[建設省に対する質問]
☆行政改革の趣旨に照らし、建設省において、今後取り組むべきと考える(取り組もうとする)改革方策。
☆今後の社会資本整備に当たっては、大幅な地方への権限や財源の移譲、民間能力の大幅活用を進め、国としての役割を縮小すべきとの意見についてどう考えるか。また、建設行政を事業の実施から政策・計画の企画・立案を中心とした機能に重点化することについてどう考えるか。
☆公共事業関係組織の一元化についてどう考えるか。また、道路行政と運輸行政、交通警察など他の交通行政との関係及び組織の在り方についてどう考えるか。
☆土地利用の計画、調整について、関係行政との総合的、一体的実施の必要性に照らし、関係組織の一元化についてどう考えるか。
☆直轄事業(国営公園の管理を含む)の民営化又は独立機関化についてどう考えるか。
☆社会資本整備の効果測定、実施計画についての情報公開、実施後の成果の評価(プロジェクト実施段階における評価を含む)システムの在り方について今後どうすべきか。
☆国土地理院の独立機関化についてどう考えるか。
☆官庁営繕は、基本的に民間に任せるべきとの意見についてどう考えるか。

建設省説明資料(平成9年6月18日)
行政改革の趣旨に照らし、建設省において、今後取り組むべきと考える(取り組もうとする)改革方策。

1 改革への基本姿勢

(1)国家的課題としての国土の適正な管理
 他国に比して地震・風水害・土砂崩れ等の自然災害が多く、地形の厳しい狭隘な国土に、世界有数の経済大国として、極めて稠密な経済社会活動が営まれているという我が国の特性にかんがみると、限られた国土を適正に管理(整備・利用・保全)し、国民生活や経済社会活動を支えることは、欧米諸国以上に、最も基礎的で重要な国家的課題の一つである。

(2)建設省の取組姿勢
 建設省は、このような認識の下で、豊かな国民生活と活力ある経済社会活動を幅広く支えるため、住宅・社会資本の整備、都市計画・建築基準に関する基本的な制度の整備などの基盤整備・条件整備を通じ、国土の適正な管理を進めている。
 この中で、住宅・社会資本整備については、我が国の現状を踏まえればその必要性は極めて高いものの、一方、厳しい財政状況や国民の価値観の多様化の中で、公共事業の在り方に対しては、コストの縮減、類似事業間の調整、事業実施過程の透明性の確保など厳しい指摘や批判がある。
 建設省としては、これらの指摘に真摯に応えつつ、国土、地域・都市、生活空間それぞれのレベルで、将来の世代にとっても極めて重要な住宅・社会資本整備をはじめとする基盤整備・条件整備を的確に推進し、国土全体の適正な管理を図るため、自ら積極的に改革を行いながら、その責務を全うしなければならないと認識している。
 建設省では、省内に「建設省行政改革推進本部」を設置し、公共工事のコストの縮減・重点化・効率化、長期間を要する事業の見直し、地方分権の推進、特殊法人改革等、様々な改革に取り組んできており、今後さらにこれらを積極的に進める考えである。

(3)省庁の再編・統合
 行政改革会議における省庁再編の議論については、「複雑多岐にわたる行政課題に縦割行政の弊害を超えて国民本位で的確かつ効率的に対応できる組織体制」を作り上げるためのものと認識しており、省庁の大括り化による縦割行政の是正と重複の排除を図るとともに、全体として国の業務及び組織体制の見直しを行うことが、最も重要な課題の一つとされていると理解している。
 国土の適正な管理を進め、豊かな国民生活と活力ある経済社会を実現するためには、いまだ道半ばの我が国の住宅・社会資本整備を一層推進し、その量的充足を図ることはもとより、「安全」、「福祉」、「情報化」、「国際化」、「経済構造改革」、「環境」、「文化」、「美しさ」などの今後ますます重要となる諸課題に対応した質の高い、いわば「本格建築」ともいうべき国土づくりや地域・都市づくりに取り組むべきである。
 このため、
 1)国土ビジョンの策定やこれらに基づく住宅・社会資本整備の推進など国土の適正な管理に関 連する行政の一体化を基本方向とし、その方向の中で公共事業関係組織についてもできるだけ大括り化を図ること、
 2)このような体制整備の上に立って総合的な政策・計画の充実とその実効性の向上を進めるとともに、こうした政策や計画の下で縦割りの解消と思い切って弾力的・重点的な投資を推進するなど、質の高い国土づくりへ向けた施策の新たな展開を図ること、
 が重要と考えている。
 同時に、省庁の再編・統合の議論の進展を踏まえつつ、全体として効率的で透明性の高い行政の推進を図るため、業務や組織体制の見直しについても積極的に取り組む考えである。

2 今後の具体的取組
 建設省としては、このような方向を展望しつつ、住宅・社会資本整備の着実な推進を図ることはもとより、住宅・社会資本や国土、地域・都市の「質の向上」を指向して、所管行政の一層強力な展開を図る考えである。
 建設省においては、これまでも公共工事の効果的・効率的実施のための様々な改革をはじめ、地方分権の推進、民間能力の活用、規制緩和等、行政改革を進めてきたが、今後さらに、行政改革会議の議論全体を踏まえつつ、所管行政について次のような改革を積極的に進める考えである。

※ 以下の○印は、取組例である。

(1)公共事業について、関係組織の再編・統合も展望しつつ、その緊急度・必要度に応じ、思い切って重点的に事業を推進
 1)国民生活や経済社会活動を支える社会資本は、総合的観点に立って効率的に整備されるべきものとの認識の下で、関係組織の再編・統合も展望しつつ、事業の緊急度・必要度に応じ、思い切って投資を重点化する。
 2)建設省は、入札・契約制度の改革、公共工事のコストの縮減など、公共事業に対する厳しい批判に対応するための様々な改革について、省庁横断的な役割を担ってきており、今後とも、公共事業全体の的確な遂行について、その中心となって取組を進めて行かなければならないと考えている。
 ちなみに、近年特に、公共事業関係省庁の連携を強化し、類似事業の競合の排除と関係施策の総合化による投資効果の向上に努めているところ。
○道路、下水道等について、類似施設との競合を避け、効率的に整備するため、関係省庁と連携し、都道府県レベルでの総合的な計画の策定を推進中。
 ・道路と農道については、建設省、農林水産省が連携して、全道府県において、地域道路整備計画を策定。
 ・下水道と農業集落排水、合併処理浄化槽等については、建設省、農林水産省、厚生省が連携して、都道府県の汚水処理施設の整備に関する総合的な「都道府県構想」の策定を推進中(平成9年5月末まで34道府県で策定済み)。
○公共事業関係省庁の連携を強化すべく、平成8年度に省庁横断的な総合調整機関として建設省、農水省、運輸省、国土庁4省庁の事務次官レベルで「公共事業の実施に関する連絡会議」を設置したところ。平成9年度には、国際競争力の強化を担う港湾や空港と道路ネットワークとの総合的な事業実施を図る「国際交流インフラ推進事業」等13の省庁間連携施策を決定し、推進中。
 3)福祉のまちづくり、地方の中心市街地活性化などの諸課題へ対応するために、公共事業関係省庁との連携のみならず、様々な分野の行政との連携を推進し、重点的な投資を進める。
○市街地整備・公園整備と社会福祉施設等の一体的・計画的整備、産業行政との連携による地方都市中心市街地活性化のための道路整備(21世紀活力圏創造事業)などを推進中。
 4)平成6年に策定した建設省環境政策大綱に基づき、持続可能な発展のため、建設行政のあらゆる分野で「環境」をその本来の目的として位置付け(内部目的化)、この観点からの施策に重点的に取り組む。
○その一環として、今国会において、河川管理の目的に「河川環境の整備と保全」を位置付ける等の河川法改正が行われたところである。
○建設廃棄物の処分量をゼロとすることを目指し、「リサイクルプラン21」を推進中。コンクリート塊、アスファルトコンクリート塊のリサイクル率が7〜8割となるなどの成果が得られている。

