[農林水産省に対する質問項目]

☆行政改革の趣旨に照らし、各省庁において、今後取り組むべきと考える(取り組もうとする)改革方策について
☆農林水産行政と国土・地域行政、産業行政、環境行政との関係及び組織の在り方についてどう考えるか。
☆農林水産関係の社会資本整備の今後の在り方についてどう考えるか。また、公共事業関係組織の一元化、土地利用関係組織の一元化についてどう考えるか。
☆国有林野事業の今後のあり方についてどう考えるか。
☆食糧管理制度の今後の在り方についてどう考えるか。また、組織の民営化、独立機関化についてどう考えるか。
☆農林水産業の振興、農山漁村振興については基本的に地方公共団体に事務を委ね、国は政策・制度の企画・立案に重点化すべきとの意見についてどう考えるか。
☆農林水産統計についての組織、業務のあり方(他の統計組織との統合、都道府県の活用など)についてどう考えるか。
☆研究機関について、他の研究機関との統廃合を含め、組織の在り方についてどう考えるか。
☆食品の安全性の確保について、厚生行政との一元化をどう考えるか。
☆農協は、長年にわたる行政との関係の中で、競争力を失い、住専問題に代表されるようにいくつかの困難な問題を抱えているとの指摘がある。農協系統について一般商業系統と同様の扱いとし、競争原理の導入を図るなど、その自立を促し、行政との関係を見直すべきではないか。
☆株式会社に農地保有を認め、本格的な農業生産への参入の途を開く考えはないのか。畜産業への株式会社の参入事例が少なくないことや、農業団体自身が外国では株式会社形態で事業を行っていることにかんがみても、政策変更が必要ではないか。
☆主食である米、麦をはじめ、水産物、畜産物、野菜、果実など食料全般にわたり、食料安全保障や国民栄養の観点も踏まえ、バランスよく国民に対して供給するための総合政策部門が欠けているのではないか。自給率論争や総合的な食料政策を検討する中核部局はどこなのか。
☆土地改良事業に関連し、累積額にして22兆円もの用排水施設が今日存在しているが、現行施設の更新・再整備に力を注ぐべきではないか。その際、農業用水の水利権を上水道、工業用水にも再配分し、多目的に有効に利用していく考えはないか。

農林水産省説明資料(平成9年5月21日)

行政改革の趣旨に照らし、各省庁において、今後取り組むべきと考える(取り組もうとする)改革方策について

1 21世紀における農林水産行政組織の在り方

(1)21世紀における農林水産行政組織の在り方については、次のような基本的な政策の展開方向を踏まえた体制とすることが必要。
1)開発途上国を中心とする人口増加、農地の砂漠化の進行等による不安定な国際的食料需給の下で、「食料」は地球的規模の問題となっており、国民(1億2千万人)の食料の安定供給及びそのための国内供給力の確保は国家存立の基盤をなすものであること。


・開発途上国を中心とする人口増加(1996年国連人口推計)

          1994年      2000年      2025年      2050年

          56億人 → 61億人 → 80億人 → 94億人

・過放牧、森林伐採等による砂漠化の進行

          砂漠化面積500万ha/年以上(我が国の農地面積約500万haに相当)

・昨年11月にローマにおいて開催された「世界食料サミット」では、2015年までに栄養不足人口(現在8.4億人)の半減を目指すこと、「世界食料安全保障」の達成のためには持続可能な農業生産が重要であること等が各国の共通認識となった。

2)国民の納得し得る価格で食料を供給するためには、国内供給力をできる限り低コスト(最小の費用)で維持することが重要。そのためには、効率的な農業経営の育成という産業政策的視点が必要であること。
この場合、農業生産が持つ他の工業・サービス産業とは異なる特質を踏まえた政策誘導が必要。

3)農林業のフィールドは国土面積の8割に及んでおり、農政の展開に当たっては、農林業生産活動の増進を通じ国土の保全や地域の振興を図るという国土政策的側面を念頭に置いた政策展開が有効かつ必要であること。
 ・日本の国土面積 約38万ku うち森林面積25万ku、農用地面積5万ku ※国土の8割強

4)21世紀に向けて、人口、食料、環境、エネルギーの問題が、地球的規模での重要な課題。農業のあり方を考える上で、これらの諸問題を十分に踏まえ、農林業生産活動が持つ環境保全等の機能の発揮に配慮していくことが重要であること。

5)今後とも安全で良質かつ安価な食料を求める消費者のニーズに応えるため、食品の生産から消費までを一体的に所掌する中で、食料供給のコスト低減、安全対策等の食品行政を総合的に展開していくことが重要。この中で、食品安全行政については、食品行政に一元化するのが望ましいとの要請が強まると考えられ、これに的確に対応することが必要であること。

(2)諸外国の食料・農業に対する考え方

食料・農業政策については、国民食料の安定的供給を図るため、産業政策、地域・国土政策、環境政策等の多面的な観点からの政策展開が世界的潮流。

 諸外国における政策展開例
産業政策(EU共通農業政策)
・農業経営改善のための投資助成
・若年農業者に対する就農奨励
・簿記導入を行う農業者に対する助成
・農業近代化のための職業訓練への参加助成
(フランス)
・農業経営体の法人化促進のための貸付制度、税制優遇措置
(イギリス)
・農地の細分化による非効率利用防止のための規制
地域・国土政策(EU共通農業政策)
・山岳等条件不利地域に対する助成
・農地への植林に対する助成
(米国)
・土壌保全への助成
・農村インフラ整備への助成
(ドイツ)
・農林業の生産条件、生活条件の向上のための村落再整備事業
環境政策(EU共通農業政策)
・環境保全、田園地域維持に対する助成
・環境保全型農法(有機農業、粗放化、景観維持、環境自然資源の保護と両立する農業)の導入を図る農業者等団体に対する助成
(米国)
・環境改善(畜産廃棄物処理施設、水路、肥料、農薬の適切な管理、土壌流出防止等に係る施設整備及び管理費用への助成及び技術指導等)を奨励するための助成

(3)諸外国における食料・農業政策担当組織

ほとんどのOECD諸国において、食料・農業政策を担当する行政機関は、他の行政を担当する行政機関から、独立。

2 農林水産省では、これまで大幅な組織・定員の合理化に格段の努力を払ってきた。

○ 農林水産行政におけるこれまでの組織・定員の合理化(行政改革の第一目標)の取組


1)定員の削減

                     昭和42年度末   平成9年度末

  ・政府全体         899千人  →    853千人(▲46千人、▲5%)

   ・農林水産省         103千人  →     45千人(▲58千人、▲56%)

      うち食糧事務所         28千人  →      10千人

          統計情報事務所     12千人   →     5.7千人

          国有林野組織       41千人   →       9千人

2)地方支分部局の整理

  〔食糧事務所〕    昭和42年度末     平成9年度末     平成11年度末

     本 所          47     →      41      →  36(予定)

     支 所         511     →    270      → 201(予定)

     出張所      3,021     →        0     (昭和55年度末全廃)

   〔統計情報事務所〕

        出張所         667     →    283

    〔国有林野組織〕

        営林局           14     →        9

       営林署         350     →    229

3 規制緩和、地方分権についても、行政改革委員会の意見、地方分権推進委員会勧告を踏まえ、今後とも、積極的に推進することとしているところ。

○ 今後の予定
(1)規制緩和
▽株式会社の農業経営への参入については、本年4月から発足した食料・農業・農村基本問題調査会において今後の農政の在り方の一環として検討。
▽麦政策について、国内産麦の位置づけ、価格支持に替わる国内産麦生産振興の在り方とそれに伴う費用負担の在り方等全般にわたり検討。
▽繭・生糸の生産・流通規制を全廃(製糸業法及び蚕糸業法を廃止)
▽農畜産業振興事業団の国産糸売買業務を廃止 など

(2)地方分権
▽2ha超から4ha以下の農地転用の許可権限を大臣から都道府県に委譲
▽都道府県域を超えない一定の流域保全保安林の指定・解除権限を大臣から都道府県に委譲
▽機関委任事務制度の廃止、自治事務化の推進

4 農林水産行政の改革

 橋本内閣においては、行政改革、財政改革、経済構造改革といった6つの改革を最重要課題として推進中。農政改革、農業改革等もこれら一連の改革と密接不可分のものとして、一体的に取り組んでいるところ。

(1)農政改革
 社会情勢の変化や国際化の進展の中で、新たな食料・農業・農村基本法の制定を含む施策全般にわたる抜本的な見直しに既に着手。
 その際、行政改革の視点も踏まえ、国の担うべき役割を検討。


○  食料・農業・農村政策の主要検討事項

    ア.食料政策

    (ア)世界の食料需給の中長期的な見通し

    (イ)我が国の食料需給の中長期的な見通し

    (ウ)国民的見地に立った食料供給のあり方

      ア)食料供給に占める国内農業生産の位置付け

      (農地・担い手等の生産条件のあり方)

