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福田内閣総理大臣記者会見
北海道洞爺湖サミット 議長記者会見


平成20年7月9日

記者会見を行う福田総理

  政府インターネットテレビ

【福田総理冒頭発言】
今回のサミットは、最近のものに比べても、極めて重要なものであったと思う。なぜならば、地球温暖化の進行、原油や食料価格の高騰の問題、金融市場の緊張といった、世界規模の課題が、非常に切実な形で人々の生活に影響を与えている中で開かれたサミットだからである。
 このような状況を踏まえ、私たちはここ洞爺湖で3日間、昼夜をわかたず真剣な議論を行ってきた。率直に本音の議論をする中で、時にはお互いに激しくやりあうという場面も多々あった。しかしそのおかげで、多くの成果を生み出すことができたと思っている。  まず、気候変動問題について、我々G8は、2050年までに世界全体の温室効果ガスの排出量を少なくとも50%削減するという長期目標を、世界全体の目標として採択することを求める、との認識で一致した。これは米国を含むG8諸国がこの目標に合意していることを当然の前提としている。この問題については、G8の中でも様々な立場があり、今回はそうした違いを乗り越えながら共通の認識を示し、国連での交渉に弾みをつけるという貢献ができたと思っている。
 この他に、野心的な中期の国別総量目標を実施すること、革新的な技術開発のための国際イニシアティブを立ち上げること、そして途上国支援のための「気候投資基金」を設置するといったようなことにも合意した。セクター別アプローチが有用な手段であることも共通認識となった。この機会に我が国は「クールアース・パートナーシップ」構想推進の一環として、今般、インドネシアとの協力に合意した。
 更に、本日の主要経済国首脳会合(MEM)では、昨日のG8から要請に基づき、気候変動への取組の強化のために、更なる行動をとることで一致した。主要経済国の首脳が2時間にわたり気候変動の幅広い課題について熱心に論議したことは史上初めてのことである。今回首脳による強い政治的意思を示すことができ、所期の目的は達成されたと考えている。  なお、自分(福田総理)は議長として来年のイタリア・サミットの機会に再びこのMEMを開くことで首脳の賛同を得た。これはイタリアからの申し出もあった。我が国としては、今後も他の主要経済国とともに、気候変動への取組を強化していくとともに、途上国に対する適切な支援を行っていく。
 世界経済は今回の会合の大きな焦点であった。世界経済は、長期的には強固ではあるが、金融市場では依然緊張が続いており、また、一次産品の価格高騰問題及びそれによるインフレ圧力への懸念がある。G8首脳は、この共通認識の下で、経済の安定と成長を確保するために、引き続き適切なるマクロ経済運営と構造改革を行っていくという決意を示した。
 原油価格高騰については、需給の逼迫(ひっぱく)に関して、生産国と消費国が協調して生産拡大を行うと同時に、省エネや代替エネルギーを開発するということを進める必要があると考えている。また、需給を超えた金融的要因については、市場の透明性の向上が重要であり、国際機関の更なる分析を促進するとともに、G8としても商品先物市場の監督機関の間の協調を進めていく。
 また、WTOドーハラウンド交渉妥結に向け、2週間後の閣僚会合の成功への一致した決意を表明した。
 開発問題も今回の議論の焦点であった。本年は2015年までのミレニアム開発目標達成に向けた中間年にあたる。G8リーダーはこのことを踏まえ、途上国と協力して目標を達成する決意を新たにした。我々は特に、保健分野については集中的に議論し、今後の協力の枠組みを示す「洞爺湖行動指針」を打ち出すとともに、この分野におけるこれまでの約束を着実に実行する決意を新たにした。また、保健従事者の増員、感染症対策等についても具体的な成果が得られた。
 次に食料価格の高騰については、G8として引き続き緊急支援に取り組んでいくとともに、中長期的対応として途上国の農業生産力増強を支援することにする。また、輸出規制の撤廃や、既に我が国が行ったように食料備蓄の放出を呼びかけた。さらに今後の取り組みを進めるために、G8専門家グループを設置するとともに、G8農業大臣による会合を開催することとした。
アフリカ諸国への支援については、TICADWの成果を踏まえ、元気なアフリカの実現に向けて、経済成長とミレニアム開発目標の達成のための具体的な取組について、合意することができた。
 政治分野については、不拡散を重点的に取り上げ、北朝鮮とイランについて充実した議論を行った。北朝鮮については、朝鮮半島の検証可能な非核化実現に向けて、道のりは長くとも、粘り強く取り組んでいくことで一致した。同時に、拉致問題を含む日朝関係の進展の重要性についても、各国首脳から力強い支持と協力の表明があった。
また、テロとの闘いや和平・復興の課題についてもG8のコミットメントを確認し、とりわけ、アフガニスタン、中東和平等の問題についてG8の協力を進めていくこととした。
ジンバブエ情勢について、G8は、真剣な議論の結果、深刻な懸念を共有し、問題の解決のためのG8の強い政治的意思を示す共同声明を発出した。
 更に、自分(福田総理)から、2010年を目標として、軍、警察、文民の3分野について世界の平和構築能力を強化していくことを提案し、各国首脳の賛同を得た。
自分(福田総理)たちが直面する課題に対しては、G8がリードしながら関係国、民間関係者、市民社会からも協力を得て、「全員参加」で取り組まなければならない。ここプレスセンターを中心に数多くのNGOの皆様がお集まりであることを自分(福田総理)も承知している。今回のサミットでも、G8以外の16ヶ国の首脳、5つの国際機関の代表を招待した。また、この機会に我が国は、主催国として、今回のサミットを、環境に優しい日本の技術とノウハウの世界に対するショーケースとすることを試みた。今回のサミットは充実した3日間であった。
 最後に、今回のサミットの成功を支えた北海道の皆様のあたたかいもてなしと、すべての関係者の尽力に心から感謝申し上げる。

