[厚生省に対する質問項目]

☆行政改革の趣旨に照らし、今後取り組むべきと考える(取り組もうとする)改革方策を御提示願いたい。
☆少子・高齢化社会に対する取り組み、社会保障構造改革の推進にあたり、経済・財政との調和を図りつつ、雇用、家庭、教育等の行政分野も視野にいれた総合的な政策を展開していくために、行政組織の在り方についてどう考えるか。
☆国立病院・療養所等の民営化、地方移管又は独立機関化についてどう考えるか。
☆社会保険庁の独立機関化についてどう考えるか。
☆廃棄物処理場、水道、下水道等の環境社会資本整備について、環境行政との関係、他の社会資本整備との関係及び組織の在り方についてどう考えるか。
☆医薬品の安全対策と振興対策の実施体制の在り方について、透明性のある行政の確保の点からどのように考えるか。
☆公的年金制度の一元化に係る今後の動向に照らして、これに対応する行政組織の在り方をどう考えるか。
☆麻薬取締行政の警察行政との一体化についてどう考えるか。
☆研究機関について、他の研究機関との統廃合を含め、組織の在り方についてどう考えるか。
☆少子化対策としては、男女不平等や育児支援施策の遅れ、全体的に長い職場拘束時間に起因する保守的な家庭観の克服が必要であり、このような観点から、政策的に、男女不平等の是正や、職業と育児を両立させる育児支援、さらには、労働力確保のための女性の社会参画の促進などを進める体勢はどうあるべきと考えるか。
☆近年の薬害エイズ問題に限らず、医薬品の製造・販売に関して、国際的に適切かつ迅速な情報の収集及びそれに基づく安全審査、また薬害に対する迅速的確な対応が不備であるという、厳しい世論がある。
これに伴い、医薬品開発の振興と安全審査の分離による医薬品審査の透明性の確保の必要性が強く主張され、さらには、医薬品の審査体制について国際的に十分であるかどうかの検証も求められているが、過去の反省に立ち、このような批判に応える体勢はどうあるべきと考えるか。
☆日本において、北欧に見られるような人間優先の充実した高齢者福祉システムを構築できなかった根本的原因はどこにあると考えるか。また、高齢者福祉の水準を、国際的な観点に立って自己評価・点検することを可能にする体勢はどうあるべきと考えるか。

厚生省追加説明資料(平成9年5月21日追加)

行政改革の趣旨に照らし、各省庁において、今後取り組むべきと考える(取り組もうとする)改革方策を御提示願いたい。

T 社会保障構造改革の方向

(1)急速な少子・高齢化の進行に伴い、社会保障に対するニーズの増大は不可避であり、その負担も一層増加。こうした中、社会保障の構造改革は21世紀に向けての我が国の最重要課題の一つと認識。
(2)社会保障構造改革の基本的な考え方は、
1)高齢化のピーク時においても国民負担率が50%を超えないように、社会保障制度を経済・財政と調和のとれたものに再構築すること
2)国民の自立を支援する観点から、国民の選択を基本とした利用者本位の社会保障サービスの仕組みを構築すること
3)国民的な合意の下で、社会保障分野において公私の役割分担の確立、民間活力の導入を図ること
の3点であり、このような方向性は基本的に行政改革の精神に沿っているものと認識。
(3)社会保障構造改革を進めるためには、国民皆保険・皆年金体制を堅持しつつ、年金、保健医療、福祉を通ずる制度横断的な再編成を着実に実施していくことが不可欠。
(4)今後の少子・高齢社会に対応する行政組織の枠組みについては、社会保障構造改革が着実に推進できる体制が必要と考えている。

U 各分野における改革の方向

1 保健・医療・福祉サービス等の実施のあり方について
(1)保健・医療・福祉サービスの分野については、住民に対し総合的なサービスがきめ細かに提供されるよう、既に、市町村を中心とした地方公共団体への権限移譲を進めてきている。
 一方、少子化対策や介護需要の増大への対応は、早急な取組みが求められる国民的な課題であることから、新ゴールドプラン、障害者プラン、エンゼルプランの策定など、国が制度の大枠の企画、立案を行い、全国的な観点から補助金等によるサービスの底上げを図っているところである。
(2)また、国民の生命・健康の安全の確保については、国が全国的視野に立って衛生規制の体系や基準を企画・立案する一方、実施については、感染症等に対する健康危機管理や全国的に流通する食品や医薬品の規制を除き、地方公共団体が責任を持つという体制の整備を進めている。
(3)今後とも、以上のような役割分担の下、事務権限の見直し、補助金等の簡素・合理化を進めていきたい。

2 薬事行政組織について
(1)国の薬事行政組織については、エイズ問題などの反省を踏まえ、安全性確保のための体制強化を進めていかなければならない。
 安全性の確保については、治験から承認審査、市販後の安全対策にいたる一体的な実施体制が必要であることから、振興対策とは独立した形で医薬安全局を設置し、その実施体制を強化することとした。
 一方、医薬品等は医療の重要な一部をなすものであることから、その研究開発の振興等については、医療政策と一体として健康政策局に一元化することとした。
(2)今後とも、効率的で透明な医薬品行政が実施できる体制のあり方を検討していきたい。

3 国立病院等について
(1)国立病院等の基本的な位置づけは、1)国際感染症等に対する危機管理や積極的国際貢献、2)がん、循環器病等働き盛りの主たる死亡原因を制圧するための戦略的医療など、国が自ら果たすべき責任と役割を遂行して行くべきものであると認識。
(2)このような認識に立って国の責任と役割を果たすべきものとそうでないものを峻別し、昭和61年の再編成計画の策定以降、施設の統廃合・経営移譲による民営化・地方移管に努めているところ。民営化・経営移譲については、地域医療の確保という強い要請がある一方、実際に経営を引き受ける団体がないという厳しい現実があるが、これまでの努力により次第に成果が現れてきている。
(3)民営化・地方移管を進めるべきものについては、今後さらに、対象施設の追加を検討するとともに、移譲の受け皿の拡大も図りながら、その取組みを一層強化する。また、国の責任と役割を遂行していくべきものについては、一層効率的な運営に努める。

4 社会保険庁について
(1)医療保険・年金については、既に、企画立案部門とは別に事業実施部門として社会保険庁が設けられている。
(2)これについては、保険料率や給付内容といった制度運営の基本事項は全て法令で規定されていることから、国の企画立案部門と離れては保険者責任を全うできない。今後とも、国の行政組織として一層効率的な業務実施体制の確保に努めていきたい。

厚生省説明資料(平成9年5月14日)

 少子・高齢化社会に対する取り組み、社会保障構造改革の推進にあたり経済・財政との調和を図りつつ、雇用、家庭、教育等の行政分野も視野にいれた総合的な政策を展開していくために、行政組織の在り方についてどう考えるか。

T 少子・高齢社会に対応する社会保障行政組織のあり方についての基本的考え方

1 社会保障制度は、個人の自立と自助を基本としつつ、疾病、老齢、障害等の個人の力のみでは対処しきれない事態については、社会連帯の精神に基づき、必要な支援をするという社会・経済の安全網(セーフティーネット)。
 このため、厚生行政は、社会保険等の経済保障、公衆衛生や社会福祉等の施策を一体的に実施。

2 少子・高齢社会に対応した我が国の社会保障行政のあり方に関する3つの視点

<視点1:社会保障制度の効率的運営のための総合調整の仕組みの確立>
○急速な少子・高齢化の進行に伴い、社会保障需要の増大は不可避であり、その負担も一層増加。社会保障に係る負担は国民負担の重要な要素。我が国の社会・経済の活力を維持しつつ、国民生活の安定を確保していくためには、社会保障制度の総合化・効率化が必要であり、その推進のためには、社会保障制度の企画、立案、実施に関する総合調整の仕組みの確立が必要。

<視点2:個人の自立と社会参画を支援していくための施策の連携の強化>
○活力ある少子・高齢社会の実現に向けて、国民一人一人の自立と社会参画を支援していくための総合的な高齢者、障害者対策や少子化対策等が必要。その実効ある推進のためには、関連分野を含めた幅広い施策の連携を一層強化していく必要がある。

<視点3:生命や健康の安全を確保するための一元的な行政の仕組みの確立>
○少子・高齢社会においては、健康被害を受けやすい高齢者(健康面でのハイリスクグループ)が増加。この中で個人の自立や社会参画の基盤となる生命や健康の安全の確保が従来にも増して重要となる。このため、健康危機管理体制の確立等の生命・健康安全対策やその基盤となる厚生科学研究に関する一元的な行政の仕組みの確立が必要。

3 21世紀の本格的少子・高齢社会においても、我が国の社会・経済の活力を維持しつつ、社会保障制度が国民生活の安定や発展に寄与していくためには、地方への権限移譲や民間活力の活用等効率的な行政運営を図りつつ、上記3つの視点に基づいた社会保障制度の推進のための組織体制の確立が必要。

U 本格的少子・高齢社会に対応する社会保障制度の効率的運営のための総合調整の仕組みの確立(視点1)

1 少子・高齢化の進展に伴い、介護や育児に関する新たな需要も含め社会保障需要の増大は不可避であり、その負担も一層増加。一方、経済は低成長基調に変化し財政も深刻化。(参考1、参考2参照)

2 こうした中で、我が国の社会・経済の活力を維持しつつ、社会保障に対する国民の需要に適切に対応していかなければならない。具体的には、高齢化のピーク時においても国民負担率が50%を超えないよう経済、財政と調和のとれる効率的な社会保障制度の確立が必要。(参考3参照)

・社会保障に係る負担          (平成7年度(1995年度))   (平成37年度(2025年度))

(介護保険制度を創設した場合の試算)   18 1/2%   →  29〜35 1/2%

  (注)新人口推計によると、平成37年度において、年金を中心に負担率はさらに1〜2%程度上昇する見込み

 ・社会保障以外の支出に係る公費負担    約20%

  (注)この場合の社会保障の範囲(ILO(国際労働機関)基準))

    ・医療:医療保険、労災保険の医療給付、公費負担医療等

    ・年金:厚生年金等の公的年金、労災保険の年金給付等

    ・その他:生活保護、児童手当等の手当、労災保険の休業補償給付、雇用保険の失業給付等

                                                            (参考4参照)

3 このためには、このような幅広い社会保障制度の各般にわたり、各制度の効率化を図るとともに、制度横断的な再編成等による全体の総合化・効率化を図る等、構造改革の一層の推進が必要。
 その強力な推進には、社会保障制度の企画、立案、実施に関する総合調整の仕組みの確立が必要。

(近年取り組んできた総合的視点に立った改革)
1)平成6年の年金制度の改正
○「60歳引退社会」から「65歳現役社会」への転換を図るための雇用と年金の連携
(雇用制度)・60歳を下回る定年の禁止
・65歳までの継続雇用の促進
(年金制度)・本格的年金を支給する年齢を65歳に引上げ
・雇用保険の失業給付を受給している間は老齢厚生年金の支給を停止
○育児休業の普及
(雇用保険)・育児休業給付の創設
(年金制度)・育児休業期間中の厚生年金保険料の本人負担の免除
2)公的年金制度の一元化の推進
○公的年金制度の長期的安定と整合性ある発展を図るため、昭和61年に全国民共通の基礎年金制度を導入。
さらに、これに続いて、分立している被用者年金制度について、就業構造の変化、制度の成熟化等に対応し、制度の安定化と公平化を図るため再編成を推進。
・その第一段階として、JR、JT、NTTの共済組合を厚生年金へ統合

(総合的視点に立って今後取り組むべき課題)
1)少子・高齢化の進行に対応した雇用と年金の一層の連携
2)介護需要の増大に対応した介護サービスの確保、介護休業の普及等総合的な介護対策の推進
3)子育てと仕事の両立のための諸施策を始めとする制度横断的かつ総合的な少子化対策の推進

V 少子・高齢社会において、個人の自立と社会参画を支援していくための施策の連携の強化(視点2)

1 我が国においては、世界に例を見ない急激な少子・高齢化により、21世紀の初頭以降人口は減少傾向に入り、生産年齢人口の減少等これまで経験したことがない社会の変化が生じる。また、核家族化や女性就業者数の増加により、家庭や地域の扶養機能は低下。

2 こうした中では、従来、主として社会保障の「受け手」であった高齢者、障害者、女性等の自立と社会参画を支援し、むしろ積極的に社会の「担い手」として活躍していくための社会的な仕組みの確立が急がれる。

3 高齢者、障害者対策における連携
 21世紀の少子・高齢社会に向けて、高齢や障害等の状態になり、身体機能等の低下があっても、それを補い、できる限り在宅を中心に地域の中で自立した生活が送れるような社会づくりが課題。
このため、「高齢社会対策大綱」や「障害者プラン」にみられるように、生きがい対策、雇用対策、保健・福祉サービス、高齢者・障害者が住みやすい住宅・まちづくり、医療や介護に必要な人材の養成などの総合的な施策展開が必要であり、そのための施策の連携が必要。

1)高齢者、障害者の社会参画の促進を図り、生きがいを創造するとともに、社会の活力を維持するため、福祉政策と雇用政策の連携が重要。

2)保健・福祉サービスを活用した自立生活の基盤として、高齢者や障害者が住みやすい住宅の整備やまちづくりは、施策の実効性を上げるために必須。

3)介護需要の増大に対応した保健・医療・福祉を担う人材やボランティアの養成など教育政策との連携は不可欠。

4 少子化対策における連携
 出生率の低下、女性の社会参画が進む中で、総合的な少子化対策の推進が重要。
このため、「エンゼルプラン」にみられるように仕事と育児を両立できる雇用環境の整備、保育サービスの充実、住宅・生活環境の整備、ゆとりある教育の推進、子育てに伴う経済的負担の軽減などの総合的な対策が必要であり、そのための施策の連携が必要。

1)出産・子育てと仕事・社会参画が両立できる環境づくりのためには、特に、保育サービスの充実や育児休業制度の普及等、福祉政策と雇用政策の連携が重要。

2)ゆとりある教育については、今後は、家庭における児童虐待や学校におけるいじめ、不登校等の問題について、福祉政策と教育現場とが連携した総合対策が必要。

5 健康づくり対策における連携
 健やかな長寿の実現のためには、国民の一人一人の積極的健康づくりが重要。特に、がんや脳卒中など生活習慣がその発病・進行に関与するいわゆる「生活習慣病」等に対する備えが必要。
このためには、子供の時期から生涯を通じた健康づくりが重要であり、健康教育等学校保健や、職場における労働衛生と地域保健との連携が必要。また、病気だけを治療するのではなく全人的な診療が必要となっていることから、健康政策行政と医学教育行政の連携が重要。

6 地域のサービス実施基盤の整備
 少子・高齢社会において、地方行政に占める保健・医療・福祉サービス行政の比重は極めて大きく、その傾向は一層増大。これらのサービスについては、制度の大枠の企画、立案や専門性の高い人材の確保は国の役割、住民に対するきめ細かなサービスの提供は地方公共団体の役割。
全国的なサービスの公平の確保という観点から、市町村の行政単位や広域行政等の地方行政のあり方は少子・高齢社会における生活の質と大きく関わっており、地域のサービス実施基盤の整備の強力な推進が必要。

W 生命や健康の安全を確保するための一元的な行政の仕組みの確立(視点3)

 少子・高齢社会は、健康被害を受けやすい高齢者(健康面でのハイリスクグループ)が増加する社会。「長生きしてよかったと思える長寿社会」の実現のためには、個人の自立や社会参画の基盤となる生命や健康の安全の確保が従来にも増して極めて重要となる。
このため、健康危機管理体制の確立等の生命・健康安全対策の充実、これと一体となった厚生科学研究の推進等の一元的な行政の仕組みの確立が必要。(参考5参照)

