[運輸省に対する質問項目]

☆行政改革の趣旨に照らし、運輸省において、今後取り組むべきと考える(取り組もうとする)について
☆規制緩和の進展、インフラ整備の進捗、民間能力の向上などを踏まえ、運輸行政の今後の在り方をどう考えるか。
☆運輸行政と道路行政、交通警察など他の交通行政との関係及び組織の在り方についてどう考えるか。また、公共事業関係の組織の一元化についてどう考えるか。
☆自動車、船舶、航空機、鉄道の登録検査業務の独立機関化についてどう考えるか。
☆港湾の建設、空港の建設・管理、航空・海上管制、気象庁の民営化又は独立機関化についてどう考えるか。
☆海上保安庁の治安、保安関係行政組織への一元化についてどう考えるか。
☆船員労働行政の労働行政への一元化についてどう考えるか。
☆研究機関について、他の研究機関との統廃合を含め、組織の在り方についてどう考えるか。

運輸省説明資料(平成9年6月4日)

行政改革の趣旨に照らし、運輸省において、今後取り組むべきと考える(取り組もうとする)改革方策について

 我が国の経済社会の構造的な変化や国民のニーズの変化に的確に対応し、重点的行政課題やその達成のための行政手法、組織体制などについて、行政が自らの在り方を不断にチェックし、見直していくことは必須と認識している。
 運輸省は、これまで、交通市場の成長・成熟に対応した規制緩和の推進や、住民に身近な行政は住民に身近なところで処理するという考えに立った地方分権の推進等に努め、また、自らの行政組織の見直し、再編も逐次実施してきた。
 運輸省としては、官民の役割分担の見直しや地方分権の一層の推進等の今般の行政改革の趣旨に照らし、今後とも、規制緩和の推進をはじめとして、業務の簡素・効率化、組織・人員体制の在り方の見直し等の全般的な改革方策に一層積極的に取り組むこととしており、具体的には主として次のような改革方策を推進。

1 規制緩和への取り組み

(1) 運輸・交通行政をとりまく状況の変化
現在、我が国が置かれた困難な状況の中で、21世紀に向け経済社会の発展、国民生活の向上を図っていくため、従来からの我が国のシステム全体を変革し、新たな経済社会システムの創造を実現することが求められており、行政改革や経済構造改革の推進が焦眉の急となっている。
国民生活及び経済活動に基盤的な役割を果たす運輸・交通行政の分野においても、市場原理と自己責任原則の下に自由競争を促進し、経済活動の一層の効率化、活性化を図っていくことが期待されている。

(2) 需給調整規制の廃止
このような状況にかんがみ、運輸省は、昨年12月、従来の運輸行政の転換を行い、交通事業行政の基本的手法であった人流・物流の各分野における需給調整規制を原則として目標期限を定めて廃止することを決定。
また、これを具体化するために、本年3月末には、閣議決定「規制緩和推進計画の再改定について」において、各分野に係る需給調整規制の廃止を盛り込むとともに、そのための手順、スケジュール等を明記したところ。
 需給調整規制の廃止により、自由競争の促進による事業活動の効率化・活性化を通じたサービスの向上・多様化、運賃料金の低廉化・多様化等の効果が期待されるが、一方で、これは従来の運輸行政を抜本的に見直すものであり、関係者等に与える影響が大きいことから、この需給調整規制の廃止に際しては、地方生活路線の維持方策、交通サービスの安全性確保、利用者の利益と利便の確保等の施策を確立するとともに、実態に即した中小零細企業対策等の措置が必要。
このため、本年4月に、運輸政策審議会に諮問し、需給調整の廃止に伴い必要な措置について、概ね1年後を目途に答申を得ることとしている。
このような人流・物流の各分野における需給調整規制の廃止は、市場原理と自己責任原則の下に、利用者ニーズに対応した選択の幅の拡大、運賃負担の軽減等による国民生活の質の向上や、事業機会の拡大、国民負担の軽減等を実現することを目的とするものであることから、今後は、上記の規制緩和推進計画の早期達成に全力を挙げて取り組む。

(3) 全般的な規制の見直し
 需給調整規制以外の規制についても、経済社会の活性化、国民負担の軽減等の観点から、今後とも、積極的に全般的な見直しを図る。
運輸省としては、平成5年4月に事務次官を本部長とする許認可事務等改革推進本部を設置し、平成8年3月末までに、既に許認可等件数を 1,966件から 1,573件へと20%削減したところ。

(補足資料)今後の運輸行政における需給調整の取扱いについて
 我が国における交通運輸市場が成熟段階に達しつつあること、行政改革・経済構造改革が焦眉の急であること等に鑑み、自由競争の促進により交通運輸の分野における経済活動の一層の効率化、活性化を図る必要がある。
 そのため、従来の運輸行政の転換を行い、その根幹を為してきた需給調整規制を下記のとおり抜本的に見直すこととする。
1.基本方針
1)人流・物流の全事業分野において、原則として、目標期限を定めて需給調整規制を廃止する。
2)そのための環境又は条件を整備するとともに、利用者保護、安全確保等の観点から、必要な措置を講ずる。
2.主な事業分野の対応例
1)国内航空
○国内旅客及び貨物は需給調整規制の廃止
○空港制約のある空港間路線は透明性のある公正な発着枠配分ルールの設定
○生活路線の維持方策の確立が必要
2)鉄道
○需給調整規制の廃止(貨物鉄道はJR貨物の完全民営化後)
3)タクシー
○串里給調整基準を段階的に緩和し、将乗的に需給調整規制の廃止
○運転者の資格要件の整備、事業者の適切な連行管理等の確保が必要
 4)バス
  ○貸切バスは需給調整規制の廃止
○乗合バスは生活路線の維持万策の確立が必要
5)港運
  ○港湾の安定運営確保方策の確立が必要
6)内航
  ○船腹調整事業の解消を前倒しの方向で検討
7)旅客船
  ○生活航路の維持万策の確立が必要
3.需給調整規制廃止の目標期限
○おおむね3ないし5年後
 4.需給調整規制廃止に伴う運賃規制緩和
○消費者保護の観点から必要な場合は認可制を維持しつつ一層の弾力化(上限・価格制への・移行等)
○貸切バス、貨物鉄道等は認可制から届出へ移行
  (注)タクシーは、平成9年度からゾーン運賃制に移行
5.これまでの取組み
1)平成9年3月28日に閣議決定された「規制緩和推進計画の再改定について」において、需給調整規制の廃止の万針及びこれに向けた手順、スケジュール等を明記
2)需給調整規制廃止に向けて必要となる生活路線の維持、安全の確保、消費者の保護等の環境整備方策等について、平成9年4月9日に運輸政策審議会に諮問し、原則として、概ね1年後を目途に答申を得る予定

(補足資料)運輸省の規制緩和の取組みについて
  平成7年3月31日「規制緩和推進計画について」(閣議決定)
○政府全体で1,091事項の規制緩和措置を決定。運輸省では219事項
  平成8年3月29日「規制緩和推進計画の改定について」(閣議決定)
   ○86事項を追加
   〇運輸省関係事項 305事項
  平成8年12月5日「今後の運輸行政における需給調整の取扱について」(運輸省許認可事務等改革推進本部決定)
○人流・物流の全事業分野において、原則として目標期限を定めて需給調整規制を廃止する。
○そのための環境又は条件を整備するとともに、利用者保護、安全確保等の観点から、必要な措置を講ずる。
  平成8年12月16日「規制緩和の推進に関する意見」(行政改革委員会)
   〇国内航空、貸切バス、乗合バス、タクシーの需給調整規制の廃止、運賃規制の緩和、
   ○鉄道の需給調整規制の廃止、貨物鉄道の運賃規制の緩和、筆を提言
  平成9年3月28日「規制緩和推進計画の再改定について」(閣議決定)
   ○需給調整規制の廃止、運賃規制の緩和等、112事項の追加等により、運輸省関係事項419事項

(参考)
・許認可等件数については、平成5年度以降、政府全体では0.4%増加しているが、運輸省関係では20%(393件)を削減し、1,573件(平成8年3月末現在)となっている。
・規制緩和推進計画の推進状況 228事項を措置済(平成9年3月末現在)