      イ)食料の輸入及び備蓄の位置付け・役割

      ウ)食料供給の担い手としての食品産業の振興

        (農産物の内外価格差の縮小、国内産の利用者としての位置付け)

      エ)品質、安全性等食料供給の質的向上

    (エ)食料・農業分野における我が国の国際貢献の方向

      (技術協力・資金協力・食料援助)

    イ.農業政策

    (ア)農業の担い手確保と農地制度との関連

    (イ)農業の担い手としての女性、高齢者の位置付け

    (ウ)農産物価格制度・農業経営安定対策の役割

  (エ)環境面・生産力面からみた水田の果たす役割

  (オ)農業の環境に与える負荷削減のための農法のあり方

  (カ)農業技術の開発・普及の方向

  (キ)農業生産基盤整備事業の役割

    ウ.農村政策

    (ア)国土利用計画法、農振法、都市計画法等の土地利用制度の体系

  (イ)過疎法・山振法・特定農山村法等各種地域振興制度の体系

    (ウ)中山間地域における農業者の所得確保問題

    (エ)農業・農村の有する公益的機能の計量的評価

    (オ)農村地域活性化についての取組方策

○ 今後の検討スケジュール
農政改革は、現下の諸情勢の下で、緊急な対応を必要としている重要な課題であることから、これら項目につき検討を急ぐ。
 年内には政策の在り方の基本的な考え方をまとめ、施策化できるものについては、順次、予算措置や来年の通常国会への法案提出等を準備。
さらに、明年夏頃には、具体的な政策の方向をまとめ、できれば来年秋の臨時国会、遅くとも再来年の通常国会には、新基本法とともに関係法案を提出。

○ 以上のように、21世紀に向けて国民の農業・農村に対するニーズに対応した農政の抜本的見直しを行うことに伴い、これにふさわしい農林水産行政組織に再編。

○ こうした農林水産行政組織全体の再編の中で、地方支分部局等の在り方についても検討。


   ※検討の視点(例)

    ▽食糧事務所   :検査の実施部門における国の役割の限定

    ▽統計情報事務所  :民間委託、地方委託の一層の推進

     ▽試験研究機関    :民間活力の導入、共同研究の推進等

      ▽その他施設等機関:規制緩和の進展を踏まえた組織の在り方の見直し

      ▽地方農政局      :地方分権の進展を踏まえた組織の在り方の見直し

  ※いわゆる「エージェンシー」については、具体的内容の提示を待って、政府全体のバランスを見つつ検討。

(2)国有林野事業の在り方

1)今後の国有林の管理経営に当たっては、国民共通の財産である緑と水を将来にわたって守っていくということが重要。
 なお、森林は、国土保全、自然環境保全等の公益的機能と木材生産機能を、森林ごとにあわせ持っており、森林施業を通じて総合的に管理し、公益的機能を発揮させることが適切かつ効率的。

2)独立採算を前提とした現行の国有林野事業を継続することは、長期性を有する林業経営をめぐる厳しい状況(林業利回り0.3%)、育成途上にある資源内容(人工林の8割が40年生以下)等から極めて困難。また、民営化することについても我が国の林業経営そのものが厳しい状況の中で、困難。

3)今後の国有林野事業のあり方については、行政改革プログラムに沿って、林政審議会における論議・検討を踏まえ、行政改革や財政構造改革の動きを見ながら、本年中に更に徹底した経営の改善合理化を含む国有林野事業の経営の健全化のための抜本的改善策を検討・策定の上、所要の法律案を来年の通常国会に提出する予定。

(参考)国有林改革方針(自民党行政改革推進本部(平成9年5月16日))
国有林野事業については、抜本的に改革する。即ち、国有林野の公益的機能の重要性に鑑み、森林整備の基本を公益的機能の発揮に転換し、その下で自然公園等を含め、所有管理は国が一元的に行い、事業は全面的に民間に委託する。組織・要員については最小限とし、大幅削減する。  また、独立採算制を廃止し、森林整備のために必要な財政措置を講ずる。 累積債務処理については、国鉄清算事業団債務の処理方策等を勘案し、適切に措置する。
(3)水産基本政策の在り方

新海洋法秩序の下で、漁業経営の体質強化、流通加工分野の改善、漁協系統組織のあり方の見直し、水産業関連地域の活性化等水産業が直面する諸課題に対応するため、水産基本政策全般のあり方について検討中。本年6月頃に中間的なとりまとめの予定。

農林水産省説明資料(平成9年5月21日)

農林水産行政と国土・地域行政、産業行政、環境行政との関係及び組織の在り方についてどう考えるか。

1 農政の展開目的は、「国民食料の安定供給」が基本。

(1)開発途上国を中心とする人口増加、農地の砂漠化の進行等による不安定な国際的食料需給の下で、国民(1億2千万人)の食料の安定確保は国家存立の基盤。

○ 食料の国際需給の不安定要因


    ・開発途上国を中心とする人口増加(1996年国連人口推計)

                1994年      2000年      2025年      2050年

                56億人 → 61億人 → 80億人 → 94億人

    ・過放牧、森林伐採等による砂漠化の進行

                砂漠化面積500万ha/年以上(我が国の農地面積約500万haに相当)

    ・開発途上国の畜産物消費の増大等に伴う穀物需要の増加

1人当たり穀物消費量、肉類消費量(1990〜92年)
 1人当たり穀物消費量(食料用)1人当たり肉類消費量
世界平均170(kg)114.431(kg)122.2
先 進 国
開発途上国
122(kg)
181(kg)
100.5
115.3
85(kg)
19(kg)
119.1
165.1
(注)指数:1970〜72年=100
資料:FA0「AgrostatPC」

(参考)畜産物1sの生産に要する穀物量(s)(農林水産省試算)
鶏 卵鶏 肉豚 肉牛 肉
34711

・世界の穀物期末在庫率(米国農務省発表)
1985/86 1990/91 1996/97
28% →20% →15%(1973年オイルショック時と同水準)

○ 水田は森林と並んで国民生活に不可欠な水供給の源泉。


      【水田及び森林の有する水資源涵養等公益的機能の評価】

   ・水田  46,300億円/年   貯水量 44億m3(黒四ダム 25個分)

   ・森林 392,000億円/年  貯水量444億m3(黒四ダム261個分)

(2)食料の供給は、国内生産、輸入及び備蓄の適切な組合せが必要。「食料の輸入」には中長期的には制約要因が考えられることから、国民食料の安定供給のためには、とりわけ国内供給力の確保(国内資源の有効活用)が重要。

昨年11月にローマにおいて開催された「世界食料サミット」では、2015年までに栄養不足人口(現在8.4億人)の半減を目指すこと、「世界食料安全保障」の達成のためには持続可能な農業生産が重要であること等が各国の共通認識となった。

○ 世界食料安全保障のためのローマ宣言・行動計画(1996年採択)(要約・抄)
・飢餓と食料安全保障は地球的規模の問題
・2015年までに栄養不足人口を半減することを目指して全ての国で飢餓撲滅の努力を継続
・食料安全保障の達成のため、主食を含む食料増産を図ることが重要
・各国は農業の多面的機能を考慮しつつ、持続可能な農業・農村地域開発政策を実施

【アメリカ、オーストラリア等の農産物輸出国の主張】
食料安全保障の達成のためには、貿易の自由化が重要

【我が国の主張】
1)食料安全保障の問題については、国内生産、輸入及び備蓄の3要素を各国の状況に応じて適切に組み合わせることが重要であり、なかでも持続可能な国内生産が重要である、2)この国内生産の推進が農業の持つ多面的機能の発揮につながる、3)食料輸出国は輸入国に対する安定供給の責任を負うべき
 ⇒EU、アジア、アフリカ等多くの国々が支持
 ⇒「ローマ宣言」、「行動計画」に反映

2 国民の納得し得る価格で食料を供給するためには、国内供給力をできる限り低コスト(最小の費用)で維持することが重要。そのためには、効率的な農業経営の育成という産業政策的視点が必要。

(1)これまで、農産物の行政価格の抑制的運用(現行の行政価格は昭和50年代初頭の水準)、市場原理の導入・規制緩和(食糧管理法を廃止し、食糧法を制定)など農業生産のコストダウンに最大限努力。

○ 農畜産物の行政価格の推移(昭和50年度=100)(グラフ)(略)
○ 我が国は、国土面積が小さく、平坦な土地が少ない。また、農地価格、賃金、生産資材価格、光熱料金も割高となっており、諸外国と比べて、農産物の生産コストが割高とならざるを得ない面がある。

【農地条件、賃金、生産資材価格、光熱量金の日米比較(1995年)】
 日 本米 国日本/米国
農地条件
農家1戸当たり農用地面積(ha)
農地価格(千円/10a)

1.5
1,697

189.8
15.0

1/127
113倍
製造業賃金(円/h)2,2061,2331.8倍
肥料価格(硫安)(円/t)33,65020,650〜18,0201.6倍〜1.9倍
電気料金(円/kwh)17.44.440倍
ガソリン価格(円/リットル)108.128.53.8倍
資料:農林水産省調べ

