[総務庁に対する質問項目]
☆行政改革の趣旨に照らし、総務庁において、今後取り組むべきと考える(取り組もうとする)改革方策をご提示願いたい。
(下記設問の中で回答)
☆総務庁の有する人事管理・行政管理・行政監察機能の総理府への移管に関する意見についてどう考えるか。
☆行政改革との関連で公務員制度の改革についてどう考えるか。 また、人事院も含めた中央人事行政機関の在り方をどう考えるか。
☆評価・監察等の機能の見直しの方向と、その所管組織の在り方をどう考えるか。また、オンブズマン制度の導入についてどう考えるか。
☆現在の分散型の統計行政組織についてどう考えるか。また、統計業務を民営化又は独立機関化することについてどう考えるか。
☆恩給業務の援護業務との一体化、支給関係業務の独立機関化についてどう考えるか。
☆交通安全対策等の各種政策の総合調整事務を主要関係省庁に移管することについてどう考えるか。

総務庁設置の経緯

1 第2次臨時行政調査会の考え方

(1) 政府全体としての総合調整機能を強化するためには、内閣機能の強化に併せ、これを支える
 ・予算による調整
 ・人事・組織による調整(総合管理機能)
 ・計画による調整(総合企画機能)
 が必要である。

(2)総合管理庁は、総理府人事局、行政管理庁等の事務・権限を統合し、国務大臣を長として設置し、以下の事務を所掌する。
 ・国家公務員等の人事管理に関する各行政機関の方針、計画の総合調整
 ・人事院の事務のうち行政の執行責任を有する内閣総理大臣が所掌すべき事務等
 ・行政機構・定員・運営の総合調整、行政機構・定員・特殊法人の設置等の審査
 ・行政監察
 ・特殊法人職員の人事管理に関する政府としての方針等の調整等

2 総務庁設置の際の考え方
 人事管理、組織・定員管理、行政監察の事務のほか、総理府本府から、
 ・恩給及び統計事務
 ・特定施策の総合調整事務(交通安全対策、青少年対策等)
 を総務庁に移管し、総理府本府は極力スリムな組織とする。(総理府本府に置かれていた、総理府総務長官(国務大臣)及び総理府総務副長官(2)の職を廃止)

総理府本府から移管した部局:
 人事局、恩給局、統計調査部、統計センター、交通安全対策室、高齢社会対策室、地域改善対策室、青少年対策本部、北方対策本部
行政管理庁から移管した部局:
 行政管理局、行政監察局、統計基準部

総務庁の有する諸機能の在り方については、今後の行政改革会議の議論の進展に応じて、弾力的、前向きに対応してまいりたい。 現在提起されている考え方を前提として、提示された諸設問に対する当面の検討結果は次のとおりである。

総務庁説明資料(平成9年6月25日)
総務庁の有する人事管理・行政管理・行政監察機能の総理府への移管に関する意見についてどう考えるか。

【回答】
中央省庁再編により、政府全体の総合調整・管理機能を幅広く一体的に所管する織(専任大臣が所管)を設け、総務庁の有する人事管理・行政管理・行政監察機能は当該組織に移管することが適当であると考える。

人事管理、行政管理及び行政監察に関する事務には次のようなものがある。
○人事管理
 国家公務員法等公務員制度にかかわる法律・制度改正の企画・立案、実施
 政府一体となった人事管理を推進するための総合調整
 人事院の給与勧告を受けた後の財政等国政全般の判断による給与改定の実施
 使用者を代表する立場からの職員団体等への対応
○行政管理
 行政機関の機構・定員の審査、特殊法人の新設・改廃等の審査
 規制緩和、特殊法人改革、地方分権等行政改革の政府方針取りまとめ及び推進
 行政情報公開法制の立案、行政手続法及び個人情報保護法の施行
 行政情報化、国民の申請負担軽減方策等行政運営改善の推進
○行政監察
 年間20本にのぼる大臣勧告(要改善事項約500)及びそのフォローアップ
 (特殊法人等の見直し、歳出削減の観点から各種施策の見直し)

 中央省庁再編により、政府全体の総合調整・管理機能を幅広く一体的に所管する組織を設け、これらの事務は当該組織に移管することが適当であると考える。
 これらの事務はその重要性にかんがみ、その各段階で、大臣の指示を受けて行う必要があり、最終局面では大臣折衝を必要とする場合が少なくない。また、当該組織が全体としてどのような事務を所管するかにもよるが、人事管理、行政管理及び行政監察に関する事務以外の事務も併せて所管することとなれば、更に大臣の指示や折衝を必要とする範囲が拡大するので、当該組織は専任の大臣が所管すべきであると考える。

