首相官邸  
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福田内閣総理大臣記者会見


平成20年9月1日

記者会見を行う福田総理

  政府インターネットテレビ

【福田総理冒頭発言】
 昨年、私は、安倍前総理からバトンを引き継ぎまして、9月26日に総理に就任以来、1年近く経ったわけでございます。その間、参議院選挙で与党が過半数割れするという状況の中で、困難を承知でお引き受けしたということであります。正直申しまして、最初から政治資金の問題、年金記録問題、C型肝炎問題、防衛省の不祥事等々、次から次へと積年の問題が顕在化してきたということに遭遇いたしたわけでありまして、その処理に忙殺をされました。
 その中でも、将来を見据えながら、目立たなかったかもしれませんけれども、これまで誰も手を付けなかったような国民目線での改革に着手をいたしました。
 例えば道路特定財源の一般財源化、また消費者庁の設置法の取りまとめ、国民会議を通じて、社会保障制度を抜本見直しするといったようなことでございます。最終決着はしておりませんけれども、方向性は打ち出せたと思っております。
 更にその上に、今年に入りましてからは、経済・景気問題というものが大きな課題として浮上いたしました。ガソリンや食料などの物価高騰に、国民や農林漁業、中小企業、零細企業の皆さんが苦しむ中で、何とかして強力な対策を作らなければいけない。こういうふうに思ったわけでございますが、その体制を整えることを目的に、8月に改造を断行いたしました。強力な布陣の下で、先週金曜日に総合的な対策をとりまとめることができました。
 この臨時国会では、この対策を実施するための補正予算や消費者庁設置法など、国民生活にとって一刻の猶予もない重要な案件を審議いたします。先の国会では、民主党が重要案件の対応に応じず、国会の駆け引きで審議引き延ばしや審議拒否を行った。その結果、決めるべきことがなかなか決まらない。そういう事態が生じたほか、何を決めるにも、とにかく時間がかかったことは事実でございます。
 今、日本経済は、また国民生活を考えた場合に、今度開かれる国会で、このようなことは決して起こってはならないこと。そのためにも、体制を整えた上で国会に臨むべきであると考えました。国民生活のことを第一に考えるならば、今ここで政治の駆け引きで政治的な空白を生じる、政策実施の歩みを止めることがあってはなりません。この際、新しい布陣の下に政策の実現を図ってまいらなければいけないと判断をし、私は本日、辞任をすることを決意いたしました。
 まだ、経済対策や消費者庁設置法案をとりまとめ、国会の実質審議入りには時間があるこのタイミングを狙いまして、国民にも大きな迷惑がかからないというように考えた次第で、この時期を選んだわけであります。これをきっかけに、次の自民党総裁の下に、より強力な体制を敷いてもらい、国家、国民のための政策実現に向けて邁進してもらうことを期待をいたしております。
 これまでの1年を振り返るならば、大きな前進のためのいろいろな基礎を築くことができたというように自負いたしております。皆様方にも、いろいろとお世話になりまして、心から感謝を申し上げます。
 以上、私の辞任の気持ち、考え方でございます。

【質疑応答】
(問)
 総理は、今、辞任を表明されましたが、具体的にいつの段階で、その決断をされたか。
それと、前安倍総理も、こうした形で唐突に政権を投げ出されたんですが、福田総理も同じ形になるんですが、そのことで政治不信とか、政権に対する不信がまた巻き起こるんではないかと思われますが、総理はどうお考えでしょうか。

(総理)
 全く私は安倍前総理のケースとは違うと思っております。安倍前総理は、健康の問題があったわけです。私は健康の問題は、目が見えにくくなったということ以外、特別な問題はございません。これは私がこれからの政治を考えてどうあるべきか、ということを考えた上で決断したことでありまして、いつそういうように考えたかと言えば、過去いろいろ考えましたけれども、先週末に、最終的な決断をいたしました。

(問)
 今、新しい体制を整えた上で、国会に臨むべきだというふうなお考えを表明されましたけれども、新しい体制になれば、どのような点で、今の事態は打開できるとお考えでしょうか。

(総理)
 これは、我が自由民主党のことを申し上げて恐縮でございますけれども、総裁選挙をすることになると思います。そして、選ばれた新しい総裁が、総理大臣の指名を受けるというふうなプロセスになると思っておりますけれども、それは私が続けていくのと、新しい人がやるのと、これは間違いなく違うというふうに私が考えた結果でございます。それは、いろいろな状況を考えて政治的な判断をしたということでございます。

(問)
 総理が、今、冒頭で挙げられた消費者庁、道路等々の成果の問題ですけれども、まだ、いずれも道半ばで、御自身の手でこういう成果を仕上げていくことこそ責任だというふうにお感じになるのが普通だと思うんですけれども、それを新体制でもってやってほしいとお考えになるのはなぜか。
 もう一つは、総理大臣という職が、お辞めになること自体が政治的空白を招くのではないか。国民が、今、景気等々状態が悪いときに辞めること自体が空白を招くのではないか、そういうことを感じるんですけれども、どのようにお考えになりますか。

