[公害等調整委員会に対する質問項目]
| ☆公害等調整委員会が、今後とも行政委員会として存続することの必要性、他省の一部又は民間組織への移行についてどう考えるか。 |
| ☆行政改革の趣旨に照らし、公害等調整委員会において、今後取り組むべきと考える(取り組もうとする)改革方策をご提示願いたい。 |
公害等調整委員会説明資料(平成9年6月25日)
| 公害等調整委員会が、今後とも行政委員会として存続することの必要性、他省の一部又は民間組織への移行についてどう考えるか。 |
| 1 公害等調整委員会が行政委員会として存続する必要性について |
(要旨)
1)公害紛争処理制度は、司法による紛争処理とは異なる特色を備えた制度として、公害紛争の解決を図り、環境の保全と改善、社会の安定等に役立っており、今後とも、経済社会の進展とこれを反映した公害紛争の動向に対応して適切に運用する必要がある。
2)公害等調整委員会は、公害紛争処理制度における国レベルの紛争処理機関として、紛争の調停、裁定等を行い、準司法的機能を有する合議制の機関であることから、公正・中立で他の行政機関から独立した行政委員会として存置すべきものと考える。
3)土地利用調整制度は、鉱業等と一般公益等との調整を図るため、鉱区禁止地域の指定を行うとともに、鉱業法、採石法等に基づく行政処分の不服裁定等を行う準司法的機能を有するものであり、その担当機関である公害等調整委員会は他の行政機関から独立した公正・中立な行政委員会として存置すべきものと考える。
(1)公害紛争処理制度の意義
公害紛争処理制度は、公害に係る紛争の迅速かつ適正な解決を図るため、行政組織として、国に公害等調整委員会を、都道府県に公害審査会等を設け、紛争のあっせん、調停、仲裁等を行うものであり、公害紛争の処理を通じて環境の保全と改善を図り、国民の安心や社会の安定等に寄与している。
この制度により、公害等調整委員会においては、今日までに不知火海沿岸における水俣病に係る損害賠償調停申請事件、大阪国際空港騒音調停申請事件、スパイクタイヤ粉じん被害等調停申請事件、山梨・静岡ゴルフ場農薬被害等調停申請事件等の事件の解決を図ってきた。
(参考)公害紛争処理制度の概要(公害紛争処理のネットワーク)
公害紛争処理制度において、公害紛争を処理する機関としては、国に公害等調整委員会が、都道府県には公害審査会等が置かれており、両者は、対等の立場で、以下のとおりそれぞれの管轄に応じ独立して紛争の解決に当たっている。
このような公害紛争処理ネットワークが円滑かつ効率的に運営されるため、相互に情報交換、連絡協議を行っている。
また、公害紛争処理機関とは別に公害苦情を迅速・適正に解決するために、公害紛争処理制度の一環として都道府県及び市区町村に公害苦情の相談窓口が設けられている。
(公害等調整委員会と都道府県公害審査会等との分担関係)
<公害等調整委員会の管轄>
○あっせん、調停及び仲裁
・重大事件:大気汚染、水質汚濁により生ずる著しい被害に係る次の事件
1)人の健康被害に係るものであって、その被害が相当多数に及ぶ事件
2)動植物又はその生育環境の被害が5億円以上である事件
・広域処理事件:航空機や新幹線に係る騒音事件
・県際事件:2以上の都道府県にまたがる事件
○裁定
1)公害に係る被害についての損害賠償の有無及び賠償額に係る事件(責任裁定)
2)公害に係る被害が発生した場合の因果関係の解明に係る事件(原因裁定)
<都道府県公害審査会等の管轄>
○あっせん、調停及び仲裁
公害等調整委員会が扱う紛争以外の事件
公害紛争処理のネットワーク(図略)
(2)公害紛争処理制度の特色
公害紛争処理制度による紛争処理には、司法による紛争処理とは異なる次のような特色がある。
