[科学技術庁に対する質問項目]


☆行政改革の趣旨に照らし、今後取り組むべきと考える(取り組もうとする)改革方策をご提示願いたい。
☆科学技術行政と大学・学術行政の関係及び組織の在り方についてどう考えるか。
☆大学を含めた及び研究機関全体の調整・管理の在り方及び研究機関の組織形態(統廃合、独立機関化等)についてどう考えるか。
☆原子力行政とエネルギー行政の関係及び組織の在り方、研究開発体制についてどう考えるか。

科学技術庁説明資料(平成9年5月21日)
行政改革の趣旨に照らし、各省庁において、今後取り組むべきと考える(取り組もうとする)改革方策をご提示願いたい。

1.科学技術は、産業空洞化、高齢化社会といった我が国の課題の解決や、地球環境問題といった人類が直面する課題の解決に資するとともに、資源小国である我が国が21世紀において世界のフロントランナーとして国際社会に積極的、主体的に寄与していくために大きな役割を担うもの。

今後、科学技術基本法、科学技術基本計画に沿って、科学技術創造立国を目指した必要な施策を講じていくことは、将来を見据えて政府が主体的に取り組むべき最重要行政課題の一つ。

従って、それらの政策を強力に推進するために、今回の行政改革を通じて総合的かつ社会の変化に応じて柔軟に対応できる科学技術行政体制を構築していくことが21世紀の我が国の発展にとって必要。

なお、このような科学技術の振興は、我が国のみならず人類共通の知的資産を創成・活用する活動であり、国の機能に幅広く関連しかつこれらを支えるもの。他の国の機能のいずれかに包含させることは科学技術振興の特定の一面のみに偏らせる危険があり不適当。

2.総合的かつ社会の変化に応じて柔軟に対応できる科学技術行政を実現するための改革の方向性は次のとおり。

(1)国立試験研究機関の研究開発能力の強化
 国が実施するべき研究開発の中核である国立試験研究機関(以下「国研」という。)は、基礎的・創造的な研究、地球規模の諸問題や災害の防止などに資する科学技術の研究開発などを担うことが期待されているが、省庁毎の縦割りの中におかれていること、国の直轄組織であることなどにより様々な問題点が存在。
このため、従来の組織の枠を超えて国研の能力を結集し社会の変化に応じて柔軟かつ機動的に研究開発を実施できる体制を構築することにより組織的な制約を打破するとともに、その中にあって資金・人員の流動性、柔軟性を高める等により制度的な制約を打破することが重要。
 この観点から、現在の国研のうち上記の基礎的・創造的な研究等を実施する機関または部門については、組織的な一体性を高めるとともに、必要に応じて複数の省庁から資金を得て研究開発が実施できるような開かれた体制とすることが妥当。
 独立機関化の検討については、国研が民営化になじまないという基本認識に立って、研究機関の役割に即した対応がなされるよう考慮しつつ、上記の諸制約を打破し国研の活性化が図れるか否かの観点に立って行われるべき。

(2)大学及び共同利用機関の研究者の参加
 大学及び共同利用機関(以下「大学等」という。)における研究は、基本的には、研究者の自発的な発想に基づいて実施していくものであるが、研究者の意思を尊重しつつ国の研究開発計画への参加の場を広げていくことが重要。
 現在、その方向で改革が進みつつあり、今後その動きを加速することが必要。

(3)厳正な評価の実施
 研究開発活動を活性化し、優れた成果を上げていくとともに、研究資金の重点的・効率的配分に資するため、外部の有識者の意見も聴きつつ、厳正な評価を実施していくことが重要。
 なお、このため、現在、科学技術会議において、指針策定のための作業が進められている。

(4)大型研究開発プロジェクトの見直し
 大型研究開発プロジェクトについては、相当な投資額と長期間の取組が必要であることから、適切に見直しを行いつつ進めていくことが重要。
 なお、動力炉・核燃料開発事業団については、現在、ウラン濃縮、海外ウラン探鉱等民間が実施可能な業務を整理縮小し、業務をプルトニウム、高レベル廃棄物関連の研究開発へ集中する方向で科学技術庁において早急に検討を進めている。

(5)科学技術行政を担う人材
 科学技術行政はもとより、行政全般において科学技術的な要素が高まり、さらに今後一層顕著となる傾向にある。このため、行政の中において文系のみならず理系も含めた様々な知識と経験を有した人材が幹部に登用され、行政需要に応えていくことが必要。