(総理)
 消費者庁のことにつきましては、これは、大体法案がまとまったということでありまして、この趣旨は、国会にこれから説明をしていく。私に続く人がこのことを重要に考えてやってくださる、それを期待いたしておりますけれども、そうしてくださると思っておりますけれども、それはここまでまとまれば、あとは国会でどういう審議をされるか、また、その点について野党とどういう話し合いをしていくかといったようなことになりますので、それはお任せするしかないというように思います。
 これは、無責任だと言われれば、全部終わるまでやっていなければいけない。しかし、本当にやっていられるかどうかという問題もあるんです。第2の問題ですけどもね。私が続けていって、そして国会が順調にいけばいいですよ。そういうことはさせじという野党がいる限り、新しい政権になってもそうかもしれませんけれども、しかし、私の場合には、内閣支持率等も大分あるかもしれませんしね、いろいろな状況がありますから、その辺は大変困難を伴うのではないかと思います。
 そしてまた、政治空白というお話でございますけれども、今が政治空白をつくらないという意味においては、一番いい時期だと私はいたしたわけです。例えば国会の途中で何かあるといったようなことを、想像してもしようがないんでけれども、もし仮にそういうことがあったならば、そのことの方がより大きな影響を国民生活に与えるというふうに思っております。
 いろいろこれから大事な法案、政策を打ち出すわけでありますけれども、法案だけ考えましても、経済対策あり、そして例の給油法の問題もあり、また消費者庁もある、また前国会の積み残しもたくさん大事なものがございますから、そういうものを順調に仕上げていかなければいけない。
 そのためには、私が、いろいろ考えましたよ、判断した結果、今、辞任をして新しい人に託した方がよりよいという判断をしたわけです。

(問)
 総理、今日は夕方に麻生幹事長と約1時間ほど会っていましたが、どのようなお話をされたのかということと、それから自ら幹事長に起用された麻生さんを次の総裁選でも、総理は支持していくということになるんでしょうか。

(総理)
 今日は、麻生幹事長、それから町村官房長官の両氏においでいただきまして、私の考え方を説明を申し上げました。いろいろなやりとりがありまして、時間もかかりましたけれども、そういうことであったということであります。
 それから、その後のことは、これは自民党の党内でどうするかという問題でありますけれども、総裁選挙の日取りとか、手続きを進めていただきたいということを麻生幹事長にお願いをいたしました。

(問)
 2つお伺いいたします。1つは、今回御決断に至る過程で、総理御自身が、これまで解散総選挙を御自身の手でやるというふうに考えたことはあるのか、ないのか。

(総理)
 私がですか。

(問)
 はい。あともう一点が、民主党との間では、大分、ねじれ国会の下で政策遂行が難航したようですけれども、民主党の小沢代表に対して御自身からおっしゃりたいことがあれば。

(総理)
 確かに、ねじれ国会で大変苦労させられました。話し合いをしたいと思っても、それを受け付けてもらえなかったということが何回もございましたし、与党の出す法案には真っ向反対。それも重要法案に限って真っ向反対というようなことで、聞く耳持たずということは何回もございました。
 私は小沢代表に申し上げたいのは、国のためにどうしたらいいかということ。これは虚心坦懐、胸襟を開いて話し合いをする機会がもっとあったらばよかった。そういう機会を持ちたかったということを申し上げたいと思います。

(問)
 総理は1か月前に御自身の手で内閣改造を、それもかなり大幅な改造をなさったばかりですけれども、そのときも、このメンバーで臨時国会を乗り切るための強力な布陣をしいたと思われたはずだと思うんですが、その内閣のメンバーをわずか1か月、国会も迎えないうちに自ら総辞職という形を取らなければいけないというようなことになったことについて、もう一度、御見解をお願いしたいのと、そうであるとするならば、総理御自身が、この臨時国会を乗り切るために御自身として何が足りなかったのか。それをどのようにお考えになっているのか、お話を聞かせていただけないでしょうか。

(総理)
 私が1か月前に内閣改造をしたということ。それで、なぜ、その1か月後に任命した総理自身が辞めるのかというふうなことで、これはもっともなお話だと思います。
   しかし、私も内閣改造をしたときには、少なくとも、この重要な案件については何とかしたいという意欲を持っておりました。ですから、そういう布陣をした。特に、経済については特に重視しなければいけないという思いがございました。その改造の前辺りから経済対策を打たなければいけないというふうなことでもって、いろいろと考えをめぐらせておった。そういうことがございますので、新内閣になりまして、早速、この経済対策に手を付けていただいたということがございました。しかし、それが先週末に一応の決着を見たということであります。
 今、現在、どうして組閣当時と考え方が変わったのかと申しますと、これはその後のいろいろな政治の状況がありますので、そういうことを勘案して、そして、この臨時国会が少しでも順調に行くようにと考えまして、私が自身でやるよりは他の方にやっていただいた方がよりよくいくのではないか。
 また、野党の方は解散、解散と言って煽るわけです。解散ということがありますと、それは議員心理というものはまたいろいろございますので、その議員心理の結果、また政治情勢が不安定になってはいけない。そういうことになった場合には、これは国会議員だけでの話ではない。やはり国民全体に御迷惑をおかけすることだ。そうすれば、国会に一番迷惑をかけない時期に私がそういうような表明をするということが一番いいのではないかというように考えまして、この時期を選んだんです。これが一番いい時期だと思っております。

(問)
 一般に、総理の会見が国民には他人事のように聞こえるというふうな話がよく聞かれておりました。今日の退陣会見を聞いても、やはり率直にそのように印象を持つのです。
 安倍総理に引き続く、こういう形での辞め方になったことについて、自民党を中心とする現在の政権に与える影響というものをどんなふうにお考えでしょうか。

(総理)
 現在の政権。自民党・公明党政権ですか。

(問)
 はい。

(総理)
 それは、順調にいけばいいですよ。これに越したことはないこしたことはない。しかし、私のこの先を見通す、この目の中には、決して順調ではない可能性がある。また、その状況の中で不測の事態に陥ってはいけない。そういうことも考えました。
 他人事のようにというふうにあなたはおっしゃったけれども、私は自分自身を客観的に見ることはできるんです。あなたと違うんです。そういうことも併せ考えていただきたいと思います。

(総理)
 どうもお世話になりました。