高度情報通信社会推進本部

高度情報通信社会推進に向けた基本方針

〜アクション・プラン〜
(第1回フォローアップ)


総論編

平成12年5月19日
高度情報通信社会推進本部決定


T.序

(1)政府は、これまで「高度情報通信社会推進に向けた基本方針」(平成10年11月9日高度情報通信社会推進本部決定)及び「アクション・プラン」(平成11年4月16日同本部決定)に基づいて、我が国の情報通信の高度化に資する施策を着実に推進してきたが、今回、上記基本方針に従いその進捗状況について第一回のフォローアップを行うとともに、アクション・プラン策定時以降の状況変化や新たに生じた課題について整理する。

(2)我が国においても、インターネットの爆発的普及、携帯電話等の加入数が5千5百万を超える等、情報通信が経済・社会の諸分野において急速かつ広範に浸透してきており、情報通信関連産業は新たなリーディング産業となりつつある。この情報通信を通じた社会、経済の変革を成功させることが、来世紀における我が国の繁栄を確実なものとする上で必要不可欠となっている。
 政府としては、このような変革の潮流を一層加速化せしめ、経済フロンティアの拡大、高コスト構造の打破、活力ある地域社会の形成や真のゆとりと豊かさを実感できる国民生活等を実現することを目指している。
 また、急速に少子・高齢化が進む我が国社会の活力を維持していくためのツールとして情報通信を最大限活用することが重要である。
 一方、本年1月下旬には行政機関等のサーバーに対する攻撃が起きる等、高度情報通信社会の安全性、信頼性に対する懸念を生じせしめるような出来事も発生しており、政府としては高度情報通信社会の発展を阻害しかねないようなこれらの問題に対しても迅速・的確に対処していく必要がある。

(3)このような認識に基づき、政府としては本基本方針の実現を一層加速化することとするが、以下の5つの項目については、高度情報通信社会を構築するに当たってのその重要性、緊急性に鑑み、特に優先的に取組むこととする。
 @電子商取引の本格的普及
 A公共分野の情報化
 B人材の育成及び情報リテラシーの向上
 C高度な情報通信インフラの基盤整備
 Dハイテク犯罪・セキュリティ対策

(4)また、教育の情報化や電子政府、IT21(情報通信技術21世紀計画)といった重要性・緊要性の高い分野については、内閣総理大臣が自らミレニアム・プロジェクトを決定した。本件については明確な実現目標の設定、複数年度にわたる実施のための年次計画の明示や有識者による評価・助言体制の確立といった新たな試みを取り入れて推進している。
 加えて、平成12年度末より1年間、地方公共団体、民間企業、NPO等の幅広い参加を求め、「インターネット博覧会(インパク、楽網楽座)」を開催する。現在、総理大臣の下におかれた「新千年紀記念行事懇話会」において具体的な行事の実施等に向けた検討が進められている。これにより、我が国インターネット利用者層の幅広い拡大を目指すとともに、2001年の新世紀の門出を祝い、新しい世紀の技術、産業、国民生活の盛り上げを図っていく。

(5)更に、ITの急速な普及・活用は、経済に与えるプラスの影響が非常に大きい一方、いわゆるデジタル・デバイド(情報を手に入れることができる者とできない者との間に生じる経済格差)の問題が生じており、この克服が新たな政策課題となってきている。情報通信分野の進歩が、社会・経済に対し急激に大きな変化をもたらしており、本年7月の沖縄サミットにおいては、この問題を始めとするITの急速な発展に伴う問題に関し、首脳レベルで大きく取り上げられる見込みとなっている。

(6)以上に示した通り、社会・経済における情報通信の重要性が日増しに高まっている上、この分野における変化は極めて激しい。このため、高度情報通信社会を構築するに当たっては、硬直的な取組ではなく、情勢変化に柔軟且つ機動的に対応していかなければならない。