2.財政構造改革への取り組み

(1) 公的資金の効率的配分の要請の高まり
 昨今、交通インフラの整備が地域・分野によっては相当程度進捗する一方、国・地方の財政が逼迫しつつあることから、公的資金の効率的配分の要請が高まっている。

(2) 重点的・効率的な交通インフラ整備の推進
このような状況にかんがみ、運輸省としては、交通インフラ整備の分野において重点的・効率的な推進を図ることとし、他方、緊急性、投資効率等において優先度の低いものについては、事業実施箇所数の削減、新規着工の抑制、計画策定・事業採択に当たっての費用対効果分析の徹底等を図ることとしている。
 具体的には、各分野について次のような考え方に基づいて、財政構造改革の観点から、投資の重点化・効率化を図る。

1)空港については、東アジア地域における国際ハブ空港整備に遅れをとることなく我が国の国際的地歩を確保するための国際ハブ空港など大都市圏拠点空港の整備を最優先課題として推進。
また、一般空港等について継続事業を中心として整備を進めるとともに、需要への対応を基本としつつ、既存空港の高質化等所要の整備を図る。

2)港湾については、東アジア地域における国際ハブ港湾整備に遅れをとることとなく我が国の国際的地歩の確保を図るための国際海上コンテナターミナルの整備を推進するとともに、災害に強い港湾システムの構築、廃棄物海面処分場の整備等の施策に重点的に投資。
また、平成8年度に港湾整備緊急措置法を改正し、投資の重点化を図るべきことを法律に明記するとともに、過去3年間で地方港湾の事業実施港数を 100港削減する等の措置を既に講じてきているところ。

3)鉄道については、国土の均衡ある発展と地域の活性化を図るための高速鉄道ネットワークの整備・高度化、通勤混雑を緩和し都市機能を増進するための都市鉄道の整備等について、特に重点的に取り組む。

3.組織・定員の見直し
 行政組織・定員の在り方については、我が国の経済社会の構造的な変化や国民のニーズの変化に対応して、これまで適時適切に見直しを行ってきたところであり、今後とも不断に検討していくことが必要と認識。
このような観点から、運輸省は、最近においても、昭和59年度と平成3年度の2度にわたり、抜本的な組織改正を実施。
また、地方出先機関について、地方海運局と地方陸運局を統合して地方運輸局を設置することにより9のブロック機関を削減するなど、昭和59年度以降、99ヶ所を廃止。
定員については、昭和43年以降9次にわたる定員削減計画において、平成9年度までに11,214人の削減を実施。
また、部門別定員構成率を昭和53年度と平成9年度で比較すると、航空関係が14.2%から18.4%に、海上保安関係が30.3%から32.4%に増加するなど、行政需要の変化を反映した効率的な定員配置を実施。

運輸省説明資料(平成9年6月4日)

規制緩和の進展、インフラ整備の進捗、民間能力の向上などを踏まえ、運輸行政の今後の在り方をどう考えるか。

1 将来にわたる「交通」サービス確保の必要性
 人の移動・交流及び物の輸送・流通を支える「交通」は、将来にわたって、国民生活と経済活動に必要不可欠な基盤。
このため、「国民に安全、円滑かつ効率的な交通サービスが提供されることを確保する」ことは、今後とも、国に求められる重要な使命。

2 「交通」をとりまく大きな状況変化
 従来、運輸行政は、交通事業者の育成・監督という行政手法により、国民に安全、円滑かつ効率的な交通サービスを提供できる交通システムの構築に努めてきた。
 また、交通インフラの整備については、従来、全国的に整備水準が絶対的に低いという状況のもとで、空港、港湾、鉄道といった各交通モード別に、全面的に整備を進めてきた。
今日、分野により跛行性はあるものの、交通市場は成長・成熟し、また、交通インフラの整備も地域・分野によっては相当程度進捗する一方、利用者ニーズはより多様化・高度化しつつある。
 他方、国・地方の財政が逼迫しつつあることから公的資金の効率的配分の要請が高まるとともに、大競争時代の到来に対応した物流コストの低減、地球環境問題に対応した環境負荷の低減、高齢化社会への対応などが今日的課題となっている。
また、交通サービスの安全性の確保については、今後ともその重要性に変わりはないが、安全基準や安全確保対策の在り方については、技術の進歩等に応じた不断の見直しが求められている。

3 時代の変化に対応した今後の運輸・交通行政の手法と課題

(1) 行政手法の転換
 「交通」をとりまくこのような状況の変化に対応して、今般、運輸行政においては、従来の交通事業行政の基本的手法であった需給調整規制を原則として廃止し、市場原理と自己責任原則の徹底を基本として、今後の行政展開を図ることとした。
 これにより、今後は、交通事業者の新規参入やより自由な価格競争の促進、事業活動の効率化・活性化を図り、交通サービスの利便性向上・多様化や価格(運賃)の低廉化・多様化等を実現することにより、国民に安全、円滑かつ効率的な交通サービスの提供を確保する。

(2) 今後の主要な行政課題
1)このような行政手法の転換により、今後は、先ず、市場原理を中心に据えこれを十分に機能させることによって公正で活発な競争を促進するための施策として、公正な競争の基盤となる市場環境の整備、国民の自由な選択を保障するための様々な情報の開示の積極的促進や、新たな交通サービスの創出を促進するための施策などを実施。
これとともに、地方生活路線の維持など市場原理を徹底することに伴い一層的確な対応が求められる課題への取り組み、都市圏における交通混雑の緩和や高齢者の移動の円滑化対策、運賃の高騰防止等のための必要な措置など市場原理の活用のみでは適切な対応を期しがたい分野・課題における利用者利便の向上・消費者利益の確保対策を推進。
2)交通サービスの安全性確保は、運輸・交通行政の最も基本的な課題であり、今後とも万全の取り組みを図ることとするが、安全基準や安全確保対策の在り方については、技術の進歩等に的確に対応して合理化。
3)また、アジアの玄関として競争的環境下にあり我が国の国際的地歩を確保するためにも不可欠な国際ハブ空港・港湾や、国内における競争促進施策の基盤となる大都市圏拠点空港、高速鉄道ネットワーク等の整備など交通インフラの整備については、多様化・高度化する利用者ニーズに対応しつつ、限られた財源の中で重点的・効率的にその整備を推進。
4)国際的な相互依存関係が急速に強まっている状況の中で、航空、海運等の交通事業の国際コスト対応を促進し、また、利用者ニーズに対応した安定的国際交通ネットワークを確保するための多国間・二国間の国際的枠組みづくり、政策協調、国際的紛争解決・調整などを推進。
5)以上のような市場原理の徹底・補完とそのための前提・環境条件の整備に関する諸課題に加え、地球環境問題に対応した環境負荷の低減対策等の今日的課題についても重点的に取り組む。

(補足資料)交通インフラの整備
1.交通インフラ整備についての考え方
  我が国の国民経済の健全な発展と国民生活の向上を図り、かつ、国際社会に一定の地位を確保していくためには、交通、産業等の諸活動を支える基盤としての交通インフラの整備が不可欠である。
  特に、増大する航空・海上輸送需要に対応し、東アジア地域における国際的な競争に遅れることなく、国際航空・海運ネットワークの拠点となる国際ハブ空港・港湾の整備を重点課題として進めるとともに、国内における競争促進施策の基盤となる大都市圏拠点空港等の整備に重点的に取り組むことが不可欠である。
  また、鉄道についても、国土の均衡ある発展等を図るための高速鉄道ネットワークの整備・高度化、通勤混雑緩和のための都市鉄道の整備等について重点的に載り組む必要がある。
2.空港・港湾整備五箇年計画における重点課題
1)空港整備五箇年計画における重点課題
 ○大都市圏における拠点空港の整備を最は先課題として推進
  ※新東京国際空港の並行滑走路等及び東京国際空港の沖合展開の完成
  ※関西国際空港の2期事業
  ※中部圏における新たな拠点空港の調査検討・事業推進
  ※首都圏における新たな拠点空港の調査検討
 ○一般空港等について継続事業を中心として整備を進めるとともに、需要への対応を基本としつつ、既存空港の高質化等所要の整備を図る。
2)港湾整備五箇年計画における重点課題
 ○国際競争力を有する物流ネットワークの形成
  ※国際海運ネットワークにおける拠点形成
  ※複合一貫輸送等に対応した国内物流基盤の充実
 〇信頼性の高い空間の創造
  ※災害に強い港湾システムの構築
  ※海上交通の安定性の向上
 ○活力に満ちた地域づくりの推進
  ※地域の活力を支える豊かな港湾空間の整備
  ※良好な港湾環境の形成

