−速報のため事後修正の可能性あり−

行政改革会議第26回議事概要

(集中審議第3日)

1 日時 平成9年8月21日(木) 10:00〜17:00
2 場所 キャピトル東急ホテル 「竹の間」
3 出席者
(会議)
橋本龍太郎内閣総理大臣(会長)、武藤嘉文行政改革担当大臣・総務庁長官(会長代理)、芦田甚之助、有馬朗人、飯田庸太郎、猪口邦子、河合隼雄、川口幹夫、佐藤幸治、塩野谷祐一、豊田章一郎、藤田宙靖、水野清、諸井虔、渡辺恒雄の各委員
(説明者)
(大蔵省)武藤官房長、長野証券局長、山口銀行局長
(政府)
与謝野官房内閣官房副長官、古川内閣官房副長官、田波内閣内政審議室長
(事務局)
水野事務局長(再掲)、八木事務局次長
4 議題
(1) 省庁の再編について(外局、独立行政法人等を含む。)(討議)
(2) 内閣機能の強化について(討議)
5 会議経過

(1) 事務局より省庁再編に関する論議の結果の整理について説明した後、これに関連して以下のとおり意見交換があった。

・1)「環境」について、薬事、公衆衛生等に関する行政を生活福祉省から切り離して環境省に持ってくるという藤田委員(主査)案の立場は採らないことを明確にすべきである。2)生活福祉省の中で雇用・労働政策が埋没しないように、厚生省と労働省の統合に当たっては厚生行政のスリム化を図るべきことを明確にすべきである。3)環境省がすべての環境に関係する政策を取り込むことは適当でなく、各省に環境関係の施策が横串で含まれると考えるべきである。4)通信放送行政を担う委員会は、独立規制委員会ではなく「行政委員会」とすべきではないか、等の意見及び指摘があり、これらを踏まえ、事務局において修正することとされた。

・産業省(仮称)について、「産業省」とするか「経済省」とするか先に決めるべきではないかとの意見があったが、各省の名称については、すべての議論の後で議論することとされた。

(2) 財政と金融の分離の問題については、金融制度に係る企画・立案の内容を大蔵省に確認した上で議論すべきであるとの意見があり、本日午後に同省からのヒアリングを行うこととなった。

(3) 治安(警察)行政を担う組織の在り方について、以下のとおり意見交換があった。

・警察、海上保安庁、麻薬取締をひとまとめにするべきであるという提案について、1)海上保安庁は約1万2千人の人員と1千億円の予算を抱えるのに対し、警察庁の警視正以上の警察官は約3千人である。海上保安庁は全国に11の管区海上保安本部を有し、多数の船舶を擁する組織であり、都道府県警察とは簡単に接合しない。現在は警察庁の官房総務課が国家公安委員会の事務局を務めているが、このような国家公安委員会の事務局をどのように見直すかが問題である。2)海上保安庁、麻薬取締事務所が、国家公安委員会の下に並んで入ることには問題はない。しかし、海の上には県境が作れないため、海上保安庁は海の特殊性に着目した効率的な組織を構成しており、麻薬取締は組織は小さいが、日常の捜査業務を行う警察と異なり、幹部以外の顔を見せない組織となっている。これらの特性を踏まえて、国家公安委員会とその事務局を改組すべきである、等の意見が述べられた。

・海上保安庁の仕事のおよそ3/4は安全関係で治安関係ではないようだが、国土開発省の中の海上交通との関係はどうなるのかとの問題提起があった。これに対し、1)海上保安庁の業務のうち比重が高いのが捜索、救難活動であり、水産業、物流、レジャーに結びついている。殉職者を圧倒的に多く出すのは海難救助であり、物流、人的安全の確保が圧倒的に業務量として多いのは事実であり、麻薬、密輸等の取締りなど治安、犯罪捜査はどちらかというと付随的業務である。どちらに焦点を当ててみるべきか、実質的にはどちらが効率的かに尽きる問題である。2)「治安」という用語で括るとするとそういう問題が生ずるが、警察は国民の身体、生命、財産の保護を目的としており、海上保安庁もその目的の中には入るのではないか。3)海上保安庁を治安と安全の2つには分けることはできない、等の意見が述べられた。

