復興の今、そしてこれから ~復興まちづくり~

復興まちづくり

住まいの再建

 住民の生活再建の基礎となる地域づくり・住宅再建の早期実現は主要な課題です。過去の災害に比べて、高台移転や地域の再建は著しく大規模となっていますが、住民の同意を受け、住宅再建や復興まちづくりの事業が本格化しています。

復興加速化措置
今後、更なる復興事業の加速化に向けて、迅速かつ適切な対応を早期に実現していくため、「住宅再建・復興まちづくりのためのタスクフォース」を平成25年2月22日から設置しています。住宅再建のための復興加速化措置を第四弾まで策定するとともに、進捗のフォローアップを行っています。
住まいの復興工程表

 復興加速化措置(第1弾)では、住宅再建等の時期の目安を公表(見える化)することとしました。地区単位の詳細な工程表や住宅・宅地の戸数ベースでの供給目標(約5万戸)を示した「住まいの復興工程表」を四半期ごとに更新し、公表しています。

(主な進捗状況)
防災集団移転促進事業(高台移転)や区画整理などについては、計画の策定はほぼ終了し、防災集団移転促進事業については、約9割で工事の着手に移っています。
災害公営住宅の整備については、2万戸以上が供給される予定ですが、約7割で整備に着手されています。

○防災集団移転促進事業の進捗率 ~計画策定のステージから本格工事のステージへ~
 防災集団移転促進事業については、移転を想定している335地区(平成26年1月末時点)のうち、全ての地区で法定手続が終わり、294地区(88%)で工事が着手され、27地区(8%)で工事が完了しています。

公共インフラ

 公共インフラの復旧については、応急復旧から本格的な復旧・復興の段階に移行し、事業計画・工程表に従って着実に進んでいます。例えば、

  • 復興道路、復興支援道路(※)として事業化された道路のうち、約8割で工事が着手され、約4割で工事が完了しています。
  • 岩手、宮城、福島県内の被災した旅客鉄道のうち、約9割で運行を再開しています。
  • 被災した港湾のうち、全ての港湾で本格復旧に着手し、約8割の港湾で工事が完了しています。

 なお、復興庁では、住宅・公共インフラに係る復旧・復興事業の進捗状況について、「つちおと情報館」等でまとめて提供しています。住宅再建や復興まちづくり等の詳細情報が地区ごとにご覧いただけます。

 ※三陸沿岸地域等の1日も早い復興を図るためのリーディングプロジェクトとして、早期整備を目指す道路。(復興道路…三陸沿岸道路(仙台~八戸)約359km、復興支援道路…宮古盛岡横断道路 約67km、東北横断自動車道釜石秋田線(釜石~花巻)約80km、東北中央自動車道(相馬~福島)約45km、宮城県北高速幹線道路 約20km)

産業の復興に向けて

 住まいの再建を進めると同時に、産業の復興に向けた取組も進めています。一歩一歩着実に回復しています。

農業
被災地の農地については、農地の復旧スケジュールと復旧までに必要な措置を明確化した「農業・農村の復興マスタープラン」に基づき、被災農地の営農再開に向けて、農地復旧や除塩等を実施しています。津波被災農地21,480haのうち、平成25年7月末までに約6割以上の農地で営農再開が可能となっており、平成26年度までに約7割の農地で営農再開が可能となる見通しです。
水産業
岩手県、宮城県、福島県の被災3県で被害にあった水産加工施設のうち、約79%で業務を再開しており、平成27年度末までに再開希望者全員の施設を復旧・復興することを目標にしています。
鉱工業
鉱工業については、被災地域の鉱工業生産能力は、震災前の水準にほぼ回復しています。

 これまで復興の加速化に向け、「住宅再建・復興まちづくり」に関する取組の他に、二重ローン対策や企業インフラ復興のための企業立地補助金を給付するなどの「産業・生業(なりわい)再生」のための取組を進めてきました。
 さらに3本目の柱として、被災された方々の「健康・生活支援」の取組として、被災者の孤立防止や心のケアを行うため、タスクフォースを設置し、平成25年12月、施策パッケージを取りまとめました。現在の取組を引き続き着実に進めるとともに、平成26年度の新たな措置の検討を進めています。
 詳しくは「被災者に対する健康・生活支援に関する施策パッケージ」をご覧ください。

■「新しい東北」の創造に向けて

 被災地は、人口減少・高齢化・産業の空洞化など、今の日本が抱える課題が顕著です。
 このため、単に従前の状態に復旧するのではなく、復興を契機にこれらの課題を解決し、我が国や世界のモデルとなる「創造と可能性の地」としての「新しい東北」を創造すべく、取組を進めています。

 「新しい東北」の創造に向けた検討状況(復興推進委員会等)は、こちらをご覧ください。


新しい東北の5つの柱

①元気で健やかな子どもの成長を見守る安心な社会
【具体例】子どもの遊び場づくり
 少数のプレイリーダー(指導員)だけでなく、地域のボランティアが主体となった遊び場づくり。
 プレイリーダーは、心のケア等の専門的な能力を高め、心身の両面から子どもの育ちを支援。

②「高齢者標準(※)」による活力ある超高齢社会
※高齢者標準:低下した高齢者の身体・認知機能を標準とすること。
【具体例】次世代型地域包括ケアシステムの推進
 医療関係者・自治体・NPO等が協働し、多職種連携システムを構築し、24時間対応の在宅医療・看護・介護等を目指す。

③持続可能なエネルギー社会(自立・分散型エネルギー社会)
【具体例】地域資源を活用した再生可能エネルギーの導入
 温泉熱エネルギーによる植物工場(野菜・果物栽培)や陸上養殖場を設置。これらの生産物により六次化商品の開発も行う。
 活力ある「エコ温泉地」を目指す取組。

④頑健で高い回復力を持った社会基盤(システム)の導入で先進する社会
【具体例】住民が主体となった防災活動
 産官学や住民等の多様な主体が連携し、地域の課題に応じた避難訓練手法、多世代にわたる住民の参加を促進する方法のモデル化を行う。

⑤高い発信力を持った地域資源を活用する社会
【具体例】新たな農業モデルの実現
 人工光を利用する完全密閉型の栽培施設により、洗わずに食べられる無農薬の作物の栽培を可能とする。


 上記で紹介した例以外にも、以下のような取組が進んでいます。

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