−速報のため事後修正の可能性あり−

行政改革会議第14回議事概要

1 日時  平成9年5月21日(水)14:00〜17:30
2 場所  内閣総理大臣官邸 大客間
3 出席者
(会議)
 武藤嘉文行政改革担当大臣・総務庁長官(会長代理)、芦田甚之助、有馬朗人、飯田庸太郎、猪口邦子、河合隼雄、川口幹夫、佐藤幸治、塩野谷祐一、豊田章一郎、藤田宙靖、水野清、諸井虔、渡辺恒雄の各委員

(説明者)
(環境庁)岡田官房長、菊池官房審議官、浜中地球環境部長
(科学技術庁)沖村官房長、加藤原子力局長、興官房審議官
(農林水産省)堤官房長、高木食糧庁長官、高橋林野庁長官
(文部省)佐藤官房長、雨宮高等教育局長、林田学術国際局長

(政府)
  古川内閣官房副長官
  田波内閣内政審議室長

(事務局)
  水野事務局長(再掲)、八木事務局次長
4  議題
 (1) 質問項目の追加について
 (2) 環境庁からのヒアリング
 (3) 科学技術庁からのヒアリング
 (4) 農林水産省からのヒアリング
 (5) 文部省からのヒアリング
(6) その他
5  会議経過

(1) 水野委員の提案に基づく農林水産省に対する追加質問項目(別紙1)が了承された。

(2) 環境庁より、共通追加質問項目について説明があり、その後以下の意見交換が行われた。

・環境行政は重要であるが、各省庁に事務が分散している中、環境庁は現状どのような役割を果たし、どのような問題を抱えているかとの質問があった。これに対し、環境庁より、環境庁は公害規制と自然保護を任務として発足したが、1)このうち公害規制については作用法上の権限を付与されたので各省庁との調整も含めてうまく対処できた。しかし、2)地球環境保全などこうした権限を付与されていない分野では、具体的施策は各省庁において実施されており、かつ、各省は環境に配慮しつつもそれぞれの観点から施策を実施しているため、調整官庁としての苦労があるとの回答があった。

・環境関係行政の一元化が必要であると環境庁は主張するが、どのような体制を理想的と考えているかとの質問があった。また、環境問題への対処において日本は世界のフロントランナーたるべきであり、国内においても環境行政を一元化すべきであると主張する一方で、環境行政と関係諸政策との間でチェック・アンド・バランスが必要とすることは矛盾するのではないかとの指摘があった。これに対し、環境庁より、まず環境保全を主たる目的とする行政を一元化すべきと考えるが、その場合でも他の行政分野において環境への配慮を要するものは残るため、この間の調整は一元化した組織で行わざるを得ない、これは外交や通商と同様の問題と考えるとの回答があった。

・環境庁として独立機関化し得ると考える組織はあるかとの質問があった。これに対し、環境庁より、事業を行っている機関をほとんど所管しておらず、自然公園の管理についても現状は許認可事務が主体であるところから、今のままではエージェンシー化しにくいとの回答があった。

・産業振興や国土開発等の行政と環境行政とは公益が対立する問題であり、チェック・アンド・バランスが重要であるとの環境庁の主張は理解できるが、日本では、そうしたチェック・アンド・バランス関係がすぐ風化する傾向があり、環境庁としてこれを実現していくための新たな行政手法の具体案を持っているかとの質問があった。これに対して、環境庁より、ツールを持たずにチェックしても限界があるため、環境行政として一体化しチェックすることが必要と考えており、環境アセスメントはその一例である、との回答があった。なお、本件は追って文書でも回答することとされた。

・広範な環境行政を一元化するためには人材が重要であるが、現在の環境庁は他省庁の出身者が多く、出身元の顔色を伺う姿勢があるのではないか、これまで環境庁として人材の育成にどのように取り組んできたかとの質問があった。これに対し、環境庁より、環境庁は寄集めと言われるが幹部も発足時からの人材が多く、また昭和47年以降は環境庁としての採用をしており中枢課長級まで至っているほか、広く理系の人材も採用しているなどにより人材が育ってきているところであるとの回答があった。