1)特に、国際化等の進展に伴い、新型インフルエンザ、O−157、新興感染症等大規模な健康被害が発生する危険が増大。その際、高齢者や子供は最もその被害を受けやすい存在。
このような被害を未然に防止し、また、最小限にとどめるためには、いわば内なる安全保障として、平時から、国民の生命、健康の安全の確保のための企画、立案を一元的に担当し、国内外の専門機関や専門的人材の緊密な連携を通じた迅速な情報の収集・分析・提供体制を確立するとともに、緊急時の対策の実施のための全国的に統一のとれた仕組みを強化することが我が国における喫緊の課題。
○WHO(世界保健機関)、FDA(米国食品医薬品庁)、CDC(米国疾病対策予防センター)等の海外の専門機関との連携の強化
○保健所、地方衛生研究所、臨床研究機関、大学等との連携の強化
○健康危機の発生時における国、地方公共団体、民間の保健医療関係機関を通じた統一のとれた迅速な対応の実施

2)また、生活の利便の向上の伴い、新たな有害物質等による日常の生活環境における危険要因も増大。特に、毎日、人に直接摂取される飲料水の供給や、有害物質等を含む種々雑多な物質の集合体である廃棄物の処理については、その供給、処理の過程全体を、国民の生命、健康の安全の確保の観点から、常時適正に維持管理していくことが不可欠。

3)このような国民の生命に対する新たな脅威への備えや、がんの克服、老化の解明等の長寿社会への対応など、国民の生命、健康を守るための厚生科学研究は、我が国の社会保障政策の推進に必要不可欠な基盤。今後とも内外の疾病動向等を踏まえつつ、社会保障政策の需要に応じた研究を推進し、その知見を行政に迅速に反映していくことが必要。
○国民の生命、健康の安全の確保のための知見の集積
・がんや痴呆等の疾病の本態や発生の仕組みの解明
・生命工学(バイオテクノロジー)等の先端技術を活用した新たな診断治療法の開発
・医薬品・食品等の安全性の評価を的確に行うための調査研究
・生活習慣病への的確な対応等健康づくりに関する調査研究 等
○国民の生命、健康の安全確保のための知見の普及
・地方公共団体等への情報の提供
・地方公共団体の専門職員の教育

(参考1)少子・高齢化の急速な進展

○ わが国においては、平均寿命の伸長と少子化の進行により、21世紀半ばには、国民の約3人に1人が65歳以上という、超高齢社会が到来することが予想される。
●先進諸国における65歳以上人口割合の推移(略)
○ わが国の総人口の推移をみると、2050年には1億人と現在の1億2千6百万人より2割減となり、その後もさらに減少するものと予測される。
●総人口の推移:中位(略)

○ 平成9年1月人口推計(中位推計)の概要
  総  人  口65歳以上人口割合65歳以上人口
総 人 口平成7年(1995)年

<ピーク>


平成37年(2025)年

平成62年(2050)年
12,557万人

12,778万人
[平成19年(2007)年]

12,091万人

10,050万人
14.6%




27.4%

32.3%
1,828万人




3,312万人

3,245万人

(参考2)平成9年1月人口推計(中位推計)の概要

 平成9年1月推計
(中位)
平成4年9月推計(参考)
(中位)
総 人 口平成7(1995)年

〈 ピ ー ク 〉

平成37(2025)年

平成62(2050)年
12,557万人

12,778万人
[平成19(2007)年]

12,091万人

10,050万人
12,546万人

13,044万人
[平成23(2011)年]

12,581万人

11,151万人
65歳 以上人口平成7(1995)年

平成37(2025)年

平成62(2050)年
1,828万人(14.6%)

3,312万人(27.4%)

3,245万人(32.3%)
1,823万人(14.5%)

3,244万人(25.8%)

3,142万人(28.2%)
15 歳 未満 人口平成7(1995)年

平成37(2025)年

平成62(2050)年
2,003万人(16.0%)

1,582万人(13.1%)

1,314万人(13.1%)
2,010万人(16.0%)

1,825万人(14.5%)

1,755万人(15.7%)
65歳以上人口が15歳 未満人口を上回る年平成9(1997)年平成10(1998)年

(参考3)社会保障構造改革の方向性

社会保障に係る費用は高齢化等に伴い当然に増加する性質を有するが、構造改革においては、介護等必要な需要に対応しつつも、医療・年金分野を中心として、効率化・適正化を段階的に推進する

社会保障に係る公的負担の将来推計(平成8年11月厚生省推計)
単位:%社会保障給付費
の対国民所得比
 老年人口比率
医 療年 金その他(注1)
日本14.65.77.41.513.1
日本(1994)16.2 6.18.31.814.1
アメリカ19.47.18.73.612.7
イギリス26.97.310.98.715.8
ドイツ31.58.713.79.215.0
フランス35.68.817.59.414.4
スウェーデン52.510.221.420.917.7
日本(2025)30〜36.510.5〜1615〜15.54.5〜525.8

(注1)その他は、失業給付、家族給付等である。
(注2)計数は、年数を特定しているもの以外は1992年。
(注3)日本の2025年の数値は、社会保障に係る給付と負担の将来見通し(平成8年11月、厚生省推計)の介護保険制度を創設した場合の複数のケース。老年人口比率は平成4年9月の人口推計による。
資料:「平成6年度 社会保障給付費」社会保障研究所(現国立社会保障・人口問題研究所)

(参考4)

◎ ILO基準による社会保障給付費の内容
【社会保障給付費の分類】

医    療年    金福  祉  等
・医療保険、老人保健の医療給付
・生活保護の医療扶助
・労災保険の医療給付
・結核、精神その他の公費負担医療
・保健所等が行う公衆衛生サービスに係る費用
・厚生年金、国民年金等の公的年金
・恩給 ・労災保険の年金給付
・生活保護の医療扶助以外の各種扶助
・児童手当等の各種の手当
・施設措置費等の社会福祉サービスに係る費用
・医療保険の傷病手当金
・労災保険の休業補償給付
・雇用保険の失業給付

◎ 我が国における社会保障の定義(昭和25年社会保障制度審議会勧告)
「社会保障制度とは、疾病、負傷、分娩、廃疾、死亡、老齢、失業、多子その他困窮の原因に対し、保険的方法又は直接公の負担において経済保障の途を講じ、生活困窮に陥った者に対しては、国家扶助によって最低限度の生活を保障するとともに、公衆衛生及び社会福祉の向上を図り、もってすべての国民が文化的社会の成員たるに値する生活を営むことができるようにすること」

【社会保障の分類】(「社会保障統計年報」(社会保障制度審議会事務局編)より)

狭義の社会保障
広義の社会保障
社会保険健康保険、年金保険、労働者災害保険、雇用保険、船員保険、各種共済組合等
公的扶助生活保護
社会福祉身体障害者、精神薄弱者、老人、児童、母子等に対する福祉等
公衆衛生及び医療結核、精神、麻薬、伝染病対策、上・下水道、廃棄物処理等
老人保健老人医療等
 恩給文官恩給、旧軍人遺族恩給等
 戦争犠牲者援護戦没者遺族年金等
 関連制度住宅対策第1種・第2種公営住宅建設等
 雇用対策失業対策事業等

(参考5)生命・健康安全の確保

<新たな脅威の出現>
〈感染症〉〈医薬品〉〈食品〉〈生活環境〉
・エボラ出血熱
・新型インフルエンザ
・薬の効かない耐性菌
・エイズ
・0−157
・狂牛病
・クリプトスポリジウム(水道)
(注)埼玉で6千人が下痢
・ダイオキシン(廃棄物)
↑↓
<総合的な危機管理>
○ 国内外の健康危険情報の迅速な収集・提供
○ 健康被害の発生の未然防止、拡大防止のための迅速な対応

<厚生行政における一元的な対応>
健康づくり、医療提供、医薬品・食品の安全性の確保、水道・廃棄物の衛生管理等、国民の生命健康の安全確保を担う厚生行政において一元的に対応することが不可欠

<厚生科学研究による基盤整備>
国民の生命健康の安全確保のための知見の集積
・疾病の本態及び発生の仕組の解明
・新たな診断治療法の開発
・医薬品・食品等の安全性の調査研究

厚生省説明資料(平成9年5月14日)

国立病院・療養所等の民営化、地方移管又は独立機関化についてどう考えるか。

T 民営化、地方移管又は独立機関化を検討するに当たっての留意点

1 医療提供における国の責任と役割
 国家における危機管理機能の向上が強く叫ばれる中で、新たな国際感染症の侵入や大規模災害の発生などに対する医療活動体制の整備は一層重要となっている。また、少子・高齢社会の到来によって、国民の生命や健康を守り、生活の質を高めるための医療を巡る科学技術の発展が強く求められてきている。さらに、歴史的、社会的経緯から国に対して要請される医療について、国自らが対応していくことは、国民の行政への信頼を確保する上で不可欠な要素である。
 このような状況に対して、国は、健康安全行政の上で極めて重い責任を負っており、特に、次のような政策医療の分野においては、国が自ら直接に果たすべき役割が存在している。

(1)国家の危機管理や積極的国際貢献における役割
例えば、次のような非常事態発生時や国際的事案への対応は、まさに国の責任である。
・国際感染症(例えば、エボラ出血熱など)の侵入時の対応
・難民の大量流入時やペルーの日本大使公邸人質事件のような国際的事案への対応
・阪神・淡路大震災のような極めて広範囲にわたる規模の災害発生時の対応
・我が国の医療に関する知識・経験・人材を活用した国際医療協力への積極的対応(「世界福祉構想」の推進)
など

(2)戦略的医療における役割(先駆的医療の開発・普及など科学技術政策上の役割)
 次のような領域においては、@その画期的な診断・治療法の新たな開発・普及が、国民の健康水準の向上や医療費の動向に極めて大きな影響を及ぼすこと、A新たな診断・治療法を通して開発される革新的技術には、科学技術政策上も大きな波及効果が期待されることから、国自らが戦略的な取組みを進めることが必要である。
・国民、特に働き盛り世代の死亡原因の上位を占めるがんや循環器病に対する先駆的な医療
・少子・高齢社会を迎えて重要性を増している成育医療(胎児期・小児期・思春期、さらには母性・父性に関する医療を包括したもの)や長寿医療(高齢者に特有の疾病に関する包括的医療)
・免疫異常(膠原病、アレルギーなど)、感覚器障害、内分泌・代謝性疾患など、長期にわたり日常・社会生活の質を大きく阻害する疾病に対する先駆的な医療

(3)歴史的・社会的な経緯等により地方・民間での対応が困難な領域での役割

1)国が、いわば前面に出て対応することが必要な領域
・血液製剤によるHIV感染やスモンへの対応
・ハンセン病療養所入所者への対応

2)国が、いわば「最後の砦」としての役割を果たすことが必要な領域
・著しく重度の精神疾患や薬物依存への対応
・進行性筋ジストロフィー、ALS(筋萎縮性側索硬化症)等の神経難病などに対する医療
・結核に対する医療

(4)国家的見地から重要な医療政策を実践する役割

・診療報酬支払方式に関するモデル的な試みの実施
・承認が急がれる医薬品に関する重点的な臨床治験の実施
・医療政策上の課題に沿った医療専門職種の研修の実施
・医療技術に関する評価の実施
・電子カルテ、遠隔医療等の情報化の推進
など

2 国立病院・療養所等の存在意義
(1)国は、上記1で述べた国の責任と役割を果たしていくために、その指揮命令の及ぶ形で医療施設を全国的な広がりをもって有することが必要である。(参考1参照)

(2)この場合、特に、
 1)戦略的医療にあっては、統一的な方針の下で、多数の偏りのない症例の収集分析を含め、医療専門職種による同一領域に対する集学的な取組みを行う必要がある。
 そのためには、指揮命令の下で組織を挙げての計画的な取組みが求められ、機能連携(ネットワーク)を形成する相当規模の施設群が形成されていることが、重要。
 2)また、歴史的・社会的な経緯等により国が医療を提供すべき領域にあっては、患者の受療機会の確保等といった観点から、全国的に広がりをもった施設配置がなされていることが、重要。

(3)なお、国立大学(医学部)付属病院は、目的・機能の点で国立病院・療養所等との間に次のような違いがあり、上記1で述べた国の責任を果たすことを本来の役割とはしていない。
 1)国立大学(医学部)付属病院は、「学問の自由」や「大学の自治」の下にあり、研究・診療課題に関する教授の裁量や講座単位での対応といった点に特徴があること。
 2)国立大学(医学部)付属病院は、学生に対する教育機関としての性格が強く、特定の領域に絞ることなくさまざまな患者を取り扱うことが要請されていること。

U 民営化・地方移管の取組み等について

1 これまでの再編成への取組み

(1)国立病院・療養所については、国が自ら直接に果たすべき役割に、限られた経営資源を集約・集中することにより、その機能の強化を図る観点から、昭和61年以来、再編成に取り組んできている。具体的には、上記Tの1で述べた国の役割を果たしていくことが難しい施設に関する再編成計画を作成・公表(昭和61年)し、施設の統廃合・経営移譲による民営化・地方移管を進めている。

当初の施設数
239
 統合減移譲減統合・移譲後の施設数
計画△40△34△74165
実績△12△ 3△15224

統合予定で建物整備中のもの及び経営移譲予定のものを加えると、
 実績△17△ 9△26213
なお、その他具体的に調整中のものが20〜30施設。
<注>上記の全体の施設数には、ハンセン病療養所(13)を含まない。

(2)統廃合・経営移譲による民営化・地方移管が計画どおり進捗していない最大の理由は、当該施設の経営を引き受ける地元地方公共団体や民間団体が、なかなか現れないという事実にある。
 1)地域医療の確保という強い要請がある中で、国と地方・民間との役割分担について地元地方公共団体の理解を得るには、相当長い期間にわたる説明等を要するのが、通例。
 2)一般的には、地方公共団体の財政運営は厳しい状況。
 3)民間医療機関の経営も、一般的には厳しい状況。

2 更なる再編成の推進

(1)最近の状況としては、再編成計画公表以来の10年余の取組みの積重ねがようやく功を奏しつつあり、統廃合・経営移譲による民営化・地方移管が加速する兆しを見せ始めている。
 こうした中、1)昨年5月に「国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法律」を改正する(資産の減額譲渡の対象となる土地・施設の譲渡後の利用範囲を拡大し、福祉と一体となった利用を可能としたこと等)とともに、2)11月には再編成・合理化の基本指針を見直し、「統廃合及び経営移譲を行う施設については、・・・施設の廃止を含め平成12年度末までに対処方策を決定した上、速やかに実施する」こととし、3)12月の行政改革プログラム(閣議決定)にも盛り込んだところである。(参考2〜5参照)

(2)さらに、行政改革の一層の推進という観点も踏まえ、国として果たすべき役割を適切に遂行できない施設については、新たに統廃合・経営移譲の対象施設として追加することを検討することとしている。
また、民間の譲渡先の範囲の拡大等により、統廃合・経営移譲が一層進むような措置が講じられることも必要である。

3 経営改善及び患者サービス向上対策の実行
 経営改善については、平成5年度から一般会計繰入基準を設定し、臨床研究を含む戦略的医療など本来採算に乗らない経費については一般会計からの繰入で、その他の経費については診療収入等で、それぞれ賄うこととして負担区分の明確化を図ったほか、業務委託の推進、病棟運営の効率化、経費の節減等の取組みを進めている。また、患者サービスの向上についても取組みを進めており、これらの成果が、次のとおり、経営実績にも現れている。

ア 経常収支率は、顕著な改善傾向を示している。(単位:%)
年  度8見込み
国立病院
国立療養所
90.4
76.9
94.6
82.1
96.6
84.8
99.5
88.3
101.7
92.1
(注1)経常収支率=(診療収入+雑収入の一部)÷(人件費+材料費等)×100
(注2)収入には一般会計繰入額は計上されていない。
また、支出には減価償却費は計上されていない。
イ 一般会計からの繰入額は、大きく減少している。(単位:億円)
年 度当初予算額一般会計繰入額対前年度増▲減繰入率










