[防衛庁に対する質問項目]

☆行政改革の趣旨に照らし、各省庁において、今後取り組むべき(取り組もうとする)改革方策をご提示願いたい。
☆総理府の外局という位置づけについてどう考えるか。
☆安全保障に係る政策形成について、防衛庁としての関与の在り方についてどう考えるか。
☆内部部局、各自衛隊の幕僚監部、統合幕僚会議の間の関係及び機能分担についてどう考えるか。
☆営繕、調達、調査・研究開発、教育訓練、保健衛生、募集、情報収集・分析等の業務の独立機関化についてどう考えるか。

防衛庁説明資料(平成9年6月11日)
行政改革の趣旨に照らし、各省庁において、今後取り組むべきと考える(取り組もうとする)改革方策について

1.今後の防衛力のあり方については、以下のような我が国の防衛力をめぐる環境の変化に対応するため、一昨年11月に「平成8年度以降に係る防衛計画の大綱」(以下「防衛大綱」という。)を策定したところである。
 1)国際情勢の動向
 冷戦の終結により、世界的な規模の武力紛争の生起の可能性は低下したが、国際情勢は、依然として不透明・不確実な要素を内包している。他方、国際社 会安定化を図るための努力が継続されている。
 2)自衛隊に対する期待の高まり
 自衛隊の主たる任務である我が国防衛に加え、大規模な災害等各種事態への対応、国際平和協力業務の実施等を通じたより安定した安全保障環境の構築への貢献という分野においても、自衛隊の役割に対する期待が高まっている。
 3)その他の環境の変化
 近年、科学技術が進歩するとともに、若年人口が減少傾向にあるほか、経済財政事情等は格段に厳しさを増している。

2.防衛大綱では、このような環境の変化、特に自衛隊に対する期待の高まりを考慮し、今後の我が国の防衛力が果たすべき役割としては、自衛隊の主たる任務である「我が国の防衛」に加え、「大規模災害等各種の事態への対応」及び「より安定した安全保障環境の構築への貢献」を新たな柱として掲げている。
 また我が国が保有すべき防衛力の内容については、現行の防衛力の規模及び機能について見直しを行い、その合理化・効率化・コンパクト化を一層進めるとともに、防衛力が果たすべき役割を踏まえ、必要な機能の充実と防衛力の質的な向上を図ることにより、多様な事態に対して有効に対応し得る防衛力を整備することとしている。

3.防衛大綱における、基幹部隊の見直し等の具体例は以下のとおりである。
 前大綱現大綱
<陸上自衛隊>
  編成定数
   常備自衛官定員
   即応予備自衛官員数
   平時地域配備する部隊
(注:師団の定数6,000〜9,000人
→旅団の定数3,000〜4,000人)
  
18万人
 
 
12個師団
2個混成団
  
16万人
 14万5千人
 1万5千人
→8個師団
→6個旅団
<海上自衛隊>
  護衛艦部隊(地方隊)
  掃海部隊
  陸上哨戒機部隊
  
10個隊
2個掃海隊群
16個隊
  
→7個隊
→1個掃海隊群
→13個隊
<航空自衛隊>
  要撃戦闘機部隊
  航空警戒管制部隊
  
0個飛行隊
28個警戒群
  
→9個飛行隊
→8個警戒群
20個警戒隊

4.具体的な防衛力の整備については、防衛大綱に定める新たな防衛力の水準への円滑な移行に配意しつつ、「中期防衛力整備計画(平成8年度〜平成12年度)に基づき、既にその着実な実施に努めているところであるが、このような防衛力の見直しは、時代のニーズに合わせて行政の合理化、効率化を図るという行政改革の趣旨にも沿ったものであると考えている。

防衛庁説明資料(平成9年6月11日)
総理府の外局という位置づけについてどう考えるか

1.防衛庁は国家行政組織法上、総理府の外局として位置づけられているが、防衛庁の組織等については、防衛庁設置法、自衛隊法等において所要の規定が置かれており、自衛隊が、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つという任務を果たすために必要な体制は整備されているところである。
 具体的には、防衛庁の所掌事務、権限、組織等については防衛庁設置法等に、また、陸・海・空各自衛隊を中心とする自衛隊の任務、部隊の組織及び編成、行動等については自衛隊法等に必要な規定が置かれているところである。
 したがって、防衛庁としては、現在までのところ、総理府の外局という位置付けの下、防衛力の整備、自衛隊の維持、運用等の実務を特段の支障なく適切に実施してきている。

