−速報のため事後修正の可能性あり−

第4回企画・制度問題及び機構問題合同小委員会議事概要

1 日時  平成9年10月15日(水)  14:00〜16:30
2 場所  内閣総理大臣官邸 大客間
3 出席者
(会議)
芦田甚之助、飯田庸太郎、猪口邦子、河合隼雄、川口幹夫、佐藤幸治(企画・制度問題小委員会主査)、塩野谷祐一、豊田章一郎、藤田宙靖(機構問題小委員会主査)、水野清、諸井虔、渡辺恒雄の各委員
(政府)
田波内閣内政審議室長
(事務局)
水野事務局長(再掲)、八木事務局次長
4 議題
(1) 与党の動向について(報告)
(2) 独立行政法人の合意事項等について(説明)
(3) 環境安全省(仮称)の行政機能について(討議)
(4) 雇用福祉省(仮称)の行政機能について(討議)

5 会議経過

(1) 与党における検討状況について、事務局より概要以下のとおり報告があった。

・自由民主党行政改革推進本部の省庁再編PTにおいて、10月2、3の両日に引き続き、10月9日に8部会からのヒアリングが行われた。事務局としては、中間報告の考え方が理解されるよう説明に努めている。

1)国土開発省(仮称)と国土保全省(仮称)の整理について、建設部会から、国土庁と建設省の統合を中心とすべきであり、河川局の分離はいかがなものかとの意見が述べられた。一方、農林部会及び水産部会からは、農林水産政策を核として水を含む国土政策、環境政策を括るべきとの意見が述べられた。また、交通部会からは、総合的交通行政等の観点から国土開発省の整理に評価するとの意見が述べられた。

2)河川行政関係については、建設部会から、河川行政を道路、都市、住宅等の行政と一体的に進める組織が不可欠との意見があった。これに対し、農林部会及び水産部会からは、水行政については国土保全省が担当することが効率的との意見が述べられている。

3)海上保安行政については、交通部会から、海上保安行政は交通行政と一体不可分であり、警察組織との統合は不適切である、合議制の委員会の下では円滑な業務遂行は困難であるとの意見が述べられた。これに対し、海上保安庁、警察庁それぞれを国家公安委員会の下にぶら下げることとしても業務に問題は生じないのではないかとの指摘がなされた。

4)政府開発援助関係では、外交部会から、国際援助庁を新設すべきであるとの意見が述べられた。これに対し、JICA、OECFの実施部門があり、経済協力局の企画立案部門の充実で足りるのではないか等の指摘がなされた。

5)環境行政については、環境部会から、環境安全省を設置し充実すべきとの意見が述べられ、どのような機能を加えるかが課題となっている。

6)なお、沖縄開発、北海道開発行政の取扱い、郵政三事業の取扱い、通信行政の取扱い、「信用秩序の維持に関する企画立案」の内容、環境・農業・森林政策の取扱い、河川行政の取扱いのような点が政治的な関心の高い問題となるのではないか。

・与党行政改革協議会が10月13日に開催され、理念及び内閣機能について意見交換があったが、結論には至らなかった。席上、1)閣僚数の問題に関連して1府12省の枠についてはおおむねその方向、2)行革会議と与党で同時着地を目指す、3)どのような形で国会に法案を提出するかの運びの問題がある、4)内閣法の改正の広がり、すなわち4条及び12条の改正はするとして6条をどうするかの問題がある、5)スリム化及び効率性の向上をどのように確保するかの問題がある等の議論がなされた。

(2) 独立行政法人に関する合意事項等について事務局から説明があり、職員の身分に関する制度設計の試案を事務局において作成し、次週会議に提出することとされた。

(3) 環境安全省(仮称)の検討課題(別紙1参照)について事務局から説明があり、その後、以下のとおり意見交換があった。

・環境安全省は独立の省となるが、現在の環境庁では人員も機能も小さい。育てなければならない省であり、横断的調整にかかわるだけでなく、現在の各省庁の環境関係機能を集めて大きくすることが必要ではないか。その際、「安全」機能について何を所掌させるかがポイントであるとの意見があった。

・環境安全省という名称では、「安全」の範囲が健康、防災、治安のどの範囲になるのかあいまいであり、省の機能が不明となるので境界を定めなければならない。むしろ、名称は「環境」省、あるいは人類にとっての大きな課題である地球環境問題に取り組む姿勢を明確化するため、「地球環境」省とするのがよいのではないかとの意見があった。関連して、省の名称は2文字を原則とすべきであり、安全な環境づくりを本務とするのは当然なので名称は環境省とし、一方、所掌事務を多くすべきではないかとの発言があった。

・省の名称については引き続き検討すべき、省の名称は機能が固まってから決めればよい、との意見があった。

・環境安全省の所掌とすべき事務には原生林や海洋汚濁の防止などもあるが、一番大きな事務はリサイクル、廃棄物の範囲の確定などが挙げられよう。ただし、これらの事務をすべて環境安全省に取り込むのか、それとも各省の所掌として環境安全省に拒否権を与えるのかという2つの選択がある。これを考える際に、例えば農業集落排水の問題などは、環境安全省の事務には取り込むことができないと思われるので、むしろ水質問題について環境安全省から農業を所掌する省に注文を付けるようにすべきではないか。したがって、拒否権を与える方式がよいのではないか。リサイクルについても、拒否権方式がよいのではないか。自動車のリサイクルについても、日本では通産省が考えてはいるが、ドイツでは既に実施している。メーカーにリサイクルを法制的に義務づけるかどうかを考えなければならないが、それまで環境安全省の所掌とすると2元行政となり、問題であるとの意見があった。

・資源の有効利用の観点からもリサイクルは重要であるが、リサイクルを効果的に実現するためには設計、原料選択、製造、流通などすべての段階で対応する必要があるので、産業省の所掌とし、横断的調整のコアも産業省に担わせるべきであるとの意見があった。
これに対して、すべてを産業省で担うことでよいのかとの問題提起がなされたが、これについては、1)環境安全省が関係なくなるわけではない、2)欧州は環境行政を強くしているが、日本は産業振興も製品のライフサイクルの延長も重要であり、単に環境安全省を大きくすることについては慎重であるべきであるとの意見があった。さらにこれに対して、自動車の環境対策まで環境安全省の所掌とすべきとは考えないが、これらについても環境安全省の法の網をかけることが必要である。空缶のリサイクルを検討する際にも、中身のジュースについては農水省が自らの所掌と主張したことがあるが、環境安全省に渡すべき事務はあるのであって、それらは同省の所掌とすべきであるとの意見があった。

