5.関連諸制度の改革方向

(1)国家公務員制度

【採用】
○ 人事管理機関においてキャリアの採用を一括して行うことについては、技術系職員については問題が残るが、少なくとも事務系職員については充分考えられる。
○ 内部部局の職員について、縦割り行政の弊害を是正するとともに、幅広い視点に立った人材を育成するため、「内閣府」による一括採用、一括管理とする。
○ 採用は一括採用とし、現在の上級公務員試験の二次試験にあたる部分は、内閣府人事局が、セミナー形式で2ケ月程度教育しながら能力・資質・人格などをチェックし合否を決定する。各省への配属は、人材の配分が公平になるように人事局が決定する。
○ 人事管理機関が、全職員につき、その勤務状況・能力・適性等を正確に把握して人事を行うことの可能性につき疑念もある。
○ 日本の行政が国際水準に照らして優れた結果を生み出すためには、国際水準を知る人材を採用することが必要。日本の大学を卒業した後に海外の大学院で学位を取得した人材を前提に官吏への登用試験を行うことが今後は望ましい。このような任用面での部分的な方針転換は、間接的に現代日本の教育の閉塞状況を打破し、世界に通用する人材を輩出していく契機となる。
○ 省庁の人材を豊かにする意味もあって、公務員上級試験、司法試験、外交官試験などに大学院卒の修士、博士などを対象とする制度を考えてはどうか。

【人事管理、昇進、評価】
○ 視野・経験の広がりや他省の人材との交流、行政全体の一体感の醸成等のため、8年程度のローテーションで省庁間異動を行う。その異動は人材配分の公平を期しつつ内閣府人事局が決定する。なお、技官など専門官の採用、配属、ローテーション等は、原則としてその分野に固定する。
○ 昇進については、任官後15年程度経過後、内閣府人事局が希望者に試験を行い、その合格者の中から各省が任命する。課長在任中一回は他省へ異動することとし、その人事も人事局が決定する。課長在任10年程度で局長昇進することとし、その方法は課長と同じとする。局長在任中もう一度他省へ異動する。次官は更に10年後に同様に試験により決定する。尚役職者以外については、能力・業績・経験等の評価により資格を引き上げることとし、それと給与を連動させる。
○ 人事の活性化を図り、より高度で専門的な問題処理能力が育成・発揮されるよう能力に応じた処遇や抜擢の方策の検討や、高度な専門的処理能力とともに、真に国民全体の立場に立ち、行政目的に沿った総合的な対応力を育成するための人事交流の抜本的な改革(とりわけ管理職に至るまでの間)及び研修の充実を図るべき。
○ 人事管理機関が一括採用を行う場合でも、人事管理機関が、全職員につき、その勤務状況・能力・適性等を正確に把握して人事を行うことの可能性につき疑念もあることから、国家公務員法の原則に立ち返って、昇任人事は全て競争試験によるものとする。
○ 人事管理機関において全職員につき一括人事をすることが困難であるとしても、一定の幹部職員(例えば課長級以上、または局長級以上)については一括人事をするという方法も考えられる。
○ 行政の政治的中立性・倫理性・高い専門性の確保等の観点から、職員には国家公務員を当てることを原則としつつも、期間や範囲を限定して民間から専門知識を有する人材を任用できるようにする。
○ 省庁間のみならず、官民(学者も含む)の人材交流をもっと図るべき。
○ 人事制度ではキャリアとノンキャリアの学歴偏重の昇進の是正、労使合意ルールによる省庁間・民間との人事移動・交流の拡大、キャリア職の共同採用など公務員の能力育成が促進される制度への改革、定年まで安心して働ける公平な人事制度と天下り規制など、公平で働きがいある制度に改めるべき。

