−速報のため事後修正の可能性あり−
5 会議経過
(1)小里新会長代理(総務庁長官)からあいさつがあった。
(2)藤田主査から、独立行政法人、外局及び行政委員会についての論点を整理する発言があり(別紙参照)、引き続き、事務局から、討議資料(独立行政法人及び外局の制度設計等に関するもので、藤田主査の指示により事務局が作成したもの)について説明があった。また、藤田主査から、討議資料について、本来はできる限り各委員に事前に配布すべきものであるので、今回は作業の都合上会議当日の配布になってしまったが、今後はできる限り事前に配布したい旨の発言があった。
(3)独立行政法人の職員の身分問題について、以下の意見交換があった。
・ ボランティアで無給の保護司も国家公務員身分を持っているとのことだが、その国家公務員法上の位置付けはどうなっているのか、人事院の判断により、無給で身分保障もない公務員が存在し得るのであれば、国家公務員法または人事院規則の改正によって、独立行政法人に特有の新しいカテゴリーの公務員を創設することも可能なのではないかとの発言があった。これに関連し、保護司は一般職の国家公務員とされているが、国家公務員の定義中、給与については「原則として」国から給与を受けているということであり、保護司はその例外であると考えられるとの説明があり、また、1)国家公務員の定義として、「国の事務」に従事していること、「国の任命権者」により任命されていること、原則として「国から給与」を受けていることの3つが言われているが、独立行政法人では、給与の点よりも、国の事務に従事していることと国の任命権者により任命されていることの2点がより問題であろう、2)国の事務については、独立行政法人となる事務については現在国の事務であるわけで、独立行政法人とした後も「国の」事務であるものとして理解することはできないか、また、任命権者については、独立行政法人の長が職員の任命権を持つわけであるが、その長は国が任命するわけであるから、職員についても、「間接的に」国が任命しているとは言えないか、3)国の事務ということについては、かつての国鉄や電電公社等について行政法上これらの事務を広義の国の事務としてとらえてきた経緯もあるので、これについてはある程度融通性があるかもしれないが、「間接的」任命権という説明は苦しいのではないか、4)任命権については、直接の任命が必要と考えられており、国が「間接的」任命権を有するということだと、独立行政法人の長の人事権の独自性をどう確保するかという問題も生じ、「国の事務」という点も、人事院の解釈では国家機関自らが実施するものとされており、そうでないと、特殊法人の事務もこれに含まれてしまうのではないか、6)公務員の要件として言われている3点は、いずれも法律に明文で書いてあるわけではなく、長年の蓄積により確立した解釈であるというが、そうであれば、いずれも「原則として」ということにできないか、等の意見、発言があった。
・ 国家公務員法によれば、職員の採用は、競争試験によることを原則としつつも、人事院の承認があれば、競争試験以外の能力の実証に基づく試験(選考)によることができるとされているが、このように、人事院が認めれば、種々の公務員概念も可能ではないかとの意見が述べられた。これに対し、そのような例は国立大学の教授等にもあるが、人事院の承認がある場合の選考による採用は、国家公務員の採用の一方法であって、公務員の概念の問題とは次元が違うのではないかとの発言があった。
・ 独立行政法人の職員を公務員とすると労働基本権の制限の問題が生じるのではないかとの問題指摘があった。これに関連し、1)例えば、特殊法人の職員には争議権はあるが、現実には、使用者側に給与決定の当事者能力が欠けるため、結局公務員給与の水準に準拠して給与の決定を行わざるを得ず、民間の給与水準に準拠して公務員の給与が決まり、特殊法人の給与の決定が最後になってしまうのが実態である、権利としては争議権が与えられていてもその実効性がないことにならないようにする必要がある、2)国立病院の医師、看護婦などは、公務員であって争議権は制限されているが、そうであっても実質的には強い交渉力を持っているのではないか、3)実質的に強い交渉力を持っているとしても、争議行為が本来違法だとされるのではやはり問題である、4)独立行政法人は特殊法人と異なり、その長に給与決定についての裁量権も持たせるわけであるから、交渉の当事者能力は発揮できるのではないか、5)労働基本権を有していても実態として行使できないで推移してきた特殊法人の例があるので、独立行政法人の場合それとは違って実態上も労働基本権を行使できるなどと机上で説明しても、そう簡単にそれを信用できない面がある、6)制度設計においては、労働基本権の行使の実態ではなく、権利の存否という理論的な面から考えるべきではないか、等の意見、発言があった。
