平成九年四月二十三日
また、この日、ペルーにおける人質の方々が、邦人は全員、ペルーの方にお一人の犠牲者を出しながら、無事救出されました。ここに至りますまでの両院の御協力、党派を超えての御支援に心からお礼申し上げます。
今日、平和と民主主義を基本とする日本国憲法の崇高な精神が、広く国民に浸透するに至っておりますことは、まことに喜ばしい限りであります。
顧みますと、昭和二十二年の憲法施行以来、国民一人一人の英知と努力により、わが国は幾多の困難を乗り越え、今日の平和で豊かな日本を築き上げてまいりました。この間、日本国憲法の下、国会が国権の最高機関として、常に憲政の確立と民意の反映に努め、国家の再建と国民生活の向上に尽くされた役割は、まことに大なるものであります。取り分け、戦後の未曾有の混乱期において、新しい憲法に則り、法律制度の全般にわたる改革を行い、戦後のわが国社会の発展の基礎を確立されたことは、憲政史上に残る御功績であります。
憲法施行から五十年を経て改めて内外の情勢を展望するとき、わが国はまさに大きな転換期を迎えております。東西対立が終焉した国際社会においては、地域紛争、軍縮・核不拡散、環境、テロなど地球的規模の問題の解決が緊急の課題となっており、わが国は、自由、人権、民主主義という普遍的な理念の下で、世界に平和と繁栄がもたらされるよう、積極的に貢献することが求められております。一方、国内においては、戦後わが国の社会に深く根を下ろしてきた様々なシステムが、時代の要請に十分対応できなくなってきております。このため、行政、財政、社会保障、経済、金融システム及び教育の六つの改革を一体的に断行し、国民一人一人が、将来に夢や希望を抱き、創造性とチャレンジ精神を十分発揮できる社会を創り上げなければなりません。
私は、日本国憲法の基本理念を改めて深く心に刻み、活力にあふれた社会を築くとともに、世界の平和に貢献できるよう、更に前進する決意を新たにいたします。
本日の式典が、国民一人一人が日本国憲法のめざす崇高な理想、そしてわが国の進むべき進路に思いをいたす機会となることを期待するとともに、国会が国権の最高機関として、憲政の更なる発展に尽くされることを切に念願し、祝辞といたします。
ここに、日本国憲法施行五十周年記念式が開催されますことは、まことに意義深く、慶賀にたえません。