・行政手法に類似性のある大気保全局と水質保全局とを統合して環境保全局とする案もあり得るのではないかとの意見に対し、環境庁より、行政手法は類似しているので、指摘の点は局の所掌範囲の問題と考えるとの見解が示された。

・産業廃棄物等の取扱いが21世紀に向けて重要性を増す中、製品生産の段階からリサイクルや環境への配慮を行うことが重要となっていることについて、環境庁としてどう考えるかとの質問があった。これに対し、環境庁より、環境庁は最終処分場の構造基準や排出規制に権限を有しているものの、全体の構図からみるとごく一部にすぎない、生産段階から無駄をなくし、リユース、リサイクルを進め、最終処分場に持ち込まれるものを極少化することが重要であり、その観点からも全体を所掌する一元的組織が必要と考えるとの回答があった。

・公害への対処を最大の眼目として発足した当初の環境庁は、産業がどうなっても公害対策を最優先するとの発想をしていたが、最近では環境と経済との調和の方向で発想するようになっている。環境問題は世界全体の問題となっており、関心も高い。したがって環境行政は重要である。ただし、一元的組織がよいかどうかは検討を要する。省庁再編の考え方の一つとして企画と実施の分離が言われており、環境庁において方針を示し、各省庁で実施するのも一つの方策であるとの意見があった。

・諸外国ではエネルギー政策と環境政策を一緒に扱う機関があるが、現状はどのようになっているのか、また、日本ではエネルギー政策との関係はどうなっているのかとの質問があった。これに対し、環境庁より、エネルギー政策と環境政策を一緒に扱う外国の機関においては、環境省の下にエネルギー庁が属している例と、環境エネルギー省となっている例とがあり、また、デンマークのようにエネルギー供給の問題が一段落したため環境行政を主体として統合した例もある、追って資料を提供したい、との回答があった。

・冷戦時には軍事力、冷戦後は経済力が国力の指標とされたが、最近では国際社会におけるアジェンダ・セッティング能力と言われるようになっている。環境庁は世界のフロントランナーになることを主張するが、それだけでは弱く、今後は国際社会をリードすべくアジェンダ・セッティング能力を高める必要があるが、環境庁が主張する一元化で、この能力が高まると考えているのか、との質問があった。これに対し、環境庁より、地球温暖化防止の取組みに向けた国際会議においても、諸対策の進捗を評価する指標、レビュー・メカニズムの提案などを日本として提案しており、玄人筋からは評価されている。現在COP3(第3回気候変動枠組み条約締約国会議)の成功に向けて努力しているが、合意が成るとこれに沿って国内の政策体系を整備する必要もあり、温暖化防止の企画と実施を行う行政組織が必要となるとの回答があった。

・環境行政の展開に当たっては、NGOや大学などの知的資源の育成と活用が重要であるが、環境庁としてこれまでどのように取り組み、また、今後、国際競争力を持つレベルまで育成するために、どのように取り組んでいくのかとの質問があった。これに対し、環境庁より、これまでも環境研究所等で育成に取り組んできたが、今後一層努力する必要があるとの回答があった。

(3) 科学技術庁より、共通追加質問項目について説明があり、その後以下の意見交換が行われた。

・1)大学の研究と国立研究所の研究の違いはどこにあると考えるか、2)大学は基礎的・独創的研究を行い、国立研究所は応用研究を行うものと理解していたが、国立研究所も基礎研究にシフトしつつあるとのことであり、そうした現状において大学と科学技術行政の関係についてどう考えるか、との質問があった。これに対して、科学技術庁より、大学は学問の自由に基づいて自由な発想を伸ばすのが基本であるのに対して、科学技術はニーズに基づいて研究開発を行っている、両者の内容は近くなってきているが、科学技術は、目的基礎の分野で、「将来の役に立つもの」を対象としているのに対して、本来真理の追究を行うのが大学であると理解しているとの見解が示された。

