共職業安定所をエージェンシー化する場合の問題点について種々触れられたが、これらの問題点は解決可能と思うとの発言があった。これに対し、労働省より、企画と執行の分離と言っても、執行上の諸問題を企画に反映させるための人事交流なども考える必要があり、まず、独立機関化の具体的な内容を整理する必要がある、イギリスのエージェンシーを見ても、その身分は公務員であり、また、その効率性は、職安の利用割合や職員あたりの就職斡旋人数を見る限り我が国より効率性が良いとは言えず、また、定員管理もされていない等の問題点があるようであり、これらを含めて今後問題点を詰めていく必要があるとの見解が示された。これに対して、イギリスのエージェンシーでは、運営委員会が設置され、企画部門と執行部門が十分密接に連絡を取り合っているとの発言があった。

・ 我が国の女性の労働環境については、他のG7諸国に比べて良くないとの国連の調査結果もあるがこれを改善するには何をしなければならないと考えるか、また、行政の姿勢として、女性労働力を男性労働者との関係ではなく高齢者、障害者と常にセットでとらえているのかとの質問があった。これに対し、労働省より、女性と高齢者はこれからの戦力ととらえている。女性の労働力率はようやく5割を超えた状況であるが、これが7割を超えているスウェーデンでも女性に対する差別が問題となっている。国がバックアップして、雇用分野における女性の差別をなくし、女性が経済的に自立できる環境を整え、女性の能力が活かせるようにする必要があるとの発言があった。

・ 労働力の減少が問題となる一方、外国人労働者の受入れ問題があるが、外国人労働者の受入れについてどう考えるかとの質問があった。これに対し、労働省より、外国人労働者については、単純労働者は受け入れないとの政策を採ってきており、当面政府としてはこれを変更することは考えていない。21世紀に向けて問題意識は持っており、外務省、法務省とも連携して対処する必要があるが、外国人を現実に受け入れた国でも種々の問題が生じており、また、我が国周辺の国際情勢も考慮すべきであってすぐに受入れと言うことにはならないと思うとの見解が示された。

・ 現在、労災保険の積立金残高が5兆円余り、雇用保険の残高が4兆円余りと多額に上っており、経済界にはこれに対する不満が大きく、これだけ残高があるのであれば料率を下げるなどしてほしいとの要望がある。また、労災保険と雇用保険について、別の職員が会社に徴収に来るなど非効率であると聞いているが、これらについてどう考えるかとの質問があった。これに対して、労働省より、労災保険については、労災の遺族に対する給付や障害が残った方へ年金給付が支払われることとなっており、積立金はその支払いに必要な額を計算して積み立てているし、雇用保険についても、景気変動に対処するため必要な額を積み立てており、4兆円は現在の失業率を前提として2年分のストックに過ぎず、決して多過ぎるということはない、また、徴収については既に一元化しているとの説明があった。

(4) 今後の会議の運営等について以下のとおり意見交換があった。

・ 各省庁に対して前向きの回答を促すべきであり、自ら、どこが効率化できるか、いかにすれば自らの行政がよくなるかを説明させるべきであるとの提案があり、了承された。

・ ヒアリング項目についてさらに会議の場で委員間で議論すべきであるとの発言があった。

・ 回答資料を読み上げるだけであれば各省庁の説明を省略し、質疑のみとすべきであるとの提案があった。

(5) 次回会議は、5月14日(水)午後3時より、外務省、大蔵省、厚生省からのヒアリングを行う。 以上

(文責 行政改革会議事務局)

連絡先:行政改革会議事務局   高野(電話03-3581-2641)  根本(電話03-3581-0270)

行政改革会議議事概要は、インターネット(官邸ホームページ(https://www.kantei.go.jp/)の「最近の話題」又は「審議会」の欄)及びパソコン通信ネットワーク(PC-VAN及びGサーチ)でも御覧になれます。


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