−速報のため事後修正の可能性あり−

行政改革会議第24回議事概要

(集中審議第1日)

1 日時 平成9年8月18日(月) 10:00〜17:00
2 場所 キャピトル東急ホテル「竹の間」
3 出席者
(会議)
橋本龍太郎内閣総理大臣(会長)、武藤嘉文行政改革担当大臣・総務庁長官(会長代理)、芦田甚之助、有馬朗人、飯田庸太郎、猪口邦子、河合隼雄、川口幹夫、佐藤幸治(企画・制度問題小委員会主査)、塩野谷祐一、豊田章一郎、藤田宙靖(機構問題小委員会主査)、水野清、諸井虔、渡辺恒雄の各委員
(政府)
与謝野内閣官房副長官、古川内閣官房副長官、田波内閣内政審議室長
(事務局)
水野事務局長(再掲)、八木事務局次長
4 議題
(1) 審議の進め方について
(2) 改革の基本的考え方(理念)について(討議)
(3) 内閣機能の強化について(討議)
(4) 省庁の再編について(討議)
5 会議経過

(1) 冒頭、事務局より、集中審議全体の審議の進め方の案(別紙1参照)が説明された。

(2) 佐藤委員(主査)より、同委員作成の「行政改革の理念と目標(案)」(後に修文を経て合意された版については別紙9参照)につき説明がなされた後、以下の意見交換が行われた。

・格調高い名文で異論はないが、文章の分量が多いので、要約したものを用意してはどうかとの意見が述べられた。これに対し、中間報告に向けて要約版を用意したいとの発言があった。

・一般国民が理解しやすいよう、使用する言葉を易しくするとともに、どうしても使わざるを得ないカタカナは別として、「コンセンサス」は合意、「ステップ」は段階というように、平易な日本語にした方が良いとの意見があった。これに対して、指摘を踏まえて平易な表現に努めたいとの発言があった。

・司馬遼太郎を引用していることについて、1)これを大きく扱い過ぎではないか。2)審議会の答申等は、個性のない言葉が羅列されることが多いのに、「この国のかたち」を引用していることは大変個性的であり結構である。3)司馬史観をそのまま採用しているような印象を与えるところ、コンスティテューションについての佐藤委員の考えは実は司馬史観を超えたものであるので、誤解を招かないよう、司馬史観を超えていることを示すような表現にならないか、等の意見が述べられた。これに対し、司馬の「この国のかたち」というのは、「コンスティテューション」の意で、これは憲法のみならず社会構造などを含めた国の在り方そのものをいった言葉であって、分かりやすいので借用したものである。確かに大きく出し過ぎている感もあるので、表現を工夫したいとの発言があった。

・「供給者中心行政と訣別」という表現があるが、供給者も国民であり、働くことをないがしろにするような誤解も与えかねない。米国の経済が強くなったのも製造業が復活したためであって産業の活力は重要であるので、表現を再考してもらいたいとの意見が述べられた。

・全体に張り詰めた感じがある。「公正と自由」という張り詰めた内容の他にも、「安心や安全」ということがこれから重要ではないかと思うので、こうしたことも触れたらいかがかとの意見があった。

・司馬遼太郎の言うように合理的精神、公の精神をもった清廉の人が今の世にいなくなったわけではなく、国家公務員になろうとする人は今でもそういう人だと思うが、各省に入ってから駄目になるのであり、個人は制度との関連で変わっていくものである。個人と制度の関係が問題なのではないかとの意見が述べられた。これに対し、司馬が言いたいのは正にそうした個人と制度の相互依存のことであり、これをよりうまく表現できるように工夫をしたいとの発言があった。

・1)「国政全体を見渡して」のところに「及び国際社会」も加えて、国内外の視点に立つことを強調することが適切。2)国際社会における「新たな価値体系の創造と公正なルール作り」は大げさ過ぎるので、「具体的課題に積極的に取り組む」という程度の表現が適切。3)「透明性の確保」について、何に照らして透明なのかという目的をはっきりさせることが大切、との意見があった。これに対し、情報公開の目的は非常に大きなことであって表現しにくいが、いずれの点についても表現を工夫したいとの発言があった。