(6)科学技術会議の機能強化
 総合的な科学技術政策の立案の重要性が一層増大しており、これに対応できるよう科学技術会議の機能強化が図られるべき。

3.上記のような課題を踏まえ、科学技術行政を科学技術基本法、科学技術基本計画に沿って政府一体となって総合的かつ柔軟に実施するとともに、その成果を国民生活に的確に活用していくためには、行政改革後の政府部内で強力なリーダーシップを発揮する科学技術行政の中核組織が必要。

 このような組織は、国研等の公的研究機関、大学等の研究者、さらには民間及び地域の研究所をも視野に入れ、産業界・学会等の意向を十分に反映し、国内のみならず国際的な視点をも持ちつつ、
・様々な社会的、経済的ニーズを踏まえた国全体の総合的な科学技術政策の企画、立案
・我が国全体の科学技術活動を振興する科学技術振興基盤の整備
・幅広い科学技術分野の基盤となる基礎的・創造的研究の推進
・原子力、宇宙、海洋の研究開発など、幅広い分野の先端技術を集約していくとともに、長期間の取組を要する研究開発の実施
・地震調査研究等の防災科学技術、脳科学研究、地球環境問題に関する研究など、様々な行政分野に深く関連し、特定の省庁のみでは実施が困難な研究開発の中核的な推進
・民間の研究開発の促進、地域における科学技術の振興
・高度な技術的知見を必要とする原子力安全規制
等を一体的に行う機能を持つべき。

4.さらにこの組織の長は、上記の科学技術という幅広く重要な行政分野を担当するにあたり、強力なリーダーシップを持ち、
・様々な行政分野に関連する科学技術行政を実行していくこと
・科学技術政策に対し国民世論を的確に反映させるとともに、それに対する国民の合意を十分得なければならないこと
等から専任の大臣であることが必要。

5.以上のことを踏まえると、もっぱら科学技術に責任を持つ大臣と科学技術行政を強力かつ一体的に行う組織であることが必要。

科学技術庁説明資料(平成9年5月21日)
科学技術行政と大学・学術行政の関係及び組織の在り方についてどう考えるか。

1.科学技術は、内外の諸課題の解決に重要な役割を果たすとともに、基礎研究を通じ人類共有の知的資産を形成するなど、我が国及び人類の将来の発展の基盤となるもの。

【内外の諸課題に対応する科学技術の例】
○経済フロンティアの拡大や高度な社会経済基盤の整備に貢献し、新産業の創出や情報通信の飛躍的進歩などの諸課題に対応する独創的・革新的な技術の創成に資する科学技術
○地球環境、食糧、エネルギー・資源等の地球規模の諸問題の解決に資する科学技術
○健康の増進や疾病の予防・克服、災害の防止などの諸課題の解決に資する科学技術

2.従って、我が国としては、科学技術の振興を国の最重要課題の一つとして位置づけ、科学技術の振興を強力に推進し、「科学技術創造立国」の具体化を図ることが21世紀の進むべき方向。
 このような認識のもと、平成7年に科学技術基本法が議員立法により制定され、同法に基づき平成8年には科学技術基本計画を策定。

3.科学技術行政は、地球規模の諸問題の解決、新産業の創出、疾病の予防・克服、教育等国のあらゆる機能と関連するとともに、研究開発を実施する国の機関をはじめとして、民間、地域とも関係し、更には国際的な広がりを持つ多様な行政分野。現在、20省庁等の関係行政機関において、科学技術会議の答申等を踏まえて、それぞれの所掌に基づき科学技術に関する施策を推進。
 このような体制の中で、科学技術庁は、国全体として整合性を保ちつつ、効率的、効果的に科学技術の推進を図るため、大学における研究は除かれるものの科学技術に関する基本的政策の企画、立案、及び、先端的・重要科学技術分野の研究開発の実施等科学技術に関する行政を、各省庁の行政目的に限定されない立場から総合的に推進(平成9年度科学技術関係経費の約25%)。

4.科学技術基本法によって課せられた科学技術に関する国の責務を確実に果たしていくためには、国立試験研究機関(以下「国研」という)等の公的研究機関並びに国立をはじめとする大学及び大学共同利用機関(以下「大学等」という。)、さらには地域や民間も含めた研究者の能力が最大限に生かされることが不可欠。
 特に、近年、国が実施すべき研究開発において基礎的・創造的研究の重要性が増す中で、大学等の研究者が個人の発想に基づく研究を活発に行うとともに、国の研究開発計画の中でもその能力を発揮していく重要性が増加。

