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日・EU共同記者会見


平成20年4月23日

日・EU共同記者会見の写真


【福田総理冒頭発言】

 本日、EU議長国スロベニアのヤンシャ首相及びバローゾ欧州委員長をお迎えし、日・EU定期首脳会議を開催いたしました。

 EUは、拡大や統合を通じ、国際社会における存在感を一層高めております。日本とEUは、戦略的パートナーであり、国際社会が直面する主要課題への連携と協力を一層強化することで一致しました。

 また、本年7月の北海道洞爺湖サミットの成功に向けて、EU側より力強い支持と協力を得たところであります。

 気候変動、エネルギー、開発、アフリカ、世界経済、食糧価格高騰、WTO、不拡散といったグローバルな課題へ双方が協力して取り組むことで一致しました。特に気候変動については、世界全体で排出削減を実現するため、2013年以降の実効的な枠組み構築を目指し、EUとも引き続き協力していくことについて議論をいたしました。更に、世界経済におけるルールづくりや、消費者の安全・安心に向けた協力、また、第4回アフリカ開発会議での具体的成果を目指した協調につき一致いたしました。

 最近注目が高まっております食糧の価格高騰の問題については、先週、私より国連及び世銀当てに書簡を送ったところでありますが、この問題への対策についても緊密に連携していくことで一致しました。また、WTOドーハラウンドについて、早期の妥結に向け協力することで一致しました。

 北朝鮮を含む東アジア、アフガニスタン、中東和平、イランといった主要な地域情勢について意見交換し、幅広い認識の一致を見ました。特に、東アジア地域の安全保障環境について、双方で対話を継続していくことで一致しました。

 これらの成果は、今回発表する共同プレス声明(骨子)(全文仮訳)及び別添文書(消費者の安全・安心に関する日・EU協力)(骨子)(全文仮訳)に盛り込まれており、EUとともに、このような成果を発表できることをうれしく思っております。EUとは、今回の協議の成果を踏まえ、引き続き、国際社会で協力していきたいと考えます。

【ヤンシャ・スロベニア首相冒頭発言】

 ありがとうございます。福田総理、発言の機会をお与えくださり感謝申し上げたいと思います。

 EU・日本定期首脳協議は伝統ともなりました。両地域間の関係の進展は、日本のことわざ、すなわち「継続は力なり」というのに一致するものであります。実際、この協力関係の継続により、我々の声は強くなります。そして、それだけ自信を持って世界が直面しております最も重要な課題に対応することができます。

 この日本・EU定期首脳協議において、幾つかの問題に関し、幅広いコンセンサスを生むことができたことをうれしく思っております。実り多い意見交換の結果は、3つの重要なメッセージに表われております。

 まず第一、EU及び日本は全面的に自らの責任を担って、懸案のグローバルな問題に対応いたします。更に、日本・EUは気候変動に関する懸念を共有しております。国連の気候変動プロセスに協力をするとともに、グローバルな、また包括的な2013年以降の合意を2009年末までに実現するために力を合わせます。更に、エネルギーの安全保障を高めるための協力をいたします。その一部として持続可能なエネルギーオプションを幅広く使うことにいたします。

 日本・EUは、協力をし、金融システムの安定性を高めるとともに、負の影響が先進国、発展途上国に及ばされることを緩和いたします。

 我々の協力によりまして、早い段階でバランスの取れたWTOのドーバ開発アジェンダが実現するために努力を続けてまいります。

 更に、今後とも一致をしたミレニアム開発目標を達成するように努力いたします。特にアフリカ開発のために力点を置いていきます。

 2番目のメッセージ、これはEU及び日本の共同ステートメントとして、国際平和安全保障を増進することに関するものであります。対応を更に高め、東アジアに関する共通の見方を維持してまいります。EUとしては、この地域の枠組みを歓迎いたします。建設的な役割を日本が果たしておられることを認知いたします。それによって、このプロセスが透明でオープンであり、普遍的に認められている価値に基づいた形で進展するように保障いたします。