・以上の意見交換を経て、佐藤委員において上記各指摘を踏まえた修文を行うことを前提として、「行政改革の理念と目標(案)」の内容が承認された(修文後の版については別紙9参照)。

(3) 佐藤委員(主査)より、同委員作成の「内閣機能の強化(案)」(別紙2参照)につき説明がなされた後、以下の意見交換が行われた。

(基本的な考え方について、その他)

・従来の分担管理を前提とした「行政各部中心の行政観」を転換し、「内閣がまずあって、各大臣が分担する」という考えに賛成であるが、この考え方によると、内閣は実施事務を直接行わないということではなく、内閣それ自体が実施事務を行うこともあり得るということになるのかとの問題提起があった。これに対し、理論的には実施事務を行い得ないことはないが、それが賢明な在り方か否かは別の問題であり、内閣及び内閣総理大臣の補佐・支援体制の強化に関連して議論すべきことではないかとの発言があった。

・省庁を再編しても大臣の数は現行どおり20人以内とするというような報道が見られたが、これは総理の発言内容をマスコミが誤解したものであり、内閣法を改正するのであれば、この際、国務大臣の数の上限を例えば大括り後の省庁の数に3から4名を加えたものにまで減らすべきであるとの意見があった。

(内閣機能の強化について)

・日本人は全会一致が大好きであるとの指摘も従前からあるが、閣議の議決方法についての佐藤委員の意見の趣旨は、肩に力を入れず賛成、反対の議論を出して決めればよく、強い反対意見を持つ閣僚は辞表を出せばよいということかとの質問があった。これに対し、多数決制のねらいは、閣議の場で自由な議論を活発にしてもらいたいということである。全員の同意を得ないと何もやれないというのは、政治の世界だけにみられるのではなく、ある意味で精緻な仕組みであるが、そのことによって社会が大変窮屈になっているのではないか。時々の内閣自身が決めればよいことではあるが、多数決で決めて少数は多数に潔く従う、どうしても嫌ならば辞めればよいという方が、メリハリがあるのではないかと考えたとの説明があった。

・閣議の議決方法に関し、1)内閣総理大臣は反対する閣僚を罷免することができることを理由として全会一致が必要とする意見もあるが、首を賭して反対するという事例は過去にも多いわけではないし、罷免や辞任によりやたら政変みたいになるのはどうかと思うので、多少の意見の相違であれば多数決で決めるという習慣をつけるべきである。3分の2の特別多数決でも、単純多数決でもいずれでもよく、基本的に主査の意見に賛成である。2)主査の意見に全面的に賛成である。通常は多数決に持ち込まれることは余りないのかも知れないが、政策目的別の省庁編成により省庁が対立軸で構成されるようになると、閣議ではディベートが必要であり、閣議での議論が世の中に出てくるようにすべきである。今は、全会一致原則があるために、行政事務の各省分担管理制の下で閣議の場が行政の権限争いを担保することとなってしまっている点が問題であり、多数決でもやれるということにしてディベートを促進することが望ましい。3)我が国の国民性からすると多数決制でない方が良いと思われるが、多数決を行うこともできるという制度が必要ではないか、等の意見が述べられた。

・現在の閣議は形式的になっており、閣僚懇談会、関係閣僚会議等でこれを補っているのが実態である。これは、国会等の関係で閣議の時間が1時間しか設定できないというような問題があり、このため議論の時間が十分取れないという事情があるためで、閣議の時間の設定の在り方まで考えないとうまく行かないのではないかとの意見が述べられた。これに対し、閣僚がすべての国会審議に出席しなければならいことを考え直すことはできないか、この意味で国会改革も必要であるとの意見が述べられた。

・事務次官等会議で何でも決めて、閣議では花押を書いているだけでは良くないという指摘があることに関し、1)細かい事務的な案件については、次官会議の後に閣議を開いてもよいが、政策課題については、次官会議に先行して閣議を開き、ここで決まったことを次官会議に下していくこととするのがよいとの意見が述べられた。2)閣議で書類決裁を必要とするものの殆どは事務的なものなので、次官会議に責任をもって実質的にチェックさせる現行のシステムでも問題ないが、突発的なものや、各省縦割りのために閣議に上がってこない政策課題こそが問題である、等の意見が述べられた。