(補足資料)運輸関係公共事業の予算額の推移
(金額:億円)
 7年度予算額7年度予算額(伸び率)7年度予算額(伸び率)
海岸402414 (3.0%)414 (0.1%)
港湾
うち特定重要港湾
3,567
743
3,638 (2.0%)
813 (9.4%)
3,631(-0.2%)
898(10.5%)
空港1,3181,414 (7.3%)1,538 (8.8%)
都市・幹線鉄道667703 (5.5%)719 (2.3%)
整備新幹線269305(13.4%)340(11.6%)
航路標識7980 (0.6%)78 (-2.5%)
6,3016,554(4.0%)6,720 (2.5%)

(補足資料)運輸行政における国際的課題への取組み例
1 多国間政策調整・協力
 ・APEC(アジア・太平洋経済協力)による貿易 投資の自由化・円滑化及び経済・技術協力の推進、特に、APEC運輸大臣会合における積極的貢献
 ・WT0(世界貿易機関)における運輸サービスの自由化の推進
 ・東アジア運輸フォーラム(次官級会合)によるハイレベルな政策調整
 ・マラッカ・シンガポール海峡における航行安全及び海洋環境保全対策
 ・OECD(経済協力開発機構)における規制改革、多国間投資協定の策定等への対応
 ・ESCAP(国連アジア太平洋経済社会委員会)を通じたインフラ整備への協力
 ・PCMT(欧州運輸大臣会合)におけるインフラ整備、交通弱者軸策等への対応
2.二国間運輸関係への対応
 ・ハイレベルな政策対』話(米、EU、豪、加とは年次定期協議。96年は10カ国と実施。)
 ・二国間運輸摩擦への対応(日米航空交渉・海運協議、港湾運送問題等)
 ・諸外国への要求(米に対するOECD造船協定の批准要求等)
 ・諸外国からの規制緩和要望への対応(在日米・EU商工会議所との運輸フォーラム等)
 ・二国間の運輸協力の推進(日米運輸技術協力等.日虫鉄道協力〕相互認証協力等)
3.開発途上国への国際協力
 ・経済発展に不可欠な運輸インフラの整備(鉄道、港湾、空港等)
 ・安全で効率的な運輸サービス提供体制の管理・運営のための人材育成(専門家派遣、研修生受入れ)
 ・地球環境、都市交通、物流問題への対応(気象観測支援、交通計画や法制度の整備支援)
 ・観光開発の促進(国別開発方針調査)

(補足資料)運輸行政における環境問題への取組み例
1.地球環境間題に対する取組み
(1)地球温暖化封策
 地球環境保全に関する関係閣僚会議において策定された地球温暖化防止行動計画に基づき、1)ガソリン乗用車及びガソリン軽・中量トラックの燃費の改善を推進する等の自動車単体対策、2)旅客輸送において公共交通機関の利用を促進するとともに、貨物輸送においてトラックから鉄道・海運へのモーダルシフトを推進する筆の環境への負荷の少ない交通体系の形成、3)世界気象機関(WMO)等と連携して、地球温暖化に関する観測・監視及び予測技術の高度化等の研究を実施。
(2)海洋汚染対策
  船舶等に母する油等の排出規制及び海洋汚染防止設備の設置の義務付け等を行う     とともに、海洋汚染の観測・監視 取締り、海洋環境の保全指導及び海洋汚染の防止のための研究開発を実施。また、油流出事故等の海上災害への対応体制を整備。
(3)その他、オゾン層の状況等の観測、研究を実施。
2.地域的環境問題に対する取組み
(1)大気汚染対策
  自動車排出ガス規制の段階的強化、加えて「N0x 法」に基づく、トラック、バス等に対する使用車種規制の実施、低公害車の普及促進。共同輸配送及び情報化の推進、物流拠点の整備等による自動車使用の合理化を実施。また、航空法の改正により航空機に排出ガス規制を導入。
(2)騒音対策
  自動車騒音対策として、新車の加速走行騒音規制の規制強化、使用過程車に対する近接排気騒音規制の導入、輸送の効率化による走行量の削減等を実施。
  航空機騒音対策として、低騒音型機の導入等の発生源対策とともに、学校・住宅等の防音工事、緩衝緑地帯整備等の空港周辺環境対策を実施。
  新幹線騒音対策として、住宅の密集度合の高い所から騒音を75デシベル以下とするため、最も基本的な施策である音源稗策の実施について、JR各社を指導。
3.公共事業における環境の保全と創造に対する取組み
(1)環境の創造
  港湾・海岸整備において、「環境と共生する港湾(エコポート)」及び「自然と共生する海岸(エコ・コースト)」の形成を推進するとともに、空港整備において、「空港に親しむ親水緑地(エア・フロント・オアシス)」の整備を推進。
(2)環境影響韓評価の実施
  新幹線の建設、空港の整備及び公有水面の埋立について、昭和59年の閣議決定「環境影響評価の実施について」等に基づき、適切に実施。

(補足資料)モーダルシフト施策の推進
 運輸省においては、幹線貨物輸送について、トラックから大量輸送機関である鉄道または海運へ転換(モーダルシフト)し、トラックとの複合一貫輸送を推進している。
 具体的には、トラックの持つ戸口までの輸送機能と鉄道、海運の大量性、低廉性という輸送特性とを組み合わせ、ドア・ツー・ドアでの輸送を完結しようとするものであり、これによって輸送の効率化、低廉化を図るものである。

運輸省説明資料(平成9年6月4日)

運輸行政と道路行政、交通警察など他の交通行政との関係及び組織の在り方についてどう考えるか。また、公共事業関係の組織の一元化についてどう考えるか。

1 運輸・交通行政の的確な遂行方法と組織体制の在り方について

(1) 運輸・交通行政は、ハード面とソフト面の一体性確保が必要不可欠
運輸・交通行政の行政対象は、ハード(空港、港湾、鉄道施設等の交通インフラ)とソフト(組織・要員・ノウハウ等の総体としての交通事業者の事業運営等)からなる「交通システム」であり、このシステムは、ハードとソフトが斉合し有機的に連携することにより、はじめて有効に機能するもの。
すなわち、空港、港湾、鉄道施設等の交通インフラが整備されなければ、航空、海運、鉄道等の交通サービスは提供できない。逆に、利用者のいない或いは事業運営の用に供されない交通インフラが整備されても、全くの無駄。
 また、交通インフラの整備の適否を判断するに当たっては、それを利用する利用者ないしは交通事業の観点からのチェックが不可欠であり、一方、交通事業の競争促進施策を推進していくに当たっては、交通インフラの整備水準がその重要な規定要件となる。
特に、社会資本整備に係る公的資金の効率的配分の要請が高まっている状況のもとでは、交通インフラの整備を、多様化・高度化する利用者ニーズに対応しつつ、効率的に進める必要がある。
 そのためには、まず、陸・海・空の各交通モードごとに、交通インフラの整備に当たり、利用者、交通事業の観点から、その利便性、採算性、安全性を厳しくチェックする等により重点化・効率化を推進するなど、ハード面・ソフト面が一体となった施策を推進することが必要。
このため、運輸・交通行政においては、これを遂行する組織体制についても、ハード面の施策(交通インフラの整備)とソフト面の施策(利用者利便の確保、安全確保、環境対策等)を一体的に遂行し得る組織体制を確保することが、安全、円滑かつ効率的な交通サービスの提供の確保を図るうえで、必要不可欠。