 また、水管理、保健、人材開発、人権並びに民主主義における協力を更に強化してまいります。それによって、中央アジアにおける安定発展に貢献をしてまいります。

   特別にコミットメントいたしましたのは、アフガニスタンに対する支援を更に増加することであります。平和構築のために、この大陸全体で更に協力を強化していきます。例えば、アフリカの和平維持力を高めるための協力もいたします。中東和平プロセスに関しては、アナポリスで導入されました政治的な交渉プロセスを支持いたします。これは、唯一、この地域に和平を実現する方途であります。

 3番目のメッセージですが、日本とEUは、緊密に協力をすることにより、生活の質を高めるとともに、繁栄の水準を高めることにコミットメントを続けます。このようなプロフィットは、具体的な形で便益を国民にもたらすものだと確信しております。

 日本・EUは消費者の安全並びに安心のために協力を続けてまいります。また、航空面での協力も続けることにより、日本とEUとの間の安全な旅行に資することにいたします。人の交流を高めるとともに、査証免除の分野でも更に前進を遂げるつもりであります。更に、相互の協力を科学技術の分野でも高めることに合意いたしました。特別の協定に関して、近々署名がなされる予定です。

   終わりに当たりまして、私自身、本日の会議に関して非常に満足をしていることを表明したいと思います。日本とEUは、更に戦略的なパートナーシップを増進するためのコミットメントを再確認したことに満足を覚えております。将来更に、協調的な努力によって懸案な世界経済、政治、安全保障上の問題に対応していくつもりです。

【バローゾEU委員長冒頭発言】

 ありがとうございます。福田総理、ヤンシャ首相がただいまおっしゃいましたように、日本とEUはグローバルなプレーヤーであるとともに、戦略的なパートナーであります。まさに、こういった精神に基づいて極めて重要な諸問題に対応いたしました。既に触れられたこと、繰り返すつもりはございませんが、3点だけ、私は特に重要だと思う点、すなわち気候変動、開発に対する援助並びに貿易、ドーハの交渉について触れたいと思います。  気候変動に関して、EUも日本も、この課題は緊急を有するものだということを認識しており、決定的な共同の努力をするつもりであります。これに関するこの会合の結果、満足をしております。

 パラ6〜10をごらんいただきたいと思います。共同ステートメントの6〜10であります。これをいただきますと、表われておりますけれども、まさに日本とEUとの間の意見の収斂が明白であります。これは、特にG8のサミットが日本議長国の下に7月に開かれる前であるということから重要だと思います。私自身、このサミットに参加することを楽しみにしております。

 最善の努力を尽くすことによりまして、この分野における他の主要なプレーヤーに働きかけ、日本議長国によりますG8のサミットで、真の意味で突破口を生むことができるように、そして真の前進を生むことにより、可能であれば、2009年コペンハーゲン会議において、グローバルな合意を生むことができるように前進をしていくつもりです。勿論、気候変動に対しては、昨年12月に到達して合意に基づいて先進国は努力をしなければなりません。国連の協力も更に集中的につながっております。

 しかし、包括的かつ意欲的な2013年以降の気候変動条約を実現するためには、やることはたくさん残っております。ですからこそ、7月の日本における機会を活用することが重要なわけであります。他の諸国と手を携えて、前進に向けてのモーメンタムを生むためのチャンスが生まれていると思います。

 更に、アフリカを中心とし、いかにして開発援助を深めていくか議論いたしました。日本議長国としてのG8のサミットにおいて、MDGが世界の注目の中心に置かれることを期待しております。

 世界における2007年度は、2年連続でODAが減少したということは、憂慮を禁じ得ないものであります。 このような負の動向が昨今続いております。そうして、より最近、食糧危機が起こっているということも懸念を禁じ得ないものでありまして、真の意味で、我々としてもこれらの問題に目を向けなくてはなりません。グローバルな社会、国際社会を動員いたしまして、追加的に努力を傾注し、開発援助を特にアフリカに提供できるような対応が必要です。