5.これに対して、科学技術庁は、従来より、
・大学をはじめとして優秀な研究者を産官学から集め一定期間研究を行う創造科学技術推進制度の創設
・独創的な発想を持つ優れた研究者による個人レベルの基礎研究を積極的に推進する「さきがけ研究21」の創設
等に努力してきたが、さらに、一昨年の科学技術基本法の成立、昨年の科学技術基本計画の策定、実施等により、
・大学等、国研、民間等の枠を越えた公募型競争的研究資金予算の創設、拡充
・国研、大学等の研究者への任期制の導入
・大学等の研究者と民間との共同研究に関する規制の大幅緩和
等が実現しつつあるなど、大学等の研究者が国の研究開発計画の中でその能力を十分発揮できる環境は、まだまだ不十分ながらも、現在、望ましい方向への改革が行われつつあり、今後、この動きを加速し、産官学の一致協力による科学技術の活性化に向かっていくことが重要。

6.一方、科学技術行政と大学、学術行政の関係及び組織の在り方については、以下の通り、双方が大きく異なるので、それぞれ別の立場から緊密に協力し科学技術創造立国の実現を図っていくのが妥当。
・大学等における研究は研究者個人の自由な発想を第一として行っていくものであるのに比べ、国全体の科学技術推進においては社会的・経済的ニーズを踏まえ、戦略的・重点的に研究開発を実施するものであること。
・大学等は、研究機関であるとともに教育機関という側面を持つ組織。教育行政は、個性、創造性の涵養をより強める傾向にあるものの、既知の一定の基礎的知識体系を全国の小中高大学等を通して青少年に修得させることが求められるものであるのに対し、科学技術行政は、新しい知識を創出していく基礎研究や社会的・経済的ニーズに対応した研究開発を企画、立案、推進するとともに、その成果の活用を図るもので、両者の行政への取組みの基本的考え方及び手法が大きく異なっていること。

科学技術庁説明資料(平成9年5月21日)
大学を含めた国の研究機関全体の調整・管理の在り方及び研究機関の組織形態(統廃合、独立機関化等)についてどう考えるか。

1.我が国における国立試験研究機関(以下「国研」という)はそもそも行政を技術的な面から直接支える試験、検定、検査等を行う組織として、それぞれの省庁ごとに国の直轄組織として設置されてきたもの。

2.しかしながら、今日では、国研は国が実施するべき研究開発の中核となる研究機関として、基礎的・創造的な研究、地球規模の諸問題や災害の防止などに資する科学技術の研究開発などを担うことが期待されており、今後の我が国の科学技術の発展に必要不可欠なもの。
 諸外国においても、公的な試験研究機関が国の実施する研究開発の中核機関として位置づけられており、特に、小さな分野ごとではなく多数の分野を包含する大規模な公的研究機関が多数存在。

3.今後とも行政を支える試験、検定、検査等の業務は必要であるが、国研の役割の中心が前述した研究開発に移行しつつある中で、そのような研究開発を行っていく上で、
・各省庁毎に設置されていることから、業務が分断、細分化され、また規模も小さいため、国際レベルの中核的な研究機関に育ちにくく、活力ある研究を行うことが困難
・省庁、組織毎の予算、組織管理制度により、各省庁を越えた予算及び研究者の重点配分等が不十分であり、時代の変化に応じて柔軟に研究領域を転換することが困難
・国の直轄組織であることから、柔軟な人事管理への制約、予算執行の硬直性、外部資金導入の制約
など組織的・制度的に様々な問題点が存在。

4.これらの問題点を解決し、国の実施すべき研究開発を強力かつ効率的に実施していくためには、研究開発を中核となって実施する研究者の能力を最大限に引き出すことの出来るような組織形態について検討がなされるべき。
 その方向として、従来の組織の枠を超えて国研の能力を結集し社会の変化に応じて柔軟かつ機動的に研究開発を実施できる体制を構築することにより組織的な制約を打破するとともに、その中にあって資金・人員の流動性、柔軟性を高める等により制度的な制約を打破することが重要。

