IT戦略会議

資料1

第4回IT戦略会議・IT戦略本部合同会議 議事要旨



1.日 時:平成12年10月16日(月) 8:15〜9:45

2.場 所:内閣総理大臣官邸大食堂

3.出席者:[別紙]

4.会議の模様

(1) 出井議長から以下のとおり挨拶

(2) 「電子商取引等の特質に応じたルール整備について」今井委員より説明

(3)「電子商取引等の特質に応じたルール整備について」宮内委員から補足説明

(4) 「電子商取引等の特質に応じたルール整備」について自由討議

○電子商取引の特質に応じたルールの形成に関して、主な課題例として5つ挙げる。一点目は、取引方法は情報化する。二点目は、取引の対象物がIT化する。三点目は、知的財産権をめぐるルールをつくらなければならない。四点目は、インターネットプロバイダーなどの中間介在者の責任ルールが未整備である。五点目は、早期紛争解決手段が実現されていない。こういうことをこれから解決していかなくてはいけない。

 現在の民法は明治29年に制定され、取引方法のIT化、取引対象のIT化が進んだ現在ではなかなか時代に適合していない。それから、知的財産権についても他人の商標やブランドと間違えやすいインターネットのドメイン名を最近取る動きがあり、これも非常にトラブルになっている。それから、インターネット接続業者など、中間介在者の責任の所在があいまいになっており、これも非常に困る。

 以上、これらのルール整備を是非急いでいただきたいと思う。これまでの意見に全く同感である。

○電子商取引に関し、実際にアメリカでは、音楽の知的財産権がハイスピードネットワークを使ってタダで取引されるということで裁判沙汰になっている。日本の場合は、スピードが遅くて電話料金が別なので、こういうことは起こらない。起こらないのは大変幸せだが、そんなことでいいのか。これは実際に起こってくると、知的財産のやり取りが、止められないぐらい速くファイルをトランスファーし、ファイルをシェアリングするという恐ろしい世界になってくるので、速くやるということに関してどうやって技術的に解決策を出すかという点も日本が貢献できる点だと思う。

○電子商取引に関して1998年11月30日にクリントン米大統領のDOC(商務省)の意見をまとめたスピーチは、大変大きな意味を持った。それとの対比だと幾つかの点が日本の場合違う部分もあるかと思うし、大変重要なポイントもあると思う。

 一点目は、数値が全部はっきりと出ていたことである。つまり、幾らの経済効果があるとか、何人が幾ら今ショッピングをしているとか、どのくらいのスピードで増えているかとかである。それで、これに関してきちんとみんなコミットをしよう。つまり、この電子商取引が進むための方針をきちんと責任を持ちましょうということを非常にはっきり言っている。要はこの数値的な情報を用意して、これを広げていくということがとても有効に働いたという点がある。

 もう一点はルールの話が大分出てきているが、実際にはルールを決めて全部揃ったら行こうというのであると、どうしても出遅れてしまう感がある。というわけで、このクリントンのスピーチのときには、「カスタマーと子どもをプロテクトしましょう。それで、それ以外は使う人でルールをつくっていきましょう。」というようなことで、−何が起こるかわからないけれどもというのは言い過ぎだが、−先へ進めようということをかなり強く言っていたかと思う。いずれにせよ考え方としてスタートをしていき、そしてこういうルール整備、法整備などが順次続くということ、それから実際にはそれに向かって進んでいくのだというメッセージが非常に重要になるとと思う。

○書面を届出等で求められる手続が商法やその他の様々なルールでいっぱいあるが、インターネット経由でさまざまな届出だとか申込みをしても後でプリントアウトすることは幾らでもできるわけであるから、大きな方向性として、原則書面を求めなくても済むということをすべての手続に共通して導入すれば、もっと電子化が一気に進むのではないかと思う。

 それからセキュリティが更に重要になるということと、3点目は、特にアメリカの場合は世界で最も先進国であるにもかかわらず、この電子商取引を促進するために時限立法で消費税をゼロにするというような動きをしている。そういうような何がしかの促進政策を政府主導でやってはいかがか。時限立法でいいのではないかと思う。

○IT戦略ということを考えると、やはり税の問題は避けて通れないと思う。これだけ所得の高い国で教育水準も高い国で、どうしてインターネットの普及率が、韓国を今下回る状況になっているのだろうか。これは恐らく5年、10年後の研究者の非常に興味深い研究対象になるような大問題だと思う。

 それで、そのためにはかなり幾つかの政策手段を総動員して非常に思い切ったことをやるというのがまさに戦略だと思う。それで、実は減税の効果そのものに関連して言うと、消費税をもし免除したら5%価格が下がるだけで、5%下がった場合の価格弾性値等々を考える場合に効果は実はそんなに大きくないという議論もできるし、税体系そのものをゆがめるほどの問題点ではあると思う。しかし、それにしてもやはり戦略という観点からは、このIT戦略会議で税について何も議論をしない、ないしはその報告をしないということの方がどう考えても不自然なわけで、この問題はやはり積極的に前に向かって議論すべき問題だと思う。

○なぜインターネットが遅れたかということは不思議な課題で、これをファクトとしてなぜこんなに遅れたかということのある程度のコンセンサスができないとなかなか手が打てない。ただ、スピードだけ速くすれば本当にインターネットの普及が上がるのかとか、通信の値段が高いことが問題なのかとか、まずは課題としてでも、仮説としてでも、何か必要があると思う。