(2)公共工事のコストの縮減、入札・契約制度の改革等を推進
 1)民間工事に比べ割高との指摘のある公共工事について、公共事業所管省庁の対応のみならず、工事実施に係る諸規制など、関連する施策全体を取り込んだ総合的なコストの縮減策を推進する。
○平成9年4月の関係閣僚会議決定「公共工事コスト縮減対策に関する行動指針」に基づき、工事の計画・設計等の見直しや工事発注の効率化はもとより、物流の効率化、工事に関連する諸規制の緩和などを含む総合的な対策を実施し、その効果が十分発現した段階で少なくとも10%以上のコスト縮減を目指している。
 2)透明性・競争性の高い公共工事の入札・契約手続を目指し、入札・契約制度改革をさらに推進する。
○一般競争入札の導入など入札・契約制度改革の定着を図るとともに、入札等に関連する情報の公表等の一層の推進を図る。
○技術提案を受け付ける入札・契約方式(VE方式)の導入などにより、技術力や品質も含めた競争性の向上を図る。

(3)事業採択基準の充実・公表、事業プログラムの策定・公表等により、公共事業の透明性を高める
 1)費用効果分析や事業採択の優先度に係る採択基準を充実するとともに、これを公表し、事業の透明性を高める。
○道路・街路事業については、個別事業箇所に投じる費用と供用後30年間に生じる便益(時間短縮便益、走行便益、交通事故減少便益)の比較により投資効果を分析する手法を、平成9年度の新規箇所すべてについて実施。
 2)建設行政に係る住民参加・情報公開を進めるため、事業箇所、スケジュール等を明らかにした地域的なプログラムを策定・公表し、事業の全体像を明示する。
○防災公園について、配置、整備内容、年次計画等を明らかにした防災公園整備プログラムを平成9年度より策定・公表。
 3)大規模公共事業については、新たに計画を策定する場合や計画策定後長期間が経過した場合に第三者の意見を聴くシステムを特に充実する。
○ダム・堰事業については、全国で12事業について関係地方公共団体、学識経験者により構成される「ダム等事業審議委員会」が設置され、このうち、4事業について計画の大幅変更や事業の中断等の意見が出された。事業の一時凍結・中断等の措置を含め、その意見を事業に反映している。

(4)地方建設局への権限の委譲を検討するとともに、直轄で整備・管理を行う範囲の検討、一定の業務の民間委託の徹底等を推進
 1)業務執行の効率性を高める観点から、大臣から地方建設局長への委任範囲の拡大など本省から地方建設局への直轄の整備・管理に係る権限の委譲を検討する。
 2)直轄の整備・管理について、重点的な実施、効率的な機能発揮等の観点から、その対象範囲を検討する。
 3)マスタープラン等の計画の策定にはじまり、関係機関・地元等の調整、都市計画・環境アセスメント手続、用地買収、発注、工事の監督・検査、整備後の管理等に至る直轄事業の流れの中で、民間能力の活用等により、工事発注に関する業務を効率化するとともに、直轄を核とした広域的な計画立案機能の充実を検討する。
 また、これまでも、設計・積算の補助や道路・河川のパトロールの補助など直接国の行政判断を伴わない業務については、民間委託を導入してきているが、今後、さらに、こうした業務の民間委託を徹底。
 なお、地方建設局の定員は、業務が量・質ともに増大する中で、昭和40年代から約4割(約1万2千人)減少してきている。

(5)地方への権限の委譲、国の関与の縮減等により地方分権を積極的に推進。あわせて、補助事業についても、その対象プロジェクトの絞り込み等の重点化を進めるとともに、整理合理化を推進
 1)地方分権推進委員会の議論を踏まえつつ、国と地方とが適切な役割分担の下に協力・協調して行政を執行する観点から、地方への権限の委譲、国の関与の縮減等を推進する。
○地方分権推進委員会第一次勧告に基づき、都道府県知事が機関委任事務として行っている都市計画決定を、国管理の施設等の都市計画決定を含め「自治事務」とし、国の関与も大幅に縮減するとともに、都市計画の市町村決定の領域を大幅に拡充(本年中、都市計画中央審議会より具体的に答申の予定)。
 また、地方分権推進委員会第一次勧告を受け、地方自治法の改正等の基本法の制定を待たずに、一定の国の関与の縮減、権限委譲について前倒し実施したところである(例えば、本年4月より、一定の公共下水道事業認可の都道府県への移譲等を実質的に実施)。
 2)地方分権推進委員会の議論を踏まえつつ、補助事業について、広域的観点からの施設・都市・地域整備、ナショナル・ミニマム確保等の観点からの全国的にバランスのとれた施設整備、今後の諸課題に対応した先導的なプロジェクトなどへの重点化を推進する。
 3)補助事業の事業箇所の絞り込み、箇所当たりの投資額の増加等、事業箇所の重点化により、事業の早期完成を促進する。
 また、補助制度の廃止、統合・メニュー化等の整理合理化を推進する。
○地方道事業については、平成7年度から9年度の間で事業箇所数は37%減少し、箇所当たり事業費は47%増加。
○市街地整備に係る7つの事業を統合・メニュー化して、「街並み・まちづくり総合支援事業」を創設。
○比較的小規模な河川事業(局部改良事業;総事業費が概ね6億円以下のもの)は今後新規採択を行わず、継続事業についても5年間で終了。
○都道府県道の道路改築について、平成4年度に「1千万円以上」とされていた採択基準を順次引き上げ、平成9年度には「2億円以上」とした。