5.また、大学等における研究については、研究者の自発的な発想に基づいて実施していくものであり、従って、研究者の意思を尊重しつつ、前述の通り国の研究開発計画への参加を積極的に求めていく方向とすべき。

6.なお、国の研究機関の独立機関化については、独立機関がいかなるものか明確になっていない現段階においてその是非を結論づけることは困難であるが、例えば国研の任務が先端的、独創的な基礎研究から、試験、検定、検査等の行政需要に応えるものまで幅広い要素を持っているなど研究機関の役割に即した対応が必要であると考える。
 また、国研の行う研究開発は、不確定要素が大きいこと、収益を考慮するものではないことなどから民間において実施困難なものに焦点を当てるべきであり、研究開発の進展により民間が実施できる段階に達したものは積極的に民間に委ねることとすべき。従って、国研が民営化になじまないことにも留意すべきである。

科学技術庁説明資料(平成9年5月21日)
原子力行政とエネルギー行政の関係及び組織の在り方、研究開発体制についてどう考えるか。

1.将来にわたるエネルギーの安定的な確保は重要な政策課題。このため、科学技術行政としても、エネルギーの研究開発を科学技術の重要分野と位置付け、研究開発を推進。
 この中で、原子力は、供給安定性に優れること、地球環境問題との観点で優れること等から、将来にわたり重要なエネルギー源としての役割を担うことが期待されるものであり、その研究開発に国として重点的に取り組む必要があるもの。

2.また一方で、原子力はエネルギー分野のほか、その有する高密度エネルギーや放射線等を利用して、基礎研究、医療分野、工業分野、農業分野等において幅広く利用されており、今後拡大の傾向。

3.この原子力は、他に存在しないような莫大な潜在エネルギーを有する核物質を扱うことから、原子力行政としては以下のような特別の配慮が必要。
・厳格な安全対策が必要
・軍事転用防止を図るとともに、国際的連携のもとに核不拡散政策が必要
・広範な分野の先端技術の集約が必要
・長期的観点から技術開発を進めている大型プロジェクトが多い
・研究開発を含めた全ての活動において、解体後も考慮した放射性廃棄物対策が必要
・国民の間に根強い不安感が存在

4.このような特徴を踏まえ、原子力行政(安全規制は後述)は、原子力基本法の下、内閣総理大臣の諮問機関である原子力委員会の方針、調整を踏まえ、各省庁の適切な役割分担の下、実施している。
・科学技術庁:基本的政策の企画、立案及び研究開発
・通商産業省:実用段階の発電としてのエネルギー利用
・文部省:大学での研究開発
・外務省:核不拡散等の外交事項
・厚生省:放射線医療
・他省庁:実用段階の放射線利用
特に、今後の原子力施設の立地、核燃料サイクルの推進を円滑に進めていくためには、従来以上に政府一体となった取組みが重要である。

5.研究開発体制については、原子力基本法に基づき、日本原子力研究所(原子力全般の研究開発)及び動力炉・核燃料開発事業団(新型炉、核燃料サイクルの開発)の二つの特殊法人を中心に、関係機関が協力して進めている。

 なお、動力炉・核燃料開発事業団による一連の事故及びその対応の不手際を踏まえ、現在、同事業団の体質及び組織・体制の抜本的改革を行うため、幅広い外部の有識者からなる大臣直轄の「動燃改革検討委員会(座長:吉川弘之前東京大学総長)」を設けて、専門のコンサルタントも活用しつつ、ウラン濃縮、海外ウラン探鉱等民間が実施可能な業務を整理縮小し、業務をプルトニウム、高レベル廃棄物関連の研究開発へ集中する方向で早急に検討を進めている。

6.上記の原子力行政とエネルギー行政との関連については、以下のように考える。
 科学技術庁が行っている原子力に関する行政は、基本的に研究開発に係るものが中心であり、原子力開発の黎明期には、原子力行政は、これが殆どであるがごとき状況にあった。その後、電力会社が商業用として原子力発電所を建設する段階に達し、産業行政的な意味での原子力行政を行う必要の発生と共に、通商産業省においてこのような行政は実施されてきており、当庁は、原子力委員会の庶務としてこれに関わってきている。

 一方、原子力のエネルギー源としての利用を最終的に確立するには、プルトニウム利用技術と放射性廃棄物処分技術の確立が不可欠であり、これに対する研究開発を国として責任を持って進めていかなければならない。さらに究極のエネルギーである核融合についてもその技術的確立に向けた研究開発に取り組む必要がある。