○基本法を見ると、新しい高度情報通信ネットワーク社会を実現するというくだりがある。ここのところはきちんと説明しないと、何か今の社会の上に別の社会を構築しようとしている、というふうに誤解して受け取られてしまう。そうではなく、今の社会の改革を自ら行うということが大切。今の社会をネットワーク社会にどうやって移行するかということだと思う。そこのところで、インターネットを高度に活用するということにもつながってくる。森総理の言葉を借りれば「新生日本」、つまり新しい国づくりはIT革命を通じてやるという視点を十分強調していただかないと国民の間に理解が進まない。またそうしないと、議長がいわれるように「5年以内に世界最先端のアメリカを抜く」ということは実現しないと思う。

 法整備とともに、基本的な考え方、即ち明治以来の官主導の産業育成から民主導の自由闊達な競争による個々の個性を生かした社会の実現だということまで踏み込んできちんと説明すべき。そうすると、各委員のいったことが生きてくる。自由闊達な競争の促進とともに、自己責任原則の徹底、競争ルールの策定やその厳正な執行と監視、それから、情報公開やアカウンタビリティということも重要なポイントになる。さらによく言われるように光だけではなくて陰の部分にも手当てする必要がある。セキュリティとかプライバシーの保護といった種種の課題についてもネットワークで世界中につながるわけだから、国際的な整合性も求めながら、我が国がリーダーシップを持って取り組んでいくということが大切だと思う。戦略に基づき、こういったことを体系的、集中的に実行することが求められる。

(5) 中川IT担当大臣等から電子商取引等の特質に応じたルール整備について以下の通り発言

○ 電子商取引の特質に応じたルールや個人情報保護など、情報化社会の基本的なルールの整備については、今国会の冒頭において総理が所信表明演説で既に取り上げているところだが、次期通常国会に向けて是非必要な法制面の手当てをしたいということで今、内政審議室が各省庁と連携をして検討を行っているところ。

 皆様の御議論を伺い、電子契約や情報財取引契約について、その成立時期を明確化する、あるいはまた、ネット上の紛争の解決に当たって接続プロバイダー等の責任を明確化するといったような問題など−先ほど今井委員を始め皆様から挙げていただいた点を含め−電子商取引の特質に応じたルールや情報化社会の基本的ルールについて、全く新しいルールづくりが喫緊の課題だという認識をした次第である。副本部長である通産大臣や郵政大臣に是非御努力を願い、また法務大臣、関係閣僚にも是非こうした点を十分御参考にしていただき、次期通常国会への法案策定作業について御努力、御協力を心からお願いしたい。

○IT担当大臣からただいま御指示があった事項は、いずれもインターネット上のトラブル解決等のための基本ルールを設計するというもの。郵政省としては通信事業者、利用者、有識者等各方面の御意見を幅広くお伺いしながら、関係省庁と協力して積極的に取り組んでまいりたいと考えている。

○各委員から大変重要な御指摘があった。通産省としても文部大臣、郵政大臣と協力をして、次期通常国会までにきちんとした形となるように全力で努力をしてまいりたい。また、いろいろ御意見があれば、どうぞお申出をいただき、お教えをいただきたいと思う。

○ただいまIT担当大臣から御指示のあった点については、基本法制を所管する法務省としても全力を挙げて取り組んでまいりたい。先ほど委員からも御指摘があったとおり、やはりこれからの世界は知恵と工夫の大競争社会である。それは、官主導ではなくルールと自己責任をベースとする土台の上に新しい日本の国づくりを進めるということで、一つの国家構造の大改革である。産業新生会議においても総理を中心として、リーダーシップをもって基本法整備や時代の大転換期における法整備に全力を挙げるということで、立法体制も整備するということになった。法務省としても、一生懸命検討してその具体策をすぐにも出したいと思っている。一方、委員からもお話のあった商法改正についても、平成14年の株主総会には間に合うよう、きちんとITへの対応を進めてまいりたい。いずれにしても、時代に即応した情報化社会の基本ルール整備のために郵政、通産を始めとする関係省庁と連携を図りながら最大限の努力をしてまいりたいと思っているので、御指導御鞭撻をよろしくお願いしたい。

(6) 電子商取引等を支える制度基盤(個人情報保護)について内閣審議官から説明

 個人情報保護基本法制に関する大綱及びIT戦略本部で決定された個人情報保護に関する基本法制の整備について御説明申し上げる。この大綱はIT戦略本部の下に置かれた法制化専門委員会において、我が国における個人情報の保護についての基本的な法制の確立に向け、本年2月以来検討を重ねてきた結果を取りまとめたもの。大綱の全体構成は大きく7つに分かれており、「目的」「基本原則」「個人情報取扱事業者の義務等」「政府の措置及び施策」「地方公共団体の措置」「罰則」「その他」の項目を置いている。

 第1に「目的」については、個人情報の適正な取扱に関し、基本となる事項を定めることにより個人情報の有用性に配慮しつつ個人の権利利益を保護することを目的としている。つまり、保護と利用のバランスを図ることを大綱の基本的な考え方としている。

 第2に「基本原則」について、個人情報は個人の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべきものであり、個人情報を取り扱う者は次に掲げる原則にのっとり個人情報の適正な取扱に努めなければならないものとしている。誰もが目指すべき行動原理ないし目標として「利用目的による制限」「適正な方法による取得」「内容の正確性の確保」「安全保護措置の実施」「透明性の確保」の5つの原則を掲げている。

 第3に「個人情報取扱事業者の義務等」であるが、ここは基本法制の中でも事業者一般法の性質を有する部分であり、民間事業者等のうち電子計算機等を用いて検索することができるよう体系化された個人情報の集合物を事業の用に供している一定の事業者に対して、「利用目的による制限及び適正な取得」「適正な管理」「第三者提供の制限」「公表等」「開示」「訂正等」「利用停止等」及び「苦情の処理」について義務または努力義務を定めている。また、「苦情の処理等を行う団体の認定」に関する事項もこの部分に盛り込んでいる。