○ 食糧法の制定
<食糧管理法> <食糧法>
[市場原理の導入]
・国による米の全量管理  →民間流通による自主流通米が主体
・生産費等を基礎とした価格形成 →価格形成への適確な需給実勢の反映
[規制緩和]
・集荷・販売業者の指定・許可制 →登録制
・厳格な流通ルートの特定 →多様化・弾力化

(2)このような政策の展開に当たっては、国は、1)食料需給の長期見通し等国全体の政策ビジョンの策定、2)法令の制定等政策・制度の基本的枠組みの構築、3)金融等誘導措置の整備の役割を果たすとともに、具体的施策は、自然的、社会的、経済的条件が異なっているそれぞれの地域の自主性と創意工夫をベースに展開。このような国と地域との役割分担は、昭和52年以来「地域農政」として定着。

○ 地域別にみた農業粗生産額の構成比(平成7年)
 野菜果樹花き畜産その他
北海道2017114021
東北 4715102233
北陸 681133132
関東・東山243395218
東海 20277112213
近畿 3422165176
中国 3916123255
四国2032185187
九州 1922943115
沖縄 1164163528

(3)農業生産活動は、他の工業・サービス産業と異なり、流動性に乏しい土地・水等の国土資源を必須の生産手段とし、生産量が自然条件に左右されるなどの特質があり、このような特質を踏まえた政策誘導が必要。

○ 農業生産の特質
・土地を基本的な生産手段(国土利用そのもの)としており、国土・ 風土に見合った生産
・自然条件に左右されるため、生産量、品質とも不安定
・概ね1年1作で、播種から収穫・貯蔵まで多様な作業行程を連続して経ることが必要
・太陽エネルギーの利用による光合成を基本とした自然の物質循環に 最も近い生産形態

○ 工業生産の特質
・生産要素(労働力、資本)の利用自由度が高く、海外を含め、最も効率性の高い立地条件の選択が可能
・自然条件に左右されることがなく、いずれの地域においても同一品質のものの生産が可能であり、かつ、投入に対する算出の見通しが明確

3 農林業のフィールドは国土の8割に及んでおり、農政の展開に当たっては、農林業生産活動の増進を通じ国土の保全や地域の振興を図るという国土政策的側面を念頭に置いた政策展開が有効かつ必要

(1)農林業生産活動は、国土面積の8割をカバーする広大な面積で展開。この中で、中山間地域の農業は生産額、耕作面積とも全国の4割をカバー。


○ 農林行政のカバー範囲

  ・日本の国土面積            約38万ku

             うち 森林面積  25万ku、農用地面積  5万ku    ※国土の8割強

○ 中山間地域の農業

 農業粗生産額(億円)農業就業人口(万人)耕地面積(万ha)耕作放棄地率(%)
全 国 a105,8464145043.8
中山間地域 b38,9131612095.2
b/a (%)3739 41

資料:農林水産省「農業センサス」(H7),「生産農業所得統計」(H7),「耕地及び作付面積統計」(H7)
注:農業就業人口は、販売農家ベースである。

(2)農村は都市に比べ、社会資本整備が著しく遅れ。また、若者の流出等により、高齢化・過疎化が進展。

○ 高齢者人口比率の推移(グラフ)(略)

(3)このため、農村社会に意欲ある農業の担い手等が定住しながら安んじて農業生産活動に従事し得るよう、生産、生活両面にわたる社会資本整備等が必要。(このことが、地域資源の有効活用と人口の適正配置等に資する。)

4 21世紀に向けて、人口、食料、環境、エネルギーの問題が、地球的規模での重要な課題。農業のあり方を考える上で、これらの諸問題を十分に踏まえ、農林業生産活動が持つ環境保全等の機能の発揮に配慮していくことが重要。

(1)農林業は、土地、水、立木等の地域資源を生産手段とし、自然エネルギーと資源の循環利用に基礎を置いた生産活動が本質。このため、健全な生産活動を通じて環境保全等の多面的な機能の発揮が可能。

○ 農村地域の果たす役割


   ・農林水産物等の供給

   ・国土の保全      ‥‥‥浸食防止、自然災害防止

   ・水資源の涵養

   ・自然環境の保全・形成‥‥‥自然景観、気象緩和、大気浄化、野生動植物の保護

    ・自然・文化資源の提供‥‥‥自然学習、レクリエーション、農村景観、農村文化

(2)このような認識の下、現在2割の集落で環境保全型農業に取り組んでおり、環境と調和した持続的な生産様式の構築が主要課題

○ 環境保全型農業の状況(平成7年)
 環境保全型農業うち有機農業
実施している旧市町村の数
[全国の旧市町村に占める割合(%)]
2,164
[19.0]
897
[7.9]
主な取組主体(%):農協45.128.7
主な取組主体(%):生産組合31.433.9

資料:農林水産省「1995年農業センサス」
注:環境保全型農業…土づくり等により、化学肥料、農薬の削減等を行う農業
  有機農業…………化学肥料や化学合成された農薬を一切使用しない農業

(3)農業の持つ環境保全機能に着目して、EUでは環境保全、田園地域維持に配慮した農業への助成、アメリカでは環境改善を奨励する助成を行うなど、農業政策の一環として環境施策を講ずることが欧米における潮流。

○ 諸外国における施策(例)
E U・内容
環境保全・田園地域維持に配慮した農業への助成
・助成対象者
1)環境保全型農業(有機農業、粗放化、景観維持、環境自然資源の保護と両立する農業)を5年以上行う者
2)環境保全を目的に20年以上休耕(自然公園設立等)する農業者
米 国・内容
環境改善を奨励するための助成
・助成等対象
畜産廃棄物処理施設、水路、肥料、農薬の適切な管理、土壌流出防止等に係る施設整備及び管理費用への助成及び技術指導等

5 21世紀における農林水産行政組織のあり方については、以上のように、

1)不安定な国際的食料需給の下で、「食料」は地球的規模の問題となっており、食料の国内供給力の確保が国家存立の基盤をなすものであること
2)国民の納得し得る価格で食料を供給するために、効率的農業経営の育成が必要。この場合、農業生産活動が持つ他の工業・サービス産業とは異なる特質を踏まえた政策誘導が必要であること
3)生産活動が国土面積の8割を占めるフィールドで展開されていることから、国土政策的側面を念頭に置いた政策展開が必要であること
4)地球的規模での環境問題への対応、環境保全機能を内在する農林業の本質等を踏まえ、環境に配慮した持続的生産の推進が必要であること
5)国土政策的視点、環境政策的視点等多様な視点を含めた農政の展開が世界の潮流となっていること
等の基本的な政策展開方向を踏まえた体制とすることが必要。

(参考)国民の意識
 総理府のアンケート調査(平成9年1月「食料・農業・農村の役割に関する世論調査」)によれば、

(1)将来の我が国の食糧事情について、国民の約7割が不安を抱いている。
○ 将来の我が国の食料事情 非常に不安がある
 ある程度不安があるわからないあまり不安はない全く不安はない
平成5年11月17.1(%)53.9(%)1.8(%)23.1(%)4.0(%)
平成8年9月17.3(%)53.2(%)3.3(%)23.1(%)3.1(%)

(2)また、我が国の食料の生産・供給の在り方については、外国産より高くても、生産コストを引き下げながらできる限り国内で作る方が良いと考える者が8割以上を占めている。
○ 我が国の食料の生産・供給のあり方
 外国産の方が安い食料については、輸入する方がよい外国産より高くても、食料は生産コストを引き下げながらできるかぎり国内で作る方がよい外国産より高くても、少なくとも米などの基本食料については、生産コストを引き下げながらできるかぎり国内で作る方がよいそ の 他わ か ら な い
平成5年11月17.4(%)32.7(%)44.7(%)0.5(%)4.7(%)
平成8年9月10.8(%)45.9(%)37.5(%)0.3(%)5.4(%)

(3)国民は、農業・農村の有している国土保全・水資源の涵養等の機能を評価しており、こうした国民の意識を踏まえた対応が重要。
○ 農業の公益的機能
 農業は、緑、大気、水等の維持培養を図り、洪水などの災害を防止するなど、自然環境と国土の保全に貢献しているその他一概に言えないわからない農業は、農薬や化学肥料の使用などにより自然環境を悪化させている
平成5年11月61.4(%)0.1(%)12.2(%)6.1(%)20.2(%)
平成8年9月62.2(%)0.1(%)16.8(%)6.3(%)14.6(%)
(%)

農林水産省説明資料(平成9年5月21日)

農林水産関係の社会資本整備の今後の在り方についてどう考えるか。また、公共事業関係組織の一元化、土地利用関係組織の一元化についてどう考えるか。

T 農業農村整備事業について

1 農業農村整備事業は、次の目的で実施。

1)国際化の下で生産性の高い経営体を早急に育成するための基礎条件の整備を推進。 例えば、水田の大区画化等により、稲作労働時間を大幅に縮減
2)都市部に比べて立ち遅れている農業集落排水施設などの生活環境の整備を生産基盤と一体に推進し、農村での若い担い手を含めた定住条件を整備。