(2) 運輸・交通行政におけるモード横断的な総合性について
 また、運輸・交通行政においては、例えば、空港・港湾とアクセス鉄道・道路の一体的整備など、交通モード相互の連携をより総合的に推進するとともに、幹線交通の分野における空港、鉄道、高速道路など交通モード間の役割分担を考慮した選択的・重点的な公的資金の配分により、効率的な国内交通ネットワークの構築を推進するなど、陸・海・空にわたるモード横断的な総合的施策の検討が求められている。
 さらに、このような交通インフラの整備というハード面における適切な施策が求められているだけでなく、ハード・ソフト両面の施策が一体となり、かつ、モード横断的な対応が求められる課題として、物流コストの低減や環境負荷の低減の観点からの物流の道路輸送から鉄道・海上輸送へのシフトの誘導(「モーダルシフト施策」)や、都市圏における道路交通混雑緩和のための人流の公共交通機関へのシフトの誘導といった課題が重要性を増している。
 このため、現在、「マルチモーダル推進協議会」、「渋滞対策協議会」、「公共事業の実施に関する連絡会議」等の場を通じて、運輸行政と道路行政、交通警察など他の交通行政との連携を図っているところ。

(3) 「運輸行政と道路行政、交通警察など他の交通行政との関係及び組織の在り方」について
 主要先進国においては、道路整備・管理行政が運輸行政と同一の行政組織で所管されていることが通例であり、全体的な省庁再編の在り方についてのひとつの参考になるが、他方、我が国においては、これまでこれらの行政が別々の行政組織で所管されてきた現実と、上述のとおり関係省庁間の連携により適切な対応が図られてきたことも評価する必要がある。
 いずれにせよ、交通行政の組織の在り方については、全体的な省庁再編の在り方が検討される中での高度の総合的判断が必要。

2 公共事業関係組織の一元化について
 現在の公共事業関係組織は、住宅・都市づくり等や食糧供給・農村整備、交通サービス確保といった国民生活、経済活動の基盤整備を各々行政目的としており、その達成のための手段として公共事業を実施しているもの。
 現在、「公共事業」に着目して、その関係組織を「大括り」すべきではないかとの議論があるが、それによって公的資金の効率的配分や重複投資の排除を図るとの問題意識は重要なものであり、また、この問題が公共事業関係組織の在り方とも関連するものであることは否定できない。
 しかしながら、公共事業関係組織の一元化が必ずしも公的資金の効率的配分等に直結するものとはいえず、結局、公的資金の効率的配分等の課題は、より基本的には、上述したような行政目的についての国民経済社会的な評価、及び行政目的を達成するための各公共事業の優先順位の決定や費用対効果分析等が、公的資金の配分等の決定過程で的確に行われることにより解決されるべきものと考える。
 また、公共事業関係組織の一元化については、組織論としても、次のような慎重な検討を要する点が存することに十分留意する必要がある。
1)一口に公共事業といっても、整備されるインフラの性格・社会経済的機能は多岐にわたっており、各インフラは、各々の行政目的の達成の必要性に応じてその整備が進められるべきもの。
  「公共事業」に着目して関係組織が一元化された場合には、このような各インフラの性格・機能やその整備の効果についての評価・判断を離れて、「公共事業」自体が行政目的化し、インフラ整備が独行して自己目的化するおそれもなしとしないのではないか。
2)一元化により過度の大組織となる場合には、却って行政の機動性が損なわれる等の弊害を招くおそれがあるのではないか。
  したがって、公共事業関係組織の一元化については、各公共事業関係組織が担っている行政目的の相互の関係、各々の行政目的の達成のために各公共事業が有している意味等を踏まえた慎重な判断が必要と考える。

3 運輸行政と他の行政との関係について
 運輸行政と他の行政との関係及び組織の在り方を検討するに当たっては、標記質問の「運輸行政と道路行政等との関係」或いは「公共事業組織の一元化」の観点からの検討は重要な論点と認識しているが、全体的な省庁再編の在り方の検討に当たって運輸行政を他の行政との関係でどのようにとらえ、位置付けるかについては、これらの観点とは異なる観点から検討を要する論点も存するものと考える。

(補足資料)諸外国における交通分野を所掌する省庁の所掌範囲一覧
 海上運送鉄道自動車交通航空運送港湾道路整備・管理路交通規制・管制
アメリカ(運輸省)(運輸省)(運輸省)(運輸省)(運輸省)(運輸省)地方自治体
イギリス(運輸省)(運輸省)(運輸省)(運輸省)(運輸省)(運輸省)(運輸省)
ドイツ (交通省)(交通省)(交通省)(交通省)州政府(交通省)(交通省)
フランス内務省
ニュージーランド(運輸省)(運輸省)(運輸省)(運輸省)地方自治体 (運輸省)内務庁
カナダ (運輸省)(運輸省)(運輸省)(運輸省)(運輸省)地方自治体地方自治体
日本(運輸省)(運輸省)(運輸省)(運輸省)(運輸省)建設省警察庁
※(設備・住宅・運輸・空間省)

運輸省説明資料(平成9年6月4日)

自動車、船舶、航空機、鉄道の登録検査業務の独立機関化についてどう考えるか。

1 独立機関化の検討に当たっては、その前提として、制度の内容等の明確化が不可欠
 独立機関化については、それにより行政分野によっては行政ニーズへの柔軟な対応や効率的な組織運営が可能となる等のメリットが期待できるとすれば、行政組織の在り方の検討に際しての考え方のひとつと理解しているが、制度の内容等について不明な点が多いことから、現段階では、一概にその適否を論じられない。
今後、独立機関化の検討を進めるに当たって、明確化が必要な主な点は以下のとおりである。

(1) 制度の内容
1)独立機関の特質
・効率化目標・業務計画等が設定されるとすればその具体的手法
・所管省庁の関与の内容・程度
・各種施設等の財産の扱い
・中・長期的な組織の位置づけ  等
2)予算等
・人件費等の財源、シーリング
・節約に伴うインセンティブ
・財政当局の関与の内容・程度
・サービス提供料金等の決定システム、税制上の扱い  等
3)組織、定員、給与
・組織や定員の管理、給与体系
・人事・財政当局の関与の内容・程度  等
4)職員の身分、人事制度、労働法上の権利
・国家公務員か否か
・人事・任用、所管省庁との人事交流
・年金、退職金
・労働三権の扱い  等
5)長の任用、責任、評価、権限
・長の任用方法・任期、所管大臣との責任分担、業績評価システム、内部管理等に関する権限等

(2) 現在の外局、現業部門や特殊法人との差異
・これらの機関と独立機関の全体的な組織の位置づけ、国との関係  等

2 独立機関の制度・内容を明確にした上で、運輸省関係の登録検査業務については、ひとたび事故が発生した場合に人命・財産や環境に与える被害の甚大さ等に鑑み、以下の観点からの慎重な検討が必要

(1) 政策の企画立案調整機能と独立機関が行うとされる実施機能とは相互依存関係にあり、安全確保等の観点から密接な連携が不可欠。
・例えば、自動車については、車検時の不具合の判明状況等の現場の情報を基準の策定やリコール制度にフィードバックすること等によって、行政ニーズに迅速かつ的確に対応した制度や基準の改善が可能。
  独立機関化の検討に当たっては、このような相互依存関係にある企画立案調整機能と登録検査の実施機能とが分離された場合に安全施策等の的確な実施に支障を来さないか検討が必要。
  このような観点は、他の船舶、航空機、鉄道等の交通モードについても共通。
・なお、船舶については、国際海事機関における安全基準の策定を実質的に我が国がリードしており、我が国の安全基準策定に係る企画立案能力が低下する場合には、それが世界の海上安全に影響を及ぼしかねないことにも留意することが必要。このような留意は他の交通モードについても必要。