2.本来、防衛というのは、国の平和と安全を担保するものであり、その機能は他の手段では代替し得ないものであることから、国の存立にとって必要不可欠な機能として国の行政機能の中でも、まさに国が果たすべき役割として位置付けられている。
 このような防衛の性格を踏まえれば、基本的な行政事務を所掌する行政組織として防衛庁を「省」と位置付け、防衛行政に責任をもつ主任の大臣を置くことが望ましいといえる。
 また今日、我が国の防衛力の果たす役割は、我が国の防衛のみならず、大規模災害等各種の事態への対応や、より安定した安全保障環境の構築への貢献といった幅広いものになってきており、防衛庁を「省」にすることは、このような自衛隊の役割に対する期待の高まりをあわせて反映する意味も持つものといえる。
 さらに、国の行政機能の中で、防衛の位置付けを明らかにすることは、隊員に対しても使命の重要性について一層の自覚をもたらし、その士気を大いに高めることとなる。

3.なお、主要国中央省庁における国防担当組織のあり方を見ても、その名称はいろいろあるものの、いずれも我が国の「省」に相当する組織として位置付けられており、防衛庁のように総理府の外局として位置付けられているようなものはないと承知している。

防衛庁説明資料(平成9年6月11日)
安全保障に係る政策形成について、防衛庁としての関与の在り方についてどう考えるか

1.我が国の安全保障政策に係る基本的枠組み

(1)安全保障について、明確な定義が存在する訳ではないが、一般的には、各種の脅威に対し、国及び国民の安全を確保することとされており、我が国の防衛はもとより、政治目的を有するハイジャックへの対処、食糧危機・エネルギー危機への対処等も含まれ得るものである。

(2)安全保障政策の策定については、各省庁がそれぞれの所掌に基づき、必要な施策を企画立案することとなっているが、関係省庁間の調整や政府としての対処方針を決定するため、総合安全保障関係閣僚会議や安全保障会議が設置されている。
 総合安全保障関係閣僚会議においては、食糧自給力の維持強化や総合的エネルギー対策等といった幅広い事項について協議されており、安全保障会議においては、国防に関する重要事項及び重大緊急事態への対処等を審議することとされている。

(3)防衛力は、国の平和と安全を担保すると同時に、大規模災害等の各種の事態に対応し、我が国を取り巻く安全保障環境の安定化に寄与するものである。 このような防衛力の性格を踏まえ、防衛庁はこれらの政策形成に当たっての中心的役割を果たしているところである。

2.安全保障政策形成への防衛庁の関与と今後果たすべき役割

(1)防衛力の整備・維持・運用
 防衛庁は、防衛力の適切な整備・維持及び運用を図ることにより、我が国の防衛を全うするとともに、国際社会の平和と安定に資するよう努めているところであるが、その指針を示すものが防衛計画の大綱であり、それを具体化する整備計画が中期防衛力整備計画である。
 これらは、安全保障会議の審議を経て、閣議において決定されるが、防衛庁は、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、防衛政策を企画立案し、自衛隊を管理、運営する責任官庁として、これらの策定に係る事務作業の中心的役割を担っている。

(2)日米安全保障体制の維持及び信頼性の向上
 我が国は、米国との同盟関係を継続し、その抑止力を我が国の安全保障のために有効に機能させることで、我が国自らの適切な防衛力の保持と合わせ、隙のない体制を構築し、我が国の安全を確保している。
 防衛庁としては、日米安保体制の信頼性を向上させるため、情報交換、政策協議等の充実、装備・技術面における相互交流の充実、在日米軍駐留を円滑かつ効果的にするための施策の実施に加え、運用面におけるより効果的な協力体制の構築のため、外務省と共同で、「日米防衛協力のための指針」見直しに積極的に取り組んでいる。

(3)より安定した安全保障環境の構築のための諸努力
 我が国を取り巻く安全保障環境の一層の安定化を確保するため、防衛庁は、自衛隊の有する人的・物的能力を活用し、安全保障対話・防衛交流の推進、 国際平和協力業務及び国際緊急援助活動の実施並びに軍備管理、軍縮その他安全保障環境の安定化に資する国際的諸活動に対する防衛の分野における協力に努めている。