・環境について「省」が担うようになること自体に意味がある。小さな省で他の省に対抗できないのも困るが、あまりに機能を追加すると訳が分からなくなる。小さな省だが強い省、すなわち各省の施策に拒否権を持つ省とすべきではないかとの意見があった。

・環境安全省が所掌する森林は原生林等となっているが、現在の国有林野は生産事業ができるような状況ではないので、環境安全省の所管を広く採るべきであるとの意見があった。これに対し、環境安全省の所管を原生林以上に拡大することに反対である。現在は林業が立ち行かない状況となっているが、東南アジアの山林火災のような事態や、国際的に伐採可能な林が減る傾向もあり、さらにはあと5〜6年で日本の人工林が伐採可能になるという状況もある。そうなれば再度企業性をもつことも考えられるのに、環境安全省に移管してしまっては、状況が更に悪化する。環境安全省が所管すべきは、まったく人手をかけてはいけない森林のみとすべきであるとの意見があった。関連して、森林に経済的価値を持たせようとするなら、50年間手をかける必要があり、費用が掛かる。これを環境安全省の所管としてよいのかどうか疑問であり、同省の所掌はクマゲラやヤンバルクイナの生息するような森林に限ることでよいとの発言があった。また、森林については、山は区切れるものではないので原生林まで含めてその管理は国有林野事業で行い、環境安全省が関与、指導できるようにすべきではないかとの発言があった。

・医薬品安全を雇用福祉省で所掌するかどうかは問題であり、これを行政委員会で所掌させるのも疑問であるので、環境安全省の所掌とすべきではないかとの意見があった。これに対し、薬事、公衆・食品衛生、水道に関する行政は環境安全省の所掌としないことで中間報告は整理されている。これらは人間の口を通じて伝染するものを防止する機能であり、対策は医療ネットワークに大きく依存している。したがって、安全というだけで環境安全省が実施できるものではないとの発言があった。関連して、薬事や公衆衛生などは医療に関する高度の専門性を必要とするので、厚生省の他の機能から分離するわけにはいかないとの発言があった。

・現厚生省の薬務行政はサリドマイドやAIDSなど失敗を重ねてきているので、安全審査については環境安全省に移管すべきであるとの意見があった。これに対し、優れた審査は振興部門と一体でなければできないのであって、安全審査のみを移管しても機能しない。海外においても米国のFDAは厚生省の外庁であり、英国のMCAも保健省の下にある。医薬品の開発は政策目標であり、先端産業でもあるので各国とも国が力を入れている。振興と安全審査が共存してこそこれが可能となる。この意味において、医薬品は食品や工業製品とは異なるものである。厚生省は一連の事件のあと、国立医薬品食品衛生研究所の中に医薬品医療機器審査センターを設け、同センターが報告書を作成して中央薬事審議会の場において公開で審査をする透明化の措置を取っている。安全審査は庁とすることができるなら本省と距離を置くことができよう、ただし、行政委員会では機能しないとの意見が述べられた。

・安全審査にかかわる人員等をすべて環境安全省に移管すれば機能するのではないかとの意見が述べられたところ、臨床試験のための全国ネットワークが必要であり、それでも機能しないとの発言があった。これに対し、大学は製薬会社のデータ集めに利用されているのであって、いずれにしても現在の薬務行政は信用できないものであるとの発言があった。さらにこれに対し、今回の省庁再編においては、不祥事を起こしたから解体するという方法は採るべきではない。不祥事は服務規律の向上によって改善の余地のあるものであり、また薬事の問題は専門知識の問題でもある。むしろ安全審査は雇用福祉省の所掌として、学者と製薬会社の関係を切断できる措置を考えるべきであるとの意見があった。

・原子力については、一方において地球温暖化問題もあることから21世紀のエネルギー供給の中心的役割を担うこととなるので、その開発は重要である。もちろん、その前提として安全性の確保がなされなければならないのは当然であるが、一次チェックは担当省が行い、原子力安全委員会においてダブルチェックをする現在のシステムを踏襲することとし、原子力安全委員会を内閣府又は総務省に置いて実施すべきであるとの意見があった。

・環境安全省の任務・目的は、自然環境に対して人間の消費活動が与える影響をコントロールすることである。この意味において、環境を通じての安全確保は当然であるが、交通等の安全まで所掌事務とするのはおかしい。したがって、環境安全省は自然環境保護、公害防止、地球環境問題に特化し、その上で各省に対する命令を出せる権限を与えるべきであるとの意見があった。

・原子力安全委員会は、現在は総理府に設置され科学技術庁が事務局を務めているが、同委員会を内閣府設置とした場合に事務局をどこが務めるのかという問題提起があった。これに対し、環境安全省が務めることはあり得ないとの意見があった。関連して、同委員会の設置は内閣総理大臣を主任の大臣とする総務省でもよいのではないかとの発言があり、これに対して、その場合であっても総務省は各省並びの省であり、原子力安全委員会は内閣府に設置すべきであるとの意見があった。

・ドイツの連邦環境・自然保護・原子力安全省においては、原子力安全、廃棄物、化学物質安全、遺伝子工学規制等々を所掌しており、「環境」の範囲は解釈によっては極めて広いとの発言があった。

・以上の議論を踏まえ、藤田委員より、1)名称については、環境省、環境安全省の両論があり、引き続き検討する、2)環境行政の強化を図るため、独立の省とすることを再度確認した、3)所掌事務としては、現在の自然環境保全、公害防止及び地球環境保全が含まれることを確認した。これらの行政について各省の環境行政を環境安全省に一元化するとともに、権限強化を図ることが必要である、4)国民生活の安全又は生活環境の保全という観点からの機能をどの程度付与するかについて引き続き検討する、5)環境行政に関しては、他省の行政について重複して所掌し、環境の観点からチェックしうるシステムを導入することが必要である。なお、具体的な業務(公衆衛生、水道、リサイクル等)については引き続き検討する、6)原子力の二次的チェック機能については、従来のシステムを基本とするが、原子力安全委員会及びその事務局の帰属及び放射能に関する環境安全省の関与について、引き続き検討する、との取りまとめがなされた。