【定年制、退官後の取扱い】
○ 退官は原則として定年時とし、次官は特例をもって65才迄定年延長を認める。次官及び局長は、退官後5年程度内閣補佐官に任命し、各種審議官委員、人事局試験官、サンセット予算復活の審査、省庁組織のチェック、地方自治体の財政資金投入審査、行政監察のチェック、総理と内閣の補佐等に当たらせる。補佐官は現役の各省次官・局長より先輩なので、省庁間調整等において実効性がある。このように、その経験を生かすのが本人のためにも国民のためにも最善であり、また、特殊法人等を解散することも容易となる。
○ 全体としての公務部門の効率化に資するための退職公務員の新たな職域の開発や処遇の検討等をすべき。
○ 天下りを少なくし、また、省庁の人材を豊かにする大学院卒の修士、博士の採用等のため、中央官僚の定年を65歳から70歳前後まで延長する等、退職年齢の適否の検討をすべき。

【その他の事項】
○ 外局、外庁の職員は、各担当分野に関する知識の蓄積、専門家の育成を図るとともに、自主努力による合理化・効率化を図る観点から、その長を除き、各外局、外庁の責任において採用、管理。(再掲)
○ 定員削減計画による定員管理は、組織改革に伴う必要な変更を加えた上、実効が上がるよう強化する。上級職の採用抑制も続ける。
○ 官僚の考え方が規制志向的である一因は、官僚のほとんどが法学部出身で、経済学のマクロおよびミクロの思考法を身につけていないこと。今後の時代に即応した官僚を育成するためには、東大出身者の採用を抑制するよりも、法学部出身者の採用を抑えるべき。そのため、公務員試験の比重を法律から経済に移すべき。
○ 行政の専門処理能力の高度化、人材の有効活用等の効果的推進のための、中央人事行政機関の在り方を検討すべき。
○ 現行の公務員制度については、公務員に労働3権を保障し、雇用・労働条件については労使交渉により決める必要。
○ 公務員の能力育成が促進される制度への改革、定年まで安心して働ける公平な人事制度と天下り規制など、公平で働きがいある制度に改めるべき。

(2)財政投融資制度・特殊法人
○ 財政投融資制度・特殊法人の問題は、資本主義経済の心臓部である貯蓄・投資機構そのものであって、これが国営化されている事態を見直すことなしに行政改革はありえない。公的貯蓄・投資機構の見直しと民営化は、規制緩和、地方分権と並んで、行政改革の尖兵となるべきもの。それと連動して、公共事業の長期計画を解体することが不可欠。
○ 特殊法人の廃止・縮減、国・地方の財政改革により財投資金の需要は減少し、財投の規模も漸次縮小する。その場合、郵貯・簡保・年金等の資金の運用方法については、自主運用にはリスクが伴い、自主運用を避けるなら残高の低減が必要。
○ 郵貯資金や年金資金の資金運用部への預託を廃止し、簡保資金の財投協力をやめ、それぞれ自主運用させる。
○ 郵便貯金、簡易保険、厚生・国民年金の積立金については、自主運用の一層の拡大に努めるべき。郵便貯金、厚生・国民年金の掛け金を資金運用部に預託する制度については、市場金利との連動性を強め、長期資金供給の役割をはたしていく必要。
○ 郵便貯金・簡易保険は、例えば商法上の株式会社である特殊会社に経営形態を変更し、民間金融機関とイコール・フッティングのもとで経営させることが望ましい。その際は、納税、預金保険制度への加入等を義務づけるとともに、監督体制についても、金融行政改革全体の一環として、適切なあり方を検討すべき。なお、これと併せて、郵便事業との関連、山間僻地を含めたユニバーサル・サービス提供の問題についても、別途検討する必要。
○ 個別の財投機関は、原則として自ら資金調達させる必要がある(財投機関債の発行など)。こうした「市場の洗礼」を受けた結果、何ら支障なくやっていける機関は、当然民営化すべき。何らかの公的支援が必要な場合にも、一般会計がみるべき分野、税制や債務保証といった「質的補完」で対応可能な分野、廃止すべき分野を切り分け、真に財投が行うべき業務を吟味。
○ 特殊法人はその必要性をすべて見直し、業務範囲の縮減、廃止又は民営化すべき。残すものについても、その目的や業務により、政府直轄、特殊法人、エージェンシーのいずれによるかを検討し、最も効率的な方法をとるべき。
○ 財投機関のディスクロージャーを見直し、徹底を図らなければならない。特に、民間企業と同一の統一的会計基準の導入による財務内容のディスクロージャーが不可欠。
○ 「入口」、「出口」の改革により、財投の規模を大幅にスリム化し、それにあわせて資金運用部の役割も縮小。当面、資金運用部は、ロットが小さく自己資金調達が困難な分野について、個々の財投機関に代わって必要な資金調達を行うなどの役割を果たす必要。最終的なあり方については、何らかの組織改革が必要かどうかを含めてさらに検討。
○ 資金運用部および財投対象機関(特別会計、政府系機関、特殊法人)の事業と会計の透明化、情報公開。
○ 国債引受け、資金配分、事業の必要性や長期収支について、国会論議を深化。
○ 業務監査、事業結果の評価制度を導入。
○ 財投制度の目標と役割達成に対応した組織の見直し。
○ 今後の財投制度は、中長期計画、事業採算性、公共性にもとづき厳格に投融資計画を定め、透明な運営とすべき。
○ 2000年末を最終期限とする「財投計画推進3ヶ年計画」を策定する必要。この具体的な立案作業は行政改革会議が行うべき。民間人からなる「財投改革監視委員会(仮称)」を2000年末までの3ヶ年の時限的なものとして設置すべき。同委員会では、政府の財投改革推進計画を監視するとともに、監視結果に基づき、総理に対して必要に応じて勧告。