(4)危機発生時の対処体制の確立
 1)危機発生時には、政府が一体となって対処することが基本である。通常の緊急事態対処体制によっては、適切に対処することが困難な重大緊急事態については、事態発生に際し、安全保障会議において対処措置等を審議することとされており、このような事態が発生した場合の対処方針は予め定められているわけではない。
 我が国周辺地域における我が国の平和と安全に重要な影響を与えるような事態を中心として、我が国に対する危機が発生した場合やそのおそれがある場合に我が国としてとるべき種々の対応については、平成8年5月の総理指示に基づき、内閣安全保障室が事務局となり、防衛庁も主たるメンバーとして参加し、鋭意検討を進めているところである。
 2)地震、風水害のようにその発生が避け難い一方その対処方針が予め想定できるような災害に対しては、中央防災会議等により対処することとされており、防衛庁においても、その構成員として関与し、参画している。
 3)危機発生時に、我が国の関係行政機関が一体となって総合的にその能力を有効に発揮するためには、関係法令の整備やマニュアル等の対処要領の整備及び関係行政機関との連携要領の確立等が必要である。かかる検討に当たって、防衛庁としては、実力組織たる自衛隊の保有する装備や訓練等を通じて得た技能、経験、専門的知見等を生かし、積極的な役割を果たしていくこととしている。

防衛庁説明資料(平成9年6月11日)
内部部局、各自衛隊の幕僚監部、統合幕僚会議の間の関係及び機能分担についてどう考えるか

1.防衛庁においては、官房各局から構成される内部部局(以下「内局」という。)と各幕僚監部及び統合幕僚会議(以下「各幕等」という。)が置かれており、これらの機能の概略は以下の通りである。
 1)内局は、自衛隊の業務の基本的な事項を、その所管に応じて担当し、政策的観点から長官を補佐している。
 2)各幕等は軍事専門的観点から長官を補佐しており、それぞれ、
  ア 各幕僚監部は、各自衛隊の隊務に関する長官のスタッフ機関であり、各幕僚長は、各自衛隊の隊務に関する最高の専門的助言者として長官を補佐している。
  イ 統合幕僚会議は、議長及び陸、海、空の3幕僚長によって構成され、出動時における自衛隊に対する指揮命令の基本及び統合調整などについて長官を補佐している。
 また、各幕等については、その長である統合幕僚会議議長及び各幕僚長が、長官による部隊に対する命令を執行する。

2.このように、防衛庁においては内局及び各幕等という長官補佐機関が並置されている。これは、自衛隊が我が国防衛の責に任じている唯一の実力組織であるという特殊性を踏まえ、1)政治的、財政的、社会的、法律的といった幅広い観点に基づき長官を補佐する政策的補佐、2)実力組織である自衛隊が、我が国防衛のため必要な諸措置をとる等に当たって必要となる軍事専門的補佐、という2つの異なった観点からの補佐が必要であるとの判断によるものである。
 このことは、民主主義国家において確保されるべき「政治の軍事に対する優先」 すなわち長官によるシビリアン・コントロールに遺漏なきを期するための補佐体制としても適切なものである。

3.防衛庁における長官の補佐体制は、以上のように、政策的及び軍事専門的観点から構成され、各幕等は、長官の命令の執行機関としての役割も果たすこととなっている。したがって、内局及び各幕等は、一方が他方を代替できるものではなく、両者が、いわば「車の両輪」として一体となって各々の任務を遂行することが必要である。

防衛庁説明資料(平成9年6月11日)
営繕、調達、調査・研究開発、教育訓練、保健衛生、募集、情報収集・分析等の業務の独立機関化についてどう考えるか

1.英国防省は後方分野において38のエージェンシーを設立していると承知している。しかしながら、英国防省と防衛庁とでは、エージェンシー制度を導入した背景となっている後方分野における組織のあり方が大きく異なっているところである。

2.英国防省の後方分野は、一般に機能・組織の規模等の点において、防衛庁の後方分野と比べてかなり大きなものとなっている。
 例えば、

(1)兵器補修部門を担当するエージェンシーは、英国内に7の工廠を有し、個人装備の修理から、戦車の分解修理、組立まで行っていると承知している。(防衛庁においては、こうした装備品の修理等は、軽易なものを除き、全て民間企業に委託している。)