(4) 雇用福祉省(仮称)の検討課題(別紙2参照)について事務局から説明があり、その後、以下のとおり意見交換があった。

・猪口委員より、雇用福祉省の名称、任務等(別紙3参照)について発言があった。

・省の名称について、雇用と福祉では範囲が狭く、外延を持つ名前として、生活省又は国民生活省がよいとの意見があった。関連して、今回の行革において、国民に対して安心を与えるのは雇用福祉省の設立であり、きちんとしたイメージを定める必要がある。国民が高い関心を持っている社会保障の問題に直接応える省として位置づけるためには、「生活省」がよいとの意見があった。これに対して、国民生活は国政全般の課題であり、ほとんどの省庁が国民生活にかかわるので、この省の名称としては、労働社会省、労働福祉省、福祉労働省などで内容をはっきりさせる方がよいとの意見があった。また、国が国民生活全般に介入するような印象を与えるのは適当ではなく、雇用と福祉に限定すべきである。先進国でも雇用省があることから、雇用福祉省がよい。さらに、生活というのは、生産に対置する概念であり、産業政策に対置するものとして、生活省とするのがよい。豊かさは働きから、安全は社会保障で得られるものであり、豊かさ安全とは逆のベクトルの問題ではないとの意見があった。

・厚生行政と労働行政を全体として統合するのはいかがなものか、医療や薬務の関係は外すべきではないか。社会保険、社会福祉等の社会保障の分野や高齢者保護、児童対策等と労働行政が一体になるのには違和感はないが、医療や薬務と一体になるのには違和感がある。環境省に安全を加えるのであれば、医療や薬務は、環境安全省でよいのではないかとの意見があった。これに対し、医療、薬事、公衆衛生、食品衛生、水道は一体であるべきであり、医療の提供体制整備を抜きにして、医療保険の行政は成り立たず、社会保険制度が崩壊してしまう。また、社会保険制度の効率化も必要であるが、これを行うにも一体でなければならないとの意見があった。関連して、本来は社会保障は一本でまとめるべきであるが、1府12省という枠がある中では、労働行政をこの省に入れざるを得ない、入れる以上は一緒になりやすいところと統合すべきであるとの意見があった。さらに、医療行政と薬事行政、医薬品の規制と振興には緊張関係が必要であり、薬事行政が医療行政に引っ張られないないようにしなくてはいけないとの意見があった。また、薬務は雇用福祉省の所掌とすべきであるとの意見があった。

・公衆衛生を環境安全省の所掌とすべきだとの意見に対して、公衆衛生は伝染病予防のことであり、医療と同様、この省の所掌とすべきだとの意見があった。これに対し、医療と公衆衛生は異なるのであって、後者は安心して生活できる都市環境を整備するものである。伝染病を防ぐ環境改善が重要であり、生活環境の水準を上げるという医療行政とは異なる面を強調すべきであるとの意見があった。これに対し、そうした考え方は衛生環境の悪い途上国のものであり、現在の日本には当てはまらないとの発言があったところ、再度、生活環境の水準を高める公衆衛生は医療とは異なると考えるとの発言があった。

・船員労働行政は、長年運輸省で担当してきており、それで不都合はなかったのだから、引き続き交通行政を所管する省が担当することでよいとの意見があった。

・年金行政の一元化問題をどのように取り扱うべきかとの問題提起があり、当然一元化されるべきであるとの意見があった。

・幼稚園と保育所の関係は長年の懸案である。少子化が進む中で縦割り行政を続ける余裕はなく、一本化あるいは共管とすべきである。現在は建物を建てるのが目的化している部分がある。一つの施設で時間を分けて利用するのもよい案であるとの意見があった。関連して、幼稚園は教育なので長時間はできないが、保育所は生活の一環であり、両者は生活スタイルも異なる。両方の機能は必要であるが、同じ施設で両方の機能を担うこともできるはずであるのに、縦割り行政によりそれがなかなかできず、利用者の負担が増している。利用者のニーズに応じた行政が展開できるようにすべきであるとの意見があった。

・消費者行政について、現経済企画庁は本気で実施しておらず、この省の所掌として徹底すべきである。水行政については、河川問題で論ずることになっているが、水には配分の問題と水質の問題があり、水質の行政は消費者サイドからこの省で行うべきである。各省とも生産者の視点から行政を行ってきたが、これからは消費者を重視しなければならない。消費者の基本的権利についても雇用福祉省の所掌とすべきであるとの意見があった。これに対して、消費者行政、物価行政は、各省の行政と相反するものであり、ある特定の省に置くのはよくないので総務省の所掌とすべきである、例えば、血液製剤の問題や診療報酬の問題を考えても、PL法、公共料金等の問題は厚生行政と相反しているので雇用福祉省が消費者行政を担うべきではないとの意見があった。また、消費者行政が多くの省にまたがる問題であるとしても、総務省の所掌事務が多くならないよう担当省を総務省以外の省に決めるべきであるとの意見があった。関連して、消費者行政は横断的調整でよいとの意見が述べられたところ、主管省を決めるべきであるとの発言があり、雇用福祉省を中心として横断的調整とすべきであるとの意見があった。

・公共職業安定所についてはILO条約との関係もある。社会の底辺の人が上昇していくのを助けるのは国の役割であり、そのような仕事を担っている職業安定所は国の機関、公務員の仕事として必要であるとの意見があった。

