[大蔵省に対する質問項目]

☆行政改革の趣旨に照らし、今後取り組むべきと考える(取りくもうとする)改革方策をご提示願いたい。
☆経済環境の変化、金融自由化の進展等の中で、財政投融資の将来の在り方についてどのような方向で見直していくのか。
☆予算編成機能の内閣移管に関する意見についてどう考えるか。
☆財政と金融に関する事務の組織的な分離の意見についてどう考えるか。
☆現業(印刷局及び造幣局)の民営化についてどう考えるか。
☆経済協力関係組織の一元化についてどう考えるか。
☆関税事務の貿易、通商事務との組織の一元化についてどう考えるか。

大蔵省追加説明資料(平成9年5月21日追加)

行政改革の趣旨に照らし、各省庁において、今後取り組むべきと考える(取りくもうとする)改革方策をご提示願いたい。

1.行政改革については、行政の守備範囲をどうするか、行政の在り方をどうするかといった中身の議論が大切である。
21世紀の日本の進むべき道を考えた場合、現在の行政の在り方のみならず、日本の経済・社会の仕組みそのものを変えていく必要がある。このような観点から、各省庁はその経済・社会に及ぼす影響を広く捉えた上で、所管行政の在り方を見直すことが求められており、大蔵省としても、全力を挙げて、財政や金融等の行政分野における諸改革に取り組んでいる。

2.
(1)財政構造改革
財政構造の改革は、行政のスリム化・効率化を推進するという観点では、行政改革と方向性を同じくするものと考える。現在、我が国財政は主要先進国中最悪といえる状況となっており、高齢化社会の下で現在の財政構造を放置し、財政赤字の拡大を招けば、国民経済自体の破綻を招く可能性が高い。
今後の高齢化の一層の進展を見据え、21世紀の活力ある豊かな国民生活を実現するとともに、次世代に対する責任を果たすために、財政健全化目標を定めるとともに、徹底した歳出全体の見直しを行うなど、財政構造改革を強力に推進しているところである。 また、現在、そのような観点から、政府・与党のメンバーからなる総理直属の「財政構造改革会議」が設けられ、鋭意議論が行われている。

(2)金融システム改革
金融については、金融システムの安定に細心の注意を払いつつ、我が国金融市場をニューヨーク・ロンドンに並ぶ自由で効率的な金融市場とするため、フリー、フェア、グローバルの3原則に則った抜本的な改革を進めている。
現在、関係審議会において鋭意検討を進めており、6月にはプランの全貌が明らかになる予定である。本改革は結論の得られたものから速やかに実行に移すこととしており、既にフロントランナーとして、外国為替及び外国貿易管理法の改正案が今国会で成立したほか、3月の規制緩和推進計画の再改定の中で、大幅な規制の緩和及び見直しを盛り込んでいる。
最終的には、2001年までにすべての改革を完了する予定であり、本改革により、金融市場のグローバル化への対応を図るとともに、 1,200兆円にものぼる個人金融資産の効率的な管理・運用という観点から幅広い金融サービスの発展を実現していきたい。

(3)財政投融資の見直し
財政投融資については、財政政策の中で有償資金の活用が適切な分野に対応するという基本的な役割、必要性は将来的にも残ると考えているが、社会経済情勢等の変化に応じ、その対象分野・事業を見直し、資金の重点的・効率的な配分を図っていくことが必要であると考えている。
こうした考え方の下、資金運用審議会の懇談会において、財政投融資について、改革を推進する観点から、広く専門家の意見を聞き、本格的な検討・研究を進めていくこととしている。

(4)税制の見直し
さらに、税制については、これまで時代の要請に応じた抜本的な改革が行われてきている。去る5月9日、新たに発足した税制調査会においては、総理大臣から、今後の税制については、我が国経済社会の構造変化や諸改革に対応して更なる変革を求める旨の諮問がなされており、今後もその趣旨を受けて幅広くかつ大胆に議論していく必要があると考えている。

3.また、全体の行政改革に先行して、金融行政機構改革にも真摯に取り組んでいる。
機構改革のねらいは、金融機関の不良債権問題等を契機として、金融行政に対してなされた様々な御批判を重く受け止め、21世紀に向けて、市場規律を基軸とした透明かつ公正な金融行政への転換と、金融市場のグローバル化への対応を図るというものである。
本改革により、大蔵省の金融面での責務は、21世紀の課題に対応した金融制度の企画・立案と金融システムの安定確保という、国として最小限果たすべき基本的な役割に限定されることとなる。
具体的には、民間金融機関等の検査・監督という執行面の機能を分離し、これを総理府に設置される金融監督庁が担当することとするとともに、金融制度の企画・立案という政策面の機能については、G7各国においても大蔵省が担当していることにもかんがみ、銀行局・証券局を統合した金融局(仮称)が担当することとしている。
この結果、組織として大幅なスリム化が図られる。具体的には、1官房7局から1局削減し、1官房6局体制になるとともに、官房金融検査部と証券取引等監視委員会の定員が全て金融監督庁に移管されるほか、証券局及び銀行局の民間金融機関等の監督部門の人員も同庁へ移されることから、大蔵省は大幅な減員となる。
また、日本銀行についても、金融政策における独立性とその意思決定の透明性を高めるため、日本銀行法を改正することとしている。