総務庁説明資料(平成9年6月25日)
行政改革との関連で公務員制度の改革についてどう考えるか。また、人事院も含めた中央人事行政機関の在り方をどう考えるか。

【回答】(その1:公務員制度の改革について)
社会経済情勢の変化、行政改革の進展を踏まえた公務員制度改革が必要である。このため、公務員制度調査会に対し、現行の国家公務員に関する制度と運用の在り方について全般的見直しを諮問している。なお、エイジェンシー制度について具体的な姿が示されれば、それに対応した国家公務員制度の在り方について、公務員制度調査会において検討する必要がある。

(国家公務員制度の見直しの方向)
1 今後の人事管理については、国民の信頼確保、行政の総合性の確保、公務の活性化を図るとともに、高齢化の進展、行政の複雑高度化、就業意識の変化への対応という観点からの検討が必要である。例えば、@能力・業績の適正な評価と処遇面への反映、A総合的な政策展開を支える人事管理施策、B公務をライフワークとする仕組みの整備、C行政の複雑高度化に対応した職務の専門性の強化方策、D職務内容や職責に応じた服務の在り方などが、今後の国家公務員制度・運用上の課題となる。

(公務員制度調査会への諮問)
2 去る5月19日には、内閣総理大臣から公務員制度調査会に対し、国民の信頼の確保を基礎としつつ、行政の総合性の確保、公務の活性化、職務の専門性の強化、高齢化及び就職意識の変化への対応等の諸課題にこたえ得る人事管理システムを構築するため、現行の国家公務員に関する制度とその運用の在り方の全般的見直しが諮問され、平成10年度内に公務員制度の改革の基本的方向について結論を得る予定である。

(エイジェンシー制度の導入に合わせた国家公務員制度の見直し)
3 エイジェンシー制度の導入に当たり、エイジェンシーに勤務する職員に関する法制度の検討を行うためには、エイジェンシーの業務の性格、エイジェンシー職員の身分、給与等の財源等が明らかにされる必要がある。
 行政改革会議からエイジェンシー制度について具体的な姿が示されれば、それに対応した国家公務員制度の在り方について、専門調査機関である公務員制度調査会において検討する必要がある。

【回答】(その2:中央人事行政機関の在り方について)
中央人事行政機関(内閣総理大臣(人事局)及び人事院)の在り方については、使用者としての人事管理に関する総合調整機能を一層発揮する観点から、その役割分担の見直しが必要である。

(中央人事行政機関)
1 国家公務員法は、一般職の国家公務員に関する中央人事行政機関として、国家公務員の使用者としての立場から各行政機関が行う人事管理に関する方針・計画等の統一保持上必要な総合調整及び職員の能率、厚生、服務等に関する事務(研修等人事院に属するものを除く。)を行う内閣総理大臣と、中立的立場から人事行政の公正の確保及び職員の利益の保護等を行う人事院を規定している。総務庁人事局は、中央人事行政機関たる内閣総理大臣の事務担当部局として、内閣総理大臣の補佐機能を果たしている。

(今後の対応)
2 今後、行政及び公務員をめぐる諸情勢の変化の下、国民の信頼確保、行政の総合性の確保、公務の活性化等の観点から、政府一体となった人事管理を推進していくことが従来にも増して重要となる。また、新たな中央省庁体制の下では、人事管理面から行政の総合性を確保することの必要性も更に高まるものと考える。
 このため、中央人事行政機関(内閣総理大臣(人事局)と人事院)の役割分担についても見直しを行い、国家公務員の使用者としての人事管理に関する総合調整機能の一層の発揮を図っていく必要があると考える。その際、累次の臨調・行革審答申でも指摘されているように、人事院の機能を公務員の中立・公正の維持や労働基本権制約の代償の確保を担う中立機関としてふさわしいものに整理・合理化し、内閣総理大臣(人事局)と人事院の権限関係を整理すべきである。
 さらに、今後、多様で弾力的な人事管理制度を構築しつつ、政府全体としての整合性を確保するため、公務部門における人事管理制度の企画立案機能、運用の総合調整機能の在り方について、その対象範囲(エイジェンシー職員、特殊法人の役職員の取扱い等)を含め、幅広く検討を進める必要がある。

