3.中央省庁の在り方

(1)企画立案機能と実施機能の分離

【分離に関する考え方】
○ 中央省庁は実施機能を分離して企画・立案・調整機能に純化し、政策の選択肢を提示。行政が高度化・複雑化する中で実施機能を切り離し、中央省庁の機能を企画立案に絞ることは、目標管理の徹底を促進し、政策の硬直化を防止し、不透明な行政指導を排除することに寄与。地方分権を促進し、また政治の在り方や政治の気風にも好ましい影響(地元利益の誘導よりも、大きな視点での国政への取り組みが要求される)を与えるようになると期待。
○ 情報化を徹底的に進めれば、現業を離しても企画立案機能に問題なし。
○ 企画立案機能と実施機能の区別を単純に想定することはできず、むしろ、考え方としては、様々の性質と内容とを持った企画立案機能のうち、何が中央省庁の手に残さるべきものであり、何が外部に出しても差し支えないものなのかを、よりきめ細かく分析する必要あり。また、実施機能といっても権力作用を含むものとそうでないものがあり、権力作用を行う行政機関を、どのような形式で通常の国家行政組織の外に出すことができるかについては、十分な詰めが必要。
○ 企画・立案・調整機能と実施機能とを分離することはある程度は可能であろうが、そのメリットは何かを個別に検討すべきであって、必ずしも一般原則にはならず。それ以前に全体の仕事そのものを縮小すべき。
○ 行政が高度化、複雑化している中で、実施部門から離れて有効な政策の企画・立案・調整を行い難い部分あり。
○ 企画・立案と執行を分離しても、行政の国民への説明責任を強め、政治の指導力を強め、育成することにはつながらず、行政の効率化を進めるとはいえず。むしろ、地方分権と経済的規制の緩和を推進した上で企画・立案と執行を一体的に運営することが、行政機能の効率化を促進。

【実施部門の選定方法と対象】
○ 実施機能については、行政改革委員会の『行政関与の在り方に関する基準』を基本に見直し、国の行政組織内にとどめるものは必要最小限化。<別紙1参照>
○ 企画立案部門と業務執行部門の分離の仕方としては、道路計画の策定をする省と建設する庁を別にすることが可能。港や空港も同様。また、政策部門と、政治的中立が重視される実施部門を別にすることも可能。例えば、公正取引委員会を分割し、再販問題などの政策を担当する部門は国会に責任を負う省あるいは庁が担当し、カルテルの摘発などを行う準司法的部門は中立性の高い官庁が担当(例えば、国民生活省の「競争政策局」と総理府の「公正取引庁」に分割)。通信政策と電波の割当・管理、医薬品政策と薬品の安全審査なども政策担当省と外庁に分けることが可能。
○ 規制を一貫した方針の下に(例えば経済的規制は撤廃し、社会的規制はG7並)明確に定めれば、立案と実施の間の責任は自ら明白。現業、現業的・定型的業務、施設管理・運営、試験・研究、教育・研修などの実施機能を分離することは妥当。

【実施部門の責任と運営(エージェンシー制度については後述)】
○ 全体の行政責任は大臣が負い、管理は実施部門の長が負い、運営の基本方針は本省が立てるべき。
○ 実施部門については、事務・事業の性格に応じ、活動の弾力性、市場規模、当事者能力、政策目的の達成度の観点を踏まえ、まず民営化(基本的に行政の関与をなくす場合と規制・助成措置等により行政が関与する場合がある)を検討。それが困難な場合に、例えば特殊法人を典型とする、府・省・庁などの行政機関以外のような経営形態を検討するというように、できるだけ行政の関与を弱くし、市場原理を働かせるような経営形態が採れないかを順次検討していくべき。
○ 執行部門については、民営化・競争原理等の導入も視野に入れて簡素化・効率化を図るべき。
○ 実施部門については、民間の経営感覚を生かすことが望ましいことから、民間人の登用や、逆に官から民への人材の流動化を認めるような仕組みを検討すべき。

【分離にあたっての留意点】
○ 実施機能の分離に際しては、雇用不安に発展しないような工夫と、競争力の発想のない特殊法人に類似した実施機関が増えるだけにならないような工夫が必要。