4.以上のように、大蔵省としても改革を自らのものとしてとらえ、全力を挙げて取り組んでいるところであり、また今後とも行政改革が真に実りのあるものとなるよう強力に推進していくつもりである。

大蔵省説明資料(平成9年5月14日)

経済環境の変化、金融自由化の進展等の中で、財政投融資の将来の在り方についてどのような方向で見直していくのか。

1.<基本的考え方>
財政投融資については、財政政策の中で有償資金の活用が適切な分野に対応するという基本的な役割、必要性は将来的にも残ると考えているが、その受け持つ具体的役割は、社会経済情勢の変化等に応じ、変わっていくことが必要である。
したがって、財政投融資について、改革を推進するとの基本方針の下で、民業補完の観点をも踏まえ、社会経済情勢等の変化に応じ、その対象分野・事業を見直し、資金の重点的・効率的な配分を図っていくことが必要であると考えている。

2.<財政投融資計画編成における対応>
こうした考え方の下、今後とも、財政投融資計画の編成において、 1)財政投融資の対象事業及び資金需要を、公的関与の必要性、償還確実性の観点から見直すとともに、2)経済社会ニーズを的確に把握すること、等により、財政投融資資金の重点的・効率的な配分を図ることが必要であると考えている。
なお、平成9年度財政投融資計画においては、昨年末の総理からの御指示(資料1参照)を受け、民業補完の観点をも踏まえ、政策的な資源配分を行う一般財投の規模の抑制を図り、前年度当初計画に対し△3.0 %の減額としたところであり、さらに、財政投融資の対象事業及び資金需要を、公的関与の必要性、償還確実性の観点から徹底して見直し、民間でも実施可能、あるいは民間金融市場等からの資金調達等が適切と考えられるものは財政投融資の対象から除外する等の措置を図ったところである(資料2、3参照)。

3.<資金運用審議会懇談会における検討・研究>
さらに、財政投融資について、改革を推進する観点から、資金運用審議会懇談会において、広く専門家の意見を聞き、本格的な検討・研究を進めていくこととしている。
資金運用審議会懇談会には、従来の同審議会の委員・専門委員に加え、財政制度審議会の学者メンバー数名等の参加を頂いているところであるが(資料4参照)、これまでのところ、財政投融資の制度と内容、諸外国の財政投融資類似制度、特殊法人の財務内容の公開等について、事務局や総務庁からの説明や同懇談会メンバーによる報告が行われるとともに、財政投融資の検討に当たり留意すべき点等について、幅広い意見交換が行われてきているところである(資料5参照)。
今後とも同懇談会において、財政投融資の将来の在り方も含め、本格的な検討・研究が進められていくものと期待している。

(資料1)総理指示(平成8年12月10日)
 財政投融資の改革を推進するという基本方針の下で、民業補完の観点をも踏まえ、平成9年度の財政投融資の編成に当たっては、規模(一般財投)のスリム化を図ること。

(資料2)9年度財政投融資
 財政投融資の改革を推進するとの基本方針の下で、民業補完の観点をも踏まえ、政策的な資源配分を行う一般財投の規模の抑制を図ることとしている。

1.一般財投規模のスリム化
○一般財投は、対前年度当初計画比▲ 3.0%の縮減
・過去に唯一マイナスとなった昭和60年度(▲ 1.2%)を上回る縮減
2.財政投融資の守備範囲の見直し--民業補完の徹底
 ○財政投融資の対象機関の除外(59機関→57機関)
 ・鉄道整備基金
 ・中小企業事業団
 ○財政投融資の対象事業からの除外
 ・住宅・都市整備公団の分譲住宅建設(再開発等供給に長期間を要し、民間資金による対応が困難なものを除く)
 ・年金福祉事業団の大規模年金保養基地整備事業(既に着手した補修等を除く)等
3.市場メカニズムとの調和の促進  
 ・住宅金融公庫等の貸付制度の弾力化
・民間資金の積極的利用
 ・資金運用部資金の融通条件の弾力化等
4.経済社会ニーズへの的確な対応―資金配分の重点化・効率化
 ・経済構造改革への対応(新技術開発、ベンチャー育成等)
 ・高齢化社会への備え(老人保健施設の整備等)
 ・環境問題への対応
 ・住宅・社会資本整備の促進
 ・景気への配慮(中小企業等)
5.ディスクロージャーの推進
・インターネットを活用した対象機関の情報の提供等

