1 日時 平成8年12月19日(木) 11:00 〜13:20
2 場所 内閣総理大臣官邸大食堂
3 出席者
(会議)
武藤嘉文行政改革担当大臣・総務庁長官(会長代理)、芦田甚之助、有馬朗人、飯田庸太郎、猪口邦子、河合隼雄、川口幹夫、佐藤幸治、塩野谷祐一、豊田章一郎、藤田宙靖、水野清、諸井虔、渡辺恒雄の各委員
(政府)
与謝野内閣官房副長官、古川内閣官房副長官、田波内閣内政審議室長
(事務局)
水野事務局長(再掲)、八木事務局次長
(行政改革委員会説明者)
宮崎勇委員長代理、田中直毅委員・官民活動分担小委員会委員長、轉法輪奏官民活動分担小委員会座長、奥野正寛官民活動分担小委員会参与
(経済審議会説明者)
長岡實会長代理、小林陽太郎委員・構造改革推進部会部会長、水口弘一委員・行動計画委員会委員長
4 議題
(1) 行政改革委員会との意見交換 − 行政改革委員会の意見について(「行政関与の在り方に関する基準」を中心として
−
(2) 経済審議会との意見交換 − 経済審議会の報告等について −
(3) その他
5 会議経過
(1) 行政改革委員会(以下「行革委」という。)から、その活動の概要及び行革委が平成8年12月16日に総理に提出した「行政関与の在り方に関する基準」、「規制緩和の推進に関する意見(第2次)」及び「情報公開法制の確立に関する意見」の内容について、「行政関与の在り方に関する基準」を中心とした説明があり、これを受けて意見交換が行われた。
・官民分担の意見に関し、複数の委員から、理論的によく整理された貴重な作業であり、共感できる内容である旨の発言があった。
・産業保護的な政策から原則として撤退すべきとの行革委の意見に関して、衰退産業は別としても、成長が見込まれる産業の育成からも撤退すべきだというのか、将来の成長の不確実性の問題についてはどう考えるのかとの質問があった。これに対し、行革委から、将来の成長が不確実であっても、マーケットで将来性やリスク、不確実性が処理されるのであり、政府の介入は抑制すべきとの意見が述べられた。
・経済的合理性だけで割り切ってよいのかとの観点から、例えば、過疎の問題に関し、人が住んでいること自体が安全保障になるというスイス流の考え方があるが、安全保障や政治的安定性といった経済以外の視点はどの程度議論されたのかとの質問があった。これに対し、行革委から、便益と費用を比較する際の便益には、政治的安定性という要素も入っている。この場合、水掛け論にならないように便益を数値化する必要があるとの説明があった。
・大学について、国内的な格差解消と同時に、国際的に他のG7諸国とその水準を競う必要がある、また、大学・研究機関と民間との連携強化が必要だが、研究・教育公務員の業務規制等を見直すべきとの意見が述べられた。これに対し、行革委から、今後の検討課題との認識が示された。
・エネルギー関係の規制について、公害規制、CO2排出規制などは強化が必要ではないかとの意見があった。
・市場の失敗に伴う紛争処理について、司法が事後的に対処することが考えられるが、この部分を増強すると「官」が減ることにはならず、減らそうと思うと「民」による民民規制が出てくると思うがどうかとの指摘があった。これに対して、行革委から、すべてをマーケットに任せようというのではなく、外部性があるもの等については官の役割は当然あるが、それが公共財として必要であることを個別に説明し切ることが必要であると考える旨説明があった。
・行革委の意見中言及された司法に対する期待に関する質問に対し、行革委から、アメリカでは、行政関与の必要性がないとして提起される訴訟で、司法判断を通じて便益と費用について基準が形成されるが、この点で日本は、司法に未だその力量が十分ない現状にあるのではないかとの説明があった。また、三権のチェックアンドバランスを機能させる観点から、国会の行政に対する監視機能の充実が必要であるとの認識が示された。
・行革委から、官民分担についての意見は広く行政に関する分野に適用可能な汎用性のある基準であると考えており、中央省庁の再編の在り方等を検討する行政改革会議においても、理論的な物差しとして是非活用してもらいたい旨述べられた。また、行革委は明年12月まで任期があり、行革会議と連携して活動していきたい旨説明があった。