(6)規制緩和を推進
 国民生活の質の向上、経済構造の改革などの観点を踏まえつつ、規制緩和を的確に進める。
○平成8年の下水道法の改正により、下水道暗渠部分について、地方公共団体や第一種電気通信事業者等による光ファイバー等の敷設が可能となった。
○建築物の単体に関する基準について、国際基準との調和、民間の選択可能性の拡大等の観点から、材料・仕様・規格を詳細に指定する現在の方式を、性能を指定する方式へ見直すことを検討中(建築基準法の改正)。

(7)これまでの中心的施策であった公的直接供給のみならず、民間能力の活用、民間活動への働きかけなどの多様な政策手法を積極的に導入
 住宅・社会資本や、国土、地域・都市の質の向上へ向けて、財政制約の強まり等も踏まえつつ、これまでの中心的施策であった公的直接供給に加え、民間能力の活用、民間活動への働きかけ、市場の活用など、多様な政策手法の導入・充実を図る。
○地権者の集まりである組合施行の土地区画整理事業・市街地再開発事業等により、都市整備の相当部分が進められてきているところ(土地区画整理事業実績約36万ha中約13万haが組合又は個人施行によるもの。)。
○河川流域全体で流出抑制対策等を総合的に実施する「総合治水対策」、道路の整備・管理と併せて、交通需要マネジメント等を総合的に実施する「総合的な渋滞対策」、民有緑地を所有者の協力により公園的に利用する「市民緑地」などを推進中。
○建築確認等の行政事務の民間への開放を、建築基準法改正の大きな柱の一つとして、次期通常国会に向けて検討中。

(8)住宅・都市整備公団など特殊法人等の改革を推進
 住宅・都市整備公団についての抜本的見直しをはじめ、所管の特殊法人等について、関連公益法人の改善を含め整理合理化を積極的に推進する。
[住宅・都市整備公団の改革の方向]
 ・分譲住宅については撤退の方向
 ・賃貸住宅については街づくり、都心居住などの政策的な観点から必要なものに特化
 ・市街地の再開発などの街づくりへの重点的な取組
[日本道路公団の改革の方向]
 ・料金水準抑制のための関連事業からの収益還元の拡充とコストの縮減
 ・サービス施設の運営等関連法人の業務についての競争性の確保と合理化

建設省説明資料(平成9年6月18日)
今後の社会資本整備に当たっては、大幅な地方への権限や財源の移譲、民間能力の大幅活用を進め、国としての役割を縮小すべきとの意見についてどう考えるか。また、建設行政を事業の実施から政策・計画の企画・立案を中心とした機能に重点化することについてどう考えるか。

[基本的考え]
 地方公共団体との役割分担の見直しや民間能力の活用の一層の推進に努めつつ、国は、全国的・広域的な規模・視点から求められる役割を適切に果たしていくことが必要。
 企画・立案機能と事業実施機能との有機的連携の下に、政策の充実を図りつつ、国として必要な事業実施の責務も的確に遂行。

1 国の役割について

(1)国が担う全国的・広域的な規模・視点からの役割は引き続き重要
 地方分権を進め、地方との適切な役割分担を確保しつつ、また、民間能力の一層の活用に努めつつ、国は、広域的・根幹的な施設の整備、大規模な災害からの安全性の確保、国民のナショナル・ミニマムの確保、国民活動に関する基本的なルールの設定、市場機能の補完・誘導、大都市圏・地方拠点都市の整備等に関する調整など、全国的・広域的な規模・視点から求められる役割を引き続き果たすべき。

(2)幹線道路、大河川等の広域的・根幹的社会資本を国が直轄で整備・管理することは、引き続き重要な課題
 社会資本整備の分野においては、国は、国土の骨格となる道路網や災害時に国民の生命・財産に甚大な被害を及ぼす大河川など、地方公共団体による対応では適切かつ効率的な対応が困難な広域的・根幹的社会資本の整備・管理を自ら責任を持って実施するとともに、根幹的社会資本を核として社会資本全体が効率的・効果的に働くようにするための中枢的な役割を果たすことが重要。

(3)地方公共団体の事業に対し、広域的観点、全国的バランスの確保の観点などから、重点的な補助による支援を行うことが重要
 地方公共団体が行う社会資本の整備について、広域的な観点から必要な施設・都市・地域整備、ナショナル・ミニマム確保等の観点からの全国的にバランスのとれた施設整備、環境・エネルギー・高度情報化など今後の諸課題に対応した先導的なプロジェクト等に対象を重点化しつつ、国の補助を行うことが必要。

2 企画・立案機能と事業実施機能について

(1)社会資本整備の分野においては、企画・立案の機能と事業実施・管理の機能の有機的で密接な連携が不可欠
 限られた財源の中で立ち遅れた社会資本の整備を進めている我が国では、「計画」、「整備」、「管理」の各過程を反復しながら、段階的に社会資本の整備水準を向上させているのが実状。
 また、一級河川・国道等の社会資本の整備・管理に当たっては、既に供用されている施設を管理する過程や整備事業を執行する過程において明らかになる新たなニーズや技術的知見を、新たな政策の企画・立案、技術基準の策定、具体的な整備計画の修正・変更等に適切に反映させることが極めて重要。
 このため、施設管理や事業執行と政策・計画の企画・立案との有機的で密接な連携が不可欠。

(2)我が国の現状を踏まえれば「事業実施」は引き続き重要
 社会資本の整備水準が欧米諸国に比してもいまだ立ち遅れているとともに、大都市と地方の地域的な格差も大きく、また、災害に対して極めて脆弱な国土条件を有する我が国の状況を踏まえれば、様々な政策手法の中にあって、広域的・根幹的社会資本についての国による整備・管理の推進は引き続き極めて重要な施策。今後とも、その効率化等を図りつつ、的確に推進。

(3)政策の充実を推進
 社会資本のより効果的・効率的で透明性の高い整備を進めるためのシステムの充実、社会資本整備以外の分野も含む様々な政策分野との連携と施策の総合化、経済社会情勢の変化に対応した国民の活動ルール(都市計画・建築基準等)の見直しなどを進め、国土の管理を将来にわたり的確に進めていくために必要な政策の一層の充実を図る。
 この中で、財政制約の強まり、持続可能な発展の実現、循環型社会の構築などの観点を踏まえ、8ページの(7)で述べたとおり、これまでの中心的施策であった公的直接供給に加え、民間活動への働きかけなどの多様な政策手法の導入・充実を図る。

建設省説明資料(平成9年度6月18日)
公共事業関係組織の一元化についてどう考えるか。また、道路行政と運輸行政、交通警察など他の交通行政との関係及び組織の在り方についてどう考えるか。