(内閣総理大臣の指導性の強化について)

・内閣総理大臣の発議権を明定すべく、内閣法4条を改正することに賛成であるとの意見が述べられた。

・内閣法6条を改正しても憲法上問題はないと考えられる。非常事態であれば何でもできるというのも怖いので、速やかな事後承認を前提とするのであれば憲法上問題はなく、これによって有事の際の指揮監督もカバーできるのではないかとの意見が述べられた。これに対し、事後承認でやらなければならないというのは正に非常事態の場合であるが、このような場合、閣議で承認が得られなかったからといって総理大臣が辞任して新しく組閣をする余裕があるかどうか問題である。たとえ承認されなかったとしても、例えば、総理が官房長官に辞表を預け、次の内閣が出来るまで閣僚の多数決で選ばれた者を代行にするという制度など、制度上の工夫をこらすことを考える必要があるとの意見が述べられた。
 これに関して、事後承認の際に反対者を罷免して、多数決で制することも可能ではないか、そのやり方がけしからんということであれば、国会で不信任となるのではないかとの指摘があったが、これに対し、国会の不信任案の提出、可決には時間がかかるので、やはり、緊急事態において国家の意思決定の停滞が起こらないような仕組みを考えておかないと致命的な打撃を被ることになりかねないとの発言があった。
 関連してさらに、例えば、自衛権の発動には国会の承認を要することとされているが、承認が得られない場合にどうするかという問題点など、重大な危機管理については別途の検討が必要であり、この場で検討することができるのかとの指摘があった。これに対し、重大な危機については自衛隊法や警察法で別に法律で定めているのであるから、これ以下のレベルの危機について考えればよいのではないかとの発言があった。

・上記のほか、例えば災害とかテロなど国民からすれば直ちに対応してもらいたい事態について、閣議を開かないと何もできないという事態は解消すべきであり、内閣法6条を改正して事後承諾でよいこととすべきであって、同条を改正した方が分かりやすく、反発はないと思うとの意見が述べられた。これに対し、1)その考えには共感できるが、そのためには、再度全体の構造やシステムについて議論する必要があるところ、その議論が未成熟であって、慎重に考えるべきである。2)縦割り行政を改めることが今回の行革の根本的課題であり、内閣法6条の問題もあるが、今回閣議の多数決制を採用することとなれば、内閣法6条の改正までしなくても縦割り行政の弊害の除去の目的は達成できるのであって、ここに焦点を当てる方が良いのではないか、等の意見が述べられた。

(内閣及び内閣総理大臣の補佐・支援体制の強化について)