9,418

9,947

10,373

10,502

10,651

10,871
2,406

2,482

2,588

2,486

2,196

1,802
218

76

106

▲ 102

▲ 290

▲ 394
25.5%

24.9%

24.9%

23.7%

20.6%

16.6%

4 全施設又は大部分の施設を「民営化、地方移管」することの問題点
 「民営化、地方移管」が、仮にこれまでの再編成計画の延長ではなく、国立病院・療養所等の全施設又は大部分の施設を「民営化、地方移管」すべきということであれば、上記Tの1で述べた国の責任と役割の履行と両立するものではない。また、従来の経緯から見て、地元地方公共団体等の理解を到底得られるものではなく、実現は不可能と考えざるを得ない。

V 独立機関化について

独立機関化を論じるに当たっても、上記Tの1で述べた国の責任と役割の履行と両立するものであることが大前提である。
 現段階では、独立機関の性格・基本的枠組が明らかではないが、少なくとも次の点を確保することが必要である。

1)国立病院・療養所の再編成計画と整合性のとれたものであること。
2)大臣が、国の責任と役割を果たす上で、必要な事項につき、随時具体的に指示できるものであること。
3)職員の地位・身分は、国の責任と役割の履行が保障されるものであること。
4)国の責任と役割を果たす上で必要な財政措置が講じられるものであること。
5)行政部局との人事交流が可能であること。
6)予算・組織に関して裁量性を有すること。

(参考1)国立病院・療養所等の概要

・国立病院・療養所は全国に237施設あり、総病床数は82,255床(平成8年度末)。
・昭和20年に旧陸海軍病院等を引き継いで発足し、結核医療等国民医療の確保に貢献。
・国立高度専門医療センターは、がん、循環器病などの特定の疾患に関し、全国の中心的機関として高度先駆的医療、調査研究、技術者の研修を実施。〔国立がんセンター、国立循環器病センター、国立精神・神経センター及び国立国際医療センター〕
・国立病院は、戦略的医療、臨床研究、養成・研修等を実施。
・国立療養所は、主として結核、難病、重症心身障害、進行性筋ジストロフィーに対する専門医療等を実施。
・国立医療機関にふさわしい役割を果たせるよう機能強化を図るため、昭和61年度より国立病院・療養所の再編成を推進。

○ 施設、病床数等

(平成8年度末)
区 分施設数病床数
国立高度専門医療センター国立がんセンター956
国立循環器病センター640
国立精神・神経センター1,579
国立国際医療センター945
国立病院8931,777
国立療養所13140,678
国立ハンセン病療養所135,680
23782,255

(参考2)国立病院・療養所の再編成

(1)これまでの再編成の実施体制

【再編成の実施】
方針 「国立病院・療養所の再編成・合理化の基本指針」(昭和60年3月)
計画 「国立病院・療養所の再編成全体計画」(昭和61年1月)
→概ね10年間を目途として推進
【再編成の推進方策】
法律 「国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法律」(昭和62年10月)
→国立病院・療養所の資産の減額譲渡制度などの特例措置を創設
法律改正 →特例措置の拡充(平成8年5月)

(2)再編成の進捗状況

(ア)再編成全体計画
当初239施設

165施設までの削減を計画(統合・移譲で74施設の減)
(イ)進捗状況(実績及び今後の見込み)
1) 再編成が既に終了…………14ケース25施設(15施設減)
2) 統合予定で建物整備中等… 6ケース11施設( 5施設減)
3) 移譲予定…………………… 6ケース 6施設( 6施設減)
4) その他具体的に調整中のもの……20〜30施設

(3)基本指針の見直し
 広範な分野の専門家からなる懇談会での提言を受け、国立病院・療養所の再編成の方向を定めた「国立病院・療養所の再編成・合理化の基本指針」を平成8年11月に見直した。

【指針見直しの要点】
国立病院・療養所の担うべき医療について量から質へ移行する観点から見直したこと
現行の再編成計画対象施設について期限を設定したこと

統廃合及び経営移譲の終了していない施設については、引き続き再編成計画の対象施設とし、平成12年度末までに施設の廃止を含む対処方策を決定した上、速やかに実施することとした。

(参考3)「国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法律」の概要

(昭和62年10月17日施行)
(平成8年5月22日改正)

目的・国立病院等の再編成の円滑な実施を図る。
・再編成対象施設の所在する地域の医療を引き続き確保する。
要件・公的医療機関の開設者等が国立病院等の資産の譲渡を受け、引き続き医療機関を開設する。
・医療機関と一体として整備することにより医療機関の機能の向上に資する保健衛生施設、社会福祉施設その他の施設を、併せて整備することも可能。
・国立病院等の資産譲渡後の10年間は定められた用途に資産を用いる。

<特例措置>
1)国立病院等の資産の減額譲渡
区分/対象者地方公共団体
(管理委託の場合を含む)
地方公共団体以外
(日赤、済生会、厚生連等)
移譲(職員の1/2以上を引継)無   償9割引(特例地域は無償)
特例移譲 (職員の1/3以上を引継)8割引(特例地域は9割引)7割5分引(特例地域は8割引)
譲渡5割引(特例地域は7割引)4割5分引(特例地域は5割引)

2)補助金
・施設設備整備費補助 減額譲渡を受けた譲渡先に対し、施設・設備の整備に要する費用の一部を補助する。 ・運営費補助 移譲及び特例譲渡を受けた譲渡先に対し、運営費の一部を補助する。

3)医師の派遣等の配慮
減額譲渡を受けた医療機関に対し医師の派遣等について配慮する。

(参考4)国立病院・療養所の再編成概念図(略)

(参考5)国立病院・療養所の果たすべき役割と実施体制

1)国家の危機管理や積極的国際貢献における役割
●国際感染症国際医療センター及び東京病院を中核
●国際的事案国際医療センター、災害医療センター(東日本及び西日本)
   防災拠点国立病院、高度総合医療施設等
●広域災害災害医療センター(東日本及び西日本)、防災拠点国立病院等
●国際医療協力 国際医療センター、熊本病院、京都病院等

2)戦略的医療における役割(先駆的医療の開発・普及など科学技術政策上の役割)
(例)
●が んがんセンター、地方がんセンター及び専門医療施設
●循環器疾患 循環器病センター、地方循環器病センター及び専門医療施設
●免疫異常高度専門医療施設、ブロックの基幹医療施設等
3)歴史的・社会的経緯等により地方・民間での対応が困難な領域での役割
(a)国が、いわば前面に出て対応することが必要な領域
●HIV感染など国際医療センター、エイズ拠点病院等
●ハンセン病ハンセン病療養所
(b)国が、いわば「最後の砦」としての役割を果たすことが必要な領域
●精神疾患など精神・神経センター、ブロックの基幹医療施設及び久里浜病院、下総病院
●筋ジストロフィー精神・神経センター及び筋ジストロフィー医療実施施設
●ALS等の神経難病など 精神・神経センター及び専門医療施設
●結 核各都道府県に原則1カ所の国立病院・療養所
4)国家的見地から重要な医療政策を実践する役割
(例)
●診療報酬支払い方式に関するモデル的な試み
●承認が急がれる医薬品に関する重点的な臨床治験
●医療政策上の課題に沿った専門スタッフの研修高度専門医療センター
●医療技術に関する評価(ナショナルセンター)
●電子カルテ、遠隔医療等の情報化の推進高度専門医療施設
ブロックの基幹医療施設
高度総合医療施設
専門医療施設

厚生省説明資料(平成9年5月14日)

社会保険庁の独立機関化についてどう考えるか。

1 現段階では、独立機関の性格、基本的枠組み等は明らかでないが、社会保険庁が実施している社会保険事業については、次のとおり、国の最終的な制度実施責任が確保されることが必須であり、事業実施を担当する社会保険庁を国の行政組織と切り離した形の独立機関とするのであれば、問題がある。

(1)国は保険者として最終的な責任を負う

1)我が国は、全国民を強制的に適用し、保険料を徴収するとともに、医療や年金の給付を保障する国民皆保険・皆年金体制を採っている。
2)社会保険庁が実施している社会保険事業は、一定の職域等を単位に設立される共済組合や健康保険組合とは異なり、全国の様々な形態の事業所や被保険者を対象とし、国民皆保険・皆年金体制を担保する最後の拠りどころとして、国が保険者となり最終的な責任を負っている。
(備考)共済組合や健康保険組合については、設立されると、社会保険庁が実施する厚生年金や政府管掌健康保険の制度の適用から外れ、解散等になると、最後の拠りどころとして社会保険庁が実施する厚生年金や政府管掌健康保険の制度が強制適用され、社会保険庁が保険料を徴収し、給付を行う責任を負う。
3)また、保険者としての責任を果たす観点から、社会保険庁は適用ー徴収ー給付の業務を一体として自ら事務処理する体制を整備している。
4)なお、社会保険事業を遂行する上で必要な保険料に係る強制徴収権限は、国税と並ぶ公課と位置付けられている。(参考1参照)

(2)制度の企画立案と事業実施は表裏一体

1)国が保険者としての最終的な制度実施責任を果たすためには、適正な事業実施とともに、適時、的確な社会保険制度の見直しが求められるので、制度の企画立案とこれに基づく事業実施は表裏一体である。
2)事業実施を担当する社会保険庁は、次のとおり、制度の枠内での保険者努力を行うにとどまり、制度の企画立案部門と一体となって初めて保険者としての国の責任が確保されるものである。
ア 保険者として、保険料の徴収や給付の適正化等、効率的な事業実施に最大限努めることが必要であるが、事業運営は高齢化の進行、経済の低成長を背景とした保険料収入の減少等の社会経済の構造的な要因に左右されやすく、安定的な事業運営を行うためには制度的な対応が求められる。
イ 保険料率の変更や給付の見直し等の制度改革は企画立案部門が担当することになる。
3)また、年金や医療保険の制度改革の際には、社会保険庁は事業実施のための事務処理の変更やオンラインシステムのプログラム開発等を行うことが必要であるが、これらは、制度立案の当初段階から、制度の企画立案部門と一体となった作業を行うことが不可欠である。
4)今後とも構造改革を行うことが求められている社会保険制度については、企画立案部門と事業実施部門が一体となり、円滑な制度運営を行うことが必要である。

(3) 社会保険庁は外局として事業実施

1)社会保険庁は厚生省の外局
 社会保険庁は、制度の企画立案と事業実施を分離する観点から、国家行政組織法上の外局として、既に事業実施を担当する行政組織とされているが、現在は、同じ国の行政組織であることから、企画立案部門と一体的な連携が可能となっている。
2)事務処理の効率化等の取組み
ア 高齢化の進展に伴い質・量ともに増大する業務に対応して、厳しい定員事情の下で、中央の社会保険業務センターと第一線の社会保険事務所(全国310所)を電子計算組織を用いたオンラインで直結した一体的な体制により、膨大な業務量を処理している。
イ 今後とも、本年1月に導入された基礎年金番号の活用等により、効率的な事業運営及びサービスの向上に取り組むこととしている。(参考2参照)
2 国の行政組織の一部として効率性や行政の質の向上等を目的とする独立機関を検討するのであれば、独立機関の性格、基本的枠組み等は明らかでないが、少なくとも次の点に留意することが必要である。
(1)社会保険事業の根幹となる適用ー徴収ー給付の業務を一層、一体的かつ効率的に実施することができる体制・組織が確保されること
(2)企画立案部門と人事交流が可能であること
(3)予算、組織等に関して裁量性を高めること

(参考1)国が運営する社会保険事業について

(1) 事業の概要
・我が国は、国民誰もがいずれかの年金制度及び医療保険制度に加入しなければならない、「国民皆保険・皆年金体制」を採っており、社会保障体系の根幹を成している。
・国(社会保険庁)は、保険者として厚生年金、国民年金、政府管掌健康保険及び船員保険の4事業を運営し、「国民皆保険・皆年金体制」を担保。

◆年金保険(加入者)

厚生年金
3,281万人
(47%)
共済組合
584万人
(8%)
 
基 礎 年 金(国民年金)3,130万人(45%)

◆医療保険(加入者)

政府管掌健康保険
3,799万人
(30%)
船員保険
31万人
(0.2%)
組合健康保険 (事業所)
3,209万人
(26%)
共済組合
1,167万人
(9%)
国民健康保険(市町村)
4,324万人
(35%)

◆年金受給者

制   度年金受給者数(老齢給付)
国民年金1,515万人( 1,377万人)
厚生年金1,362万人( 1,075万人)
共済組合 359万人( 276万人)
3,236万人( 2,728万人)
※ 数値は7年度末現在
※ 基礎年金のうち国民年金の加入者は、第1号(自営業者等)及び第3号(被用者の配偶者)被保険者数

(2)事業の特徴
1)国が保険者となり経営責任を負う「国営保険事業」。
2) 全国の被保険者を単一の保険集団として全国一律に保険料を強制徴収し、保険給付を行う。
3)全国一体的な管理・運営体制による効率的な事務処理が不可欠。

(参考2)事務処理体制の効率化について

(1) 膨大な業務を効率的に執行するため、社会保険庁の社会保険業務センターと第一線機関である全国310か所の社会保険事務所は、オンラインで結ばれ、全国規模の単一事業体として一体的に業務を処理。
(図)(略)
※都道府県保険・国民年金主管課及び社会保険事務所で事務に従事する職員が「地方事務官」(16,422人)。
※社会保険事務所数及び地方事務官の数は8年度末現在。

〔参考〕諸外国の社会保険関係職員数(平成7年)
日  本社会保険庁約1.7万人
アメリカ社会保障庁約6.3万人
イギリス社会保障給付庁
社会保障徴収庁
約7.2万人
約0.9万人

(2) 社会保険の業務の増大に比べ、職員数の伸びは横ばいとなっている。


   ○ 健保・厚年の事業所数

         昭和61年(10年前)  (1.6倍)    平成7年

             200万所  ─────────→   310万所

   ○ 厚年・国年等の受給権者数

         昭和61年(10年前)  (1.7倍)    平成7年    

         1,800万人  ─────────→   3,000万人

   ○ 社会保険職員数(厳しい定員管理により、ほぼ横ばい)

         昭和61年(10年前)  (1.03倍)    平成7年      

         16,772人  ─────────→   17,267人 

(社会保険庁の指標グラフ)(略)

厚生省説明資料(平成9年5月14日)

廃棄物処理場、水道、下水道等の環境社会資本整備について、環境行政との関係、他の社会資本整備との関係及び組織の在り方についてどう考えるか。

T 基本的な考え方

1 水道・廃棄物行政の特性
水道・廃棄物行政は、
1)人に直接摂取される飲料水について絶対安全が必要であること
2)病原菌や有害物質を含む種々雑多な物質の終局的な集合体である廃棄物について常時衛生的観点からの管理が必要であること
から、国民の生命・健康の安全を確保することを主眼として、水の供給・廃棄物の処理それぞれに関する一連の体系を全体として適正に管理する行政。

2 関連行政との関係

(1)環境行政との関係
 環境行政は、環境汚染の防止を主眼とするものであって、その手法は、一定の基準を設定して、特定の化学物質の大気や河川等への排出を一律に規制するもの。
 これに対し水道・廃棄物行政は、国民の生命・健康の安全の確保を主眼とするものであって、その手法は、1に述べたような飲料水・廃棄物の特性に着目し、必要な基準の設定だけに止まらず、施設の整備・維持管理等一連の体系を全体として適正に管理するというものであり、環境行政とは主眼・手法とも異なる。

(2)下水道等の社会資本整備行政との関係
 下水道等の社会資本整備行政は、都市の利便性の向上や快適性の確保を主眼とするもの。これに対し水道・廃棄物行政は、国民の生命・健康の安全の確保を図ることを主眼として、一連の体系が適正に機能するよう常時管理を行うもの。施設の整備はこのような体系の構築のためのごく一部にすぎず、下水道等の整備行政とはその主眼も手法の力点も大きく異なる。

(施設整備よりも維持管理が重要であることの典型例)
・阪神・淡路大震災の際には、簡易便所の設置等施設面の整備の他に、し尿や廃棄物の迅速な収集・処理や簡易便所のし尿や廃棄物集積場所に対する保健所のきめ細かな消毒作業が感染症の発生を防止した。これらの事実は、廃棄物の処理に関しては、施設の整備よりも衛生的観点からの一連の適正管理の重要性を再認識させた。