・ 国家公務員の給与は決して高くないし、しかも60歳定年制であって、国家公務員の組合員は、本当に民間企業でないことがよいと思っているのだろうかとの発言があった。これに関連し、1)民間の給与が国家公務員のそれより高いというが、民間にはばらつきがあり一概には言えない、2)就職の際、給与のことよりも、公のために尽くしたいという動機から公務員を選択する者もいるわけで、その気持ちは大切にすべきである、3)公のために尽くしたいという意識であれば、独立行政法人は、広義の国の事務の一部を担っているわけだから、そのことで誇りを持てるのではないか、何が何でも公務員である必要はないのではないか、4)そうはいっても、長年公務員としてやってきたのであるから、急にこれを変えろと言われても、なかなか難しいのではないか、5)いきなり民営化というのではなく、独立行政法人という位置付けであっても難しいのか、等の意見、発言があった。
・ 国家公務員法の改正はどの程度難しいのか、例えば、一般職、特別職に加えて、「独立行政職」というようなカテゴリーの職員を置き、任用等は公務員並みとし、争議権については民間並みに与えるといった法改正はできないのか、との問題提起があった。これに対し、1)労働基本権については、国営企業労働関係法によって特別に定められた例もあり、可能ではないか、2)内閣承認人事の導入その他のため、いずれにせよ国家公務員法は改正の必要性がある、3)公務員を3種類とすると、従来の公務員概念に当たらない公務員を創設することとなり、法体系の洗い直しが必要となるので、非常に大変な作業となるのではないか、等の意見、発言があった。
・ 国家公務員が特殊法人や地方自治体に出向する際のように、独立行政法人の職員となるにしても、いわば国に「本籍」を置き、国家公務員の身分を維持しながら独立行政法人の職員となることはできないかとの発言があった。これに対し、特殊法人や地方自治体に出向する場合には、退職金等の計算上出向中の期間が通算されることはあるが、出向中国家公務員の身分を有しているものではない旨の説明があった。
・ 独立行政法人を設置し、当初はその職員を公務員とするが、新規の採用は当該独立行政法人が民間人を採用することとしてはどうか、例えば郵便局でも局間の配送業務を民間委託したり、パート職員を採用したりしているのであり、公務員と非公務員が混在していても問題ないのではないかとの意見が述べられた。これに関連し、1)この案だと、現在いる職員の全員が退職して初めて完全な独立行政法人ということになることとなるし、国の機関が公務員でない者を採用してよいのかとの問題点もある、2)経過期間中の給与決定など、制度設計が複雑になるのではないか、3)経過措置であれば、複雑化はやむを得ないのではないか、4)身分の異なる者が混在することは民間では全く違和感がないが、同じように考えられないのか、5)職員の採用については法律で決まっていることなので法律改正が必要である、6)定年となる者の補充をせず、パート職員で代替して独立行政法人に移行していけばよいのではないか、7)補助的な作業はパート職員でよいとしても、基幹的な仕事をする人をパートで雇うわけにはいかないのではないか、等の意見、発言があった。
・ 「国家公務員」という肩書きが必要だと言われるが、「みなし公務員」では足りないとしても、「国家公務職員」など国や公のつくネーミングにすればそれでよいのではないかとの発言があった。
・ 事務局の説明によれば、職員の一部でも国家公務員とすると独立行政法人となしえず、また、外局を独立行政法人的に組織運営することもできないということで、結局、独立行政法人的な組織運営を行うとすれば職員に公務員身分を与えることには無理があるということになるが、他方、公務員身分を与えなければ独立行政法人化する機関がなくなる懸念がある。そうすると、結局、現在の職員は公務員とし、今後の採用については非公務員として入れ替えていくという妥協案か、当面独立行政法人化する機関がないとしても、職員を非公務員とする独立行政法人の制度を作るかの二つの選択肢しかないのではないかとの発言があった。これについて、1)前者のような制度を法的に考えられるかという問題点がある、2)独立行政法人の中に公務員と非公務員、争議権を有する職員と有しない職員が混在するということになるのではないか等の意見、発言があった。