・統合型を採るか、分離型を採るかについて、1)どちらであれ強い内閣官房を作ることが必要であるが、機動性、迅速性、スリム化といった名分の下に弱体化される可能性が危惧される。組織・人事管理といった機能は内閣が上からコントロールするための重要なツールであるが、これらの機能を各省横並びの組織にもっていくと各省間の交渉マターになってしまい、内閣のコントロールが効かないという危険性があるので、分離型を採るとすればその点の工夫が不可欠である。また、内閣官房、内閣府に加えて総務省を設けることとなると、総務大臣と総理の関係づけをどう確保するかとの問題もある。さらに、内閣府や総務省に外局が多数置かれることとなると肥大化のイメージがあるし、これらを大臣庁とすると大括りといいながら省庁の数が増えてしまうことになるので、これらの点をどう工夫するかが問題である。2)総合調整や管理の機能は、その所在が総理から離れれば「薄まる」危険があり、内閣府全体としての総合調整力を強化することが課題であるが、これを強化できないから内閣官房に移すというのでは内閣官房が肥大化してしまうことになるので、統合型を採るべきである。3)統合型は大変な組織で実際には機能し難いので、分離型その1(内閣に内閣官房及び内閣府を置く型)として、強い内閣官房にして大臣を置くのがよいのではないか。4)統合型では、内閣官房長官の権限は内閣官房にとどまり、内閣府の内閣官房以外の部分の事務は総理直轄ということになると思うが、中枢的業務が内閣官房長官の下にあり、その他の業務について総理が国会答弁などで直接責任を負うというのでは、総理の負担が大変であり、逆に内閣官房長官が内閣府全体を受け持つのでは、長官の負担が大変である。5)分離型その2(内閣に内閣官房と内閣府を置き、更に総務省を置く型)が適当である。私案では、内閣総理大臣室及び総務省の担当大臣は内閣総理大臣とし、内閣府には内閣府大臣を置く考えなので、大臣の数が多くなることはない。総務省の事務を内閣府で行うと内閣府が大きくなり過ぎる。6)本当の意味での総合調整は総理直結にすべきであり、管理的業務や実施業務は、総務省にきっちりと分けたほうが、総合調整機能が総理とつながりやすい。また、一つの方向に流れないよう抑制と均衡が必要であるので、分離型その2が適当である。7)省庁の大括りによって各省が大きくなるので、統合型を採って内閣府が大きくなっても、相対的に見ればそれほど大きくならない。また、特命大臣を設ける場としての内閣府が必要である。8)論理的順序として、内閣機能の強化としては統合型から出発して考えるが、組織をスリムにするためには分離型となろう、さらに必ずしも各省の上に立つ必要がない事務については総務省の担当になり、結局分離型その2ということになるのではないか、等の意見が述べられた。

・同じ点について、分離型その2を採ると、重要な機能を担う総務大臣と内閣官房長官との関係、調整の難しさが、特に連立政権の場合に起こり得るのではないか。賞勲、行政監察のような事務は外局としての総務庁に位置付ける方が良いのではないか。さらに、英国の例にもあるように、内閣府は「首相府」として首相との距離を縮め機動的でスリムなものとすべきではないか、との質問及び意見表明があった。これに対し、1)総務大臣と内閣官房長官の関係は、連立政権であっても総理大臣が指名するのだから問題はない。2)イギリスの内閣官房は事務の人をトップとして300人ぐらいいて、首相府は10人ぐらいでやっているが、日本においては政治家が内閣官房長官となって取り仕切るという点で異なり、このような内閣官房の他に首相府を設けるというのはいかがか、との回答があった。また、「首相府」という意見があるが、「首相」というのは法律用語ではなく組織名称としては相当でないのではないかとの意見があった。

・同じ点について、基本的事項は内閣官房で行うべきであり、経済財政諮問会議も内閣官房に置くべきではないか、内閣官房で決めたことを基に内閣府で各省との調整を行うべきである。したがって分離型その2には賛成できないとの意見があった。これに対し、諸会議の担当を内閣官房とするか、内閣府とするかはいろいろな考え方があり得るのではないかとの意見が述べられた。

・同じ点について、分離型その2のように総務省がなぜ必要なのかという質問があった。これに対し、実施業務は内閣府に担当させるのは適当ではなく、その担当として、総務省が必要ではないかとの説明がなされた。

・同じ点について、分離型その2では、「官邸」に3人の大臣を置くことになり行革に反するし、3人の大臣が互いにうまくいかないのではないかと思われるので、分離型その1に賛成であるとの意見が述べられた。これに対し、大臣が3人では確かに難しい場合も多いと思われるので、過去には総理府の総務長官が国務大臣でない時代があったように、内閣府長官には国務大臣を充てないほうが良いのではないかとの発言があった。関連して、内閣府の主務大臣は総理大臣とし、内閣官房には官房長官を置き、その他に無任所の大臣、総理大臣補佐官や審議官がいて、これらを総理が適宜使っていくという、固定的でない柔軟な組織が良いのではないか、との意見表明があった。