 これら研究開発の強化・推進については、
・原子力技術は、幅広い分野の先端技術を集約し、一つのまとまった技術体系を確立する必要があること
・研究開発に長期間の取組みを要するとの性格を有すること
等から科学技術行政の一環として、長期的、総合的視点をもって取り組むことが妥当。

 また、原子力はエネルギー利用だけでなく、放射光、放射線、加速器利用等広範な分野をカバーしており、このエネルギー以外の分野の重要性が増加してきていることにも留意すべきである。

7.また、安全規制に関しては、ダブルチェックを基本。まず、行政庁の一次審査として、研究開発段階までの原子炉及び核燃料サイクル施設は科学技術庁、実用段階の原子力発電所は通商産業省、実用原子力船は運輸省が実施。さらに、その結果を内閣総理大臣の諮問機関である原子力委員会及び原子力安全委員会がダブルチェックを実施している。

 今後の安全規制に当たっては、原子力利用の拡大、動力炉・核燃料開発事業団の一連の事故等を踏まえ、設計、建設、運転の各段階の安全規制・安全管理、事故時即応体制、更には防災対策について、量的・質的両面において安全確保機能の強化を図っていくべき。また、原子力安全委員会の果たすべき重要性を踏まえ、その強化を図るべき。

(資料1)科学技術基本法及び基本計画の概要

【科学技術基本法の概要】

○科学技術振興のための方針
 - 研究者等の創造性の発揮
 - 基礎研究、応用研究及び開発研究の調和のとれた発展
 - 国の試験研究機関、大学・大学院、民間等の有機的連携 等

○国及び地方公共団体の責務
 - 国は科学技術の振興に関する総合的な施策の策定及び実施の責務を有する
 - 地方公共団体は国の施策に準じた施策及びその地方公共団体の区域の特性を生かした自主的な施策の策定及び実施の責務を有する

○科学技術基本計画
 - 政府において、科学技術会議の議を経て策定
 - 計画の実施に必要な資金の確保を図るため、毎年度、国の財政の許す範囲内で予算に計上する等必要な措置を講ずるよう努める

○年次報告
 - 政府は、毎年、国会に「科学技術の振興に関して講じた施策に関する報告書」(年次報告)を提出

○国が講ずべき施策
 - 国として特に振興を図るべき重要な科学技術分野に関する研究開発の一層の推進
 - 民間の自主的な努力の助長 等

【科学技術基本計画の概要】

○研究開発推進の基本的方向
 - 社会的・経済的ニーズに対応した研究開発の強力な推進
 (新産業の創出、地球規模の問題の解決、生活者のニーズ対応 等)
 - 基礎研究の積極的な振興

○新たな研究開発システムの構築
 - 創造的な研究開発活動の展開のためのシステムの構築
 - 各セクタ間、地域間、国際間の連携・交流システムの構築
 - 厳正な評価の実施

○政府の研究開発投資の拡充
 - 平成8年度より12年度までの科学技術関係経費の総額の規模を約17兆円とすることが必要
 - 一方、我が国の財政の健全化が緊急の課題。
 - 以上の観点を踏まえ、本計画に掲げる施策の推進に必要な経費を拡充

(資料2)日本の科学技術行政機構(平成8年度末現在)(図)(略)
(資料3)諸外国にみられる科学技術関係行政体制の概念(略)

(資料4)平成9年度科学技術関係経費

(1)平成9年度予算における科学技術関係経費
区 分平成8年度当初予算額:億円平成9年度予算額:億円前年度増減率:%
一般会計中の科学技術関係費13,42014,810 10.4
特別会計中の科学技術関係費14,68415,218 3.6
科学技術関係経費総額28,10530,028 6.8
(参考)政府一般会計総額
   うち 一般歳出
751,049
431,409
773,900
438,067
3.0
1.5

