−速報のため事後修正の可能性あり−

第1回機構問題小委員会議事概要

1 日時 平成9年7月16日(水) 10:00〜12:00
2 場所 内閣総理大臣官邸 大客間
3 出席者
(会議)
武藤嘉文行政改革担当大臣・総務庁長官(行革会議会長代理)、藤田宙靖(機構問題小委員会主査)、芦田甚之助、有馬朗人、飯田庸太郎、猪口邦子、河合隼雄、佐藤幸治、塩野谷祐一、豊田章一郎、水野清、諸井虔の各委員
(政府)
与謝野官房副長官(政務)、田波内閣内政審議室長
(事務局)
水野事務局長(再掲)、八木事務局次長
4 議題
 国家機能の在り方、中央省庁及びその編成の在り方について(討議)

5 会議経過

(1) 藤田主査から、省庁再編案の作成に向けて当面議論すべき論点としては、1)国家機能の減量論(水平的減量及び垂直的減量)、2)機能の整理論、3)受皿としての組織論の三つがあり、本日の小委員会では、このうち減量論について討議を行いたい旨提案があり、了承された。

(2) 前回会議で事務局において準備することとされ、本日までに事務局が作成した資料(エージェンシー構想関係資料、郵政事業関係資料、国有林野事業関係資料、造幣・印刷事業関係資料及び各省庁が担っている機能の整理(現状ベース)(未定稿))について、事務局から説明があった。

(3) 水平的減量関係については、現時点では、各省庁が担っている機能の現状を整理した上記資料しか存しないため、行政改革委員会の「行政関与の在り方に関する基準」や地方分権推進委員会の勧告をこれに適用して検討した資料を次回の機構問題小委員会までに事務局が準備し、これに基づいて議論を行うこととされた。

(4) 垂直的減量(外局化、独立行政法人化、民営化)について、以下の意見交換が行われた。

(討議資料について)

事務局が作成した四現業関係の資料のうち、郵政事業に関するものについてのみ、民営化の方向に読めるような内容になっており、必ずしも適切でないのではないか、郵政事業の問題はキーファクターであり、公平かつ慎重に扱うべきではないかとの意見が述べられた。これに対し、主査等から、この会議は行政改革を議論する場であるので、郵政事業の改革が必要との立場に立って指摘されている様々な議論について、その全体像を示すべく、それらの議論を体系的に整理し、ポイントを取りまとめたものであるとの説明があった。

 これに関連し、さらに、このままでこの資料を発表すると、会議が、四現業の中で郵政事業をいち早く民営化すべきだとの立場に立っていると誤解されて影響が大きいので、反対の立場の意見をまとめた資料も同時に作成、公表することがより適切であるとの意見が述べられた。

 これらを受け、郵政事業の民営化を否とする議論を整理した資料を事務局において作成し、今後、これも併せて参照しつつ、議論を進めることとされた。なお、民営化に慎重な意見なら会議のこの場で発言し、実質的な審議を進めるべきであるとの意見もあった。

 (垂直的減量全般の問題及びエージェンシー構想について)

・水平的減量について局レベルごとの検討を行い、また、垂直的減量を詳細に検討することもよいが、マクロ的な議論も必要であり、1)政策の企画・立案として残る機能が結果として何割程度になるのかというような全体のイメージも必要ではないか。2)アウトソーシングに当たって、外局が今と変わらないのでは国民は納得しない。外局も職員の独自採用や採用数の減少などまでやらなければ国民の納得は得られないのではないか、との意見が述べられた。これらについて、外局については、その組織、人事の在り方等も含めて「受皿としての組織論」のところで議論することとされた。

・理論的には、減量論を行った後に機能の整理論を行うべきであるが、規制緩和等によって不要となる事務を詳細に特定することは困難であり、実際の作業としては、減量論と整理論を関連づけて行わなければならないのではないかとの意見が述べられた。これに関連して、詳細に特定することが困難というが、行革委が行政関与の在り方に関する基準を作成したのであるから、これを当てはめて考えるべきであるとの意見が述べられた。

・各省庁に規制緩和や地方分権によるスリム化を求めてもなかなか進展しないので、予算と人員の両面から制約を課して外枠をはめることにより、各省庁自らがこれらを推進せざるを得ないようにすることが望ましいとの意見が述べられた。また、省庁にインセンティブを持たせるためには、行政改革と財政構造改革によって枠をはめることが必要との意見が述べられた。