[基本的考え]
 国土の適正な管理に関連する行政の一体化を基本方向とし、その方向の中で公共事業関係組織についてもできるだけ大括り化を図ることが重要と認識。
 道路行政は、道路が、交通機能のみならず、空間的機能等の多様な機能を持つ総合的なインフラであることを踏まえ、国土・地域・都市づくりの一環として進めていくことが不可欠。

1 「公共事業関係組織の一元化」について
 問1について述べたとおり、
 1)国土ビジョンの策定やこれらに基づく住宅・社会資本整備の推進など国土の適正な管理に関連する行政の一体化を基本方向とし、その方向の中で公共事業関係組織についてもできるだけ大括り化を図ること、
 2)このような体制整備の上に立って総合的な政策・計画の充実とその実効性の向上を進めるとともに、こうした政策や計画の下で縦割りの解消と思い切って弾力的・重点的な投資を推進するなど、質の高い国土づくりへ向けた施策の新たな展開を図ること、
が重要と考えている。
 ちなみに、建設省においては、従来より、土地収用制度の運用、用地補償基準などの公共用地の取得に関する制度の充実や公共工事の契約方式の改善をはじめとして、公共事業に関する省庁横断的な役割を果たしてきている。特に最近は、公共事業に対する様々な厳しい指摘や批判に対し、まず所管分野において率先して対応を進め、政府全体の方針がこれをもとにとりまとめられる等、所管事業だけでなく、公共事業全体の的確な遂行について中心的な役割を果たす場面が増加している。
 その主な事例は、次のとおりである。
 ・日本の建設市場、特に公共事業分野における外国企業参入問題
 ・公共事業等の入札・契約制度の抜本的改革
 ・公共事業における中小企業の受注機会の確保の推進
 ・各省庁にわたる関連施策との連携、類似競合施設の重複の排除
 ・公共工事のコストの縮減

2 道路行政と交通行政について

(1)総合的インフラとしての道路
 道路は、国土・地域・都市整備の基盤であり、また、土地利用を誘導する総合的インフラである。交通機能だけでなく、
 ・都市の骨格形成、街区形成などの市街地形成機能
 ・延焼防止、避難空間、消防活動空間等としての防災機能
 ・緩衝空間、アメニティ・人の交流空間、緑化空間等としての環境機能
 ・水道、電気、ガス等のライフライン、地下鉄、情報インフラ、駐車場等の収容機能
等の多様な機能を有している。
 ゆとり、うるおいなどに対するニーズの高まり、高度情報通信社会の進展等に伴い、このような道路の多様な役割は、さらに増大している。
 このため、道路は、国土計画、都市計画等の下で、国土、地域・都市、生活の各々のレベルにおける機能を総合的に勘案し、関連する土地利用との整合性の確保や、河川、砂防等の国土基盤、公園、下水道、都市河川などの都市基盤等との緊密な連携を確保しつつ、総合的な機能が発揮されるよう管理されることが必要であるとともに、根幹的なものから生活道路に至るまでが一体のネットワークを構成して全体が効果的に機能するよう、計画的に整備・管理されることが必要である。
 このため、道路行政は、国土・地域・都市づくりの一環として進めていくことが不可欠と考えている。

(2)道路行政と交通行政
 我が国の交通体系を考える上で必要なことは、複数の交通機関を組み合わせた輸送が効率よく行われるよう相互の連携を確保、改善することであり、警察庁や運輸省と協力しながら、交通拠点へのアクセス整備、交通結節点整備、交通需要マネジメント政策等を推進しているところである。
 例えば、航空、鉄道などについては、関西国際空港や常磐新線の整備に係る関連道路整備でも示されるとおり、空港、鉄道駅へのアクセス道路の整備、駅前広場の整備等が、本体の整備に匹敵する重要性を有しており、相互の計画調整が、空港や港湾の存立にとって極めて重要である。
 しかしながら、運輸行政は、主に運輸交通事業者、車両に対する規制監督等や、空港・港湾等の交通インフラを対象とするものと理解している。また、交通警察行政は、警察権を基礎として自動車利用者などに対する規制・取り締まりを行うものと理解している。
 すなわち、これらの行政は、いずれにしても「交通」という一つの目的に関するものであり、総合的インフラ機能を有する道路を整備・管理する道路行政とは、広がりを異にしている。仮に、交通行政のみの観点から道路行政を取り出して運輸行政、交通警察行政と一元化するとすれば、国土、地域・都市の整備の円滑な遂行に支障をきたすものと考える。「大括り化」による縦割りの是正の流れの中にあって、新たな縦割りを生み出すことが懸念される。

建設省説明資料(平成9年度6月18日)
土地利用の計画、調整について、関係行政との総合的、一体的実施の必要性に照らし、関係組織の一元化についてどう考えるか。

[基本的考え]
 土地利用調整の問題は、農地や林地などからの都市的土地利用への転換という都市化の場面で主に生じるが、これは、将来の都市の在り方を定め、その実現手法を内包する都市計画制度の中で行われている。
 土地利用調整をより円滑かつ適正に進めるためには、地方公共団体の主体的な役割を高めることが重要であるという認識に立って、都市計画制度やこれと関連する制度の改善を進めていくことが必要。「土地利用に関する組織の一元化」も、こうした改善を進めることと併せて検討することが重要。

1 都市計画による土地利用調整

(1)土地利用関係組織の一元化の議論の背景
 「土地利用関係組織の一元化の議論」の主要な背景は、都市の周囲に広がる農地や林地などを、宅地や公共施設などの「都市的土地利用」に転換する場面についての問題意識であると認識。

(2)都市的土地利用への転換を制御する現行都市計画法の枠組み
 個別の都市的土地利用への転換を判断するに当たっては、「その土地が将来の都市の在り方からみて市街化に相応しい区域であるか」さらに、「その土地に優れた環境を実現できるか」が重要な判断基準。
 都市計画制度は、この「将来の都市の在り方」を定めるとともに、市街地の整備・保全のための計画・事業制度を内包しているので、この制度の中でその判断を行うことが適切。この考え方に基づき、現行都市計画法(以下「現行法」という。)では、昭和43年に創設された市街化区域と市街化調整区域の区域区分制度(「線引き」)により、市街化区域に編入すれば農地転用許可が不要になるとともに、市街化調整区域では例外的に開発許可を受けたもの以外は開発を抑制。

2 土地利用調整を行う主体の在り方

(1)「都市的土地利用への転換」を判断する主体
 都市的土地利用への転換の是非は、地域の実情を十分に把握しており、また、転換後に優れた環境の都市づくりについて基本的な責任を有する「地方公共団体」がその判断を行うべきであり、現行法も、地方公共団体が都市計画決定の主体として位置づけられている。