(2)編成の考え方
1)大括り化

【基本的考え方】
○ 省庁の大括りの考え方に賛成。組織を簡素化し、縦割り行政を排し、調整を簡便化し、また、政策の総合的・整合的運営等を行う上でも望ましい点が多。
○ 縦割り行政の弊害(権限・手続の重複、新規事業への縄張り争いによる計画の挫折、総合的な利益考慮の欠如、予算配分の既得権化等)の排除は、省庁の「大括り」によらなくとも実現可能。なぜならば、理論的には、権限・手続の縮減、長期的な総合的計画に従って施設整備等を行うシステムの整備、予算制度の改変といった、制度改革によってかなりの部分が解消可能。ただし諸々の制度改革には多くの困難が伴い、その実現には百年河清を待つの感あり。そこで、河清を待つのに百年を要しない結果となることがあり得るのかもしれないというところに、強力な政治的リーダーシップの下、省庁の再編を行うことの現実的意義あり。
○ 官僚には、自己の職場を、省庁単位あるいは部局単位で「ムラ」と感じ、そこに「帰依」すると同時に、部外の者に対しては、積極的な関心を持たないか、あるいは関連が生じた場合には、基本的に拒絶的に対応する、といった傾向あり。それが「縦割り行政の弊害」の最大の根源になっているとすれば、その宿弊を取り除くには、「ムラ」の解体、すなわち行政機構の大掃除が必要。ただし、この「積年の宿弊]または「澱」ないし「苔」の大掃除は、「ムラ」の住人の編成(人事の在り方)の在り方を変える方法によっても可能。

【省庁の削減】
○ 縦割りの弊害を除去するため省庁間の垣根をできるだけ少なくし、また低くするため、企画・立案・調整機能に純化しスリム化した省庁を目的によって統合し、数を半減。
○ 省庁の数を半減すべき。省庁内の膨張しすぎた部局を整理し、また、国の事務を地方に移譲するにつれて、現在の中央省庁の内部部局も自然に縮小するであろうし、省庁の実施部門のエージェンシー化が進めば、さらに中央省庁の政策立案部門の簡素化は促進。そうなれば、企画立案部門は10省内外に再編可能。<別紙2参照>
○ はじめに半減ありきではなく、再編のあとの省庁の数がどうなるかは結果論。
○ 行政目的別編成がされた場合、その行政目的をどの程度まとまりのあるものと捉えるかによって、省の数が決定。

2)再編の軸

【行政目的】
○ 今後一層高度化、多様化、複雑化する行政需要を展望すると、明確な目標を設定し、徹底した目標管理を行いながら行政運営していく必要があり、省庁の再編成は、行政の目的(機能)の類似性・同質性に応じてなされるべき。これにより、テリトリー論争よりは政策的な論争を一層活発化させ、政策目的に向けた包括的な施策を集中的、効果的に展開することが可能。施策の一貫性の確保、各分野に関する専門的知識の蓄積、法令等との対応関係の明確化を図る観点からも有益。また、政治においても、行政課題についての総合的な対応方策についての議論が一層増加することとなり、国民本位の行政の実現に寄与。
○ 明確化された行政目的・課題に応じた行政目的別編成が追求されるべき。
○ 現在の省庁の統廃合ではなく、公務の諸機能を業務群に分割分類し、政策目的で組み合わせるべき。
○ 欧米へのキャッチアップが課題であった時代は、その外生目標との関係で所管主義であっても行政機能の能動的政策志向が可能であったが、今後は毎年、行政各部が目的意識の高いミッション・ステートメントをあらかじめ示し、その目的に向けて行政の能力を結集し、また結果重視の政策評価を各官房等で行うなどの目的原理への転換が必要。
○ 再編の基本コンセプトは目的の同一性であり、次に事務の類似、同質性。
○ 目標管理型の編成という日本の21世紀を担う新たな行政原理(大競争に勝ち残る強靭な経済の形成、安全の確保、財政の改革等)を生み出すべき。
○ 国民の関心の最も高いテーマに取り組む行政の体制を明確にすることによって、国民の不安の根底にある諸問題にアプローチする姿勢を示すことが重要。その意味ではまず「集中、包括的に取り組むべき課題を基本として」組織の再編を考えるべき(例えば社会保障、地球環境、教育文化、情報通信)。その上で、事務の類似・同質性を点検し、重複のない合理的な再編を目指すべき。
○ 再編は事務や行政目的の類似性・同質性を軸に進めるが、中長期的な課題については課題対応型の省の設置も組み合わせるべき。