・大学と国立研究機関は、人材交流を含め、協力関係を強化すべきであるとの意見があった。

・科学技術という場合に人文・社会科学系が排除される傾向があり、予算面でも冷遇されているが、日本には経済社会構造の変革が求められているにもかかわらず、科学技術は必ずしも社会のニーズに応えていない。こうした現状を改善するためにも、文部省と統合し、共通基盤を形成すべきではないか、との意見があった。これに対し、科学技術庁より、社会科学の取扱いは科学技術基本法制定の際にも議論となったが、人文・社会科学系は自然科学系と学問の方法・内容が異なるので分離されたと承知している、との発言があった。

・海外ではアーツ・アンド・サイエンス(Arts & Sciences)という用語が一般的であるのに対して日本ではサイエンス・アンド・テクノロジー(Science & Technology)となっていることにも表れているように、技術への執着や、技術を使うのは社会であるという認識が欠けている点が動燃事故等を招いたのではないか、との意見が述べられた。これに対し、科学技術庁より、大学研究者の協力を得つつ社会科学との融合を進めていきたいと考えており、現に原子力開発や宇宙開発などのビッグプロジェクトの分野では社会科学者の参加を得て検討している、との説明があった。

・科学技術行政と産業行政を一体化すると、米国から産業助成として批判を受けるおそれはないかとの質問があった。これに対し、科学技術庁より、通信衛星の開発において問題が生じた例等もあり、産業助成にならないような科学技術の振興が必要であるとの回答があった。

・文部省と科学技術庁の所掌する研究の区分の明確化を図り、文部省は学術的な範囲を行い、科学技術庁は実用の手前までのものを実施すべきである、との意見があった。

・1)科学技術行政がいわゆる国の4機能に分類できないと主張するが、これはいずれの省庁との統合もしてはならないという趣旨か、2)専任の大臣が必要であるというが、諸外国を見ても専任とはなっていない、科学技術庁は再編に応じないとの意見か、との質問があった。これに対し、科学技術庁より、1)防災や産業振興、ガン研究、AIDS研究など4機能のそれぞれにある研究開発領域を分離することはできないので、科学技術として一体的に取り扱うことが必要であることを指摘したものである。2)大臣については主として科学技術を所掌する大臣を望む趣旨である。諸外国については、それぞれの事情が背景にあることに留意すべきであり、独では教育・研究・技術省の7割の予算が科学技術関係であるし、英国新政権では閣内相も科学技術振興の任務が与えられ、仏では確かに教育と一緒の扱いだが歴史的には科学技術関係に根があり内部では独立していると承知している。このように諸外国でも科学技術政策の責任体制を明確にして取組んでいる状況にあり、日本でも全体に目配りできる体制とすることが必要であるとの見解が示された。

・科学技術分野においてエージェンシー化し得る機関はどこかとの質問があった。これに対して、科学技術庁より、研究所エージェンシーの例は英国にもあるが、国立研究所を弾力的に運営するとの観点から検討していきたい。現実には、理化学研究所のフロンティア・システムは、海外との人材交流やプロジェクト選定の面で大変うまくいっており、検討に当たっての参考になると考えているとの回答があった。

・科学技術や大学は仰ぎ見るものとの印象を持っていたが、動燃事件をみると基本的な部分に問題がある。科学技術庁としてどのように基本的な部分に目配りしてきたのか、との質問があった。他方、科学技術は重要と考えるが、動燃事故のようなことがあるのであれば、科学技術庁は不要との論が国民の声となろう。本来は、文部省等で行っている研究を社会科学系まで含めて統合的に実施することが21世紀の日本にとって重要であり、関係機構を一体化して科学技術中心の省を作るべきである。関係の研究は国立研究所に移管し、動燃は廃止すべきである、との意見があった。これに対し、科学技術庁より、動燃の事故については原子炉本体と違った部分の事故で迷惑をかけているが、そうした部分で問題が発生したことそのものが問題と理解している。現在、動燃の体質、運営の改善に鋭意努力しており、プルトニウムと高レベル廃棄物関連の研究開発に重点化するなど、民間でできないもののみを実施する方向で検討したい、との回答があった。