・国立病院について、移譲などにより整理が進められてきており、今後も更に再編整理を進めるべきである。独立行政法人とすることにすると安心してしまい、再編整理をかえって阻害することになるので、整理して売却すべきである。他方、国立がんセンターなど4つのナショナルセンターは、政策医療、戦略的医療を担っており、国立でやるしかない。ハンセン氏病やAIDS、国際感染症などは民間病院では手がけないものでもある。また、病院、研究、教育を三位一体で行う必要があり、病院の収入だけでは成り立たないので、一般会計からの支出も必要である。ナショナルセンターについては独立採算や効率を考えてはならず、独立行政法人にもふさわしくないとの意見があった。関連して、政策医療は、ナショナルセンターだけではなく、ネットワークで担っており、基幹医療施設や専門医療施設も国立形態として残す必要があるとの意見があった。これに対して、ナショナルセンターの系列がセンターの機能を維持するために本当に必要であるのかどうか、すべてを国立形態として残す必要があるかどうかについては精査が必要である。また、独立行政法人というものは、採算性の向上だけを目的とするものではなく、サービスの向上を目指すものがあってもよいのだから、国立病院についても、この観点から独立行政法人化を検討する余地があるとの意見があった。
関連して、国立病院は独立行政法人化や民営化するとしても、他省の所管する病院はどうするのかとの問題提起があった。

・労働安全と産業保安について一元化できるものかとの問題提起に対し、産業保安が他の事務から切り出し得るかどうかが問題であるとの指摘がなされた。関連して、企業は産業保安は産業省の所掌としてほしいとの考えではないかとの発言があった。

・食品安全については雇用福祉省の所掌かとの問題提起に対し、中間報告で整理済みであるとの発言があった。これに対し、国土保全省との関係もあるので留保すべきであるとの意見があった。

・社会保険庁及び地方支分部局については今後の課題であるとの発言があった。

・以上の議論を踏まえ、藤田委員より、1)名称については、雇用福祉省、(国民)生活省の両論があり、引き続き検討する、2)医療は雇用福祉省の所管であることを確認した、3)公衆衛生は用語の定義の問題もあるが、環境安全省と雇用福祉省の所管関係について引き続き検討する、3)年金行政は一元化する、4)消費者行政については、特定の省に属すべき事項でないため、総務省の所掌とすべきという意見と、横断的性格は当然あるとしても、主担当省を決めるべきであるとの意見があった、5)食品安全の所掌については引き続き検討する、6)幼保問題は、両施設及びその運営の総合性を確保することが何よりも必要であり、行政については共管の方向とする、7)船員の労働行政については、交通行政を担当する組織が所管するとの意見が大勢であった、8)労働安全と産業保安の関係は引き続き検討する、9)国立病院、療養所は整理再編成を進めるべきである。なお、ナショナルセンター等については国立でとの意見が多かったが、これを含めて独立行政法人化を検討する余地があるとの意見があった、9)公共職業安定所はILO88号条約を前提とすれば、外局化を含め国で行う必要があることとなる、10)社会保険庁、地方支分部局は今後検討する、との取りまとめがなされた。

(文責 行政改革会議事務局)


連絡先:行政改革会議事務局   高野(電話03-3581-2641)  根本(電話03-3581-0270)

行政改革会議議事概要は、インターネット(官邸ホームページ(http://www.kantei.go.jp/)の「最近の話題」又は「審議会」の欄)及びパソコン通信ネットワーク(PC-VAN及びGサーチ)でも御覧になれます。


別紙1

環境安全省(仮称)の検討課題
1.名称
○環境安全省としてよいのか。(環境省などの意見あり。)
2.主たる任務・行政目的
○自然環境保全、公害防止対策、地球環境保全などを中核に、環境への負荷の低減、環境保全型社会の創造を目的とすることでよいか。また、国民生活の安全という面への関わりをどのように位置づけるのか。
3.行政機能
○以下のような現行の環境庁の機能を踏襲することに加え、各省に分散している環境関連行政をどのように一元化するか。
 ・地球環境保全、自然環境保全、汚染防止(大気、水質、土壌、化学物質等)
○各種環境行政に関する横断的調整機能のあり方の検討。
○廃棄物対策に加え、リサイクル対策や水道など生活環境対策のあり方の検討。
○原子力安全の2次的チェック機能のあり方の検討。
○原生林等の森林行政を担うこととされているが、その他の森林行政への関与のあり方の検討。
4.行政機能の見直し
(1) 政策のあり方の見直し
○各省に分散している環境関係行政の一元化・総合的展開
○地球温暖化防止など国際関係、国内経済活動との調和等を視野に入れた幅広い対策と総合調整機能の強化、横断的調整システムのあり方の検討
○廃棄物対策、リサイクル対策について製造から流通、消費、廃棄まで含めた一貫した取組の検討
(2) 他省事務との関係整理
○大気・水質・海洋・土壌汚染、化学物質汚染など各省の汚染防止対策の関係整理(産業省、雇用福祉省、国土開発省、国土保全省)
○各省の廃棄物・リサイクル行政の一元化の検討(産業省、雇用福祉省、国土保全省等)
○温暖化防止、オゾン層保護等の地球環境保全対策、気象などの関係整理(外務省、産業省、国土開発省・運輸行政等)
○国有林野行政と自然環境保全行政(原生林等)との関係整理
○原子力安全の2次的チェック機能について、原子力安全委員会との関係整理
○環境行政と公害審判(公害等調整委員会)との関係整理
○水源、上・下水道に関する行政との関係整理(雇用福祉省、国土開発省、国土保全省)
(3) 実施事務の分離、効率化(外局化、独立行政法人化の検討)
○自然環境保全地域、国立公園・野生生物の保護・管理事務、国民公園等の管理

環境安全省(仮称)

○環境安全省(仮称)に属する機能としては、現行の機能を踏まえれば、次のような機能が想定されるのではないか。

○また、これら機能については、国の果たすべき役割の見直し及び実施機能の効率化等の見地から、以下のような方向で、今後具体的な見直しを進める必要があるのではないか。

機能 具体的機能 撤退・縮小 地方分権 実施機能の分離・効率化 他省事務との関係整理 備考
環境保全の基本政策、地球環境保全 環境保全、地球環境問題に関する基本政策、総合調整       内閣府、及び関係各省との関係整理
環境基本計画、公害防止計画の策定・推進       関係各省との関係整理
環境影響評価制度の推進          
自然環境保全対策 自然環境の保護・整備に関する基本政策、総合調整       国土保全省との関係整理
自然環境保全地域、国立・国定公園の保護、国立公園計画の策定・許認可 民間能力活用 公園管理等の外局・独法化の検討、国有林野行政との関係調整
絶滅のおそれのある野生動植物等の保護・管理 民間能力活用   国有林野行政、文化行政との関係整理
国民公園(皇居外苑、新宿御苑)等の管理 民間能力活用     外局・独法化の検討
森林保護(原生林等)     国有林野行政との関係整理
汚染防止対策