U.これまでの実績及び今後の課題

(1)電子商取引の本格的普及

○電子認証に関する制度整備
 電子商取引等のネットワークを利用した社会経済活動を更に促進していくためには、ネットワーク上で相手方と対面せずにやりとりされる情報について、発信者が本当に本人であるかどうか、情報が途中で改変されていないかどうか確認する手段が必要とされている。その有効な手段として電子署名及び認証業務が利用され始めているが、その法的な位置付けについて明文の規定がないことが普及の妨げになっているとの指摘がある一方、国際的にも本分野について法制度整備が進んでいることから、我が国でも早急にこれらについての法制度整備を行う必要がある。
 このため、郵政省、通商産業省及び法務省において、我が国における認証業務の健全な発展を促し、また電子署名が手書き署名や押印と同等に通用する法的基盤を確立するため、国際的な整合性に配慮しつつ法制度を検討してきたところであり、電子署名に関し、電磁的記録の真正な成立の推定、認証業務に関する認定の制度等を内容とする「電子署名及び認証業務に関する法律案」を今国会に提出したところである。
 上記法律案の施行後、電子署名の円滑な利用の促進、認証業務に関する認定制度の定着を図るため、速やかに適正な運用を行うとともに、ボーダーレスな電子商取引等の特性に鑑み、既に法制度の整備が進められている各国との間で、相互承認のあり方について検討を進めていく。

○ビジネス方法の特許の適切な保護
 いわゆるビジネス方法の特許については、必ずしもその定義が明らかではないが、我が国においては、ソフトウエア関連特許の一側面と捉え、ソフトウエア関連特許に関する運用指針の下で審査を行っているところである。
 本件については、さらに、付与すべき特許の範囲や権利の濫用に対する懸念なども含め国際的にも関心が高まっているところから、(1)制度の運用について国際的な調和を確保し、運用の明確化を通じて産業界の予見可能性を高めること、(2)審査の安定化に資するべく、先行事例等のデータベース構築などの分野で主要国間で協力を行うこと、(3)国内においても先行する事例の収集を強化することなどが重要であると認識している。
 そこで、昨年11月の日米欧の三極特許庁長官会合において、国際的な比較研究を行うことを合意し、国際調和と審査協力に向けた取組を行っているところである。
 また、本件を契機として、知的財産権に関する知見の乏しい企業においても、特許制度等に関する理解を深めることが求められており、特許庁においても所要の情報提供を図る。また、市場における健全な競争を不当に阻害することがないよう、競争政策当局とも連携しつつ、必要に応じ、所要の対応を図ることとする。

○個人情報保護
 平成11年7月より個人情報の保護・利用の在り方を総合的に検討するため、個人情報保護検討部会を開催し、同年11月に中間報告を取りまとめた。これを受けて、同年12月に高度情報通信社会推進本部において、我が国における個人情報保護システムの中核となる基本的な法制の確立に向けて具体的な検討を進めるとの方針を決定した。平成12年1月より内閣内政審議室の下に個人情報保護担当室を設置するとともに、高度情報通信社会推進本部の下に個人情報保護法制化専門委員会を開催し、基本的な法制につき同専門委員会において法制的な観点からの専門的な検討を進めているところである。今後、同専門委員会における検討等を踏まえ、平成13年の通常国会に法案を提出することを目標としている。
 また、特定の分野(例えば、信用情報分野、医療情報分野、電気通信分野など)については、既存の法規制等の改正も含め、個別法の整備について、検討していくこととしている。

○電子商取引推進のための制度等の見直し
 電子商取引の推進に当たり、書面・対面や事務所の存在を前提とするなど、ネットワーク上の取引を想定していない制度や取引ルールの存在が障害となっているとの意見がある。この点に留意し、電子商取引の特質に合致した制度整備やルール作りが今後の重要課題である。