【中心的機能】
○ 国家としての重要な目的・機能として、1)「国家の存続」、2)「国富の確保、拡大」、3)「国民生活の保障」、4)「教育、国民文化の伝承等」は妥当。なお、科学技術と教育は不可分の関係にあり、双方の機能を切り離すことは不適当。
○ 上記の4つに加え「知的資産の創成」を「第5の国家機能」として位置づけることが適当。もし4つの機能に分類を限るのであれば、第4機能の役割を4−1教育と文化(人材の育成や研究・文化振興の基盤整備を図る役割)、4−2科学技術( 科学の基礎及び開発・応用研究分野振興を図る役割)の2つに分けることを提案。科学技術には狭い意味の科学技術に加えて防災や環境を考慮に入れるべき。
○ 現在の省庁は、客観的に見て政策的課題の軽重がアンバランス。国家機能の領域ごとに大括りにし、その中で局の単位で再編成を行うべき。国家機能の領域は、1)基礎国家機能、2)国土基盤、3)文化基盤、4)国民経済、5)国民生活の5つのコンセプト。<別紙2参照>
○ 大括りの理念的シェーマとして、4つの領域。
1)「国家(組織的な対応力を高める)」と「均衡」を目指す領域 − Security(安全)− 外交、防衛、治安、法務、防災、国土管理、
2)「国家(組織的な対応力を高める)」と「攻め」を目指す領域 − Competitiveness(競争力)− 産業政策、マクロ・ミクロ政策、金融、情報通信、航空、農業、観光、
3)「人間(個人に宿る力を引き出す)」と「均衡」を目指す領域 − Human Development(人間開発)− 初等中等生涯教育等、福祉、環境、医療、労働、社会インフラ、
4)「人間(個人に宿る力を引き出す)」と「攻め」を目指す領域 − Knowledge(知識=知的突破力)− 研究全般、科学技術、医学、文化。

【対抗関係】
○ 縦割り行政の弊害除去を省庁の統合(大括り)という方法によって解決しようとするならば、一般に組織というものが持つ分節機能(組織内部でのチェック・アンド・バランス機能)をどうするか、が検討されるべき。どのような見地からの分節を最も重視するかが問題となるが、省庁編成のためには、諸々の行政活動の目的の共通性よりはむしろ、相互に分かたるべき異質性を見出すことが必要であり、そのためには、異質であることを判断するための基準の設定が必要。一言でいうならば、どのような要素(利益)とどのような要素(利益)との対立を、最も重要な対立項として、今後維持しなければならないか(すべきであるか)の問題であって、これは21世紀における日本社会はどのような社会であるべきか、という基本的な問題と関連。
○ 「主要論点項目」にある「公共的目的の対抗関係」については、行政内部に望ましい緊張感や競争関係を与える意味でも考慮すべき。
○ 利益相反や対抗関係にあるものは別組織とし、その間の調整は官邸主導、政治主導で行うべき。
○ 再編にあたっては、同一省内で利益相反や行政目的の対抗関係が生じないよう、また、各省が事実上、上下の関係となることがないよう配慮。

【国際的調和】
○ 再編にあたっては国際的な行政組織との調和という観点を盛り込むべき。
○ 縦割り弊害除去、行政効率化が優先されるべき現時点では、国際的視点から他国の省庁編成と調和させることは優先課題になり得ず。