 次に貿易問題に関して、ドーハラウンドの交渉を成功裏に終結することが日本にとってもEUにとっても優先課題であります。EUは、意欲的、包括的かつバランスの取れた合意を生むことにコミットを続けております。これはグローバルな経済にとっても朗報を提供することになると考えるからです。

 日本及びEUは、極めて重要な経済面でのパートナーであります。この両者を合わせますと、グローバルなGDPの40%に匹敵いたします。ですからこそこのオープンな体制を貿易面で維持することは、我々の利益にかなうものでありますし、この問題に対するコミットメントを有することも重要です。グローバルな責任が求められています。すなわちグローバルな援助並びに気候変動に対する対応、これに対応すること、コミットメントが我々の利益にかなうものです。今回の会議は極めてポジティブなものでした。

【質疑応答】

【質問】
 福田総理にお伺いいたします。温室効果ガスの削減のポスト京都の枠組みづくりで、セクター別アプローチを掲げる日本と、総量規制に重点を置くEUで温度差があったとこれまで伺っております。今回の協議では、EU側がセクター別アプローチを有用と評価するという形で認識が共有されたわけですけれども、今回の協議を踏まえてですね、気候変動問題が主要議題となる洞爺湖サミットに向けて、日・EUの協力をどう進めていかれるお考えかお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【福田総理】
 気候変動問題の解決には、これは世界全体で温室効果ガス排出量の実質的な削減を実現するという、そういう実効的な枠組みを構築するということが、何よりも大事なことであります。その点について、日本とEUとの間に見解の相違はないと理解しております。

 今回の協議におきましてもですね、私からそうした枠組み構築に向けて、我が国が提案しておりますセクター別のアプローチについて改めて説明をいたしました。EU側からはですね、国別総量目標設定との関係において、このセクター別アプローチが公平性を確保する上で有効であると、こういったことについて、一定の評価が得られたと認識いたしております。サミットの場におきましてもですね、今回の首脳間の協議も踏まえまして、国連の下での交渉を進展させるように、引き続き緊密に連携を持っていきたいと考えております。

【質問】
 ヤンシャ首相に伺いたいと思います。同僚の方からの指摘もありましたけれども、EUと日本は気候変動に関しては若干温度差があるのではという話がありましたけれども、この2つのアプローチを具体的にどのように組み合わせることができるんでしょうか。中国、インドのような新興市場国がどのようにこの気候変動に対応するように組み入れることができるでしょうか。

【ヤンシャ首相】
 はい、福田総理が今おっしゃいましたように、目標に関しては合意しているということは重要ですし、多くの提案を成功裏に生むことが重要だと、それによって気候変動に対応することが必要だということでも意見が一致しております。ですから、可能なソリューションが1つだけあるわけではないと、それを全員が受け入れるということではないということは認識しているわけです。異なる提案、異なるアプローチが必要です。多くの工夫に満ちた解決策が必要です。だれでも、そういった解決策を提起できる人は、大いに歓迎するものであります。 日本とEUとの共同の努力に関してですけれども、まあ、そういった共同、協力ができればいいと思います。分野によっては、アプローチが若干違うということもいいのではないでしょうか。経済としても違いますし、それぞれ経験したことも違うからです。

 しかし、他方、共通の目標に関しては完全に一致しております。何と言っても一番重要なことは、日本もEUも先進工業国であるということです。であるがゆえに、これらの課題に対応する能力、力も持っています。

 不可欠な重要性を持っておりますのは、まず第一に、先進国が、ですからいわゆるG8諸国ですけれども、がG8の中で合意を生むこと。そして、その計画の中にすべてのポジティブな提案、アプローチを織り込んでいくことであります。更に日本が提案されておりますような提案、アプローチもその中に入ります。そして気候変動に対する闘いを主導することによって、発展途上国を支援すること、これも重要であります。そうすることで、発展途上国も組み込んでいくことができます。京都議定書、京都プロセスには参加しなかった国も巻き込んでいくことができるでしょう。我々のリーダーシップ及びコミットメントによってそれができるわけです。