・消防庁の在り方及び防災体制の在り方について、1)国土庁防災局をはじめ、各省に散らばっている防災関係部局はこの際まとめるべきではないか。2)自治省の内局の事務と消防庁の事務は異質であり、消防については災害という側面から独立してコアを作るべきである。3)災害は必ずどこかの自治体のエリア内で生ずるものであり、初動体制については財政措置についての責任も考えて、自治省が責任を持つ必要があるので、自治省に防災局を移管し、その外局に消防庁を置くべきである。4)阪神大震災の際は、初動から直接救助活動に巻き込まれた警察、消防、自治体の連絡網の情報よりも近畿通産局の情報、マスコミの情報の方が早く正確だった。非常事態に際しては、ペーパープランでは意味がない。5)事態の発生前の予防は国土関係の対応であるが、事態発生後の危機管理は別物である、等の意見が述べられた。また、上記3)の消防の財政的基盤が市町村であるとの意見に対し、地方交付税の対象であり、国にも財政的基盤を担う地位があるとの反論があった。

・防災については横串機構を考えているが、コアを国土整備とするか、消防とするかとの問題提起がなされた。これに対し、1)大規模災害の際は初動はまず警察及び自治体であり、国土整備は復興の過程で出て来るものであって、消防が市町村に担われていることを考えると、結局消防は自治省に預けておくことが適当である。2)災害基本法の下で、中央防災会議を軸に横串機能が発揮されるものであるとの見解が示された。

・国民の生命、安全、財産を守る役所が出来ないか。消防について国全体から目を光らせるのは、地方に責任を負わせる観点に立って自治省とするのではなく、国民安全省に責任を負わせることとしてはどうかとの意見が述べられた。これに関連して、1)警察については実動部隊なので省としたとしても国家公安委員会の下に置く意味はあり、その際同委員会が警察の意のままにならぬようにする必要がある。その上で国民の生命、財産、身体の安全を念頭に置いた省とし、防災のコアとするのがよいのではないか。2)国民安全省を作るとすれば、総合安全計画局、防災局、交通安全局、外局に国家公安委員会という構想が考えられる。3)警察の比重が大きいかもしれないが、地震を代表例として国民に安心感が欠如している現在、いざというとき安全省のような役所があれば、国民的なイメージも良いのではないか。4)国民から見て暖かいものを作った方がよいという考え方であるが、最後は省の数の中で決定すればよいのではないか。5)安全省は警察のイメージを相対化するものであり、警察機能がきちんと強化されることこそ安全の強化に結びつく。国家公安委員会も改革し、海上保安庁を吸収・拡充し、海上の治安問題の増大にも対処することが実質的にも安全につながる。口当たりの良いものに変えることが適当かどうか疑問である。6)安全省の設置の提案の背景としては、内閣府の外局に国家公安委員会を置くことにより、内閣府が肥大化するとの観点もある。7)自治大臣と国家公安委員長の兼任は良くないので、防災の観点も踏まえつつ、安全省大臣が国家公安委員長を兼務することが適当である、等の意見が述べられた。

・金融監督庁、海上保安庁を含んだ国家公安委員会等、重たい組織が既に内閣府外局の候補となっており、内閣府に膨大な事務を負わせることの是非についても念頭に置くべきであるとの意見が述べられた。

・以上を踏まえ、藤田委員により、1)国家公安委員会はその組織と事務局を見直した上で存続させる。2)海上保安庁、麻薬取締については警察と別組織として改組した国家公安委員会及びその事務局の下に置く。3)安全省をつくるか否かにおいては、省庁数や内閣府の組織の大きさなど、全体像を見た上で後刻判断する、との整理がなされた。

(4) 地方自治関係行政に関し、以下のとおり意見交換が行われた。

・自治省の組織的な位置付けについて、1)地方分権が今後どうなっていくかの問題と大きく関係しており、市町村合併が進み、道州制が導入され、広域行政になり、地方分権ができるのであれば、省ではなく庁でよいのではないか。2)現在の地方分権の状況で見るのか、21世紀の状況を想定して見るのかで違ってくるのではないか。3)地方分権を推進するには大変なエネルギーがいるので、担当の大臣が必要であるし、現段階では庁では足りないのではないか。4)現在の自治省は省として置いておくにはサイズが小さすぎるのではないか、5)消防庁が例えば「安全省」に束ねられた姿を地方分権の進行とも考え合わせると自治省の仕事は縮小するのではないか。6)地方分権が進むという楽観的な想定はいかがなものか、防災をきちんと位置付け、省として維持することは十分価値があるのではないか。7)地方自治庁として内閣府の外局とすると、内閣府が大きくなり過ぎるのではないか、等の意見が述べられた。