【質疑応答】
(問)
 気候変動の問題につきお尋ねする。G8の首脳宣言には温室効果ガス削減に関する長期目標について、先ほど総理からご説明のあった様な世界全体の目標として共有と採択を求める、という表現で合意が為された。総理はこの合意を、これで終わりではない、第一歩であると位置づけておられたと理解しているが、引き続きポスト京都の国連での交渉に向けてこの合意がどのような意味を持つとお考えになるか。また本日の主要経済国会合では長期・中期目標共に具体的な数字目標では合意できなかったが、今後新興国の歩み寄りを引き出すために、G8、及び日本は何をすべきと考えるか。

(総理)
 今回のG8においては、米国も含め2050までに少なくとも半減という長期目標につき、すべての国連交渉参加国の共有と採択を求める、ということに合意し、大きな成果であったと考える。特にG8はこの合意を国連交渉の中で、全加盟国と共に採択することを目指しており、国連交渉も進展に向け具体的な行動が合意されたと考えている。今回MEMが一致して地球の将来に向けた気候変動問題の重要性と緊急性の認識を共有したことは、大きな成果であったと評価している。16カ国の首脳による強力な政治的意志の表明、これは必ずや国連交渉を促進する力強いものになると考えている。我が国としても今回の成果を踏まえ、中国、インド等の新興国に対しても、他のG8諸国とともに長期目標を共有し、そして国連交渉において採択されるようにリーダーシップを発揮してまいりたいと考える。

(問)
 気候変動に関し、ヨーロッパ側は基準年が1990年であると言っている一方、日本側は2005年、あるいは2008年だという言い方をしている様であり、最終的な削減レベルで大幅に違いが出てくると思う。(日本とヨーロッパで)違ったことを言っているということは、紙に署名をしたとしても意味合いが違うのではないか。

(総理)
 基準年についての話であるが、50パーセント削減というのは、最近の状況からして50パーセントの削減ということであり、その意味では皆さんの理解はあると考えている。様々な数字が基準年として飛び交っているが、我々の認識としての2050年までに50パーセント削減ということは、現状からして50パーセント削減ということで変わっていない。考え方に混乱があるということではない。

  (問)
 総理も指摘した様に、原油や食料の高騰による燃料費や食料品の値上がりで、世界各国でインフレが発生し、市民生活が打撃を受けている。今回のサミットでこの点に関し有効策を打ち出せた、価格は下がる、とお考えか。また、G8の枠組みがこの様な地球規模の課題に果たして対応できるのか。(G8を拡大した)G13を求めるというような意見もあるが、引き続きG8という枠組みが有効だとお考えか。