3 行政組織の在り方

 水道・廃棄物行政は、国民の生命・健康の安全の確保を主眼とする行政を推進する厚生行政の中で、関連行政と連携しつつ、展開されるべき。

U 水道行政の特性と位置づけ

1 水道事業は、公営か民営かを問わず必然的に地域独占の形態となり、利用者にとって水道水は基本的には代替性がないものであることから、万一水の安全性が損なわれた場合には、国民の生命・健康に広域的かつ深刻な影響を与えることとなる。このため、水道水の水質については絶対的な安全の確保が必要。

(水道水に起因して健康被害が生じた事例)
・水道水に混入したクリプトスポリジウム(塩素に強い原虫)により、埼玉県越生町(人口約1万2千人)において8千人以上が下痢症に罹患した。(平成8年)
※ 米国ミルウォーキーの水道では同じ原虫によって40万人が発症し、400人が死亡した。(平成3年)

2 水道水は、河川等から浄水場や管路などの施設を通って各家庭まで連続的に供給されていることから、その水質の絶対的な安全を確保するためには、
 1)取水水質の管理
 2)原水の浄化・消毒
 3)管路における汚染・異物等混入の防止
 4)家庭の蛇口での水質管理(一定の点検箇所を定め、定期的検査を実施)
に至るまで、水道供給体系全体を常に適正に維持管理するとともに、緊急時の対応が確実に行える体制を確立することが重要。(参考1参照)

3 このように、水道行政は水道供給体系全体の適正な管理に主眼を置くものであって、水道施設の整備はその一部を構成するものにすぎないことから、国民の生命・健康の安全を確保する観点から、施設の整備も含め、水道供給体系全体を責任をもって一元的に管理できる厚生行政が所管することが必要。

V 廃棄物行政の特性と位置づけ

1 廃棄物は、すべての人間活動や生産活動の結果不要物として生ずるものであり、感染症の原因となる微生物、有害な化学物質、処理過程で新たに生成される有害廃棄物等、種々雑多な物質の終局的な集合体。これらの廃棄物は、人の健康に多様な悪影響をもたらすものとして常時衛生的な観点からの管理が必要。
 ・感染源となるもの・・・・し尿、生ごみ、医療廃棄物、家畜ふん尿、有機性汚泥等
 ・有害化学物質を含むもの・・・・家電製品、無機性汚泥、廃PCB、焼却灰、鉱滓等
 ・量が多く雑多な物質を含むもの・・・・建設系廃棄物(有害物質の混入)等

2 廃棄物はすべての人間活動や生産活動から必然的に生ずる種々雑多な物質の混合物であることから、単なる特定の化学物質の一律の排出規制では常時適正な管理は不可能。
 また、その処理に当たっては、収集・運搬から最終処分までの一連の廃棄物処理体系全体を通じて、
 1)収集の停滞による衛生害虫の発生
 2)焼却に伴う有害物質の発生
 3)最終処分場からの浸出水による飲料水や農水産物の汚染
 など健康被害を生ずる多様な危険性が常時存在する。
 このため、一連の廃棄物処理体系全体を、常に生命・健康の安全を確保する行政を所管する厚生行政において管理することが必要。(参考2参照)

(厚生行政で所管することの重要性を示す具体例)
・廃棄物問題については、ダイオキシン等国民に健康被害をもたらす新たな課題が生じている。特に、ダイオキシンについては、環境汚染防止一般の観点とは別に、厚生省では、国民の生命、健康の確保を主眼として、常時衛生的な管理が必要であるという廃棄物の特性に着目した廃棄物処理体系の確保の一環として、既にその実態調査や暫定基準の設定、施設の改造等を指導推進しているほか、さらに、法的基準の設定検討等の総合的な対策を推進しているところ。
・このように有害物質を含む種々雑多な物質の終局的な集合体である廃棄物について、直ちに必要な対策を講ずるためには、種々の健康障害に関する知見や各種の関連情報をあらかじめ集積し、対応できる厚生行政が一元的総合的に所管することが必要。

3 浄化槽行政は、感染症の発生源となるし尿等を自家処理するために家庭に個別に設置される浄化槽(いわば「家庭のし尿・雑排水処理場」)について、常時衛生的な観点からの管理を図るものであり、廃棄物行政の一環。このため、適正な維持管理(保守点検、清掃、検査)の継続による衛生確保が行政の主眼。
 その設置への助成も、廃棄物の衛生処理体系構築の一環であり、衛生処理に優れた合併処理浄化槽の設置促進により、家庭におけるし尿・雑排水の適正な処理を推進することが主眼。また、民間(個々の家庭)が設置、管理する「家庭のし尿・雑排水処理場」に対して個別に助成を行うものであり、都市基盤整備、内水管理を主眼とし、公共部門による社会資本整備を行う下水道行政とは異なる。

(参考1)水道行政の役割(絵)(略)
(参考2)廃棄物の処理と人体への健康影響(絵)(略)

厚生省説明資料(平成9年5月14日)

医薬品の安全対策と振興対策の実施体制の在り方について、透明性のある行政の確保の観点からどのように考えるか。

T 医薬品等の安全対策の組織体制のあり方

1 医薬品等の安全対策の組織体制についての基本的考え方

(1)医薬品等の安全対策の課題
 医薬品及び医療機器(以下「医薬品等」という)の安全対策については、1)国際水準の厳格な安全対策の実施、2)透明性の確保、により、国民の医薬品等に対する信頼を確保することが課題となっている。

(2)厳格な安全対策の実施
○本年4月から施行された薬事法改正により、国際的な基準に即した治験制度の導入等安全対策の制度的枠組みが整備された。
○これを着実に実施していくためには、欧米諸国と比較して十分とは言えない組織体制の整備充実が不可欠である。この場合、安全対策の担当官を十分に確保するとともに、その専門性の向上を図ることが必要である。

(3)透明性の確保
 いわゆる薬害エイズ問題の反省から、情報公開の徹底とともに、行政内部における役割分担と責任の所在の明確化が重要と認識している。また、科学的評価に基づく専門的判断を保障するため、医療や医薬品等の振興を担当する部局とは別個のものとして、安全対策を担当する部局の独立性の確保を図ることが重要である。

1)責任の所在の明確化
○現状では厚生省における実施体制が欧米諸国と比べて十分でないことから、中央薬事審議会に安全対策の判断を実質的に委ねているため、責任の所在が不明確であることが指摘されている。
○このため、組織人員体制の充実により、基本的に厚生省において主体的な判断を行う体制を整備し、厚生省としての判断を「審査レポート」としてとりまとめ、これに基づき中央薬事審議会の専門的な判断を求めることとしており、これにより、明確な責任関係が確立されるものと考えている。(参考1参照)
○また、本年3月に「医薬品等の健康危機管理実施要領」を策定、公表し、市販後の安全対策について、薬務局内の責任分担、意志決定手続、対策の発動要件等を明確化したところである。

2)情報公開
○「審査レポート」や中央薬事審議会の議事録、審議経過をまとめた資料等の公表を行い、審査過程の透明性を高めることとしており、今後とも一層の情報公開を進めることが必要である。

3)独立性の確保
○本年7月に予定している薬事行政組織の再編において、薬務局を廃止するとともに、医療及び医薬品等に係る安全対策全般を所掌する医薬安全局を設置し、医薬品等の振興対策については、医薬品と医療との関連性を重視して振興対策関連課を薬務局から健康政策局に移管することとした。
○これにより、医薬品等の安全対策と振興対策が別々の部局に厳格に区分され、安全対策に関する判断の独立性の確保が図られるものと考えている。

(4)安全対策の専門性への配慮
医薬品等の安全対策は、高度に専門的な事務であり、組織体制を検討する場合には、この点について十分配慮する必要がある。

○医薬品等の安全対策の中心である新医薬品等については、品目毎に多様な効能、効果、副作用等を有しており、また、先端技術の応用であることから、承認の可否の判断の基準としての「審査基準」は存在せず、動物試験、臨床試験等により収集した安全性、有効性に関する資料の提出を求め、その結果に基づき、個別品目毎に有効性と安全性を総合的に評価して判断を行っている。 (参考2参照)
○市販後の安全対策についても、副作用等の安全性に関する情報を個別に収集し、承認審査の場合と同様に有効性と安全性を総合的に評価して、情報提供、回収、承認の取消等の対策を実施するものであり、対策の実施の要否の判断について一般的な基準が存在するわけではない。

2 今後の安全対策担当組織のあり方

(1)医療政策との一元的実施が可能な体制の確保

○医薬品等は医療の重要な手段であり、その有効性と安全性の総合評価に当たっては、医療上の有用性や代替的治療法の有無などの情報が必要である。また、医薬品等の治験は医療機関において治療の一環として実施されており、その規制に当たっては、インフォームド・コンセント(説明と同意)の義務づけなど、医療政策との密接な連携が必要である。

○薬剤耐性菌の出現による院内感染の問題への対応などに見られるように、医薬品等の適正使用の推進という観点からの安全対策と医療政策とを一元的に実施しなければ、効果的な対応がとり得ない。

○特に医薬品等による感染症が大規模に発生した場合等危機管理としての対応が求められる場合には、医療政策と医薬品等の安全対策を一元的かつ機動的に実施する必要がある。

(2)安全対策事務の一体的な実施

○医薬品等の安全性は、治験(臨床試験)から承認審査、市販後の安全対策に至る一連の過程の中で確保されており、一貫した対応が必要。

○実際問題として、市販後に重大な副作用が発生した場合には医薬品等の有用性の見直しを行う必要があり、その際、承認審査段階における安全性、有効性の評価を参照する必要があるなど、常に承認審査部門と市販後安全対策部門の情報交換が必要である。また、市販後における有用性の見直しの結果、承認内容の変更や承認取消の必要が生じる場合、市販後の安全対策に責任を有する部門と承認の変更・取消を行う部門の判断に齟齬が生じないようにする必要がある。更に、市販後の安全対策を円滑に行うために代替医薬品の承認審査を迅速に行う必要が生じるなど、両者の一体的な実施が確保されなければ、医薬品等の円滑な安全性確保に支障が生じる。

○したがって、個々の医薬品等についての治験に対する規制、承認審査、副作用対策等の市販後の安全対策や医薬品等の品質を確保し、これらの規制を裏付けるための薬事監視や製造業の許可が一体的に実施されることが、実効性のある安全対策を実施する上で不可欠である。(参考3参照)

○なお、諸外国でも、これらの事務を一つの組織で一体的に実施している。(参考4参照)

(3)独立行政委員会方式についての考え方

1)医薬品等の安全対策を実施する組織として、公正取引委員会のような独立行政委員会方式を採用することには次のような問題点があるものと考える。
○合議制を原則とする独立委員会方式は、政治的に中立な立場から公平な判断を行うことにより、準司法的、準立法的機能を果たすものであり、科学的評価に基づき高度に専門的判断が求められる医薬品等の安全対策には、本来なじまないと考えられること。
○独立性の高い行政委員会方式では、医療政策との一元的実施が確保されないこと。
○医薬品等の安全対策は、国民の生命、健康に関わる行政分野であり、議院内閣制の下で内閣が国会ひいては国民に対して明確な責任を担うべき性格のものであること。
○独立行政委員会が普及している諸外国においても、医薬品等の安全対策に独立行政委員会が採用されている例はないこと。
2)なお、透明性の確保については、必ずしも独立行政委員会の本来の機能ではなく、情報公開の徹底と、医薬品等の安全対策の担当部局と他の部局の組織的分離、安全対策担当部局内部での役割分担と責任の明確化等の対応により、確保し得るものと考える。

U 医薬品等の振興対策等の組織体制のあり方

医薬品等は、次のように、国民の生命、健康に関わる医療政策と密接な関連を有しているので、安全対策担当部局の独立性を確保する必要はあるものの、研究開発支援、情報収集・提供などの医薬品等の振興対策や流通適正化などの医薬品等の産業界に対する指導・助言についても厚生省において一元的に担当することが必要であると考える。

(1)医薬品等は医療の重要な一部を構成しており、国民に良質で適切な医療サービスを提供していくためには、常時、疾病構造等の医療需要を収集・分析し、それに合わせて新たな医薬品等の開発を進めるとともに、基礎的な医学研究の成果や各種の技術を効果的に医薬品開発に結びつけていくことが重要であり、そのためには医薬品等の研究開発支援が医療政策と一元的に実施される必要がある。(参考5参照)

(2)質の高い医療を提供するためには、必要な医薬品等が安定して医療現場に供給されなければならない。安定供給を確保するためには、緊急時はもちろんのこと、平時においても、インフルエンザの流行とそのワクチンの需給状況の把握など、医薬品等の需給状況を把握し、製造・流通の各段階において医薬品等の供給不足等により医療に支障をきたすことのないよう、必要な情報収集・提供その他の事業支援策を医療政策と一元的に講じることが必要である。

(3)医薬品等は医療の重要な一部を構成する生命関連商品であり、医療上必要な使用情報や副作用情報等とともに適正に供給されなければならない。また、医薬品等の需要の大半は医療保障制度により賄われており、その供給体制は透明かつ効率的なものでなければならない。このような観点から、医療政策との連携の下に、製造業者や卸売業者から医療機関に至る供給体制の適正化を図る必要がある。

(4)いずれにせよ、医療は国民生活に欠くことのできない基本的なサービスであり、医薬品等はその重要な一部を担っている。国民に質の高い医療を効率的に提供するため、医療供給体制の整備から医療費の支払制度まで総合的な対策がとられており、医薬品等についても、そうした医療政策の一環として、良質な医薬品等が安定的に供給されるよう、研究開発から製造、販売の各段階において適切な振興策を一元的に講じることが重要である。

(参考1)新医薬品の承認審査の流れ(平成9年7月より)(チャート)(略)
(参考2)医薬品の承認審査について(チャート)(略)
(参考3)医薬品安全確保対策の流れ(チャート)(略)

(参考4)諸外国の医薬品審査庁

国名

(審査機関)
アメリカ

(食品医薬品庁(FDA))
イギリス

(医薬品規制庁(MCA))
フランス

(医薬品庁(FMA))
承認権限FDA長官の権限保健大臣(閣僚)の権限医薬品庁長官(官僚)の権限
審査機関の位置づけ・事務 ○厚生省の外局(医薬品、医療機器、食品規制に係る事務を一元的に実施)
○承認審査、市販後安全対策、薬事監視等の事務を実施
○保健省の外庁(医薬品規制に係る事務を一元的に実施)
○承認審査、市販後安全対策、薬事監視、等の事務を実施
○法に基づく公共機関(国家代表が半数を占める理事会が統括)
○承認審査、市販後安全対策、薬事監視等の事務を実施
外部専門家の活用○新薬承認等につき、特定分野ごとの諮問委員会の意見聴取。(21委員会、約10名/委員会) ○新薬承認、副作用対策等につき、大臣諮問委員会(大臣諮問機関:28人)の意見聴取。
○必要に応じ外部専門家(66人)を活用。
○医薬品の承認、副作用対策等につき、7分野の諮問委員会の意見聴取
○承認審査について医薬品庁任命外部専門家(1,000名)を活用
職員○常勤職員数:9180人(1997年度、食品部門を含む)
○職員は公務員
○常勤職員数:354人(1995年度)
○職員は公務員。
○本省との人事交流あり。
○常勤職員数:454人(1995年度)
○うち公務員は193名
○公務員は本省との人事交流あり
財源一般財源及び製薬企業からの手数料(ユーザーフィー)による 手数料(審査手数料及び毎年の承認維持料)による独立採算。 手数料(審査手数料及び毎年の承認維持料他)2/3
国庫補助1/3

(参考5)医療技術や基礎的医学研究の成果と医薬品開発の関係(チャート)(略)

厚生省説明資料(平成9年5月14日)