 第4に「政府の措置及び施策」について、まず国の行政機関に係る現行の個人情報保護法の見直し、続いて独立行政法人等が保有する個人情報についての措置、また特に厳重な保護を要する等、別途の措置が必要な個人情報に対する法制上の措置などをまとめているところ。併せて、「個人情報の保護の推進に関する基本方針の策定」のほか、個人情報取扱事業者の義務等についての担保措置として、主務大臣の指示及び改善・中止命令などを盛り込んでいる。

 第5に「地方公共団体の措置」については、その保有する個人情報に関する施策の策定実施や区域内の事業者及び住民に対する支援等の実施に努めなければならないこととしている。

 第6に「罰則」については、主務大臣の命令違反について罰則を設けている。

 最後に「その他」として、適用除外の考え方、有識者の意見を反映させるための仕組みなどについて盛り込んでいる。以上が大綱の概要である。

 続いてIT本部決定について御説明申し上げる。この決定は、ただいま御説明申し上げた法制化専門委員会の大綱を受けて政府としての対応方針を定めたもの。内容は、大綱を最大限尊重し、次期通常国会への提出を目指し、個人情報保護に関する基本法制の立案作業を進めるというものである。

(7) 電子商取引等を支える制度基盤(情報セキュリティ)について内閣審議官から説明

○ まず、政府が情報セキュリティ対策に取り組んでいる背景についてだが、いうまでもなくインターネットの爆発的な普及、それからIT社会の急速な進展に伴い、サイバースペースにおける種々の危険性が増大しているという状況がある。例えば本年の1月には、我が国の中央省庁のホームページが改ざんされるという事件が発生している。米国においても情報セキュリティ対策を強化しており、本年の1月には情報システム防護のための国家計画を発表している。

 次に、我が国政府の取組である。まず政府の体制の整備であるが、情報通信技術戦略本部の下に政府の組織として情報セキュリティ対策推進会議、それから民間の有識者の集まりとして情報セキュリティ部会を設置しており、この2つの組織が協力して対策を検討するという体制になっている。また、事務局としては内閣安全保障・危機管理室の下に情報セキュリティ対策推進室を本年2月に設置している。この中には民間の専門家も参加していただいて専門調査チームを設置しており、各省庁への助言指導などを行っている。

 政府のこれまでの取組としては、本年1月にIT社会推進に見合った適切なセキュリティ水準を達成するためハッカー対策等の基盤整備に係る行動計画を策定している。この行動計画に基づき、先ほど申し上げた情報セキュリティ部会で御検討をいただき、本年7月に全省庁のセキュリティ水準を向上させるため「情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」を整備している。現在は、すべての省庁が年内を目途にそれぞれの情報セキュリティポリシーを策定することとなっている。更に、本年9月に情報セキュリティ部会の下にサイバーテロ対策ワーキンググループを設置して、いわゆるサイバーテロの被害を受けた場合に国民生活に大きな影響を及ぼす民間重要インフラの業者に参加していただき、年内を目途に「サイバーテロ対策特別行動計画」を策定中である。

 最後に今後の取組の方向性だが、まず第1に緊急対処能力の向上を図る。現在、内閣の情報セキュリティ対策推進室が中心となり各省庁をつなぐ連絡網をつくっているけれども、これを更に強化していって早期対応能力の一層の向上を図る方針である。

 次に、官民連携の一層の強化を図る。IT技術や、重要インフラの多くは民間に存在しているので、官民の協力連携を一層強化していく必要があると考えている。

 3番目に国際連携の推進であるが、情報セキュリティの確保のためにはOECD、G8間の協力といった国際協力を強化することが不可欠と考えている。

 第4に研究・開発、人材の確保を図る。研究・開発、人材の確保を含む情報セキュリティ関連の政府予算は今年度総計で約124 億円だが、来年度要求においては更に大幅に増加している。必ずしも金額の多寡だけで論ずることは適当ではないかもしれないけれども、政府全体として取組を強化していく必要があると考えている。

(8) 電子商取引等を支える制度基盤整備について自由討議

○ 情報セキュリティは大変重要なことであり、21世紀にもし世界における何かパニックが起きるとすれば、それは核爆弾とか災害よりも最も現実的な可能性のある危険なものは、ハッカー及び電子ウィルスである。これによってさまざまな原子力研究所だとか、銀行だとか、病院だとか、そういうところのコンピュータがやられてしまうと、大変大きな事故が世界中で連鎖的に起きてしまうという問題がある。そこで、どんなハッカー対策を技術的にやっても、−一番根本的な問題としてあるのだが−それを愉快犯のようにして一学生レベルの人たちが次々に(電子ウィルスを)作っていく。しかも、それに対する自分自身に対する罰則が明確でないために、自慢しながら作っていく。そのハッカーが後々、何億円もの高給で雇われヒーローのようになってしまう。ここが一番根源的な問題。

 従って、銃刀法違反を超えるはるかに大きな罰則を、そういうウィルスだとかハッカー行動を行った人間には大変に重い罰則があるのだという制度を明確に作る。しかも、電子ウィルスは日本国以外の国で作られても、その日のうちに日本にも被害が来る。先日もフィリピンの学生が作ってアメリカのFBIが乗り込んだが、日本にいささかでもその危害が来たら、日本の国を超えてでもその犯人に対しては日本国として強力な罰則を相手国に要求するというような基本ルールを、OECDその他に対して日本国がリーダーシップをとって提案していくということをやるべき。

○ 私のところもフィリピンから随分来た。

○ 今の御意見を延長して申し上げると、罰則にしろ、いろいろそういう事件が起こったときにどうするかということだが、残念ながら我が国がその面での人材なり、技術なり、ストックをそんなに持っていないという点が非常に問題である。先ほど技術とか人材育成等の話題があったが、それらに関しては当然予算を待つとか、更に今おっしゃったような時代に備えて相当本腰を入れてやるという点について、このIT戦略会議でも是非強調していただきたい。