(2) 出張のため前回の会議に欠席した芦田委員から自己紹介が行われた。
(3) 経済審議会(以下「経済審」という。)から、平成8年12月3日に報告等がなされた「『構造改革のための経済社会計画』の推進状況と今後の課題」及び「6分野の経済構造改革」について説明があり、これを受けて意見交換が行われた。
・我が国経済社会は構造的諸問題を抱え破局的状況を迎えつつあるとの説明であったが、経済的要因だけでなく、教育を含んだ心の問題、文化の問題があり、そうした面からの検討が必要ではないかとの意見に対し、経済審から、昨年末に決定した経済社会計画では、心の豊かさを求めることの重要性や日本が文化発信国となるべきであり、個性を育てる教育を行うべきであるなど経済面以外を重視し、その旨言及しているとの紹介があった。
・改革はフィーバーがないとできないが、その裏に危険性もある。例えば、アメリカではインターネットが無政府状態になっていたり、保険会社がリスクの高い者との契約を拒否するため無保険の自動車が多数に上っている。ビッグバンにより中小の金融機関が倒産し、取り付け騒ぎ等のパニックが起こったり、金融資産が郵貯にシフトし、財投の膨張が起こることの懸念など、規制緩和に伴う弊害のおそれについて指摘がなされた。また、競争原理は導入すべきであり、過剰な福祉もいけないが、弱者救済は考えていく必要があるとの意見が述べられた。これらに対し、経済審から、規制緩和は国際的な経済競争力を高めるために多すぎるルールを減らそうということであり、ルールのない状態で競争させるということではなく、必要最小限のルールは必要である。また、社会的弱者については、例えば消費者保護の規制を強化するなどの対策をとりつつ、規制緩和をする等の配慮が必要であるとの認識が示された。
・経済審から、現在はいわばマグマがたまりきった状況であり、一気に改革を進めるべきであって、改革が遅れる間に国民が莫大な機会費用を払っているということに留意する必要があるとの認識が示された。
・女子保護規定の解消を経済審建議が提言していることについて、高齢者問題は、詰まるところ少子問題に起因しており、育児休業制度や育児就業制度の整備など、女性の自己実現と家庭生活の両立を支援するような制度改革を合わせて行うことが必要である旨の意見が出された。
・ILO総会において、フランスのシラク大統領が、大競争時代の到来ということで皆がそれに目を奪われているが、そうした時代にあってこそ、社会的な視点が重要である旨講演を行ったのを聞き、大変感銘を受けた。このような観点が重要であるとの意見があった。
(4) 今後の審議日程について、明平成9年1月には16日(10時〜12時見込み)及び29日(午後又は夕刻見込み)とするとともに、2月以降については開催日の定例化を図ることとし、毎月第1及び第3水曜日(午後又は夕刻見込み)とすることが了承された。次回1月16日の議題は、地方分権推進委員会及び西澤潤一前東北大学長との意見交換を予定することとされた。
(5) 幅広く国民から意見を聴くことが重要であるとの観点から、来年2月下旬以降、地方公聴会的なものを実施するべく準備を進めていくことが了解された。
(6) 今後の進め方について、次のような意見が述べられた。
・この会議では1年という限られた時間内に成果を得ることとされており、少しでも早い時期から具体的な議論に入っていく必要がある。
・本日のような会議運営は効果的でよかったと思う。単に話を聞くというのではなく、意見交換を通じて自分たちが議論していくという姿勢で臨むことで、効果が上がっていくと考える。
・有識者との意見交換を行うとともに、具体的な問題について意見を交換し、問題意識を醸成していくことが必要である。
・事務局において、行政機構の変遷、各界の提言の整理、諸外国の改革の動向、改革案の選択肢などの作業を進めるよう要請したい。
以上
(文責 行政改革会議事務局)
−速報のため事後修正の可能性あり−