−速報のため事後修正の可能性あり−

行政改革会議第16回議事概要

1 日時 平成9年6月4日(水) 14:00〜17:15
2 場所 内閣総理大臣官邸 大客間
3 出席者
(会議)
武藤嘉文行政改革担当大臣・総務庁長官(会長代理)、有馬朗人、飯田庸太郎、猪口邦子、川口幹夫、佐藤幸治、塩野谷祐一、豊田章一郎、藤田宙靖、水野清、諸井虔、渡辺恒雄の各委員
(説明者)
(北海道開発庁)松川総務監理官、八木計画監理官、松井総務課長
(沖縄開発庁)嘉手川総務局長、牧振興局長
(通商産業省)広瀬官房長、渡辺産業政策局長、今井官房審議官
(運輸省)土井官房長、小幡運輸政策局次長、深谷官房文書課長
(政府)
古川内閣官房副長官、田波内閣内政審議室長
(事務局)
水野事務局長(再掲)、八木事務局次長
4 議題
(1) 郵政省への追加質問について
(2) 北海道開発庁からのヒアリング
(3) 沖縄開発庁からのヒアリング
(4) 通商産業省からのヒアリング
(5) 運輸省からのヒアリング
(6) その他
5 会議経過
(1) 郵政省への追加質問について提案があり、了承された(別紙1参照)。

(2) 北海道開発庁からの提出資料を踏まえ、以下のとおり意見交換が行われた。

・北海道開発庁の沿革は、実際は、昭和22年に最初の知事選挙が行われ社会・共産系の知事が誕生したため、社共による北海道の自治は困るとの考えから二重行政の仕組みを作ったものであって、道庁がしっかりすれば、北海道開発庁は不要ではないかとの意見が述べられた。これに対し、北海道開発庁から、当時の知事も、北海道の開発を道だけで行うのは荷が重いので国策で行うべきであるとして北海道開発庁の構想については賛成していた、同知事が反対したのは北海道開発局を作ったときであり、その理由は、道庁の土木部が分割されることとなるためであったと認識している旨発言があった。

・北海道開発庁の所掌事務は、今後地方分権をしていく中で地方が担っていけるものであり、同庁の役割は終えたのではないか、条件の不利な者に対して、引上げのための措置を採るというアファーマティブ・アクションという考え方があるが、この考え方を採るとしても措置は限時的であるべきであるとの発言があった。これに対し、北海道開発庁から、北海道は、かつて3つの県であったものが道として一つになった経緯があるが、権限や財源は他の都府県と全く同じ条件に置かれており、むしろ道庁の財政規模は全国で29位、道内市町村に至っては45位と財政力が弱く、社会資本整備についてはまだ国の配慮が必要である。また、北の国防という観点から、北方領土に隣接することによる特別の施策の必要もあるとの見解が述べられた。

 このうち、国防上の必要という観点については、委員から、1)冷戦期においては必要であったかもしれないが、冷戦終結後の今日なお必要といえるのか、また、2)北方領土返還と北海道開発庁の必要性とは関係がないとの発言があった。これに対して、北海道開発庁から、前者については自衛隊の縮小等の状況も踏まえて今後検討する必要がある。また、後者については北方領土が北海道に属することとなっており、現実に返還されれば、そのインフラ整備は北海道開発庁が行うこととなるので、資料の収集に努めているとの説明があった。

・北海道の社会資本の整備状況についての北海道開発庁の説明は、道路延長や空港の数等について全国との比較をするのみの無機質なものであり、説得力がない旨の発言があった。

・北海道開発庁については、昭和39年の行革以来統廃合の議論の対象となってきているが、これについてどう考えるかとの発言があった。また、これに関連し、同庁の説明資料で、「特別な体制が引き続き当分の間必要」とあるのは、どれくらいの期間、どういう状態を想定しているのかとの質問があった。これらに対し、北海道開発庁から、北海道の問題は、産業構造の転換の遅れ、二次産業の基盤の弱さ、公共事業への依存の高さ等であり、民間設備投資規模の水準、道内市町村の財政力の水準、高速道路等の社会資本の設備の整備状況等を基準として考える必要があるとの説明があった。

・北海道開発庁が縦割りでない行政のモデルであるかのような説明だが、縦割りになっていないが故に予算配分で遅れたという面があるのではないかとの発言があった。これに対し、北海道開発庁から、これまでにそのような批判は聞いたことがなく、むしろ、北海道が公共事業の予算を取り過ぎているとの批判があるとの説明があった。