(資料3)平成9年度財政投融資の概要(平成8年12月25日大蔵省)(略)

(資料4)資金運用審議会 懇談会 名簿
座長貝塚 啓明中央大学法学部教授
座長代理本間 正明大阪大学経済学部教授
五十畑 隆産業経済新聞社客員論説委員
池尾 和人慶應義塾大学経済学部教授
石  弘光一橋大学経済学部教授
市岡揚一郎日本経済新聞社論説委員会常任顧問
今井  敬新日本製鐵代表取締役社長
江頭憲治郎東京大学大学院法学・政治学研究科教授
岡部 直明日本経済新聞社論説副主幹
川岸 近衛読売新聞社論説副委員長
木村 陽子奈良女子大学生活環境学部助教授
坂本 春生西友代表取締役専務
恒松 制治元獨協大学学長(資金運用審議会会長)
轉法輪 奏大阪商船三井船舶代表取締役取締役会長
富田 俊基野村総合研究所研究理事
中西 真彦東京商工会議所副会頭
原 司郎高千穂商科大学学長
廣瀬 嘉夫公共経済調査会理事長
藤原 正寛東京大学大学院経済学研究科教授
堀内 昭義東京大学大学院経済学研究科教授
水谷 研治東海総合研究所代表取締役社長兼理事長
三宅 純一日本総合研究所副理事長
村田 泰夫朝日新聞社論説委員
吉冨 勝長銀総合研究所副理事長
吉野 直行慶應義塾大学経済学部教授
吉原 健二厚生年金基金連合会理事長
吉本  宏東京金融先物取引所理事長
若杉 敬明東京大学大学院経済学研究科教授
(資料5)資金運用審議会懇談会の開催実績(略)

大蔵省説明資料(平成9年5月14日)

予算編成機能の内閣移管に関する意見についてどう考えるのか。

1. <予算編成機能を内閣に移管することについて>
(1)予算編成機能を内閣に移管するという意見は、大蔵省が所掌している予算編成事務を内閣官房に移管することにより、総理大臣直属で総合調整機能が発揮され、歳出予算における適切な経費配分が可能となるという趣旨であると考えられる。
(2)しかしながら、総理大臣直属の機関で予算編成を行うとすれば、総理大臣自ら最終的な予算折衝をしなければならないこととなるが、外交、安全保障、内外経済問題をはじめ国政全体の中で最終意思決定を迫られる総理大臣が、財政の立場のみを代表して各省庁等との折衝に当たることは困難である。また、現実問題として、国政全般に責任を持ち多忙な総理大臣自らが、予算編成における必要な折衝を全て行うことは物理的に不可能である。
(3)そのため、予算編成を担当する国務大臣を置き、その大臣及び事務当局が、各省庁の予算要求を整理、調整した上で、総理大臣を含む内閣に最終的な判断を仰ぐことが適当と考えられる。
(4)また、その場合、歳出と歳入を異なる大臣が所管することとなれば、歳入を考慮しない財政支出が行われやすく、適切な財政運営が困難となると考えられること等から、歳出予算は、歳入と一体の組織で行われるべきと考えられる。
(注)主要先進国においても、予算編成権が議会にあり、行政機構の在り方が他国と根本的に異なる米国を除き、歳出予算は歳入とともに大蔵省に相当する官庁が担当している。

2. <内閣が予算編成の基本方針を策定することについて>
(1)予算編成の基本方針として具体的に何をイメージするか必ずしも明らかではないが、仮に、字義どおり、予算の基本方針ないし基本的考え方といった意味であれば、現在も、予算を作成して国会に提出することを内閣の権限としている憲法の下、内閣は「概算要求基準(いわゆるシーリング)」の設定や「経済見通し」「予算編成方針」「税制改正大綱」によって基本方針を策定しており、それにしたがって具体的な予算編成作業が行われている。
(2)また、仮に、予算の枠組みといった意味であれば予算である以上、具体的計数を伴った枠組みとなるが、それはそれぞれの政策分野ごとの一定の歳出内容に立ち入った検討と一体不可分である。したがって、そのような個別歳出内容の検討を離れて、予算編成を担当する組織と別の組織で予算の具体的計数を伴った枠組みを策定することは、現実には不可能である。
(3)いずれにせよ、現実には、予算編成過程において、大蔵大臣は、総理大臣に対し、逐次予算編成の状況を説明し、指示を受けている。
(4)以上を踏まえれば、現下の危機的な財政事情の下で最も重要なことは、予算編成の基本方針を内閣が決定し、それにしたがって予算編成を担当する国務大臣及び事務当局が個別具体の検討等を行うという仕組みの下で、いかにしてこの仕組みを有効に機能させ、財政構造改革を強力に推進していくかということと考えられる。
(注)現在、財政構造改革を強力に推進していくという観点から、政府・与党のメンバーからなる総理直属の「財政構造改革会議」が設けられ、鋭意議論が行われている。