・以上を踏まえ、地方自治については、内閣府の外局とする案が多数であるとの整理がなされた。

(5) 経済企画庁の在り方等について問題提起があり、以下のとおり意見交換が行われた。

・通産省の産業政策を捨て、電波監理等を含めて経企庁に統合してはどうかとの意見が述べられた。これに対し、1)産業政策の切捨てはできないので、このような統合には反対である、2)経企庁はエコノミスト集団が個別産業から離れてマクロ経済を見ているものであり、統合には反対である、3)通産省は、今後は産業振興ではなく、市場原理を中心に据えた経済運営をしていくべきであり、その意味で、経企庁と統合して「経済省」とすべきである、等の意見が述べられた。

・経企庁の国民生活局、物価局は、調整局、調査局と一緒にしておく必要がないとの意見があった。これに対し、経企庁の国民生活局、物価局は個別産業を離れた消費者の立場から見ているのであり、通産をコントロールするものであるから、経企庁の他の機能と一体としておくべきとの意見が出された。

・経済諮問会議と経企庁の関係について、経企庁は内閣府に置き、同会議と連携してはどうかとの意見があった。これに対し、経企庁の全体を内閣府に入れ込むのは反対であり、調査機能は通産省が担うこととしてはどうかとの意見が述べられた。

・経企庁を強くするには、力をつけて経済諮問会議の事務局としてはどうかとの意見があった。また、事務局には官庁エコノミストのみならず、民間、大学からも人材を入れるべきであり、一定期間後戻れるようにする必要があるとの指摘があった。

・産業政策の在り方について、1)今後は産業政策からは手を引くべきである。2)産業政策の重要性は否定されるべきではなく、マクロ経済について経済諮問会議で扱い、通産省は堂々と産業政策をやるべきだ、等の意見があった。

・気象庁を環境省に置いてはどうかとの意見が述べられた。これに対し、気象庁は国民生活と海空の交通の安全の両方に関連しており、これらのバランスを考えた上で所属を決めるべきではないかとの意見が述べられた。

(6) 国税庁の位置づけについて問題提起があり、以下のとおり意見交換が行われた。

・大蔵省の外局である国税庁は、もともと本省とは距離があり、一種の経済警察のような存在でもある。であるからといって警察や法務と一緒にすることは馴染まないが、3条委員会にして内閣府の下に置き本省は純粋に財政省とすべきではないかとの意見があった。これに対して、1)地方税の徴収機能は、自治体によって格差があるが、職員が税に習熟していないため非効率であり、徴収を国税と一体で行えるようにすれば効率的である上、地方は数万人単位で職員を減らすこともできる。しかし、国税庁が大蔵省の外局であれば、そこが地方税まで集めることの説明が付きにくいということからも、分離を考えた方がよい。2)3条委員会という形でなくとも証券取引等監視委員会のような8条委員会で行うこともできる。いずれにしても、大蔵省の外局ではない中立、公正な立場の機関とし、徴収の一元化ができないものか。3)大蔵省は国税庁を使って色々工作しているという噂がある中、その疑いを晴らすためにも思い切って分離するという考え方は理由がある、等の意見が述べられた。他方、1)納税が煩わしい原因は税制が複雑なところにある。今の税制は法律、通達、その解説までを読んでようやく分かるような仕組みになっており、徴税に裁量も働いている。これを簡素化すれば、国税庁の仕事は相当減る。税制を改めずして国税庁をどうするかを云々することは如何なものか。2)中立、公正の点は、国税庁の組合は力が強く上からの命令を聞かないという体質によって担保されている面もある。3)国税を巡って政省令や通達がたくさんあるところは改めていかなければならないが、財政は歳入と歳出から成り立っていることから国税庁は大蔵省と一体である必要がある。独立行政法人にするということであれば分かるが、徴税という実施事務を合議体である3条委員会にすることには無理がある。4)地方自治との関係で難しいかもしれないが、地方自治の徴税能力を考えると、本当は地方交付税との関連で地方税を国税として徴収し、譲与金として地方に回す形をとれば、徴税に要する人員が少なくなり、税制の簡素化にもなる、等の意見が述べられた。