(2)広域的・国家的観点との調整ルール
 1)国土全体の土地利用フレームとの調整について
 個々の土地利用転換の積み重ねが国土全体の土地利用フレームに影響を与えるので、具体的・即地的な調整を行う都市計画決定に当たっては、国土利用計画等の上位計画に適合すべきとされている。
 2)国土政策、大都市圏政策等の観点からの調整について
 国土の根幹となる高速道路等や大都市地域などの都市計画については、適切な国土構造、大都市圏構造の実現といった広域的・国家的な観点から、社会経済情勢を踏まえ見直しを行いつつ、国と必要な調整を図っている。

(3)農業行政等他の行政分野との調整ルール
 都市計画制度によって都市的土地利用への転換の是非を判断する観点としては、「都市開発の推進」だけでなく「周辺の自然環境の保全」といった点も含まれるが、都市的土地利用への転換は、国としての食糧安定供給の確保といった都市計画制度の目的とは別の重要な行政目的とも関係するので、特に、市街化区域を拡大するに当たっては、都市計画制度の中で優良な農用地を避けるなどの基準を設定しつつ、個々に農林水産大臣などと協議をする仕組みが措置されている。

(4)「土地利用に関する組織の一元化」の検討について
 今後、土地利用調整をより円滑かつ適正に進めるためには、地方公共団体の主体性を向上させることが必要。この観点からは、都市計画制度における国、地方公共団体の役割分担の見直しとともに、線引きを決定するために行う他の行政分野との調整について、国と地方の役割分担の見直しや優良農用地の区域等の基準の明確化などにより調整の円滑化を図ることが重要と考えている。
 「土地利用に関する組織の一元化」の議論についても、線引きをはじめとする土地利用調整について地方公共団体がより主体的かつ円滑にその役割を果たし得るシステムの充実・整備を図ることと併せて検討することが肝要と考える。
 なお、都市計画制度は、建築物の用途規制や緑地の保全等を図る「土地利用」に関する計画だけでなく、土地利用を支える道路、公園等の「都市施設」に関する計画、土地利用と施設を一体的に実現する「事業」に関する計画及びその実現手法である「都市計画事業」を備えた総合的な制度であり、「土地利用に関する組織の一元化」を検討するに当たっても、この総合的な枠組みの維持を基本とすべきである。

 改革の方向
 地方公共団体が主体的な役割を果たす方向で、都市計画制度の改革に積極的に取り組む考えである。この際には、人口増加の終焉、国民の環境意識の高まりなどを踏まえ、無秩序な都市化を抑制し自然を守る都市づくりが課題となっていることにも積極的に対応。
 1)土地利用調整を行う地方公共団体の役割の増大
 地方公共団体が主体的に土地利用調整をできるよう、都市計画分野における国の関与の縮減など国、地方公共団体の役割分担の見直しや基準の明確化を図る予定。
 なお、土地利用に係る他の行政分野においても、同様の対応を期待。
 2)地方公共団体が弾力的な対応ができるような制度・運用の改善
 近年、モータリゼーションの進展等により、都市計画区域の外側における都市的土地利用への転換が相当程度生じ、土地利用の混在や無秩序な開発が生じてきている実態を踏まえ、今後は、都市計画区域をより弾力的に拡大できる方向で制度・運用の改善を検討。
 また、市街化調整区域における土地利用転換に関する厳格な制限が都市計画区域の必要な拡大を制約している実態を踏まえ、市街化調整区域等の農業集落などを対象にして、小規模な区域単位で適切な土地利用転換を円滑に進める方策の整備を検討。
 3)市街化区域に編入した区域の市街地整備の促進
 市街化区域に新たに編入された区域について、良好な市街地を手戻りなく実現するため、建築物の用途規制などの土地利用規制を行うとともに、道路、公園、下水道等の都市施設の整備、土地区画整理事業や市街地再開発事業などに対し、公的資金を投入して重点的・効率的な支援を実施。

建設省説明資料(平成9年度6月18日)
直轄事業(国営公園の管理を含む)の民営化又は独立機関化についてどう考えるか。

[基本的考え]
 直轄事業の民営化については、基礎的な社会資本の整備・管理という直轄事業の役割の性格上、民間主体の責任において的確な建設・管理運営が行われることは期待できず、困難。なお、民間委託の徹底などによる効率性の向上を一層進める。
 また、直轄事業の独立機関化については、直轄事業が政策的・行政的裁量性の高い業務であること、政策・計画の企画・立案機能と実施機能の有機的で密接な連携が必要であることなどの特性を踏まえた議論を十分に深めた上で、慎重に判断すべき。

1 直轄部門の役割
 建設省の直轄部門においては、問2について述べたとおり、広域的・根幹的な道路、河川、公園などの計画、整備、管理を、国の責務として自ら行うとともに、こうした社会資本を核として、社会資本全体が効率的・効果的に働くようにするための中枢的な役割を果たしている。

(1)地域整備に関する計画の作成と支援
 経済社会活動が広域化し、地域の連携・交流がますます重要となる中で、広域的・根幹的な道路などの社会資本が地域整備において果たす役割は一層高まってきている。このような役割を踏まえ、直轄部門は、東北、関東などのブロックの広がりにおいて、地域の開発・整備に関する政策やプロジェクトを支援する観点から、地方公共団体と相互に協力し、調整を図りながら、広域的な地域整備計画の作成や実現に大きな役割を果たしている。
 また、直轄の施設を中心として、複数の河川の連携や、河川と下水道の連携などを内容とする広域的な水管理の計画、国道・地方道を一体とした広域的な道路計画等を地方公共団体と共同で作成している。

(2)施設整備等に関する企画・立案・調整
 広域的・根幹的な社会資本については、直轄部門が、地方公共団体や地元住民等との協議・調整を重ねながら、自ら計画、整備、管理を行っている。なお、事業の性質等によって可能な場合には、効率的な執行体制を確保する観点から公団による整備方式を活用してきているところであるが、国の直轄部門は、このような場合にも、整備計画の企画・立案はもとより、環境アセスメントの実施、地方公共団体や住民との調整など事業の前段階で必要な計画や調整の役割を果たしている。

(3)政策課題への先導的な取組
 直轄部門の実施する広域的で大規模な公共事業は、公共事業全体の在り方に大きな影響を及ぼす。このため、建設残土・廃材等の建設副産物の再利用、コストの縮減、新しい入札・契約方式の導入、先端技術の活用など、公共事業をめぐる今後の重要課題についても、直轄部門が先導的な役割を果たしていくことが重要である。