公的年金制度の一元化に係る今後の動向に照らして、これに対応する行政組織の在り方をどう考えるか

1  一元化の必要性及びこれまでの取組み

(1)基本的な考え方
・特定の職域ごとに分立した年金制度は、産業構造等の変化に対して財政基盤が脆弱であり、現役世代と年金受給世代のバランス(成熟度)の違いから、負担の不均衡を招くこととなる。
・このため、21世紀に向けて我が国の人口構造が急速に高齢化し、産業構造や就業構造が変化しつつある中で、公的年金制度を公平でより安定したものとするためには、財政単位の拡大が必要。

(2)一元化に向けた推進体制
・政府においては、昭和57年以降厚生大臣を年金問題担当大臣とするとともに、関係閣僚会議等を設け、公的年金制度全般の改革に取り組んできたところ。(参考1参照)

2  今後の被用者年金の再編成の基本的な進め方について

(1)「公的年金制度の再編成の推進について」(平成8年3月閣議決定)
 平成8年3月に行われた閣議決定「公的年金制度の再編成の推進について」においては、昭和61年の全国民共通の基礎年金制度の導入に続き、被用者年金制度の再編成を進めるに当たっては、各制度が今後21世紀にかけて成熟化する段階において以下のような漸進的な対応を進めることを決定したところ。

1)日本たばこ産業共済(JT共済)、日本電信電話共済(NTT共済)及び日本鉄道共済(JR共済)を厚生年金保険に統合する。
2)国家公務員共済及び地方公務員共済については、財政再計算時ごとに将来の財政見通しの分析を行い、まず両制度において財政安定化のための措置を検討する。
3)農林漁業団体職員共済及び私立学校教職員共済については、財政再計算時ごとに将来の財政見通しの分析を行い、被用者年金制度全体の中における位置づけを検討する。(参考2参照)

(2)JT共済、NTT共済及びJR共済の厚生年金保険への統合

・上記閣議決定に基づき、本年4月に実施されたJT共済、NTT共済及びJR共済(三共済)の厚生年金保険への統合に際しては、三共済の組合員は、統合日以後厚生年金保険の被保険者とするとともに、年金給付の支給は社会保険庁から行うこととした。
・なお、JT共済組合、NTT共済組合及びJR共済組合の組織は、厚生年金保険に対する積立金の移換業務、統合前に裁定された国家公務員等共済組合法給付の職域部分等に係る費用の社会保険庁への納付業務、恩給期間等を基礎とする独自給付等を行うために、統合後もなお存続することとした(存続組合)。
・また、統合後2年間は、共済年金受給者の便宜等を考慮し、社会保険庁から存続組合に対して年金給付事務の一部を委託することとしている。(参考3参照)

(3)一元化に向けた今後の取組み

・今後は、上記閣議決定に基づき、公平性の確保に関し、社会保障制度審議会年金数理部会の場における財政再計算時ごとの各制度の将来の財政見通しの分析を踏まえ、その統一的な枠組みの形成を目指すこととしているところである。
・公的年金制度の再編成に対応して行政組織をどのようにするかについては、再編成の姿に依拠することとなる。

(参考1)公的年金制度の一元化のこれまでの取組み

昭和59年2月 公的年金制度一元化に関する閣議決定
○ 平成7年を目途に公的年金制度の一元化を完了させる
昭和60年 年金制度改正【施行:昭和61年4月】
○ 基礎年金の導入による1階部分の給付の一元化
○ 2階部分の給付の公平化(共済年金の給付設計を厚生年金並びとする)
昭和62年9月 「公的年金制度に関する関係閣僚懇談会」
○ 残された課題(負担の公平化)に向けて、平成元年財政再計算期に地ならし措置を行うことを申し合わせ
平成元年12月 「被用者年金制度間の費用負担の調整に関する特別措置法
(制度間調整法)」の成立【施行:平成2年4月】
○ 当面講ずべき負担の不均衡の是正
平成4年11月 「被用者年金制度間調整事業に関する懇談会」報告
平成5年4月 制度間調整法一部改正法施行
平成6年2月 「公的年金制度に関する関係閣僚会議」
公的年金制度の一元化について公的年金各制度を通じて論議し、関係者の合意形成を図るため、「公的年金制度の一元化に関する懇談会」を開催することを申し合わせ
平成6年12月 公的年金制度の一元化に関する懇談会「公的年金制度の一元化に関する中間とりまとめ」
○ 公的年金制度の一元化については、引き続き同懇談会において検討するとともに、当面、日本鉄道共済組合に対する支援の仕組みを継続することを決定
平成7年7月 公的年金制度の一元化に関する懇談会の「公的年金制度の一元化について」報告
平成8年3月 「公的年金制度の再編成の推進について」閣議決定
「厚生年金保険法等の一部を改正する法律案」国会提出
平成8年 6月 「厚生年金保険法等の一部を改正する法律」成立・公布
平成9年 4月 「厚生年金保険法等の一部を改正する法律」施行

(参考2)公的年金制度の再編成の推進について

平成8年3月8日 閣議決定

 公的年金制度の長期的安定と整合性ある発展を図るため、これまで逐次、全国民共通の基礎年金制度の導入、被用者年金制度の給付の公平化等の改革を進めてきたところであるが、今後、更に就業構造の変化、制度の成熟化の進展等に対応し制度の安定化と公平化を図るため、次のような再編成を推進するものとする。
1.被用者年金制度の再編成については、財政単位の拡大及び共通部分についての費用負担の平準化を図ることを基本として、これを行うものとする。
2.被用者年金制度の再編成を進めるに当たっては、各制度の目的、機能、過去の運営努力等についても配慮し、各制度が今後21世紀にかけて成熟化する段階において以下のような漸進的な対応を進めつつ、その統一的な枠組みの形成を目指すものとする。

(1)再編成の第一段階として、既に民営化・株式会社化しており、かつ、成熟化が最も進行している日本鉄道共済組合、日本たばこ産業共済組合及び日本電信電話共済組合を、平成9年度に厚生年金保険に統合する。その際、統合前の期間に係る給付費については、費用負担の平準化を図りつつ、被用者年金制度全体で支え合う措置を講ずる。

(2)国家公務員共済組合及び地方公務員共済組合については、それぞれの成熟化の状況等に応じ、財政再計算時ごとに将来の財政見通し等について分析を行い、公務員制度としての在り方をも踏まえつつ、まず両制度において財政安定化のための措置を検討する。

(3)農林漁業団体職員共済組合については、構成団体の組織整備の進展が制度基盤に与える影響を、また私立学校教職員共済組合については、その成熟化の進展等を踏まえつつ、財政再計算時ごとに将来の財政見通し等について分析を行い、被用者年金制度全体の中におけるそれぞれの制度の位置付けについて検討を行う。

3.被用者年金制度の再編成を進めるに当たっては、制度運営に関する適切な情報の公開を行うとともに、社会保障制度審議会年金数理部会に要請し、制度の安定性、公平性の確保に関し、財政再計算時ごとに検証を行うものとする。
4.年金現業業務については、制度運営の適正化・効率化及び加入者・受給者サービスの向上を図るため、基礎年金番号の導入等その統一的な処理を推進する。

(参考3)
○三共済統合後の給付(チャート)(略)
○ 統合後の旧JR・JT年金の財源構造(チャート)(略)

厚生省説明資料(平成9年5月14日)
麻薬取締行政の警察行政との一体化についてどう考えるか。

T 麻薬取締行政の位置づけ

1 薬物乱用と麻薬取締行政の現状

我が国は戦後、昭和20年代の覚せい剤、同30年代のヘロイン等あへん系麻薬と2度の大きな薬物乱用を経験したが、これらについては制圧に成功を収めている。

 現在の我が国の薬物乱用の状況は、欧米諸国の汚染の程度に達していないものの、乱用者の低年齢化、乱用薬物の多様化(覚せい剤、向精神薬等)など、極めて憂慮すべき状況にあり、我が国として、従前にもまして有効な対策を講じていくことが必要である。
(注)厚生省の「麻薬取締行政」は、ヘロイン等の麻薬のみならず、覚せい剤、向精神薬、大麻、あへん等の薬物全般の取締を対象とし、厚生省薬務局と麻薬取締官事務所とが一体となって実施している。(参考1参照)

2 薬物犯罪捜査のあり方

(1)薬物中毒の発現に伴う再犯率が高いため、再犯防止の観点から、捜査と麻薬中毒者の措置入院制度等の医療対策との連携が必要である。(参考2参照)

(2)末端の乱用者(使用犯及び所持犯)が圧倒的多数を占めているため、乱用者の増加防止の観点から、予防啓発活動との連携が必要である。(参考2参照)

(3)乱用薬物の横流れ防止の観点から、医療用の麻薬等及びこれらの原料物質の製造施設、卸売業者等流通段階、病院等医療施設、研究施設などの正規取扱者への立入検査や、野生けし等の抜去などの監視監督業務との連携が必要である。

(4)各薬物の中毒症状や鑑定方法など薬物に関する高度な科学的知識が要求されるとともに、薬物犯罪は殺人や強盗等と異なり直接の被害者が存在しないことが多く顕在化しにくいことから、事犯の発掘のための薬物犯罪捜査分野特有の情報、知識、経験の蓄積が不可欠である。

(5)以上のような薬物犯罪の特性に応じ、一般の警察組織とは別に、予防啓発、医療用麻薬等に対する監督、中毒者対策と、薬物犯罪捜査を一体的に扱う組織が存在することが効率的である。海外においても、薬物乱用に対し厳しい姿勢を示している米国、タイなどにおいては、警察とは別にこのような組織が設置されている。(参考3参照)

3 厚生省の麻薬取締

(1)厚生省における麻薬取締は、2の各点を考慮しつつ、「不正薬物の供給の阻止」及び「不正薬物の使用の削減」の両面の行政と一体的、総合的に展開している。(参考4参照)
 1)供給阻止対策
「不正薬物の供給の阻止」の面については、犯罪捜査と一体的に、関係法令に基づき医療用の麻薬、向精神薬、覚せい剤及びこれらの原料物質の生産、流通、施用等の監督監視を行い、恒常的に医療機関、事業所等への立入検査を実施するとともに、野生のけし等の抜去を行っている。
 2)使用削減対策
「不正薬物の使用の削減」の面については、犯罪捜査と一体的に、一般からの電話相談など予防啓発活動を展開するとともに、麻薬中毒者対策として、入院措置、麻薬中毒者の相談等指導観察を行っている。 

(2)犯罪捜査の位置づけ
厚生省における薬物犯罪の捜査は、(1)で述べたように、監督監視業務、予防啓発活動、中毒者対策と相互に関連を有し、一体化されたものとして機能している。
 1)現行犯逮捕が原則である薬物犯罪において、警察への通報と捜査の着手に徒らに時間を費やすことは、証拠の隠匿、被疑者の逃亡につながるが、司法警察権限を有する麻薬取締官が立入検査等を行うことにより、立入検査等の際犯罪を発見した場合には、直ちに犯罪捜査に着手することができ、実効ある取締を可能にしている。
 2)立入検査、中毒者への観察指導等を麻薬取締官が中心となって行うことで、正規流通薬物取扱者の遵法意識を高めるとともに、中毒者にも大きな再犯抑止効果を発揮している。

(3)厚生省の麻薬取締の実績
このように、我が国においては厚生行政の中で、日常の監督監視業務、中毒者対策、 啓発施策が、それぞれ薬物犯罪の捜査と相互かつ密接に関連づけられ、一体の総合的な仕組みとして有効に機能してきており、世界的にみても、薬物乱用の抑止に成功している屈指の国であるといえる。(参考5参照)
 1)昭和30年代にしょうけつを極めたヘロイン等あへん系麻薬の鎮圧には、麻薬取締官による麻薬取締法違反者に対する捜査と、昭和38年の同法改正により導入された麻薬中毒者の措置入院制度等の中毒者対策をはじめとする厚生省の総合的な施策が大きく寄与したものと考えており、その後も、麻薬中毒者であった者に対する観察指導などを行い、現在に至るまでこれら麻薬の乱用の大規模な発現を未然に抑止しているものと認識している。(参考6、7参照)
 2)また覚せい剤については、昭和30年に覚せい剤取締法の改正により覚せい剤原料物質に対する規制を導入し、覚せい剤原料製造所や取扱施設、医療機関等に対する厚生省の監督を強化、現在国内での密造をほぼ完全に抑止している。(参考8参照)

4 今後の課題--覚せい剤対策の充実強化--

(1)現在、我が国においては、覚せい剤の乱用の拡大が再び拡大しつつあり、特に近年、乱用者の低年齢化への対応等、覚せい剤の乱用対策が喫緊の課題となっている。(参考9参照)

(2)今後、覚せい剤の乱用対策を充実強化していくためには、

 1)あへん系麻薬対策の例にならい、覚せい剤取締法上規定のない中毒者の入院制度や中毒者に対する観察指導などの中毒者対策の制度化、
 2)麻薬取締官が麻薬に関する犯罪の捜査を行うにあたり認められている、いわゆるおとり捜査の覚せい剤犯罪の捜査への拡大適用による捜査力の強化、
 3)全国都道府県においてボランティアとして委嘱されている「覚せい剤乱用防止推進員」の活動の強化や、学校での薬物乱用防止教育における麻薬取締官OBの活用など、啓発対策の充実、等が必要である。

(3)厚生省としては、覚せい剤対策においても、麻薬取締官制度の特色を活かして積極的な役割を果たせるよう制度の整備に努めていきたいと考えている。

U 警察行政との一体化について

日常の監督監視業務、中毒者対策、啓発施策と犯罪捜査を一体の仕組みとして有効に機能させてきた厚生省の麻薬取締の体系から、犯罪捜査のみを切り離すことは、この仕組みを崩壊させ、監督監視業務、中毒者対策、啓発施策の弱体化も招来する。このことは、薬物乱用対策の一層の充実強化が切望されるなかで、我が国の薬物乱用の状況の悪化をもたらしかねず、警察行政との一体化は適当ではないと考える。


(参考1)麻薬取締官事務所の組織図

┌──────┐

│厚生省薬務局│

└─┬────┘

    ├ 北海道地区麻薬取締官事務所(札幌)

    ├ 東北地区麻薬取締官事務所(仙台)

    ├ 関東信越地区麻薬取締官事務所(東京)─ 横浜分室

    ├ 東海北陸地区麻薬取締官事務所(名古屋)

    ├ 近畿地区麻薬取締官事務所(大阪)─ 神戸分室

    ├ 中国地区麻薬取締官事務所(広島)

    ├ 四国地区麻薬取締官事務所(高松)

    └ 九州地区麻薬取締官事務所(福岡)─ 小倉分室

         └九州地区麻薬取締官事務所沖縄支所(那覇)



          麻薬取締官の定数:176人  (薬剤師が全体の約47%)

麻薬取締官事務所の検挙人員の年次別推移
 平成4年平成5年平成6年平成7年
検挙者総数396398375393

(参考2)薬物犯罪における再犯者数の比率

(例)覚せい剤事犯検挙者における年次別再犯者数(人)
区分H3年H4年H5年H6年H7年
総検挙者16,33015,31115,49514,89617,364
再犯者数9,1578,2788,0277,8818,547
比  率56.1%54.1%51.8%52.9%49.2%

薬物犯罪における末端乱用者(使用犯、所持犯)数の比率
(例)覚せい剤事犯の違反態様別検挙者数(人)(平成7年)
態様密輸出入製造製剤所持譲渡譲受使用その他
検挙者数1765,9591,6685939,11110
構成比0.1%0.0%34.3%9.6%3.4%52.5%0.1%