・北海道開発局は林政を担当しておらず「農業水産部」が設けられているが、開発庁本庁には「農林水産課」が設置されているのはどうしてかとの質問があった。これに対し、北海道開発庁から、北海道開発局の設置の際、同局が林政を行うことについて農林省が反対したため、林務は別扱いとなったが、本庁については予算面の調整もあり、林務も含めた課を置いているとの説明があった。

・北海道開発庁は約1兆円の公共事業予算を一括計上しているが、1)農水、運輸、河川、道路等の予算はそれぞれ農水省、運輸省、建設省の部課から流れており、執行においては縦割りとなっているので、陳情をするにも北海道開発庁だけでは足りず、他の関係省庁に行く必要がある。2)札幌で行った一日行政改革会議においても、地元から、このような開発庁であれば不要であり、むしろ国の公共事業費の縮減の中で予算額が一割減ったとしても、道が自由に使えるようにすべきであるとの意見が出されたが、これにどう答えるかとの質問があった。これに対して、北海道開発庁から、予算については、北海道開発庁の発足当時、実施も含めて一元化する構想であったが、事業官庁の反対により、事業官庁に移し替えて執行するという縦割りの構造になった経緯があり、縦割りの除去が十分でないとの批判があることは承知している。また、予算の弾力的使用に関する要望については、予算についての憲法の財政民主主義や財政法の制約もあり、どの程度自由度を拡大できるか慎重な検討が必要であるとの説明がなされた。

・抜本的な省庁の再編に当たって、北海道開発庁を単独で残そうという同庁の議論は説得力がない。北海道開発のために、国としてどのような機能が必要なのかという観点から説明してほしいとの発言があった。これに対し、北海道開発庁から、省庁再編及び省庁の大括り化については、どのような考え方で括るかについて総合的に見る必要があるが、北海道の開発を推進できる制度、具体的には予算を一括計上し、実施面でも縦割りを排除して総合開発ができるような体制を望むとの発言があった。

・北方領土返還については、国を挙げた取組みであり、総理直属の機関で取り扱うのが相当ではないか。返還後引き続き安保の面の必要があるのであれば、内閣ないし総理大臣のリーダーシップによって行うべき仕事であるとの発言があった。これに対し、北海道開発庁から、返還については外務省等が担当しているが、返還後は北海道となるのであり、そのときの体制によって問題を取り扱うこととなるのではないかとの発言があった。


(3) 沖縄開発庁からの提出資料を踏まえ、以下のとおり意見交換が行われた。

・沖縄県の力が弱く、また、米軍基地の存在などの特殊事情があることも確かであるが、地方分権が進む中で、沖縄県とは別に独立した行政機関が必要なのかという基本的な疑問がある。説明資料中「地方分権の在り方や中央省庁の在り方に関する検討の動向に留意しつつ」とあるのはどういう意味かとの質問があった。これに対し、沖縄開発庁から、行革会議で中央省庁の大統合が議論される中で、沖縄開発庁だけ残れるかという問題があり、また、地方と国との分担について議論されている中で、事務の地方移管がなされれば当然組織の見直しが必要となると考えるが、一方現時点ではこれらの議論の見通しがつかないので、説明資料のような表現をしている旨説明があった。

・沖縄の問題については、基地問題など官邸主導で取り扱うべきものが多いと思うが、官邸と沖縄開発庁の関係はどうなっているのかとの質問があった。これに対し、沖縄開発庁から、基地問題は沖縄の原点であるが、沖縄開発庁は、社会資本のハード面の整備や戦後処理などの業務を行っており、基地問題は外務省、防衛庁、防衛施設庁が行っている。沖縄開発庁ですべてを総合的に行うべきとの意見もあろうが、外務省や防衛庁等に任せざるを得ないと考えている。ただし、返還された基地の跡地の開発問題については沖縄開発庁が全面的に取り組んでいるとの説明があった。また、関連して、政府側出席者より、沖縄の経済振興は内閣にとって大事な課題であり、内閣内政審議室に沖縄担当室を置いて規制緩和等の議論も含め総合調整を行っているが、他方、沖縄開発庁は公共事業に関して果たす役割が大きいとの説明があった。