 この点について、さらに、1)適当な行き先があれば国税庁の分離にこだわらないが、今のような複雑な仕組みの税体系が続く限りは、国税庁を大蔵省から分離しても実務的に難しく、分離するにしても、将来税体系が簡素になったところで行えばよい。2)地方税と国税の徴収を一本化すれば効率化する面はあるが、一方で、地方分権の促進の観点からすると、地方の歳出は3分の2あるにもかかわらず歳入は3分の1にとどまっている実勢を変えて行こうという動きとの関係を考える必要がある、等の意見があった。

・国税庁を分離する場合であっても、どこに持っていくかの問題があり、それが解決しないと結論は出せないため、先に内閣府についての議論をする必要があるとの意見が述べられた。

(7) 内閣及び内閣総理大臣の補佐・支援体制の強化に関する基本問題について、佐藤委員(主査)から「「分離型」組織のイメージ(試案)」(別紙7参照)について説明があった後、以下のとおり意見交換が行われた。

・統合型と分離型のいずれを採るかについて、1)統合型は、内閣府において総合戦略(対外政策、マクロ経済政策、予算編成等の基本方針、危機管理等)、総合調整・調査(経済政策、科学技術、男女共同参画推進等)、管理(人事・組織管理、行政監察)、直轄事務(栄典等)、外局管理のすべてを取り扱うことになり、大きくなり過ぎるのではないか、そうであれば分離型によることになるのではないか。2)総理のリーダーシップの強化という観点からは、分離型その1の内閣府大臣、分離型その2の総務大臣の設置は疑問であり、総理大臣直轄の内閣府(統合型)とすべきである。3)統合型を採る場合に内閣府大臣を置くか否かは総理の判断であるが、置かない場合、総理が国会答弁等業務量が多くなり大変である、等の意見が述べられた。

・分離型の場合の総務省に大臣庁が置かれると二重支配になりおかしいという意見があったが、当該外局に法律提案権、予算要求権が実質的にあれば二重支配にはならないのではないかとの意見が出された。

・大臣庁の上に大臣がいるのはおかしいのが、単なる実施機能の庁がストレートに総理大臣の下にいるのもおかしいので、分離型その2では、理論的には大臣庁は内閣府に、実施機能の庁は総務省にそれぞれ設置されるべきであろうとの意見が出された。

・以上の議論を受けて、内閣及び内閣総理大臣の補佐・支援体制の基本構造としては、分離型その2の形態を採ることが合意された。

(8) 内閣機能の強化に関するその他の事項について、以下のとおり意見交換等が行われた。

・経済企画庁を丸ごと内閣府につける場合、具体的にどのように設置するのかという問題提起があり、1)経企庁を内閣府外局の大臣庁とはできないか。2)分離型その1の内閣府に総合政策庁及び総合管理庁の2つの大臣庁を設置し、経済諮問会議のバックアップ機能はこの総合政策庁が担うべきである。3)内閣府に経済諮問会議の事務局を置き経済企画庁のスタッフを入れるべきである、等の意見が述べられた。

・大臣庁とそうでない外局を区別できるような名前を考えるべきであるとの意見があった。

・宮内庁が総務大臣の下にあるのはおかしいとの意見が述べられた。

・栄典は総務省に置く必然性はないとの意見が述べられた。

・内閣法制局及び人事院については、総合戦略または総合調整機能に入れられるし、場合によつては、現在のままということもありうるのではないかとの意見が述べられた。

・人事局、行政管理局は総務省に入るのではないかとの意見が述べられた。

・公式制度とはどこまでを含むかにもよるが、賞勲や公式制度の扱いについては、皇室会議や皇室経済会議の関係事務等は当然内閣府の所管とすべきであるとの意見があり、了承された。