1)柔軟かつ弾力的な紛争の解決、現実的な利益調整が可能であること。
2)実質的に行政施策の実施等を求める紛争にも対応が可能であること。
3)紛争解決に当たっての被害者側の負担が、立証責任、費用等の面で大幅に軽減されていること。
| 司法(判決)による紛争解決 | 公害紛争処理制度による紛争解決 | |
| 利益調整の柔軟性・弾力性 | 1)基本的に事後的救済の制度である。 | 1)未だ被害が生じていない段階での「おそれ公害」に係る紛争にも対応できる。 |
| 2)法律を適用することによって紛争の強制的な解決を図るものであり、その手続及び内容において、当事者間の複雑な利害関係を調整する構造になっていない。 | 2)柔軟な利益調整とそのための枠組み作りが可能である。ー環境保全、情報の公開に係る当事者間の協議体制の整備等について合意することにより、当該事業によりもたらされる利益と地域住民の環境利益との間の調整を図りうる。 | |
| 行政との関連性 | 行政施策の実施等を求めることは、できない。 | 実質的に行政施策の実施等を求める紛争にも対応できる。 公害紛争処理の結果を公害行政に反映させることができる。* |
| 紛争解決に当たっての被害者側の負担 | 1)被害者側が加害行為と被害との因果関係について立証責任を負っており、その立証が困難な場合が多い。 | 1)職権主義の導入と専門知識の活用 職権により調査、資料の収集を行う。 委員や事務局職員の専門的知識や経験を活用でき、さらに専門委員の制度も置かれており、高度な科学技術的知見を要する紛争に対応できる。 |
| 2)訴訟に多額の費用を要する。 | 2)費用負担の軽減 手続費用の多くを国、都道府県が負担するため、当事者の経済的負担が大幅に軽減されている。 |
(3)公害紛争の近年の傾向とそれへの対応
このような特色を有する公害紛争処理制度は、近年における次のような公害紛争の傾向にも的確に対応することができており、今後とも、経済社会の進展とこれを反映した公害紛争の動向に対応して適切に運用する必要がある。
(近年における公害紛争の傾向)
1)国、地方公共団体等が当事者として含まれる公共施設、大規模開発等に係る公害紛争の増加
2)被害発生のおそれの段階における公害紛争の増加
3)行政上の措置を求める公害紛争の増加
[補足資料1]
(4)公害紛争処理機関を行政委員会とする必要性
公害等調整委員会は、国レベルの公害紛争処理機関として、紛争のあっせん、調停、仲裁及び裁定(注)を行い、準司法的機能を有する合議制の機関であるから、公正・中立で、他の行政機関から独立した行政委員会とする必要がある。
(注)裁定制度について(5)土地利用調整機関を行政委員会とする必要性
公害等調整委員会においては、公害紛争処理機能として、通常の、あっせん、調停及び仲裁機能の他に、裁定機能を有している。
あっせん、調停及び仲裁は、いずれも当事者間の合意を基礎ないし前提とする制度であり、当事者間に合意が成立しうる素地がある場合には、迅速、円満な解決を図ることができるという長所があるが、公害紛争においては、当事者が激しく対立している場合が少なくなく、紛争解決には第三者機関が所定の手続により法律的判断を下す必要がある場合がある。このような必要性に基づき、昭和47年の法改正により裁定機能が導入されたものである。
裁定には、責任裁定と原因裁定の2種類がある。責任裁定は、公害に係る被害についての損害賠償責任の有無及び賠償すべき損害額について判断するものであり、原因裁定は、被害と加害行為との間の因果関係の存否を判断するものである。このような裁定機能=準司法的機能は、行政委員会によって適切に遂行されるものである。
(参考)土地利用調整制度の概要