・ NTT、JR、JT等が順次民営化したわけであり、すべての場合に労働組合が民営化を否定しているわけではない。これらの民営化の例について、どのような点がうまくいき、また、どのような難点があったかを検討する必要があるのではないか、職員には将来に対する不安もあるので、これらの転機に何があったかを勉強する必要があるのではないかとの発言があった。これに関連し、1)これらは民営化されたものであるが、独立行政法人は、民営化できないものを対象とするものではないか、独立行政法人はこの意味で新しいジャンルであり、経験がない分野であるが、民営化の経験が参考になるのか、2)独立行政法人には、民営化できないものと、民営化へのプロセスとして急激な変化を避けるために置かれるものの2種類があるのではないか、等の意見が述べられた。
・ 英国のエージェンシーでは、職員の国家公務員としての身分を維持したのではないかとの発言があった。これに関連して、1)英国では、大臣とエージェンシーの長が契約をする制度となっており、また、慣習法の国であって、国家公務員身分を維持することについての法律上の問題も生じなかったのではないか、2)英国のエージェンシー化は急激に行い過ぎたと言われており、それがブレア首相の勝因の一つとも言われている。英国のエージェンシーは功罪半ばと認識しており、官から民への移行がいかに大変かの検証をしないまま、机上の議論だけでエージェンシー化の旗を振るわけにはいかない、等の意見が述べられた。
・ 研究機関については、予算執行の弾力化等の観点から、独立行政法人化について前向きなところがあるように聞いているが、こういうところが独立行政法人化に手を挙げるのではないかとの意見が述べられた。これに対し、国立大学については困難であるが、目的がはっきりしている研究機関については独立行政法人化を望む機関もあるのではないかとの意見が述べられた。
・ 行革会議の最終報告で、独立行政法人法の法案まで作る必要があるかとの問題点の指摘があった。これに対し、1)制度設計は必要であろう、2)全部詰めるのは困難である、3)要綱だけで足りるのではないか、等の意見が述べられた。また、関連して、独立行政法人の評価システムの中に、独立行政法人化を促進する仕組みを考えておく必要があるのではないかとの意見が述べられた。
・ 以上の議論を前提として、藤田主査から、本日の議論を踏まえ、新規採用者から順次非公務員としていくということで制度設計が可能か否かについて事務局において次回までに問題点等を整理するとともに、次回は民営化された旧三公社の労働組合から話を聞き、これらに基づいて本日に引き続き議論を進めたいとの発言があり、了承された。
(4)独立行政法人の業績評価システムについて、以下の意見交換が行われた。
・ 独立行政法人は株式会社のような運用をするとされている。株式会社では株主総会でその業績がチェックされるが、独立行政法人ではこれに代わるものとして運営評価委員会がある。その意味で、公認会計士をそのメンバーとして必ず入れるようにすべきではないかとの意見が述べられた。これに関連し、1)ドイツでは監査役会の中に労働代表が入っているが、そのようなことも考える必要があるのではないか、2)ドイツの会社の監査役会の評判は必ずしもよくないのではないか、3)ドイツでは監査役会の労働代表の委員の数を半数にしたため問題が起きているのではないか、4)委員の構成、任命方法についてもっと詰めるべきである、5)所管大臣による業績評価ではお手盛り的であるとの世間の批判に応える必要がある、等の意見が述べられた。
・ 独立行政法人に対して、会計検査院による会計検査は行われるのか、また、行政監察はどうかとの質問があった。これに関連し、1)国庫からの支出があるので、会計検査は受けることになるが、行政監察は外すことになるのではないか、2)税務調査は受けるのか、特殊法人は非課税ではないか、3)総務省による第三者的な評価が必要である、4)本日の討議資料では、各省別の評価委員会に加えて総務省の評価委員会が評価を行うこととなっている、等の意見、発言があった。
・ 当初の議論では、外部評価ということが強く考えられてきた。今の制度設計では、所管大臣が独立行政法人の長を任命し、その業績評価をも行うというもので、お手盛り的であるとの批判を受けているところである。会計士を評価委員会のメンバーとするのも一方策であるが、世間からの批判を受けないためには、外部評価的な要素をもっと強くすべきではないか。総務省に評価委員会を置くというのも一方策であろうが、今の行政監察では不十分である。こうした要素を制度設計に織り込む必要があるとの意見が述べられた。これに関連し、1)業績評価も必要であるが、あまり縛り付けると、何のための独立行政法人化かということになってしまうのではないか、2)業績評価とともに、情報公開の問題もあるのではないか、3)業績評価には監査、検査といったイメージがあるが、独立行政法人化による効率化を拡大していくためには、評価のあり方としても効率化を目指す積極的な評価をすべきではないか、4)そのような評価は現在の制度設計ではどこでやるのか、5)個別の積極的な評価については、各省の評価委員会が行うのではないか、等の意見、発言があった。