・アウトソーシングの仕方として、外局化、エージェンシー化、民営化等があるが、それぞれの特性を整理し、それぞれの形態にすべき事務の基準を明確にすべきではないかとの意見が述べられた。これに関連し、1)新しい外局と従来の外局との異同が一つのポイントである。2)外局、エージェンシーの違いを強調すると、アウトソーシングに際して各省庁が外局に流れることが懸念されるので、その共通性、メリット、インセンティブを整理することも必要である。3)アウトソーシングの形態を考える際、その基準を明確にすべきである。基準の一つとしては守秘義務の内容があり、守秘義務の格付けで議論してはどうか。また、これに加えて、エージェンシーも外局も予算や人事の自由化がポイントであるが、業務拡大に意味があるものはエージェンシー化、意味がないものは外局にしてはどうか。4)アウトソーシングの形態を決める際に明確な基準と受皿の形を作って、これに当てはまる類型の業務をその受皿にはめ込んでいくのか、一旦エージェンシー化して、その後民営化するようなことも考えるのかが問題である。5)外局化、エージェンシー化をすればそれで終わりということではなく、民営化への過程ということも考えてよいのではないか、6)外局には定員削減義務を課し、エージェンシーには義務を課さないとすれば、エージェンシー化が推進できるのではないか等の意見が述べられた。

・事務局作成の「各省庁が担っている機能の整理」は、原則として本省各局について作成されているが、附属機関等である研究所等についてもこれを作成すべきではないかとの意見が述べられた。

・水平的減量の基準として、経済的合理性の観点から議論されており、また、郵便に関して、ユニバーサルサービスの必要性という観点からも議論されているが、何をエージェンシー化すべきかを判断する際、重要なことは守秘義務のある業務内容か否かということであり、守秘義務の有無及び程度(それが人権等にどの程度影響するか)という点が重要であり、守秘義務の観点から議論する必要があるとの意見が述べられた。

・事務局作成の資料には、公権力の行使を行うものはエージェンシー化になじまないとして例えば国税庁を検討の対象からはずしているようであるが、そうであれば、税負担とならんでもう一種の国民負担とされる社会保険負担の徴収を行う社会保険庁を検討の対象にするのはおかしいのではないかとの意見が述べられた。

・1)エージェンシー化の前提として企画・立案と執行の分離があり、どこまでが企画・立案で、どこからが実施であるかを明確にする必要があるが、共通の基準ができるのかなど、その議論が十分に行われていない。2)外庁とエージェンシーと特殊法人の違いについての共通の物差しができるのか、できるとすればどのような基準にするのかについても議論を要するとの意見が述べられた。

・エージェンシーと本省の人事交流の問題について、エージェンシーの独自性を尊重する考え方からは、一部の人事交流はあるとしても、一定の制限を課する方がよいのではないかとの意見が述べられた。これに対し、1)実施部門の状況が分からなければ政策の立案ができないのであって、実施部門の職員が本省に帰って高い地位につけるようにし、人事交流の促進を図る必要がある。また、交流に際し、公務員身分や給与、退職金などのライフサイクルをうまく考えないと、円滑にいかないのではないか。2)所管の本省のみならず、他省庁も含め、幅広い人事交流が促進されるべきである。3)むしろ、一つのエージェンシーに監督官庁が複数あってもよいのではないか、等の意見が述べられた。

・エージェンシー化を進める上で、財政的コントロールからどこまで自由になれるかが最大の問題ではないかとの意見が述べられた。これに関連し、1)財政的コントロールの度合は、エージェンシーが国家組織の内側か外側かという問題に関連しているので、その面の検討が必要である。2)英国のエージェンシーでも人事と予算が問題となっているが、行政組織の外であれば予算も自由になるが、他方、公務員の身分を維持すれば、人事交流がしやすくなる。こうしたことを考えながら詰める必要がある。3)国家組織の内部か外部かでいろいろなことが変わってくるが、実態は内でも外でもない。4)エージェンシーの形態にもバラエティーがあってよいのであって、エージェンシーの基本法をメニュー方式にし、個別法でその形態を具体化するというようなことも考えられる、等の意見が述べられた。

・現在の外局と特殊法人の財政や人事等を比較し、モデル化した資料を作成すべきであるとの意見が述べられた。これについては、事務局で作成することとされた。

(郵政事業について)

・郵貯を民営化すると巨大な金融機関が誕生することとなるので、民間の金融機関がこれを恐れている面がある。このため、加藤寛氏などは郵貯の分割論を主張しているが、こうした分割化についても議論する必要があるとの意見が述べられた。