(1)鉱区禁止地域の指定:利益調整機能
有用鉱物賦存地域が同時にダム、自然景観保護地域等である場合に、鉱業と一般公益又は他産業との調整=利益調整を行うもの。
(2)鉱業等に係る行政処分に対する不服の裁定:裁定機能
鉱物の掘採、岩石・砂利の採取等に係る行政処分=許認可に関する不服の裁定。
本不服裁定は、1)裁判に準じた手続で行われ、第一審機能が与えられており(ア)公害等調整委員会の裁定に対し不服がある場合は、東京高等裁判所に提訴、イ)裁定に対する訴訟については、公害等調整委員会の裁定委員会の認定した事実は、これを実証する実質的な証拠があるときは裁判所を拘束すること等)、かつ、2)対象となる行政処分及び処分権者が多岐にわたっている。
*不服裁定の対象となる行政処分及び処分権者については、後記「2公害等調整委員会を他省の一部に移行することについてどう考えるか。」
「(3)土地利用調整における公害等調整委員会の独立性、公正・中立性の意義」の(表)「鉱業等に係る行政処分に対する不服裁定制度に関係する所管省庁等」参照。
| 2 公害等調整委員会を他省の一部に移行することについてどう考えるか。 |
(要旨)
公害等調整委員会は、行政委員会として、利害関係の錯綜する公害紛争事件及び土地利用調整に係る不服裁定案件等を処理しており、その独立性、公正・中立性を明確にするためには、紛争の当事者等となりうる事業、規制等の所管省庁から離れた中立的な立場にある組織として設置されることが必要であると考える。
(1)公害紛争の特徴
公害紛争は、1)広域性があって、強い社会性、公共性を有するものが多いため、その解決を図る上で、行政上の措置をとる必要のある場合が多いこと、2)経済社会の高度化、多様化を反映して、未だ規制制度の存在しない分野=空白分野において、また、既存の規制制度の間隙をついて、生じる場合のあることが特徴として挙げられるが、近年における公害紛争において、この傾向は一層顕著であり、1)国、地方公共団体等の行政主体を相手方とし、公共施設の建設差止め、操業の停止、産業廃棄物の撤去等の行政措置を求めるほか、法令・条例等の制定、指導要綱の改廃等を求める事案の増加、2)公害を排出する事業者を相手方とし、民事上の紛争の形をとりながら、実質は、当該事業者に対する規制や指導等の在り方を問う事案の増加等を示している。
| 事件名 | 申請人 | 被申請人 | 事 件 の 概 要 |
| 豊島産業廃棄物水質汚濁被害等調停申請事件 | 香川県住民 | 産業廃棄物処理業者、排出業者、香川県 | (申請理由) 不法投棄された産業廃棄物による被害の発生。 (請求事項) 産業廃棄物の撤去。一人当たり金50万円の支払い。 |
| 香川県住民 | 国(厚生大臣) | (申請理由) 廃棄物処理法を所管し、都道府県知事に機関委任事務を委任している国の責任。 (請求事項) 産業廃棄物の撤去。 | |
| 中海本庄工区干陸事業水質汚濁被害等調停申請事件 | 島根県住民等 | 国(農林水産大臣) | (申請理由) 国が計画している中海干陸事業の実施による災害、水質汚濁及び生態系の破壊のおそれ。 (請求事項) 干陸事業の中止等。 |
| 松枯れ対策農薬空中散布大気汚染被害等調停申請事件 | 島根県住民等 | 益田市、島根県、田万川町、山口県、国(農林水産大臣) | (申請理由) 益田市及び田万川町が松枯れ対策として実施している農薬空中散布による周辺住民への健康被害。 (請求事項) 農薬空中散布の中止。中止の指導。「松くい虫被害対策特別措置法」の有効期限の延長を行わないこと。 |
(2)公害紛争における公害等調整委員会の独立性、公正・中立性の意義