・金融監督庁の扱いについては、総務省の所管ということで基本的に合意された。

・地方自治の扱いについて、1)地方分権推進の観点から総務省の内局として問題はないのか。内閣の所管として大臣庁とした方がいいのではないか。2)地方自治推進の観点からは、地方自治省として単独の省を立てるべきではないか。3)地方分権が進めば自治省は小さくなるが、地方分権を進める必要があるので、地方分権省とするか、省が無理なら地方分権庁という名前で分権を積極的に進めるべきであり、地方分権推進委員会もそこに附置すれば良いのではないか、大括りの方向の中では、地方自治を総務省に含めるという考え方もあるのではないか、等の意見が述べられた後、総務省の内局とすることで基本的に合意された。

・公正取引委員会の扱いについて、1)行政権は内閣に帰属することが憲法で規定されているが実際は独立して業務を行っている。検察庁については、検察庁法14条で検事総長と法務大臣は細い糸ながら結び付けられているのに対し、公正取引委員会はそのようになっていない。これは米軍の日本占領時代の行政組織の名残であり、内閣が責任を持てるように法体系を仕組むことが行政の一体化上必要ではないか。2)憲法の原則上、公正取引委員会の中立性を確保しつつも細い糸で総理につながるようにすべきである。3)一般的に行政委員会は、人事、予算面では内閣とつながりがあるが、国会とのつながりの中で全体として責任をもつという考え方が従来採られてきた。法律的に総理とつなげるべきとの議論はこの考え方がおかしいということであり、これまでの行政委員会についての法制的な理解を大きく変更することになるが、この場でそのようなそもそも論を取り上げるのは無理があるのではないか。4)公正取引委員会は、刑事犯罪(例えば談合、カルテルなど)の摘発機能と競争政策の企画立案機能の2つの機能をもつ。前者には一次裁判権があり、これは違憲ではない。後者は規制緩和と関係が深いが、これは行政改革委員会等においても推進されているところである。例えば持ち株会社などの問題は正に内閣が責任を持つべきものであり、公正取引委員会が5人程度で、しかも専門家でもない人間が決めるのは無理がある。5)行政委員会として権限を付与するとすれば、独立性、公正性がその根拠となるので、これに乗らないものは本来行政委員会であるべきではない。6)行政委員会の存在意義は準司法機能、審判機能にある。これらの機能を持つものを行政審判庁としてまとめてはどうか。ただ、この場合もう一つの機能である企画立案機能をどうするかという問題があるので、ここでは問題提起にとどめたい、等の意見が述べられた。
これを受けて、公正取引委員会は総務省の所管の行政委員会とすることで基本的に合意した。なお、その事務の中身についてはなお今後検討すべき課題とされた。

・電波監理等を担う3条委員会については、総務省の所管ということで合意された。

・宮内庁の扱いについては、内閣府が所管することで合意された。

・公害等調整委員会の扱いについては、これまで同委員会と環境庁とが同じランクにあったが、環境を省にすることでそのランクが変わってくる点が気がかりであるとの意見が述べられたが、総務省の所管とすることで合意された。
 なお、これに関連して、1)公害等調整委員会の機能は行政審判庁を新設してこれに含ませるべきとも考えられる。2)司法改革が不可避であるとことと同じコンテクストで、準司法手続についても考える必要があり、行政審判庁を総務省などに設けるべきである、この審判機能が国民の役に立つことをクローズアップするためには、目に見えることが必要である。3)行政審判庁には魅力があるものの、今の段階で直ちに設置することは難しい、等の意見が述べられた。

・経済企画庁の扱いについて、経済財政諮問会議の事務局として一部を内閣府に持ってくるほか、その連携下にエコノミストの集団として経済研究所の機能を置くこととすることでほぼ合意された。

・国家公安委員会については、安全省を置くのであればそこに含めるが、置かないのであれば大臣庁として内閣府の所管とすることで合意され、明日これについて議論することとされた。

・人事院の扱いについて、1)人事院は労働基本権制約の代償として存在しているが、その範囲を逸脱した越権行為が目立つ。具体的には、例えば中曽根内閣時代、内閣外政審議室長を置く際、人事院の級別定数審査で処遇を低く押さえられたこともあり、これなどは非常に問題である。2)人事院と人事局の機能分担が明確でない。人事院は労働基本権制約の代償措置としての範囲内で事務を行うべきであり、そこを超えた部分は内閣サイドとの調整が必要である、等の意見が述べられたが、これについては明日公務員制度に関連して議論することとされた。