(4) 農林水産省より、共通追加質問項目について説明があり、その後以下の意見交換が行われた。

・これまでの農業行政は、主として農協を経由して行われてきたが、農協を甘やかしすぎたために農業が駄目になっているのではないか、住専問題に代表されるとおり農協は困難な問題を抱えているが、例えば地方農政局の検査担当職員もわずかしかおらず、有効な監督・検査などできないのではないか、農協に対する今後の監督政策についてどう考えているのかとの質問があった。これに対し、農水省から、農協経営の在り方については、農協の統合を進め、その数を2000年に500に減少させ、また、これまで3段階の組織があったものを全国連と単協の2段階にすること等を内容とする農協改革法案を既に成立させている。農協職員の規模についてもこれまでの増加傾向に歯止めをかけ、5万人の削減計画に取り組むなどしており、今後も組合員の負託に応えられる農協たりうるよう行政としても努力していきたい、また、農協が行う信用事業については、他の金融機関並みの基準を導入するなど、基盤を強化するとの回答があった。これに関連し、農協は、農民のための組織でなくなっており、農水省は農協から離れる必要があるとの意見が述べられた。

・株式会社の農業経営への参入については、会社による農地取得後の転用が心配なのであればその点の規制を行えばよいのであって、現在の政策は変更すべきではないかとの質問があった。これに対し、農水省から、これについては、会社の資金力、技術力を利用した農業の活性化等を理由とする推進的考え方や、農地の買い占めや騰貴、個人経営の圧迫を懸念する考え方など、様々な意見があり、本年4月から発足した食糧・農業・農村基本問題調査会において、規制緩和の観点のみならず、日本農業の担い手の在り方等、21世紀の農政の在り方の一環として検討したい旨回答があった。

・農水省の組織は、米を扱う食糧庁の他、各農産物毎に組織ができており、食糧安全保障の観点から総合的に考える総合政策部門が欠けているのではないか、こうした現業官庁的な組織体制で、積極的な政策立案、運営ができるのかとの質問があった。これに対し、農水省から、構造改善局など、横断的な部局は一部にあるものの、総合的食料政策に関して検討する部局がないことは確かであり、農政の見直しの中で、国民に応えられるきちんとした形の組織に改善したいとの回答があった。

・土地改良事業に多額の事業費を費やしているが、農道空港を始めとして無駄が多いほか、現行施設の修繕の費用が予算に計上されていないことは問題ではないか。また、農業用水の水利権を上水道、工業用水にも提供するなど、有効に利用すべきではないかとの質問があった。これに対し、農水省から、農業水利施設は現在更新時期に来ているが、都市用水の需要が増加することが予想される中で、都市用水への転用等、農業用水の有効利用を促進したいとの回答があった。

・我が国の農業政策は産業政策ではなく、所得再分配にすぎないのではないか。行政改革委員会の官民分担基準に関する意見によれば、国は、所得再分配や衰退産業の延命を図る政策からは撤退すべきということになっており、こうした政策からは撤退し、地域、国土、環境、食糧確保等の政策と総合し、関連省庁との統合を図るべきではないかとの意見が述べられた。これに対し、農水省から、地域、国土政策との関係については、農林水産行政が全国の8割に及ぶ国土をカバーする地域を対象としており、地域、環境との密接な関係があるが、農業政策は、500haの農地で1億2,000万人の食糧を供給して国民の生命を維持することを使命とするもので、今後も主要課題であると考える。21世紀に向けてさらにコストダウンに努力したいとの回答があった。