(参考3)外国の薬物専門取締機関

国名米   国タ     イ
機関名薬物取締庁(DEA)麻薬取締委員会事務局(ONCB)
上部組織米国司法省タイ王国総理府
設立1973年1976年
組織・米国内19支局113支部、7分析研究所、1トレーニングセンター
・海外51国72支部
・ONCBは、麻薬取締委員会(NCB)事務局機能のほか薬物対策全般の業務を実施。
・本部(10課)のほか、4つの地域事務所からなる。(麻薬取締委員会(NCB)は、薬物問題に関する計画、対策の立案及び薬物関連法令の訴追取締の調整等を行う関係閣僚級からなる組織である。)
定員7,464人(3,776人の特別捜査官を含む) 約700人(うち捜査部門 約190人)
予算10億5千万ドル(連邦政府薬物関係予算 150億ドル )不 明
所掌・捜査:国際間、州間にまたがる重大薬物犯罪捜査
・情報管理:連邦、州、地方及び他国との協力による情報の収集、分析、宣伝
・正規流通管理:正規製造、流通、消費の管理
・啓発等:国家レベルの需要、供給削減プログラムの策定等
・その他:教育訓練の実施。国際機関への協力。
・NCBの事務局機能
・捜査
・情報収集
・資産調査
・生産監視
・中毒者対策
・乱用防止活動、乱用防止教育
・法制
・科学調査
・教育、訓練、技術指導
他の取締機関FBI
アルコール・タバコ・銃器局
税関
入国管理局
各州警察
各市警察
警察庁麻薬取締局
税関防止管理課

(参考4)麻薬取締行政の総合的推進の概要(チャート)(略)

(参考5)世界の薬物押収量(上位5ヶ国及び日本):1994年

 ヘ  ロ  イ  ン
 国  名押 収 量
1パキスタン6,443Kg
2中   国4,086Kg
3ト ル コ2,172Kg
4アメリカ合衆国2,089Kg
5ド イ ツ1,590Kg
 
 日   本10Kg

 大   麻
 国   名押 収 量
1南アフリカ7,452,000Kg
2イ ン ド1,261,000Kg
3メキシコ528,000Kg
4アメリカ合衆国328,000Kg
5コロンビア208,000Kg
 
 日   本670Kg

 コ  カ  イ  ン
 国   名押   収   量
1アメリカ合衆国100,845Kg
2コロンビア69,592Kg
3メキシコ22,113Kg
4ブラジル12,027Kg
5ペ ル ー10,634Kg
 
 日   本20Kg
(国連薬物統制計画資料による)


(参考6)麻薬事犯検挙人員(昭和26年から平成7年)(グラフ)(略)
(参考7)麻薬不正中毒者及び措置入院者年次別状況(グラフ)(略)
(参考8)覚せい剤密造での年度別検挙者数(グラフ)(略)
(参考9)覚せい剤事犯の年次別推移(昭和45年から平成8年)(グラフ)(略)

厚生省説明資料(平成9年5月14日)

研究機関について、他の研究機関との統廃合を含め、組織の在り方についてどう考えるか。

T 厚生行政における試験研究機関のあり方についての基本的考え方

1 基本的考え方

(1)厚生省所管の試験研究機関の使命は、厚生行政の諸課題を果たすために必要な試験研究の実施。大学等における学術研究とは異なり、厚生行政との密接な連携の下に、国民の生命・健康に直結した特定の具体的な政策目的のために調査研究を行うもの。

(2)本格的な少子・高齢社会への移行等、厚生行政を取り巻く環境変化を踏まえ、厚生行政は、1)国民の生命・健康の安全確保、2)個人の自立と社会参画を支援していくための保健医療福祉サービスの提供、3)社会保障制度の効率的運営の確保、といった3つの主要な政策課題を抱えており、これら3本の柱に沿った効率的な調査研究体制の構築が求められている。

2 厚生行政の中長期的な政策課題に対応した試験研究機関の再編成

(1)このため、厚生省では平成12年度を目途に、厚生省所管の試験研究機関全体について、主要政策課題に沿って以下のように大きく再構築する再編計画を策定しており、既に計画に沿って試験研究機関の統合が行われるなど、再編の大枠はできあがり、順次、進行中の状況にある(参考1参照)。

1)生命・健康の安全確保に関する調査研究体制の構築

○少子・高齢化に伴い健康被害を受けやすい高齢者が増加するとともに、国際化の進行等により国民の健康への危険が多様化し、増大する中で、国民の生命・健康の安全を守る厚生行政の使命は一層重要となる(参考2参照)。

○試験研究機関としては、ア.感染症に関する総合的な調査研究、イ.医薬品・食品等に関する総合的な調査研究を通じて、行政部局の行う健康危機管理体制を支えるとともに、ウ.生涯を通じた国民の健康づくりを科学的側面から支援することができるよう、試験研究機関の再編成を進める。
 なお、国民の生命・健康の安全を確保するための研究開発を促進するために、エ.研究資源・情報の提供と基盤的技術の開発を進めるための体制を整備する。

○ 再編計画

ア「国立感染症研究所」(平成9年4月)−感染症の危機への対応−
 健康に危害をもたらす国内外の感染症に関する情報知見の収集・分析・提供等、感染症に関する総合的な調査研究体制を構築するため、国立予防衛生研究所に国立ハンセン病研究所を統合するとともに、感染症情報の収集分析提供機能を強化することにより、再編整備する。
イ「医薬品食品衛生研究所」(平成9年7月)−医薬品食品等に関する危機への対応−
 人体に直接影響を与える医薬品・食品等のモノの有効性、安全性に関する総合的な調査研究体制を構築するため、国立衛生試験所に医薬品等の審査機能を付与するなど機能の充実を図ることにより、再編整備する。
ウ「国立健康科学研究所(仮称)」(平成12年度目途)−生涯を通じた健康づくり−
 高齢者が増加する少子・高齢社会において、健やかな長寿の基盤となる生涯を通じた国民の健康づくりを進めるための総合的な調査研究体制を構築するため、国立健康・栄養研究所を基礎として、再編整備する。
エ「国立厚生科学基盤技術開発研究所(仮称)」(平成12年度目途)−研究資源の提供と基盤的技術の開発−
 国民の生命・健康の安全を確保する行政分野において、研究開発の基盤となる研究資源(疾病の本態解明や治療法の開発に必要なヒトの遺伝子・細胞、実験動物等)の収集・開発・提供、基盤的技術(医学薬学を基礎とした人工臓器や画期的な創薬技術の開発に資する基盤的技術)の開発等を産学官の連携により横断的に進めるため、新たな試験研究機関を整備する。

2)個人の自立と社会参画を支援していくための保健・医療・福祉サービスのあり方と高度な専門的人材の確保に関する調査研究教育体制の構築

○活力ある少子・高齢社会の実現に向け、国民一人一人の自立と社会参画を支えるには、新ゴールドプラン等の国の基本政策に連動して、保健・医療・福祉サービスが個人や地域に即した形で円滑かつ効果的に提供される必要がある。保健・医療・福祉サービスは、それぞれが密接に関連するものとして効果的に提供される必要があり、このためには各分野を通じた高度な専門知識と技術が必要となる。
 また、国民の健康安全を確保する業務を行う上で必要な技術(0-157等新たな病原菌の最新の検査技術等)については、地方自治体の職員等に対して迅速に伝達していくことが必要である。
 このような保健・医療・福祉サービスの水準の向上と専門的人材の確保を支援するための調査研究教育体制の構築に向けて、試験研究機関の再編成を進める。

○ 再編計画
 「国立保健医療福祉政策研究所(仮称)」(平成9年度基本設計)
 相互に密接に関連する保健・医療・福祉サービスを円滑かつ効果的に提供するための知見の集積と、新たに開発された技術の伝達等専門的な人材の確保のための調査研究教育体制を構築するため、国立公衆衛生院と国立医療・病院管理研究所を再構築することにより、再編整備する。

3)社会保障制度の効率的運営の確保に関する調査研究体制の構築

○ 急速な少子・高齢化の進行に伴い、社会保障制度の負担が増大する中で、経済、財政との総合的な関わりの下に、社会保障制度の総合化・効率化を進めていけるよう、内外の最新の知見や調査を踏まえた機動的な調査研究体制の構築に向けて、試験研究機関の再編成を進める。

○ 再編計画
 「国立社会保障・人口問題研究所」(平成8年12月)
 社会保障制度の基盤となる人口問題を含め、社会保障制度の総合的・効率的な実施のための調査研究体制を構築するため、人口問題研究所と社会保障研究所を再構築することにより、再編整備する。

(2)再編を進めるに当たっては、効率的な調査研究体制の確保に配慮しつつ、試験研究機関の活性化を図るという観点から、産学官の連携や国際的な対応も視野に入れ、試験研究機関相互の人的交流・研究交流の促進、国外からの受講も対象とした研修機能の強化等、新たな要請に対応できる体制を整備する。

(3)少子・高齢社会に即した試験研究機関の再構築を図るため、今後とも、現行の再編計画を基本として、厚生行政の需要に的確に対応できるよう、再編成を推進する。

U 他の試験研究機関との統廃合や独立機関化について

1 厚生行政と一体となった試験研究の必要性

(1)厚生省の行政は、前述したように、急速な少子・高齢社会に向けて、1)国民の生命健康の安全確保、2)個人の自立と社会参画を支援していくための保健医療福祉サービスの提供、3)社会保障制度の効率的運営の確保、といった主要課題に対応していかなければならず、厚生省所管の試験研究機関はこれらの政策課題の推進と不可分の関係。

(2)厚生行政に必要な情報知見を集積するという試験研究機関の任務を踏まえ、国民の生命・健康に関わる緊急的な案件に即時に対応するとともに、調査研究すべき課題の選定、行政部局との人事交流の推進等、各般において厚生行政と一体となった調査研究体制の確保が必要。
(例)国立感染症研究所の感染症情報センター
 0−157等の病原菌やウイルスに関する情報を収集、分析し、行政部局に迅速に提供することにより、健康面の危機管理行政を直接支えるもの。

(3)また、「厚生科学審議会」(平成9年4月設置)においては、厚生行政の主要課題に対応した厚生科学研究の推進について総合的に審議するとともに、厚生省所管の試験研究機関が全体として効率的・総合的な調査研究体制となるよう、試験研究機関のあり方について常に見直していく方針。

2 独立機関化について

(1)厚生省所管の試験研究機関は、社会構造の変化に対応して社会保障制度を大きく構造変革させていくのを支える面とともに、日々刻々と国民の健康安全を確保する任務を有しており、例えば0ー157による食中毒が発生した場合には、関連情報の収集・分析・提供は無論のこと、菌の検査法を評価・確立して迅速に地方自治体の職員に技術を伝達するなど、国の緊急の行政課題に即応できる体制の確保が必要。

(2)独立機関の性格、基本的枠組み等について、現段階では内容が明らかでないが、独立機関化を検討するに当たっては、緊急的な行政課題への対応に支障が生じないことを基本に、少なくとも次の点を確保することが必要である。
1)調査研究の内容について、行政部局が随時具体的に指示できるものであること。
2)職員の地位・身分は、緊急の行政課題に対する迅速な対応等の国の責任の履行が保障されるものであること。
3)国の責任を果たす上で必要な財政措置が講じられるものであること。
4)行政部局との人事交流が可能なものであること。
5)試験研究機関の特性に配慮し、予算、組織等に関して裁量性を有すること。

(参考1)厚生省所管の試験研究機関の再編計画

[→の右は再構築後の組織]
1 生命・健康の安全確保に関する調査研究
  ○国立予防衛生研究所
  ○国立ハンセン病研究所
  ○国立衛生試験所
  ○国立健康・栄養研究所
  →国立感染症研究所(健康に危害をもたらす国内外の感染症に関する総合的な調査研究)
  →国立医薬品食品衛生研究所(人体に直接影響を与える医薬品、食品等の安全性、有効性に関する総合的な調査研究)
  →国立健康科学研究所(仮称)(健やかな長寿の基盤となる生涯を通じた国民の積極的な健康づくりを支えるための総合的な調査研究)
  →国立厚生科学基盤技術開発研究所(仮称)(国民の健康安全を確保する行政分野での研究開発の基盤となる研究資源の収集・開発・提供、基盤技術の開発)
 
2 保健・医療・福祉サービスのあり方と高度な専門的人材の確保に関する調査研究教育
  ○国立公衆衛生院
  ○国立医療・病院管理研究所
  →国立保健医療福祉政策研究所(仮称)(相互に密接に関連する保健・医療・福祉サービスを円滑かつ効果的に提供するための知見の集積と、新たに開発された技術の伝達等高度な専門的な人材の確保のための調査研究教育)
 
3 社会保障制度の効率的運営の確保に関する調査研究
  ○人口問題研究所
  ○社会保障研究所
  →国立社会保障・人口問題研究所(社会保障制度の基盤となる人口問題を含めた社会保障制度の総合的・効率的な実施のための調査研究)

(参考2)生命・健康安全の確保(チャート)(略)

厚生省説明資料(平成9年5月21日追加)

少子化対策としては、男女不平等や育児支援施策の遅れ、全体的に長い職場拘束時間に起因する保守的な家族観の克服が必要であり、このような観点から、政策的に、男女不平等の是正や、職業と育児を両立させる育児支援、さらには、労働力確保のための女性の社会参画の促進などを進める体勢はどうあるべきと考えるか。

1.少子化問題についての先進諸外国の動向
○ 少子化は先進諸国に共通の現象となっている。

(図表1)先進諸国における合計特殊出生率の推移

 日本アメリカイギリスフランスドイツイタリアスウェーデン
1950年代3.653.022.192.922.05
(1951)
2.522.32
1980年代1.751.841.901.991.461.611.68
現在1.42
(1995)
2.05
(1993)
1.76
(1993)
1.65
(1994)
1.34
(1994)
1.33
(1992)
1.88
(1994)
(折れ線グラフは略)

○ 欧米先進諸国における少子化対策は、それぞれの事情に応じて異なっているが、出生率に対する有効性については様々な議論がある。
○ また、各国とも、人口政策そのものについては慎重な姿勢が伺われる。

2.子育て支援についての取組み
 少子化への対応については様々な考え方があるが、政府としては、まず取り組むべきものとして、子育て支援施策を推進している。

○ 厚生省における「これからの家庭と子育てに関する懇談会」(座長木村尚三郎東大教授)の設置や、関係14省庁からなる「健やかに子供を生み育てる環境づくりに関する関係省庁連絡会議」における論議等を経て、平成6年12月には、厚生・文部・労働・建設の4大臣合意として「今後の子育て支援のための施策の基本的方向について」(エンゼルプラン)を策定(厚生省とりまとめ)。

○ エンゼルプランは、平成7年度から概ね10年間を目途として取り組むべき施策をまとめたものであり、具体的には、
・仕事と育児の両立のための雇用環境の整備
・多様な保育サービスの充実
・安心して子どもを生み育てることができる母子保健医療体制の充実
・住居及び生活環境の整備
・ゆとりある学校教育の推進と学校外活動・家庭教育の充実
・子育てに伴う経済的負担の軽減
等の重点施策の方向を提示(参考1参照)。

○ エンゼルプランに基づき、厚生省は「緊急保育対策等5か年事業」を策定。当面保育対策等として緊急に整備すべき数値目標を設定し、その着実な推進を図っている(参考2参照)。

○ また、就労形態の多様化等に柔軟に対応できる弾力的な保育システムとする等のため、「児童福祉法等の一部を改正する法律案」を本通常国会に提出しており、子育てしやすい環境の整備等を推進。
(法律案の主な内容)
・保育所の入所方式;市町村の措置(行政処分) → 保護者が保育所を選択
・保育料負担方式 ;所得に応じた負担 → 年齢別の保育コストを基礎とした負担
・保育所に関する情報提供の促進
・小学校低学年児童に対する「放課後児童健全育成事業」を法制化し、普及促進

3.少子化問題に対する今後の対応

(1)少子化の原因について
○ 夫婦の平均出生児数を見ると、昭和40年代後半以降2.2人前後で推移しており、大きな変化は生じていない。
○ 我が国の合計特殊出生率の低下には、未婚率の上昇が大きな影響を及ぼしている。

(図表2)女子の年齢別未婚率の推移(グラフ)(略)
(図表3)女性の晩婚化の原因(グラフ)(略)

(2)男女共同参画への取組み

○ 少子化問題への対応のための施策のあり方については、その有効性を含め様々な論議があるが、社会生活や家庭生活のあらゆる分野における男女の平等の実現や、女性の社会参加のための環境整備は推進すべき。