・沖縄開発庁は、北海道開発庁と比べて新しい組織であることから、総合性において勝っていると思われるが、それでも結局、沖縄開発庁の各部局には各事業省庁から出向者が来ており、中二階的な不自然な存在となっているので、むしろその3,000億円の公共事業予算を県に丸々くれた方がよいという声も聞くが、これについてどう思うかとの質問があった。これに対し、沖縄開発庁から、そうした声は直に聞いたことはないし、報道によれば、沖縄県知事は沖縄開発庁について評価しているということである。沖縄総合開発事務局は、大蔵、通産、農水、運輸、建設の出先のほか、公取委の出先もある総合的な事務局となっており、これを廃止することは各省出先機関の分立となる。沖縄については、沖縄振興開発計画によって、様々なプロジェクトが進んでいるが、純粋に地方分権して県に任せるということであればともかく、沖縄開発庁をなくしてバラバラな状態に戻すと、これらのプロジェクトがバラバラになり、国として振興開発の責任の所在が不明確になるおそれがあるとの説明があった。

・三次にわたる沖縄振興開発計画によってミニマムの社会資本は整備され、今後は沖縄の自立的な発展が重要と考えるが、今の体制ではそれができない。公共投資に依存する体質を変えるため、計画の質を変えなければならないのではないかとの質問があった。これに対し、沖縄開発庁から、産業振興が進んでいないと言われるが、例えば農業に関しては、公共投資を行ったことにより、サトウキビだけであったものから花卉、園芸、畜産等に質的に変化している。もっとも、農地整備や水資源対策等が未だ途上であり、効果が十分に表れていない段階である。また、基地の広大な跡地を利用して、大規模なプロジェクトにより産業振興を行うことが課題となっているとの説明があった。

 これに対し、委員から、例えば台湾では、サトウキビから離れて電子産業の振興が行われており、沖縄の農民をサトウキビに縛り付けるような政策は問題ではないかとの指摘があり、これに対して、沖縄開発庁から、企業団地を造って企業を誘致することを目指しているところであるとの説明があった。これに対して、沖縄の問題は物流コストが割高であることであり、これを改善する必要があるとの指摘があった。


(4) 通商産業省からの提出資料を踏まえ、以下のとおり意見交換が行われた。

・経済活力の維持のためには科学技術が重要だが、国として行うべき研究開発は、基礎研究、開発研究、応用研究のいずれまでと考えるかとの質問があった。これに対し、通産省より、1)研究そのものを目的としている科学研究と利用を前提とする技術開発とを分けて考える必要がある。2)国の関与については、基礎研究は大学、開発研究は工業技術院を中心とする国立研究所が行い、応用研究は民間で行うべきであろう。3)ただし、開発研究は幅広いので、より基礎に近い部分が国立研究所の分担となる。4)いずれにせよ、日本の技術開発は民間が中心であり、今後は基礎研究を中心として国が積極的に取り組むべきであるとの回答があった。

・科学技術全体を見る政府組織としてはどのような組織がふさわしいと考えるかとの質問があった。これに対し、通産省より、科学技術全体を考える場としては科学技術会議があり、同会議の活用により国としての研究開発の大きな方向性は得られようとの回答があった。これに対し、さらに委員より、科学技術会議を重視するのであれば、同会議において関係予算を一括計上し各省に配分することを認める立場かとの質問があり、通産省より、現状でも科学技術振興調整費があり、これを使った方向づけはあり得ようとの発言があった。

・政府としての科学技術開発は一元化すべきであるとの意見に対し、通産省より、現時点においても技術開発は政策目的別に行われていることから、一元化するのはいかがなものかとの見解が示された。

・プロジェクト方式の研究開発はエージェンシー向きであり、例えば10年計画を立案し、10年任期で実施する方式が考え得るとの意見があった。これに対し、通産省より、既に様々な分野の研究者を呼び集めてプロジェクト方式で研究開発を行うシステムがあるが、それがエージェンシーにふさわしいかどうかはエージェンシーの詳細が明らかにならなければ分からないとの見解が示された。

・通産省の「産業政策」は世界的に有名であり、経済成長に貢献したユニークな手法との評価がある一方、世界共通のルールに反し、不公正であるとの批判もある。他方、日本の経済学者の中には、産業政策の効果に疑問を呈し、経済成長は主として民間部門の努力の成果であるとの見解もあるとの発言があった。これに対し、通産省より、大競争時代にあっては国が経済活動に干渉すれば企業が海外に逃げてしまうので、グローバル・スタンダードで事業環境を設定することが肝要である。また、戦後の経済成長は民間部門の努力で得られたものとの指摘は事実であり、通産省はそれを手伝った。今後とも産業政策は同様にあるべきであるとの見解が示された。