・諫早湾や中海の干拓事業については、企画立案から実施まで長期間を要したことが問題であり、これら事業の推進に際して、環境問題についての意識、予測はあったのか、どのような手を打ってきたのか、そもそも農業振興と環境への配慮は両立するのかとの質問があった。これに対し、農水省から、諫早湾の干拓については、平地が少なく潮位差が5メートルあるという特有の地形から高潮等の被害が多く、防災対策と農地の拡大のため、干拓事業は地域住民の悲願であった。昭和60年に土地改良法の所定の手続を行い、説明会等を行った。環境問題も念頭にあり、環境アセスメントを行うなど環境に対するモニタリングをした上、地元でも議論をし、地元の要望で決定したものである。ムツゴロウについては漁獲対象の魚であり、人工孵化も可能で、絶滅のおそれはない。また、中海については、知事から事業再開の要請はあったが、環境問題を理由として再開に異論もあるので、中立的立場で調査を行っており、その結果によって態度を決定したいとの説明があった。

・農林水産統計に今なお5,000人もの職員を充てているのは、他省庁の統計の職員と比べて桁違いであり、多過ぎるのではないか、また、統計について民間委託できないのかとの質問があった。これらに対し、農水省から、農林水産統計は、1)国土の8割に及ぶ農林地に広くネットワークを張って行う必要がある、2)国の財政支出と直結している、3)調査対象が家計と未分離であり職員が農家を回って調査を行う必要がある等のため、県等に委託することなく国の職員が直接執行しているという体制の違いがあり、そのために多数の職員を要している。民間に委託することは公平性を確保する上での問題があるが、しかし、できる範囲で合理化していきたいとの説明があった。

・食糧検査を民間に委ねれば食糧庁は不要ではないかとの意見が述べられた。これに対し、農水省から、1)米の検査の実施については政府の役割を限定し民間へ移行する方向で検討している、2)国民カロリーの4割を占める米麦の需給・価格の安定を図る食糧行政は重要で、農政と不即不離であり、担当する行政部門は必要であるとの説明があった。

・国有林野事業については、損失が多く事業継続が困難であるばかりか、引受け手がなく民営化も困難とされているが、良質の森林もあり一部でも売れるのではないかとの質問があった。これに対し、農水省から、国有林野事業については現在林政審で審議がなされているが、国有林はほとんどが奥地であり、森林の公益的機能の発揮が求められる一方で、大方条件が悪く、国が一元的に保有管理する必要があるのではないかとの意見が述べられた。

・農水省は安全、良質な農産物の低コストでの供給に努力してきたというが、そうはいっても、1)例えば米一俵が2万円以上という現状では国民が購入しなくなるのではないか、また、2)コストダウンが極めて難しい中山間地農業については今後どうしていく考えかとの質問があった。これに対し、農水省から、1)現在一俵1万5千円程度の政府米もあるが、基本的には銘柄、品質評価等を基に市場で価格形成されており、今後ともその方向で努力したい。2)中山間地については、確かにそのままではコストダウンは難しいが、温度差等を利用した独特の手法により工夫しているもの等も一部にある、地域維持のためのデカップリング政策の可否については今後調査会で検討していきたい、との見解が述べられた。

・食糧安保というが、1)専業農家40万戸に対して兼業農家は80万戸あり、その中には農業以外の収入がある上に兼業農家として補助金の交付を受けているなど不当に優遇されている例がある。2)専業農家の跡継ぎは10万人とも言われており、このような状況で、食糧安保は確保されるのか。また、3)飼料穀物の95%を輸入に頼り、肥料や機械に用いる石油も輸入に頼っている状況であり、農業だけの問題ではないのではないか、との質問があった。これに対し、農水省から、今後真に農業で生活しようとする者を認定農業者として政策を集中させていきたいが一挙にはいかない、また、兼業農家でも十分な農業の担い手となっている者もおり、その役割も評価する必要があるとの回答があった。また、食糧安保については、飼料穀物など海外からの輸入に依存せざるを得ないものはその前提で考えており、食糧確保のための外交政策も必要ではあるが、不安定な世界の食糧需給の下でそれぞれの国が自国の資源を活かすことがまず必要というのが国際的潮流であるとの回答があった。

・水田の水は土中に染み込んだり蒸発したりする上、農薬のため飲料水にも適さないが、それでも水田には有効な水資源涵養力があると言えるのかとの質問があった。これに対し、農水省から、水田の水資源涵養機能は、急峻な地形の下で山に降った雨をそのまま海に流すことなくしばらくためておく機能をいうのであり、森林と同様、一旦水田にたまった水が土中に染み込んでいく場合も含めて涵養機能を発揮していると言えるとの説明があった。