(9) 財政と金融の分離の問題に関連して、大蔵省から別紙8のとおり説明があり、これを受けて、以下のとおり意見交換が行われた。

・投資信託についてのガイドラインを作って指導していると言われているが、どういう内容なのかとの質問があった。これに対し、大蔵省から、投資信託を銀行でも販売できるようにする法改正を行うこととしているが、それに先だって、銀行の店舗の一部を投信委託会社が借りて販売できるようにすることとしており、その際、消費者保護のため、元利保証がないことを明確に説明することや、窓口を別にするなどのガイドラインを法改正までの当面の措置として通達で設けることとしている。このようなガイドラインを通達により設けるといった業務は、金融監督庁ができればそちらに移ることになるとの回答があった。

・住専の2次処理はどうなるのか、財政出動があるのかとの質問があった。これに対し、大蔵省から、住宅金融債権管理機構による債権回収で損失が出れば、1/2は、民間金融機関が預金保険機構の金融安定化拠出基金(9千億円)から負担し、残りの1/2は国庫から補助金を交付することとなっているとの回答があった。

・1)金融サービス法の範囲はどこまで扱うのか、法案を出すときは大蔵省だけで出すのか。2)電子マネーは銀行を通さない決済手段になるかもしれないが、これは大蔵省の企画・立案に入るのかとの質問、及び3)住専のようなことがあると財政出動があるから、金融は財政から分離すべきではないかとの意見が述べられた。これに対し、大蔵省から、いわゆる金融サービス法については、現在、懇談会で議論を行っているが、銀行、証券、信託など各業態の商品が似通ってくれば、従来どおり業態別の法体系でいいのか、これらの横断的な法律が必要になるのか、ビッグバンがどう進み、どのような商品が出てくるかを見極めながら検討していく。懇談会にも多数の省庁が参加しており、法律を出す時は、おそらく関係省庁と共同して出すことになるのではないか。通貨は、現金通貨と金融機関が提供する預金通貨があるが、電子マネーは現金と預金の機能を合せ持つ、いわば中間の通貨に当たり、通貨と金融とが一体となったものとして大蔵省の所掌になる。さらに、新たな時代に対応して、利用者保護等の新しいルールづくりをしていく必要があるとの回答があった。

・大蔵省の上記説明に対し、同省の説明では過去の通達行政に戻ってしまうのであって住専問題等過去の反省が見られない。通達については、必要なものは法律にするとともに、業界の自主ルールに幅広く任せることとし、事務的なもののみに限定するということではなかったのか。個人の資産運用に関してまで通達を出すとなると、利用者を護送する新たな護送船団というように聞こえるがどうか、との指摘があった。これに対し、大蔵省から、法律できちんとルールを作り、ルールに基づき金融監督庁で監督していくという趣旨であり、行政指導を行っていくということではない。これまでは金融機関を破綻させないということで信用秩序を維持してきたのでこれが護送船団方式と言われてきたが、今は直接預金者を保護することで信用秩序を維持するということに変わってきた。企画立案と検査監督が分離され、法律による明確なルールに基づいて金融監督庁が検査監督を行うということになっているとの回答があった。

・関連して、1)大蔵省と金融監督庁との共同省令があるから大蔵省の焼け太りと言われている。2)金融の企画・立案の範囲がどこまでも広がってしまう恐れがあるので、範囲を限定することはできないのか。3)銀行による投信販売に関する証券取引法の改正も大蔵省の所管か。4)検査監督を分離して通貨と為替を残した場合に局編成はどうなるのか、等の質問があった。これに対し、大蔵省から、1)企画立案の一環としての側面と検査監督の実施上の要領としての側面の両面があり、法技術的な理由から共管になっているが、検査監督に関するものは、将来は金融監督庁が単独でできるようにしていくことを検討したい。2)企画・立案の範囲については、説明にあったディスクロージャーの整備、公正取引ルールの整備等は例示であり、他にもあるだろうというのはそのとおりだが、いずれも金融制度に関する制度の制定・改廃・変更に関するものである。ビックバンが進めば規制行政はなくなっていくが、消費者保護行政、ディスクロージャー等は残る。だからといって過保護にはならないようにする。3)企画立案機能とは法律の制定改廃など、金融制度のあり方を主軸にしているので、金融監督庁が出来た後でも、証取法の改正は大蔵省が担当することになる。4)局については3党合意では金融局(仮称)になっているが、名称についてはこれから検討するが、その中に銀行課や保険課というものはなく、それらは金融監督庁に移行することになる、との回答があった。