・経済活力の維持等を図るため規制緩和等で環境整備に取り組んでいると説明するが、1)一方において通産省は衰退産業や低生産性部門をも所管しており、所管産業が国際競争力を有しているとの説明は言い過ぎである。今後の日本では低生産性部門の在り方が全体の競争力を規定するにもかかわらず、通産省はフロントランナーのみを見ているのではないか。2)また、他省が所管する衰退産業をも所管する考えはあるかとの発言があった。これに対し、通産省より、1)例えばエネルギー革命の中で衰退した石炭産業については、今日まで国の資財を投入して撤退させてきた。こうした産業については放置しておけばよいというものではなく、国としてうまく撤退させることが必要である。2)中小の小売・商業、流通、物流など問題を抱える産業もあるので、成長産業を伸ばすだけでなく、衰退分野の撤退をうまく行うことも課題である。3)なお、物流やエネルギー、情報通信、金融等の分野では、これまで規制が厳しく、競争が行われていなかったが、こうした分野についても国が競争力を強化すべきであるとの見解が示された。

・従来の産業政策はキャッチアップ時代には有効であったとしても、フロントランナーとなった現在では問題があるのではないか。例えば、米国ではCALSによって情報化と併せて景気回復を図ったが、通産省はEDI等を実施しているものの出遅れたのではないか。衰退産業を保護している政策が重荷となって先端分野の突破力が手薄になっているのではないかとの意見があった。これに対し、通産省より、1)情報化への対応が遅れたとの指摘は事実であり、現在、CALSや電子取引等に鋭意取り組んでいる。2)教育、医療、税制、犯罪捜査などあらゆる分野において情報化が重要課題となっており、政府を挙げて取り組むべき課題である。3)なお、今回の経済構造の変革と創造のための行動計画取りまとめにあたっては、22省庁がスクラムを組み、15分野の新興産業を抽出してそれぞれにタスクフォースを置き詳かな議論を行った。4)大競争の時代にあって各国とも改革競争を繰り広げており、官民の戦略的連携も図られている中で、省庁横断的な取組みの必要性が増している。諸情勢の変化の中で、通産省としては取り組む課題についてウェートをシフトしているとの発言があった。

・新興産業を所管する部局として機械情報産業局が挙げられるが、同局は郵政省の電気通信局、通信政策局と類似の事務を行っている。放送行政局の取扱いは別としても、両省の関係部局は統合すべきではないかとの意見があった。これに対し、通産省より、情報化は様々な場で考えなければならないが、郵政省の所掌には電波監理等もあり、情報産業の振興と同一に担うことが適切かどうかは検討を要するとの見解が示された。

・1)生活産業局の日用品課、文化用品課などは国が行うべき事務ではなく、整理すべきである。鉄鋼課、化学課も不要である。2)資源エネルギー庁の原子力部門は科学技術庁の原子力部門と、残る科学技術庁の部局は工業技術院と統合した方がよいとの意見があった。また、核融合やもんじゅの開発について、通産省ですべて引き取る考えがあるか、それとも科学技術庁で行うべきと考えるかとの質問があった。これに対し、通産省より、原課の編成は経済、産業の実態に応じてすべきものであり、今回20課を10課に再編した。ただし、鉄鋼、化学については引き続き課題が多い。特に化学については日本で最も付加価値率の高い産業であり、米国でも競争力強化の対象産業となっている。こうした産業は競争力強化と合わせて安全対策を講ずるなど、産業実態に応じて考えることが大事である。原子力については、核燃料サイクルのための技術開発が重要であり、発電との関係が深い分野は通産省で行うのがよいが、核融合は研究開発であり、もんじゅは中間領域と考えられるとの見解が示された。