(参考)
○ 経営体の育成目標
   【望ましい稲作経営の展望】(略)

○ 大区画化により労働時間及び生産費は大幅に減少
 労働時間(時間/10a)生産費(円/60s)
10a区画→1ha区画29.4→13.0
(▲56%)
11,468→7,589
(▲34%)

注:先進的な機械化体系による営農を想定した上での試算。

2 現状の農業農村整備の水準は、未だ低位であり、国際化の進展に対応した経営体質の強化等の課題の解決に遅れ。
農業農村整備事業は、第4次土地改良長期計画に基づく大区画ほ場(1ha程度以上)等の整備や農業集落排水施設の整備等を進めているが、整備目標達成のためには今後とも事業の着実な推進が必要


(参考)

○ 第4次土地改良長期計画

   ・根拠法規   土地改良法第4条の2

   ・計画期間     平成5年度〜平成14年度

    ・計画事業量    41兆円

  【第4次土地改良長期計画の進捗状況】
(単位:億円)
項目計画事業量平成9年度(当初予算)平成9年度当初予算まで累積投資額
国が行い又は
補助する事業
323,60021,101133,737
(進捗率41.3%)

○ 水田整備の目標
 標準区画(30a程度)うち大区画(1ha程度以上)
平成14年度末75%30%
平成4年度末50%3%

○ 畑整備の目標
 畑 か ん農道整備
平成14年度末30%75%
平成4年度末15%56%

注)畑かん:畑地かんがい施設整備

○ 農業集落排水施設整備の目標
 全国の農振地域の集落数は約122千集落
平成14年度末約35千集落
平成4年度末5千集落

3 農業農村整備事業の特徴

1)農業農村整備事業は、生産環境の基盤を整備するものであり、担い手の育成、規模拡大、コスト低減等の政策目標達成のための重要な手段の一つ。他の公共事業とは異なり、
ア 事業採択に当たっての内容、規模、工期等の諸条件は、具体的な政策目標と無関係に決定できない。
イ 具体的政策目標の実現のため、農地流動化、融資等他の政策と総合的に実施することが必要との特徴。
<例>(略)
2)農村は、生産の場であると同時に、生活の場であり、安定的に農業生産が行われるために、農業者が定住するための条件整備が必要。
このため、農業生産基盤と生活環境基盤との一体的整備が必要不可欠。
(参考) 農業集落排水事業の特徴
農業集落排水事業は、農業用水の水質保全を図り、処理水は農業用水、汚泥は有機質肥料としてリサイクルされる。
(図)略

4 農業農村基盤整備は農政の展開方向に即して実施することが基本的に重要であり、地域からの総合的事業実施及び重複排除の要請については、関係事業の連携プロジェクトや連絡会議等による調整で対応することが現実的。

○ 主な連携プロジェクト
▽汚水処理施設連携整備事業の推進(農林水産省、建設省、厚生省)
→関係省が連携して各種事業を実施することにより、公共用水域における水質保全が一層促進されると見込まれる市町村において、ぞれぞれの特色を活かした汚水処理施設を共通の計画の下で整備。

▽ダム湖の周辺環境整備と農村総合整備との連携による地域の活性化(農林水産省、建設省)
→ダム貯水池周辺の総合的な振興等のため、農村総合整備事業と建設省によるダム湖活用環境整備事業等を調整の上実施。

U 土地利用規制について

1 我が国は、欧米とは異なり、国土が急峻で、可住地面積が少なく、かつ、高密度な経済活動が行われているため、農業的土地利用と都市的土地利用との需要の競合が避けられない。
 特に優良農地は、その広がりや価格から種々の用途の適地でもあることから、開発需要が強く、優良農地の確保のためには、土地利用調整に厳格に対応することが必要。

○ 世界各国における可住地面積の比較
 国土面積(万ha)可住地面積
(万ha)
可住地/国土面積
(%)
可住地1万 ha
当たり人口(千人)
可住地1万ha
当たりGDP(億ドル)
日本 3,77880921.415063.17
アメリカ91,66046,17050.451.57
イギリス2,4482,19089.5264.83
フランス5,4703,38962.0164.54

注1:日本の国土面積等は昭和62年「国土利用白書」、外国は外務省調べで1979年〜1985年の数値を使用
注2:「可住地」は、日本は農用地、道路、宅地を合計した数値、外国は国土面積から内水面、森林、荒れ地等を除いた数値を使用
注3:GDPは、1995年日銀資料における各国の名目GDPを使用(日:51,105億ドル、米:72,458億ドル、英:10,567億ドル、仏:15,376億ドル)
注4:為替レートは、1995年IMF資料の数値を使用(1USドル=94.06円、1ポンド=156.54円、1フラン=18.84円)

○ 住宅地価格と農地の転用価格との比較(平成7年)
(単位:千円/u)
住宅地公示価格(A)農地転用価格 (B)B/A
4621060.23

注:「住宅地公示地価」は、東京都の平均である。「農地転用価格」は、東京都の市街化調整区域内の畑の平均である。
資料:全国農業会議所「田畑売買価格等に関する調査」、国土庁「地価公示」

2 我が国の主要な土地利用規制を分類すれば,それぞれの目的は次のとおり。

これら土地利用規制については、それぞれ目的が異なることから 本質的にそれぞれの制度間で調整を要すもの。
<農振法,農地法> → 農地が効率的に農業に利用されることを担保することが目的
<森林法> → 森林の有する公益的機能の確保が目的
<自然公園法> → 自然公園の有する優れた景観の保持が目的
<自然環境保全法> → 自然環境の保全が目的
<都市計画法> → 都市的開発・利用を用途に応じて促進することが目的

3 現在では、しっかりした調整ルールが構築され、当該ルールに従い、それぞれの目的が果たされ、互いに調和のとれた形になるよう調整が行われている。

(例)
○ 都市計画区域と農業振興地域との調整ルール
1)市街化区域の規模は原則として市街地内人口目標値に相当する面積とすること
2)集団的農用地等は原則として市街化区域に含めないこと
3)市街化区域と市街化調整区域の区分の定めのない都市計画区域の用途地域は、農業振興地域に含めないこと 等

4 土地利用規制の中でも、都市的開発を促進する都市計画制度と農地が効率的に農業に利用されることを担保する農振・農地制度とは農地の開発と保全という観点において強い対抗関係にある。
 このような対抗関係にあるものの調整について関係組織を一元化しても「迅速化」、「効率化」等が図られるとは考えられないし、調整過程の不透明性を招くおそれがある。

5 農振法、農地法による優良農地の確保は、単に土地利用規制として意味を有するものではなく、食料・農業政策の一手法。その目的は、基盤整備、担い手の育成等の前提となるもの。

農林水産省説明資料(平成9年5月21日)

国有林野事業の今後のあり方についてどう考えるか。

1 国有林野事業の概要

(1)森林は、生態系の保全や炭酸ガス固定化など地球的規模での環境保全の上で重要な役割を果たしており、国際的な動きをも踏まえた持続可能な森林経営が重要。
(2)特に、我が国は急峻な地形、多雨かつ時期的に集中する降雨パターン等の条件下にあり、森林、なかんづく奥地脊梁山脈を中心に存在し、国土の2割を占めている国有林の果たす役割は極めて重要。
1)国土保全や水資源のかん養、自然環境保全等の公益的機能の発揮
2)木材の安定供給
3)農山村地域の振興
(3)国有林野事業は、昭和22年に、事業効率を増進させ、一般会計への繰入れの増加を図る等により財政に寄与すること等を目的として、
1)国民生活の基礎物資である木材の需要に応えて、木材を供給するとともに、
2)木材等の収入をもって、木材生産のみならず森林の公益的機能の高度発揮のための適切な管理に必要な経費を賄う(独立採算)

という基本的考え方で発足し、企業特別会計により管理経営。
〔国有林の歴史〕
・明治初期、官民有区分を実施し国有林が成立。
(農林省山林局、宮内省帝室林野局及び内務省北海道庁が国有林をそれぞれ管理。)
・戦中の大量伐採時期を経て、昭和22年以降、国有林野事業として国有林全般を農林水産省が所管(林政統一)。
・高度経済成長等に伴う木材供給量拡大の要請等を背景に、国有林の伐採量は成長量以上に拡大。同時に、要員規模も拡大。併せて木材輸入を自由化。
・財務事情が好調に推移したことから、官行造林事業や民有保安林の買入れ等を実施。
・公益的機能の発揮への要請の高まりに応えるため、昭和48年以降一箇所当たりの伐採面積の縮小等きめ細かな施業に転換。
・外材の大量輸入に伴う木材価格の低迷、資源的制約による伐採量の減少等により自己収入が減少したこと等から、昭和50年度以降毎年損失が発生し、昭和51年度以降毎年財投資金を借入れ。
〔伐採量及び成長量の推移〕(グラフ)(略)
2 国有林野事業の経営改善と財務状況