・上記に関連して、1)「金融局」というから誤解を受けるのであって、市場信用を維持するためのルール作りは必要であるが、名称は十分再考すべきである。通貨と為替の安定、市場信用の秩序維持の目的をはっきりさせれば、誤解が解けるのではないか。2)通達行政は行わないということを徹底すべきだ。3)信用維持と預金者保護は分かるが、預金者の過保護が大蔵支配になるのではとの懸念がある。4)財政主導で、金融行政が行われるようなことを抑止する何らかの保証が必要だとの意見があった。これに対し、大蔵省から、1)金融行政の人材育成など、運用できっちりやっていく。金融監督庁設置や日銀法改正等の改革の成果を見届けてもらいたい。2)金融監督庁の設立後、個別の金融機関の破綻処理には金融監督庁が当たり、金融秩序全体への影響がどうなるのかは第一義的には総理大臣の指揮の下で金融監督庁長官が判断して発議し、制度面のルール作りの権能を持っている大蔵省に、どのように対応すべきかを財政出動が必要かどうかを含め協議するということで、従来とは異なってくる。また、財政支出を入れるかどうかは国会の判断である、との発言があった。

(10)上記ヒアリングの結果を受けて、財政と金融の分離・統合問題について、以下のとおり意見交換が行われた。

・1)財政と金融の分離・統合は二者択一の問題ではない。通貨や為替は大蔵省がやり、金融の危機的状況では財政出動もあり得る、金融検査監督は金融監督庁が行うということになると、残っているのは何かということである。2)「金融局」より、「市場信用局」の方が分かりやすいのではないか、預金者保護については、大蔵省が行うべきではないのか、3)預金者保護のルール作りは業界団体や証券取引所が自主ルールを作るべきで、大蔵省がいつまでもやるのは問題である。4)金融が自由化すれば自己責任原則でいくべきで、預金者側も自己責任で判断していくべきだ。「市場信用局」は賛成だが、預金者保護の名の下に大蔵支配になってしまうのは問題である。5)信用保持は重要だが、何でも大蔵省がやるのは問題であり、これらを整理すべきである。その上で、大蔵省の権限を通貨、為替管理及び市場信用秩序維持に限るべきだ、等の意見が述べられた。

・以上の意見交換を経て、市場信用秩序の維持は大蔵省の所管とするが、これを理由に金融全般に行政関与を進めることのないよう厳に慎むべきであるとの整理がなされた。

(11)その他、以下の意見交換があった。

・「国民安全省」について、「安全省」はあったほうがいいが、役所が多くなるならこだわらない。数が少ないなら作った方が国民のためにはよい、との発言があった。これに関連して、省庁の数がいくつになるのかを整理して、明日、再度議論すべきだとの意見が述べられた。

・国税庁の所属について、1)国税庁の在り方については、「卵か先か鶏が先かの関係」であって、税制の簡素化をしてから、地方税との徴収事務を一元化するため国税庁を分離すべきか、国税庁を分離して税制の簡素化を促すべきかという問題である。2)地方自治を総務省に移すのであれば、将来の徴税の一元化をにらんで国税庁(徴収事務)を総務省に移すべきではないか、等の意見が述べられた。これに対し、自治の税務局が総務省の内局にあって、外局に国税庁があるのはいかがなものか、との指摘があった。

 関連して、1)地方分権が進めば自治行政は縮小するが、今後4年間でどこまで行くのか見通しは難しい。2)本来は、税制をどう改革するかを先に議論すべきだ、自治を総務省に入れることについては、地方六団体の意向がどうなのかという問題もある。3)ネーミングの問題として、「総務・自治省」ということもあり得る、等の意見が述べられた。

以上
(文責 行政改革会議事務局)

連絡先:行政改革会議事務局  高野(電話03-3581-2641) 杉山(電話03-3581-0272)

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