総務庁説明資料(平成9年6月25日)
評価・監視等の機能の見直しの方向と、その所管組織の在り方をどう考えるか。また、オンブズマン制度の導入についてどう考えるか。

【回答】(その1:評価・監視等の機能見直しと所管組織)
行政評価・監視機能の所管組織については、各省庁の政策自体を評価し、改善方策を提言、推進した結果が、閣議や各大臣に直接反映されるよう、当該機能を所管する機関の長は閣僚であることが望ましい。
行政監察機能の強化方策を講じていくとともに、内閣総理大臣により近いところで運用することも考え得る。
政府全体の総合調整・管理機能を幅広く一体的に所管する組織が、行政評価・監視機能をも併せ所管することが適当と考える。

(問題認識)
1 行政評価・監視機能の在り方については、国会等行政外部からの監視の在り方の検討とは別に、行政が自律的に改革・改善を行う機能は不可欠であるとの認識の下で、総務庁の行政監察機能をいかに有効に発揮するかが問われている。総務庁長官から、このような観点に立って、行政監察機能の在り方について見直すよう指示があり、その所管組織の在り方を含めて検討を進めている。

(具体策の検討)
2 行政監察の有する行政評価・監視機能を強化するための組織形態としては、内閣からの独立性の強い行政委員会や会計検査院のような第三者機関とする考え方もあり得る。
 行政委員会は、合議制による意思決定制度を採ることから、準司法的機能を有する場合、裁定や試験等の中立的判定機能を有する場合、高度な政治的中立性が必要な場合等に限定して置かれており、また、会計検査院は内閣から独立した機関であり、行政委員会以上に独立性が高い。
 これらの機関が行政評価・監視を実施する場合、施策の遂行状況の合規性、的確性等についてはより中立的かつ公正な立場で判断できるというメリットがある。一方、行政評価・監視機能には、各省庁の具体的施策自体の適否等について積極的に判断し、改善方策を提言、推進する面もあり、提言内容の実現を図るためには閣議の場において又は直接各大臣に発言できる担当の大臣が必要であり、大臣を置くことによって行政責任がより明確になると考えられる。また、行政改革等内閣として重点的に取り組むべき課題を推進することも行政評価・監視機能の役割であるが、内閣からの独立性が高くなれば、こうした機能が発揮しにくくなるのではないかとも考えられる。
 以上の点を踏まえれば、行政評価・監視機能を所管する組織の長は閣僚であることが適当と考える。
 この場合、各省といわば横並びの組織では行政評価・監視機能の発揮に限界があるのではないかとの指摘がある。これについては、行政監視・評価機能強化の観点から、現行の行政監察機能の強化方策を講じていくとともに、例えば、内閣総理大臣により近いところで当該機能を運用することも考えられる。
 さらに、行政改革の効果的な推進を図る観点から、行政管理機能等との一体的な運用を行えるよう、政府全体の総合調整・管理機能を幅広く一体的に所管する組織が、行政評価・監視機能を併せて所管することが適当と考える。

【回答】(その2:企画と執行の分離に関連して)
 企画立案機能と執行機能が分離される場合には、政府全体としての評価の仕組みとして、行政監察の専門的能力やノウハウ等を積極的に活用してまいりたい。

(企画立案機能・執行機能の分離と行政評価・監視機能)
 中央省庁再編により中央省庁の機能を企画立案と執行に分離し、執行部門の自主性・自立性を強化するとともに、目標による管理と評価の手法が採られる場合には、その目標設定の仕方や目標の内容が適切か、目標どおりに執行されているか、より効率的な執行方法はないか等について、個別行政の観点のみならず、政府全体としての評価の仕組みが一層重要となる。このような機能を果たすものとして、行政監察の行政評価・監視に関する専門的な能力やノウハウ等を積極的に活用してまいりたい。

【回答】(その3:オンブズマン制度の導入に関して)
 総務庁の行政相談制度は、行政監察局、行政相談委員及び民間有識者から成る行政苦情救済推進会議との有機的連携により成果を上げており、内外からオンブズマン的機能を果たしているとの評価を受けている。今後、この機能が一層有効かつ適切に発揮されるよう努力してまいりたい。