(総理)
 まず、今の原油と食糧価格の高騰が沈静化するかという質問については、そうなって欲しいと考えるが、この問題は、緊急な課題、そして中長期的な課題と両面取り組まなければならないのだろうと考える。その位の構造的な問題である。原油や食料の価格上昇は、発表文の中にもある通り、インフレ圧力を高め、安定成長に深刻な試練を提起し、最も脆弱な人々に深刻な影響を与える。
 原油価格の高騰に関しては、まず、需給バランスの改善が重要だと考える。G8はエネルギー効率と新技術に焦点を当てた会議を開催するというイニシアティブを打ち出しており、我が国が今年の秋にもその第一回の会合をホストするということに決まった。更に、原油価格の高騰に金融市場の要因が一定の影響を与えているという認識がある。これは、石油在庫等の情報の共有や実需、金融両面の要因の分析、そして商品先物市場の当局間のさらなる協力等を含めて、市場の透明性向上への行動を強化するということで一致している。これは宣言文に書いてあるとおりである。
 食糧価格に関しては、緊急、短期から中、長期に渡る包括的かつ一括した対応を取ることを、G8として改めて確認した。そして、その着実な実施を確保するためのG8専門家グループを設置した。この様な取り組みによりG8は原油や食料価格の問題に協力して対応し、世界的なインフレの抑制に繋げていきたいと考えている。

(問)
 ジンバブエに関する共同声明の最後の文書で、暴力を行う人に対し、「資金的及びその他の措置(measures)を導入することを含め更なる手段(steps)をとる。」とあるが、これは制裁(sanction)を意味するのか。仮にそうであれば、次のステップ如何。

(総理)
 ジンバブエの情勢については、深刻な懸念を共有しており、問題解決のための政治的な意志を表明する共同声明を発出している。その中の記述については、ジンバブエ当局に対し、迅速かつ平和的に危機を解決するために、野党側と協力するよう強く求め、そしてまた南部アフリカ開発共同体(SADC)やアフリカ連合(AU)に強力な指導力を発揮することを求めている。  同時に、問題解決のために、更なる手段をとることにもなっており、この点については、今後、国連などの場で、議論が行われていくことになる。さらに、国連安保理で合意されれば、制裁も含むと考えている。

(問)
 G8の政治問題の討議では北朝鮮問題を取り上げたが、G8として、北朝鮮の核、拉致問題で力強いメッセージを発出できたと考えているか。また、総理は6日の日米首脳会談で、北朝鮮の核申告の内容をきちんと検証しなければならないと述べたが、近く開かれる6者協議において、申告の検証が重要な議題となると考えるが、検証がきちんととしている、あるいはしていないことは何が基準となるとお考えか。

(総理)
 今回のサミットでは、北朝鮮問題についても、充実した意見交換を行い、北朝鮮がすべての核兵器と核計画を実証できる形で放棄し、また、拉致問題についても早期解決に向けた諸措置をとるよう求めることで一致した。このようなG8で共有された考えは、首脳宣言にも、議長総括にも明記されている。北朝鮮の核計画の申告については、その内容をしっかりと検証することが重要である。
 この点は、日米首脳会談においても、またサミットにおいても確認したところである。しっかりした検証の枠組みを構築することは重要であり、検証の具体的なあり方については、明日から開催される六者会合で議論をされることになっている。

(問)
 ご指摘のように、今回のサミットはアフリカの開発に焦点があたり、今年はミレニアム開発目標達成までの中間年である。今までのG8でもアフリカに焦点をあてながら、援助の誓約をしつつも、実現していないという批判も行われている。G8は、今までの支援をどのように実現、実施していくのか、そしてアフリカの人々にどのようなコミットメントをどのように果たしていくのか。

(総理)
 コミットメントを履行していないのではないか等、いろいろな見解があると思う。しかし、そういう中で、コミットメントはいらないのか、というとそうでないと考える。発展、繁栄、更には保健上の問題もあり、諸国が協力をして、アフリカのために役に立つことをすることは非常に重要であると考える。我が国も2000年の九州・沖縄サミットの際に初めてアフリカの首脳を招待し、その場で対話を行った。以来、アフリカの問題は最近のG8サミットの主要議題の一つとなっている。
 アフリカ支援については、2007年までの3年間で、対アフリカODAを倍増するとともに、本年5月の第4回アフリカ開発会議においても、2012年までにアフリカ向けODAを改めて倍増することを発表している。今回の洞爺湖サミットでは、TICADIVの重要な成果が歓迎された他、「元気なアフリカ」の実現に向けて、アフリカの成長とミレニアム開発目標達成のためにインフラ開発、保健、水・衛生、教育分野での取組の強化、主要食用食糧作物の生産量の倍増をはじめとする農業支援、良い統治、グッド・ガバナンス、平和と安全の促進等が重要であると認識で一致している。G8首脳は、このような支援を着実に実施していくとの考えを共有している。