(大気保全)

(水質保全)

(土壌汚染防止)
公害健康被害補償制度、水俣病対策          
化学物質による環境汚染防止対策       産業省、雇用福祉省等との関係整理
産業公害、道路運送車両公害、海洋汚染等の防止対策       産業・運輸関係等の公害防止行政との関係整理
大気汚染、騒音に係わる環境基準の策定          
工場等による大気汚染防止・監視          
自動車の排ガス・騒音の許容限度の設定、監視       産業・運輸行政等との関係整理
水質汚濁・土壌汚染に係わる環境基準の設定       産業・農林行政等との関係整理
海洋・地下水・湖沼環境の保全       同上
排水基準・総量規制の設定、水質汚濁防止の監視       同上
土壌汚染、農薬による環境汚染の基準設定       同上
廃棄物・リサイクル対策 廃棄物の減量・適正処理、リサイクル対策の推進 民間能力活用   廃棄物・リサイクル行政の一元化の検討
廃棄物処理施設に関する基準設定、指導監督          

(備 考)
機能 具体的機能 撤退・縮小 地方分権 実施機能の分離・効率化 他省事務との関係整理 備考
水道・水源、下水道対策 水源・水道水の安全確保、下水道等の整備       雇用福祉省、国土保全省等との関係整理
原子力安全の二次的チェック 原子炉施設等の安全の二次的チェック       原子力安全委員会との関係整理


別紙2

雇用福祉省(仮称)の検討課題
1.名称
○雇用福祉省としてよいのか。(社会労働省(労働社会省)、生活省、国民生活省などの意見あり)
2.主たる任務・行政目的
○雇用の確保・労働条件の整備と社会保障の向上・増進を中核とした少子高齢社会への対応、国民生活の安定など。
3.行政機能
○以下のような現行の労働省及び厚生省の機能を踏襲することが適当か。
 労働基準・安全衛生、労使関係調整、職業安定・雇用確保、男女雇用機会均等、職業能力開発、医療供給体制整備、保健医療対策、医薬品安全、社会福祉・公的扶助、高齢者・障害者保健福祉、児童家庭対策、医療保険政策、年金政策、社会保険・労働保険事業、援護政策など。
○少子高齢社会対応、障害者施策など総合的機能のあり方の検討。
○消費者保護政策、物価政策の取扱いの検討。
4.行政機能の見直し
(1) 政策のあり方の見直し
○社会保障構造改革の推進(国民経済との調和、良質なサービスの効率的供給を目指した医療・福祉・年金にわたる制度横断的な構造改革の推進)
○少子高齢社会、男女共同参画社会などに対応した労働政策と社会保障政策との統合・連携強化
○労働環境の変化に対応した労使関係調整の在り方の検討
○公共職業紹介の在り方の検討(限定化と民間参入の規制緩和を含む)
○労働基準行政等についての事後監視型行政への転換の検討
○福祉サービス分野における民間能力活用と利用者の選択肢拡大の検討
○医薬品の安全審査・許認可体制の確立と透明性確保のあり方の検討
○公的年金資金の管理・運用の在り方の検討(財投制度と自主運用との関連)
(2) 他省事務との関係整理
○男女共同参画についての内閣府との関係整理
○労働行政と船員の労働行政(国土開発省)との関係整理
○労働安全と産業保安行政(産業省等)との関係整理
○各省にまたがる年金行政の一元化・効率化の検討(大蔵省、国土保全省、文部・科学技術省、総務省)
○職業能力開発と生涯学習行政(文部・科学技術省)との関係整理
○保育行政と幼稚園行政との関係整理
○消費者保護、物価政策(現行経済企画庁)の取扱いの検討
○廃棄物・リサイクル行政について環境行政との関係整理(環境安全省)
○公衆衛生、水道・下水道行政について環境行政との関係整理
○食品安全の取扱いの検討
○防災行政(復旧・復興対策)(内閣、総務省、国家公安委員会、国土保全省等との関係整理)
○検疫・防疫、関税等の「水際行政」についての関係整理(国土保全省、大蔵省)
(3) 実施事務の分離、効率化(外局化、独立行政法人化の検討)
○公共職業安定事業(整理・縮小の検討を含む)
○労働基準監督
○都道府県婦人少年室(地方移管の検討を含む)
○医薬品規制・薬害防止(委員会化の検討を含む)
○国立病院・療養所(整理・統廃合、地方移管等の検討を含む)
○社会保険、労働保険(統合・効率化を含む)
○検疫
○地方支分部局(整理・統廃合の検討)
○試験・研究機関(独立行政法人化の検討)
○文教・研修機関(民営化または独立行政法人化の検討)
○社会福祉施設(国立障害者リハビリセンター等)
5.その他
○中央労働委員会の所属のあり方の検討(行政審判庁構想との関連)

雇用福祉省(仮称)

○雇用福祉省(仮称)に属する機能としては、現行の機能を踏まえれば、次のような機能が想定されるのではないか。

○また、これら機能については、国の果たすべき役割の見直し及び実施機能の効率化等の見地から、以下のような方向で、今後具体的な見直しを進める必要があるのではないか。

機能 具体的機能 撤退・縮小 地方分権 実施機能の分離・効率化 他省事務との関係整理 備考
少子・高齢化対応 社会保障政策と雇用労働政策を含めた総合戦略の策定       関係省との関係整理
労働政策 労働統計 労働統計の企画・実施・分析 民間能力活用   一元化の検討
労使関係調整 労使関係に関する調整、労働組合法・労働関係調整法等の施行、労働組合の組織活動等に関する調査       労政行政のあり方の検討
労働者福祉増進に関する施策、中小企業労働者対策      
労働基準