(2)公共分野の情報化

○行政の情報化
 行政の情報化については、「行政情報化推進基本計画」(平成9年12月20日閣議決定)に基づき、総合的・計画的に推進している。
 社会と行政の接点の情報化施策として、インターネット・ホームページを活用した行政情報の提供や行政情報の所在を案内するクリアリングシステムの整備、また、行政内部の情報化施策として、1人1台パソコン、省庁内LAN、省庁内LANを相互に接続する霞が関WAN等の情報インフラを活用した各種事務の効率化・高度化などが進められてきている。
 特に、国民と政府との間の行政手続については、「経済新生対策」(平成11年11月11日経済対策閣僚会議)及び「ミレニアム・プロジェクト(新しい千年紀プロジェクト)について」(平成11年12月19日内閣総理大臣決定)において、平成15年度までに、行政手続きをインターネットを利用しペーパーレスで行える電子政府の基盤を構築することとされ、これを受けて、平成15年度までの基本方針・整備方針を明らかにした「申請・届出等手続の電子化推進のための基本的枠組み」(平成12年3月31日行政情報システム各省庁連絡会議了承、5月19日高度情報通信社会推進本部報告)が取りまとめられた。今後、この基本的枠組みに基づき、共通基盤の整備を進めるとともに、各省庁において個別手続のアクション・プラン(年次計画)を策定し、政府全体として電子政府の実現に向けた具体的施策を着実に実施していく必要がある。
 また、国民に対する行政情報の提供については、ホームページやクリアリングシステムによる積極的提供に加え、情報公開制度に対応した行政文書ファイル目録の提供システムなどの整備を進める必要がある。
 さらに、自動車保有関係手続のワンストップサービスや、例えば郵便局においてワンストップ行政サービスの実験を行うなど、ワンストップサービスを引き続き強力に推進する。
 なお、政府の目指す電子政府の実現には、住民に身近な行政機関である地方公共団体における取組が不可欠である。地方公共団体の情報化については、岐阜県における広域・多目的ICカードの取組、千葉県浦安市における統合型地理情報システムの取組、神奈川県横須賀市における電子申請届出に向けた取組など、先進的な取組を行う団体がある一方、市区町村の庁内LANの整備率は51.8%、パソコンの整備率は3.4人に1台(平成11年4月1日現在)にとどまっており、団体間で取組に差が見られる。政府では、庁内LAN整備等、地方公共団体における電子手続化の推進経費に対する地方財政措置を講じてきているが、今後は、国と地方を通じた電子政府化が早期に実現するよう、国において必要な実証実験を行い地方公共団体の自主的な取組を先導するほか、国のネットワークと地方公共団体のネットワークとの接続等、国と地方公共団体間で調整が必要な事項について「行政情報化国・地方公共団体連絡会議(事務局:総務庁、自治省)」において、さらに調整、連携を図る必要がある。

○高度道路交通システム(ITS)の推進
 最先端の情報通信関連技術を活用して、道路と車両を一体のシステムとして構築し、渋滞、交通事故、環境の悪化などの道路交通問題の解決、物流の効率化、幅広い社会経済効果(情報通信関連市場は2015年度までに約60兆円規模に成長する見込)が期待される高度道路交通システム(ITS)について、関係5省庁(警察庁、通商産業省、運輸省、郵政省、建設省)は情報通信関連技術の研究開発や標準化活動等を推進した。
 これまでの実績として具体的には、

 @ITSのシステムアーキテクチャ(全体設計図)の策定とインターネットを通じた公表による情報提供
 AVICS(道路交通情報通信システム)の全国の高速道路と18都道府県の一般道へのサービスエリア拡大(沖縄県においては5月11日にサービスを開始)と163万人の利用者
 BETC(ノンストップ自動料金収受システム)の本年4月のサービス開始
 C我が国のETC及び衝突防止用自動車レーダー方式をITU(国際電気通信連合)における国際標準方式として承認。ITSの情報通信分野としては世界で初めて具体的なシステムの国際標準化に貢献。また、ISOでの標準化作業についても進展
 Dスマートウェイ(知能道路)・スマートゲートウェイ(知能通信)・スマートカー(知能自動車)の三位一体となった開発。平成12年10月に走行支援システムの実証実験の実施、2003年を目途とした第二東名・名神などにおけるスマートウェイ・スマートカーの走行実現を目標
 E自動車運行管理システムやパークアンドライドシステム等、ITSによる自動車走行最適化のための各種システムを開発
 F車を“動くオフィス”に変えるための情報通信技術の開発
 GETC技術を応用して駐車場管理や物流管理等の多様な分野でも利用可能とする技術として、無線通信技術や車載機器システムの研究開発等の施策を展開
 HUTMS(新交通管理システム)の推進。交通情報提供システム(AMIS)の23都道府県への整備、公共車両優先システム(PTPS)の7都道県への整備、交通公害低減システム(EPMS)の3県への整備、車両運行管理システム(MOCS)の2道県への整備
 I地域でのITS推進に向け、モデル地区実験に対する支援を実施
 J道路運送事業におけるITS技術の活用方策を推進

今後も、ナビゲーションシステムの高度化、自動料金収受システム、安全運転の支援、交通管理の最適化、道路管理の効率化、公共交通の支援、商用車の効率化、歩行者等の支援、緊急車両の運行支援等の分野において、ITSの情報通信関連技術等に関する研究開発・実証実験の実施や地域におけるITSの推進、ITSに関する国内外における標準化活動等を総合的・計画的に推進する。