(1)昭和53年度以降、「国有林野事業の改善に関する計画」に基づき、要員規模の適正化、組織機構の簡素化・合理化、民間による事業実行の推進等自主的改善努力を尽くすとともに、一般会計からの繰入等所要の財政措置を講じ、計画的に経営改善に努めているところ。(現在は平成3年7月に策定した改善計画に基づき実施)

要員規模の適正化
(39年度ピーク時)
89千人
(53年度)
65千人
(3年度)
31千人
(8年度末)
15千人
(平成12年度末 1万人規模を目標)
組織の簡素化・合理化
営林署
森林事務所
事業所
(53年度)
351署
2,333所
1,214所
(3年度)
316署
1,844所
522所
(8年度末)
264署
1,256所
71所
民間による事業実行の推進
立木販売比率
丸太生産の請負比率
(53年度)
59%
24%
(3年度)
59%
46%
(8年度見込)
71%
66%
財政措置
(一般計繰入れ)
・造林・林道事業、保安林の保全管理等(民有林並み)
・債務対策(一部の借入金の利子補給等)
(53年度)
48億円
(3年度)
269億円
(8年度)
585億円


(2)しかしながら、国有林野事業については、現在、

  1)外材との競合による木材価格の低迷、過去の大量伐採による資源的制約に伴う伐採量の減少等から、木材販売収入が減少していること

              (3年度)   (8年度見込)

    立木の販売単価指数      100          70

    伐採量        1,012万m3  711万m3

  2)借入金の増嵩により、毎年利子・償還金の支払いが増加していること

              (3年度)   (8年度)

    利子・償還金     2,307億円  3,006億円

  3)一方、育成途上の人工林が大宗を占めていること等から、今後とも保育(下刈、除伐、つる切等)や間伐等の適切な森林整備を行うための経費が必要であること

等から、その財務状況は極めて厳しい。(平成8年度末現在の債務残高 3兆5,228億円)

○借入金、債務残高等の推移(グラフ)(略)

3 今後の国有林野事業のあり方

(1)今後の国有林の管理経営に当たっては、国民共通の財産である緑と水を将来にわたって守っていくということが重要。
 なお、森林は、国土保全、自然環境保全等の公益的機能と木材生産機能を、森林ごとにあわせ持っており、森林施業を通じて総合的に管理し、公益的機能を発揮させることが適切かつ効率的。

(2)独立採算を前提とした現行の国有林野事業を継続することは、長期性を有する林業経営をめぐる厳しい状況(林業利回り0.3%)、育成途上にある資源内容(人工林の8割が40年生以下)等から極めて困難。また、民営化することについても我が国の林業経営そのものが厳しい状況の中で、困難。

(3)今後の国有林野事業のあり方については、行政改革プログラムに沿って、林政審議会における論議・検討を踏まえ、行政改革や財政構造改革の動きを見ながら、本年中に更に徹底した経営の改善合理化を含む国有林野事業の経営の健全化のための抜本的改善策を検討・策定の上、所要の法律案を来年の通常国会に提出する予定。

農林水産省説明資料(平成9年5月21日)

食糧管理制度の今後の在り方についてどう考えるか。また、組織の民営化、 独立機関化についてどう考えるか。

1 米の位置づけ

食糧行政は主として、次のようなことから農政全体の動きと不即不離の形で運営されてきたところ。

(1)食生活において格別の地位を占める基礎食糧
〔国民が必要とするカロリーの4分の1強を供給(麦を加えると4割弱)。〕
(2)我が国の風土に最も適した穀物で、全国広範な地域で生産。水田は高い国土保全機能等
・生産額は、農業全体の約3分の1
・作付面積は、約210万ha〜220万ha
・作付農家は、約280万戸
・水田の外部経済効果(試算)は、約4.6兆円
(3)米は主食として、需給の均衡を図りつつ、国内生産で安定供給を図っていくことが基本。特に、不測の事態にも備え、品質の確保にも配慮しつつ、全国民に対する供給システムの構築が必要。

2.国の関与

(1)旧食糧管理法では、主食たる米の安定供給を図るため、政府による全量管理を旨とし、
1)生産者による政府への売渡義務
2)再生産の確保を旨とした政府買入価格の決定
3)流通ルートの特定(集荷業者の指定制、販売業者の許可制)
4)全量義務検査
を骨格とした制度の下で運営を行ってきたが、制度と実態が乖離している等の批判を招いた。

(2)平成7年11月に施行された食糧法においては、市場原理の導入と規制緩和を通じた流通の合理化等を図るため、次の改正を行い、国の関与を可能な限り限定したところ。
1)政府の役割の限定
・政府への売渡義務廃止
・政府の直接関与は、国家貿易、備蓄とミニマム・アクセスの運用

            ・備蓄                  150±50万トン

            ・ミニマム・アクセス米輸入(玄米ベース)    

                平成7年度              12年度        

                42.6万トン    →    85.2万トン  

2)市場原理の活用
・民間流通による自主流通米が主体
・自主流通米の市場原理に基づく価格形成
・政府買入価格は自主流通米価格を反映
・米流通規制の緩和
・集荷・販売業者の指定・許可制を登録制に改め、流通ルートを多様化・弾力化、精米表示制度の改善。

       ・卸売業者    274 → 339(1.2倍)(平成8年4月→8年6月)

        この他、他県卸766(延べ)を新規に登録

       ・小売業者    93,334 → 175,609(1.9倍)(平成7年4月→8年6月)

3)需給と価格の安定
・生産者の主体的取組を重視した生産調整の実施
・備蓄の機動的な運営
4)麦については、関税化の上、引き続き国家貿易を維持し、適切な流通販売を実施。(製粉業、パン・めんなどの2次加工業、卸小売業などが関係)
・8年産国内産麦買入量 51万トン
・8年度輸入数量 725万トン

(3)検査については、平成7年に農産物検査法を改正した際、生産者、流通業者、消費者等関係者から強い要請・指摘があり、公正中立な第三者による検査(国による検査)を維持したところ。

・生産者と消費者が双方納得の上で行う取引(例 計画外流通米)については、任意検査化
・流通段階の検査や食味、加工適性に関係する成分の検査の導入(任意検査)
※成分検査は国以外の第三者機関に委託可能
・安全性の確認業務の拡大
なお、昭和57年に食糧検査士の制度が設けられ、検査関連業務のうち民間に委ねられる部分については、極力これに委ねている。(食糧検査士:昭和57年度末200人→平成8年度末1,000人)

        検査数量

        食管法時代(元〜6年)            食糧法施行後(7〜8年(見込))

         630   〜  790 万トン                610   〜  660 万トン      

       1億500万 〜 1億3,200万俵          1億200万 〜 1億1,000万俵

なお、検査手数料は昭和59年以降 50円/60kg
(4)食糧事務所の定員・組織の合理化

1) 定員(数次にわたる定員削減の実施)


                      (昭和42年度)           (平成8年度)

                         28,274人  ────→  10,354人(▲63%)

        うち農産物検査官 21,700人  ────→   4,435人(▲79%)

      ・第9次定員削減計画(平成9〜13年度)による1,000余名の削減。

2) 組織

     本庁  長官官房の廃止、2課削減(平成7年)

     本所〔6年度〕47→〔8年度〕43→〔11年度〕36(予定)(▲23%)

                                                              〔平成6〜11年度に▲11〕

     支所〔32年度〕514 →〔6年度〕361→〔8年度〕304 →〔11年度〕201(予定)(▲61%)

                                                             〔平成6〜11年度に▲160〕

3 食糧管理制度の今後の在り方について

現在、平成7年11月から施行された食糧法の趣旨に沿って、1)計画に即した生産調整の実施、2)計画的な流通の確保、3)販売業における新規参入の大幅な増加などの流通規制の緩和の実行、4)備蓄・調整保管の適切な運用を通じた供給過剰分についての市場隔離等の各施策を運営してきているところ。
法施行後一年半を経過したに過ぎず、現在はまだ新制度への移行過程にあると認識。現段階においては新制度の定着により、米の需給と価格の安定を図っていくことが何よりも重要。また、当然のことながら、例えば米の買入や備蓄制度の運営については、国内の生産、流通、消費の動向と不可分の関係にあるように農政全体の動きと不即不離の形で食糧行政を展開することが必要。

 平成5平成6平成7平成8年産
米の作況指数74109102105

4.組織のあり方について

(1)食糧庁、食糧事務所組織については、食糧法の制定・施行を機に、政府の役割の限定、市場原理の活用等により国の関与を可能な限り限定したところ。 今後とも、行政サービスの低下にならないよう配慮しながら、また、農政全体の動きを踏まえ機能的・効率的な体制への再編整備を進めていくことを検討。