【再編軸に関するその他の視点】
○ 国際水準に照らして優れた水準を達成した行政機関を中心に、国際的に見劣りする結果しか実現できなかった部門のレベルアップを行うことができる大括り化。
○ 省庁再編では、社会保障、地球環境、教育文化、情報通信を重視することが必要。
○ 社会資本形成は生活者の視点が欠落しており、他の先進国並みの生活者のための社会資本を提供できる行政機関が必要。
○ 女性の社会参画や男女平等推進の面で、他の先進国並みの著しい効果を挙げることのできる行政組織が必要。
○ 基礎と開発ならびに応用研究の3つの役割を一省庁に課すことは、縦割りの弊を破ることができるという利もあるが、範囲が大きくなり過ぎる弊あり。学術的基礎研究は文部省で、開発は科学技術庁、通産省その他で分担する現在の構造は決して悪いものとはいえず。しかし縦割りによる非能率や、重複は改善すべきであり、一つの政策課題に対する複数省庁の壁を越えた政策協調が不可欠。特にバイオサイエンス、防災科学技術、環境科学技術等については総合的研究開発が必要。
○ 今後科学技術を推進して行く上で必要なことは強力な調整。特に宇宙、原子力、防災、環境等の巨費科学等の将来計画や、国としての研究の方向づけを検討する上で調整は必要不可欠。このため総理大臣が議長である科学技術会議を一層強化。
○ 中央省庁を大括りとするとき、どうしても文化・教育・学術研究は軽視され勝ちなので、今後の国際関係を考えても特に注意が必要。科学技術の研究が非常に重要となるが、これを実際的な目的との結びつきにこだわりすぎて短絡的に全体的な学術研究から切り離すのは危険。
○ 研究機関と大学とを切り離すことなく、大学院教育における研究者養成と研究活動の連携を密にすべき。
○ 国立研究所等や省庁指導のプロジェクト等の研究内容を再編し、国は基礎、開発及び試験研究に重点化すべき。

3)編成に関する留意点
○ 変化に対して組織を速やかに改革できるように、組織の固定化を回避すべき。
○ 集中・包括的プロジェクトの考え方を組織再編の中に入れるべき。
○ 省庁間の共同プロジェクトチームによる行政執行などの制度等を導入。
○ 複数省関連課題の機動的・重点的処理は、内閣総理大臣の指示により設ける課題毎のプロジェクト・チームが担当。
○ 前例に基づく行政的惰性から脱却して、費用対効果の発想で絶え間ない自己点検と自己改善を行える行政機関を作り、そのような観点から行政機関や実施機関の人事政策もなされるべき。

(3)政治の責任と指導性
○ 大臣は当選回数別順送りでなく、十分な識見能力を持った人のみを任命すべき。
○ 大括り再編に伴う主任の大臣の負担を軽減するため、必要に応じ、部局の行政を分担し国会への対応等にあたる副大臣を設置する等、制度的な仕組みを考える必要あり。
○ 企画・立案・調整部門においては、政治のリーダーシップの発揮の観点から、副大臣等の政治的任命による職の設置を検討することが重要。
○ 政務次官などの政治任命職の役割強化と政治任命職を増設し、国会説明を負わせる(政府委員廃止)とともに政策立案における政治の指導性と責任を明確化。
○ 各省庁のトップ層の任用方式については、ポリティカル・アポインティーのシステムは弊害もあるし日本には馴染まず。むしろ上級公務員の採用、配属、異動、昇進、退官、退官後処遇などの人事制度を抜本的に改正し、公務員の志気を維持しつつ組織エゴの出ない形を作るべき。内部で育成できぬ高度な能力を有する人材は学者や民間人、場合によっては外国人でも採用すべき。
○ 一定の幹部職員の人事について内閣の関与を認める現在の方式を、正式に法制度化することが考えられるが、この場合現実性があるのは、内閣による任命方式ではなく、各省毎に行われる人事案件を内閣の承認に掛からしめるという方式。ただし、各大臣から実際に提案された人事について、たとえ内閣によろうとも、政治家による実質的なコントロールが可能であるのか(すなわち、内閣が承認を拒否するケースが実際にあり得るのか)については疑問があり、結局、官僚に対する優れて心理学的な効果に止まる可能性あり。

(4)総合調整

【内閣機能への一元化】
○ 行政組織を効率化、整合化、透明化した上で、具体的に再編成する段階では、「総合調整」という観点が最も重要。ばらばらに行動している省庁があって、後から総合調整するのではなく、最初に総理官邸において国家の政策目標を一元的に設定し、それを実現する手段として、各省庁の行政があるというふうに発想を変える必要あり。省庁の再編成と官邸機能の強化とはリンクして考える必要あり。
○ 総合調整は絶対に必要であるが、それは一省庁の責任というより官邸の責任で行うべき。内閣機能強化の方向で考えるべき。