(2) 安全性の確保や公害の防止については、国が基本的な責務を有するべきであり、登録検査業務を独立機関に行わせるとした場合には、独立機関に対する国費補填・補助又は予算・定員等に厳しい制約が課されるとすると、このような国の責務の遂行に支障が生じるおそれがないか検討が必要。
・独立機関化の検討に当たっては、効率化の観点から独立機関に対する国費補填・補助又は予算・定員等に厳しい制約が課される場合には、限られた予算等のために、効率化の名の下で、安全性やサービスの低下等を招くことがないか検討が必要。特に、鉄道、船舶、航空機については、安全性の確保等に責任を有する国がコストの大半を負担してきた点に十分留意することが必要。
・鉄道、船舶、航空機については検査件数が少なく、採算がとれないことから、独立機関化の検討に当たって、その採算性の改善・確保を図ろうとすれば手数料の大幅な値上げ等が必要となるため、負担増についての利用者の理解を得られるか検討が必要。

(3) 検査業務については、安全・公害上の問題が生じないよう的確に実施されることが求められるとともに、不合格とされた対象車両等が運行できなくなるという意味で公権力の行使の側面を有するため、その実施については厳正かつ公平中立であることが不可欠。
・検査業務については、専門的な知識及び経験が必要であり、かつ、基準を理解した上で、改造車両や受注生産機器等の多様な検査対象についての臨機の判断が求められる。
・また、検査で不合格とされた場合には、検査対象車両等を運行することができなくなり、国民の生活・事業活動に大きな影響を与えることになる。
・したがって、独立機関化の検討に当たっては、検査の厳正かつ公平中立な実施について支障が生じることがないか検討が必要。

(4) 事故や環境汚染等の事態が生じた場合の所管大臣と独立機関の長との間の責任の所在の明確化が不可欠であり、責任分担の在り方についての検討が必要。
・例えば、船舶、航空機、鉄道、バス等の事故は、ひとたび発生すると多数の人命を損なう大惨事や環境に甚大な被害を与える災害になりかねないことから、その行政責任の所在は明確にしておくことが不可欠であり、独立機関化の検討に当たっては、所管大臣と独立機関の長との間で責任の所在が曖昧とならないか検討が必要。

(補足資料)各種検査制度の概要

1.自動車検査の概要
1)検査の意義
  自動車について、種別・諸元の確定やその変更確認、安全・環境に係る基準適合性の判定を行うための検査。併せて重量税の徴収などを実施。
2)主な検査の種類
・新規検査……新たに自動車を連行の用に供するときに受ける検査
(有効期間:自家用車3年、バス・タクシー・トラック等1年など)
・継続検査……検査証の有効期間を更新するときに受ける検査
(有効期間=自家用車2年、バス・タクシー・トラック等1年など)
3)検査件数  ・約2,900万件(平成7年度)
4)職員数(平成8年度末定員)           3,096人
  うち検査関係                 1,046人
    その他(管理関係、登録関係、重量税関係、指定整備関係等) 2,050人

2.船舶検査制度の概要
1)検査の意義
  船舶について、国際条約に基づき、人命の安全及び海洋環境の保全に係る基準適合性の判定を行うための検査
2)主な検査の種類
○定期的検査
・定期検査……初めて航行の用に供するとき及び船舶検査証書の有効期間が満了するときに行う検査(検査周期4年)
・中間検査……定期検査と定期検査の間に行う検査
○臨時検査………安全性に影響を及ぼす改造修理を行うとき、海難により重大な損傷を受けたとき等に行う検査
※ 検査間隔の延長(定期検査について4・5年)に係る法案を審議中
3)検査件数 約8,000件(平成7年度の定期的検査)
4)職員数 222人(平成9年度初の船舶検査官定員)
(注)検査の際に適用する基準は、船舶の種類(旅客船、油タンカー、コンテナ船、危険物ばら横船、LNG船等)、搭載される貨物の種類や性状、航行区域、トン数・長さ、旅客等の定員等の違いにより定められた国際条約に基づくもの

3.航空機検査制度の概要
1)検査の意義
  航空機について、安全・騒音・環境に係る基準適合性の判定を行うための検査。
2)主な検査の種類
 ・耐空証明検査……個々の航空磯について行われる設計、製造過程、現状に関する検査。(有効期間1年。航空運送事業者の使用する航空礎については、整備規程に従った整備がなされる間は有効。)
 ・型式証明検査……航空機の量産を行う場合の原型肺空礎についての設計に関する検査。(同型礎の耐空証明検査においては、設計、製造過程に関する検査は省略。)
 ・修理改造検査……一定の修理又は改造後の航空機について行う検査。
 ※ 平成9年10月から、型式証明を受けた型式の航空機等については、製造、整備等の能力について運輸大臣の認定を受けた事業場が、製造、整備等を行い基準適合性を確認した場合には国の実地検査が省略可能。
3)検査件数 約2,000件(平成7年度の耐空証明検査)
4)職員数   50人(平成8年度末の航空機検査官定員)

4.鉄道施設検査制度の概要
1)検査の意義
  線路、橋りょう、信号等の鉄道施設について、認可した工事計画及び安全に係る技術基準に適合しているか否かの判定を施設の供用開始に先立って行うための検査
2)主な検査の種類
 ・鉄道施設の工事の完成検査………新線が開業するときに実施する鉄道施設全般に関する検査
 ・鉄道施設変更の工事の完成検査………開業後の鉄道施設において一定規模以上の改良工事が行われたときに実施する検査
3)検査件数 約200件(平成7年度)
4)職員数
検査官のように、検査を専門とする職員はいない。検査の都度、鉄道技術行政に従事する職員の中から検査員を指名している。
  鉄道技術行政全般に従事する職員 213人(平成8年度末定員)
 注1 工事施行認可、鉄道施殺の変更認可においては、事業基本計画及び普通鉄道構造規則等の技術基準との適合性について審査を行う。
 注2 検査においては、工事計画及び轡遼鉄道構造規則等の技術基準との適合性について実地に検査を行う。

運輸省説明資料(平成9年6月4日)

港湾の建設、空港の建設・管理、航空・海上管制、気象庁の民営化又は独立機関化についてどう考えるか。

前問に対する回答1.で述べたとおり、独立機関化の検討に当たっては、その前提として制度の内容等の明確化が不可欠であるが、これらについて不明な点が多い。したがって、現段階では一概にはその適否を論じられないが、各分野ごとの民営化又は独立機関化についての検討に際しての考え方は以下のとおりである。

1 港湾の建設、空港の建設・管理について

(1) 港湾・空港の整備についての国の責務
・港湾・空港は、我が国の国民生活・経済活動を支えていくために不可欠な公共財(交通ネットワークを形成するもの)であり、そのうち、国際貿易や主要な国内海上交通の確保のために必要な港湾や国際航空路線及び主要な国内航空路線に必要な空港の整備については、国が基本的な責務を有すべきことから、これらの港湾・空港の整備を行う組織の在り方についても、このような国の責務を的確に果たし得るものであることが必要。

(2) 膨大な投資が必要であり、採算性が確保できないことから、民営化は困難
・膨大な投資が必要である一方、徴収可能な受益者負担のみで施設整備コストに見合う資金を確保することは不可能。
・また、採算性確保のため、新規投資や安全・防災・環境対策等に対する投資が抑制され、又は、高額の施設使用料等の徴収が必要となるなど、利用者に対するサービス・安全性の低下のおそれあり。
・したがって、港湾、空港の建設を市場メカニズムに委ねることとなる民営化は困難。
・また、空港を管理することによって徴収している空港使用料を全国の航空ネットワークの形成に必要な整備費用に充てている我が国の現状においては、空港の管理を民営化することは困難。
・なお、民間で供給可能な港湾・空港の諸施設については、既に民間を活用している。例えば、港湾・空港の専用コンテナターミナル、旅客ターミナル、倉庫等について、公益法人、3セク、民間事業者が分担して整備している。