(2)研究開発部門のエージェンシーは、民生品に利用可能な研究開発の成果等を国防省部外に提供して収入(1996年度約9,300万ポンド)を得ることにより、予算削減を図っていると承知している。(防衛庁の場合は、可能な限り民間技術力を活用して研究開発を行うこととしていることから、一般に民生品に利用可能な技術は、民間企業に依存している。そのため、研究開発成果の民間への提供は基本的には想定し難い。)

(3)気象観測とそれに基づく気象情報の一般への提供、航海用地図の作製・出版等といった広く国民一般へのサービス提供を目的としたエージェンシーもあると承知している。(我が国では同種のサービスが他の行政機関により実施されている。)

(4)主として、後方分野に勤務するものと考えられる文官の数が、英国防省は12万人となっており、防衛庁の2.5万人と比べてはるかに大きいことから、英国の後方組織は、防衛庁と比べてかなり大きな規模を有していると考えられる。

このように、英国防省においては、大きな現業部門を保有している、又は、部外からの収入が期待できる、等のエージェンシー化になじみやすい要素が数多く保有されていたため、多くのエージェンシーが設立されたものと考えられる。

3.一方、防衛庁においては、後方機能は必要最小限のものしか保有しておらず、英国防省においてエージェンシー化されている機能についても、既に民間に委託できる部分は可能な限り民間に委託している。そのため、防衛庁が有している後方組織は、きわめてコンパクトかつ効率的なものとなっている。
 今回提示された「独立機関」の仕組みが必ずしも明らかではないが、英国のエージェンシーと類似の組織を導入するということであれば、以下のような問題点があると考えられる。

(1)防衛庁が有している後方機能は、基本的に政策の企画立案機能ないしは政策部門との密接な関係を有し、まさに政策部門と一体となって業務を遂行しているため、その中から執行機能のみを切り離すのは、組織の管理・運営の観点から逆に非効率な面が生じることとなる。

(2)今回指摘された業務については、基本的に防衛庁以外には行い得る者が存在しないため、独立機関化しても民間企業等との競合がなく、競争原理が働きにくい。

(3)英国におけるエージェンシーでは、コスト削減の観点から自省庁以外に対してサービスを提供し、対価を得ることが奨励されていると承知しているが、今回提示された業務については、基本的に防衛庁以外にはニーズがないと考えられるため、部外へのサービス提供による効果はほとんど期待できない。

(4)英国においては、エージェンシーの執行部門は政策部門から明確に切り分けられており、大臣はエージェンシーの日々の運営事項には関与せず、執行上の問題に関しては、議会に対して、説明責任のみを負うという整理がされていると承知している。しかしながら、我が国における防衛問題をめぐる状況から、執行的な面を持つ業務についても、時として大きな社会問題、政治問題化する可能性がある。このため、執行部門のみを独立機関化させ、その日々の業務については大臣が直接責任を負わないとすることは、我が国の現状にはなじまないのではないかと思われる。

4.防衛庁の業務の独立機関化についての問題点を総論的に挙げるとすれば、以上のような点が考えられるが、個別に指摘された業務については、以下のような具体的な問題点があると考えられる。

(1)営繕
 防衛庁における建設工事の実施に係る業務については、防衛施設庁建設部において一元的に実施している。
 更に、建設部は、施設整備の政策立案段階において施設のユーザーである各自衛隊及び施設部(在日米軍)等と密接な連携をとりつつ、特殊性を有する防衛施設の建設に係る技術的な提案、関係法令等の適合判断等の役割を担っている。また、防衛施設は、その性格上、設置や運用が周辺地域の生活環境に大きな影響を及ぼすことが多いことから、建設工事に当たっては、周辺地域住民との事前の調整が不可欠となり、場合によっては計画変更も余儀なくされることもある。このため、建設部においては、建設工事の円滑な実施の観点から、用地の取得及び周辺対策等を担当する施設部や各部隊と一体となって、周辺地域住民の理解と協力を得る努力を行っているところである。
 このように、防衛施設の建設においては、建設部は単なる建設工事の発注や施工監理だけを行う執行機関ではなく、技術面を主とする施設整備の具体的な政策立案機能を有するとともに、施設部や各部隊等と一体となって業務を遂行しており、建設部のみを執行機関として独立機関化することは、業務遂行上非効率な面が生じることから困難である。