○ これまでも総理府の男女共同参画室を中心として、「男女共同参画2000年プラン」の策定などによる各省庁横断的な取組みが進められている。

<男女共同参画2000年プランの概要>

T 男女共同参画を推進する社会システムの構築
・政策・方針決定過程への女性の参画の拡大
・男女共同参画の視点に立った社会制度・慣行の見直し、意識の改革
U 職場・家庭・地域における男女共同参画の実現
・雇用等の分野における男女の均等な機会と待遇の確保
・農山漁村におけるパートナーシップの確立
・男女の職業生活と家庭・地域生活の両立支援
・高齢者等が安心して暮らせる条件の整備
V 女性の人権が推進・擁護される社会の形成
・女性に対するあらゆる暴力の根絶
・メディアにおける女性の人権の尊重
・生涯を通じた女性の健康支援
・男女共同参画を推進し多様な選択を可能にする教育・学習の充実
W 地球社会の「平等・開発・平和」への貢献

(3)今後の検討の方向

○ 少子化問題については、国民生活、経済・企業活動等の様々な状況が関連していると考えられ、また、そもそも少子化対策のあり方についても、様々な意見がある(参考3参照)。

○ このような中で、現在、関係各大臣に対して意見を述べることができる人口問題審議会において、関係省庁の連携の下で、そもそも人口減少社会をどう考えるかといった点なども含めて審議が行われている(参考4参照)。

○ 今後、人口問題審議会での検討結果も踏まえ、少子化問題への取組みの枠組みや体制が検討されるものと考えられるが、厚生省としてもこうした動向を踏まえ、子育て支援施策を中心に積極的に取り組んでまいりたい。

(参考1)エンゼルプラン(「今後の子育て支援のための施策の基本的方向について」)

(平成6年12月16日 文部・厚生・労働・建設4大臣合意)

(基本的視点)
(1)子どもを持ちたい人が、安心して子どもを生み育てることができるような環境を整備する。
(2)家庭における子育てが基本であるが、家庭における子育てを支えるため、あらゆる社会の構成メンバーが協力していくシステムを構築する。
(3)子育て支援策は、子どもの利益が最大限尊重されるよう配慮する。
(基本的方向)(重点施策の例)
1)子育てと仕事の両立支援・育児休業給付の実施
・多様な保育サ−ビスの充実
・保育所制度の改善・見直しなど
2)家庭における子育て支援・地域子育てセンタ−の大幅拡充
・母子保健医療体制の充実など
3)子育てのための住宅及び生活環境の実現・ゆとりある住宅の整備など
4)ゆとりある教育の実現と健全育成・教育内容・方法の改善など
5)子育てコストの軽減・保育料の軽減・負担の公平化
・育英奨学事業の充実など

(参考2)緊急保育対策等5か年事業の推進

エンゼルプランの施策の一環として、近年の保育ニーズの多様化に対応し、緊急に保育対策を推進するため、平成7年度から平成11年度までの5か年間の事業について、平成6年12月18日に大蔵・厚生・自治の3大臣が合意し、その着実な推進を図っている。

平成9年度予算11.2%増
平成8年度予算
2,187億円2,431億円
244億円増
 8年度予算9年度予算11年度目標値
保育所措置費・低年齢児受入枠の拡大49万人(+2)
51万人
60万人
多機能保育所の整備 200か所(+ 100) 300か所1,500か所
時間延長型保育サービス事業 2,830か所(+1,170)
4,000か所
7,000か所
一時的保育事業 600か所(+200)
800か所
3,000か所
地域子育て支援センタ− 400か所(+200)
600か所
3,000か所
放課後児童クラブ 6,000か所(+900)
6,900か所
9,000か所
乳幼児健康支援デイサービス事業50か所(+50)
100か所
500か所

(参考3)少子化問題に関連する領域

国民生活●結婚・出産・育児支援
●年金・医療保険
●税制
●ゆとりある教育の実現、多様な教育・学習機会
●住宅環境
●家庭生活及び地域活動への男女の共同参画
経済・企業活動●省力化、労働生産性の向上
●高齢者、女性雇用
●実労働時間短縮、弾力化
●賃金体系
●企業の雇用慣行(結婚・出産退職等)
●企業の人事管理(単身赴任等)
●企業による福利厚生
●外国人労働者

(参考4)少子化をめぐる論点(未定稿)(人口問題審議会提出資料)

少子化の進行(人口構造の変化)
(人口の減少)
⇒ 少子(人口減少)社会の姿
<社会経済の変化> <社会保障の立場から考えられる主な論点>
1)社 会 保 障・保健福祉サービスについて
・公的年金
・医療保障制度について
2)企業・経済構造・経済成長について
・労働生産性の向上について
・企業経営について
3)労     働・生産年齢人口について
・外国人労働について
・雇用慣行について
4)家 族 機 能・家族機能の低下に伴う、高齢者や子どもの社会的支援について
・結婚について
・男女共同参画について
5)地 域 社 会・地域社会、自治体の基礎単位について
・地域の均衡ある発展について
・少子高齢社会の「まちづくり」について
6)個人の価値観・生き方・価値観の変化について
・生涯学習を含めた個人の生き方について
⇒ 少子化対策の在り方
<出生率に関する対応><少子(人口減少)社会を踏まえた対応>
@結婚・家事・育児支援
A社会保障制度、税制
B雇用、教育
C住宅、都市環境
D家庭生活での男女共同参画
@社会保障分野
A産業・労働・情報分野
B家族・個人生活分野
C国土・地域行政分野
Dまちづくり・環境分野
E教育・文化分野

厚生省説明資料(平成9年5月14日)

近年の薬害エイズ問題に限らず、医薬品の製造・販売に関して、国際的に適切かつ迅速な情報の収集及びそれに基づく安全審査、また薬害に対する迅速的確な対応が不備であるという、厳しい世論がある。
これに伴い、医薬品開発の振興と安全審査の分離による医薬品審査の透明性の確保の必要性が強く主張され、さらには、医薬品の審査体制について国際的に十分であるかどうかの検証も求められているが、過去の反省に立ち、このような批判に応える体制はどうあるべきと考えるか。

1 エイズ問題の反省等を踏まえた安全対策の強化

 医薬品及び医療機器(以下「医薬品等」という)の安全対策については、エイズ問題の反省等に立って、5月14日ヒアリング資料5において説明したとおり、以下のような対応を行っているが、危機管理への対応を含め、国際水準から見て遜色のないものを目指している。

(1)厳格な安全対策の実施
○本年4月から施行された薬事法改正により、ICH(日米欧三極医薬品規制ハーモナイゼーション国際会議)で合意された基準に則した治験制度を導入するなど医薬品等の安全対策全般について国際水準に則した制度的枠組みが整備された。
○治験から承認審査、市販後対策などに至る医薬品の安全対策全般を着実に実施していくためには、担当官の大幅増員など欧米諸国と比較して十分とはいえない組織体制の整備充実が不可欠であると考えている。
○このような観点から、本年7月に予定している組織再編の中で、「医薬品医療機器審査センター」を新設するとともに、同センターの専門的審査官の計画的増員を図ることとしている。

(2)透明性の確保
○本年7月に予定している組織再編の中で、医薬品の「治験、承認審査、市販後の安全対策等」の安全対策と「研究開発振興、生産・流通対策等」の振興対策を分離し、医薬品の振興を担当する部局とは別個のものとして、安全対策を担当する医薬安全局を設置することとしている。(参考1参照)
○組織人員体制の充実により、基本的に厚生省において主体的な判断を行う体制を整備し、厚生省としての判断を審査レポートとしてとりまとめ、これに基づき中央薬事審議会の専門的判断を求めることとしており、これにより厚生省と中央薬事審議会の間の責任関係を明確化する。(参考2参照)
○審査レポートや中央薬事審議会の議事録、審議経過をまとめた資料等の公開を行い、審査過程の透明性を高めることとしている。

2 国際水準に即した安全対策の実施

(1)国際的に通用し得る安全規制
○過去において、欧米諸国においても医薬品等による相当規模の健康被害を経験しており、その反省を踏まえ、各国ともに安全対策については真剣な取り組みが行われている。(参考3参照)
○医薬品の安全規制については、1991年にICH(日米欧三極医薬品規制ハーモナイゼーション国際会議)が発足して以来、国際的調和が進められている。我が国でもその成果を順次導入し、先に述べたとおり、本年4月から施行されている薬事法改正により、国際水準の規制の枠組みが確立されている。

(2)米国に準ずる情報公開
○エイズ問題の反省に立って情報公開の徹底を図る観点から、既に述べたように審査レポート、中央薬事審議会の議事録等承認審査に際して行政側が作成した資料については、企業の知的財産に抵触する部分を除き公開することにより、承認審査過程の透明性を確保することとしている。
○この結果、米国に準じた情報公開が実現するものと考えており、審査過程に関する情報については原則非公開としている欧州諸国と比較した場合には、より透明度の高い承認審査を行うことになる。

(3)不十分な組織人員体制
○しかしながら、欧米諸国と比較して立ち遅れているとの批判がある治験制度をはじめ、本年4月から施行された薬事法改正において新たに導入された対策など、今後国際水準に則した安全対策を着実に実施していくため、なお、一層の努力が必要な分野が残されていることも事実と認識。
○特に、我が国においては、従来、中央薬事審議会に安全対策の判断を実質的に委ねてきたため、責任の所在が不明確であるとの指摘がなされており、先に述べたとおり、基本的に厚生省において主体的な判断を行う体制を整備することが課題。
○このような課題に的確に対応し、名実ともに欧米諸国と比較して遜色のない安全対策を実施していくためには、一層の専門的審査官の増員により欧米諸国と比較して十分とは言えない安全対策の実施体制を整備充実することが不可欠であると考えている。

3 危機管理としての副作用被害への対応
エイズ問題などの反省に立って、副作用等の健康被害の発生や拡大を未然に防止するために、危機管理の観点から、迅速かつ的確に情報を収集、評価し、有効な安全対策を立案、実施する仕組みの構築が重要な課題であると認識している。このような観点から、欧米諸国に比して遜色のない体制をとるべく本年3月「医薬品等の健康危機管理実施要領」を策定、公表し、次のような取組を進めている。 (参考4及び参考5参照)

(1)情報収集体制の確立
○副作用感染症報告等製薬企業、医療機関からの報告のほか、内外の文献情報や、米国のFDA(食品医薬品庁)、CDC(疾病対策予防センター)等の外国機関による規制情報について、責任をもって収集すべき情報の範囲を明確化。
○また、省内に「健康危機管理調整会議」を設置し、省内関係部局及び国立試験研究機関の担当官の間で、健康危機管理に関連する情報を共有するとともに、必要な対応について調整を行うこととしたところであり、このような仕組みの下で、関係部局等との迅速かつ確実な情報伝達体制が確立された。

(2)情報収集から対策の立案に至る判断の一元化
○薬務局安全課医薬品適正使用推進室において、医薬品等の健康被害に関する情報の収集、分析、評価、安全対策の立案を一元的に実施。

(3)対策実施までの手順の明確化
○健康被害の内容、程度に応じて、官邸及び省内の各幹部への初動段階での報告を行うことを明記し、高度の判断を仰ぎ得る体制を確立。
○情報の評価、対策の立案に当たっては、中央薬事審議会の意見を聞いて判断を行うことを明確化。

(4)医薬品等の回収命令等の薬事法に基づく権限の発動要件の明確化
○状況に応じた各種の行政指導、薬事法に基づく行政命令の発動要件を定め、緊急に安全対策を実施すべき場合には、法律に基づく命令を発動すべきことを明記。

(5)不確実な状況下での対応
○情報が不確実な状況の下では、常に最悪の事態を想定した措置をとるべきことを明記。

(参考1)薬事行政組織の再編(厚生省)

1 趣旨
医薬品の承認審査等における専門性、透明性を高め、審査体制を強化するとともに、医薬品医療機器等の安全対策のみならず医療施設における院内感染の防止対策等医療面も含めた幅広い安全対策を推進するため、薬務局を中心とした内部部局並びに国立衛生試験所の組織再編を行う。
2 基本的な考え方
薬事行政組織の再編は、次の基本的考え方に基づき実施する。
1)医療及び医薬品・医療施設等に係る安全対策全般を所掌する局の創設
2)医薬品・医療機器審査部門の独立・強化
3)血液事業対策の強化
4)医薬品等に係る安全対策と振興対策の組織的分離
3 組織改正の概要
(1)医薬安全局の新設
薬務局を廃止し、医薬品等の「研究開発振興、生産・流通対策等」は健康政策局の所管とする一方、医薬品等の「治療、承認審査、市販後の安全対策等」や医療施設における院内感防止対策等、医療及び医薬品に係る安全対策全般を所管する「医薬安全局(仮称)」を設置。
(2)国立医薬品食品衛生研究所の設置
試験研究機関の重点整備・再構築の一環として国立衛生試験所を国立医薬品食品衛生研究所に改組し、医薬品や食品等の安全性、有効性に関する調査研究を総合的に推進するとともに、医薬品等の審査を強化するため、同研究所に医薬品医療機器審査センターを新設。
(3)健康政策局の所掌事務の変更
薬務局から経済課及び研究開発振興課を健康政策局に移管し、医薬品・医療機器の研究開発振興及び医薬品等の生産・流通対策を所掌。地域保健については保健医療局へ移管。
4 再編実施時期
平成9年7月1日(予定)

(参考2)承認審査体制の強化

1.現在の審査体制
恒常的に1つの新薬に対し薬学の専門知識を有する審議官1〜2名が対応しており、承認申請資料の品質・毒性・薬理・吸排・臨床・統計等の各専門分野にわたる網羅的把握、評価を十分に行える体制となっていない。従って、事務局審査は自ずと申請資料の点検・整備及び基礎的な評価が主となり、専門的な評価・判断の実質を中央薬事審議会に委ねる結果となっている。
2.審査体制の強化
(1)実質的な審査を外部の委員で構成する中薬審に依存していたが、中薬審の役割を高度な判断に特化し、審査の中心的業務を事務局として医薬品医療機器審査センター(仮称)を新設し、その責任を全うしうる体制とする。
(2)具体的には、事務局審査の評価結果を集約した「審査レポート」を作成し、中薬審における審議に先立ち、当該医薬品等の承認の可否をも含む総合的評価判断を示すこととする。
このため、事務局における審査を薬学から医学・獣医学・統計学等の専門的知識を修得した専門審査官のチームにより行うこととする。
(3)審査官を行政官の人事ローテーションから切り離し、任期も長期とすることにより、専門性・継続性を高め、審査の質の高度化とともに質の維持を図る。

(参考)各専門分野別の審査内容

1)品質担当(薬学)・・・・・・物理的化学的性質、規格及び試験方法、安定性の評価・判断
2)毒性担当(獣医学)・・・・・毒性試験における毒性変化、病理所見の評価・判断
3)薬理担当(薬学)・・・・・・基礎薬理及び吸収・分布・代謝・排泄に関する評価・判断
4)臨床試験担当(医学・薬学)・個々の被験者における臨床評価・判断
5)統計担当(生物統計学)・・・毒性試験及び臨床試験における統計学的評価・判断

(参考3)日米欧における副作用被害発生状況

国名サリドマイド被害者数血友病患者のHIV感染者数
日本約300人1792人
アメリカ9000人
イギリス約350人1227人
西ドイツ約2700人1377人(ドイツ)
カナダ約120人653人
フランス不明1300人
(出典)
・サリドマイド被害者数の出典は、H.シェストレーム&Rニルソン「裁かれざる医薬産業 サリドマイド」
・血友病患者のHIV感染者数の出典は「世界血友病連盟推計、1994年調査」。但し、日本については「HIV感染者発症予防・治療に関する研究班報告」(1994年11月末現在)