(注)一般歳出は、一般会計総額から国債費、地方交付税交付金及び産業投資特別会計への繰入れ等を除いた経費である。

(2)省庁別科学技術関係経費
省  庁  名一般会計中の科学技術
関係経費:億円
特別会計中の科学技術
関係経費:億円
科学技術関係
経費総額
国    会66( 0.0%)
日本学術会議1414 ( 0.0%)
警 察 庁1515 ( 0.1%)
北海道開発庁22 ( 0.0%)
防 衛 庁1,7531,753 ( 5.8%)
経済企画庁1111 ( 0.0%)
科学技術庁5,7141,6317,345 ( 24.5%)
環 境 庁180180 ( 0.6%)
国 土 庁55 ( 0.0%)
法 務 省2020 ( 0.1%)
外 務 省130130 ( 0.4%)
大 蔵 省91322 ( 0.1%)
文 部 省3,2419,64812,890 ( 42.9%)
厚 生 省766149915 ( 3.0%)
農林水産省977321,009 ( 3.4%)
通商産業省1,2103,5134,724 (15.7%)
運 輸 省21912231 ( 0.8%)
郵 政 省317260577 ( 1.9%)
労 働 省93443( 0.1%)
建 設 省204185389 ( 1.3%)
自 治 省88 ( 0.0%)
合   計14,81015,21830,028 (100.0%)

(資料5)我が国の組織別研究者数及び研究費

○研究者数(平成8年度)
(単位:万人,下段は構成比)
合  計民   間政府研究機関大  学
67.340.0
(59.4%)
3.0
(4.5%)
24.3
(36.1%)

○研究費(平成7年度)
(単位:億円,下段は構成比)
合  計民   間政府研究機関大  学
144,082100,359
(69.7%)
13,901
(9.6%)
29,822
(20.7%)

(総務庁統計局「平成8年科学技術研究調査報告」)

(資料6)科学技術庁における基礎研究推進制度

1.戦略的基礎研究推進事業(科学技術振興事業団)
 国が設定した戦略目標の下、研究テーマを公募し、全国立試験研究機関、大学等と共同研究又は委託研究の形態で基礎研究を5年間実施。
  (課題例)自立都市をめざした都市代謝システムの開発
  ※平成7年度創設のため、成果を得る段階に至っていない。

2.創造科学技術推進事業(科学技術振興事業団)
 我が国独自の科学技術の芽を創出するため、卓越した主導的な研究者のもとに産学官及び海外の優れた若手研究者を結集し、5年間、個々の創造性を十分に発揮できる創造的・基礎的研究を実施。
  (課題例)岡山細胞変換プロジェクト(注:岡山は総括責任者名)
  (主な成果)細胞の癌化機構の解明に重要な手がかりの入手

3.さきがけ研究21(科学技術振興事業団)
 個人レベルの基礎的研究を推進するため、真に独創的な発想を持つ優れた研究者を厳選し、3年間自由に研究を実施。
  (課題例)DNAを特異的に切断する光機能分子の設計
  (主な成果)塩基配列上のグアニン選択的なDNAの光切断に世界で初めて成功

4.フロンティア研究推進事業(理化学研究所)
 従来の研究組織の枠を越えて多分野の研究者を世界有数の優れた総合研究機関である理化学研究所に結集し、15年間、国際的に開かれた体制により、未踏の領域における先端的な基礎研究を実施。
  (課題例)思考機能研究
  (主な成果)小脳における記憶痕跡の可視化に成功

5.科学技術振興調整費
 科学技術会議の方針に沿って、基礎的・先導的研究開発等の我が国の科学技術の振興に必要な重要研究業務の総合推進調整を実施するための経費。この経費を活用して、産学官連携プログラム(総合研究、生活・社会基盤研究)等を実施。
 総合研究:総合調整の観点から重要なテーマについて、産学官の研究能力を結集し、その有機的連携の下で実施する総合的な研究開発。(原則5年)
 生活・社会基盤研究:生活者や社会のニーズに密着した生活の質の向上(生活者ニーズ対応研究)及び地域の活性化(地域先導研究)に資する研究開発。(生活者ニーズ対応研究:原則5年、地域先導研究:原則3年)
  (課題例)組換えDNA技術の利用に関する総合研究
  (主な成果)B型肝炎ワクチンの創出