(3)地方行財政制度等
○ 現在の都道府県、市町村の規模と行政能力では、中央政府の権限を移管されても効率的に処理できるか、また最近の地方自治体の相次ぐ不祥事の続発を防止できるか疑問。道州制の導入及び、基礎自治体を300前後に統合することが、広域行政を可能として自治責任を全うできる本格的地方分権の前提条件。統合を早くするためには、現在の衆院比例代表11ブロックを道州制に、300小選挙区を市の単位とすることを原則とすればよい。
○ 地方における安定した税収を確保するため、住民税・事業税を軽減し、地方消費税を拡充する。また、地方自らの発意による行財政改革、地方公共団体の合併を促す観点から、受益と負担の均衡をとる方向で、国庫補助負担金の大胆な整理合理化、地方交付税制度の抜本的な見直しを進める。
○ 地方選挙における投票率の向上、汚職・腐敗の根絶、新たな人材による地方自治の活性化等を図るため、首長の多選を禁止する。

(4)評価、監察等

【評価】
○ 行政のパーフォーマンスを向上させるためには、政策を評価・改善するシステムの確立と強化が必要。
○ 行政の内部における評価機能(特に、国として大きな予算を伴う土木工事や農業政策等)については、可能な限り数量的分析を伴った効果的な評価手法の確立を図リ、行政各部が事前及び事後に評価し、その情報を積極的に公開する仕組みを確保することが不可欠。また、内閣総理大臣の行政各部への評価の在り方についても検討する必要がある。

【監察等】
○ 行政のパーフォーマンスを向上させ、行政に対する国民の信頼の確保を図るためには、監察、監査、公務員の規律確保のためのシステムの整備・充実も必要である。
○ 行政府自らによる自己評価・監察を強化し、国民の行政に対する信頼を確保するため、「内閣府」に「行政監察庁」を外局として新設し、現在の総務庁行政監察局の所掌事務に加え、各種施策の費用便益分析を事前・事後に実施し公表する。
○ 行政監察は内閣府に属せしめるべきで、内閣の指導で監察の結果を行政の改善に結びつけるべき。会計検査院は現在の立場を維持してよいが、合法がどうかだけでなく、当・不当の領域にも踏みこむよう法改正を行うべき。国会のチェックも必要だが、いかなる体制で何をチェックするのかなお議論が必要。
○ 会計検査院や行政監察局の強化が必要。