・内閣総理大臣補佐官は内閣官房に置き、各補佐官の担当分野の事務方は内閣府の内局に置いて、内閣官房との兼務とすることが総合調整機能の発揮という観点で望ましい。一方、危機管理については政治任用の人ではなく、専門的な人が24時間体制で長期間やることが必要であり、情報調査機能についても中立性が重要であり、信頼性の問題から政治任命でないほうが良いかもしれない。広報機能については、もう少し戦略性があって、国民にアピールし、分かってもらうことが必要である。広報予算も年間約100億円あるが、これが毎年各省に割り振られ、単なる日常業務となっている点が問題であり、あるいは外部から専門家を招聘するのも一案である。アメリカでは大統領のスピーチライターが20人もいるそうだが、日本の場合も、総理の演説によって国の目指すべきところを知るという状況にしていくためには、常に総理のことを理解し、生かしていくことを考える人が広報官になることが必要である。人事局については、人事院の仕事を限定して、内閣の人事局が一定レベル以上の国家公務員の把握をすることも必要である。従軍慰安婦や中国の残留化学兵器などの問題は今後10年以上かけて処理していかなければならないが、これらの問題を政治任用の人でできるのか疑問がある、との発言があった。

・補佐官の数について、これを10人程度としてそれぞれある種の事務を担当させるという理解でよいのかとの問題提起があった。これに対し、1)必要があれば人数としては10人以上でも構わない。2)10人の枠を設けるとして常に空席を2〜3空けておくべきで、何かが起こった時に対応できるようにしておくことが必要である、等の意見が述べられた。また、補佐官の出身については官庁でも民間でも良い、との発言があった。

・1)当会議が本年5月に提出した中間整理では、危機管理を担当する官房副長官クラスの職を置くことを提言したが、今回、情報調査室や総合戦略室についても同様に官房副長官クラスの職を置くこととすべきであろう。2)広報機能については、「広報室」という組織よりも「広報官」という個人が重要な意味を担う点で、危機管理、情報管理、総合戦略等の機能とは異なるのではないかとの問題点の指摘があった。これに対し、1)総合戦略を担当する人にどのクラスの人を配置するかは、その時の総理の意向や状況で決まるのではないか。2)広報は総合戦略の一環であり、その観点からも広報官は重要である。また、3)補佐官、内閣官房各室の長ともに政治任用が考えられ、政治任用が一つのポイントとなろう、等の発言があった。

・1)補佐官制度については、危機管理、情報関係、総合戦略を担当する内閣官房の各室長を事務次官クラスに格上げし、出身の官庁に関係なく活躍できる人を任用していけば、補佐官である必要はないのではないか。経済財政諮問会議、男女共同参画会議や安全保障会議を主宰するのなら分かるが、仕事を明確にせずに置くのでは意味がないし、それ程大勢はいらないのではないか。2)一方、広報室は必要であり、スポークスマンには語学も堪能で外国人記者とも堂々とやりとりできる人を起用することが重要であり、官界に限らず、民間や政治などその出身は問わないでよい。広報担当官は総理に代わって政策をPRできる人である必要がある。3)内閣府でマクロ経済政策等を扱うことに賛成であり、官邸に総合戦略を担当する室など4、5室を作り、その方針を受けて内閣府で政策調整をやっていくというのが良いのではないか、との発言があった。

・どういう内容の事務と機能を総理の補佐体制に組み込むかということについては、「インフォームド・ディシジョン」という考え方が重要であり、政治的意思決定に当たっては、情報と客観的分析の上に立ってなされるべきであることに留意すべきであるとの意見があった。

・政治的任用は良いシステムであるが、実際問題としては復職の保証がないと就任してはもらえず、有能な人材がなかなか得られないが、民間は協力してくれるのか、労働組合はどう反応するのかとの問題提起があった。これに対し、大学では現在交流を進めつつある、労働組合からも現に各国にレーバーアタッシェを出している、等の発言があったが、これについてはここで論じている政治的任用のレベルとは異なるのではないかとの指摘があった。関連して、米国ではパブリック・アドミニストレーション・リーブ(公職に就くために復職を保証しつつ休職することができる制度)という制度があって積極的な学官交流等がなされており、日本でもこのような制度の導入を考えるべきだ、等の意見が述べられた。