(参考4)医薬品等の健康危機管理実施要領について

1.目的
○ 薬事法に基づく権限等の的確かつ迅速な行使による健康被害の発生、拡大の防止。
2.危機管理の基本的心得
(1)安全性情報の迅速な把握、総合的な安全対策の立案、実施。
(2)情報が不確実な状況の下では、常に最悪の事態を想定して対処。
3.情報収集体制の確立
(1)内外の文献情報、外国機関による規制状況について収集すべき情報の範囲を明確化
(2)省内の「健康危機管理調整会議」を通じて、他部局、国立感染症研究所及び国立衛生試験所との迅速、かつ、確実な情報伝達を行う。
4.情報収集から対策の立案に至る判断の一元化
(1)安全課医薬品適正使用推進室において、安全性情報の収集、評価、安全対策の立案を一元的に実施。
(2)安全対策の実施は、各課が連携して実施。
5.対策実施までの手順の明確化
(1)安全性情報の収集
(2) 一次評価
○緊急対応の必要性の有無の判断
○健康被害の有無、程度の判断
(3)状況に応じた省内幹部及び官邸への報告
(4)安全性情報の評価及び対策の立案
○局内関係課室からなる「医薬品等安全対策連絡会議」における検討、調整
○中央薬事審議会の意見を聞いて、立案(緊急時は事後報告)
(5)安全対策の実施
○対策の区分:承認取消、承認の一部変更、使用上の注意の改訂の指示、回収又は廃棄の指示、製造又は集荷の停止の指示、再評価指定、情報提供、継続調査
○製造業者等への指示により行うことを原則としつつ、緊急に実施が必要な場合、製造業者等が指示に従わない場合に、法律に基づく命令を発動。
○製造業者等からの報告聴取、立入検査等により安全対策の実施状況を把握。

(参考5)薬務局内の安全対策の体制(チャート)(略)

厚生省説明資料(平成9年5月21日追加)

日本において、北欧に見られるような人間優先の充実した高齢者福祉システムを構築できなかった根本的原因はどこにあると考えるか。また、高齢者福祉の水準を、国際的な観点に立って自己評価・点検することを可能にする体制はどうあるべきと考えるか。

1.北欧と比較した高齢化の状況
各国の社会保障制度の歴史には、高齢化の状況、国民性等を反映して様々な特色があるが、我が国の場合、高齢化が始まったのが比較的近年であり、かつ高齢化が極めて急速に進んでいる点に特徴がある。
例えば、スウェーデンが1890年代既に65歳以上の高齢人口の割合が7%に達しているのに比較して、我が国は1970年代にやっとその水準に達している。また65歳以上の高齢人口割合が7%から14%に達する所要年数を比較すると、スウェーデンが85年を要しているのに比べ、我が国は25年で達しており、高齢化の速度が世界でも例を見ない程極めて速いことが分かる。(参考1参照)

2.我が国の高齢者保健福祉サービス分野における対応

(1)こうした中で、我が国は来るべき高齢化も予測しつつ、既に昭和30年代に国民皆保険・皆年金を達成した。年金制度については、期間の経過とともに成熟化し、相当な水準の年金が現に支給されるなど、その年金や医療の水準は国際的にも遜色ないものとなり、高齢者が経済面でも医療面でも安心できる社会が実現した。

(2)一方、欧米社会に比べ同居率の高かった我が国においても、社会・経済構造の大きな変化を経て、同居率が低下し、高齢者のみの世帯が増加するとともに、同居世帯にあっても女性の就労の進展等により、家族の介護力は低下している。併せて、1990年以降、高齢化率が2年に1%高まるという状態となり、介護需要は近年急速に増大している。(参考2参照)

(3)保健福祉サービスは、現実の需要に対応して整備されるものであるが、我が国においては、現在、このように人口構造の高齢化が急速に進展中であり、需要も急速に拡大していることから、これへの対応が、我が国の最重要課題の一つとなっている。このため、長い期間をかけて高齢化が進んできた他の先進諸国の制度と比肩できる高齢者保健福祉システムを短い期間に整備するよう、各種の施策の急速かつ大幅な拡充に取り組んでいるところである。(参考3参照)

<急速な高齢化等に対応した保健福祉施策の経緯>

○「長寿社会対策大綱」(昭和61年6月)
21世紀初頭の本格的な高齢社会の到来に備え、人生80年時代にふさわしい経済社会システムの構築を目指し、政府が推進すべき長寿社会対策の指針として閣議決定。
○「福祉ビジョン」(昭和63年10月)厚生省・労働省より国会提出
明るい、活力に満ちた長寿・福祉社会を実現するための基本的考え方について示すとともに、高齢者保健福祉サービスの具体的目標値についても提示。
○「高齢者保健福祉推進十か年戦略」[ゴールドプラン](平成元年12月)
高齢者の保健福祉分野における公共サービスの基盤整備を進めることとし、在宅福祉、施設福祉等の事業について、今世紀中に実現を図るべき10か年の目標を掲げ、これらの事業を強力に推進することを策定。
○福祉八法改正(平成2年6月)
住民に最も身近な市町村を、在宅福祉サービスと施設福祉サービスの一元的かつ計画的な提供を行う地域福祉主体と位置付けるとともに、地域の実情に応じたサービス基盤の計画的整備のため、老人保健福祉計画を策定することとした。
○老人保健福祉計画の策定(平成5年度)
市町村老人保健福祉計画では対象者の状況に応じたサービスの目標量等を設定都道府県老人保健福祉計画では広域圏でのバランスを考慮したサービス提供体制の整備等を盛り込んだ。
○「21世紀福祉ビジョン」(平成6年3月)
今後目指すべき社会保障全体の基本的方向を明らかにするため、総合的な福祉ビジョンについて取りまとめるとともに、新ゴールドプランの策定を提言。
○「新ゴールドプラン」(平成6年12月)
地方老人保健福祉計画において、ゴールドプランの目標を大幅に上回る高齢者保健福祉サービス整備の必要性が明らかになったことや、ゴールドプラン策定以降、各種高齢者保健福祉施策の整備充実が図られてきたことなどから、ゴールドプランの全面的な見直しを行い、当面緊急に行うべき高齢者介護サービス基盤の整備目標を引き上げるとともに、今後取り組むべき施策の基本的理念等を新たに策定。
○介護保険制度の創設(平成8年11月国会提出)
国民の老後生活最大の不安要因となっている介護問題を解決し、介護を必要とする高齢者本人とその家族にとって利用しやすい包括的な介護保障のシステムを構築するため、保健・医療・福祉にわたる介護サービスを一体的・効率的に提供する介護保険制度を創設。

3.我が国の高齢者保健福祉の基本理念

(1)今日の我が国の高齢者保健福祉の理念は基本的に北欧諸国と異なるものではなく、新ゴールドプランにおいて利用者本位・自立支援等の基本理念を掲げ、その実現に必要な高齢者保健福祉サービスの計画的な整備・充実に全力を挙げて取り組んでいるところである。(参考4参照)

●デンマークと我が国の基本理念の比較 ○デンマークの高齢者保健福祉3原則(参考5参照)

1)在宅生活の継続等「継続性の原則」
2)高齢者の「自己決定の尊重」
3)「残存能力の活用」による自立支援
○我が国の新ゴールドプランの基本理念
1)「利用者本位・自立支援」
2)「普遍主義」
3)「総合的サービスの提供」
4)「地域主義」 (2)急速な高齢化に対応し、このような施策の基本理念に基づき、各種サービスの急速かつ大幅な拡充を推進しているところであるが、さらに、これに加えて、利用者本位の良質な介護サービスを安心して受けられるよう、現在、介護保険制度の創設のための法律案を国会に提案しているところである。

●介護保険制度の目指すもの
1)利用者による自由なサービス選択
2)福祉と医療のサービスの総合的・一体的な提供
3)民間活力の活用による多様で効率的なサービスの提供

4.高齢者保健福祉サービス推進のための今後の取組み

(1)以上述べたように、我が国では、世界に例を見ない急速な高齢化が進行する中で、全都道府県、全市町村において老人保健福祉計画を策定することとし、その積み上げに基づき、新ゴールドプランを策定してサービス基盤の着実な整備を図るなど、国を中心に積極的な対応を行うことにより現在の水準に到達している。
高齢者保健福祉システムの整備については、高齢者保健福祉サービスに対する市町村の取組み体制の強化と福祉・介護マンパワーの地域における定着が大きな課題であり、これらを推進していくためには、今後とも強力かつ着実な努力が必要と考えている。(参考6、7、8略)

(2)一方、戦後生まれの世代の親が介護を要する年代になる中で、今後さらに急速に介護需要が増大することとなり、何にも増してこうした需要に対する迅速な対応が求められることから、市町村を保険者として県・国がこれを支えていく介護保険制度の導入が急がれている。

(3)なお、このような高齢者の保健福祉サービスを推進していくために、厚生省においては、昭和63年に従来高齢者保健を担当していた老人保健部を高齢者保健・福祉を担当する老人保健福祉部に改組し、さらに平成4年には老人保健福祉局としたところである。また同時期に、都道府県においても、地域の現実のニーズを踏まえて、高齢者保健福祉サービスを担当する専門的な部門が整備されてきており、国・地方を通じた取組み体制が強化されてきている。
一方、国際的にも、我が国は「世界福祉構想」を提唱し、諸外国との連携を深める中で、諸外国の施策の理念、取組みの動向についても適切に分析・評価しながら、我が国の高齢者保健福祉サービスの拡充に全力を挙げていくこととしている。(参考9参照)

●「世界福祉構想」の考え方
(対先進国)
高齢化の進展に伴う社会保障制度の展開と経済活力の関係、医療費の増加や年金制度運営のあり方、介護対策など、先進諸国が共通して直面している課題について、相互の経験や知恵を分かち合いながら、それぞれの課題の解決に資する。
(対開発途上国)
保健衛生や社会福祉を含む広義の社会保障分野における我が国のこれまでの経験を、成功、失敗を含めとりまとめ、現在これらの分野の充実に取り組んでいる開発途上諸国が、同じ失敗を繰り返さず、より良い道を歩んでいくための参考に供するとともに、日本及び他の先進国のこの分野における今後の協力活動に活用していく。

(参考1)人口高齢化速度の国際比較(5年単位)

 65歳以上人口割合の到達年次所要年数
7%14%
日本1970199525年
アメリカ1945201570
イギリス1930197545
ドイツ1930197545
フランス18651990125
スウェーデン1890197585
(資料)日本は、総務庁「国勢調査」及び厚生省人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成4年9月推計)[中間推計]」
諸外国は、U.N." The Sex and Age Distribution of the World Populations : 1994"(中位推計)
(注)ドイツは、統一ドイツベース

(参考2)世帯構造別にみた65歳以上の者のみの世帯数年次推移(グラフ)(略)
(参考3)高齢化の状況と高齢者保健福祉サービスへの対応状況(グラフ)(略)

(参考4)新ゴールドプランの基本理念

―新ゴールドプラン 抜粋― <基本理念>
全ての高齢者が心身の障害をもつ場合でも尊厳を保ち、自立して高齢期を過ごすことのできる社会を実現していくため、高齢期最大の不安要因である介護について、介護サービスを必要とする人誰もが、自立に必要なサービスを身近に手に入れることのできる体制を構築する。
1利用者本位・自立支援
個々人の意思を尊重した利用者本位の質の高いサービス提供を通じ、高齢者の自立を支援する。
2普遍主義
支援を必要とする高齢者に対して、必要なサービスを提供する。
3総合的サービスの提供
在宅ケアを基本に、保健・医療・福祉を通じ高齢者の多様なニーズに的確に応えることのできる効率的・総合的サービスを提供する。
4地域主義
市町村を基本に、住民に最も身近な地域において必要なサービスをきめ細かく提供できる体制づくりを行う。

(参考5)北欧諸国の老人保健福祉の基本的考え方

〇デンマークの高齢者保健福祉の3原則
1)人生の継続性の原則
たとえ障害が生じても、それまでの生活と同様の生活を継続できるよう支援体制を構築するという原則。在宅生活を希望する者を可能な限り支え、たとえ施設に入所した場合にあっても、家具等を持ち込めるようにするなど、施設の在宅化を図るもの
2)高齢者の自己決定の尊重
行政や専門職が本人にとって何が必要かを決めるのではなく、自らの生活に関しては、高齢者自身が全面的な決定権を持つという原則。あくまで行政や専門職は、その決定に役立つと思われる情報やサービスの提供を行い、個別の支援を行う。
3)残存能力の活用
本人の残存能力に着目して、福祉機器や住環境を整備することで、その活用を図り、自立を可能にしていこうという原則。
特に、近年は在宅重視の傾向が顕著である。現在ではプライエムの新設は禁止されており、毎年その数は減少している一方、在宅サービスの充実が進められている。
(出典)「新たな高齢者介護システムの確立について」(厚生省高齢者介護対策本部事務局監修)

〇スウェーデンの老人福祉の基本的考え方

スウェーデンの老人福祉の範囲は広く、内容もさまざまであるが、その基本的な考え方は次のような5項目の原則に依っている。
1)通常生活の継続(Normalization)
2)総合的視点(Viewing a person as a whole)
3)自己決定 (Self-determination)
4)社会参加 (Influence and participation)
5)積極的活動 (Activation)
(出典)「スウェーデンの社会保障」(社会保障研究所編)

(参考6)新ゴールドプランの進捗状況

区分平成2年度予算
( )は実績
平成6年度予算平成9年度予算平成11年度予算
在宅サービスホームヘルパー35,905人
(38,945人)
59,005人
(79,689人)
151,908人170,000人
ショートステイ 7,674床
〈9,676床〉
25,827人
(27,127人)
44,834人分 60,000人分
デイサービス/デイ・ケア1,780床
(1,615床)
5,273か所
(3,993か所)
12,084か所17,000か所
在宅介護支援センター300か所
(163か所)
2,472か所
(1,777か所)
6,172か所10,000か所
老人訪問看護ステーション────────
(718か所)
3,200か所5,000か所
施設サービス特別養護老人ホーム172,019床
(174,815床)
216,199人分
〈217,417人分〉
262,709人分290,000人分
老人保健施設47,811床
(44,743床)
139,811人分
(93,994人分)
220,811人分100,000人分
ケアハウス1,700床
(750床)
23,700人分
(9,889人分)
51,350人分100,000人分
高齢者生活福祉センター40か所
(33か所)
200か所
(158か所)
320か所400か所

(参考7)ホームヘルパー設置状況の年次推移(グラフ)(略)
(参考8)デイサービス利用者数の年次推移(グラフ)及びショートステイ利用者数の年次推移(グラフ)(略)

(参考9)世界福祉構想について

(1)世界福祉構想(Initiative for a Caring World)とは
○ 1996年6月のリヨン・サミットにおいて、橋本総理から提唱。
○ 公衆衛生、医療保険・年金等を含めた広義の社会保障の問題について、先進国のみならず開発途上国も含め、お互いの知恵・経験を共有することを目的とする。
(2)世界福祉構想の具体的内容と進め方について
関係省庁の協力、協調体制の下、厚生省、外務省が中心となり、以下の事業を検討。
ア 開発途上国を念頭においた事業
(ア)東アジア社会保障担当閣僚会議の開催
・1996年12月5日、沖縄県において開催。
・わが国の社会保障分野での経験を発表。アジア諸国相互間でそれぞれの経験を共有
(イ)日本の社会保障の歩みに関する報告書の作成
・わが国が社会保障行政分野でこれまでに歩んできた道を、成功、失敗、悩みなどを含めとりまとめ、参考に供する。(上記閣僚会議に提出)
(ウ)社会保障行政政策策定者による国際セミナーの開催
・来年度以降、アジア諸国の社会保障分野の政策策定者を対象としたセミナー(国際社会保障行政高級事務レベル会合)を実施。
(エ)その他
・広義の社会保障分野での開発途上国の仕組みづくり・人づくりのための支援の強化、WHOにおける関連活動への支援強化の検討、民間の関連活動の紹介 等
イ 主として先進国を念頭においた事業
○ OECDの活用
・先進国相互間における社会保障政策に関する経験と知識の共有については、OECDの場を活用
・具体的には、1996年11月に開催されたOECDハイレベル会合(社会政策関係。)や、1998年に予定されている第3回OECD社会保障大臣会議を活用して、社会保障分野における経験について幅広い意見交換を実施。
ウ 世界全体での取り組みについて
○ 国連の場における社会保障に関する議論の喚起