大蔵省説明資料(平成9年5月14日)

財政と金融に関する事務の組織的な分離の意見についてどう考えるか。

1.<G7等における国際的な政策協調>
(1)本年4月、先進7か国(日、米、英、独、仏、加、伊)の大蔵大臣・中央銀行総裁がワシントンに集まり、財政金融政策、財政健全化、税制、為替及び金融システムの安定化などに関し、緊密な協議が行われた。このG7会合は、これまで、プラザ合意、ロシア支援、メキシコ通貨危機への対応など数々の国際的な政策協調の場として、世界経済の安定と発展に重要な役割を果たしてきた。
(2)このような各国間の協議の輪は、近年G7の枠を超えて、APEC蔵相会議、アジア太平洋6市場会合など、次々と拡大しており、世界第2の経済力を持つ我が国には、今後とも、G7やアジア諸国などとの政策協調において、責任ある役割を果たしていくことが期待されている。
(3)G7の各国政府代表は、現在、ルービン財務長官(米)、ヴァイゲル蔵相(独)、アルチュイ経済財政相(仏)など、当然のことながら、財政金融政策、金融行政、国際通貨・金融システムの安定(国際通貨体制、為替政策、債務問題、開発援助等)などG7の幅広い課題に責任のある対応ができる各国の大蔵大臣によって構成されている。このような中で、我が国の大蔵大臣がこれらの問題について責任をもって発言できないことになれば、我が国の国益を著しく害するばかりでなく、G7等における国際的な政策協調が十分機能しなくなる。

2.<大蔵省は通貨に関する基本的な制度を所管>
このように、各国の大蔵省が、財政と金融の双方を含む幅広い責任を担っているという背景には、各国の大蔵省が通貨制度や国庫を所管しており、これらが、次のように、財政と金融の双方に極めて密接な関係にあるという事情があるものと思われる。
(1)通貨の単位や種類を定め、通貨に法的な強制通用力を付与するなど、通貨制度を定め、これを運用することは、国の基本的な役割であり、我が国では、大蔵省が所管する「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」でこの通貨制度を定めている。
通貨は、歴史的に、国による貨幣の鋳造や租税の徴収など、国庫すなわち国の財政と不可分の関係にあった。一方、現金通貨を基礎に、金融システムの中で預金通貨が生み出され、経済活動を円滑にしているなど、通貨と金融も不可分の関係にある。
通貨制度に対する内外の信頼を確立し、通貨制度の維持・安定を図ることは、一国の経済が成り立つ基本条件であり、国が果たすべき基本的な役割の一つである。通貨制度の維持・安定は、通貨に対する信認にかかっており、そのためには、健全な財政金融政策と金融システムの安定の両者が不可欠である。このことは、内外の歴史上の事実が示すところであり、また、現に欧州通貨統合の条件として、マーストリヒト条約によって、各国が達成すべき財政基準が定められているところである。
(2)なお、国庫は、文字どおり、国の金庫として財政資金の調達・配分・運用を行っており、財政の資金的な側面を担っている。財政活動に伴う国庫による資金調達や資金配分は、国債による民間の金融市場からの資金調達も含め、民間部門の資金の流れと一体となって一国の資金フローを形成しており、これが金融システムの中を流れ、経済活動の大きな部分を占めている。そして、財政規模の拡大とともに、国庫は国全体の資金の流れの中で、ますます大きなウェイトを占めるようになってきている。
(3)以上の観点からすれば、これまで、我が国ばかりでなく諸外国においても、通貨制度と財政・金融が一体の組織で担当されてきたことは、ごく自然なことと考えられる。