・日本ではこれまで農業を重視してきたにもかかわらず、デンマークのような農業先進国に比べると、自給率は低く、コストは高く、従事者が減少するなど国際的基準からみて遅れている。ここまで日本の農業を弱くしたのはなぜか、これについてどのような対策をとったのかとの質問があった。これに対し、農水省から、まず、我が国の農家一軒当たりの耕地面積が平均1ha程度であるのに対し、デンマークは40ha、アメリカは150haであるなど規模の違いが歴然としていること、電力、機械など、農業に伴う生産資材のコストが高いこと、農地が分散し、地価が高いことなどが我が国の農業のコスト高の原因であり、これに対しては、所有権でなく「利用権」の設定による規模の拡大を行ってきた結果大規模経営も生まれており、規模の制約の少ない北海道ではEUをしのぐ水準になっている、との回答があった。

・多くの兼業農家は女性がその作業を担っているにもかかわらず、農協の役員や農業委員会の委員はほとんど男性であり、その女性割合は国会議員より低いが、これについて今後どうするのかとの質問があった。これに対し、農水省から、農協が世帯で1人の加入制であったため、世帯主の男性が活動に参加するという実態にあったが、近時の女性の増加率は著しく、今後も積極的に女性の参加を促進したいとの回答があった。

・かつて農水省が農商務省であった時代に農業政策と産業政策を同一省が行っていたことのデメリットはあったのか、また、現在農水省と通産省が統合した場合にどのようなメリットとデメリットがあると考えるかとの質問があった。これに対し、農水省から、効率的な農業を目指すという意味では産業政策としての共通性があるが、個別に考えると、例えば土地利用や水利用について農業用地・用水と工業用地・用水のように対抗関係にある分野があること、国際的に見て工業政策が競争的、開放的であるのに対して農業政策は土着性があり、開放が難しいといった性質の違いがあり、組織を分けて調整過程の透明性を図る方がよいと考えるとの回答があった。これに対し、対抗関係にあるといっても、有能な官僚が統合的な政策を立案し、また、有能な大臣がこれを同時に見ることは可能ではないかとの意見が述べられた。

(5) 文部省より、共通追加質問項目について説明があり、その後以下の意見交換が行われた。

・大学の学術研究と科学技術行政との関係について、省庁再編問題の一環としてどう考えるか、との質問があった。これに対し、文部省より、1)学術研究及び科学技術の両者の振興が必要だが、最近では各省庁の研究開発も基礎研究に重点を移してきており、一層の連携強化が求められている。例えば国立研究所で基礎研究を行う際には大学との一体化も進めた方がよいし、各省庁と大学の人材交流も進んできているので、一体化の余地は生まれてきている。2)ただし、厚生省における医療技術の開発など目的の明確なものは、各省庁において実施することが妥当であろう。3)政府としては、自然科学を中心に科学技術会議で取りまとめをしているが、人文・社会科学まで含めるべきとの指摘もあることから、政府としての一体的な調整が必要となろう。4)なお、再編問題については大学を基盤として全体を整備すべきであり、文部省で一元的に実施することにやぶさかでないとの回答があった。

・国立大学の運営について弾力化していると文部省は説明するが、現実には講座の開設や人事、会計面での取扱いなど未だ改善の余地が少なくない、どのような改善策を考えているかとの質問があった。これに対し、文部省より、現在でも一定の弾力性があり、例えば助教授の人事権は大学にあるし、教授人事権も今年中に大学に移す予定である。会計についても、費目の大括りなどで自主判断の余地を拡大したいと考えているとの回答があった。