(オンブズマンと行政相談制度)
 オンブズマンとは、一般に、高い識見と権威を備えた者が、国民の行政に対する苦情を受け付け、中立的な立場からその原因を究明し、是正措置を勧告することにより、簡易かつ迅速に問題を解決する制度である。
 総務庁の行政相談制度は、行政監察局(管区行政監察局、行政監察事務所を含む)、全国約5,000人の行政相談委員(無報酬の民間人)及び民間有識者で構成される行政苦情救済推進会議が一体となって苦情の解決を図る制度であり、これらの有機的な連携により年間約22万件にのぼる国民の苦情、意見・要望に広範かつきめ細かに対応し、成果を上げていることから、内外からオンブズマン的機能を果たしているとの評価を受けてきている。
 今後、この機能が一層有効かつ適切に発揮されるよう努力してまいりたい。

総務庁説明資料(平成9年6月25日)
現在の分散型の統計行政組織についてどう考えるか。また、統計業務を民営化又は独立機関化することについてどう考えるか。

【回答】(その1:分散型統計行政組織について)
 センサス等大規模統計調査については集中による効率化を期待できるが、各行政に密着した統計調査については、集中により効率性を損なうおそれがあることを踏まえ、統計の性格を勘案し、分散型のメリットをいかしつつ集中化の方向で検討することが必要である。
*センサス=国勢調査や事業所・企業統計調査のように、標本抽出によらず全数を調査する統計調査

(集中型と分散型)
1 統計行政組織の形態には、集中型(統計調査の企画・実施を単一の統計専門機関(中央統計局・庁)に集中する形態)と分散型(統計調査の企画・実施を各行政機関がそれぞれの所管行政分野について行う形態)がある。それぞれ以下のような特徴を有するが、一方のメリットは他方のデメリットでもあり、一概にどちらが優れているということはできない。このため、諸外国の統計行政組織にも両方の例が見られるところである。

集中型統計機構分散型統計機構
・管理・集計等共通事務の重複が生じにくい。
・統計調査の重複や空白が生じにくい。
・専門知識を有する統計職員の育成や有効活用、統計技術の蓄積が容易である。
・統計調査の企画に当たり、各統計最大の利用者である行政機関のニーズを的確・迅速に反映できる。
・行政ニーズに対応した組替集計や分析結果などを迅速に反映できる。
・所管行政に関する知識と経験を統計調査の企画・実施に活用できる。

(センサス等大規模統計調査の集中によるメリット)
2 センサス等大規模統計調査を集中することにより、次のようなメリットが期待される。
 1)数年に1回周期的に行われるセンサス等の大規模統計調査を単一の機関が実施することにより業務の一層の平準化が進み、統計調査業務が効率化
 2)センサス等の大規模統計調査が一元的な管理の下に行われることにより、調査対象の把握が確実に行われ、より正確性の高い統計の作成が可能
 3)地方公共団体が実地調査を担当しているセンサス等の大規模統計調査が一元的に実施されることによる調査実施における地方公共団体の事務が簡素・効率化

(各行政に密着した統計調査の集中によるデメリット)
3 一方、各行政に密着した統計調査の中には、集中化により、各行政事務と一体的に実施できなくなることにより、次のようなデメリットが懸念されるものもある。
 1)個別行政分野におけるきめ細かい行政ニーズに対応した統計の作成が困難化
 2)行政ニーズに即応した、所管行政に関する知識・経験に基づく迅速な集計、結果分析が困難化
 3)個別行政の専門的知識が実地調査に必要な統計調査については、当該行政の担当機関から切り離すと非効率

(今後の検討)
4 統計行政の一層の合理化、効率化を図る観点から、上記1〜3を踏まえ、個々の統計調査の特長を勘案し、分散型のメリットをいかしつつ、集中化の方向で検討することが必要と考えており、総務庁長官からも検討を指示されているところである。

【回答】(その2:統計業務の民営化・独立行政機関化について)
 統計業務については、外局という形態が導入されるならば、業務の民間委託の一層の拡大を図りつつ、業務を外局化することについて考えてまいりたい。なお、その外局は、統計が行政の基盤であること、公権力の行使の側面を有すること等を踏まえ、英国の国家統計庁と同様に法令等の企画・立案事務等も自ら行うことができるよう配慮する必要がある。

(統計は行政の基盤)
1 国勢調査結果が国会議員定数の基準や地方交付税交付金の算定基準として使用されるなど統計調査の結果は各種行政施策の基礎として用いられるものであり、いわば国の行政の基盤をなすものである。また、情報インフラとして、社会・経済活動や研究活動に広く活用されている。

(統計調査には公権力の行使の側面)
2 国勢調査等の指定統計調査は、国民に申告義務を課してデータを徴集するという公権力の行使の側面を有するとともに、国民のプライバシーや企業秘密の厳格な保持による信頼が確保されて初めて真実性の高い統計が得られるという特質を有する。