3.<21世紀の大蔵省の役割>
このような現状に立って、グローバル化と高齢化という内外の大きな流れの中で、21世紀に向け、財政と金融はどのような課題に対応していくことが求められているのか。
(1)金融については、一国の経済の基盤である金融システムの安定を確保していくとともに、 Free, Fair, Global の3原則に沿って、ニューヨーク・ロンドンと並ぶ活力ある自由で効率的な金融市場の実現を図るべく、金融システムの抜本的な改革が求められている。
政府としては、先般、全体の行政改革に先行して、金融制度の企画・立案という機能と民間金融機関の検査・監督という執行面の機能の分離、そして、銀行局・証券局の統合による金融局(仮称)の設置を決定したところである。この体制の下に、21世紀に向けて、市場規律を基軸とした透明かつ公正な金融行政への転換と、金融市場のグローバル化への対応を図るとともに、 1,200兆円にものぼる個人金融資産の効率的な管理・運用という観点から幅広い金融サービスの発展を実現することが、今後の課題である。
なお、日本銀行についても、日本銀行法を改正して、金融政策における独立性とその意思決定の透明性を高めることとしており、これにより金融政策は、名実ともに独立した日本銀行によって担われることとなる。大蔵省の金融面での責務は、上記のような21世紀の課題に対応した金融制度の企画・立案と金融システムの安定確保という、国として最低限果たすべき基本的な役割に限定される。
(2)財政については、高齢化の進む中で、国による所得の再分配の増加に伴い、国の財政が国民経済全体に占めるウェイトが高まっていくことは避けられず、さらに、貯蓄率の低下に伴い、財政が金融市場にますます大きな影響を及ぼすものと考える。こうした展望の下、21世紀においても、我が国が民間中心の活力を維持していくためには、大きな歳出・歳入のアンバランスと膨大な債務を抱え、危機的状況にある我が国の財政構造を抜本的に改革していくことが、最大の課題となっている。
このため、政府としては、財政健全化目標を定めるとともに、その実現に向けて、現在、財政構造改革会議の場で、徹底した歳出全体の見直しを行っているところである。
(3)21世紀に向けて、急速な高齢化が進む中で、政府部門も民間部門も限られた資源を効率的に配分することが求められている。上記の財政構造改革と金融システム改革は、それぞれ、財政(財政資金)と金融(民間資金)の両面において、効率的な資源配分を実現しようとするものであり、高齢化が進む21世紀における我が国の経済が活力を維持していくうえで、一体として実行されるべき改革である。
また、グローバル化が進み、人、物、資金、情報面で世界が一体化していく中で、G7をはじめ成長著しいアジア諸国などとの財政金融政策を含む幅広い政策協調が、一層重要になっている。
このように、財政と金融を一体的に把握し、政策を企画・立案する組織の存在は、通貨と国庫という制度的な観点からばかりでなく、高齢化とグローバル化が進展する21世紀において限られた資源の効率的な配分を実現するという観点からも、ますます重要になっていくものと考える。

(資料6―1)G7について
1.G7とは
○ Group of seven の略。正式名称は、「先進7か国大蔵大臣・中央銀行総裁会議」。
○ 先進7か国(日・米・独・英・仏・加・伊)の蔵相及び中央銀行総裁が参加。
○ 議長は大蔵大臣(1997年4月27日ワシントンG7では、ルービン財務長官)。
2.G7の守備範囲
○ 財政金融政策、金融行政、国際通貨・金融システムの安定(国際通貨体制、為替政策、債務問題、開発援助等)など幅広い守備範囲。
(参考)1997年4月27日ワシントンG7会合の討議事項
・財政金融政策
・財政健全化
・欧州通貨統合
・為替
・国際的な金融システムの安定のための金融当局間の協力、新興市場国の金融システムの強化
・IMFの機能強化
・重債務貧困国の債務問題
・アフリカ支援
・ロシア・ウクライナ経済の再建
・税をめぐる国際競争問題への対処
○ G7各国の大蔵大臣は、いずれも上記課題について責任大臣。
3.G7のこれまでの主な実績
○ プラザ合意、ロシア支援、メキシコ通貨危機、急激な円高の是正等について討議、決定。
4.我が国のメンバーシップ
○ 1973年、我が国経済力の拡大を背景に、それまでの4か国(米・英・仏・独)体制に参加。
○ 今日では、主要メンバーとして、G7協調体制に貢献。

(資料6―2)G7担当相及び補佐官

(1997年4月現在)

国名 担 当 相補 佐 官
ルービン財務長官 (Secretary of the Treasury) サマーズ財務副長官
クラーク大蔵大臣(Chancellor of the Exchequer) ウイックス大蔵次官
ヴァイゲル大蔵大臣(Minister of Finance) シュタルク大蔵次官
アルチュイ経済財政大臣 (Minister of the Economy and Finance) ルミエール経済財政省国庫局長
マーティン大蔵大臣 (Minister of Finance)ジャッド大蔵省国際金融担当次官
チアンピ国庫大臣 (Minister of the Treasury)ドラギ国庫省国庫局長
三塚大蔵大臣加藤大蔵省財務官