(3) 港湾の建設、空港の建設・管理の独立機関化については以下の観点からの慎重な検討が必要
1)港湾、航空に係る他の行政分野との総合的取組み及び企画立案調整機能と実施機能との密接な連携が不可欠。
・港湾の整備は、港湾行政のみならず、海上交通、船舶、船員、海上保安行政等の他の海事行政と密接に関連しており、また、空港の整備についても、航空保安、航空機安全、航空事業等の他の航空行政と密接に関連していることから、これらと一体となった総合的な取組みが不可欠。
・港湾・空港の施設の技術基準や積算基準等の策定に当たっては、現場の技術情報等のフィードバックが必要であり、企画立案調整機能と実施機能の密接な連携が不可欠。
・したがって、港湾の建設、空港の建設・管理の部分の独立機関化の検討に当たっては、港湾・海事行政、航空行政の総合的な取組み及び企画立案調整機能と実施機能との密接な連携に支障が生じないか検討が必要。
2)独立機関化した場合、業務の効率化を前提としつつも、国庫補填等が適切に維持・確保されず、十分に採算性の改善・確保ができない場合には、高額の施設使用料等を徴収せざるを得なくなることについて利用者の理解が得られるか検討が必要。
・港湾・空港の整備には多大な費用を要するため、一定の条件を前提に採算性の改善・確保を図る場合には、高額の施設使用料等を徴収せざるを得なくなることから、負担増についての利用者の理解を得られるか検討が必要。
・また、仮に高額の施設使用料等の徴収が困難で、かつ、国費補填・補助又は予算・定員等にも厳しい制約がある場合には、限られた予算等のために、効率化の名の下で、サービスや安全性の低下を招くことがないか検討が必要。

2.航空・海上管制について

(1) 安全かつ円滑な航空交通・海上交通の確保についての国の責務
・安全かつ円滑な航空交通及び海上交通の確保は、人命や財産の保護を図るとともに我が国の国民生活・経済活動を支えていくために不可欠なものであり、国が基本的な責務を有すべきものであることから、航空・海上管制を行う組織の在り方についても、このような国の責務を的確に果たし得るものであることが必要。

(2) 管制業務は公権力の行使の要素が強く、かつ、業務実施のためのハード・ソフトの整備には膨大な費用が必要であり採算性が確保できないことから、民営化は困難
・航空機や船舶に対する管制業務は、航空・海上交通が輻輳する空域や狭水道において安全かつ円滑な運航を確保するための規制行政であり、いずれも道路交通における警察権の作用と類似の公権力の行使を行うものであることから、私人の権利を制限する側面が強いため、そもそも民営化に馴染まない。
・航空管制等の航空保安業務に必要な施設整備や要員等の費用は、現在その対価として徴収している航行援助施設利用料収入を大きく上回っており、また、海上管制は無料で実施。このため、利用料の大幅な値上げ等によらなければ民営化の前提となる採算性の確保ができない。

(3) 航空・海上管制の独立機関化については以下の観点からの慎重な検討が必要
1)政策の企画立案調整機能とその実施機能とは相互依存関係にあり、安全確保等の観点から密接な連携が不可欠。
・航空保安業務や海上管制については、現場業務の実施状況から得られる情報等を安全基準の策定、管制に係る制度・システムの改善等にフィードバックすること等によって、的確な業務遂行が可能となるものであり、企画立案調整機能と実施機能は相互依存関係にある。
・また、航空保安業務については、本省のみならず、航空交通管制部等の現場レベルでも国際基準の策定への参画や在日米軍、自衛隊との調整を行う等それぞれに企画立案調整業務を実施しており、企画立案調整機能と実施機能の一義的な切り分けが難しい。
・このため、独立機関化の検討に当たっては、企画立案調整機能と実施機能との間の相互依存関係や密接な連携に支障を来さないか検討が必要。
2)航空交通・海上交通の安全性及び効率性を確保するためには総合的な航空行政・海上保安行政が不可欠。
・航空保安業務は、空港整備・空港周辺環境整備行政、航空機安全行政、航空事業行政等の他の航空行政と相互に密接に関連しており、これらと一体となった総合的取組みが不可欠。
・海上管制については、違反行為があった場合には航行安全の観点から速やかに是正のための強制的措置をとる必要があり、警備取締り部門との一体性が不可欠。
・このため、管制部門の独立機関化の検討に当たっては、航空行政、海上保安行政の総合的な取組みに支障が生じないか検討が必要。
3)管制業務には、安全かつ円滑な運航を確保することが求められるとともに、公権力の行使の要素が強いことから、その実施については厳正かつ公平中立であることが不可欠。
・(2)で述べたように、管制業務は、安全かつ円滑な運航を確保するための規制行政であり、公権力の行使を行うものであることから、独立機関化の検討に当たっては、管制業務の厳正かつ公平中立な実施に支障が生じることがないか検討が必要。
4)航空管制については、安全保障等の観点から高度な調整・判断が不可欠
・航空保安業務は、国家安全保障と密接に関連を有しており、在日米軍及び防衛庁長官との間での高度に政治的な調整及び判断を行うことが不可欠。
・独立機関化の検討に当たっては、独立機関においてこのような対応が可能か検討が必要。
5)独立機関化した場合、業務の効率化を前提としつつも、国庫補填等が適切に維持・確保されず、十分に採算性の改善・確保ができない場合には、高額の施設使用料等を徴収せざるを得なくなることについて利用者の理解が得られるか検討が必要。
・一定の条件を前提に採算性の改善・確保を図る場合には、管制施設及び管制サービスに対する利用料の大幅な値上げ又は新規徴収をせざるを得なくなることから、これらの負担増についての利用者の理解を得られるか検討が必要。
・また、仮に大幅な値上げ等が困難で、かつ、国費補填・補助又は予算・定員等にも厳しい制約がある場合には、限られた予算等のために、効率化の名の下で、サービスや安全性の低下を招くことがないか検討が必要。

(補足資料)航空・海上管制業務の概要
1.航空管制業務(航空保安業務)
1)航空保安業務の概要
  いわゆる航空管制業務は航空保安業務の一つであり、空港周辺空域及び航空路等において、航空機の衝突防止等の航空交通の安全の確保及び秩序ある航空交通流の形成を図るために、航空機に対して離着陸の順序、飛行の方法等について指示(注)を与えるものである。
  航空保安業務には、この他に航空管制業務と一体不可分の業務として、気象情報等の提供及び管制機関と航空機との間を中継して管制情報の伝達を行う管制通信業務、飛行場施設の運用状況など運航に必要な情報の収集、管理等を行う管制情報業務、航空機の航行を援助するための航空保安施設、レーダー等の保守・管理等を行う管制技術業務がある。
(注)航空法に基づく公権力の行使であり、指示に従わない場合には罰則が課される。
2)職員数 5,483人(平成8年度末の航空管制官等の定員)
3)航空保安業務に係る費用及び航行援助施設利用料収入(平成9年度)
 ・費用計1,863億円
   航空保安施設整備費841億円
   空港等維持運営費(航空保安業務関係分)1,022億円
 ・航行援助施設利用料収入1,178億円
 ・なお、収支の差額は、空港整備特別会計への一般会計繰入額等から充当。

2.海上管制業務
1)海上管制業務の概要
  海上管制業務は、船舶交通が韓要する海域において船舶の安全かつ能率的な航行を確保するために、海上交通センター(全国に6か所)等に配置された管制官が、当該海域を航行する船舶に対して、関係法令に基づき、航行予定時刻の変更、速力の制限等の指示(注)及び一体不可分の業務としての航行安全に関する情報提供を行うものである。
(注)海上交通安全法等に基づく公権力の行使であり、指示に従わない場合には罰則が課される。
2)職員数 400人(平成9年度末の海上交通センターの職員等海上管制業務を行うものの定員)
3)海上管制施設の整備費(平成9年度の海上交通センターに係る費用)
 ・7億円(過年度の整備費用の累計は約200億円)
 ・なお、施設の利用料は徴収していない。