(独立採算性は希薄)
3 統計は収入範囲が極めて限定され、採算性が乏しく、独立採算や民間企業的な経営にはなじまない分野であると考える。

(民間委託の一層の拡大)
4 上記1〜3を踏まえると、統計組織について民営化することは適切でない。統計事務の合理化・効率化の観点から、プライバシー保護等に万全の措置を講じつつ、プログラム、システム開発、データ入力、磁気テープの保管の一部等について、業務の民間委託を実施してきたところであるが、今後とも、その一層の拡大を図ってまいりたい。

(行政機関としての位置づけ)
5 統計は国民に対して申告義務を課すなど国民の権利義務に直接かかわる事務であることから、統計法などの関係法令に基づいて業務が行われているため、統計事務を行う際に法令等の企画・立案作業を行う必要がある。また、統計調査の実施に当たっては地方公共団体等に対する指揮監督を行うこととされている。統計業務の独立機関化については、このような統計の特質や採算性が乏しいことを踏まえて検討する必要がある。
 5月28日の行政改革会議で示された外局(私人に対する規制等の業務や、国が自らの名において行うことが必要な事務事業等を行う行政機関)という形態が導入されるのであるならば、統計業務を外局化することについて考えてまいりたい。その際、その外局は、統計が行政の基盤であること、公権力の行使の側面を有すること等を踏まえ、英国の国家統計庁と同様に、法令等の企画・立案事務や調整事務等も自ら行うことができるよう配慮する必要がある。
 なお、エイジェンシー原理を用いた組織の管理運営が行われている英国の国家統計庁は、法令等の企画・立案事務を自ら有していること等から、行政機関としての地位を保持している。

総務庁説明資料(平成9年6月25日)
恩給業務の援護業務との一体化、支給関係事務の独立機関化についてどう考えるか。

【回答】(その1:恩給業務の援護業務との一体化について)
 恩給業務と援護業務の一体化は、両者の性格が本質的に異なること、恩給行政は政府部内の管理業務担当官庁が所管して恩給給付に係る「政府の使用者責任」を明確にする必要があること、文官恩給まで援護行政と一体化することとなること等から適切ではなく、効果も疑問である。諸外国でも恩給業務と援護業務は分離している。

(恩給は「使用者としての政府」の立場から退職公務員又はその遺族に対して行う給付)
1 恩給制度は、公務員の退職後の処遇として、「使用者としての政府」が退職公務員又はその遺族に対して給付を行うものであり、現在の国家公務員災害補償制度(人事院所管)、国家公務員共済年金制度(大蔵省所管)の前身の制度で、特に年功給付が大きな割合を占めているものである。また、文官、教育職員、警察職員、旧軍人等従前の国の公務員全般に適用されるとともに、他の公務員制度とも相互に関連している公務員制度の一環をなす制度である。このため、政府部内の管理業務を担う官庁が所管し、恩給給付に係る「政府の使用者責任」を明確にしてきているところである。

(援護行政は戦争被害者の救済のために広範な事業を行うもの)
2 これに対して援護行政は、外地引揚者、残留邦人、戦傷病者、戦没者の遺族等特別の施策を必要とする戦争被害者に対して、国が、政策的に救済、援護を行うものであることから厚生行政を所掌する厚生省が所管し、中国残留邦人等の帰国援護、中国残留孤児の肉親調査、遺骨収集・追悼式・慰霊碑等の慰霊事業、戦傷病者及び戦没者の遺族等に対する給付、更生医療の給付、義肢、車いす等の支給、国立保養所への収容等広範な事業を行っているものと承知している。

(恩給業務と援護業務の一体化について)
3 御質問の恩給業務と援護業務の一体化の意味するところが明らかではないが、両業務の性格が本質的に異なること、政府部内の管理業務を担う官庁が恩給行政を所管して恩給給付に係る「政府の使用者責任」を明確にする必要があること、両業務の一体化は文官、教育職員、警察監獄職員等に係る恩給まで援護行政と一体化することとなること等から、一体化は適切でないと考える。また、政府の内部管理の一環である恩給行政と広く国民を対象とした厚生行政の一環である援護行政は、目的・対象・業務手法等を異にしており、そもそも共管・競合の関係にないことから、一体化の効果にも疑問がある。さらに、恩給給付に関する「政府の使用者責任」を不明確にすることは、高齢化が進み、旧軍人で平均78歳、文官、教育職員、警察監獄職員等では平均84歳にもなる恩給受給者の心情を損ないかねないということにも配意する必要がある。