公害紛争処理制度は、1に述べたような公害紛争の特徴及び近年における公害紛争の傾向に的確に対応しうる特色を備えるものであるが、その紛争処理機能を十全に発揮するためには、公害等調整委員会が、紛争の当事者等となりうる公害規制施策や事業等の所管省庁から独立し、公正・中立な第三者的立場で公害紛争の処理に当たることにより、関係者(特に、申請人側)の信頼感の醸成をはじめ、円滑な紛争処理のための環境を確保することが重要である。
したがって、公害等調整委員会は、規制や事業等の所管官庁から離れた組織、即ち規制や事業等を所管せず、各省庁に対して中立的な立場にある組織の所管として設置される必要がある。
(参考)(3)土地利用調整における公害等調整委員会の独立性、公正・中立性の意義
(1)公害紛争処理における公害等調整委員会の地位(図略)
(2)公害紛争に関係する省庁
1)公害の規制・防止等に係る施策を所管する省庁
2)公害の発生源たる業界、事業等を所管する省庁
(3)公害等調整委員会の関係省庁に対する働きかけの主要態様
1)公害紛争処理手続の進行過程におけるやりとり
*公害等調整委員会設置法第15条(資料提出の要求等)、同法第16条(調査の委託)
2)関係行政機関の長に対する公害防止施策の改善に関する意見の申出
*公害紛争処理法第48条(意見の申出)
(参考)土地利用調整制度に関係する所管省庁
○鉱区禁止地域指定制度に関係する所管省庁(例示)
鉱業権(通商産業大臣所管)←利益調整→ダムの保全(建設大臣所管)
自然景観の保護(環境庁長官所管)
農業用水源の保全(農林水産大臣所管)
| 行政処分 | 処分権者 | 根拠法 |
| 鉱業権設定の許可等 | 通商産業局長 | 鉱業法 |
| 岩石採取計画の認可等 | 都道府県知事 | 採石法 |
| 砂利採取計画の認可等 | 都道府県知事 | 砂利採取法 |
| 保安林内における土石等の採掘等の許可等 | 都道府県知事 | 森林法 |
| 農地転用の許可等 | 農林水産大臣 | 農地法 |
| 海岸保全区域の占用、特定行為等の許可等 | 海岸管理者 | 海岸法 |
| 国立公園又は国定公園内における鉱物の掘採等の許可等 | 環境庁長官、 都道府県知事 |
自然公園法 |
| 地すべり防止区域内における地下水の排除を阻害する等の行為の許可等 | 都道府県知事 | 地すべり等防止法 |
| 河川区域内における土石等の採取の許可等 | 河川管理者 | 河川法 |
| 市街化区域又は市街化調整区域内における建築物の建築等の許可等 | 都道府県知事 | 都市計画法 |
| 緑地保全地区内における鉱物の掘採等の許可等 | 都道府県知事 | 都市緑地保全法 |
| 生息地等保護区の管理地区内における鉱物採掘等の許可等 | 環境庁長官 | 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律 |
| 根拠法 | 行政処分 | 処分に当たり比較衡量すべき公益 |
| 鉱業法 | 鉱業権設定の許可等 | 保健衛生、公共施設、文化財、公園、温泉、農業・林業その他の産業 |
| 採石法 | 岩石採取計画の認可等 | 他人の安全、公共施設、農業・林業その他の産業 |
| 砂利採取法 | 砂利採取計画の認可等 | 他人の安全、公共施設、他の産業 |
(4)公害紛争処理と土地利用調整とを同一の組織により所管する意義
土地利用調整に係る事務の中でも、特に利益調整の対象となる事項が多数の省庁にわたる鉱業等に係る行政処分に対する不服の裁定は、上記3の「(注)鉱業等に係る行政処分と当該処分に当たり比較衡量すべき公益(例)」のとおり、環境保全的観点からの利益調整を趣旨とする制度であり、近年の運用において、このような環境保全的観点に立つ利益調整の比重は、一層増大しているところであり、公害紛争処理と併せて同一の組織により所管することが適当である。