・1)これからの日本に産業政策は不要であり、通産省が行うべきは、国内的にはエネルギー・コスト、物流コストの低減である。2)対外的には通商交渉が重要であるが、これを通産省が行うべきと考えるか、それとも外務省が行うべきと考えるかが課題であるとの発言があった。これに対し、通産省より、指摘のとおりであり、経済構造改革が大きな課題となる。対外通商政策については、グローバル化の中で通商交渉が重要性を増しており、その実例として半導体交渉や自動車交渉を挙げることができる。外交政策との調整は必要としても、産業を熟知しているところが担う必要がある。経済のみならず、文化、環境、交通の分野でも諸外国との交流は増えており、外務省において統一的に行うとの考え以外にも、多くの行政分野との連携を図るべきとの見方もあろうとの見解が示された。

・原局原課を統合してアンテナ化するとの説明は産業政策を重視しない姿勢であるとの印象を受ける。また、経済政策、金融部門、通信・放送分野をどう考えようとしているのか態度が不明であるとの指摘があった。これに対し、通産省より、金融は大きな変革の時期にあり、日銀法の改正や金融監督庁の設立で対応したものと理解している。財政と金融については、ともに経済活動の基盤でもあるので一体でよいと考える。国際的にも一人の大臣が担当している例が多いと聞いている。通産省としては、金融分野については産業サイドのユーザとして今後も積極的に発言していきたい。なお、通産省としては産業実態に根ざしたマクロ経済政策を立案しており、今後もそれが必要と考えているが、他方において歳出入を計る財政部門がある。経済政策は両者のチェック・アンド・バランスで進んでいるとの発言があった。

・縦割り部局を統合再編した通産省の機構改革は中央省庁再編にも参考となるが、再編のメリット、デメリットはいかなる点にあると考えるかとの質問があった。これに対し、通産省より、例えば化学については産業実態に応じて川上と川下を同一の課で所掌するようにしたが、政策のきめが粗くなるおそれがあるかもしれないとの回答があった。なお、この機構改革による業務のスリム化効果について文書による回答を求めた。

・省庁間の透明な政策論争を可能とすべく、各省が他の省の行政に対して政策提案ができる仕組みを導入すべきとの主張は、行政運営法的な新たな法制化の提案をしたものと理解してよいかとの質問があった。これに対し、通産省より、1)現在でも内閣において調整はし得るが、内閣法第3条にいう分担管理の原則が徹底しており、各省庁とも他省庁の所掌には口を出さない状況にあることは否めない。2)大括り化は省内で調整し得る範囲が広くなる意味でも重要であり、目的別編成となればさらにやりやすくなろう。しかし、3)大括りしても省の境がなくなるわけではないので、他省の政策にも発言できるようにした方がよい。例えば、現在でも中小企業庁はその設置法において種々各省庁に発言できるようになっており、こうした手法を導入してはどうかとの提案である。各省の目的を明確化すればこうした方法が可能であろうし、その導入について、法制上明確にすることも考え得るとの説明があった。

・依然としてアルコール専売を通産省が所管している理由が不明であり、廃止すべきではないかとの指摘があった。これに対し、通産省より、アルコール専売事業については酒税保全の問題があり、諸外国でも戻税方式又は専売方式を採っている(ドイツ、スウェーデンは日本と同様に専売制)。人員としては約230名を通産省で抱えているが、生産は外部化しているとの説明があった。これに対し、さらに委員より、税制上の問題であるなら国税庁に移管する方法もあり得るのではないかとの発言があった。

・経済協力組織の一元化・外庁化論があるが、通産省が実施している事務で一元化できないものがあるかとの質問があった。これに対し、通産省より、経済協力には無償援助と技術協力とがあるが、最近では産業協力や民間協力もある。援助の実施機関については一元化もあり得ようが、対象範囲が広いので、経済的観点からの意見が言えることが必要であるとの見解が示された。

・経済活力の維持・拡大が通産省の課題と主張するのであれば、環境行政の一元化に合わせて通産省内の環境部門を手放す考えを持ち合わせているか、それとも、環境行政は産業行政に従属するものと考えているかとの質問があった。これに対し、通産省より、現在は環境庁が環境基準を設定し、産業に係る環境上の課題は通産省が対応しているが、これからの環境問題は、原料調達から製造、販売、処理まで一貫して責任を持つことが要請されるので、産業行政としても実施することが必要と考えるとの回答があった。これに関連して、委員より環境一般について通産省が所管する必要はないとの意見が述べられたことに対して、通産省より、例えば産業構造審議会が自動車のリサイクル率の目標を2005年までに95%とすることを打ち出したが、環境問題の解決には技術のブレーク・スルーが必要と考えるとの発言があった。