2 直轄事業の民営化について
 建設省が直轄で整備・管理する一級河川、国道、国営公園等は、国民生活や経済社会活動を支える基礎的な社会資本であり、その整備には、環境保全、用地の取得などに必要な対応を含め、地元地方公共団体、関係行政機関、地域住民など各方面との調整・連携が必要。事業が大規模になるほどその度合は高まる。また、不特定かつ多数の国民の利用に供され、受益者を特定することも困難。したがって、市場に委ねて民間主体による的確な建設・管理運営が行われることは期待できず、民営化は困難。なお、民間委託の徹底などによる効率性の一層の向上に努力。
○道路:多様で広汎な社会経済効果を有する基礎的な社会資本であり、問3について述べたように、交通機能のみならず、都市の骨格を形成する機能、多目的な空間を提供する機能等を持つ総合的なインフラである。不特定かつ多数の者が自由に利用するものであり、受益者を特定して料金を徴収することは困難。
○河川:河川事業による水害の防止と軽減、河川環境の整備・保全は、国民生活や諸活動を支える基礎的条件である。その受益は不特定かつ多数の者に及び、受益者を特定して料金の徴収を行うことは困難。
○公園:国営公園は、国家的な記念事業等として国が自ら整備するものであり、すべての国民が広くこれを利用できることを確保する必要がある。民間主体による建設・管理運営が可能となるような高い水準の料金を徴収すれば、利用者が事実上排除され、その的を達成し得ないこととなる。
 なお、国営公園については、整備が終わり管理だけの段階になったものを、適正な料金水準を維持するために必要な国費の補填等一定の条件が整備されることを前提に、包括的に民間委託すること等を検討。

3 直轄事業の独立機関化について
 独立機関化については、行政改革会議における議論を通じて、その目的(行政サービスの効率化等)や仕組み(独立機関の種類、中央省庁との関係、中期的目標の設定等)が徐々に明らかになってきている。
 まとまりのある実施業務を中央省庁から分離するに当たっての背景となっている中央省庁における政策機能の重点化・充実、行政サービスの効率化、公正・中立・透明な行政執行等については、今後の行政組織の在り方を検討する上での重要な課題と考えているが、現段階では、個別具体の事務事業への導入の適否を論ずるまでには明確になっていないのではないかと認識している。
 したがって、今後さらに基礎的・共通的事項に関する検討が進められるとともに、個別具体の事務事業の特性を踏まえた検討が進められるものと考える。
 建設省の直轄事業の独立機関化については、基礎的・共通的事項に加え、直轄事業の有している以下のような特性を踏まえた議論を十分に深めた上で、行政改革会議の議論全体を踏まえて、慎重に判断すべきものと考える。

(1)社会資本の整備・管理は、政策的・行政的裁量性の高い業務
 一級河川・国道等の社会資本の整備・管理については、
 ・関係地方公共団体の地域整備に関する政策との調整を図りつつ、地域の自然的・社会経済的諸条件に適合した整備計画の策定と整備の各過程を通じた見直しが必要
 ・計画から施設の完成・管理にいたる各段階を通じて、多数の関係行政機関や地権者をはじめとする地域住民等との協議・調整が必要
 ・占用許可(電気・ガス工事のための道路工事の許可等)、水利使用許可(発電や水道のための河川からの取水の許可等)、渇水調整(河川の水量)が異常に少なくなった時の取水の調整に関する斡旋、調停等)など、広域的な観点からの複雑な利害関係の調整、さらには公権力の行使が必要であるなど、政策的・行政的判断を必要とする度合が強く、法令等客観的な基準への当てはめによって実施可能な業務などのような定型的で裁量性の少ない業務とは、性格が大きく異なる。
 このため、業務の執行に当たって、政策的・行政的裁量判断が公共的観点から適切になされることが確保できるような組織・運営形態とすることが必要。

(2)政策・計画と事業実施・管理の機能が強い一体性を持ち、組織体制上明確に区分し難い場合も多いため、両機能が有機的で密接な連携がとれる組織・運営形態であることが必要
 問2について述べたとおり、我が国においては、「計画」、「整備」、「管理」の各過程を反復しながら、段階的に社会資本の整備水準を向上させているのが実状。
 また、一級河川・国道等の社会資本の整備・管理に当たっては、既に供用されている施設を管理する過程や整備事業を執行する過程において明らかになる新たなニーズや技術的知見を、新たな政策の企画・立案、技術基準の策定、具体的な整備計画の修正・変更等に適切に反映させることが極めて重要。
 このため、施設管理や事業執行と政策・計画の企画・立案との有機的で密接な連携が不可欠。また、権限や責任の重複化により効率性が低下しないように留意することも重要。

(3)一体的な危機管理体制の確保が重要
 大規模な震災、水害、土石流、トンネル崩落事故などの緊急時においては、広域的な観点からの対応方針の検討・決定や人材・資機材などの広域的な確保・動員を行う中枢機能と、日常的な管理の積み重ねを通じて地域の実情に精通している実施部門とが、同一の指揮命令系統の下で緊密な意思疎通を図りながら、情報の収集・分析、規制等の行政措置、事業の計画・実施などに一体となって取り組む体制が確保できることが重要。

(4)社会資本整備については、質の向上を含めた中長期的視点からの評価や数量化の難しい要素の評価が適切に行われるような仕組みであることが重要
 また、緊急性、必要性等の優先度に応じた整備が重要であり、例えば整備量だけで単純に評価することも不適切
 社会資本整備については、質の向上がますます重要になってきている中で、長期的な耐久性や地域開発の促進効果など中長期的視点からの事業効果の評価や、「安心、ゆとり、うるおい」など数量化の難しい要素の評価を行うことが極めて重要。単に、コストと整備量を比較するだけでは十分な評価はできない。
 また、社会資本整備は、「やり易い所から実施する」よりは「やるべき所から実施する」べきものであり、この意味からも、例えば、短期的な整備量だけで評価することは不適切。
 このような視点を踏まえ、幅広い観点からの評価が適切に行われるような仕組みであることが重要。

建設省説明資料(平成9年度6月18日)
社会資本整備の効果測定、実施計画についての情報公開、実施後の成果の評価(プロジェクト実施段階における評価を含む)システムの在り方について今後どうすべきか。

[基本的考え]
 費用効果分析手法の導入などによる社会資本整備の効果測定、住民参加などによる実施計画についての情報公開、実施後の成果の計画への反映などを的確に実施し、「効率的で重点的な事業」、「国民にとってわかりやすい事 業」の実現に努力。