・郵貯から約200兆円の金が財投に投入され、これらが特殊法人などに融資されており、郵貯やこれら特殊法人は税金を払わずに事業を行っているが、本来あるべき税収がないという問題など、これに関連する問題についての議論が行われていない。この点についても議論すべきではないかとの意見が述べられた。

・郵貯が肥大化していることは明らかで、何とかしなければならない。これは国民のコンセンサスになっているのではないかとの意見が述べられた。

・先日の新聞報道によれば、郵政の職員が、全国の地方議会に対して、郵政事業の民営化反対の決議をするよう働きかけ、ビール券や切手を配っているとのことであるが、このような形で国家公務員である職員が行革の動きにプレッシャーをかけているとすれば問題であるとの発言があった。これに対し、これは職員が行っているものではないとの情報もある旨の発言もあった。

(国有林野事業について)

・林野庁の行政は、林産資源による利益追求ばかり考え、環境のウェイトが少ない状況が続いてきた。その中で、最近、森林に保水機能等があるというようなことが言われるようになっているが、保水機能の面では、ダムと森林とのバランスがどうなっているかについての計算を誰も行っていない。また、国有林、民有林を含めて、環境にどの程度役立っているのか、光合成による空気の浄化の機能も含め、その効用についてのバランスシートができていないと思われるが、このような検討をしないと本当の議論ができないのではないかとの意見が述べられた。

・国立公園、国定公園は環境庁が所管しているが、国有林と重なる部分もあるのではないか。国有林の管理に際して環境を考えるとすると、今のように縦割りの体制がよいのか、統合するのがよいのかとの問題提起があった。これに関し、この問題は、機能の目的別整理・再編の議論の中で討議すべきであるとの発言があった。

・1)国有林野は、林産資源による利益で森林の保全を行うというのがその基本的な発想であったが、今や民営林も含めてこのような考え方は成り立たない。2)国がどれくらいの森林をどれくらいのコストで管理するかという視点で、一般会計からの支出を考えざるを得ない。3)環境問題も念頭において、このように行政の手法を転換させるべきであるとの意見が述べられた。これに関連し、労働組合も、林野庁の在り方について、その重点を移行させる必要があるとの問題意識は有しているのではないかとの発言があった。

・国有林野の赤字について、旧国鉄の赤字のような整理をしなければならないかとの問題提起があった。これに対し、何らかの国民負担は避けられないのではないかとの意見が述べられた。

・森林の管理については、市町村や森林組合でも可能であり、地方分権を推進する余地はないかとの問題提起があった。これに対して、1)地方や森林組合が利益を求めて安易に伐採するようでは困るので、環境問題など国全体の立場からバランスをとる必要があって、そのために、必要な条件を課すなどの歯止めも必要ではないか、2)河川と同じように広域的な影響があるという問題も絡んでくるのではないか、3)保安林を解除して委託することはあり得る。そのためには、保安林解除を現在より容易にするよう、柔軟な運用が必要である、等の意見が述べられた。

(造幣・印刷事業について)

・印刷局については、1)特殊技術を持っていることからアウトソーシングが困難という主張があるが、米国のNASAやペンタゴンでも、秘密保持の契約を行い、何枚ものIDカードや厳重な管理によって保秘を担保した上、民間会社を活用している。2)紙幣の印刷も競争入札で民間会社を活用してもよいのではないか。官報も予算書の印刷も民間を活用できる。両者とも、印刷に時間がかかるので各省が苦労しているとの意見が述べられた。これに対し、米国では、そのような体制を採ったこともあって軍事技術が大流出しており、問題となっているのも事実であるとの指摘があった。また、予算書の印刷については、組合問題、守秘義務の問題、間違えると国の将来に大きく影響するということが民間委託できない理由とされているとの紹介があった。さらに、これらに対し、守秘義務に関しては、官だから秘密が守られるとは必ずしも言えないとの意見が述べられた。

・印刷、造幣両事業については、形態はともかく外に出す方向で考えるべきであるとの意見が述べられた。これに関連し、1)我が国の紙幣は、高度の印刷技術のため偽造が難しいが、こうしたことも考慮する必要がある、2)紙幣を考えると、印刷局の全てを民営化すべきかは疑問であるが、少なくとも予算書や官報は民営化すべきではないか、等の意見が述べられた。

(5) 今後の議論の進め方について、主査から、本日配布した資料その他本日の審議に関係した事項について、意見がある委員は、後日書面で提出し、これを主査と事務局で整理した上、8月の集中審議で議論を深めることとしたい旨提案があり、了承された。

以上
(文責 行政改革会議事務局)

連絡先:行政改革会議事務局   高野(電話03-3581-2641)  杉山(電話03-3581-0272)
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