・内閣官房各室の名称について、国家行政組織法では、「室」は「課」に準ずるものとされており、小規模なイメージがある。これは、かつて内閣情報局の設置構想が出た際、戦前の悪い印象があることから内閣調査室として発足した経緯の残滓であるが、この際「局」や「部」にすべきではないかとの意見が述べられた。これに対し、問題は実質であり、名称については、別途議論すべきであるとの発言があった。

・情報公開制度をどこの機関が所管するかは、その請求に関する不服審査機能の在り方を含めて統治機構全体にとって重要な問題であり、また、行政各部の評価機能を担う行政監察の機能も含む管理等の事務をどこに担わせるかという内閣及び総理の補佐機構全体の問題については、総理大臣を長とする内閣府に持っていくという案も一案ではあるとの意見が述べられた。

・統計業務については国の運営の基本に関することで、公権力を背景としてデータを徴集するものであり、途上国への指導など国際的な重要性もある。統計業務の集中化が必要と考えるが、内閣補佐機構全体のどこで担当すべきかとの問題点の指摘があった。これに対し、エージェンシー化すべきかどうか別途の議論があるが、一応、分離型その2では総務省の事務となり、分離型その1では内閣府とするのがよいかどうか議論があり得るということではないかとの説明がなされた。

・マクロ経済政策関係の事務を内閣府の事務ということにすると、各省の事務として残る部分はないということかとの質問があった。これに対して、1)総合戦略と具体的戦略とで分かれてくるのではないか。2)アメリカの経済諮問委員会は30人ほどの大学教授等を常勤のスタッフとし、大学や民間シンクタンクを活用しながら、各省にものを言えるだけの権限と分析力を持っており、成功を収めていると言われているが、日本でも経済企画庁のスタッフを内閣府に配置すべきであり、また同庁の調整局と調査局を一体で内閣府に持っていくべきである、等の意見が述べられた。

(総括)

・以上の議論を通じて、前記「内閣機能の強化(案)」(別紙2参照)のうち基本的な考え方と具体的措置のうち「内閣機能の強化」と「内閣総理大臣の指導性の強化」については、その内容について了承されるとともに、具体的措置のうち「内閣及び内閣総理大臣の補佐・支援体制の強化」については、その強化の必要があることについては意見が一致したものの、その組織の在り方については、前記のとおり意見の一致を見なかったので、省庁再編、総合調整の在り方等の議論を踏まえて後日再度議論することとされた。

(4) 省庁再編について、藤田委員(主査)より、同委員作成の「集中審議の論点整理」及び「省庁再編案(座長試案)」(別紙3及び4参照)につき説明がなされた後、以下の意見交換等があった。なお、上記再編案についてはあくまでもたたき台として、その限りにおいて一つの立場を示したものであり、必ずしもその内容に固執するものではないので、委員間で十分議論してもらいたい旨の発言があった。

・上記省庁再編案に関し、1)防災については、地方自治体の初動体制、財政支援等の観点から、地方自治省に位置付けるべきではないか。2)外務省の説明に地域局が抜けているようであるが、地域局の位置付けは今後ますます大きくなるので、局名まで特定し得るものは検討すべきではないか。3)経済協力が横串機能により対処することとされているが、現在、技術協力の実施事務は国際協力事業団において一元的に行われているが、その企画立案は横串機能によって対処するのではなく、一元化すべきではないか。4)通貨と金融は表裏一体であり、分離することは困難であり、財政と金融を分離することは、国内的な議論としては理解できるものの、G7のプロセスや通貨危機に対する機敏な対応の必要性等から考えると分離は適当ではなく、財政と金融の一元化による国内の問題については、透明性確保等により対処すべきではないか、等の意見が述べられた。

・議事進行について、上記各論から始めるのではなく、まず省庁数を現在の約半分にするかどうかという大枠について議論し、その後各省ごとの論点について一つづつ議論していくべきであるとの意見があった。これに対し、省庁の数ではなく、まず大きな論点について議論すべきであり、その議論の過程においておのずと省庁数が決まってくるのではないかとの意見が述べられた。これらの意見を踏まえ、次回会議で、「集中審議の論点整理」に掲げる主要論点について順次議論してゆくこととされた。