1 社会資本整備の効果の測定
 社会資本整備の効果測定は、単なる経済的側面からだけではなく、「安心、ゆとり、うるおい」などの多様な視点から評価されるべきものであり、これらを全面的に数値化することは難しいが、その中にあって、事業実施に当たってのコスト意識の向上、透明性の向上等の面から、投資の妥当性をできる限り数値で示すことは重要な課題と認識。
 このため、建設省においては、事業の実施計画などについて、可能な限り費用効果分析を実施し、公表することとしている。
 道路事業及び流域下水道事業については、平成9年度新規箇所より新たな分析手法を試行しており、他の事業についても、平成9年度中に新たな分析手法を策定、公表することとしている。
 なお、これらの費用効果分析手法については、今後ともできる限り様々な効果の数値化を工夫していきたいと考えている。

2 事業採択基準の公表、事業プログラムの公表などの情報公開

(1)事業採択基準等の公表
 事業を実施している箇所については、従前よりすべてを公開しているが、平成9年度新規箇所については、各事業分野ごとに、新規採択箇所に係る採択のための評価基準を一層充実し、公表した。
 具体的には、治水事業については、主として災害発生時の影響の大きさ、過去の災害実績、災害発生の危険度等の評価指標により、また道路事業・街路事業については、渋滞対策、交通安全対策、防災対策、投資効果等に関する評価指標によりチェックし、この評価結果を踏まえ、予算等の諸要素を総合的に評価して、新規採択箇所を決定している。

(2)住民参加
 建設行政に係る住民参加・情報公開のシステムについては、従来から都市計画手続における公聴会、縦覧手続などを実施するとともに、都市計画事業以外の事業においても、近年、都市計画決定に準じた手続きにより、情報公開や地域の意見の反映等を進めている。
 こうした中で、河川整備については、今国会において河川法の一部が改正され、河川整備計画を作成する場合の住民の意見の反映手続や作成された計画の公表義務等が位置づけられたところである。

(3)事業プログラムの策定・公表
 事業を実施している箇所や、整備のスケジュール等を明らかにした地域的なプログラムを策定・公表することにより、事業の全体像を明らかにする。
 例えば、下水道事業については、平成9年1月に、都道府県等において地域アクションプログラムを策定・公表している。治水事業については、21世紀初頭を目標とした中期整備計画を水系・都道府県単位で策定・公表する予定である。また、道路事業・街路事業については、道路の整備に関するプログラム(10年度以降の5年間の着手箇所、10年間の完成箇所)を策定・公表する予定である。

3 ダム等大規模公共事業の再評価をはじめとする実施中・実施後の事業の評価
 実施中及び実施後の事業の評価は、計画段階における想定に対するその後の状況変化を確認し、計画変更や追加措置を行うなどの上で重要なものと認識している。
 このことは特に大規模で長期間を要する事業について重要であり、例えば、ダム・堰事業については、平成7年7月から、ダム等事業審議委員会による事業評価を実施している。現在までに12事業で審議委員会が設置され、このうち4事業について計画の大幅変更や事業の中断等の意見が出された。事業の一時凍結・中断等の措置を含め、その意見を事業に反映している。

建設省説明資料(平成9年度6月18日)
国土地理院の独立機関化についてどう考えるか。

[基本的考え]
 日本では、地殻変動が著しいことなどから、地理情報は、国土の管理を的確に進めるための最も基礎的な情報であり、国が責任を持って整備すべきもの。
 国土地理院は、測量事業、測量行政、研究開発・国際協力を一体的に実施。
 独立機関化については、国土の管理の重要な基礎となっていることなど、国土地理院の業務の特性を踏まえた議論を十分に深めた上で、慎重に判断すべき。
 今後は、地理情報のデジタル化等により、業務の効率化に一層努力。

1 国土管理の基本となる地理情報
 日本の周辺では、複数のプレートが複雑にぶつかりあい、多くの活断層が存在する。このため、欧米諸国と比べ、日本の国土は、地殻変動が著しく、地震・火山活動等が頻繁にある。また、道路等の整備による国土利用の変化も激しい。このため、国土の測量を反復して実施することにより、常に最新の地理情報を把握・整備することが国土の管理の基本となる。

2 国土地理院の役割
 国土地理院は、測量事業を自ら行うとともに、この事業を基礎として、測量行政、研究開発・国際協力を一体的に実施している。

(1)測量事業
 国土地理院においては、三角点、水準点等の国家基準点の整備、25,000分の1の地形図の作成等、国土の基本的な地理情報の整備を実施している。これらの地理情報は、道路事業、河川事業等の各種公共事業の実施や都市計画の決定の基礎となるなど、国土の管理を的確に行うための最も基礎的な情報である。
 ちなみに、道路地図のように、国土地理院の地形図に付加価値を加えて作成される「地図」や「地図帳」は、民間事業活動により整備されているものであり、国土地理院の事業は、この意味でも国の行う必要最小限のものと考えている。
 なお、基準点設置、地形図の作成などを含む国土地理院の業務に要する費用は年間約100億円であるが、地形図の販売による国庫収入は年間約5億円である。

(2)測量行政
 国及び地方公共団体は、国土地理院の整備した測量成果、地形図等の地理情報をもとに、道路整備、河川管理、都市計画等のための詳細な測量(公共測量)を実施しているが、国土地理院では、これらの公共測量が正確かつ効率的に実施されるよう、成果の審査や重複排除などの調整を実施している。
 また、様々な主体が行う測量などの地理情報の整備が正確に実施されるよう、測量に関する技術基準を作成するとともに、測量士等の技術者資格の登録等を通じて技術力の確保を図っている。
 さらに近年では、測量成果、地図等の地理情報をデジタル化し、官民を問わず多目的に活用可能なGIS(地理情報システム)の整備を促進するため、その基準の作成について関係省庁や国際標準化機構(ISO)との調整を実施するなど、地理情報の普及・活用についての業務を展開している。

(3)研究開発・国際協力
 基本的な地理情報整備等を効率的・効果的に進めるため、地殻変動等から地震や火山噴火の発生を予測する研究や地理情報システム(GIS)に関する研究等、測量・地図作成など地理情報の整備に密接に関連する研究開発を実施している。
 特に、地震予知観測研究については、地震予知について関係機関と情報交換を行うとともに専門的な立場での学術的総合判断を実施する「地震予知連絡会」の事務局を運営している。
 また、測量・地図分野の国際会議に国の代表として対応するほか、国土地理院の持つ高度な技術力を活用し、プレート運動や砂漠化など地球的な現象を国際的な測量によってとらえる国際共同研究や国際協力を実施している。

3 独立機関化について
 国土地理院の独立機関化については、問5について述べたところを基本とし、国土の管理の重要な基礎となっていることなど、国土地理院の業務の特性を踏まえた議論を十分に深めた上で、慎重に判断すべき。
 2で述べた国土地理院の業務の特性を、独立機関化との関係で整理すれば、概ね以下の通りである。
 (イ)地理情報の整備は、国土の管理の重要な基礎。
 (ロ)このような業務の基本的特性に照らし、採算性判断により業務を展開することは不適切。
 (ハ)GIS、地震調査などの業務の実施に際し多方面との調整が必要。
 (ニ)基準点の整備・管理に際し、立ち入りなどの公権力の行使が必要。
 (ホ)国、地方公共団体等の実施する公共測量に対し、指導・調整を行っていること。
 (ヘ)国際協力などの場面で国を代表して活動する場合も増加していること。

