内閣総理大臣説示

平成八年十一月七日

初閣議に際し、私の所信を申し述べ、閣僚各位の格別の協力をお願いする。

わが国は、かつてない転換期にあり、政治、行政、経済、社会のあらゆる面において抜本的な変革が求められている。新内閣の使命は、わが国の将来を見据え、新たな指針を国民に示し、着実に実行することを通じて、活力と自信にあふれた社会を創造することである。

新内閣の重点課題は、行政改革、経済構造改革、経済の基礎をなす金融システム改革、財政構造改革、効率的で質の高い社会保障・福祉政策の実現としたい。この国の将来のために、党派を超えて力を合わせることができるよう、誠心誠意、緊張感をもって職務にあたっていただきたい。また、閣僚各位は、所管行政を担当する大臣である前に国務大臣であり、国政全般に対する高い識見を発揮し、事務当局を強力に指導していただきたい。

なかでも行政改革は、焦眉の急である。国家、行政に求められる機能、役割を根本から問い直したうえで、時代の変化に柔軟に対応でき、複雑多岐にわたる行政課題に的確に対応できる組織体制を整備する必要がある。閣僚各位には、所管分野における規制の撤廃と緩和、官から民、中央から地方への業務と権限の委譲、中央省庁の再編など行政改革の推進に最大限の努力をお願いする。

また、新内閣としては、沖縄に係る諸課題の解決、平成九年度予算案の編成に力を入れたい。米軍の施設・区域の整理・統合・縮小、沖縄振興策の推進など沖縄に係る諸課題については、関係省庁の緊密な連携の下、引き続き、全力を尽くしていただきたい。予算編成については、経済構造改革と財政構造改革を車の両輪として進めるとの本内閣の姿勢を明確に打ち出すことができるよう、大所高所からの決断とご尽力をお願いする。

行政に対する信頼の基本は、公務員が全体の奉仕者であるとの自覚をもち、国民本位の行政に全力を尽くすことにある。閣僚各位は、職員の綱紀の保持に万全を期し、率先垂範して職務にあたるとともに、透明かつ民主的な政治を心がけ、政策の遂行にあたっては、その必要性、意義を率直に訴え、国民の十分な理解と支持が得られるよう努めていただきたい。

内閣は、憲法上国会に対して連帯して責任を負う行政の最高機関である。内閣の統一性及び国政の権威の保持にご協力願うとともに、憲法の規定及び精神の遵守に格段のご配慮をお願いする。