(5)次回は10月1日(水)午後2時から、第2回企画・制度問題及び機構問題合同小委員会を、午後5時から第30回行政改革会議を、いずれも官邸にて開催する。合同小委員会においては、本日に引き続き独立行政法人、外局及び行政委員会についての討論を行う。また、第30回以降の会議では、順次、新たな省編成案の各省につき、中間報告に示した省の順に、機能の在り方やアウトソーシングの方策を含めて審議する(ただし、論議の進行状況によっては内閣府、総務省の関係を途中で行うこともあり得る)こととし、第30回会議においては、法務省、外務省についての検討を行う。
以上
(文責 行政改革会議事務局)
行政改革会議議事概要は、インターネット(官邸ホームページ(http://www.kantei.go.jp/)の「最近の話題」又は「審議会」の欄)及びパソコン通信ネットワーク(PC-VAN及びGサーチ)でも御覧になれます。
別紙
(平成9年9月24日 藤田宙靖委員)
一 目的
・ 1府12省のあり方の詳細(外局のあり方、垂直的減量のあり方をも含む)を検討する前提として、独立行政法人等各種機関の制度設計につき、残された点を詰めること。
二 検討対象
1.独立行政法人
2.外局(庁)
3.行政委員会
三 独立行政法人
・ 制度設計についての大方の検討は、集中審議で終わっているが、以下の二点につき、議論が持ち越しとなっている。
1.職員の身分
2.業績評価のシステムと基準のあり方
○職員の身分
・ 職員の身分については、集中審議の過程において、少なくとも原理論としては、外局の職員は公務員であるが、独立行政法人の場合には従来通りの公務員ではあり得ないことが、ほぼ理解されたものと思われるが、ただ、政策論として、これを純粋に貫くことには現実性が無いこともまた、大方の意見となっているところと見てよい。
・ こういった政策論上の対処方法として、集中審議での議論、また、後に提出された各委員の意見書の中では、
1.独立行政法人の職員は非公務員であるとの原則を貫くが、ただ、何らかの別の手を打つとするアイデア、
2.独立行政法人中に、職員の身分を公務員とするタイプのものを設ける、とのアイデア、
等が出されている。
このうち、1.の中には、「別の手」として、外局の中に、限りなく独立行政法人に近い性質を持ったタイプのものを設ける、とするもの(1−1)と、外局を選択した場合には、定員削減等の厳しい措置を行い、他方独立行政法人を選択した場合には、何らかの優遇をする等、インセンティブを与える、とするもの(1−2)がある。
また、2.の中にも、独立行政法人の中に、公務員タイプのものと非公務員タイプのものとを並列的に設けることとするもの(2−1)と、独立行政法人については、期間を限って、職員を公務員とする、というもの(2−2)、独立行政法人については、職員の身分を、従来の「公務員」概念とは異なった種類の公務員とする、というもの(2−3)等とがある。
・ これらの考え方について、その実現可能性、メリット、デメリット等の詳細の検討を、事務局に依頼(本日配付資料)。
・ その検討結果に基づき、議論をお願いしたいが、結論を出すに当たっては、いずれにせよ、以下の事項に配慮されるようお願いしたい。
1.制度設計としては、なるべく簡明なものとし、徒らに複雑化しないようにすること。
2.独立行政法人の職員の身分を、「恒久的に」公務員とするならば、従来の「公務員」の概念及びその制度のあり方につき、根本的な再検討が必要となると思われること。
○業績評価のシステムと基準の詳細
・ 業績評価システムのあり方についての最も根本的な問題は、一方で、所管省による評価制度のみを設けるならば、縦割り及び所管省の圧力の弊害のおそれが残るという問題がある反面、他方で、評価制度を多重化するならば、本来独立行政法人に期待される行動の自由が失われるおそれが生ずる、という二律背反である。
これを踏まえて、具体的にどのように考えるべきか、詳細の検討を事務局に依頼(本日配付資料)。
・ また、評価基準のあり方については、独立行政法人の事務内容により、様々に違ってくると思われるので、その詳細につき、事務局に検討を依頼(本日配付資料)。
四 外局
・ 在来の外局の中には、異なった性格と機能を持つ様々の組織が混在しており、今後はその整理が必要となることについて、集中審議の過程で承認された。
整理のあり方について、事務局に検討を依頼(本日配付資料)。
五 行政委員会
・ 我が国現行の行政組織の中では、やや異質な性格を持つ行政委員会について、今後どのような考え方をし、位置付けを行うかの根本問題があるが、最終報告を行うに当たり、当面我々が採用すべき前提につき、事務局に検討を依頼(本日配付資料)。