・国立大学には学長や学部長がリーダーシップを取り得る管理運営の枠組みがなく、学長等は文部省と教授会の板挟みとなって何もできない状況にあるとの意見が述べられた。これに対し、文部省より、指摘のとおり制度上の問題もあって学長等の権限関係は明確でないが、一方で大学の自治が学部の自治と同義としてとらえられている現状があり、学長等の全学的なリーダーシップの発揮は大きな意識改革の問題でもある。文部省としては、あえて学長裁量費まで設けてリーダーシップの発揮ができる環境を整えようとしているとの説明があった。

・国立大学における事務局の一元化措置の推進については評価するとの意見があった。

・近年、地方自治体と私学が協力する動きがあるが、国立大学と自治体が協力することが可能か、との質問があった。これに対し、文部省より、高知工科大学のように用地等を自治体が提供し、運営は私学が行うといったケースが増えていることは承知しているが、国に対する地方の一方的な負担を禁ずる地方財政に係る法律上の制約もあり、国立大学が実施するのは極めて困難な状況にある、との説明があった。

・従来の大学自治は受け身のものであったが、今後は、積極的な自治という方向に転換すべきである。1)文部省として大学の自主性、自立性を高める必要を言いながら、これが実現しなかった理由は何か、2)国立大学のエージェンシー論がある中で、自立性の問題をどう捉えているか、との質問があった。これに対し、文部省より、1)これまでの大学自治は、国すなわち文部省からの独立であったが、今後は両者が相携えていく状況にある。2)当然、大学の自主性を重んずるとなれば責任も大学側に移ることになり、例えば、平成3年には大学のカリキュラムを自由化して、大学が責任を持つようにしたところであり、大学が自主性と責任を持つことを期待している、との回答があった。

・博物館等について、企画と実施の一元化が必要であり独立機関化はできないというが、独立機関化した場合の具体的な弊害は何かとの質問があった。これに対し、文部省より、博物館等は現在でも自主的に運営されているが、国の財政的サポートがどうしても必要であるとの説明があった。問題は資金面にあるのかとの委員の重ねての質問に対し、文部省より、そこが一番の問題であるとの回答があった。

・文化行政に対する文部省の発想は貧困である。海外の事業家が日本の国宝の肖像権を取得しているとの情報もある中で、民間が保有するものも含め、国宝など文化財の保護をどのように扱っていくのかを考えるべきである、との意見があった。

・国立博物館も西洋美術館も狭すぎ、催物を行うと長蛇の列ができる状況にある。教科書を有償化して当該予算を文化庁予算に繰り入れてはどうか。地方では箱物整備に多額の予算を使っているが、それに比べても国の文化予算は少なすぎるとの指摘があった。これに対し、文部省より、文化予算の増額には努力するが、教科書無償は義務教育無償という憲法の精神に基づいたものであり、また、先進諸国では貸与措置も含めると大半が教科書無償となっており、有償化することはいかがなものかと考える、との見解が示された。これに関連して、委員より、教科書が無償であるがゆえに、新学期初に書店で教科書を購入することが難しいという現状もあるとの指摘があった。

・児童減に伴って教員数を減らすとのことだが、文部省の考える採用抑制計画では教員の高齢化が進み、緩やかな移行を考えなければ教育そのものが歪むおそれがあるとの指摘があった。他方、5兆8千億円の文教予算のうち義務教育に係る教職員の人件費は3兆円を超えており、毎年の教員の自然減の半数を補充している模様だが、それでも児童の減少で2名のクラス担任を置くところもあると聞くところであり、施策を見直すべきとの指摘があった。これに関連して、文部省より、5年前に40人学級を達成した際に35人学級案もあったが、それでは8万人の増員が必要になるため、一律に行うことなく3万人増の計画とした経緯がある。教職員の採用は減っており、年3万5千人から約1万人のレベルにまで減少している。こうした水準からすると、教員養成課程の入学定員は多過ぎる状況にあり、6割の卒業生しか教員になれないとの試算もある、との説明があった。

・国際文化交流については、一体化して文部省が引き受けると主張していると理解してよいかとの確認があった。これに対し、文部省より、スポーツ交流も含め、コンテンツを所管する部分を足場として一体化するのが望ましい、との回答があった。