安全衛生

労働基準法の施行、労働者保護に関する企画・監督 規制緩和 ○  ○  ○  労働基準監督署の外局化の検討
労働者災害補償保険事業       社会保険との統合、外局・独法化の検討
労働安全衛生、賃金、労働時間、最低賃金に関する施策 規制緩和   鉱山保安等との関係整理
男女共同参画 男女雇用機会均等の確保、女性労働者の保護・福祉の増進等       内閣府との関係整理
職業安定・雇用確保 雇用政策の企画・調整、雇用対策基本計画の策定       内閣府との関係整理
職業紹介、労働者派遣事業法の施行 規制緩和     公共職業紹介の外局・独法化の検討
雇用保険事業       社会保険との統合化
地域雇用開発     総務省等との関係整理
障害者、高齢者の職業安定に関する施策       福祉政策との統合化
職業能力開発 職業能力の開発・向上 民間能力活用     生涯学習行政との関係整理
技能評価基準の設定、技能検定の実施、海外技術協力 民間能力活用   経済協力(技術)行政との一元化の検討
社会保障政策 厚生統計 厚生統計調査の企画・実施・解析 民間能力活用   一元化の検討
保健医療供給体制整備 保健医療に関する基本政策の企画調整          
地域医療を含めた医療供給体制の整備 規制緩和      
医師等の保健医療関係従事者の確保          
医薬品等の生産・販売の指導・監督、研究開発振興 規制緩和     産業振興の見直し
保健医療対策





国立病院等の運営
保健医療行政の企画調整          
原子爆弾被爆者の援護          
国民の健康増進対策        
難病対策、生活習慣病対策、エイズ対策、感染症対策         国の関与・負担のあり方の検討
国立病院・療養所、高度専門医療センター等の運営     統廃合・地方移管等、外局・独法化の検討
生活衛生・水道対策 有害化学物資対策その他の生活衛生対策       環境行政との関係整理(有害化学物質)
食品の安全確保等の食品保健施策、検疫     検疫所の外局化の検討、水際行政の関係整理
環境衛生関係営業に関する政策 規制緩和        
水道水の安定供給・安全性の確保       環境行政との関係整理
医薬品安全 医薬品安全の総合企画・立案          
医薬品等の製造・輸入・販売の許可等、医薬品等の品質・有効性・安全性の確保、毒物・劇物の取締 規制緩和(薬品販売)     医薬品規制の外局・行政委員会化の検討
社会福祉・公的扶助 生活保護法の施行、生活困窮者の保護制度          
地域福祉の体制整備        
身体障害者の保護更生       更生施設等の外局・独法化の検討
社会福祉に関する人材確保、社会福祉施設の整備 民間能力活用      
援護対策 中国残留者等の帰国促進・自立支援          
戦没者遺族等の援護、各種給付金の支給、遺骨収集          
高齢者・障害者施策 高齢者の保健・福祉施策、老人福祉施設等の整備 民間能力活用     労働政策との統合化
障害者の保健・福祉施策       労働政策との統合化
児童・家庭施策 児童、母子・寡婦等の保健・福祉施策     青少年・文教行政、男女共同参画、幼稚園行政との関係整理
医療保険 医療保険制度の企画立案、調査          
医療保険の保険者等の指導監督、保険医療機関等の指導監督、指定・取消       社会保険庁事務との関係
年金 年金制度の総合的企画・調整       年金行政の一元化の検討
厚生年金・国民年金制度の企画立案、年金制度の数理等 規制緩和(年金基金)        
年金資金の運用 民間能力活用       年金資金運用のあり方の検討
社会保険業務 政府管掌健康保険・船員保険・厚生年金保険・国民年金保険事業の実施       労働保険との統合、外局・独法化の検討

国立病院・療養所の在り方について(検討補足資料)
1.国立病院のおかれた状況と目指すべき方向
(1)国立病院・療養所は、公私立医療機関の充実等を背景として、国立医療機関として果たすべき役割の見直しが迫られている。
 このため厚生省では、昭和60年以来、その再編成に取り組んできたが、官と民、国と地方の役割分担をさらに明確化する観点からその方針を検証し、真に国として行うべき医療に特化する方向で検討する必要があるのではないか。
(2)また、国立病院・療養所の行う診療・研究・研修等は、医学的専門知識に基づくものではあるが、政策立案的要素が少なく、効率性とサービスの質を向上させることが強く要求される業務である。
 したがって、各施設の主体的・積極的な経営を促し、業務の効率化やサービス向上などの要請に一層柔軟に応え得るよう、国立病院・療養所に法人格を付与することを検討する必要があるのではないか。
2.国立病院・療養所の再編成の在り方について
(1)再編成についての厚生省の基本的考え方
1)国立病院・療養所については、昭和61年に策定された計画により、移譲・統合を進めてきたが、再編成計画の進捗の遅れ、医療の高度化・専門化など、医療をとりまく環境の変化を踏まえ、厚生省が平成8年末に再編成の指針を見直し、今後、新指針に基づく再編成を積極的に実施することとしている。
【注】指針見直しのポイント
○国立病院
・療養所の役割の量から質へのシフト
・結核については、原則各都道府県1ヶ所に集約
・重症心身障害については、障害者保健福祉施策推進の観点から将来における望ましい処遇を見据えて、中長期的視点に立った見直しなど
○現行の再編成対象施設について期限を設定
・引き続き対象施設として再編成を推進
・平成12年度までに個々の施設について、廃止を含め対処方策を決定
○新たな再編成対象施設の追加を検討
○経営の合理化方策を引き続き推進
2)新指針では、基本的・一般的医療は公私の医療機関に委ねることとし、国立病院・療養所の役割を次のような機能を果たすものとして位置付けている。
 (1)政策医療
 (2)政策医療に直接必要な臨床研究
 (3)地域の医師のための高度医療機器の共同利用など
 (4)臨床研修、医療専門職の養成
 (5)保健医療情報の集積と普及
 (6)先駆的な医療政策等の実践