○ 個人情報保護に関する問題で、質問になるかもしれないが、ただいまの罰則と規制緩和との関係ということで見てみると、やはり保護するということが強まれば強まるほど情報が出せない、そのためにいろいろな企業活動はできない、というところが出てくる。その辺のバランスが問題になるが、一つのやり方としては、かなり自由度を持たせていろいろな個人情報を使えるようにする代わりに、それを違法に使った場合には厳しい罰則がある、自分たちでやろうとしたことをはるかに超えた厳しい罰則を課すというようなことが考えられるべき。

 一つだけ例を申し上げると、今、誰がどんな新車を買ったかというのはなかなか日本では公開されないが、アメリカではそれが全部公開されている。JDパワーという会社が、新車を買ったお客さんをランダムに抜いて、「この車はどうですか、御満足されておられますか」ということを、大変な数のデータベースを集めて、それで年に一回発表する。それで世界中に今JDパワーで何位になったかというのが大変な刺激になって、各社とも自動車会社はいい品質のものを作り込もうということで必死になって競争している。そういうことは今、日本ではできない。

 どちらを取るかだと思うが、規制緩和ということをどんどん広げていくとどうしても自由になる。自由になると、今度は罰則でそちらの行き過ぎを抑えなければいけない。その辺りのバランスが必要という感じがしている。

○ 政府とか自治体の電子商取引は、一般の電子商取引と違う側面がある。公共事業をめぐる不祥事件などが発生しているが、私どもは公共事業における電子化の実証事業として建設CALSを推進しており、発注から完成までデジタル化する、ペーパレスにする、インターネットで情報公開する、透明性を確保する、それが業界の近代化につながる。

 セキュリティとか個人情報保護の問題はあるが、政府とか自治体の電子商取引は今言ったような特別の側面があるので是非積極的に進めていただきたい。それが公共事業、建設業の透明性を確保して国民の信頼を取り戻すゆえんでもあると思うので、特にお願いをしておきたい。

○ 今のお話にも関係し、それからつい最近新聞にも載ったが、電子政府を構築する際も含め、また電子商取引を実施する際もそうだが、ソフトウェアの発注がこれからたくさん出てくると思う。その際、ベンダーの能力を評価するというのが今、十分にできていないという問題がある。供給サイドのソフトウェアの質を確保するために、欧米等では既にケイパビリティ・マチュアリティ・モデルというのが使われており、これは客観的にそれぞれのベンダーがどういう能力を持っているかをはっきりさせるものであるが、それが日本のソフトウェア産業の国際競争力を伸ばすためにも重要だと考えている。こうすることで、例えば、不適切な下請というような形を排除することも可能になり、それから地方自治体等でどんどん育成しているベンチャーの支援ということにもつながってくるのだろうと思う。

 この関係からは、先ほどお話があったが、政府調達における安値の最低入札、低額の入札の問題にそろそろ手を打つべきではないかという気がする。その点では、今回のこの導入というのはある程度の最低価格のようなものがはっきりするのでよいのだが、もう一つ問題は、現在の評価方法自体が、技術点とか他の点も加味されるが、それを応札した価格で割るという形になっている。これはハードウェアのようなものについては非常に効果があって今まではよかったと思うが、ソフトの場合には、極端に言うと、能力を持った人は非常に短い時間で非常に高い生産性を上げ、そうでないものは逆という、極めてある意味で知恵、あるいは知識の創出という面にもつながってくるかと思っており、その観点から価格を決める、あるいは評価の仕方そのものに対し、−ハードは今まででいいと思うが−ソフトウェアについては早目に抜本的な手を打つ必要があるのではないかと思う。

○10月13日に「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律案」というのを今国会に提出した。その中に電子入札の話も明記することとしている。また、今回は特に、今臨時国会において「書面の交付等に関する情報通信の技術の利用のための関係法案」という、これは一括して出すものであるが、建設省としては6つのことを一括して電子化しようということで、建設業法とか測量法、あるいは建築士法、宅地建物取引業法あるいは建設工事に係わる資材の再資源化等に関する法律など6本を一括して、電子的手段によることを認めようということで既に取り組んでおり、是非御協力も賜りたい。

(9) ワンストップサービスの推進、公的部門におけるICカードの普及について内閣審議官から説明

○ 最初に「ワンストップサービスの推進について」、これについては政府の関係機関が相互に連携する行政サービスを何とかワンストップで国民に対して提供できるようにしようということである。

 まず最初にそれぞれ各省が持っている申請・届出手続の検索が課題である。どんな手続の様式であるのかとか、どういうふうにやればその手続ができるのかということであるが、これについては、各省庁のインターネットのホームページにその申請様式であるとか、案内であるとか、まさに届出そのものを掲載するように、これは本年度中に原則としてすべての省庁ですべての行政手続についての必要な情報を載せる予定である。それを、更に13年の4月からは総務庁の方で総合行政サービスシステムを整備して、この総務庁のいわばポータルサイトをクリックすると、すべての省庁の手続が見られるシステムを導入する予定である。当然そのことを考えると、各省庁が個別行政手続をオンライン化すると、先ほど言いました総務庁のポータルサイト、総合行政サービスネットワークシステムにクリックをするだけで、各省庁の行政システムについて、一つの窓口から手続が可能となるサービスが開始されるということになる。それは、それぞれの個別の省庁のインターネットシステムの導入に合わせてという形になるが、それが一つの横断的な取組である。