(2)農産物検査については、米のように大量かつ広域に流通し、かつ、主食として国民に”何時でも、どこでも”安定的に供給する必要のある基礎食糧については、基本的には、取引における信頼の確保や消費者保護の立場から公正中立な第三者による検査が必要。
検査の実施部門については、政府の役割をさらに限定しうる分野として検討。

農林水産省説明資料(平成9年5月21日)

農林水産業の振興、農山漁村振興については基本的に地方公共団体に事務を委ね、国は政策・制度の企画・立案に重点化すべきとの意見についてどう考えるか。

1 南北に長い日本列島の中で営まれる農林水産業は、地形、気候等により、地域によって大きな差異がある。
 農林業振興政策、農山漁村振興政策については、このような実情を踏まえ、自然的、社会的、経済的条件が異なっているそれぞれの地域の自主性と創意工夫を活かしながら、その展開を図っている。

2 具体的な国と地方公共団体との役割については、政策の目的・性格等に応じて分担

(1)秩序ある農林業上の土地利用の確保等の観点から、国が全国統一的な基本ルール(制度)を制定し、その運営を基本的に地方公共団体に委ねているもの

<例>
・担い手農業者の認定(政策の重点化の対象となる担い手農家)
 農業経営基盤強化促進法に基づき、市町村が自ら定めた基本構想に掲げた望ましい経営体に照らして認定。
・農用地区域の指定(保全すべき優良農用地)
 農業振興地域の整備に関する法律に基づき、市町村が都道府県知事の認可を受けた上で指定。
※都道府県知事の認可は、機関委任事務

・森林整備計画の作成(森林の保続培養、森林生産の増進)
森林法に基づき、市町村が都道府県知事の承認を受けた上で作成。
※都道府県知事の承認は、機関委任事務

(2)「国民食料の安定供給」という政策目的の達成のため、効率的かつ安定的な農業経営の確立、農山漁村での定住条件の整備等を国が補助、金融、税制等の手法で一定の方向に誘導することが必要なもの

<例>
・担い手育成基盤整備事業(市町村が認定した認定農家育成のための生産基盤等の整備)
・スーパーL資金(市町村が認定した認定農家育成のための長期・低利の融資制度)
・農業構造改善事業(市町村が認定した認定農家育成のための施設整備等)
・山村振興等事業(山村地域等の定住条件の整備のための施設整備等)

3 このように、農業政策はその目的、性格等に応じて国と地方公共団体の役割分担が定められており、画一的に国が企画立案のみを行い、地方公共団体が執行を行うという役割分担では、国民への食料の安定的な供給という国家の存立に係わる政策目的の達成は難しい。
特に、不安定な国際的食料需給、国内の農地や担い手等の生産要素の脆弱化及びこれらを受けて国民の約7割が将来の食料事情に不安を抱いている状況の下で、国民への食料の安定供給に向けて、国が今後一層重要な役割を果たすことを要請されている状況。

4 なお、農林水産関係補助事業の採択要件は、地域の自主性、創意工夫に極力配慮しつつ、政策目的を実現する上で必要最小限の範囲で設定。

(例)担い手育成基盤整備事業の主な要件:
1)市町村の作成する活性化計画が、農業経営基盤強化促進法に規定する市町村の基本構想に基づいたものであること
2)事業主体が作成する整備計画は、事業完了時までに担い手が経営する農用地面積が農地流動化等により増加することが明らかなこと
3)事業の受益面積がおおむね20ha以上であること
4)事業の実施により高生産性ほ場の大区画化が図られ、担い手への農地の利用集積に資するものであること
5)おおむね5年間で事業が完了することが見込まれること

また、補助事業の統合・メニュー化、採択基準の引上げにより、極力地域の特性やニーズに応じた利用しやすいものへ改善。

○類似目的の補助事業の統合・メニュー化の実例(畜産振興費)(略)

(参考)国の関与と食料・農業政策について

1 食料・農業政策については,
  1)「食料の安定供給」に直接かかわるもので、国家存立の基盤を確保する上で国の直接実施が必要なもの
  2)全国的規模・視点で行われるもので国の関与が必要不可欠なもの
  3)民間や地域の活動に委ねていたのでは、所期の目的の達成が期し難く、国が直接実施することが適切であるもの
  4)「産業の育成」、「地域の振興」という側面を有し、民間や地域も受益するものであるが、食料の安定供給等の視点に立って、補助、金融、税制等の手法で民間や地域の活動を一定方向に誘導することが望ましいもの
に大別される。

2 これらの分類に適合するものとしては、例えば次のもの。

(1)「食料の安定供給」に直接かかわるもの(国家存立の基盤の確保のため国の直接実施を要するもの)
 ・基礎的食料の需給の安定=・価格政策、・備蓄、・輸入の調整
 ・食料の安全性や品質の確保=・動植物国際防疫、・農薬等対策、・規格・表示対策

(2)全国的規模で行われるもので国の関与が必要不可欠なもの
 ・農業災害補償
 ・動植物国内防疫
 ・農地制度、農振制度のような優良農地の確保といった観点から全国的に統一されていることが望ましい制度の制定

(3)民間や地域の活動に委ねていたのでは、所期の目的の達成が期し難いもの=国が直接実施
 ・基礎的な研究開発・技術開発
 ・大規模な農業基盤整備
 ・国際貢献

(4)民間や地域の活動を補助、金融、税制等の手法で一定方向に誘導することが望ましいもの
 ・担い手育成
 ・生産対策
 ・農村の活性化、山村振興
 ・食品産業の活性化
 ・食品流通の効率化

農林水産省説明資料(平成9年5月21日)

農林水産統計についての組織、業務のあり方(他の統計組織との統合、都道府県の活用など)についてどう考えるか。

1 農林水産統計情報の内容と基本的性格

(1)内容
 農林水産統計情報については、食料の需給安定、経営体質の強化、農山漁村地域の活性化や環境の保全等のための多様な農林水産行政ニーズに応じるため、1)主要作物ごとの生産統計、2)主要部門ごとの経営統計、3)経営体数、農業就業人口等の構造統計、4)加工、流通、消費統計及び5)農林水産物の貿易等の国際統計等を作成。

(2)基本的性格
1)農林水産統計情報については、次のような他省庁にはない特徴があることから、基本的には国の職員が直接調査を実施。
 ア 国の責任で、国の財政支出を伴う重要政策の決定に直接利用
   (例)・生産費統計  ⇒ 農畜産物の行政価格の算定基礎
      ・減収調査等  ⇒ 農業共済での損害高審査の算定基礎
      ・作付面積統計 ⇒ 生産調整実施面積の配分の基礎
 イ 国の行政責任と一体という統計の性格に加え、調査手法面で農林水産分野に特有な調査ノウハウが求められる。
  (ア)行政価格の算定に必要な生産コストの適正な把握
    調査対象は、家計と経営が未分離で経営上の記帳も不十分。従って、 経営統計調査上、調査対象の経営実態や統計調査上のノウハウ、簿記・会計原則に習熟した国の統計専門職員の面接調査等の対応が必要。
  (イ)農業共済金の支払いや生産調整の実施に必要な収穫量の適正な把握
    気象状況に影響され易い農業への知見及び収穫量を推計する統計ノウハウを併せ有した国の統計専門職員による対応が必要。

2)また、農林水産統計情報については、次のようなことから調査を効率的に行えるよう全国ネットで国の職員を配置して調査を実施。
 ア 農林水産業が全国にわたって存在し、経営活動を展開
 イ 農林漁家への面接や生産現場での実測等の頻繁な実施が必要

2 農林水産統計業務の課題と対応

(1)農林水産統計業務については、従来から可能な限り効率化に努力。
1)累次の統計調査業務の効率化努力を通じ定員の1/3以下への削減、出張所の1/7以下への統廃合等地方統計組織の簡素合理化。
○地方統計組織・定員のスリム化
  定員(昭和23年) 19,626人 → (平成9年) 5,653人(1/3以下)
  出張所(〃24年) 2,113所 → ( 〃 ) 283所(1/7以下)
2)農林水産行政の展開方向や統計の利用の実態を踏まえ、重要度が相対的に低下した統計を見直すとともに、集計・審査をオンライン電算処理するなど運営の効率化。
○最近廃止した統計調査(例)
  ・麦の予想収穫量調査
  ・野菜、果実、繭等の生産費統計調査 
(2)既存業務の合理化を図りつつ、食料、農林水産業及び農山漁村を取り巻く状況の変化に応じた、新たな統計ニーズに対応。
1)地域振興の観点からの中山間地域における農林業統計の拡充、消費者の視点に立った食品の流通消費統計情報の拡充等既存の体制を抜本的に再編。
2)国民への説明責任(アカウンタビリティー)を果たす観点から、白書等の基礎資料の提供に加え、全国の統計情報組織において、インターネットを通じ、また国民からの照会に対応し、農林水産統計情報、行政情報の積極的な提供。(照会件数:過去10か月で約4万4千件)
(3)今後とも、組織・業務の簡素合理化を図って効率的な業務の執行に努めていく。