(諸外国においても恩給業務と援護業務は分離)
4 なお、下表のとおり、諸外国においても、我が国の恩給制度に相当する制度は、公務員・軍人の人事管理担当官庁等政府部内の管理業務を行う官庁が所管し、我が国の援護制度に相当する制度については、厚生行政担当官庁又は戦後処理担当官庁が所管しているところである。

国名恩給制度の所管いわゆる援護制度の所管
文官軍人
イギリス内閣府公務員庁国防省社会保障省
ドイツ内務省内務省労働社会省
フランス経済財政省経済財政省在郷軍人犠牲者担当大臣(首相府)
アメリカ人事管理庁(注)国防省復員軍人省
日本総務庁総務庁厚生省
(注)米国の文官退職恩給は、社会保険型である。(組織名は仮訳)

【回答】(その2:支給関係事務の独立機関化について)
 恩給給与金の支払とその支払状況の管理、過誤払いに係る債権管理等の恩給支給関係事務は、事務効率、受給者の利便等の観点から、既に外部委託している。 今後とも、受給者数の推移や業務量の動向を踏まえ、定員縮小等の合理化に努めてまいりたい。

(恩給事務は機械化一貫処理体制を構築)
1 恩給は、「使用者としての政府」の地位に基づき、政府の責任として支払うものであることから、基本的には、政府がその業務全体を自らの責任で事務処理するべきものである。総務庁においては、これを前提に、臨調第5次答申をも踏まえ、恩給業務の総合的な合理化と高齢化の進む受給者に対する行政サービス向上の観点から、大型コンピュータ(恩給事務総合システム)を導入し、申請から給与金算出等までの一貫処理を効率的・効果的に実施することができる体制を構築してきたところである(平成4年度完成)。

(恩給の支払事務等は引き続き外部化)
2 ただし、恩給給与金の支払とその支払状況の管理、過誤払いに係る債権管理等の恩給支給関係事務については、事務効率、受給者の利便等の観点から、既に上記の一貫処理体制から切り離して郵政省に委託し、全国の郵便局等において実施している。これらの事務については、今後とも受給者に近い機関で実施していくことが適当であると考える。

(業務量の動向に対応した合理化の推進)
3 受給者が減少する一方、社会経済情勢の変化等に対応した恩給制度の見直し、受給者の高齢化への対応等が求められている中、昭和36年度(定員のピーク時)から現在までの間に受給者数の減少率(約3割)を上回る定員削減(約5割)を達成するなど、相当の合理化を進めてきている。
 今後とも、受給者数の推移* や業務量の動向を踏まえ、定員縮小等の合理化に努めてまいりたい。
 (*:平成9年度 167万人→平成14年度 147万人→平成19年度 110万人)

総務庁説明資料(平成9年6月25日)
交通安全対策等の各種政策の総合調整事務を主要関係省庁に移管することについてどう考えるか。

【回答】
 各種政策の総合調整事務は、基本的には、中央省庁再編の際の大括り化により、再編後の各省の内部で処理されるようにすべきである。
 中央省庁の再編後においても、多数の機関に関連し、特定の省の立場を離れて調整することが適当な事務や、政府全体としての積極的な総合調整が求められるような事務については、政府全体の総合調整・管理機能を幅広く一体的に担当する組織が所管することが適当であると考える。

(特定施策の総合調整は多数省庁にまたがる事務)
1 総務庁は、国民的な重要課題であり、多数の省庁の施策にまたがる「特定施策」(交通安全対策[関係省庁数:20]、高齢社会対策[同:21]、地域改善対策[同:9]、青少年対策[同:14]、北方領土問題対策[同:14])に関する総合調整に関する事務を所管している。このような特定施策に係る諸分野については、交通事故死者数がなお年間1万人近いこと、高齢社会対策の緊要性、青少年を取り巻く厳しい環境等を見ると、今後とも政府一体となった適切な対応が必要である。

(今後の対応)
2 このような各種政策の総合調整事務は、基本的には、中央省庁再編の際の大括り化により、再編後の各省の内部で処理されるようにすべきである。中央省庁再編後も、なお複数の関係省にまたがり、特定の主要関係省を定め難いものや、特定の省の立場を離れて調整することが適当であり、政府全体としての積極的な総合調整が求められるものについては、政府全体の総合調整・管理機能を幅広く一体的に担当する組織が所管することが適当であると考える。