 個別の特定分野におけるワンストップサービスの状況を説明する。「政府調達のワンストップ化」については、現状はそれぞれの省庁に調達の申請者が入札資格の申請を出して、そして入札をしているという状況であるが、これが平成12年度中にはまず入札する方は、そもそも入札できる資格について、一省庁にネットワークを通じて申請をすると、全省庁での申請の資格を得ることが可能となるようにデータベース等の整備をする。それから、電子入札、開札を15年度までに導入をしようということで取り組むということである。従来の方針は17年度末までであったが、これについては15年度末ということで2年前倒しをするということを政府として決めている。

 それから、「輸出入手続と港湾手続のワンストップ化」であるが、これについては港湾のEDIとNACCSという関税の方の話があるけれども、この2つの手続については平成13年度、14年度、それぞれ運輸省あるいは通産省のシステムをNACCSに接続をするという形で、ワンストップ化は平成14年度中にはすべて終わらせることを予定している。港湾EDIシステムについては13年度目途であるが、通産省の輸出入許可承認手続と通関情報処理システム、検疫処理システムとの接続は14年度中を目途に1回の手続でサービスができるということである。現行、通関情報と検疫システムは平成9年に終了しているけれども、港湾EDIと輸出入許可承認手続を含め14年度中にはすべてワンストップ化できるということである。

 化学物質の審査であるが、これはそれぞれの立場で通産省、厚生省が審査をしているわけだが、平成12年度中にそれぞれ通産省または厚生省に手続をすることによって両省へ届出手続を完了したというような形でできるようにシステムを変更する。

 それから、最後に「自動車保有関係手続のワンストップ化」。これはそれぞれ市町村、警察庁、陸運支局、都道府県、いろいろな事務所が介在をする非常に難しいシステムであるが、これについてはおおむね平成17年度、2005年を目標として電子化によるワンストップサービスの実現を図るべく今いろいろな実証実験を実施中である。これがワンストップサービスの推進の全体である。

 更に、公的部門におけるICカードの普及への取組を御説明する。このICカードの現物はお手元に配布できていないが、我々が持っている今の磁気カードにICチップを埋め込んだようなものがICカードである。ICカードが普及すればワンストップサービスや電子申請などの進展というもの大きく貢献ができるわけであり、ICカードを持つことによって国民一人ひとりがまさにIT革命というものを実感ができるということである。これについては民間の方ではいろいろプリペイドカードとか証明書あるいは通行券あるいは電車の通勤のチケットとして普及が計画されているところであるが、公的分野でも住民基本台帳という形でいろいろ住民票の情報がICカードによって交付をされるというようなことも予定されている。

 今後、政府においては、地域における実際の実用化に向けたいろいろな実証実験を進めたいと考え、これについては関係省庁が連携をして13年度のできるだけ早い時期に、行政機関が発行するICカードの基本的なスペックを策定していきたいと考えている。また、整合的なICカードの普及促進という観点から、内閣官房を中心として関係省庁連絡会議を開催し、統一性あるいは整合性についてきちんと諮っていきたい。

(10) 民間同士の書面の交付等を義務づける法律を一括して改正するための法律案について内閣審議官から説明

 7月に中川IT担当大臣から、書面規制など電子商取引を妨げるいろいろな点についての総点検を命じられた。そのうち書面規制については、8月のIT戦略会議で御報告したとおり、臨時国会で近々に法制の整備をしたい。

 ただ、そのときの対象は38本であったが、現在、法律の数はそれよりも更に増え、50本となった。

 繰り返しになるので簡単に報告するが、民−民間の手続において書面の交付あるいは書面による手続を義務付けている規制について、これが電子商取引の大きな阻害要因であるということで、これらに、従来の書面による手続に加えて電子的手続も容認をするものである。原則は紙であるという点では変わりないが、送る方と受ける方、すなわち、企業側と顧客側の両者が合意すれば、その選択肢たる電子的手段を認めるということである。当然、電子的手段というのはインターネットもそうであるし、場合によりiモードも認めるというように考えている。

 法律案の概要だが、証券取引法から始まり割賦販売法等々、50本の法律について束ねて改正したいと思っている。

(11) 高度情報通信ネットワーク社会形成基本法案について内閣内政審議室長から説明

 前回のこの会議で中間報告をしたが、その後、各委員の御意見も個別に伺い、法案を練った。その結果、全34条の法律をまとめることができた。そこで、前回御報告したものと詰めの段階で変わった点を中心に御説明申し上げる。

 まず法律の名称について、「ネットワーク」という言葉を使うべきだという御意見をたくさんいただいた。基本法で「ネットワーク」という言葉を使ったのは我が国初であるが、法制局の御理解をいただき「高度情報通信ネットワーク社会形成基本法」となった。

 目的については、世界的規模で生じている急激かつ大幅な社会経済構造の変化に的確に対応することの緊要性にかんがみ、ネットワーク社会の形成に関する施策を迅速かつ重点的に推進することとした。

 定義についてであるが、「ネットワーク社会」とはインターネット−この言葉もきちんと使わせていただいているが−その他の高度情報通信ネットワークを通じて、自由かつ安全に多様な情報又は知識を世界的規模で入手し、共有し、または発信することにより、あらゆる分野における創造的かつ活力ある発展が可能となる社会をいう、と定義した。

 基本理念については前回御説明した通り。追加して申し上げると、経済構造改革の推進はもちろんのこと、単に起爆剤という視点だけではなくて、国民生活の面においてもゆとりと豊かさが実感できるような国民生活の実現という視点をうたっている。また、地域社会のあり方についても、個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現という視点を掲げている。さらに、民間主導を原則としつつ官民の役割分担を図り、デジタルディバイド対策を進めることを挙げている。

 施策の基本方針については、堺屋経企庁長官がおっしゃっているいわゆる三位一体を位置づけている。すなわち、ネットワークの拡充、コンテンツの充実といったハード・ソフト両面からの対応に、情報リテラシー向上・IT活用能力の習得を加え、それらの一体的な推進をうたっている。さらに、世界最高水準のネットワークの形成、それに資する公正な競争の促進を掲げている。その他にもあるが、それは前回御説明した通り。