 特に強調したいと思いますのは、EUは自ら先陣を切って、単独であっても、ですから、グローバルな合意が生まれないときには単独でも進んでいくということであります。勿論、グローバルなアグリーメントが必要ですけれども、この気候変動に対応するためには、やっぱりグローバルなアプローチが不可欠だと思います。この分野では、やはり先進国がリーダーシップを発揮すべきであります。

【質問】
 バローゾ委員長に質問です。気候変動と食料価格との間の対立が見られておりますけれども、EUとしては気候変動に対する目標をどの程度実現する自信がおありなんでしょうか。バイオフェーエルを10%というのと、それから通常の食料、この10%をなくせば食料価格引下げにつながるんではありませんか。いかがですか。

【バローゾ委員長】
 EUのコミットメントに関してですけれども、EUのリーダーがスロべニアの議長国の下で3月に首脳会談において確認した点があります。すなわちすべての目標を確認したということであります。単にそのターゲットが意欲であるということだけではなく、やはりこれは達成可能なんだというふうに考えております。EU委員会が1月に提出いたしました案というのは、その場で確認されました。

 それから、EUのレベルにおいて、今年末までには政治的な合意を実現する。これは、20%を2020年までには実現するということを義務化することにいたしました。2020年までは1990年に比べて20%は削減するとともに、2020年までに再生可能なエネルギーを20%使うようにするということです。

 その後は、他の先進国が同じようなことをすれば30%まで引き上げる用意もあります。ですから、我々自身のコミットメントに関してはそれを実現できると自信を持っております。しかし、ヤンシャ首相が今おっしゃいましたが、グローバルな合意を実現するということは極めて重要であります。グローバルな合意が必要であるがゆえに、G8のプロセスを強力に支持しているわけでありますし、主要経済諸国の会議も支持しております。この両方のプロセスが不可欠な重要性を持っております。

 G8、7月に日本で首脳会談が開かれますけれども、そこに私どもも参加いたしますが、それに向かって今日達成した内容を反映することが重要です。と申しますのも、今回の定期協議の結論をごらんいただきますと、まさにアプローチに関しては相互補完性が明確に見られます。構想力のある目標を国際社会で達成するためには、それが合意された内容ですけれども、全体的な教育が必要です。

 バイオ燃料に関する点ですけれども、内容は非常に複雑な問題であることは御承知だと思います。我々としては、バイオ燃料を導入した結果として、食料価格にどういった影響があるかということを分析しなくてはなりません。また、この両者がどういった相互的な関係にあるかということも分析しなければなりません。これに関して、EUは満場一致でバイオ燃料に関しては具体的なターゲットに合意したわけです。しかも、これは持続可能な、新世代のバイオフェーエルです。この点をきちんと理解することが重要です。

 どういうことかといいますと、バイオ燃料、バイオフェーエルというのは、国際的な枠組み、制度が全くないところで今つくられているわけです。共通の基準が必要です。だからこそ問題が起こっているわけです。バイオ燃料の一部というのは、悪い影響を環境に及ぼしております、別の新しい世代のバイオ燃料を促進する必要があります。ですからこそ、我々は今、努力を傾注しているところでありまして、まあ、私自身、EUに対しまして新たにバイオフェーエルに関する状況を、経済、生態系に及ぼす影響等を分析するよう、直近の状況を勘案しながらやるようにと指示いたしました。この問題に関しては、あらゆる面から今、検討を進めているところです。 ただ、EUのリーダーはバイオ燃料を過去の形でもって促進をすることを決めたわけではありません。新しい世代のバイオ燃料に関して具体的な目標にコミットいたしました。しかし、そういった新世代を開発することができた場合にはという前提条件つきです。



【関連リンク】
  日本・スロベニア共和国首脳会談及び日・EU定期首脳協議 -福田総理の動き-