○地理情報システム(GIS)の整備・相互利用の推進
 GISについては、位置に関するデータを総合的に管理・加工し、視覚的に表示することにより、高度な分析や迅速な判断を可能とする技術として、その社会的有用性や、高度情報通信社会の基盤的技術としての重要性が認識されている。
 これらの認識を踏まえ、GIS関係省庁連絡会議において、平成11年3月「国土空間データ基盤標準及び整備計画」を策定し、GIS相互利用のための標準化を行い、併せてデータ整備の現状や課題の整理を行った。関係省庁連絡会議幹事会の下に、空間データ基盤作業部会と基本空間データ作業部会を設置し、技術標準に基づくデータ利用実証実験、ネットワーク上でデータ検索を可能とするメタデータやクリアリングハウスの整備方策等について検討を行ってきた。また、先行的に一部の省庁でメタデータの整備、クリアリングハウスの整備を行っている。
 一方、整備計画においては、各省庁は具体的施策の実施計画を策定することとなっている。関係省庁連絡会議では、連携施策を含め、実施計画のフォローアップの取りまとめ結果を公表することとしており、関係省庁の連携も含め政府として整合性のあるGIS推進施策を行うこととしている。
 さらに、GISの効率的な整備・普及を官民連携により実現するため、GIS官民推進協議会を平成11年1月に設置し、データ流通の現状と課題を整理するとともに、当面の施策を検討し、7月に中間報告を行ったところである。本中間報告を受け、平成12年度から、都道府県程度のエリアを対象にモデル地区を指定する「モデル地区実証実験」を実施することとしている。本実証実験においては、国・地方公共団体・民間企業等が連携を取りながら、データ整備・データ流通・技術開発等を実施し、GISの有効性を検証することを通じて、GISの効率的な整備・普及を図ることとしている。

(3)人材の育成及び情報リテラシーの向上

○高齢者・障害者の情報通信利用の促進
 高度情報通信社会においては、高齢者・障害者などとそうでない者との間に「情報格差」が発生し、これが社会的・経済的格差につながるおそれがある。こうした格差が生じないよう、高齢者・障害者を含めた誰もが情報通信の利便を享受できる「情報バリアフリー」環境を整備する必要がある。
 平成11年度においては、高齢者・障害者が使いやすい情報通信関連機器・システムの開発や字幕番組・解説番組などの制作に対する助成などを行ってきたところである。
 平成12年度以降も引き続き、これらの施策を実施するとともに、高齢者・障害者などに充分配慮した、人に優しい情報バリアフリー環境の整備を更に推進するため、特に、関連施策をミレニアム・プロジェクトの一環としても位置づけ、安心して誰もが簡単に情報通信を利用できる技術の開発や高齢者などの自立・社会参加を可能とする福祉分野の情報化などを実施することとしている。

○教育の情報化
 内閣総理大臣直属の推進体制として,平成10年12月に発足した「バーチャル・エージェンシー『教育の情報化プロジェクト』」において、関係省庁が連携を取りつつ検討を重ねた結果、平成11年12月に最終報告が行われた。
 この報告により提言された諸施策は,総理大臣自らが直接に選定した「ミレニアム・プロジェクト『教育の情報化』」として具体化され、平成12年度から実施される。具体的には、平成17年度を目標に、全ての小中高等学校等からインターネットにアクセスでき、全ての学級のあらゆる授業において教員及び生徒がコンピューターを活用できる環境の整備を目指し、学校のコンピューター整備・インターネット接続、校内LANの整備、教員研修の実施、学校教育用コンテンツの開発、教育情報ナショナルセンター機能の整備を行うこととしている。そのため、

 @平成13年度までに全ての公立小中高等学校等がインターネットに接続でき、全ての公立学校教員がコンピューターの活用能力を身につけられるようにする。
 A平成14年度には、我が国の教育の情報化の進展状況を国際的視点から総合的に点検し、その成果の周知を図るため、国内外の子どもたちの参加による、インターネットを活用したフェスティバルを開催する。
 など、中間的な目標も設定しつつ、最終目標である平成17年度に向け、着実に実施することとしている。