・前記省庁再編案の中、学術研究・教育の振興及び科学技術は、「特定の政治目的・行政目的との間に保たれるべき距離に相違があり」との記載の意味が解りにくいとの質問があった。これに対し、学術研究・教育は特定の政策目的とは結びつかないが、科学技術は特定の政策目的と結び付くとの趣旨だとの説明があった。また、関連して、現在は産学協同が盛んになってはいるものの、学術研究は、国からやれと言われても動かないという体質があり、そういう自由度が必要な分野であるが、他方、国が行わなければならない開発研究はトップダウンで行う必要があるとの発言があった。

・これに関連し、前記省庁再編案の甲案で、開発研究的な科学技術であれば関係各省が行うということも可能であるはずだが、あえて科学技術省を独立させているのは、科学技術を重視しているという姿勢を示すためかとの質問があり、これに対して、そのとおりであるとの説明があった。
 これに関連し、すぐに実用化できる開発については関係各省が行うことが可能としても、核融合などのビッグプロジェクトについてはこれを担う組織が必要ではないかとの発言があり、これに対し、そのような趣旨であれば、自らの権益を守るために汲々としている科学技術庁の現状に照らすと、これを独立の省とすることには問題があるのではないかとの発言があった。
 これを受けて、科学技術会議を強化して総理大臣の直轄下に置き、各省では対応できないものについて横断的に対応する必要があるとの発言があり、これに対し、科学技術会議の強化に異論はないが、現在の科学技術庁には、科学技術会議を重視して国政に生かそうという姿勢に乏しいので、こうした行政組織を独立して置くことは問題であるとの発言があった。
 以上の発言を受け、1)特定の省から切り離して科学技術会議を強化するとともに、大学に任せるべきものは大学に、各省に任せるべきものは各省にそれぞれ任せれば良いが、全体的にまとめた方が良いものについては、担当の省なり庁なりが必要なのではないか。2)このような議論を踏まえれば科学技術行政関係組織の在り方は、前記省庁再編案の乙案のような横串的なイメージに近づいてくるのではないか。3)科学技術が学術研究から離れ、唯我独尊的な権益的な集団として固まってしまうのは良くないので、科学技術行政と学術研究を総合的に一つのものとし、科学技術会議を権威のあるものにすることが必要である、等の意見が述べられた。

・科学技術振興費の配分が問題であるほか、我が国がしばしば研究がしにくいと指摘される原因の一つとして文部省や科学技術庁の縄張り争いがあるとの指摘があり、これを受け、科学技術会議を強力なものとし、総合科学技術会議というような形でバラバラの研究テーマを大括りにしていく方向を考えるべきではないか、との意見が述べられた。

・ 以上の議論を受け、上記総合科学技術会議は内閣府に置くべきか、内閣官房に置くべきかとの問題提起があった。これについて、1)内閣官房に設け、メンバーは人文科学、社会科学関係者を含めて幅広いものとし、単に諮問に応えるだけでなく、発議して予算調整までを行い、その実施は各省庁で行うこととしてはどうか。2)予算は関係閣僚会議で調整すべきではないか。3)予算は閣僚会議ではなく、総合科学技術会議で方針を決定し、それを受けて具体化すべきである。4)内閣府に置くべきであるが、内閣府の大臣が内閣総理大臣であるか専任の大臣であるのか、総合科学技術会議の事務局を内閣府に置くのか内閣官房に置くのか等の問題もある。5)内閣府の長は内閣総理大臣であり、各種諮問会議や科学技術行政の取りまとめ機能も内閣府に置くべきではないか。6)内閣府の長は総理大臣ではなく、別に担当大臣を置くという議論ではなかったか。7)色々な業務が内閣府に入って来た場合には担当大臣が必要となるが、分離型その2のイメージとして、内閣府の長は内閣総理大臣となるのではないか、等の発言があった。

(6) 第25回会議(集中審議第2日)は、8月19日(火)午前10時より開催する。

以上
(文責  行政改革会議事務局)

連絡先:行政改革会議事務局   高野(電話03-3581-2641)  杉山(電話03-3581-0272)

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