【内閣府(仮称)の設置】
○ 総理府を「内閣府」に改組し、総合調整機能は「内閣府」が専管。そのため、「内閣府」には、現在の内閣官房、総理府本府の持つ総合調整に係る権限に加え、内閣法制局、人事院、総務庁をはじめとする総理府の外局等から、法制、組織、予算、人事、計画に関する基本的な権限を移管・統合。現在、総理府本府が行なっている総合調整以外の事務については、外局に移管。内閣法制局、人事院ならびに総理府の外局に置かれている総務庁、経済企画庁、国土庁等の総合調整官庁については、原則廃止。
○ 総務庁による組織管理、人事院による人事管理、内閣法制局による法制管理のほか、専ら大蔵省に属してきた財政管理(予算管理)の一部等の総合調整機能は、例えば総理府を改組して設ける「内閣府」のような組織に集中する。このためのスタッフはかなりの規模と数とになるはず。
○ 内閣官房と総理府本府、調整官庁の調整事務等をまとめて内閣府とし、調整官庁の実施部門は省庁再編の対象とすべき。

【総理府及び総合調整官庁】
○ 現行の総理府及びその外局は、調整機能と同時に一定の実施機能をも持つ性格の曖昧な機関。内閣官房の機能の整理に伴い、総理府のこういった諸機能をも整理し、調整機能は内閣直属の組織に統一し、実施機能は、そこから排除して、独立の省庁(または他の省庁)に移管。
○ 総理府の外局に置かれた現在の総合調整官庁は、期待された役割を果たしておらず。重要政策課題に係る総合調整の役割は内閣官房に移行させ、残るものについては、現在の総合調整官庁が関連する国家機能の領域に属する諸省庁の司令塔として、内閣官房と相対して関連領域の総合調整を担当。
○ 目的領域別編成の下の各省の問題解決能力を強力なものとするためには、現在、主として、総理府の外局で行われている特定の施策の総合調整権限を、それぞれの目的領域を所管する省に移管することが効果的。

【省庁間協議】
○ 省庁間の協議機関は大いに活用すべき。

(5)行政委員会
○ 政治的中立性の特に強く要求される管理業務や準司法的業務、また法執行上の失敗が明らかで通常の行政機関に行なわせるのが適切でないような業務は、独立行政委員会を活用すべき。
○ 省庁の在り方が変わっていった場合、行政委員会のような組織がなお必要か検討すべき課題である。
○ 独立行政委員会(3条委)は、憲法65条違反の疑いがかねてから指摘されており、実際にも責任の所在を不明確にするもの。

(6)審議会
○ 審議会の役割は利害関係者の合意形成や省庁の隠れ蓑ではなく、専門家を集めてどんな選択肢があり、それぞれどんなメリット・デメリットが社会にとってあるかの知恵を出すこと。省庁内でできるのならわざわざ設ける必要なし。
○ 審議会については、今後、官と民との活動領域が整理をされ、政治のリーダーシップが十分に発揮されるならば、本来は不要。政策提言機能については、公聴会等を効果的に活用することを基本とし、どうしても審議会の設置を必要とする課題がある場合には、その都度時限設置。
○ 審議会を整理し、各省庁に局単位である私的諮問機関は原則として禁止。
○ 審議会の委員の推薦においては、できるだけ従来の壁を破る人選を考えるべき。
○ 国民の行政への民主的参加を担保する観点からの審議会等の改革。

(7)エージェンシー

【エージェンシーの導入】
○ 公的役割を終えた実施機能は廃止するか民営化すべき。なお公的役割を残し、現業的マネージメントで効率化を図るべきものはエージェンシー化すべき。エージェンシー化の狙いは、政府をスリム化(行政組織改革で誕生する巨大省庁を”分社化”)する点にあり。
○ 執行部門は基本的に新しい外局(庁)や独立法人に移行せしめ、さらに、民間に移行できるものは極力移行せしめるべき。
○ 各省庁の抵抗で実施までに時間がかかるおそれがあるため$最低2、3部門とか、要員の一定割合以上などの基準を決めて、エージェンシー化を実行させるべき。
○ どのような分野がふさわしいかの基準は、今後なお検討する必要あり。
○ 究極的な民営化までの激変緩和措置としてさしあたり特殊法人化するもの、公権力の行使にあたるため最終的に民営化は許されないもの、等々、様々のケースあり。