○オンライン接続禁止条項の早期見直しの要請
 平成11年4月1日現在、1,529の地方公共団体が条例を制定して、個人情報保護対策を講じているところであるが、その一部に外部とのオンライン接続を一律に禁止する規定を持つ団体がある。
 ネットワーク化は高度情報通信社会に不可欠であり、外部とのオンライン接続を例外なく禁止することは、学校教育の場でのインターネットの活用に支障を来すなど、高度情報通信社会の実現を妨げる要因の一つになっている。
 政府では、これまでも地方公共団体に対し、情報通信システムの外部とのオンライン接続禁止措置の見直しを要請してきており、昨年度も、自治省から、個人情報のオンラインによる外部への提供については、提供の目的及び権利利益の侵害のおそれ等を個別に検討した上で、その可否を決定するのが望ましく一律に禁止することのないよう要請している。政府は、この問題を高度情報通信社会の実現のために解決すべき課題のひとつととらえ、地方公共団体に対して、引き続き要請を行っていくこととしている。

(4)高度な情報通信インフラの基盤整備

○インターネットの総合的技術基盤整備
 インターネットの爆発的な普及に伴い、安全・信頼性が高く、超高速・大容量の情報伝送が可能な次世代インターネットを構築するため、@超高速・大容量化対応技術、A電子透かし技術等の研究開発を実施してきた。
 今後は、パソコンに加え、デジタルテレビから携帯端末等の情報家電まで、更にはメモリーやCPU等電子機器に埋め込まれたデバイスまで、あらゆる機器にインターネットに対応させるための技術の開発重要性が高いことが指摘されている。このため、ミレニアム・プロジェクトの一環として、@次世代インターネットに関する研究開発を引き続き実施していくとともに、A情報家電を活用したインターネット技術に関する研究開発、Bスーパーインターネットに関する研究開発、C光化技術に関する研究開発等を実施し、平成17年度までに、全ての国民が、場所を問わず、超高速のインターネットを自由自在に活用して、自分の望む情報の入手・処理・発信を安全・迅速・簡単に行えるインターネット環境を創造することを目指す。
 これらの研究開発については、初期的段階の技術に関する知見を探索する段階から、施策のソフト・ハードウェアを構築するとともにその機能を実証して実用化の技術的見通しを得る段階までは、産学官共同で行い、この段階で得られたソフトウェアやハードウェア等の成果について、低コスト、均等な品質かつ短時間で量産することを可能とするとともに、研究実績をもとに、国際標準として国際標準化機関に提案する段階については、産業界が行う。
 このような産学官一体となったプロジェクトを有効に実施するため、関係民間企業等から構成される「IT21コンソーシアム」を組成し、その中の「インターネット・ソフトウェア」、「インターネット・ハードウェア」等の部門で研究開発活動を行い、公平性・透明性及び第三者性を確保するため、外部専門家及び有識者から構成される「IT21評価・助言会議」において技術研究開発の評価を行う。
 なお、デジタルテレビに関しては、インターネット端末として容易に利用することも可能とするため、インターネットとの整合性に配意しつつ、放送のデジタル化を推進する。

○第三世代移動通信システム(IMT−2000)の導入
 第三世代移動通信システム(IMT-2000:InternationalMobileTelecommunications-2000)については、増大の一途を辿る移動通信需要に対応するばかりでなく、将来のグローバル・マルチメディア移動通信を実現する上で不可欠な情報通信基盤として早期導入が期待されている。これまでに、国際電気通信連合(ITU)等において、我が国が提案した無線伝達方式を含む国際標準化が進められてきたほか、我が国への導入を図る上で必要となる技術基準等関係規則の整備や導入方針の公表等が進められてきた。
 平成13年中のIMT-2000の導入に向け、本年4月より事業参入に係る申請を受け付けているところである。今後は事業者の早期決定を図るとともに、グローバルサービスを実現する国際ローミングや、快適なモバイルインターネット環境を実現する高速データ通信などの新しいサービスの円滑な導入に必要となる諸外国との調整、世界的な周波数の追加配分、技術仕様の高度化等を進めていくことが重要である。