3 組織・業務のあり方

(1)民間委託

1)民間委託は、原則的には以下の理由により困難。
ア 生産費調査等国費の支出算定に直結するものについて、客観性・中立性の確保が困難。
イ 経営収支、資産・負債の状況等プライバシーに関わる事項につき、調査協力が得られない。
2)1)の基本的考えの下で、統計業務の簡素合理化の一環として可能な限り民間に委託することとし、既に実施しているものに加え、更に次のものについて民間に委託して実施する。
(例示)技術の進歩により民間委託が可能となるもの(例:面積調査の効率化のためのリモートセンシング技術を利用した衛星画像収集)。

(2)地方委託
1)地方委託は、原則的には以下の理由により困難。
ア 農林水産統計は、全国的な統一基準に基づいた調査の実施が必要。
イ 生産費調査等地域の利害に直結する統計は、地域の利害関係者からの圧力等により、客観性・公平性が担保されない可能性。
ウ 地方自治体では人事ローテーション等の関係で、農業経営統計調査等の複雑な統計調査を行える専門職員の確保は困難。仮に確保するとしたら、研修・育成に相当なコストがかかる。
 従って、永年の経験を有し、業務に精通した国の専門職員が調査を行う方が効率的であり、国と地方のトータルの行政コスト削減にもなっている。
2)1)の基本的考えの下で、調査項目が定型・簡易な農林業センサス、漁業センサス等、既に都道府県、市町村を通じて実施しているものに加え、今後、地方自治体に委託できるものはできる限り委託することとしている。

(3)他の統計組織との統合

農林水産省の統計情報組織については、以下の理由により、農林水産省内の組織として統計調査を実施することが適当。  
1)総務庁統計局が、統計法及び統計報告調整法に基づき統計調査の重複を排除。
2)農林水産統計は、行政部局の要望に応じ、個表データの組み替え・分析等、日々の行政ニーズに応じた対応が必要。また、統計調査の企画立案も行政部局との一体的対応が必要。
3)農林水産統計は、行政上の意志決定に直接利用されることから、中央・地方を通じ農林水産行政及び統計業務双方に精通する統計情報組織で調査に当たることが必要。
4)米国、フランス等主要先進国の中でも、農林統計は農務省等所管省が所管行政に関する統計調査を実施。

(4)結論
農林水産統計については、今後とも可能なものについては、極力、民間委託、地方委託を行いながら、農林水産行政との一体性を保ちながら運営していく必要がある。

農林水産省説明資料(平成9年5月21日)
研究機関について、他の研究機関との統廃合を含め、組織の在り方についてどう考えるか。

1 農林水産試験研究の特徴

(1)農林水産分野の試験研究には、以下のような特徴がある。
1)農作物や家畜等の多種にわたる農林水産物や自然条件、社会条件の異なる地域に関する幅広い領域を研究対象としている。
2)一定の成果の獲得までに長期間を要し、かつ、リスクが高い。


 (参考)育種を開始してから新品種ができるまでの期間

     ・イネ (「ひとめぼれ」の場合) 10年

       ・リンゴ(「ふじ」の場合)       24年

3)栽培・飼養・育林・養殖技術、漁業資源情報など、研究成果が商品化になじまないものも多い。

(2)また、規模が零細な農林漁家、中小企業が多い農林水産関連企業が自ら研究開発に投資することは期待できない。


  (参考)総研究費に占める民間の割合

      ・農林水産分野 40%(このうち84%が食品工業関係)

     ・鉱工業分野  90%

(3)さらに、現場のニーズを的確に把握し、開発した技術を迅速に普及していくためには、農業改良普及センター等との的確な連携が必要である。

(4)上記の理由から、公的セクターが中心的な役割を担っていく必要がある。

2 組織のあり方

(1)我が国の農林水産業には、国土・環境保全機能を発揮しつつ、基本食料の安定供給を図ることが要求されていることから、国の農林水産関係試験研究機関は、国の施策にそった研究開発を戦略的に行う必要がある。

(2)各地域の農林水産業は、亜寒帯から亜熱帯に至る幅広い気象条件や平地から山間地域にわたる多様な立地条件に立脚し、作目、経営形態等を異にしている。

(3)農林水産関係では、稲作、果樹、畜産といった分野から、生物遺伝資源の保存や農林水産業と環境との関わりといった分野まで多様な専門分野にわたる試験研究が必要。

(4)したがって、専門性及び地域性とも広範にわたる研究対象をカバーする体制が必要。
  ・全国的視野に立って専門研究を行う専門場所(16場所)
  ・地域農水産業の課題に対応した研究を行う地域試験場(13場所)

 ○ 他の研究機関との統廃合について

<省内の専門場所間の統廃合>

(1)国が行う農林水産試験研究を効率的に推進する観点から、我が国農林水産業をめぐる情勢の変化や科学技術の進展等に応じて、試験研究体制の見直しを実施。
  ・農業技術研究所、植物ウィルス研究所の廃止、蚕糸部門の大幅な縮小。
  ・農業生物資源物資研究所、農業環境技術研究所の設立。
  ・過去5年間で225名の定員を削減。

(2)現在の専門16場所については、極めて専門性・独立性の高い分野に区分された効率的な体制となっている。

<地域試験場と都道府県試験場との統廃合>

(3)都道府県試験場は、管内の農林水産業振興を図る観点から、各都道府県の現場のニーズに即した普及及び指導奨励に直接に役立つ技術の研究を実施。

(4)国の地域試験場は、県域を越えた地域に共通の研究テーマについて基礎的・先導的研究を実施し、その成果を都道府県試験場に提供。

(5)双方は、研究の段階・エリアによって研究を分担し、効率的に研究を実施。

<他省庁所管の試験研究機関との統廃合>

(6)他省庁の試験研究機関とは、研究対象分野が基本的に異なることから、重複等の問題は生じていない。また、農林水産分野の研究開発については、現場での実用化を念頭において、応用研究から基礎研究のテーマを設定するのが効果的。
(例)
   ・バイオテクノロジーの分野では、当省、厚生省、通商産業省が、1)農林水産分野、2)医療・医薬品分野、3)鉱工業分野でそれぞれ研究開発。
   ・新品種開発を目指したイネの遺伝子解析は世界最高水準。

(7)極めて基礎的で隣接領域との研究交流により大きな成果を見込める領域については、省庁連携プロジェクト研究により、効率的研究を実施。(例:ヒトと家畜の免疫機能の研究)

 今後の試験研究については、民間活力の導入、共同研究の推進など効率的研究の実施に努めるとともに、農業情勢及び科学技術政策の動向に即して、研究体制について、不断の見直しを行う。

(参考)

(1)農業関係専門場所
<品目別>
(稲作・畑作)農業研究センター
(果樹)果樹試験場
(野菜・花き・茶)野菜・茶業試験場
(畜産)畜産試験場
(草地)草地試験場
(家畜衛生)家畜衛生試験場
(蚕糸・昆虫)蚕糸・昆虫農業技術研究所
(食品)食品総合研究所
(生物資源)農業生物資源研究所
<品目共通>
(農業環境)農業環境技術研究所
(農業工学)農業工学研究所
(農業経済)農業総合研究所
(海外農林水産業)国際農林水産業研究センター

(2)林業・水産業関係専門場所
<林業>
(森林)森林総合研究所
<水産業>
(養殖)養殖研究所
(水産工学)水産工学研究所

(3)農水産関係地域試験場
<農業><水産業>
(北海道)北海道農業試験場(北海道区)北海道区水産研究所
(東北)東北農業試験場(東北区)東北区水産研究所
(関東東海)(農業研究センターが兼務)(中央海区)中央水産研究所
(北陸)北陸農業試験場(南西海区)南西海区水産研究所
(近畿中国)中国農業試験場(西海区)西海区水産研究所
(四国)四国農業試験場(日本海区)日本海区水産研究所
(九州沖縄)九州農業試験場(遠洋)遠洋水産研究所

農林水産省説明資料(平成9年5月21日)
食品の安全性の確保について、厚生行政との一元化をどう考えるか。

1 食品安全行政の現状

(1)我が国の多様で豊かな食生活を反映して、消費者は安全で良質な食品をできるだけ安価で求めており、農林水産省では「食品の生産、流通、消費」を一体的に所掌する中で、農業の生産性向上、農薬等の農業生産資材費の縮減、加工・流通段階での合理化、効率化等といった食料供給の低コスト化のための施策や消費者ニーズに応じた農産物の生産の振興など総合的な食品行政を展開。

(2)その中でも、国民生活に必要不可欠な食品の安全性確保は、国の義務であり、消費者の安全で良質な食品を求めるニーズに行政として応える形で展開。

(3)農畜水産物の生産段階においては、農林水産省では、人の健康に悪影響を及ぼさぬよう農薬取締法、薬事法、飼料安全法等に基づき、農薬、動物用医薬品、飼料、飼料添加物の使用規制等を実施。

