地方から日本を創生する「長期ビジョン」「総合戦略」の閣議決定を受けて

平成26年12月27日

地方から日本を創生する
「長期ビジョン」「総合戦略」の閣議決定を受けて

地方創生担当大臣
石 破  茂

 日本は世界に先駆けて「人口減少・超高齢社会」を迎えています。まち・ひと・しごと創生本部は、我が国が直面する人口減少克服・地方創生という構造的な課題に正面から取り組むために設置されました。
 本日、政府は、日本の人口の現状と将来の姿を示し、今後目指すべき将来の方向を提示する「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン(長期ビジョン)」及びこれを実現するため、今後5か年の目標や施策の基本的な方向、具体的な施策を提示する「まち・ひと・しごと創生総合戦略(総合戦略)」をとりまとめ、閣議決定しました。

 総合戦略においては、人口減少と地域経済縮小の悪循環というリスクを克服する観点から、東京一極集中を是正する、若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる、地域の特性に即して地域課題を解決するという基本的な視点の下、まち・ひと・しごとの創生と好循環の確立により、活力ある日本社会の維持を目指していきます。
 このため、「しごと」と「ひと」の好循環として、次の目標に対応する施策を提示しています。

  1. 2020年までの5年間で地方での若者雇用30万人分創出などにより、「地方における安定的な雇用を創出する」、
  2. 現状、東京圏に10万人の転入超過があるのに対して、これを2020年までに均衡させるための地方移住や企業の地方立地の促進などにより、「地方への新しいひとの流れをつくる」、
  3. 若い世代の経済的安定や、「働き方改革」、結婚・妊娠・出産・子育てについての切れ目のない支援などにより、「若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる」、

 また、併せて、この好循環を支える「まち」の活性化として、

  1. 中山間地域等、地方都市、大都市圏各々の地域の特性に応じた地域づくりなどにより、「時代に合った地域をつくり、安心な暮らしを守るとともに、地域と地域を連携する」、
も進めます。

 いつの時代も日本を変えてきたのは「地方」です。地方創生においても、地方が自ら考え、責任をもって戦略を推進する観点から、今後、地方公共団体において、国の長期ビジョンと総合戦略を勘案して、地域の特性を踏まえた「地方人口ビジョン」と「地方版総合戦略」を策定していただくことにしています。その際は、「縦割り」や「重複」を地方においても排除し、行政だけでなく、地域で実際に取組を進めている産官学金労(産業界・行政・大学・金融機関・労働団体)や住民代表も含めた多様な主体が参画して、自らのこととして策定・検証していくことが重要です。
 こうした地方の取組に対して、国は、地域経済分析システム(いわゆるビッグデータ)を開発・提供することによる「情報支援」、小規模市町村へ国家公務員を派遣する地方創生人材支援制度や相談窓口となる地方創生コンシェルジュの選任による「人的支援」、地方創生の先行的な取組を支援する新しい交付金措置を盛り込んだ緊急経済対策や地方財政措置などの「財政的支援」により、地方公共団体を支援することとしています。

 人口減少・超高齢化というピンチをチャンスに変える。地方創生は、日本の創生です。国と地方が、国民とともに基本認識を共有しながら総力をあげて取り組むことにより、新しい国づくりを進め、この国を、子や孫、更にはその次の世代へと引き継いでいこうではありませんか。