(2)調達
 自衛隊の主要な装備品等の調達は、調達実施本部において、一元的に実施している。このような装備品等の調達は、防衛力整備の骨幹であることから、防衛庁にとって最も基本的な業務のひとつとして位置付けられており、その調達に当たっては常に政策部門との密接な連携を必要とするとともに、有事等における緊急調達といった種々の状況に応じた機動的な対応を政策部門と一体となって円滑に行う必要がある。また、装備品等の調達は、特殊な仕様、最先端技術等を必要とする市場性のないものを対象としており、金額も大きいことから、その調達に当たっては公正さの確保が必須の要件であり、原価計算から契約・監督・検査に至るまで、防衛庁長官自らが責任をもって実施することが適切である。そのため、調達実施本部を執行機関として独立させることは困難である。

(3)調査・研究開発
 自衛隊の装備品の研究開発は、技術研究本部において一元的に実施している。その際、我が国の防衛技術の研究は、技術研究本部が研究開発の企画立案からその実施及び試験評価までを、そのユーザーである各自衛隊と密接な調整を行いながら一貫して実施しており、その成否が防衛政策の立案に直結する上、長期にわたる研究開発計画においては、防衛政策との整合性を保ちつつ進めるものであることから、技術研究本部を執行機関として独立させることは困難である。
 また、技術研究本部は、従来から民間技術力を積極的に活用するとともに、生産能力を民間に委ねることにより効率的な組織の運営を行っているところである。

(4)教育訓練
 防衛庁における教育は、自衛隊の運営に必要な技能を隊員に身につけさせるため各自衛隊の学校において行われている。これらの教育は、部隊における練成訓練と一体不可分のものとして、各自衛隊と密接に連携をとりつつそのニーズを的確に反映して行われる必要がある。更に、自衛隊の特殊性を踏まえた効果的な教育を行うためには、教導隊(教育を支援するための部隊を学校に配置)の支援が必要不可欠である。このように、教育と部隊訓練は常に一つの体系の下に行われる必要があり、このうち、学校のみを独立機関化することは、適切でなく困難である。
 また、防衛大学校及び防衛医科大学校は、将来の自衛隊の中核となる人材を養成する機関であり、防衛庁長官自らの責任において、その運営を行う必要がある。さらに、学校の運営内容については、社会的関心も高く、常に基本的教育施策との整合性を図る必要があり、学生の募集のように防衛庁の他機関の協力が不可欠な面もある。このようなことから、両校のみを独立機関化することは困難である。
 なお、訓練は、部隊等で行われているものであり、これを独立機関化することは、個々の部隊を独立機関化することとなるため、制度上なじまないものと考えられる。

(5)保健衛生
 防衛庁は、独自に医官、看護婦を養成し、病院を保有するなど、独自の保健衛生基盤を維持している。これは有事において傷病者の治療を行う保健衛生部門は不可欠の要素であり、その任務遂行には独自の専門的な知識と経験が要求され、大きな危険が伴うからである。このように保健衛生部門は平時は病院として管理・運用しているが、有事においては第一線において基本的な自衛隊の部隊の一部を構成するものであることから、平時の病院機能のみを独立機関化することは困難である。

(6)募集
 自衛隊の要員たる新規自衛官の募集業務は、地方連絡部において行われている。自衛官の募集人員数は、経済、雇用情勢により、年により大きく増減するのが通例である。このような情勢の変化に適切に対応し、募集業務を着実かつ適正に実施していくためには、各地方連絡部のみならず、陸・海・空の部隊から種々の人的、物的な支援を受ける形で実施されている。そのため、地方連絡部のみを執行機関として独立させることは、状況に応じた機動的な対応が阻害され、業務の円滑な遂行に支障が生じるおそれが高いことから困難である。

(7)情報収集・分析
 防衛庁においては、情報本部が中央情報機関としての位置付けにあるが、専守防衛を旨とする我が国の防衛にとって、国際軍事情勢に係る情報は、平時・有事問わず死活的な意義を有している。そのため、情報部門は、高度な分析・評価能力等が要求されるとともに、政策部門及び運用部門と常に一体的に管理・運営されなければならず、加えて業務の秘匿性も極めて高いことから、単なる執行機関として位置付けるのは適切ではない。このため、国際軍事情勢に係る情報を扱っている情報本部を、防衛庁から切り離し、独立機関化することは困難である。