(資料7)各省における公募型競争的研究資金について

各省庁における公募型競争的研究資金の概要は以下のとおり。

 8 年度予算額
(億円)
9年度予算額
(億円)
研究の概要
科学技術庁
戦略的基礎研究推進事業
(科学技術振興事業団)
15024021世紀に向けた重要な研究領域に関するシーズ探索型の基礎的研究
文部省
未来開拓学術研究推進事業
(日本学術振興会)
11020621世紀に向けて知的資産の形成を図る大学主導型の学術研究
厚生省
保健医療分野における基礎研究推進事業
(医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構)
1029画期的医薬品・医療用具等の開発に資する基礎的研究
農林水産省
新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業
(生物系特定産業技術研究推進機構)
1936.1 生物機能の高度利用等を促進するための基礎的研究
通商産業省
新規産業創造型提案公募制度
(8年度名称:独創的産業技術研究開発促進制度)
(新エネルギー・産業技術総合開発機構)
26.547新規産業創出に資する将来の産業技術の創造に向けた独創的な研究開発
運輸省
運輸分野における基礎研究推進制度(仮称)
(運輸基盤総合整備機構(仮称))
21世紀に向けた交通サービスの高質化・多様化等に資する基礎的研究
郵政省
創造的情報通信技術研究開発推進制度
(通信・放送機構)
4.8通信・放送技術を対象とした独創性・新規性に富む未来創造型の研究開発
合計 320.3569.1 

○関係省庁との連携体制について

 科学技術会議政策委員会において「特殊法人等における新たな基礎研究推進制度に関する懇談会」が開催され、特殊法人等におけるこれらの基礎研究推進制度について、その運用の基本に関する検討が行われるとともに、省庁間の連携体制を整備するため関係7省庁よりなる「基礎研究推進制度関係省庁連絡会」を設置し、各制度の円滑な運用を図ることとしている。

(資料8)

◎国立試験研究機関、大学等への任期付任用制の導入

1.国立試験研究機関
○平成9年3月6日に人事院から国会及び内閣に対し、「招へい型」及び「若手育成型」の二つの場合に研究者を任期を定めて採用できる制度について、給与の特例及び裁量による勤務に関する事項を含めて整備することを求める「研究業務に従事する一般職の職員の任期を定めた採用等に関する法律」の制定について意見の申出が行われた。
○この意見の申出を踏まえ、関係法案を平成9年4月25日に閣議決定し、本通常国会に提出。

2.大学
○大学教員の任期制について、平成8年10月29日に大学審議会より、任期制導入の意義及び各大学の判断で任期制を導入し得る「選択的任期制」が適切であるとした答申「大学教員の任期制について」がなされた。
○この答申を踏まえ、関係法案を平成9年4月8日に閣議決定し、本通常国会に提出。

◎大学等の研究者と民間との共同研究に関する規制の大幅緩和(兼業許可の円滑化)

1.国立試験研究機関
○平成8年10月以降、通商産業省、科学技術庁等主要省庁が各附属の試験研究機関に対し、兼業の許可を可能とする旨通知。

2.大学
○平成8年12月、文部省における兼業の許可又は承認にあたっての一定の基準を示している関係通知を改正し、平成9年4月より実施。

(資料9)国立試験研究機関の問題について

T.省庁ごとの縦割りに置かれていることによる制約

△各試験研究機関の業務が細分化され、その規模も小さい
→国際レベルの中核的な研究機関に育ちにくく、活力ある研究を行うことが困難

【国立試験研究機関の定員数の分布】
定員数(人)50人以下50〜100100〜200200〜300300〜500500以上
研究機関数1220181711

(諸外国の主要な公的研究所の規模)
 (米国)ローレンス・リバモア国立研究所 9千名
     パシフィック・ノースウエスト国立研究所 4千名
 (独国)マックス・プランク協会生化学研究所 1千名
 (英国)ラザフォード・アップルトン研究所 1千名
 (仏国)国立科学研究センター生物科学研究所 6千名、国立農学研究所 9千名
 (日本の主要な民間研究所の規模) 日立中央研究所 1100名、富士通研究所 750名、ソニー中央研究所 640名

△研究分野・目的が各省庁の設置法等に定める狭い範囲に限定
→自由かつダイナミックな研究の発展を阻害。

△各省庁の枠を超えた予算及び研究者定員の再配分、研究組織の構築・再編等による重点配分が不十分
→時代の変化に応じて柔軟に研究領域を転換することが困難。

(参考2)国立試験研究機関の研究者数の推移 参照

△総合的な課題に対し、一体的に取り組む体制の構築が不十分
→地球規模問題等広範な能力を結集して総合的に取り組むことが求められる研究分野への対応能力が不十分。

【研究所間の広範な連携を必要とする研究例】
 例:地球変動予測研究に関係する研究所: 防災科学技術研究所、通信総合研究所、国立環境研究所、水産研究所、気象研究所、大学、宇宙開発事業団、海洋科学技術センター(順不同)