 それから本法に基づいて策定、設置される重点計画、戦略本部についても「ネットワーク」という言葉を入れることとしている。

 責務については、国及び地方公共団体それぞれの責務は前回御説明した案でも規定していたが、両者の相互連携が必要であるという御指摘を踏まえ、国及び地方公共団体の相互連携も位置づけているところ。加えて、国民に対する広報活動についてもより重点を置くこととしている。

 前回申し上げたとおり、この法律は来年の1月6日施行ということで、中央省庁の再編と同時に施行し、施行後3年以内に見直しということになっている。

(12) 規制改革委員会公開討論について宮内委員(規制改革委員会委員長)から報告

 前回の会議で御案内したが、10月13日にITに関する公開討論ということで、規制改革委員会の本年度活動の一つとして行った。これについてはITということもあるので、インターネットによるライブ中継、あるいは総務庁のホームページからも審議の模様をオンディマンド方式で視聴できるという新基軸も一緒に実施させていただいた。

 IT革命推進のための規制改革ということをテーマとしてジャーナリスト、それから大学教授、弁護士あるいはビジネス界から出席をいただき、こちらにおられる孫委員にも出ていただいた。それから、郵政省からもおいでいただいて公開討論という形で行い、具体的にはIT革命により社会構造がどのように変化していくかについて議論するとともに、この共通の認識を踏まえてITを利用して日本はどのような姿を目指していくのか、広い範囲で規制改革委員会として指針になるような御議論を頂戴したということである。

 非常に広範な内容であったけれども、幾つかの問題点、トピックを御紹介すると、まずIT革命というのは非常に世界的な規模でグローバルに行われている、そのように進展する中で「日本独自の」とか、「日本型IT社会」というものが果たして存在するのだろうかというようなことにつき議論があった。それから、今日既に出ているが、規制はできるだけ避けるというのが規制改革委員会の仕事であるけれども、消費者保護、個人情報保護等の問題についてはやはり最小限の法制度の整備を推進する必要があるだろうということであった。この辺は新しい分野の規制ないし、制度改革ということになろうかと思う。

 更に、光ファイバー網を中心にインフラ整備を進めるということについては大方の賛同があったけれども、果たして問題点は光ファイバーだけなのか、それから、光ファイバー敷設をユニバーサルサービスとしてやらなければならないか、そういう点につき幾つかの議論があった。いずれにしても、中心的な光ファイバーについては官民それぞれが推進していくべきではないかというような議論だったと思う。

 次に、緊急の問題として、線路の敷設問題を始めとした情報通信分野での競争促進ということ、これはいつも話題になるわけだが、この競争政策を含めた制度整備というものが非常に緊急課題としてあるのではないかということである。

 その他、多くの意見があったが、規制改革委員会としてはIT関連で更にどのような規制改革を行うべきかということで現在検討を進めており、このIT公開討論の御議論も踏まえ12月に見解を取りまとめることとしている。各省庁、各大臣の皆様方においても、そういう動きをしているので何分の御協力を賜りたいと、この場を借りてお願いしたい。

(13)自由討議

○ ICカードの普及について、是非進めていただきたい。これに関して、電子政府と国民との間を結び付ける、更には電子空間に入って買物あるいは電子的な行政サービスを受けるためにスマートカードの利用というのは極めて重要だと思う。ここでスマートカードという言葉をあえて用いているのは、日本ではICカードと呼んでいる場合があるが、その言葉が意味する「カード」にはセキュリティとか、能力の点から3つに分けられる。簡単に申し上げると、単なるメモリーのカード、情報を読み書きするだけ。それから偽造防止等に一定の効果があるワイヤーロジックと呼ばれるカード、これは簡単な安全装置が付いているもの。それから更に高いセキュリティ、それから電子署名、今度のPKIの法案等、電子署名の法案に関係するが、これらに対応できるスマートカードの3つだ。

 電子空間での本人確認に役立つ、あるいは住民基本台帳に基づくカード、あるいは印鑑登録の関係に関わる電子署名等の必要性を考えると、電子政府の構築を目的とするためにはやはりスマートカードの採用をはっきりとここで打ち出すべきだろうと思う。これは言い換えると現在ほかの分野、例えば交通系統で使われているものに関しては電子署名等に対応するだけの能力は持っていないという、しっかりその違いを理解すべきだと思う。ハイセキュリティなスマートカードには先ほど述べたように電子署名、保険証、それから医療カードのような機能も共有させてもこれらが相互に問題が起きないように、完全に独立が保てるように既に技術的には作られているものがある。したがって、電子政府で用いるカードというのはコストダウン、それから利用者の利便性等を考えて多目的なスマートカードにすべきだろうというふうに考える。

 ただし、カードの利用、それから受けるサービス、例えば保険証と電子署名を一緒にするのかどうかという議論であるが、これらは利用者各人の判断、自己責任の原則にのっとって利用者本人の判断にゆだねるべきだと考える。

 それから、今回の書面交付等に関する云々については現状を考えると改正対象となった法律が50本ということで高く評価したいと思う。ただし、ここにあるように紙が原則となっているのは不変としてあるが、よくよく考えてみると、例えば電子的な商取引の電子空間における経済活動全般、それからそれに伴う書面のやりとりに関しては法的な証拠能力あるいは証明力の担保という観点から見てもやはり紙というものが必要なのはよくわかるが、IT化という大きな流れを考えると紙を原則とするのではなくて、紙と電子データを同等に扱えるようにする。これら2つのどちらを利用するかはそれぞれの局面において、コストあるいは利便性を判断して使えるようにするという大きな変化をすべき時期にきているのではないかと思う。多分、簡単に電子データをそのまま置き換えるのは無理なので、早急に今のことを考えた上で何らかの検討をいただくと同時に、電子署名の話は国民全員が電子的な印鑑を持てるという新しい局面に変わるという認識を与えるのも非常に重要なことではないかと思う。