【エージェンシー導入の問題点】
○ 概念を明確にして検討する必要あり。エージェンシー化を執行幹部の契約制、数値目標による業務評価、業務執行の裁量権付与等の制度と理解するならば、これら条件が整っていない我が国においては、業務評価や結果責任などをいかに行政に組み込むかの努力がまず必要。拙速に形だけのエージェンシー制度を取り入れ、中央省庁の縦割り権限を温存することは避けるべき。
○ エ一ジェンシーと、すでにある現業や公団、事業団などの特殊法人と較べ「何が足りないのか」、「何を直せばいいのか」などを具体的に検討する必要あり。また、エ一ジェンシーが経費の節減にどのようにつながるのか、人事・予算の面で各省との関係はどうなるのか、国会との関係はどうか、どのようにすれば独立的な運営が保障されるのか、などの点について吟味すべき。エージェンシー制度の直輸入には慎重な検討が必要。
○ 外国で、その国の事情を背景として生まれたエージェンシーなる制度は、スリム化検討の参考にはなるとしても、無批判に前提とし、その「導入」という形で議論されるべきではなく、我が国の従来の外局そして特殊法人の両制度をベースとしてその改善を考え、今後あるべき外局制度、特殊法人制度はどのようなものか、という問題として、全体を捉えるべき。その際の検討の中心は、人事・会計制度、業績評価システム等、の改善。この点で、民間企業のメリットを取り入れることが制度改革の中心。

【具体的な仕組み】
○ エージェンシーが従来の特殊法人の二の舞にならないよう、効率的運営とサービスの向上を可能とし、運営を透明化するための仕組みを工夫する必要あり。事務・事業の性格に応じたふさわしい責任と権限を持った弾力的な運営を可能とする経営形態の制度設計の検討。
○ 組織の運営は民間の手法を大胆に取り入れ。
○ エージェンシーは業務の内容に応じて仕事を政府から請け負うのだから、エージェンシー毎に独自の採用や給与システム、ポストの制定など、運営の自主性を認めるべき。
○ エージェンシーの長は、ケースにより民間から採用。十分な能率を挙げていない機関の長は再公募。
○ 職員は公務員。
○ 当面、職員は元の職場から移籍する公務員だろうが、いずれは任期制にしたり契約ベ一スで採用するようにし、また期間を区切って業務を民間委託(委託業者の入替えは競争原理で行う)とし、その期間内は民間職員に準公務員の地位を付与する等のことを検討。
○ エージェンシーに対する、省庁の人事介入などにどう対処するかの問題をクリアする必要あり。
○ 外局、外庁の職員は、各担当分野に関する知識の蓄積、専門家の育成を図るとともに、自主努力による合理化・効率化を図る観点から、その長を除き、各外局、外庁の責任において採用、管理。
○ エージェンシーは一定の予算で業務を請け負う形となるが、予算が余った場合は、剰余金として繰り越すことを認めるべき(多年度予算制度)。数年経って、繰り越した金がたまった場合、一定額は国庫に返納するが、残りはボーナスで支給するなど内部で使うことを認めるべき。
○ 財政当局あるいは総務庁などが、各エージェンシーの人件費の天井を定め(人件費のシーリング制)、その枠内なら給与体系、定員数等をどうするかなどはエージェンシーの裁量。
○ 目標を設定し、その達成度合いによって成果を評価する仕組みの導入。
○ 効率を高めるため、業務、財務の計画と達成目標を数字で示し、国会でチェック。
○ どんな仕事を、どれだけの財政資金を使って行ったのか詳しいデータを公表。企業の財務諸表に近い内容とし、公的部門が将来も継続してやるべき仕事かどうか毎年国会でチェック(企業並みの財務、業績の公表)。
○ 企業並みに、民間の監査法人のチェック。
○ ディスクロージャーの徹底。
○ 一定期間ごとに利用者満足度なども含めて公開業務評価。
○ エージェンシーの名称(例えば公庁、公局、公社等)を検討。

【エージェンシー化の対象業務例】
○ 当面、エージェンシーが扱う業務は、収益性は低いが政府が扱ってきた業務で、公務員としての権力行使や裁量の少ないものを対象。対象業務は、免許証の発給、パスポート、官庁営繕、登記、印刷、造幣、統計、特許審査、測量、国有財産、国立公園管理など。
○ 自衛隊や国税庁はエージェンシー化の対象外。他の執行機能は原則としてエージェンシー化し、特殊法人に近い形。
○ 収益性があるとみられる造幣などは民営化を視野。


行革会議の「中間整理」について第1部 中間整理(目次)

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