(近年における不服裁定事案の利益関係の態様)
鉱業権等 ← 利益調整 → 河川の水質汚濁問題、地盤沈下問題、粉じん問題、振動問題
(不服裁定)
[補足資料2]
| 3 公害等調整委員会を民間組織に移行することについてどう考えるか。 |
(要旨)
1)公害紛争は、広域性があり、強い社会性、公共性を有する問題であるから、その処理には行政が関与する必要性が大きく、その手続においても強制的手段(当事者に対する出頭要求、文書提出命令等。違反には罰則を適用。)を伴い、また、法律的判断(裁定)を下す必要性も存するため、民間組織に委ねることは困難であると考える。
2)土地利用調整の事務は、行政処分に対する不服裁定等を行うものであって、民間組織に委ねることは困難であると考える。
(1)公害紛争の特徴及びこれに対応する公害紛争処理機能の特色
公害紛争は、一般の民事紛争とは異なり、下表左欄のとおりの特徴を有している。公害紛争処理制度は、このような公害紛争を適切に解決に導くため、公害紛争の特徴に対応して各々下表右欄のとおりの機能上の特色を有しており、これら諸機能を民間組織において担うことは困難である。
| 公害紛争の特徴 | 公害紛争処理機能の特色 |
| 1)関係の把握に困難がある。
当事者が多数にわたること、被害が財産的なものにとどまらず、人の生命や健康に及ぶこと、被害の認定、加害行為と被害との間の因果関係の究明が難しいこと等事実関係の把握に困難がある。 |
1)委員会が、当事者に対する出頭要求、文書・物件の提出命令、立入検査という強制的手段*を用いて、事実関係等の解明に当たることができる。
また、職権による証拠調や、調査、資料の収集等を行うことができる。 *違反に対しては、罰則が適用される。 |
| 2)及び影響の及ぶ範囲が広い(広域性、社会性、公共性)。
公害紛争は、本質的に広く地域、社会の利益にかかわる上に、適切な解決が図られない場合には、その地域、社会に与える被害・影響を一層大きくする可能性がある。 |
2i)当事者双方の話し合いにのみ委ねていては、地域社会全体に大きな被害・影響の及ぶおそれがある場合に職権で紛争処理を行う。
・職権あっせん ・職権調停 2ii)調停委員会が、必要に応じ、紛争当事者に対し、解決策の受諾勧告等を行う。 ・調停案の受諾の勧告(公害紛争処理法第34条) 「調停委員会は、当事者間に合意が成立することが困難であると認める場合において、相当であると認めるときは、一切の事情を考慮して調停案を作成し、当事者に対し、30日以上の期間を定めて、その受諾を勧告することができる。」 ・調停案の公表(同法第34条の2) 「調停委員会は、前条第1項の規定による勧告をした場合において、相当と認めるときは、第37条の規定(手続の非公開)にかかわらず、理由を付して、当該調停案を公表することができる。」 ・義務履行の勧告(同法第43条の2) 「中央委員会又は審査会等は、権利者の申出がある場合において、相当と認めるときは、義務者に対し、中央委員会又は当該審査会等若しくは関係連合審査会の行った調停、仲裁又は責任裁定で定められた義務の履行に関する勧告をすることができる。(以下略)」 (同条第2項) 「前項の場合において、中央委員会又は審査会等は、当該義務の履行状況について、当事者に報告を求め、又は調査をすることができる。」 |
| 3)行政措置との関連性が強い。
|
3)行政を当事者に含む公害紛争にも対応する。(前記2参照)
・関係行政機関に対する意見の申出 |
| 4)当事者が激しく対立し、双方の合意による解決が難しい場合がある。