(2)再編成方針の検討
1)基本的考え方
  官と民、国と地方の役割分担の適正化を図る観点から、以下のような視点で各施設の位置づけを明確にすることとし、合理的な位置づけのできない施設については、廃止、民間への移譲を含め、再編成の対象とすべきではないか。
 ○臨床研究は、採算性の見込まれるものを除き、民間による供給ができにくく、また、行政が関与しなければ研究の進展が見込みにくい分野であるため、原則として国立病院・療養所で行う意義は認められるのではないか。
 ○一方、診療については、民間による供給が不可能か、極めて問題がある分野を除き、機能の縮小・廃止を検討すべきではないか。
  また、行政の関与を認め得る診療であっても、全国的な規模・視点で統一的に行われる必要がない診療については、地方移管を検討すべきではないか。
 ○臨床研究と診療が一体的に行われ、高度の、又は民間で対応困難な診療を提供することは国立病院・療養所の機能と認められるのではないか。
2)政策医療の範囲の検討
 国立病院・療養所の役割とされている政策医療の範囲について、上記の基本的考え方に照らし、その純化を検討する必要があるのではないか。例をあげれば、下記のとおりである。
 ○広範囲にわたる規模の災害への対応
  緊急又は広域の災害医療は、基本的には、地域の病院あげて取り組むべき事業であり、国立病院でなければ対応の困難な場合を除き、公私の医療機関に任せることを基本に考えるべきではないか。
 ○戦略的医療
  がん・循環器病・免疫異常(膠原病、アレルギー)などの疾病に対する先駆的医療については、高度の研究機能と一体となった高度の診療を実現して、初めて国立病院の役割が認められるのではないか。
(研究機能と診療機能との一体的連携は、がんセンターなどの高度専門医療センターや大学付属病院とのネットワークにより、その機能が確保される場合もあると思われる。)
  したがって、高度医療専門センターや大学付属病院等の高度の研究機能との連携を視野に入れつつ、研究と診療の一体性の確保が可能かどうか検討し、明確な位置づけのできない施設は再編成の対象とすべきではないか。
 ○結核
  結核については、その必要性に適合するよう大幅に整理縮小すべきではないか。最低限、厚生省が現在進めている「118ヶ所から原則各都道府県1ヶ所」に集約・合理化すべきではないか。
 ○重症心身障害
  重症心身障害の病床数は、国立療養所と民間の社会福祉法人とが半々の状態にあり、かつ国立療養所のシェアが下がりつつある状況を踏まえ、「将来における患者の望ましい処遇を見据えつつ社会福祉法人等への経営移譲をモデルとして実施」という方針を今後さらに徹底し、具体的に社会福祉法人への移譲を進める必要があるのではないか。
3)臨床研修
 臨床研修の機能については、研究と研修を第一義的に行う大学付属病院との連携を今後さらに深めていく必要があるのではないか。

(3)再編成の促進のための措置
 国立病院・療養所の統廃合・経営移譲を一層推進するためには、これまでの再編成特別措置のさらなる拡充が必要ではないか。
   (例)・減額譲渡の対象となる法人の範囲の拡大
      ・減額率の強化  など
3.国立病院・療養所の組織・運営について
(1)全国的な整合性の確保
 ○国立病院・療養所については、政策医療の実施に必要な事項について、主務大臣の指示が可能な体制とし、また、将来にわたって、全国的に整合性のとれた組織形態の改変、統廃合等が可能な体制とする必要があるのではないか。
(2)内部運営
 ○各施設の経営管理に対する責任体制を確立するためには、事業体としての責任ある経営体制を確立し、そのための人材の糾合、確保を行うための仕組みが必要ではないか。
 ○また、各施設ごとに収支区分を明確化し、経営改善に努める必要があるのではないか。
(3)評価
 ○国立病院・療養所の経営改善のためには、統一的な経営管理指標に基づき、経営状況の自己点検を行うだけでなく、外部評価を導入し、これを公表するような仕組みを検討すべきではないか。
  これに当たっては、外部の有識者による評価体制を確立し、これを運営の改善に結びつけるような仕組みを導入する必要があるのではないか。
4.独立行政法人化の可否の検討
 ○国立病院・療養所については、
  1)積極的・主体的な効率化・サービス向上
  2)各施設が、相互に連携・協力した自律的な活力の維持・増進
  3)各施設の経営内容の公表、及び適切な評価を基礎とした経営の改善
  などの要請に応えることが必要ではないか。
 ○なお、この場合、次のような点を考慮する必要があるのではないか。
  4)政策医療に重点化した国立病院・療養所の機能を十分に発揮し、国の医療機関としての責務を果たすことのできる組織運営体制
  5)新指針に基づく再編成計画の策定、実施との整合性の担保
  6)社会情勢の変化に的確に応え、組織運営体制の柔軟な見直しを全国的に整合性の取れた形で実現できるような配慮


別紙3

環境安全省(仮称)と雇用福祉省(仮称)についてのメモ(平成9年10月15日 猪口邦子委員)

本日の第4回企画・制度問題及び機構問題合同小委員会を、どうしてもの所要のため部分的に欠席することをお許しいただき、また発言のために用意しましたこのメモの提出をご了承いただきたく存じます。また、本日のご審議の結果を踏まえて追加的に後日意見を申し上げる可能性もあることを併せてご了解いただければ幸いです。