○低廉な利用料金の実現
 インターネット時代を迎えた今日、通信料金の低廉化、特に、時間を気にせずにインターネットに24時間常時接続が可能となる低廉な定額料金制を我が国にも導入することは、我が国経済の活性化と高度情報通信社会の実現のために必要不可欠である。
 現在、東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社(以下、「東西NTT」という。)は、24時間常時接続が可能となる、インターネット接続サービスを平成11年11月から月額8,000円で東京及び大阪の一部地域において試験提供を開始しているが、平成12年5月から試験地域を拡大した上で、料金を4,500円や2,900円に引き下げる予定であり、さらに、本年度中に、県庁所在地級都市に拡大し、更に全国に逐次エリアを拡大していく予定である。
 また、東西NTT以外の電気通信事業者においても、CATV事業者が月額5,000円から6,000円での定額制のサービスを提供している。この他の事業者により、平成11年12月末からDSL(デジタル加入者線)技術を用いたサービスも開始された。
 今後は、インターネットの通信料金に係る定額制の導入を始めとする料金の低下を求めるニーズに対応するため、インターネットのアクセス網の多様化を進めること等により、地域通信市場における競争を一層促進し、更に低廉な定額料金の導入を図っていく必要がある。

(5)ハイテク犯罪対策、セキュリティ対策

○不正アクセス対策法制の整備
 電気通信回線を通じて行われる電子計算機に係る犯罪の防止及びアクセス制御機能により実現される電気通信に関する秩序の維持を図り、もって高度情報通信社会の健全な発展に寄与することを目的として、警察庁、通商産業省及び郵政省は、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律案」を国会に提出し、同法案は平成11年8月に可決成立した(平成11年法律第128号)。同法は、不正アクセス行為の禁止・処罰、不正アクセス行為を助長する行為の禁止・処罰、アクセス管理者による防御措置、都道府県公安委員会による援助等を内容としており、都道府県公安委員会による援助に関する規定を除き平成12年2月13日から施行された(都道府県公安委員会による援助に関する規定は平成12年7月1日から施行)。
 平成12年1月下旬から連続して行われた行政機関等のサーバーに対する攻撃によりネットワークセキュリティの重要性が再認識されたところであり、今後は、本法の活用等を通じ社会全体において不正アクセス行為が行われない環境を構築していくことが課題である。

○情報セキュリティ対策
 情報セキュリティ対策については、平成11年9月、「情報セキュリティ関係省庁局長等会議」を設置し、関係省庁で協力して、ハッカー対策、サイバーテロ対策、法的な課題といった広範な課題に取り組むこととした。本年1月21日には、最初の成果として、「ハッカー対策等の基盤整備に係る行動計画」を決定した。同「行動計画」は、官民を通じ我が国全体において、情報化・ネットワーク化の進展に見合った、適切な情報セキュリティ水準を確保するための基本的な考え方や具体的措置を明示しており、以下のような柱からなる。

 @電子政府の構築を見据え、政府自らのセキュリティ水準を向上すべく、各種対策を実施すること(それぞれのタイムスケジュールを定める)。
 ・セキュリティに関する信頼性の高い政府システムの構築
 ・監視・緊急対処体制の整備・強化
 ・総合的・体系的な情報セキュリティ対策の検討
 ・民間の人材の積極的活用を含めた人材の育成・確保
 A金融、エネルギー、情報通信等の民間重要インフラ等に係る取組を推進するため、「サイバーテロ対策に係る特別行動計画」を平成12年内に策定すること。
 B国際的連携を強化すること。
 C本「行動計画」について、年内にフォローアップを行うこと。

その後、1月24日以降、科学技術庁、総務庁、運輸省をはじめ、政府関係機関のホームページが改ざんされる事案が相次ぎ、更に施策を強化する必要性が認識されるに至った。これを受け、体制面では、以下のような強化を行った。

@「情報セキュリティ関係省庁局長等会議」を拡大改組し、高度情報通信社会推進本部の下に、全ての省庁の局長級で構成する「情報セキュリティ対策推進会議」を設置(2月29日高度情報通信社会推進本部長決定。4月12日第1回開催)。
 A高度情報通信社会推進本部の下で、民間有識者からなる「情報セキュリティ部会」を開催(2月29日高度情報通信社会推進本部長決定。4月20日第1回開催)。
 B内閣官房に「情報セキュリティ対策推進室」を設置(2月29日内閣総理大臣決定)。

 4月12日の情報セキュリティ対策推進会議においては、今後、全省庁で「行動計画」を踏まえ、更にできる限り前倒しつつ、対策の推進を図る旨申し合わせを行ったところである。また、更に、教育の充実、情報戦(IW)の研究、法制度の検討といった中長期的課題にも取り組んでいくことも課題である。