3.気象庁について
(1) 防災気象情報の提供により災害から国民の生命財産を守ることは、国の基本的な責務
・防災気象業務は、台風、集中豪雨、地震、津波、火山噴火等に関する予報や注・警報等の防災気象情報を作成し、国民及び国・地域の防災機関に的確に提供することにより、国民の生命や財産の保護を図るとともに国民生活・経済活動を支えることを目的としているもの。
  特に我が国のような自然災害の多発する国においては、災害から国民の生命財産を守ることは、国の基本的な責務であり、気象庁の組織の在り方についても、このような国の責務を的確に果たし得るものであることが必要。
(2) 気象情報提供のためのソフト・ハードの整備のためには多大な費用が必要である一方、情報提供の対価を徴収することができず、採算性が確保できないことから、民営化は困難
・気象情報の的確な作成・提供、その精度等の一層の向上のためには、今後とも最先端の技術水準を維持、開発するとともに、多数の観測施設や通信網、高度な数値予報システム等のハード・ソフト両面にわたる業務基盤を整備、維持することが不可欠であり、多大の費用が必要。
・また、これらの業務基盤を利用して作成、提供される日々の天気予報等の一般気象情報は、ナショナルミニマムとして無料で享受できるものとの認識が広く国民に浸透しており、対価が徴収できないため、民営化の前提となる採算性が確保できない。
・なお、個別ニーズに応じた特別な気象情報のように対価が得られる分野については、既に民間気象事業者が実施している。
(3) 気象庁の独立機関化については以下の観点からの慎重な検討が必要
1)災害から国民の生命財産を守るという国の最も基本的な責務の遂行に支障が生じないか検討が必要。
・防災気象情報については、例えば、大地震等大規模災害の発生に際しての総理官邸への情報伝達と緊急参集、東海地震に関しての警戒宣言等の引き金となる地震予知情報の総理大臣への報告、市町村長による避難の勧告や警戒区域の設定等の前提となる気象警報、緊急火山情報等の伝達など、国の危機管理情報システムの基本的な部分となっており、国や地方自治体の防災活動に直結するものであることから、高い信頼性の確保等が不可欠。
・独立機関化の検討に当たっては、このような防災気象業務の実施について、国の責務の遂行に支障が生じないか検討が必要。
2)気象情報の信頼性の確保と防災対策等の混乱を防ぎ、気象業務の着実な発展を図るために、気象庁が行う他の国家機関、自治体、民間等に対する指導・調整等の的確・公正な実施に支障が生じないか検討が必要。
・気象庁は、自ら観測を行い、気象情報を作成・提供しているのみならず、他の国家機関、自治体等が行う観測の手法に対する指導や観測網の構築に係る調整、観測の技術基準の策定等の任務を負っている。
・また、気象庁は気象情報交換の面で他の国家機関や自治体に対する指導・調整を行うとともに、地震関連情報の一元的な収集等を実施。
・気象庁は、気象情報に対する個別ニーズに対応すべく民間気象事業者を活用するに当たり、作成・提供される気象情報の信頼性を確保するため、これらが行う予報業務の許可と同業務に従事する気象予報士に係る制度を運用。
・独立機関化の検討に当たっては、これらの的確・公正な運用など気象等における中核的機関としての役割の遂行に支障が生じないか検討が必要。
3)気象等に関する国としての国際的な責務の遂行について支障が生じないか検討が必要。
・気象庁は、世界各国の気象機関の協力を基盤として気象業務を実施する一方、アジア地域を対象とした気象センター、台風監視予報センター及び原子力事故等に際しての有害物質移動拡散予測センターとして、各国に対し関連情報等を提供するなど防災活動に係る国際
的な支援を実施。
・また、気象庁は包括的核実験禁止条約に基づく核実験探知のための監視・データ収集等も実施。
・さらに、気象庁は、気候変動枠組条約に基づく地球温暖化の観測・把握、オゾン層保護条約に基づくオゾン層の観測・把握等の地球規模の気象現象の問題の科学的側面についても国際的な責務の一環として積極的な対応が必要。
・このため、独立機関化の検討に当たっては、国際社会における我が国の責務を果たす上で支障が生じないか検討が必要。

運輸省説明資料(平成9年6月4日)

海上保安庁の治安、保安関係行政組織への一元化についてどう考えるか。

1 海上保安庁の業務は、その性格上、治安行政との一元化よりも運輸行政(海事行政)との一元性を確保することが適当
・海上保安庁は、1)海上における法令違反の取締り等の治安行政の他、2)海上交通の安全確保行政として、航行情報の提供や海図の作成等の水路・灯台業務、さらには事故発生時の海難救助、3)海洋環境保全行政として、タンカー事故等による海洋汚染の防止等の業務を3つの柱として、一体的に担当。
・これらのうち、特に2)(海上交通安全行政)及び3)(海洋環境保全行政)の業務は、運輸行政(海事行政)と極めて強く関連。
・米国等の諸外国においても、海上保安庁は運輸省と一体化されている例が多い。

2.現在、海上保安庁は、このような幅広い行政を総合的、効率的に実施し得る人的体制や船艇・航空機勢力を保有。仮に、治安関係業務のみを分離させ治安関係行政組織に一元化する場合、組織体制上、極めて非効率。
・海上保安庁の広範な業務は、いずれも船舶の使用を前提とし、行政対象も広大な海域を移動する船舶であるという特殊性を有するものであることから、業務を効率的かつ的確に実施するためには、治安行政と海上交通安全行政、海洋環境保全行政を一体的に行うことが適当。
・このような広範な業務に対応するため、海上保安官は、海技免状の取得等の船舶運航に係る技術や海上交通・海洋環境関係法令の知識等の多面的な能力を、海上保安大学校等における専門教育や運輸省海事行政部局との人事交流により修得し、全体として少人数で効率的に業務を遂行。
・また、船艇・航空機も、例えば、ナホトカ号の油流出事故発生時の油防除活動に、巡視船の他、測量船等を従事させるなど、事案に対応した効率的な共通運用を実施。
 (例:我が国国土面積の約12倍の面積を有する広大な管轄海域を人員約1万2千人(神奈川県警と同程度)、船艇500隻強の勢力により管轄)
・したがって、仮に、治安関係業務のみを分離させ、そのための要員、船艇・航空機を別途保有するとすれば、極めて非効率。

3.危機管理への対応については、内閣機能の強化と事案別の危機管理マニュアルの整備による関係省庁の連携強化により対応することが適当。
・一口に危機管理といっても様々な態様があり、事件・事故、自然災害等の事案ごとに、その事案に責任を有する関係省庁による対応が必要。(例:ナホトカ号油流出事故と尖閣問題では関係する省庁が異なる。)
・また、危機管理は尖閣問題、密航問題等にみられるように外交問題を含む総合的対応が求められる場合も少なくないことから、単に海上保安庁、警察庁等の治安、保安行政を担当する省庁だけを統合しても危機管理体制の確立につながらない。
・そのため、一つの組織で危機管理全てに対応することは現実には不可能であり、事案毎に危機管理のマニュアルを作成し、内閣の強力な指導の下、関係省庁が一体として対応する体制を構築することが適当。
・なお、現実にも、近年、危機管理問題については、事案毎に関係省庁が連携して対応する傾向が強まっており、銃器・麻薬等の密輸対策、密航対策、尖閣問題等において効果を上げている。

(補足資料)海上保安機関が運輸省(海事行政機関)に所属している諸外国の例
(国)(海上保安機関名)(所属)
米国沿岸警備勝運諭省
力ナダ沿岸警備隊漁業海洋省
ロシア海洋救助調整本部運輸省
オーストラリア海上安全庁運輸通信省
中国安全監督局交通部(=省)
韓国海洋警察庁海洋水産部(=省)
インドネシア海運総局沿岸警備局運輸省
イギリス沿岸警備庁運輸省
マレーシア海事局運輸省

     ※このほか、フィリピン等においては国防担当省に所属している。
     ※部分的に他の省庁の所属となっている国もある。

運輸省説明資料(平成9年6月4日)