【情報公開】
○ 国民の政治や行政に対する信頼の確保のため、情報公開は重要。行政情報への自由なアクセスにより、行政過程の公開性の向上を図り、政府の諸活動を国民に説明する責務(アカウンタビリティー)が全うされるとともに、行政の執行に望ましい緊張感を与え、無理や無駄をなくすことにつながる。また、大くくりの省庁再編成等により、権限が大きくなったり、業務の範囲が拡大するにしたがって意思決定過程が不透明になる懸念を解消するためにも、情報公開が有効。
○ 情報公開を進めるに当たっては、情報のデータ・べ一ス化などの整理、プライパシーの問題に配慮した一定の選別などの作業に、人的、物的な新たな資源が求められるが、これは当然措置すべき。
○ 政策を評価・改善するシステムの確立と強化のためには、市民が行政水準を判断できる情報開示と公開制度が必要。

【国民の行政に対する参加と監視】
○ 国民の行政への民主的参加を担保する行政手続の整備・強化と行政監視制度の充実(政策・計画立案過程への国民参加の保障、審議会等の改革、オンブズマン制度の導入等)。
○ 政策を評価・改善するシステムの確立と強化のためにも、オンブズマン制度の普及が必要。
○ 国民が行政に関心を示し、行政を監視し行政に協力することは民主主義の原点。オンブズマン制度を国・地方を通して実効あるものに改善すべき。
○ オンブズマン制度には、もとより積極的に評価されて然るべき面もあるが、今後の問題としては、自己責任に基づく自立的な国民像を前提とした21世紀の我が国において、オンブズマン制度の拡大が本来あるべき姿なのか、それとも、従来の制度(議員の選挙、議会の調査権、監査委員制度、住民争訟制度、直接請求制度等)の改革、運用改善等を図る方が先なのかについての慎重な検討が必要。

【行政審判制度】
○ 今後行政に関する争訟が、国民との間でも国・地方の間でも増加すると思われるので、すべてを手薄な現在の裁判所に委ねるのでなく、何らかの中立な行政審判の制度を設けるべき。退官後の省庁幹部を内閣補佐官に任命し、それを転用することも考えられる。

(5)国会、司法改革
○ 今回の「行政改革」の必要の根本的理由は、国会が、「国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である」という憲法の所期する役割を果たさず、国民の行政への依存体質を持続・固定化してしまったことにあるため、行政改革と並行して「国会改革」が不可欠。
○ わが国の直面する内外の諸課題に取り組むにあたって、内閣とりわけ内閣総理大臣のリーダーシップに期待しなければならないところが大きいが、その大前提として、国会が、憲法の期待するように、国民の間の“公開討論の場”の中心にふさわしい「議論する国会」となり、その立法機能と行政監視機能を格段に高めることが必要。
○ 国会は、政策論議、立法、調査等の役割を強めると共に、行政に対する監視機能をたかめ、内閣の行政に対する政治責任を問い、国民の付託に応える必要。
○ 規制緩和を推進し、行政の不透明な事前規制をできるだけなくしていくにしたがって、司法による紛争解決の要請が高まることが予想され、また、グローバル化に伴う「大競争時代」にあって、高度の専門的かつ複雑な法的問題の処理の必要性が高まるため、国民がアクセスしやすい司法をめざした「司法改革」が重要。
○ 「法の支配」の充実にとって法曹の役割が決定的であるが、規制緩和等の中で、社会的法的ルールの確立とルール違反への的確な制裁が求められるため、法的ルールの明確化、訴訟指揮権の強化、行政裁量の最小限化などにより迅速、公正な司法制度に改める必要。


行革会議の「中間整理」について第1部 中間整理(目次)

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