モスクワ・サミット「宣言」の骨子

1.前文

  • 冷戦の終結とロシアの政治・経済改革によりもたらされた原子力安全及び 核物質の安全な管理での新たな協力関係。
  • 原子力の利用にあたり安全に絶対的な優先順位を付与。国民の信頼を得る ために、公開性と透明性が重要であることの確認。
  • すべての核物質の安全な管理が不可欠。

    2.本文

    (イ)民生用原子炉の安全

  • 原子力安全に関する主要な責任は、原子炉を保有する国が負うことの確認。 このために、原子力安全文化の醸成が不可欠。また、旧ソ連、中・東欧諸国で 原子力安全向上の努力がされているが、一層の進展が必要。
  • 原子力安全条約の1996年末前の速やかな発効に向けての呼びかけ。
  • 原子力事故の被害者と損害に対する適切な賠償を確保する効果的な原子力 賠償制度の重要性。未整備の国は、こうした制度を確立することが不可欠。
  • 原子力安全にとっての市場経済に基づくエネルギー部門改革の重要性。

    (ロ)放射性廃棄物の安全

  • 各国は、放射性廃棄物を安全に管理するための規則を作成すべき。
  • 放射性廃棄物管理安全条約の作成への積極的な参加及び同条約の早期採択の奨励。
  • 海洋投棄を行わない旨の誓約。すべての国に対しロンドン条約付属議定書の 改正を可能な限り最も早い時期に受諾することの呼びかけ。

    (ハ)核物質の管理

  • 核物質密輸は公衆の安全と不拡散上の懸念。核密輸の探知、情報交換、捜査、 訴追のすべての側面での協力強化のための核物質密輸プログラムに合意し発表。
  • 核物質の安全な管理の責任はその核物質を所有する国家にあることの再確認。
  • 核物質の管理・防護のための制度、技術を継続的に改善することの重要性を認識。 核物質の防護に関する条約のすべての国による批准を要請。
  • 解体核兵器から生じ、防衛目的から見て余剰となる核分裂性物質の安全な管理が 必要。かかる核物質の処理については専門家会合での技術的検討が必要。


    全面核実験禁止条約に関する声明

    1996年4月20日

     我々は、1996年9月までに全面核実験禁止条約(仮称)(CTBT)交渉 を妥結し、同条約に署名するとの決意を確認した。我々は、CTBTが、軍縮及び 不拡散の分野における国際社会の最も優先度の高い目的の1つの達成並びに核兵器 の不拡散に関する条約(NPT)第6条に基づく職務の履行に向けた具体的な 一歩となることについて合意した。我々は、また、CTBTがいかなる核兵器の 実験的爆発その他のいかなる核爆発も禁止しなければならないことについて合意 した。我々は、これが真に包括的な核実験禁止となることを確認した。

     この関連で、我々は、1995年5月11日に採択された「核不拡散と核軍縮 のための原則と目標」に関する決定の重要性を想起する。


    ウクライナに関する声明

    1996年4月20日

     我々は、1996年4月20日、ウクライナのクチマ大統領と会い、原子力の 安全と核物質の安全を改善していくために、広範な問題について共に検討した。 我々は、この分野においてウクライナとの二国間及び多数国間協力を継続すること に同意した。

     クチマ大統領は、核物質密輸防止プログラムに対するウクライナの支持を表明し、 原子力安全モスクワ・サミット宣言に記されている目的と行動を支援するとの意志を 明らかにした。クチマ大統領は、また、CTBTに関する声明を支持した。

     1995年12月20日に署名された了解覚書のすべての規定に従って、2000 年までにチェルノブイリを閉鎖するとのクチマ大統領の決定の重要性が認識された。

     同覚書の署名国は、同覚書の完全な実施に関するコミットメントを再確認し、 ウクライナの決定を支援する措置に関してウクライナ及び国際開発銀行と緊密に 協力する。クチマ大統領は、同覚書の枠組みにおいて積極的かつ効率的に協力する とのウクライナの意思を確認した。

     我々は、また、チェルノブイリ4号炉の新たな石棺に関し、EUが資金を提供 して現在行っている調査について議論した。この調査は、今年中の可能な限り早い 段階で終了されるべきである。我々は、当該問題の解決を見い出すという目的を 有するこの調査の結論を踏まえて決定がなされる必要があることについて合意 した。