船員労働行政の労働行政への一元化についてどう考えるか。

1 船員労働行政は、船員労働の特殊性から、1)船員の労働保護の実現と2)それを通じた船舶の安全運航の確保を共にその目的としており、両者は一体不可分。このため国際条約等においても、一般労働とは別に取り扱われている。
・海上労働は、次のような一般の陸上労働にない特殊性を有する。
1)孤立性(長期間陸上から孤立)
2)自己完結性(警察権が及びにくく、また、船体等の修繕、医療等の船外支援を受けられない)
3)危険性(船舶という高度・大規模な機械システムの運航、台風等危険な状態での作業が必要)
4)職住一致(労働と生活の場が一致した24時間体制の就労)
・このような特殊性から、船員の労働条件の悪化は、船舶の運航能力の低下に直接つながり、船舶の安全運航に大きく影響。
 このため、船員労働行政において、船員の労働保護と、これを通じた船舶の安全運航の確保とは不可分一体の目的。
・このような特殊性は国際的にも広く認められており、このため、国際的な労働関係基準(条約等)においても、海上労働は一般労働とは別体系で規律。

2.さらに、船員行政については、船舶運航の安全確保、効率的な海上輸送網の構築の観点から、船舶安全行政等の他の海事行政分野との一体的遂行が必要。
・船員に求められる技能・知識、労働条件は、船舶の設備・機能によるところが大。一方船舶の設備・構造基準は、それを運航する船員の技能・知識、さらにそれが十分発揮できる労働条件が前提。
 このため、船舶の安全運航の確保のためには、船員行政と船舶行政の一体性が不可欠。
・また、船員行政は、船舶の安全運航の確保を通じて、海運事業、海上保安等の他の海事行政と一体となって効率的な海上輸送網の構築を達成するもの。

(補足資料)船員労働の特殊性
1.船員独自の労働基準等
 船員については、船員の労働保護と船舶の航海の安全確保等のため、船員法において独自の労働基準等を規定。
○緊急の場合における労働時間の特例等
 ・人命や船舶に危険が急迫している場合等においては、労働時間・休日等に関する基準の適用を除外
 ・人命や船舶に危険が及ぶときには、争議行為を制限
 〇 船内秩序の維持及び懲戒
 ・職務上の命令に従わない場合その他船内秩序を乱す行為を行った場合には、船長による懲戒処分(上陸禁止、戒告)、場合によっては刑事罰を賦課
○定員、航海当直基準
 ・労働時間の遵守、船舶の航海の安全の確保に必要な定員の配案。また、航海当直を実施するときに遵守すべき基準を規定
○雇入契約の公認
 ・乗船毎に予め労働契約の内容を審査し、航海の安全と船員の労働保護を確保
[船員を対象とする条約][陸上労働者を対象とする条約]
・海員紹介条約・有料職業紹介所条約
・労働監督(船員)条約・労働監督条約
・災害防止(船員)条約・職業上の安全及び健康に関する条約 等
・海員の雇入契約条約
・商船(最低基準)条約 等

運輸省説明資料(平成9年6月4日)

研究機関について、他の研究機関との統廃合を含め、組織の在り方についてどう考えるか。

1 運輸省の研究機関の在り方

(1) 基本的な考え方
・運輸省は、交通サービスが国民生活及び経済活動の基盤であるという認識に立ち、安全確保、環境・エネルギー問題への対応、事故・災害対策、交通基盤施設の整備・充実といった社会的要請に的確に対応することが必要。
・これらの社会的要請に対応するうえで、合理的な安全基準の確定や事故防止対策といった交通安全技術を初めとする各般にわたる運輸関係「技術」が果たすべき役割は極めて大きいが、これらの「技術」は、各運輸分野に係る「研究」を基盤として成立するもの。
・また、物流効率化のための技術開発、交通インフラに関する建設コスト縮減のための技術開発、環境負荷軽減や環境創造のための技術開発といった今日的課題の解決に当たっても、これらの技術開発の基盤としての「研究」への期待は今後一層増大。
・このため、運輸省の研究機関は、それぞれの分野に対応した専門性の高い研究を実施し、運輸省の各般の施策遂行を支援。

(2) 運輸行政との一体性
・運輸省の研究機関は、行政の関係各部局と相互に密接な連携を図るべく、これらと一体的な組織運営や人的交流等を行うことによって、次のような、行政ニーズに対応し、かつ、高度な技術力が求められる「研究」業務を効率的・効果的に実施。
1)公的要請の高い研究とその運輸行政への反映
・上記(1)で述べた運輸省の果たすべき役割を踏まえ、政策遂行の前提として不可欠な公的要請の高い次のような研究を実施。
【市場原理に馴染まない研究】
・陸上・海上・航空交通の安全性向上、環境低負荷型物流システムの研究、干潟の復元・保全、地球温暖化予測技術、災害防止等に関する研究等。
【公正・中立性が求められる基礎的・長期的研究】
・高速船の安全基準、航空機の航法精度に係る技術基準、自動車の燃費・排ガス評価、新方式の交通システムの安全性評価など、国際・国内の基準策定のための研究等。
【民間では実施が困難な高リスク・高負担の研究】
・次世代の航空保安システム、大水深域の海洋構造物、次世代自動車・船舶等の研究等。
2)運輸行政の課題への迅速・的確な対応
事故原因究明や自然災害対策など、極めて重要かつ緊急な対応が求められる行政課題に対して、研究機関は、次のように行政と一体となって取り組み、迅速かつ的確に対応。
・運輸関係の事故や自然災害の発生に際しては、原因究明や再発防止、対応策の確立等につき行政と一体となって迅速に対応。
・例えば、ナホトカ号の海難事故においては、船舶事故原因の究明作業、汚染被害対策研究等に即応し、阪神・淡路大震災においては、構造物破壊原因の究明、復旧工法の検証等に即応。
3)運輸行政と一体となった運輸分野における国際的な責務への取り組み
技術先進国としての国際的な責務の遂行や、技術施策面での国際的な合意・確認事項を運輸技術施策へ円滑に導入するため、運輸行政と一体的に取り組んでいる。
・関係国際機関等における技術・安全基準策定作業や標準化検討作業において、日本政府の立場で参画して技術的検討を実施。
・例えば、国際海事機関(IMO)、国際民間航空機関(ICAO)、世界気象機関(WMO)、国連欧州経済委員会・車両構造作業部会(ECE/WP29)等関係国際機関への貢献など運輸行政と不可分な各種活動を実施。

2.研究機関の統廃合や独立機関化等による研究内容の高度化・活性化について

(1) 研究機関の統廃合、独立機関化について
1)先に1.において述べたように、運輸省の研究機関と関係行政各部局とは、公的要請の高い研究とその運輸行政への反映、事故原因究明等の運輸行政の課題への迅速・的確な対応、国際的な責務への取組みの観点から、相互に密接な連携を確保。
  運輸省の研究機関には、今後とも、このような連携を保ちつつ、行政ニーズへ的確に対応した研究を効率的・効果的に実施していくことが求められており、このため、研究機関の統廃合については、慎重な対応が必要。
  なお、陸・海・空の各交通モードは、技術面ではそれぞれ固有性が強く、運輸省の各研究機関は分野に対応した専門性の高い研究を実施しており、研究対象もそれぞれ独立性が高い。
2)独立機関化の検討に当たっては、その前提として独立機関の制度の内容等の明確化が不可欠であるが、これらについては不明な点が多い。
  したがって、現段階では一概にはその適否を論じられないが、独立機関化についての検討に際しては、行政ニーズに適切に対応した効率的・効果的な研究の実施に支障が生じないか、以下のような点について慎重な検討が必要。
・技術基準の策定等のように市場原理になじまない研究など、政策遂行に不可欠で、かつ、公的要請の高いものへの取り組みに支障を生じる恐れがないか。
・事故対策など迅速・的確な対応が求められる課題について行政と一体となった適切な取り組みに支障を生じる恐れがないか。
・国際機関における基準策定など、国際的な責務への取り組みに支障を生じる恐れがないか。

(2) 研究内容の高度化・活性化について
・運輸省の研究機関は、従来より、海外の優秀な研究者との交流(招聘及び派遣)、国立大学との併任による相互交流、他の研究機関との共同研究の実施、国際会議の開催等により、研究内容の高度化・活性化を常に指向。
・さらに、現在、「科学技術基本計画」(平成8年7月閣議決定)を踏まえて、産・官・学における人的交流の促進に向けた制度改革など、研究環境の整備が図られつつある。
・運輸省としては、今後益々研究者の交流等が促進され、研究内容の一層の高度化・活性化が図られるよう努力。