○ 紙と電子とは中立であり、対等であるというふうに考えるべきだと思う。ただ、私が申し上げたいことは、細かなことだが私にとっては実に気になることが括弧で書いてある。「実需がある場合は、iモード等も追加」ということで、この説明は物によってはiモードでもいいということだが、iモードも電子メールであるから、iモードで来た電子メールは場合によってはいいというようなことはおかしな話であり、しかもiモードこそこれからの情報通信インフラの分野において、ある意味では日本の戦略の基本になるものであるから、括弧で追加というような話ではないと思うので、これは是非直していただきたい。

○ iモードの話は私も賛成であるが、それとは別に2点ある。1点は今、ICカードのお話があり、これには私はとても賛成である。その上で幾つか気になったことがある。先ほど御説明にあったように、この分野は大変重要な技術発展が見込まれている分野だと思う。しかしながら、一方政府でスペックを策定するということをやると、技術は非常にスローダウンする傾向にあるので、非常に期待をして発展をし続けてほしいということと、政府でスペックを決めて技術の発展がスローダウンするようなことが是非ないように競争し、それからスペックを策定するとしても、その見直しの時期などを非常に短くしていくなど変更や更新ができるようにしていくべきである。それから、償却年数の問題とか、こういったことで使用の回転が早くなりながら早い技術の発展に対応できるようなことを是非考慮していただきたいというのがICカードの件で1点である。

 それから、電子商取引の先ほどの御説明その他を聞いていて、大変わかりやすいドキュメンテーションでいろいろなことが出てきていると思うが、これは先ほど申し上げたことに関連するが、電子商取引というのはそれぞれのイメージが非常につくりやすい部分で、ICカードができるとどんなライフスタイルが変わるのかとか、あるいはインターネット上のショッピングでどういうふうに変わるのかということのイメージがとてもつくりやすいところだと思う。したがって、IT戦略を考える上で非常に大きなコンセンサスを得ていくために、だれでもわかるイメージをつくっていく、あるいはシナリオをつくっていく、あるいは私はよくこういう重要な政策は全部漫画でかくといいのではないかということを申し上げるぐらいだが、とてもわかりやすいシナリオを是非つくっていくのがいいのではないかと思う。

○ 先生方に賛成。まず、人力車から自動車に変わろうという時代に、人力車が原則で自動車も使っていいというのは全く本末転倒だろう。特にIT戦略会議としてはむしろこれまでよりもスピードアップができる手続、これまでよりもコストダウンができる手続がこのIT化によってもたらされるということをより強調して、例えばインターネット経由で諸手続を申し込んだ場合には従来の手続費用に対して半額で受け付けるとか、そういう形で実際にその方がコストダウンできるわけで、一回コンピュータを入れてしまえばその後の運営経費ははるかにコストダウンできてスピードアップできるわけであるから、その実際の費用にかんがみて諸手続の情報化促進がすべきことではないかと思う。

 それから、ICカード等においても先生方から出ていたように、競争をしてどんどん新しいスペックが提案されるという形で高回転で技術の促進がなされていくということが望ましいと思う。

 そして3点目であるが、先ほどのIT基本法の件で、16条が最も重要な鍵だろうと思う。つまり、インフラの競争促進に関わる条項であるが、この方向性をもう少し強化してITインフラ競争促進法という感じで、新規事業者の手続を妨げてはならないとか、そういう形でもっと強化しておくべきだろう。これが今回の戦略会議の一番鍵になるところだろうと思うので、是非そこの強化をしていただきたい。

○ ICカードに関しては将来非常に微妙な問題になってくると思うが税、年金、そういう個人情報をどのように管理していくかということに関してはやはり避けて通れない問題になると思うので、ここは是非最初から正面切って堂々と御議論していただくというのがよいのではないか。

 これは細かい話であるが、全体として今日議論していただいた電子商取引の話というのは非常に精緻な制度の積上げの問題であり、これはIT戦略会議でこの委員が細かいところをどこまで議論できるのかというのは非常に疑問なところだと思う。逆に、それは非常に優秀な霞ヶ関の官僚組織が短期間に見事にこれだけやってのけたという点に我々は本当に敬意を表したいと思う。

 同時に、振り返って考えてみると、これで日本の社会が、ITが画期的に促進されるだろうかというと、やはりなかなか難しいということも浮かび上がってくると思う。それは一言で言うと、やはりトライ・アンド・エラーをやっていかないと技術進歩がこれだけ激しくてハイリスク・ハイリターンの社会にはやっていけない。その基本制度が日本の例えば裁判の制度とか、法体系とか、そのものがそういうふうな時代に合っていないという基本問題があると思う。この点に関しては法務大臣を始め、皆さんものすごく長い間議論してこられていることだと思うが、例えば競争を促進するためにはやはり公正取引委員会の中にITに関しては特別な監視の仕組みをつくっていただくとか、それを別の法律にするならば、競争促進のための何か特別なプラスアルファーが要ると思う。 それともう一つ、この法律に関しても原則はできるだけ自由にする。その代わり、何が起こるかわからないからいろいろな問題が出てきたときには速やかに裁判をして決着をつけて判例を重ねていくというような仕組みが必要であるが、日本の成文法を中心とする体系ではなかなかそれが難しく、ここについてもこの分野に関しては何か特例で加速するというような仕組みが必要になってくると思う。