・女性労働力を適正に位置づけることが必要であり、女性の権利保護については労働政策が一方において取り組んでいるが、現状において大卒女性が就職難であることは否めず、労働市場を整備して女性の参入をしやすくする政策分野もあるのではないか。今後、意思決定過程への女性の参加を促進する行政組織の在り方として、どのようなものが考えられるかとの質問があり、後日文書をもって回答することとされた。


(5) 運輸省からの提出資料を踏まえ、以下のとおり意見交換が行われた。

・運輸行政と他の行政の関係について、道路行政等あるいは公共事業組織の一元化以外の観点もあり得るとの主張は、具体的には何を意味するものかとの質問に対し、運輸省より、全くの一例だが、例えば交通情報省といった考え方もあり得るのではないかとの回答があった。

・公共事業費の配分において、運輸省内でも港湾に手厚い状況を改善できず、港を釣堀と評される状況にあるのではないかとの指摘があった。これに対し、運輸省より、港湾建設事業への批判については、10年前の需要が伸びている時期に地元自治体の要望で予算化された事業等で、予測の誤りである。現在ではめりはりをつけ、事業も400件から100件ほど減らしてハブ的な大港湾に重点化し、効率化を図っているとの説明があった。

・港湾のソフトが古く、米国との紛争になり、WTOに提訴されたことをどのように考えるかとの質問があった。これに対し、運輸省より、指摘された港湾運送事業はいろいろと難しい問題がある業界であるが、運輸省としてはその改善のため積極的に取り組んでいるところであるとの回答があった。

・需給調整条項の原則撤廃に向かうなど運輸省が変わりつつあるとの印象を受けるが、これはいわゆる国家機能4分類の中で、運輸行政が経済分野から安全分野にシフトしたことを意味するものかとの質問があった。これに対し、運輸省より、事業者の育成・監督から消費者利益の向上を重視するようになり、ウェートは安全分野にシフトしているとの回答があった。

・運輸省のみならず、各省庁とも環境への言及が多く,入り乱れて政策を実施しているが、こうした状況を整理する必要があるのではないかとの意見があった。これに対し、運輸省としては、特に自動車について責任を持っており、環境基準をクリアーできるよう環境庁と連携している。環境庁は全体を見て、個別の省庁と連携しているものである。今後の体制については考えを持ち合わせていない、との発言があった。

・需給調整をやめるとの姿勢は評価できるが、この基本姿勢の変化が地方分権にどのような影響を与えると考えるかとの質問があった。これに対し、運輸省より、従来交通分野は国が責任を持つ体系であったので地方との関係は薄かったが、こうした中でも分権を進めてきた。今後は需給調整の廃止で地方との関係も変化しよう。例えば、バス路線については従来は参入制限をして内部補助で不採算路線の足を確保していたが、需給調整の廃止は撤退の自由も認めることになるので、こうした路線をどう扱うかが大きな問題となる。現在、自治省とも協議中であるが、その帰趨によって地方との関係の在り方が変化することになるのではないかとの見解が示された。

・公共事業官庁を1つにまとめるのに難を示す一方で、従来の状況が良いわけでもないとの見解を示しているが、具体的にどのような形が望ましいと考えるのかとの質問があった。関連して、公共事業官庁の一元化とは、企画・実施部門の一元化を意味するのではなく、一度事業が始まると実施部門の重みからこれを止めることができないといった問題点に対応するため、実施部門と企画部門を分離し、その上で企画部門を統合しようとするものと理解しているとの意見があった。これに対し、運輸省より、1)組織再編で効果があるというのも一つの考え方であることは否定しないが、組織を一元化すれば効率化し、縦割りがなくなるわけでもない。2)公共事業は手段であり、背後には行政目的があるので、その目的に優先順位を付け、立案過程で費用対効果分析を行うことが必要である。その順位付けや配分については政治に判断を求める部分がある。3)企画から実施まですべてを一元化するわけではないとの前提は、予想される弊害の予防策と理解するが、肥大化や硬直化を防止する具体的な仕組みが必要であろう。企画と実施のチェック・アンド・バランスが一つの解であろうが、具体策は持ち合わせない。実施部門はいずれにしても巨大なものとなるとの見解が示された。

