内閣総理大臣説示
平成九年九月十一日
初閣議に際し、私の所信を申し述べ、閣僚各位の格別の御協力をお願いする。
一 内閣は、憲法上国会に対して連帯して責任を負う行政の最高機関である。国政遂行に際して活発な論議を行うと同時に、内閣として方針を決定した場合には、一致協力してこれに従い、内閣の統一性及び国政の権威の保持にご協力願いたい。
二 内閣の最重要課題は、行政、財政、社会保障、経済、金融、教育の「六つの改革」をやり遂げ、活力と自信にあふれた社会を創造することである。閣僚各位は、所管行政を担当する大臣である前に国務大臣であり、内閣全体が一致協力して改革を推進できるよう、事務当局を強力に指導していただきたい。なかでも行政改革の実行は政治の責任である。内閣機能の強化と中央省庁の再編と並んで、所管行政における規制の撤廃と緩和、官から民、中央から地方への業務と権限の委譲に努力していただきたい。
三 平成十年度予算は、財政構造を改革する内閣の姿勢を示すものとなる。限られた財源の中で、経済構造改革と豊かな国民生活に資するよう歳出の一層の重点化に配意しつつ、将来世代に負担を先送りすることのないよう、歳出構造そのものを見直す方針であり、予算編成に向けてぎりぎりの御協力をお願いする。
四 わが国の安全とアジア太平洋地域の平和と安定を図るため、冷戦後の国際社会の情勢変化に対応する新たな外交を構築し、実行していくので協力していただきたい。
沖縄をめぐる課題の解決には内閣を挙げた取組みが必要であり、一層の御尽力をお願いする。
また、国民の生命と財産を守るため、危機管理には万全を期する必要があり、緊張感をもって職務に当たっていただきたい。五 今行いつつある改革は、戦後長い間慣れ親しんできた制度を変えるものであり、透明かつ民主的な政治なくしては、国民の支持は得られない。改革の必要性、意義を率直に訴え、国民の十分な理解と支持が得られるよう努めていただきたい。閣僚各位におかれては、清廉潔白、公正無私を旨とし、率先垂範して国務に精励していただくとともに、職員に対し、綱紀の保持に万全を期し、国民本位の行政に全力を尽くすよう強力に指導していただきたい。