橋本総理とゴア副大統領の会談後のプレスリマークス

平成9年3月24日

1.冒頭発言
(橋本総理)つい先ほどまでゴア副大統領と中身の濃い会談を行い、第二期クリントン政権との強力な協力関係を確認することが出来た。
 まず第一に、二国間関係を話し合い、幅広い日米関係の基盤である日米安保体制につき、「日米安保共同宣言」にそって両国の協力関係を更に進めていくことで意見が一致した。沖縄問題については、沖縄の方々の気持ちに配慮しつつ、引き続き最重要課題の一つとして取り組んでいくこととした。
 第二に、アジア太平洋の情勢について話し合った。日米同盟関係はこの地域の安定と繁栄の基盤を提供している。ゴア副大統領は訪日後中国と韓国を訪問するが、その前にこの地域の主要な問題を話し合うことが出来、日米間の緊密な連携を確認することが出来た。
 第三に、コモンアジェンダをはじめとするよりよい地球社会のための日米協力について話し合いを行った。これはゴア副大統領が特に熱心に取り組んできた分野である。93年以来コモンアジェンダのもとで、日米は地球規模の問題に取り組み、目覚ましい成果を挙げてきた。これから21世紀に向けて重要な課題である、環境、地球規模の諸現象の研究・予測、子供の健康、及び、石油流出対策協力に積極的に取り組んでいくことになった。中でも、環境の大切さを訴えるため、環境教育を重視していくことで意見が一致し、ゴア副大統領が提唱され、世界で大きな成功をおさめているGLOBE計画への協力を自分から申し出た。
 クリントン大統領とゴア副大統領とともに、我々は両国が力をあわせて国際社会を発展させるための責任を共有していく認識を共有した。

(ゴア副大統領)昼食をはさんで素晴らしい議論が出来たことを総理に感謝したい。プレスの方々をお待たせしてしまったが、我々には多くの議題があり、しかもそれらに前進が見られたために話し合いを続ける必要があった。総理の暖かいおもてなしに感謝したい。ティッパーと自分は再び日本を訪れることが出来たことを喜んでいる。今回の訪日は素晴らしいものであった。総理が今回の自分たちの訪日の成功のため、多大の配慮を払われたことに改めて感謝したい。天皇皇后両陛下のおもてなしは栄誉あるものであり、深謝の意を表したい。自分が東京に到着した際に述べたように、日本ほど重要な同盟国はない。ほとんど二世代にわたり、日米間には歴史上希にみる友好関係が存在してきている。今は、来世紀、そして次の千年間を見据えて、日米両国が過去50年間にわたり何を達成したきたのかを考え、今後どのような方向に日米関係を運営していくのか、そしてどのように将来の繁栄及び安全保障を確保していくのかを考える良い機会である。
 自分は、日本の安全保障に対する米国のコミットを改めて総理に述べた。米国は引き続き、現在東アジアに前方展開させている兵力の水準を維持していく。95年の秋に、自分が大阪APECに出席のために訪日した際に発足させた沖縄に関する特別委員会(SACO)の最終報告の完全実施を含む安全保障問題について、日米間で緊密に協力していくことを約束した。我々は、日米の防衛協力を近代化するための計画についても話し合った。
 中国との及び朝鮮半島における問題に対処する上で、また、APECを経済自由化促進の協議の場とする上での日本とのパートナーシップに感謝した。
 米国にとりずば抜けて最大の貿易パートナーである日本との経済関係を重視していることも強調した。米国及び他の外国企業の日本市場へのアクセス改善に見られる近年の成果を更に発展させたい。我々は、実行の暁には経済成長を刺激することとなる規制緩和の推進に係る橋本総理の公約に勇気づけられている。我々はまた、金融サービス、テレコミ、運輸そしてオープンスカイについて話し合った。また、環境を巡る重要な問題も取り上げ、コモンアジェンダの重要な進捗を振り返ると同時に、新たなる協力の分野について話し合った。コモンアジェンダは日米間のサクセスストーリーであり、今後みなさんはコモンアジェンダのことを一層耳にされることとなろう。本年12月に京都で開催される会議(第三回気候変動枠組条約締約国会合)へ向けて、温室効果の排ガス削減交渉につき日米共同で準備に当たることも話し合った。また、自分の中国・韓国訪問、ヘルシンキにおける米ロ首脳会談の結果についても議論した。
 自分の主要なメッセージは、最も簡潔であり、即ちクリントン政権及び米国政府は日本にとって頼りになる友人であり、かつ同盟国であり続けるということである。日米は共同して、日米両国民及び世界のために、大きな可能性のある未来を構築することが出来る。総理とともに、パートナーとしてここに立てるのは光栄の到りである。(日本語で)どうもありがとう。

(注:金融サービス、テレコミは時間の関係から実際の会談では取り上げられなかった。)

2.質疑応答
(1)対総理
(問)沖縄の土地収用問題についてお伺いしたい。明25日に太田知事にお会いになるが、政府として本件にどう対応するのか。また、ゴア副大統領にはどのように説明したのか。本件についてゴア副大統領の了解は得たのか。

(答)只今ゴア副大統領が述べられたように、日米は良きパートナーであり、日米関係は国際的にも重要である。その日米関係の土台が日米安保条約である。そして日米安保条約を大切にする限り、我々は条約上の自らの義務を果たしていかなくてはならない。安定的かつ円滑に米軍の施設、基地を提供することは我々の責務である。5月14日に一部地域の土地使用権原が切れるが、政府に土地の使用権原なきまま5月15日を迎えることは出来ない。2月21日以来、沖縄県の土地収用委員会が審理を始めているが、今までの経験からみれば厳しい日程である。我々は本件について最善を尽くしている。明25日に太田知事にお会いするときには、本件について誠心誠意話し合いを行う予定である。これは、日本が自らの条約上の義務を果たすという問題であり、ゴア副大統領に相談するような性格のものではない。

(2)対ゴア副大統領
(問)貴副大統領はこの後中国を訪問されるが、中国においては人権に関する懸念を取り上げることになるのか。また、人権活動家と会う機会はあるのか。

(答)当然ながら中国との間では人権問題を取り上げる。これは中国にとっても何らサプライズではない。過去にも、自分は中国との間で人権問題を取り上げたことがあり、今回もそうするばかりである。人権問題は、中国との協議の全般的議題との兼ね合いで取り上げることになる。これは、一アメリカ人として、アメリカ人であるからこそ重視している問題である。中国においては、米国主催のレセプションがあるが、レセプション出席者の全ては承知していない。ご質問にあったような人々に限った会合は、特に予定していない。

(了)