(資料7)6市場会合について
1.1997年3月4日、東京において、日・香港・シンガポール・豪に米・中を加えた6か 国で、「6市場会合」を開催。
2.主な参加者は
日:加藤財務官(議長)、榊原国際金融局長、永島日銀理事
香港:シェン金融管理局副総裁
シンガポール:コーMAS副総裁
豪:ボーズウィック財務副次官、グレンビル準備銀行副総裁
米:サマーズ財務副長官、メイヤーFRB理事
中:陳人民銀行副行長、朱財政部次長
3.会議の主要テーマは、為替を含む金融市場の安定に関する協調関係の深化。
その関連で、各国の経済状況、金融・為替市場の動向等に関する意見交換が行われた。
4.本会合は、日本が音頭を取り、米・中もこれに賛意を表して実現したもの。こうした会合を通じて、主要な通貨当局が協調関係にあることを市場に示すことは、為替市場の安定に貢献すると考えられる。
また、金融市場のグローバル化及びデリバティブズ等取引手法の複雑化等の中で、主要な金融市場の動向について当局間で意見交換し理解を深めることは、サミットの指向する、当局間の協調を通じた金融市場の安定という目的にも資するものと考えられる。
5. 本会合については、今後も定期的開催を継続することが合意された。

(資料8)APEC蔵相会議について
1.1993年のAPEC首脳会議において、アジア・太平洋地域の持続的成長の確保の観点から、財政金融政策・資金フローをはじめとする幅広い域内の経済問題を討議するため、APEC蔵相会議の創設が合意された。
2.これを受け、翌1994年に第1回APEC蔵相会議(於米国)が開かれ、以後これまでに4回の蔵相会議が開催されている。我が国は、1996年の第3回会合で議長国を務めた他、域内主要国の一つとして、毎年の蔵相会議に積極的に取り組んでいる。
3.これまでの蔵相会議では以下のような成果が得られており、同会議は、今後とも、域内蔵相間の協議の場として重要性を増すものと見込まれている。
イIMF専務理事も招き、18か国・地域の蔵相が域内の経済情勢、財政金融政策、国際通貨・金融システムの安定等について緊密に協議し、主要な政策課題についての認識を共有。
ウまた、同地域の金融・資本市場の発展及びインフラ整備への民間資金の参加促進についても協議し、1997年4月の蔵相会議(於フィリピン)でいくつかの具体的なイニシアティブに合意。

【参考1】APEC蔵相会議参加国・地域(18か国・地域)
豪州 ブルネイ カナダ チリ 中国 香港 インドネシア 日本 韓国 マレーシア メキシコ ニュージーランド パプアニューギニア フィリピン シンガポール タイ 台湾 米国

【参考2】APEC蔵相会議開催実績
第1回 1994年3月 於.米国
第2回 1995年4月 於.インドネシア
第3回 1996年3月 於.日本
第4回 1997年4月 於.フィリピン

大蔵省説明資料(平成9年5月14日)

現業(印刷局及び造幣局)の民営化についてどう考えるか。

1. <通貨の製造について>
(1)印刷局は日本銀行券等の製造を主たる事務とし、造幣局は貨幣等の製造を主たる事務としており、いずれも明治以来業務を遂行している。
通貨は強制通用力を有するものとして公の機関のみが発行できるものであり、経済社会の基盤たる通貨制度を支える公共的性格を有する特殊な財である。偽造により通貨に対する社会の信用が失われた場合又は通貨の安定供給に障害が生じた場合には、経済社会の安定に重大な支障を及ぼすこととなるため、その製造については、高度な偽造防止技術の必要性、高度な正確性及び安定供給体制の確保等の特殊な要請がある。
したがって、通貨は、同一者が偽造防止技術を施した同一の方法により、継続して製造し、供給することが必要と考えられ、世界の主要国においても、公の機関が自ら製造しているのが通例である。昨今の世界的な通貨偽造の発生等を考慮すると、公の機関が自ら製造する必要性は今後より一層高まると考えられる。
(2)他方、仮に、印刷局及び造幣局を民営化し、通貨の製造、供給を市場原理に委ねた場合には、次のような問題が考えられる。
まず、偽造防止措置を講ずることが不可欠な通貨を、情報の開示を伴う競争入札という市場原理に基づいて調達することは、偽造防止技術の流出の懸念をも含め、通貨に対する国民の信認を保持できるかという問題がある。
また、経済状況等の変化に即応して、高度な画一性が求められる通貨を、適時に、適量を安定的に供給できる体制を確保できるかという問題もある。
したがって、通貨の製造は、市場原理や効率性のみでは律しきれないものがあり、民営化は妥当ではないと考えられる。
(注)現在、日本銀行券、貨幣等については、通貨秩序の維持、経済取引の安全の確保等の観点から、「通貨及証券模造取締法(明治28年法律第28号)」により、行使の目的は有しなくとも模造品を製造すること自体が罰則をもって禁じられているところである。通貨の製造を民営化したとしても、こうした取締規定が必要であることから、例えば、入札等に備えて民間業者が試作品、在庫品等を製造することをどのように規制すればよいかという困難な問題も生ずる。