U.国の直轄組織であることによる制約

△国の組織としての組織管理上の厳しい制約
→研究拠点の地域展開、海外展開をはじめとした組織の弾力的な運営が困難。

△一般公務員と異なる処遇、人事管理を行うことが困難。
→能力、業績に見合った処遇をし難く、研究者に意欲を与え難い。
→民間の研究機関と報酬格差により、優れた人員の確保に支障。
→研究に弾力的に取り組むことの出来る裁量労働制の導入等柔軟な人事管理を行うことが困難。

△一般事務と同様の予算会計制度による厳しい制約
→予算項目が細かく設定され、その項目間でのやりくりや年度を越えての繰り越しが難しいため、研究の進捗に応じた柔軟な予算執行が困難。
→外部から直接の資金提供を受けた研究を実施するためには、予め予算シーリングの枠内として予算に計上することが必要なため、外部資金の導入による研究の活性化が図れない。
→特許収入は国庫に納付されてしまい、発明に関わった研究所に対して研究資金としての還元が無いため、特許取得の意欲を与えられない。

【国研における予算区分例】
「庁費」、「試験研究費」、「諸謝金」、「外来研究員等旅費」、「委員等旅費」、「電子計算機借料」

これらの問題点を解決し、国の実施すべき研究開発を強力かつ効率的に実施していくためには、研究開発を中核となって実施する研究者の能力を最大限に引き出すことの出来るような組織形態について検討がなされるべきであり、その方向として、1)従来の組織の枠を超えて国研の能力を結集し社会の変化に応じて柔軟かつ機動的に研究開発を実施できる体制を構築する、2)資金・人員の流動性、柔軟性を高めることが重要。

(参考1)国立試験研究機関定員表(表略)

(参考2)国立試験研究機関の研究者数の推移
昭和50年度昭和60年度平成8年度
10,004人9,909人9,506人

【省庁別内訳】
昭和50年度平成8年度
科学技術庁 1,080人(11%) 1,057人(11%)
厚 生 省 805人( 8%) 698人( 7%)
農林水産省 3,420人(34%) 3,251人(34%)
通商産業省 2,651人(26%) 2,450人(26%)
運 輸 省 550人( 5%) 543人( 6%)
建 設 省 314人( 3%) 309人( 3%)
そ の 他 1,184人(12%) 1,198人(13%)

(資料10)我が国の原子力の研究開発及び利用体系(チャート)(略)

(資料11)原子力の行政体系

<原子力委員会>
・原子力に関する政策の企画、立案及び推進
・関係省庁の原子力利用に関する事務の総合調整
・関係省庁の原子力利用に関する経費見積り及び配分計画 等
<原子力安全委員会>
・原子力施設の安全確保に関する政策の企画、立案及び推進
・関係省庁の実施する安全規制に関するダブルチェック 等
<科学技術庁>
○原子力局
○原子力安全局
・放射線医学総合研究所
・日本原子力研究所
・動力炉・核燃料開発事業団
・理科学研究所
ex.
・原子力に関する政策の企画、立案及び推進
・関係省庁間における総合調整
・原子力の研究開発の推進
・原子力施設(発電所を除く)の安全規制
<通商産業省>
○機械情報産業局
○資源エネルギー庁
・工業技術院
ex.
・原子力発電の推進
・原子力発電所の安全規制 等
<運輸省>
○運輸政策局
○海上技術安全局
○航空局
・海上保安庁
・気象庁
ex.
・海上輸送の安全 等
<外務省>
○総合外交政策局
○経済局
ex.
・原子力協力協定交渉
・IAEAを通じた協力 等
<厚生省>
・国立衛生試験場
・国立病院 等
ex.
・放射線治療
・放射線診断 等
<農林水産省>
・農業環境技術研究所
・畜産試験場
ex.
・じゃがいもの発芽防止
・品種改良 等
<国土庁>
○防災局
ex.
・防災計画の策定 等

(資料12)動燃改革検討委員会について(チャート)(略)
(資料13)核融合研究開発(チャート)(略)
(資料14)大型放射光施設(Spring−8)の整備と共用の促進(略)
(資料15)重粒子線がん治療研究―原子力の医療分野での利用―(チャート)(略)
(資料16)原子力安全研究について(略)
(資料17)原子力安全規制におけるダブルチェックについて(略)