別紙8

金融制度にかかる企画・立案

大蔵省の所掌する金融制度にかかる企画・立案は、金融システムの制度的枠組みの構築・改革・整備等にかかる事務であり、その具体的内容を整理すれば概ね以下の通りである。
なお、日本銀行の行う金融政策及び金融監督庁の行う検査・監督にかかる事務が金融制度にかかる企画・立案から除かれることは当然である。

1.金融システムの機能維持(危機管理を含む)及び金融システムにかかるインフラ整備

金融システムは、全体として、預金通貨を媒体として経済取引を決済する機能及び貯蓄と投資を仲介する機能を果たしており、経済の最も基礎的なインフラである。

金融システムが十全に機能するためには、システムに対する利用者の信頼確保が不可欠であり、信用秩序の維持、市場機能の維持に努める必要がある。かかる観点から、金融を取り巻く環境の変化等に応じつつ、金融システムの制度的枠組みの整備、改革等を行うとともに、金融不安等の危機に際して、信用秩序の維持等危機管理を図るための制度の整備等により金融システムの安定に努めることとしている。なお、通貨の9割以上は現金以外の普通預金、定期預金等の預金通貨(国民の財産の価値の主要な貯蔵手段)であり、国民の通貨に対する信頼は、主に信用秩序の維持によって図られている。

(注)各種通貨等の構成比(1996年平均残高)
現金通貨41兆円(約7%)
預金通貨等513兆円(約93%)
(具体例)

・ 預金者保護……個別の金融機関の破綻が金融システム全体の危機に拡大することを防止するセーフティーネットである預金保険制度について、金融を取り巻く環境の変化等に対応し、所要の整備を行う。

・ 金融・証券市場の安定……金融技術革新やグローバル化の進展等に伴い、ある金融・証券市場の混乱が他の市場に瞬時に伝搬する危険性が増大している。このため、特定の市場での混乱や特定の仲介者の経営困難が他に伝搬しないような制度・体制(自己資本規制、市場間の情報連絡体制、サーキット・ブレーカー等のルール)を整備する。

(注)グローバル化の進展等により、ある国で生じた通貨危機や市場の混乱が瞬時に世界規模で波及する危険性は増大している。このため海外で起こった通貨・金融危機が我が国の通貨・金融システムに混乱をもたらすことがないよう制度面の手当てや国際的な協力体制の構築が必要となっており、こうした問題が各国通貨・金融当局の間で主要な協議の対象となっている。

・ 電子マネー・電子決済等決済サービスの電子化への対応……情報通信技術の進展を背景とした決済サービスの電子化に対応し、決済システムの信頼性を確保する上で必要な制度的枠組み(発行主体、偽造防止、利用者保護等)を構築する。

2.公正で効率的な金融システムの整備及び金融システムの利用者保護(いわゆる「日本版ビッグ・バン」を含む)

社会・経済情勢の変化、金融・通信技術革新、グローバル化の進展等に対応して、金融システムが、より安定的・効率的に機能するよう、システムの制度的枠組みの構築・改革・整備等を図るとともに、金融システムを安心して利用できる信頼性のあるものとするため、利用者(預金者、投資家、資金調達者等)保護、公正・透明な取引ルールの確立等必要な環境の整備を行う。

こうしたことにより、日本の金融・証券市場は国際的にも競争的で魅力あるものとなり、日本経済の活力ある発展を支えることとなる。

これらの改革等は、いわゆる「ビッグ・バン」によって実現しようとしているが、「ビッグ・バン」が進展した後においても、利用者保護、ディスクロージャー等のルールの整備は引き続き主要な行政目的として存続するものと考えられる。

(注) 金融分野の規制緩和が進んでいる英米においても、大蔵省ないし財務省の企画・立案部門は依然として重要な地位を占めている。
[例] ・ アメリカの場合、ルービン財務長官は、本年5月、銀行・証券・保険の系列化等を内容とする金融制度改革案を発表したが、これは財務省において作成したものである。

・ イギリスの場合、ブラウン蔵相は、本年5月、議会において、金融サービス規制をよりシンプルなものにするための改革にかかる立法作業に大蔵省として直ちにとりかかる旨証言している。

(具体例)

・ ディスクロージャーの整備……企業活動の複雑化や、新たな金融商品の出現に対応して、投資対象のリスクとリターンを事前に投資家に十分周知し、自己責任原則に基づく投資家の主体的な投資判断により市場原理を有効に機能させ、金融システムの効率性の向上を図るとともに、取引の公正性・透明性を確保するための環境整備を図る。

・ 公正取引ルールの整備……新たな商品やサービスの開発・導入による取引の高度化・複雑化に対応し、利益相反行為の防止、相場操縦禁止、インサイダー取引禁止等の公正取引ルールについても拡充・整備し、金融システムの信頼性の維持を図る。

・ 消費者信用保護制度の整備……金融システム改革の推進により多様化・高度化した金融サービスが提供されることとなることに対応し、専門的知識を持たない個人利用者がこれらサービスを安心して利用できるようにするため、利用者保護のルールを整備する。

・ 金融サービス法の検討……従来の業法的・縦割的な金融法体系に代わる、利用者の視点に立った、幅広い金融サービスに共通に適用される新しい法的枠組みを構築する。

・ 自由で多様な金融活動を支える法制度の整備……持株会社の活用、金融仲介の効率化のための債権の流動化、デリバティブ取引の活用等、効率的かつ安定した法的な枠組みの中で行えるための民商法の特例の整備等。


資料リスト←前へ(別紙7)次へ(別紙9)→