2.<官報、国会会議録、予算書等の編集、製造及び発行について>
また、印刷局においては、官報、国会会議録、予算書等の政府刊行物を編集し、製造し、及び発行することも事務としているが、立法、行政にかかわる情報を適切に国民に伝達することは政府の責務であり、国会及び関係省庁と緊密な連絡を行いつつ、正確かつ迅速な伝達を行うために、その製造を公の機関が行っているところである。

3.<勲章等金属工芸品の製造等について>
造幣局においては、勲章を始め各種功績・功労章等金属工芸品を製造すること等も事務に含まれるが、これらの技術は、貨幣製造技術と基本的に同様な技術が用いられている。これらの業務を行うことは、貨幣製造技術の維持・向上に寄与するところが大であり、造幣技術の一環として行っているところである。

(補足)貨幣、紙幣、官報、国会会議録、予算書の製造機関に関する国際比較

<貨幣>
国名国営中央銀行公社及び特殊会社等民間 経営形態
日本---大蔵省造幣局
米国---財務省管轄下の行政機関
イギリス---大蔵大臣が長官を兼ねる行政機関
フランス---経済財政省管轄下の行政機関
ドイツ ---連邦大蔵大臣の管轄の下、実際の製造は州政府が実施

<銀行券>
国名国営中央銀行公社及び特殊会社等民間経営形態
日本---大蔵省印刷局
米国---証券印刷局
イギリス---イングランド銀行印刷所
フランス---フランス銀行印刷所
ドイツ--連邦印刷局有限責任会社 ギーゼッケ デブリエント社

<官報>
国名国営 中央銀行公社及び特殊会社等民間経営形態
日本---大蔵省印刷局
米国---政府印刷局
イギリス---TSO (The Stationery Office)
フランス---官報印刷局
ドイツ---連邦印刷局有限責任会社

<国会会議録>
国名国営 中央銀行公社及び特殊会社等民間経営形態
日本---大蔵省印刷局
米国---政府印刷局
イギリス---TSO (The Stationery Office)
フランス---官報印刷局
ドイツ---(現在確認中)

<予算書>
国名国営 中央銀行公社及び特殊会社等民間 経営形態
日本---大蔵省印刷局
米国---政府印刷局
イギリス---TSO(The Stationery Office)
フランス---(現在確認中)
ドイツ---連邦印刷局有限責任会社

大蔵省説明資料(平成9年5月14日)

経済協力関係組織の一元化についてどう考えるか。

1.<幅広い分野にわたる我が国の国際協力>
我が国は、1995年に円借款・技術協力等のODAを1兆 3,854億円供与し、5年連続世界のトップ・ドナーの地位を占めた。この国際協力は、次の様に幅広い分野にわたっている。
1)社会インフラ(教育、保健、水供給、衛生、環境)
2)経済インフラ(交通、通信、エネルギー)
3)生産セクター(農業、鉱工業、建設)
4)食糧・緊急援助
5)経済構造調整援助
我が国の貴重な資金を有効に活用し、途上国に貢献するため、国際協力の「質」の向上のための不断の努力が必要である。このため、上記の幅広い分野について、各省庁が国内行政で培った専門能力をベースに連携して実施にあたっている。

2.<円借款のプロジェクトの例>
(1)1996年9月27日、海外経済協力基金のバンコク地下鉄計画向け円借款が調印された。
(概要)バンコク市内の交通渋滞緩和のため、総延長20km、18駅の地下鉄を建設するもの
(金額) 265億 8,600万円
(2)案件の準備過程で、各省庁は次の観点から検討に参加した。
1)外務省 対タイの2国間及び経済協力外交
2)大蔵省 財政資金を用いた経済協力の効率的実施
タイの償還能力(ベースとなる財政・金融政策、外貨準備を含む)
3)通産省 日本・タイ間の貿易・投資拡大の一環として、プロジェクト形成を促進
4)経企庁 タイのマクロ経済状況
5)運輸省 地下鉄計画の技術面
(外務省、大蔵省、通産省、経企庁の観点は全ての案件について必要で、この4省庁は常に検討に参加するので「円借款4省庁体制」と言われる。)
(3)案件の手続きは、外務省を中心とすることで確立しており、日本政府としての迅速な意思決定が図られている。具体的には、タイからの要請は在バンコク日本大使館経由で外務省に寄せられ、事前審査、政府調査団、省庁連絡会議等も全て外務省を中心に各省が参加して行われる。
(4)資金協力全体としての統一性も、個別案件と同様、各省庁が協調することで確保されている。
(5)なお、円借款等の我が国の国際協力は、対外収支困難に陥った途上国への国際的支援の枠組みの一環として供与される場合があるが、そのような場合、国際的支援枠組みの形成に主導的役割を果たすIMF・世銀等の国際機関との整合性の確保は、大蔵省が行っている。