1.環境安全省(仮称)について

1)名称、任務・目的
1.環境を農水省に吸収するとの動きがあるとのことが一部の報道等で伝えられているが、環境安全省の創設は、今後一層重要になる環境問題に対して日本が内外に自らの正義ある姿勢を示す意味で、今回の行革の歴史的な成果となるはずのプラスイメージの仕事である。中間報告で示された同省の設置についての合意は本会議としていかなる場合にも後退させるべきではないことをお願いしたい。
2.主たる任務・行政目的に関しては、自然環境保全とともに、人間にとって健康的で安全な環境の確保を掲げるべきであり、環境保全オンリーではなく、人間にとってよい環境という人間重視の視点が必要である。安全に関しては、環境安全省の目指すものとの近接性の順に、健康にかかわるもの(健康安全)、事故や災害にかかわるもの(交通、航空、産業、防災)、治安にかかわるものと、いくつかの類型を理解する必要があり、その順序で任務の範囲を整理してはどうか。
3.名称については、環境安全省は、英訳をした場合にも、Ministry of Environmental Security という国際的な動向にも沿った表現となり、単に保全だけではなく安全を追求するという先進性が織り込まれている点において世論の共感も得られる適切な名称であると考える。
2)行政機能
4.上記のような整理に基づけば、大気、水、土壌への汚染物質の排出基準の策定・管理といった従来の機能に加え、人体に直接影響を与える「水、薬、食物」の安全性のチェックは、同省の機能とすることが妥当との判断もあるのではないか。その観点で、「薬事、公衆・食品衛生、水道に関する行政は含まない」と中間報告では整理したが、その一部、また場合によっては大半を環境安全省に移管することを検討できないか。
5.リサイクル対策は、廃棄物行政の観点と、産業政策(市場メカニズムに乗せていくためのルール設定)の観点とが交錯する領域である。循環型社会の形成を考えれば廃棄物行政とリサイクルは一体化して実施すべきであり、環境安全省が廃棄物行政を担当することになるのであるから、リサイクル行政についても強力な総合調整と指揮監督権限をもつべきである。同時に、各生産物の生産と流通構造に精通していないと資源回収の義務づけなどが難しいことも事実であるから産業省や国土開発省による政策関与を否定すべきではない。従って、企画立案は環境安全省と同省をコアとする各省とのインターエージェンシー 、そして総合調整は環境安全省としてはいかがか。
6.国際的には、目下のCOP3交渉に見られるように、各国の環境行政の専門家が国際的に議論して利害調整を進めていく場面が増えていくことが予想されるため、外務省と協力しつつ、環境安全省の国際機能を拡充することも検討すべきではないか。また外務省との関係においては、環境ODAの重要性が国際的に高まることが予想されるため、二国間ODA行政の外務省による一元化を認めた上で、環境ODAについてのインターエージェンシー を設置してもらうべきではないか。
7.原子力の安全チェックは、「施設の安全性」の問題であり、事故防止ないし災害防止として理解される。従って、「環境安全省」に担わせる事務としては上記の類型で考えれば近接性が薄い。産業省が実施する原子力の安全規制の二次チェックを行う原子力安全委員会は、各省並びより一段高いポジションにたつ存在として整理する必要がある。他方で、施設の事故等以外の一般的な放射能汚染は日常の健康安全の本質にかかわることから、環境安全省が監視の責任をもつべきであり、全国的な放射能モニタリング、食物、飲料水、土壌等の放射能水準調査等、現在科学技術庁が有している放射能水準の調査機能は環境安全省に移管してはどうか。
8.有害化学物質の製造・使用の規制も、健康安全にかかわる環境汚染防止のための制度であり、産業省の関与を認めつつ環境安全省の機能としてはどうか。
9.海洋汚染防止(油濁汚染等)に関する基準設定については、海上保安庁が仮に国家公安委員会に移管することになる場合には、環境安全省の機能とすることが適切ではないか。
10.原生林等については、人手によって損なわれていない森林で、林業経営の対象とはせず保全すると決めた森林は、環境安全省に移すことが適切である。
11.環境行政と公害審判に関しては、産業省と公正取引委員会のごとく必ずしも利害が一致しないとの議論もあり得るが、いずれもそれぞれの行政分野の関係が深く、審判機能の独立性を保持しつつ企画立案に関して綿密に連携をとらせる形、たとえば当該問題に関するインターエージェンシー の設置が必要ではないか。


2.雇用福祉省について
1)名称、任務・目的について
1.名称については、日本社会が活力を維持するためには、国民が労働を通じて能力を十分発揮することが必要であり、それによって、福祉や社会保障の維持が確かなものになるという関係になることから、「雇用福祉省」という名称は国民にわかりやすく、理念的にも整合性のある優れた名称であると考える。
2)行政機能について
2.同省の中核的任務の目的との関係で必須になるものと、雇用福祉省で担当してもよいが、他省との関係で整理することも可能なものに分けて考えるべきではないか。その際、現在の雇用福祉省が15の内局プラス社会保険庁という極めて大きな規模となることに留意する必要があり、新設する環境安全省との関係整理が最も重要である。同省のところでも論じたように、環境安全は基本的には自然保全とともに人の健康に係わる環境の保持改善を目指すものであり、公衆衛生はこれに非常に接近した概念であろう。環境安全省との関係については、同省の記述を参照。
3.労働基準行政と職業安定行政は、日本が批准しているILO条約においても国の管理の下で公務員が実施すべきものとされており、企画から実施までの責任体制の仕組みは維持する必要があるのではないか。
4.労働行政においては都道府県段階の第一線の機関が極めて重要であり、都道府県段階の機関の廃止やブロック機関化は雇用政策業務の後退をもたらすことに留意する必要がある。雇用機会均等の女性労働施策については都道府県女性少年室が実施を担当していることから、このシステムを維持発展させることは重要である。ただし、地域内の雇用福祉省関係の出先機関について一本化できる可能性があるのではないか。
5.船員の労働行政は、内容の特殊性ゆえに、労働行政一般より、海上交通行政との一体性が必要であり、国際社会でも一般的にそのような配慮がされている場合が多い。
6.保育行政と幼稚園行政については、海外の事例などを調査しながら(たとえば欧州の一部の諸国では、同じ施設が一定時間までは幼稚園であり、放課後は保育園として機能するシステムになっている)、所管原理の発想を脱して、子供と保護者に最も無理がなく、また多様な保育時間のニーズに対応できるプレ・スクールの育成機関を提供していく工夫が必要である。日本の場合、未就学段階の育児の家庭負担が大きすぎ、これが最も重要な少子化の原因と考えられることから、この分野の行政改善は日本社会の長期人口趨勢を決する重要な課題であり、育児負担を主として担う保護者が有職か否かにかかわらずに家庭の育児負担を社会的に軽減していくという新たな発想が必要である。元来、就学前の児童のための機関は、ナースリー、プレ・スクールという具合に児童の年齢を基準に分けられるべきであり、家庭内に専業育児者がいるか否か(保育に欠ける、という保護者の状況等)という基準で機関が分けられるべきではない。