公害紛争においては、当事者が激しく対立している場合があり、また、解決の内容如何が当事者に重大な影響をもたらすことが多いことから、合意を基礎とする解決が難しい場合がある。 |
4)裁定機能=準司法的機能を行使する。
裁定機能−公害紛争について、公害等調整委員会の裁定委員会が、所定の手続により法律的判断を下すことによって、紛争を解決する。 (裁定の種類) 責任裁定−公害に係る被害についての損害賠償責任の有無及び賠償すべき損害額について判断する。原因裁定−被害と加害行為との間の因果関係の存否について判断する。 |
(2)土地利用調整機能の特色
土地利用調整制度については、1)鉱区禁止地域の指定は、鉱業権の設定を制限する一般処分としての性格を有する行政処分であること、2)鉱業等に係る行政処分に対する不服の裁定は、第一審機能を有すること等の特色を有しており、このような機能を民間組織に委ねることは困難である。
[補足資料1]
| 1 近年における公害紛争の具体的事例 | |
| (1) | 大型施設建設に係る公害紛争及び被害発生のおそれの段階における公害紛争 |
| ○事例 | 大型施設建設に係る公害紛争 |
| (経過の概略) | |
| 公害紛争:当該施設が完成すると公害発生のおそれ。当該施設建設の中止を求める。 | |
| →調停→調停成立: | |
| 1)環境保全に係る協定の締結 | |
| 2)環境保全に係る申請人(住民)・被申請人(当該施設に係る事業主体)間の協議体制の設置 | |
| 3)事業開始後の環境調査の実施と情報公開 | |
| 4)公害等調整委員会が上記協定の履行状を監視する方式の導入 | |
| (2) | 行政上の措置を求める公害紛争 |
| ○事例 | (@)スパイクタイヤ粉じん被害等調停申請事件(昭62〜昭63) |
| (A)スパイクタイヤ使用禁止等調停申請事件(平元〜平3) | |
| (経過の概略) | |
| <(@)スパイクタイヤ粉じん被害等調停申請事件> | |
| 公害紛争:スパイクタイヤ粉じん被害 | |
| →調停:申請人=スパイクタイヤ粉じんにより被害を受けている住民 被申請人=スパイクタイヤメーカー | |
| →調停成立:スパイクタイヤの製造販売を中止することにつき双方合意 | |
| <(A)スパイクタイヤ使用禁止等調停申請事件> | |
| →調停:申請人=スパイクタイヤ粉じんにより被害を受けている住民 被申請人=国(環境庁長官、通産大臣、運輸大臣、建設大臣、自治大臣、警察庁長官) | |
| →解決:「スパイクタイヤ粉じんの発生の防止に関する法律」制定。調停申請取下げ。 | |
| ○ | 豊島産業廃棄物水質汚濁被害等調停申請事件(平5〜係属中) |
| (経過の概略) | |
| 公害紛争:産業廃棄物の不法投棄による被害 | |
| →調停:申請人=香川県豊島の住民 被申請人=産業廃棄物処理業者、排出業者、香川県、国(厚生大臣) | |
2現在の公害紛争の状況
(1)調停事件
| 事件名 | 申請人 | 被申請人 | 事件の概要 |
| 液体洗剤水質汚濁被害等調停申請事件 | 静岡県住民等 | P&G(プロクター・アンド・ギャンブル・ファー・イースト・インク) | (申請理由) P&Gの製品の不適切な処理方法による被害のおそれ。 (請求事項) 全製品の回収。安全な方法による処分。雑菌が混入した経緯の報告。 |
| ☆豊島産業廃棄物水質汚濁被害等調停申請事件 | 香川県住民 | 産業廃棄物処理業者、香川県 | (申請理由) 不法投棄された産業廃棄物による被害の発生。 (請求事項) 産業廃棄物の撤去。一人当たり金50万円の支払い。 |