・昭和30年代までは幼稚園・保育所体制に意味があったが、時代が変化する中で、これをいつまで続けるのか、との質問があった。これに対し、文部省より、現在は幼稚園で保育もやり、保育園で教育もしているので、調整する努力は必要であると考えており、本年1月に発表した教育改革プログラムでも厚生省と検討していくことになっているが、一方において保育所は公立中心、幼稚園は私立中心という問題もある、との回答があった。

・アジアにおいては日本に対する留学需要が強いが、どのように対応しているかとの質問に対し、文部省より、2000年に10万人の留学生を受け入れる計画を立てていたが、現状5万人で頭打ちとなっている。梃入れ方策を検討中であるが、いずれにせよ大学が様々な魅力を持つようにしなければならない、との見解が示された。

(6) 武藤総務庁長官より、英国訪問の概要について報告(別紙2)があり、これを受けて質疑があった。

・武藤長官より、以下のとおり説明があった。

 詳細は報告書に譲るが、英国では行革として公務員の定数削減などを実施していたものの、効果が薄いので運営に民間手法を導入することとなり、これがエージェンシーにつながった。ただ、その導入にあたっては、女王の官吏としての公務員身分を保持したいとの要請が強く、エージェンシー職員についても公務員身分とした。また、エージェンシー制度導入に当たっては、まず民営化できるものは民営化した。そして、エージェンシー化された機構についても独立して採算が取れるようになれば民営化する方向にある一方で、採算の取れないエージェンシーには国の会計から補填措置をしているなど、エージェンシーは機関の性格に幅のある制度である。

・これについて、委員から、英国でのエージェンシーは、職員に国家公務員の身分を与えながら運営には民間手法が取り入れられているが、問題は生じていないのか、との質問があった。これに対し、武藤長官より、例えばエージェンシーの長には公募方式を取り入れており、公務員が長に就任する場合にも応募する必要があって、長となった公務員は出身元の序列を飛び越すこともある。また、採算性が向上しない等の理由で長の職を離れた際に、出身元に再度戻ることも可能となっているとの説明があった。

・国家公務員であるがゆえに仕事に対するモラルが維持されている面もあるのではないかとの感想が述べられた。

・行政改革会議としてエージェンシーについて早急に論議すべきであるとの意見が述べられ、次回、意見交換を行うこととされた。

(7) 次回会議は、5月28日(水)午後2時より開催し、自由に委員間の意見交換を行うこととされた。

以上

(文責 行政改革会議事務局)

連絡先:行政改革会議事務局 高野(電話03-3581-2641) 根本(電話03-3581-0270)

  行政改革会議議事概要は、インターネット(官邸ホームページ(http://www.kantei.go.jp/)の「最近の話題」または「審議会」の欄)及びパソコン通信ネットワーク(PC−VAN及びGサーチ)でも御覧になれます。


(別紙1)

農林水産省追加ヒアリング項目(案)

追加質問1
  農協は、長年にわたる行政との関係の中で、競争力を失い、住専問題に代表されるようにいくつかの困難な問題を抱えているとの指摘がある。農協系統について一般商業系統と同様の扱いとし、競争原理の導入を図るなど、その自立を促し、行政との関係を見直すべきではないか。

追加質問2
  株式会社に農地保有を認め、本格的な農業生産への参入の途を開く考えはないのか。畜産業への株式会社の参入事例が少なくないことや、農業団体自身が外国では株式会社形態で事業を行っていることにかんがみても、政策変更が必要ではないか。

追加質問3
 主食である米、麦をはじめ、水産物、畜産物、野菜、果実など食料全般にわたり、食料安全保障や国民栄養の観点も踏まえ、バランスよく国民に対して供給するための総合政策部門が欠けているのではないか。自給率論争や総合的な食料政策を検討する中核部局はどこなのか。

追加質問4
 土地改良事業に関連し、累積額にして22兆円もの用排水施設が今日存在しているが、現行施設の更新・再整備に力を注ぐべきではないか。その際、農業用水の水利権を上水道、工業用水にも再配分し、多目的に有効に利用していく考えはないか。


別紙2