日本国憲法施行五十周年に当たっての内閣総理大臣談話

平成九年五月三日


 本日は、日本国憲法が施行されて五十周年に当たります。

 この機会に、国民の皆様とともに、新しい憲法の下に歩んだ五十年を振り 返り、改めて憲法の意義に深く思いをいたし、併せて将来への決意を新たにした いと思います。

 日本国憲法の施行に当たり、我々日本国民は、国民主権の下で、自由で民 主的な国家を建設することを誓い、恒久の平和を念願し、国際社会において名誉 ある地位を占めることを希求しました。爾来、国民一人一人の優れた英知とたゆ みない努力により、また、国際社会からの暖かい御理解と御支援により、わが国 は、幾多の試練を乗り越え、今日の繁栄を築き、国際社会の枢要な一員たる地位 を占めるに至りました。この間、憲法の崇高な理想は、広く国民に浸透し、わが 国が自由で民主的な平和国家として発展する上で極めて大きな役割を果たしてき たところであります。

 今日、二十一世紀を間近に控え、改めて内外の情勢を見るとき、まさに新 たな激動の時代を迎えております。国際社会においては、新たな平和秩序の構築 が模索され、また、戦後わが国の社会に深く根を下ろしてきた行政、経済、社会 の各分野にわたる制度について、時代の要請に十分応えることができるよう、そ の見直しが求められております。

 このような情勢の中で、自由、平和、民主主義を基本とする憲法の理念の 下、国際社会の平和と繁栄に積極的に貢献していくとともに、国民一人一人が、 志を高く掲げ、正義と公正、品格を重んじ、夢や目標をめざして自らの可能性を 追求することのできる活力ある社会を創り上げなければなりません。

 憲法施行五十周年の節目に当たり、我々は、ここに改めて日本国憲法の基 本理念を銘記し、自由と責任を重んじる民主的な社会の更なる建設に向け、国民 の熱意と創造力を結集して邁進する決意を新たにするものであります。