・諸外国における気象庁及び航空管制の組織形態についての質問に対し、運輸省より、1)気象庁は、英国がエージェンシー化し、ニュージーランドが外部化した例を除くとほとんどの国で国の機関であり、国家公務員が従事している、2)航空管制については具体的形態は多様であるが、国の組織が行なっている例が多いと承知しているとの回答があった。

・現在気象庁が運輸省に設置されているのは理解できるが、防災関係など研究部門は一元化し、場合によっては気象庁自体も独立機関化できるのではないかとの指摘があった。これに対し、運輸省より、研究開発部門については政府全体としてどのような扱いになるのかを見ながら慎重に検討したい、なお、気象庁においては本庁の職員も研究に従事している現状があるとの見解が示された。これに関連し、地域的な気象予報は有償化し得るのではないかとの発言があり、運輸省より、既に日本でも民間で実施されているが、全国的な予報は米国でもNOAAが行っているとの指摘があった。

・海上保安庁は治安部門よりも運輸行政になじむと主張しているが、治安部門を一元化しなければ危機管理の強化につながらないことから、司法警察も含めて一元化すべきではないかとの意見があった。これに対し、運輸省より、1)海上保安庁は治安ばかりでなく、海上交通の安全確保、海洋環境保全など複数の目的を持つ機関であることから、治安部門を分離するとなればどこで分離するのかが課題となる。また、2)治安とそれ以外の機能を有する組織を別々に設置するよりも、現在の複数機能を持つ体制のほうが効率的であり、海という切り口もあり得ると考えるとの見解が示された。これに関連して、さらに委員より、想定される有事の際には政府が一体とならなければ対応できないが、運輸省で所管する必要はないのではないかとの意見があり、これに対して運輸省より、有事にあって一体的な行動が必要であることは理解できるが、平時にあっては自衛隊、警察、海上保安庁がそれぞれの任務に応じて行動しているところであるとの見解が示された。


(6) 次回会議は、6月11日(水)午後2時より、経済企画庁、防衛庁、郵政省からのヒアリングを行う。

以上

(文責 行政改革会議事務局)
連絡先:行政改革会議事務局   高野(電話03-3581-2641)  根本(電話03-3581-0270)

行政改革会議議事概要は、インターネット(官邸ホームページ(http://www.kantei.go.jp/)の「最近の話題」又は「審議会」の欄)及びパソコン通信ネットワーク(PC-VAN及びGサーチ)でも御覧になれます。


別紙1

郵政省に対する追加質問項目(案)

追加質問1
有限な国民的財産である電波に対する需要が高まる中、その利用調整については、現在の不透明な割当制から、透明な制度(たとえば公開入札制度等)に改革すべきとの意見をどう考えるか。また、電波割当の有料化も検討できるのではないか。

追加質問2
5月16日に閣議決定された「経済構造の変革と創造のための行動計画」においては、「地上放送のデジタル化については、平成12年(注:2000年)以前にデジタル放送が開始できるよう放送方式、チャンネルプランの策定、制度整備等を進めることを目標として所要の取組を推進する。」とされているが、その必要性は何か。このような意思決定に当たっては、公開の議論を経て、国民が利害得失や問題点を十分理解した上で方針決定されたのか。米国と日本の中継局の数等の状況の差異を考慮せずに、単に世界的な潮流を背景に意思決定されてはいないか。
特に、NHKに関するデジタル化に関する、財源負担の考え方(受信料値上げ、財政投融資資金の活用等)及び民間事業者との公平性のバランスの取り方について、どのように考えているのか。

追加質問3
デジタル化の進展によって「通信と放送の融合」が進むといわれているが、今後の関連行政の在り方、法体系の在り方はどのように変化していくべきと考えるか。
特に、放送は、言論・報道機関として、放送法のもと、放送事業者の責任により運営されてきた。今後、様々な形で映像情報サービスが出現するだろうが、こうした社会的な機能を果たす放送の役割は変わらないのではないか。すなわち、通信と放送を、さらには情報処理サービス業を一律に扱うことはそれほど容易なことではないのではないか。

追加質問4
「経済構造の変革と創造のための行動計画」においては、「規制緩和等により、平成13年(2001年)を目途に、国内・国際通信の料金水準、サービスの高度化・多様化において、内外格差の解消の実現を目指す。」とされているが、具体的な取り組み方針はどのようになっているか。
また、電気通信の接続ルールについては、米国FCC、英国OFTELのような中立的機関による監視が必要との意見をどう考えるか。