4 業務の効率化について
 国土地理院においては、効率的に事業を実施するため、単純な測量業務等については、民間委託を進めてきているが、今後、さらに、地理情報のデジタル化、測量技術の開発等を踏まえ、業務の一層の効率的・効果的実施を推進。
 例えば、近年、人工衛星を用いたGPS測量(汎地球測位システム)などの技術開発を進め、従来人手に大きく頼っていた地上測量よりも高精度で、かつ、大幅に省力化された測量方法を開発したところ。

建設省説明資料(平成9年6月18日)
官庁営繕は、基本的に民間に任せるべきとの意見についてどう考えるか。

[基本的考え]
 官庁営繕行政は、長期営繕計画の策定、各省庁の営繕計画の調整、入居官署との調整、官庁施設の技術基準の策定等を主たる業務として実施。筑波研究学園都市等の長期間を要する国家的プロジェクトの遂行や、公共建築、街づくり等における主導的・先導的役割も果たしており、国自らがその責任を全うすることが必要。
 民営化については、上記の国としての役割にかんがみ、困難であるが、設計、施工段階の一層の外注化等により効率的な推進を図る。
 なお、独立機関化については、計画・調整・基準の策定などを重要な役割として担っている官庁営繕行政の特性を踏まえた議論を十分に深めた上で、慎重に判断すべき。
 また、国全体の官庁営繕の合理化・効率化の一層の推進のためには、官庁営繕行政の一元化が必要。

1 官庁営繕行政の役割

(1)学校、病院、郵便局など一定の官庁施設を除き、合同庁舎をはじめとする官庁施設、美術館などの国の施設につき、各省庁から委託されるものを含め、原則として建設省において営繕を実施。

(2)建設省は、「官公庁施設の建設等に関する法律」に基づき、官庁施設全体についての基準の策定、各省庁の営繕計画の審査・意見書の作成などの任務を担っており、官庁営繕行政は、概ね次のような流れと内容で実施されている。
 イ 全国の官庁施設の状況を把握し、良質なストックを形成する観点から、建設、集約化、修繕などに関する長期的な計画(長期営繕計画)を策定。
 ロ 不特定多数の国民が利用する公共建築物であるなどの特性を踏まえ、建築行政との密接な連携の下に、「位置、規模、構造の基準」を策定。(例えば、安全性、弱者への配慮、防災用の備蓄機能)
 なお、この基準を計画、設計、工事、保全の各分野について具体化した技術基準は、基本的な基準として政府関係機関、地方公共団体、不特定多数の者が利用する民間建築物へ広範に普及。
 ハ 長期営繕計画を踏まえ、行政だけでなく立法、司法を含むすべての国の機関の営繕計画を審査し、意見書を作成。
 ニ 建設省が実施する個々の営繕事業に関し、セキュリティの確保を要する官署などそれぞれの性格に応じた入居官署との調整。この調整を行った上で、位置、規模、施設機能などの設計与条件を確定。
 ホ 設計、工事の監督・検査。

(3)官庁営繕行政においては、筑波研究学園都市等の長期間を要する国家プロジェクトの遂行、都市の中心部における官庁施設を核とした街づくり(シビックコア地区整備事業)の推進、環境・福祉などに関する新技術の積極的採用等を通じ、都市整備分野、建築分野等でも重要な役割を果たしている。
○新中央合同庁舎第2号館(工事中)では、以下の新技術等を採用。
 イ 高度な地震防災機能を確保するため、地震による揺れを制御できる最新の制振構造を採用。また、電力・水・通信については、防災用の別系統を確保するなど非常時に備えた多重化を実施。
 ロ 地球温暖化防止(CO2抑制)対策として、太陽光発電の採用、自然エネルギー活用による外気冷房、断熱性の向上のための複層ガラスなどを採用。

(4)以上のように、官庁営繕行政は、官庁施設全体が的確に整備・管理されるよう、計画や基準の策定、関係機関との調整などを重要な役割として担っている。

2 民営化・民間委託化について

(1)民営化について
 官庁施設に関する長期計画の策定、入居官署との調整、技術基準の策定等は国自らが実施すべき業務であり、その民営化は、困難。

(2)民間建築物の借上げについて
 官庁施設のほとんどは国有地を利用して整備しており、借上げより国有地の上に自ら整備する方が経済的。
 特に、検察庁、警察庁、裁判所、国税庁、国税不服審判所、証券取引等監視委員会等、捜査、調査、告発、裁判、審判等の関係機関は、厳正な中立保  持の立場から、国所有の官庁施設に入居することが不可欠。
 なお、個別の状況に応じ、例外的に借上げの方が有利な場合には借上げを検討。

(3)設計、施工段階の一層の外注化の推進
 設計、施工に係る業務については、設計図書の作成、工事実施に関連する業務の民間委託を一層推進。
 ただし、官邸、警察庁、外務省等、国の機密保持、セキュリティの確保を 必要とする官庁施設の設計については、施設が持つ機能面の機密性の確保の ため、官庁営繕職員が実施することが必要とされているところ。

3 独立機関化について
 直轄事業の一つである官庁営繕行政の「独立機関化」については、問5について述べたところを基本とし、計画の策定、基準の策定、立法・司法・行政のすべての国の機関の営繕計画の審査などを主要な役割として担う官庁営繕行政の特性を踏まえた議論を十分に深めた上で、慎重に判断すべき。

4 官庁営繕行政の一元化について

(1)営繕行政の一元化に関する指摘
 官庁営繕の計画的・効率的推進を図ることについては、第2次臨調最終答申及びその後の閣議決定においても、長期的には、各省庁で分担している営繕業務の一元化を推進する必要があるとされている。答申においては、官庁営繕の分散実施による問題点が、次のように指摘されている。
 ・計画、設計業務に不統一が生じやすい。
 ・本省庁、出先機関とも重複競合的な組織となっている。

(2)営繕行政の合理化への努力
 現在、官庁営繕行政においては、関係各省庁から建設省への支出委任方式(事業実施を伴う予算執行の委任)の拡大、営繕計画に対する意見書制度の活用などにより、営繕事務の合理化・効率化を図っている。
 一層の計画的・効率的推進を図るためには、上記答申の指摘を踏まえて、官庁営繕事務の一元化を行い、分散実施による問題点の解消を図ることが必要と考える。