建国記念の日を祝う国民式典における内閣総理大臣祝辞

平成十年二月十一日(水)
於  日比谷公会堂

 建国記念の日を祝う国民式典の開催に当たり、一言お祝いの言葉を申し上げます。

 御承知のように建国記念の日は、国民一人一人が建国の昔をしのび、国を愛する心をはぐくみ、今日のこの発展の礎を築き上げた先人に感謝し、国の発展を願う、誠に意義深い国民の祝日であります。本日ここに、各界並びに在日外交団各位のお集まりを得て、「建国記念の日を祝う国民式典」が盛大に開催されますことは、まことに御同慶に堪えないところであります。

 戦後我が国は、自由と平和、民主主義と基本的人権の尊重の下に国民一人一人の英知とたゆまぬ努力により、今日の平和で豊かな日本を築き上げてまいりました。先人の御労苦に対し深甚なる敬意を表しますとともに、この平和と繁栄を更に発展させ、次世代の方々が安心して暮らせる環境を創っていくことが私たちに課せられた重大な責務であると考えております。そのためには、国際的にも、地域紛争、軍縮・不拡散、地球環境問題等国際社会が共通して直面する問題の克服に積極的に取り組み、より平和で豊かな世界の実現に向けて協力していく必要があります。

 他方、国内的には、戦後、我が国の社会に深く根をおろしてきたシステム全体を時代の要請に十分対応できるよう改革していかねばなりません。私は、今後、我が国の活力を高め、世界の国々と共存していくためには、第一に、個人の能力が存分に発揮されるような国、第二に、年長者を敬い親から子へ心の大切さや生活の知恵を伝えていけるような国、第三に、世界に誇れる豊かな自然、伝統、文化を大切に守り、伸ばしていけるような国を目指していく必要があると考えております。そのために、景気の一日も早い回復と力強い日本経済の再建に全力を挙げながら六つの改革を引き続き一体的に断行しなければなりません。

 まさに日本は現在、二十一世紀を間近に控え、大きな転換期を迎えておりますが、私は、国民一人一人が将来に夢や目標を抱き、創造性とチャレンジ精神を存分に発揮できる社会、世界の人々とお互いに理解しあい、助け合える社会、そのような社会を築くために全力で取り組んでまいる所存であります。

 建国記念の日に当たり、私も皆様とともに先人の御労苦に感謝し、平和で活力に満ちた祖国をつくる責任を深く認識し、その決意を新たにして、祝辞といたします。

   平成十年二月十一日

内閣総理大臣   橋 本 龍 太 郎