3.<大蔵省の技術協力>
(1)我が国の技術協力はJICAを中心に展開されているが、大蔵省は税関行政、税務行政等の分野でJICAの行う技術協力に積極的に参加している。
(2)これに加えて、財政・金融分野での技術協力の要請があった場合には、大蔵省としての技術協力を行っている。
例えば、中央アジアのウズベキスタンから、同国の金融部門の幹部育成のための技術協力の要請を受け、1996年10月より同国の金融アカデミーの副院長相当職として大蔵省財政金融研究所の次長を派遣している。ウズベキスタンには、JICAも公務員養成の支援を行っていることから、両技術協力活動間で、講師の相互交流等具体的な連携を保ちつつ実施している。

4.<経済協力関係組織の一元化について>
(1)大蔵省としては、経済協力関係組織の議論を行うに当たっては、限られた財政資金をより効率的に使用するという観点が不可欠であると考える。
(2)現在、各省庁が協調することにより行われている経済協力を一つの省庁に一元化した場合、我が国の経済協力の統一性確保作業の多くが一元化組織内で行われることになるが、政府としての意思決定のための調整を一元化組織が行う必要が生じ、また、現在各省庁が提供している専門能力の水準を一元化組織内に保有することも難しい。
(注)世銀も専門能力を有するコンサルタントを活用。
正規職員数 6,500 人 コンサルタント 3,500 人
(3)したがって、各省庁が国内行政で培った専門能力を十分に発揮できるという現在の体制の長所を維持しつつ、外務省を中心とする各省庁の協調体制を一層強化していくのが望ましい。

大蔵省説明資料(平成9年5月14日)

関税事務の貿易、通商事務との組織の一元化についてどう考えるか。

1.<関税事務の機能>
関税事務は、水際におけるモノの流れに包括的に関与し、
1)税制の一環としての関税制度を企画し、関税・内国消費税等の賦課徴収を通じて税収を確保する(注1)
2)麻薬やけん銃等の社会悪物品等の国内への流入(密輸)を阻止する施策を企画・実施し、国民生活の安全を確保する(注2)
という機能を総合的に果たしている。したがって、関税事務は、貿易の増進、通商政策の立案等を行う貿易、通商事務とは、目的、内容が本来的に異質の業務である。

(注1)関税は、国税の一種である。関税制度の企画は、WTO等における国際協議を踏まえ、国民経済上の要請、関税体系上のバランス、内国税制との整合性等を総合的に勘案して行われる。また、税関は、約3兆円(国税収入の5%)の関税・内国消費税等を徴収する重要な徴税機関であり、適正・公平な課税は、関税事務の重要課題である。


○税関における収納税額(平成7年度)

    関税                  10,321億円  

    消費税                10,245

    その他内国消費税等     9,116

        合計              29,682

         (消費税収全体に対し、税関での収納税額は、14%に相当)

(注2)国境を越えた人、モノの移動がますます活発化する今日、社会悪物品・知的財産権侵害物品等の水際阻止に対する国民的要請が急速に高まっている。

2.<諸外国の組織>
主要国においても、関税事務は、独立した固有の業務として歴史的に確立しており、税制の企画及び徴税機能の観点から、大蔵省の下に置かれている場合がほとんどである。また、大規模な行政改革を行った国を含む主要国を見ても、関税事務を所掌する組織と貿易、通商事務を所掌する組織が一元化されている例はない(資料9参照)。
以上のように、関税事務は貿易、通商事務とは異質の業務であり、国際的にも独立した固有の業務として確立していることから、関税事務の適正な運営のためには、両事務の組織の一元化は問題が多いと考えられる。

(資料9)主要国における関税事務及び貿易通商事務の所掌組織
国名関税事務所掌組織 貿易通商事務所掌組織
大蔵省(関税局) 通商産業省
財務省(法執行担当次官・関税庁) 米国通商代表部
大蔵省(関税消費税庁) 貿易産業省
大蔵省(第3局) 経済省
経済財政省予算担当大臣の所掌(関税間接税総局) 経済財政省通商担当大臣の所掌