| 香川県住民 | 国(厚生大臣) | (申請理由) 廃棄物処理法を所管し、都道府県知事に機関委任事務を委任している国の責任。 (請求事項) 産業廃棄物の撤去。 | |
| ☆中海本庄工区干陸事業水質汚濁被害等調停申請事件 | 島根県住民等 | 国(農林水産大臣) | (申請理由) 国が計画している中海干陸事業の実施による災害、水質汚濁及び生態系の破壊のおそれ。 (請求事項) 干陸事業の中止等。 |
| ☆松枯れ対策農薬空中散布大気汚染被害等調停申請事件 | 島根県住民等 | 益田市、島根県、田万川町、山口県、国(農林水産大臣) | (申請理由) 益田市及び田万川町が松枯れ対策として実施している農薬空中散布による周辺住民への健康被害。 (請求事項) 農薬空中散布の中止。中止の指導。「松くい虫被害対策特別措置法」の有効期限の延長を行わないこと。 |
(2)裁定事件
| 事件名 | 申請人 | 被申請人 | 事件の概要 |
| 小田急線騒音被害等責任裁定申請事件 | 東京都住民 | 小田急電鉄株式会社 | (申請理由) 列車の走行に伴う騒音、振動等の被害。 (請求事項) 一人当たり金50万円の支払い。 |
| ☆飯塚市廃棄物悪臭被害責任裁定申請事件 | 福岡県住民 | 飯塚市 | (申請理由) 飯塚市が投棄したし尿汚泥等による悪臭被害。 (請求事項) 一人当たり金360万円の支払い。 |
| ☆飯塚市し尿処理場等悪臭被害原因裁定申請事件 | 福岡県住民 | 飯塚市 | (申請理由) 飯塚市が設置管理するし尿処理場及びこれに隣接する下水道終末処理場から発生する悪臭被害について民事訴訟を提訴。 (請求事項) 申請人が被っている被害は上記施設から発生する悪臭によるとの原因裁定。 |
[補足資料2]
| (事例)A県岩石採取計画認可処分取消裁定申請事件(平7〜平8) | |
| ○ | 不服裁定申請事案:A県知事が行った事業者Bの岩石採取計画認可処分に対し、農業者等の周辺地域住民が1)土砂の河川への流入による水田被害、2)粉じんによる農作物被害、3)振動・騒音による家屋損傷のおそれを主張し、当該認可処分の取消しを求め不服裁定申請 |
| (経過と問題解決) ・審理期日の開催 ・水質汚濁、粉じん、騒音・振動に関する調査 | |
| →岩石採取に係る公害防止協定(*)の締結(申請人、A県、事業者B、地元町長の四者による協定) | |
| *本公害防止協定においては、採石場周辺環境問題協議会(協定を締結した上記四者に加え、通産局、県衛生公害研究所、県農業改良普及所、県土木事務所、地元町石材工業販売協同組合が顧問として参加。)を設置し、本協定において合意に至らなかった環境保全上の事項について協議することとしており、公害等調整委員会はその協議状況について連絡を受けることとしている。 | |
| →裁定申請取下げ、事件終了 | |
公害等調整委員会説明資料(平成9年6月25日)
| 行政改革の趣旨に照らし、公害等調整委員会において、今後取り組むべきと考える(取り組もうとする)改革方策をご提示願いたい。 |
1 公害紛争処理に係る重点課題
近年における次のような公害紛争の傾向を踏まえ、今後とも複雑かつ困難な公害紛争の迅速かつ適正な解決を図るため、事件に関する調査能力の向上、都道府県公害審査会等との連携強化等公害等調整委員会の機能の充実を図る必要がある。
1)公共施設、大規模開発等に係る公害紛争の増加
2)被害発生のおそれの段階における公害紛争の増加
3)行政上の措置を求める公害紛争の増加
2 土地利用調整に係る重点課題
不服裁定制度における環境保全の観点からの利益調整を要する事件の増加傾向等を踏まえ、鉱業等による環境被害等の未然防止機能を一層発揮することができるよう、公害等調整委員会の機能の充実を図る必要がある。