(4)加工流通段階においては、農林水産省では、安全で良質な食品を確保するため、加工・流通段階で発生するおそれのある危害があらかじめ除去されるよう、衛生面に配慮した卸売市場等流通施設の整備、HACCP方式等品質管理手法の確立・普及、食品関係団体の指導等を実施。
 一方、厚生省では、飲食に起因する衛生上の危害の発生の防止の観点から、食品及び食品添加物の加工販売等の規制等を実施。

 

                          【農林水産省】

                      <消費の増進、改善及び調整>

  農薬・動物用医薬品・飼料の規制    ・HACCP等品質管理手法の確立・普及

〔農薬取締法・薬事法・飼料安全法〕  ・O-157等の問題発生時の連絡調整

    <農産物の生産> → <流通>   →  <消費>  →  <安全な食料の供給> 

                         (加工)                          

         ---------------------------------------------------------

           食品衛生法による規制等

            飲食に起因する      

           <衛生上の危害の>    

             発生の防止          

            【厚生省】

2 状況の変化

(1)食料消費の多様化、高度化による食品産業分野の急激な成長。
 この中で、

(2)平成7年のPL法の施行により、加工段階におけるメーカーの自己責任での下での安全対策は充実。

(3)農畜水産物の生産段階と流通段階での十分な連携による行政の迅速、効率的、総合的な対応が求められる事例が出現。(狂牛病問題、O-157問題)

(4)さらに、消費者はより自然に近い形で生産されたものを求める等食品に対する安全性の基準が変化しており、「品質」と「安全性」との区分が不明確化。このため、農畜水産物の生産段階から消費段階までの「総合的な安全性」確保対策が重要。

(5) 農林水産省の基本的な使命である「食料の安定供給」について、国民の嗜好の変化・多様化により、量的な確保と併せて、安全性を含めた質の確保が重要な課題の一つとして浮上。

3 今後の対応

 以上の状況の変化を踏まえると、今後とも安全で良質かつ安価な食料を求める消費者のニーズに応えるため、食品の生産から消費までを一体的に所掌する中で、食料供給のコスト低減、安全対策等の食品行政を総合的に展開していくことが重要。この中で、食品安全行政については、食品行政に一元化するのが望ましいとの要請が強まると考えられ、これに的確に対応することが必要。
なお、主要な先進国においては、食品の安全性の確保を食品行政の一環として位置付けているところが多い。

諸外国の事例
〇アメリカ合衆国農務省食品安全検査部
〇イギリス農漁食糧省食品安全総局
〇フランス共和国農業省食糧総局
食品産業政策部
食品品質・衛生・検疫部

農林水産省説明資料(平成9年5月28日追加)

農協は、長年にわたる行政との関係の中で、競争力を失い、住専問題に代表されるようにいくつかの困難な問題を抱えているとの指摘がある。農協系統について一般商業系統と同様の扱いとし、競争原理の導入を図るなど、その自立を促し、行政との関係を見直すべきではないか。

1 農協系統においては、他業態との競争の激化等経営環境が大きく変化する中で、「農業生産力の増進と農民の経済的社会的地位の向上」を図るというその役割を十全に果たせるよう、自ら事業・組織の抜本的改革に着手。

○ 平成8年7月に農協系統が決定した2000年に向けての「JA改革の取り組み指針」のポイントと取組の現状


 ・農協の広域合併構想の実現
    平成元年度末   9年4月1日   12年(2000年)目標
      約3,700 →    2,064 →    約550
 ・県連と全国連の統合推進:既に20前後の県連において、2000年までに統合する方針を決定。
 ・人員の削減、施設の統廃合等の経営の合理化、効率化:グループ全体で2000年までに5万人の職員を削減する目標(35万人→30万人)を設定。
 ・業務執行体制、監査体制の強化等の経営の健全化

2 農林水産省としては、これまで、指導・検査の両面から、農協系統の経営の健全化を推進。

昨年末に成立した農協改革関連法により、他業態並みの経営健全化措置を導入するとともに、農林中金と信連との統合の途を拓く等制度面でも対応。

○ 農協改革関連法のポイント
1)他業態並みの経営健全化措置
・常勤役員等の兼職兼業の禁止
・員外監事・常勤監事の必置
・最低出資金制度の導入
2)その他の制度的措置
・農林中央金庫と信連の統合を可能にする法律の制定
・経営管理委員会制度の導入

3 今後の農協経営については、自己責任を原則としつつ、市場原理を一層徹底させるため、他態同様、早期是正措置を導入するとともに、事後的に合法性・健全性・適切性をチェックするべく、特に、行政検査を充実強化。

○ 10年4月より、自己資本比率による客観的指標に基づき業務改善命令を発動する早期是正措置を導入。
○ 9年10月より、指導監督部局から一定の距離を置き、緊張関係を保つとともに、検査を効率化するため、農・林・水の組合に対する検査を大臣官房に一元化し、検査体制を整備。

農林水産省説明資料(平成9年5月28日追加)

株式会社に農地保有を認め、本格的な農業生産への参入の途を開く考えはないのか。畜産業への株式会社の参入事例が少なくないことや、農業団体自身が外国では株式会社形態で事業を行っていることにかんがみても、政策変更が必要ではないか。

1 株式会社の農業経営への参入等について幅広い検討を行うべきであるとの行政改革委員会の意見を受け、平成8年度において学識経験者、農業生産法人の経営に携わっておられる方々等からヒアリングを行うなど検討を実施してきたところ、賛否両論あった。

○ 株式会社の農業経営への参入に関する意見の概要

(1)参入を認めることが適当とする意見
 1)農地の流動化を促進し、効率的かつ安定的な経営を行うことができる株式会社に農地を集積することにより農業の体質強化が図られる。
 2)技術・情報・資金力を有する企業の参入により農業も活性化する。

(2)参入を認めるべきではないとする意見
 1)豊富な資金力により、買占め、投機、資産保有目的での農地取得が行われる。
 2)農業の担い手としての認定農業者などに農地の集積を図ろうとする施策を展開している中で、株式会社の参入は、このような動きを阻害する。

3 いずれにしても、株式会社の農業経営へのかかわり方については、これからの日本農業の担い手の姿、農業・農村の活性化方策、土地利用の在り方等農政全般にかかわることがらであり、去る4月18日に発足した「食料・農業・農村基本問題調査会」において、今後の農政の在り方の一環として検討を進めていく予定。

農林水産省説明資料(平成9年5月28日追加)

主食である米、麦をはじめ、水産物、畜産物、野菜、果実など食料全般にわたり、食料安全保障や国民栄養の観点も踏まえ、バランスよく国民に対して供給するための総合政策部門が欠けているのではないか。自給率論争や総合的な食料政策を検討する中核部局はどこなのか。

1 食料政策については、開発途上国を中心とする人口増加、農地の砂漠化の進行等による不安定な国際的食料需給事情を背景に、21世紀の日本の姿を見通した戦略的な視点の下、大臣官房企画室(定員41人)、調査課(定員31人)を中心として、総合的な食料政策を企画立案。

○総合的食料政策の企画立案の例
 1)食料・農業・農村政策全般における見直し
 2)食料安全保障政策のあり方の検討
 3)需要と生産の長期見通しの作成・公表
 4)世界の食料需給情報の把握・分析、各国の食料事情・食料政策の比較検討

2 農畜水産物ごとの組織編成から、農畜水産物横断的な組織編成へという考え方は、今後の農林水産行政組織の再編を考える上で、一つの重要な視点。
 現在行われている農政全体の見直しの中で、総合的食料政策担当部局の組織編成のあり方についても検討。

農林水産省説明資料(平成9年5月28日追加)

土地改良事業に関連し、累積額にして22兆円もの用排水施設が今日存在しているが、現行施設の更新・再整備に力を注ぐべきではないか。その際、農業用水の水利権を上水道、工業用水にも再配分し、多目的に有効に利用していく考えはないか。


・水田を主体とする我が国農業は、年間600億m3の水資源を使用し、そのための農業水利施設のストックは22兆円相当
・この農業水利資産を次世代に引き継ぐためには、良好な管理、計画的な更新が必要不可欠

○ 食料生産のために、500万haの農地に毎年600億m3の農業用水を使用

グラフ(農業水利施設のストック)(略)

○ 基幹施設に限定しても、これまでに貯水池、頭首工、用排水機場など6,000ヶ所を整備


・水資源は、国土が狭く急峻な我が国においては限られた資源
・水需給が逼迫する中で、都市用水の需要は今後も増加

○ 我が国の1年間の1人当たり降水量は世界平均の5分の1と低位

グラフ(世界の人口一人当たり年降水量)(略)

○ 都市用水の需要は、この30年間で倍増:1人当たり1日平均使用:169リットル→335リットル


・農業水利施設の更新に併せ、水田農業用水の有効利用(畑地かんがい用水や都市用水などへの転用)を促進
・これにより都市へも大きく貢献

○ 埼玉県の利根中央地区では、農業水利施設の更新とともに年間6千万立方メートルの都市用水を創出

○ このメリットを66万人の都市住民が享受