追悼の辞

 本日ここに、「阪神・淡路大震災犠牲者追悼式典」が執り行われるに当たりまして、謹んで追悼の言葉を捧げます。
 多くの尊い命を奪い、この地に未曾有の被害をもたらした阪神・淡路大震災の発生から、ちょうど三年が経過いたしました。この震災により亡くなられた方々の無念さと、最愛の肉親を失われた御遺族の方々の深い悲しみに思いをいたしますと、誠に痛恨の極みであり、哀惜の念に耐えません。ここに改めて、犠牲となられた方々とその御遺族に対し、心から哀悼の意を捧げるものであります。
 国といたしましても、この大震災を尊い教訓として決して忘れることなく、今後とも、災害時の危機管理体制の強化や被災者支援の充実等総合的な防災対策を積極的に推進し、国民が安心して暮らせる社会の実現に全力を挙げてまいりたいと、決意を新たにする次第であります。
 阪神・淡路地域では、震災後、地元の方々をはじめとする関係者の御努力により、ライフライン、鉄道、道路、港湾などの主要なインフラ施設については復旧が完了いたしました。
 その一方で、今なお約二万四千世帯の方々が仮設住宅で生活を送られております。これに対して、公営住宅は建設を予定している約三万九千戸のうち、これまで約一万九千戸が完成しており、さらに、残る公営住宅の建設を急いでおります。
 また、地域の産業についても、全体としては震災に伴う大きな落ち込みから回復しつつあるものの、業種、業態によっては依然厳しい状況がみられるなど、解決すべき課題が存在することも事実であります。今後とも、被災地の本格的な復興に向けて、恒久住宅への円滑な移行、安定した雇用の場の確保と産業の復興、安全で快適な市街地の整備などの取組みを推進していく必要があると考えております。
 そのため、国として、引き続き、阪神・淡路地域の一日も早い復興に向けて努力を続けてまいりますことを、この場をお借りして固くお誓い申し上げます。そして、御遺族をはじめとする被災者の方々が早期に自立した生活を再建されますとともに、阪神・淡路地域が、二十一世紀のモデルとなるような、安全で住みよい、魅力ある街へと再生していかれますことを心から願っております。
 終わりに、犠牲となられた方々の御冥福をお祈りいたしますとともに、御遺族の皆様方に心よりお悔やみを申し上げまして、追悼の言葉といたします。

平成十年一月十七日          

内閣総理大臣          
橋 本 龍 太 郎