 もう一つは、商法については大変大きな問題で平成14年の総会に対応するということであるが、これもやはりアメリカが各州で違う商法をつくって競争をしていく中で非常にダイナミックに制度をつくっていくという状況をかんがみると、なかなか1つの商法でそれを大きく変えるということの難しさはあるのだろう。しかし、少しでもそれを前倒しにできるような努力はしていただかないといけないと思うし、競争政策とか法体系とか非常に大きななかなか難しい問題が背後にあるから、サムシングエルスが要るということを是非申し上げておきたいと思う。

○ やはり日本のIT戦略をやるには細かいことではなくて、何かエキストラオーディナリーのことをやらないと前へどんといかないという点は御指摘どおりだと思う。だから、今までの細かい点をベースに何かジャンプをするというところをこのIT戦略会議で決めないと、今までの細かいことの延長になっては、少しずつよくなるだろうが、本当に日本がトップに出るということを実現するのはなかなか難しいと思う。 

○ ジャンプになるかどうかわからないが、地方公共団体を含む電子政府が大分まとまってきたというふうに感じている。ただ、問題はせっかくここまできたのでもう一つスピード感が出ないか。前回出された計画によると、平成15年に九十何%というほとんどラストヘビーになっているがこれはシステムをつくるということからいっても延びる理由はあっても前倒しになる理由はないという技術分野。リソースの面から言ってもやはり一遍に平成15年に物事が行われるというのでは非常に困難性を伴うと感じる。したがって、これは大変なことであるが、官民合わせて少しでも前倒しをしていくという努力を是非御一緒にさせていただきたいと思う。

 それから、ICカードに関しては、議論が多過ぎるのでやはりどんどん実行していくことが必要ではないかと思う。

○ 私も政府がスペックを決めるということに関しては、政府がコンピュータを決めるということと同じようなことのような気がしていささか心配する。

○ ICカードのことで1点だけであるが、各省庁からいろいろなICカードが複数出てくるというのは国民生活からいうとできたら一本の方がいい。あるいは行政、国とか地方自治体の行政の横断的な合理化促進という意味でもなるべく一本化の方がいいと思うが、一本にすることがイノベーションと矛盾するような要素があるのかどうか。その点は私にはわからない。もし矛盾する要素があるのであれば教えていただきたいと思う。

○ 今のスペックについて、私は長年ICカードを専門にやっているので申し上げたいと思う。

  スマートカードと申し上げたものについては今のパソコンと同じで、CPUと、それからプログラムが中に入るようになっている。それで、ネットワークの世界を考えるとわかるとおり、例えばIBMのホストのコンピュータに対してもユニックスのコンピュータマシンがつながったり、あるいはPCでもウィンドウズがつながるというふうにOSにも関係なくつながるようにできている。それで、スマートカードはそれと同じ状況を実現することが可能であり、その意味では政府がスペックを決めるというのは、相互に運用するための条件を決めるということにすべきであり、スペックの具体的中身について、あるいは中に入っているソフトウェアについて決める必要はないと考える。

○ さっきのワンストップサービスについてだが、ついこの間まで考えられなかったようなことが努力すればできるようになる。各省庁横断的にシステム的に可能なことを積極的に実現する。

 住民の例として、住所を変更したときの届出ということがある。免許証更新も同様である。その際、中央官庁と地方自治体と、今度は横断だけではなくて縦割り方向にも連携して一体となってどう進めるかということがポイントだと思う。こういったところに是非取り組んでいただきたい。住民に身近なところで、ITをツールとして行政サービスの向上や業務改革をどんどん進めていただきたい。

○ 先ほど御指摘のあった先端分野あるいは非常に特殊な専門分野の紛争解決手段、これは冒頭に御指摘のあった知財権、特許、こういったものの裁判の充実あるいは工夫といったものが非常に重要ということだと思う。御指摘のあったADRも含めて今、司法制度改革審議会でいろいろ検討しているところで、そこで重要性についてまた我々も全力を挙げて協力をしながら受け止めてまいりたいので、よろしくお願いしたい。

○ 各委員から御指摘のあったICカードについて通産省は従来からスマート化ということで、平成12年度の補正予算でも実証実験の実施を要求しているところである。先ほど事務局から示された方針に基づき、各省庁とともに一丸となって一日も早い実現に向け協力し合っていきたいと思う。

○ 住民基本台帳法案に関して衆参両院で参考人として供述した経験から申し上げると、国民総背番号制には非常にアレルギーがあり、マスコミも不勉強で単細胞なところもあり、一部であるが、すぐ鬼の首でも取ったように騒ぐ。だから、よほど慎重にその辺はやっていかなければいけない。住民基本台帳というのは市町村の固有事務であり、ここにも少し書いてあるが、やはり自治体の意見というのを尊重していかないと、住民基本台帳に関するICカードについては是非その点の御配慮もよろしくお願いしたい。

○ インターネットプロトコールのV6をやるというわけであるので、これにも恐らくコードができるわけで、それをまとめて個人に認証していくということに関しては、技術進歩が本当にものすごく早い領域だと思うので、いろいろ技術的にも討議をしていかなければいけない問題だと思う。

(14) 森内閣総理大臣から以下のとおり挨拶

 本日は、有益な御議論をいただきまして誠にありがとうございました。先般、韓国の金大中大統領が来日されまして、私はITに関して日韓協力関係を強化する日韓IT協力イニシアティブをまとめました。説明は省かせていただきます。お話をした中で、韓国でもIT革命が急速に進展をしているということを痛感いたしました。

 また、今、御来日中でありますが朱鎔基首相ともITのお話をいたしましたが、中国はIT革命の推進に強い関心を有しているという旨のお話も伺っております。このようにアジア諸国もIT革命に熱心に取り組んでおりまして、日本としてもIT革命という歴史的な局面に当たり、直面する課題に正面から取り組んでいくことが必要であろうと思います。

 私は昨日、官邸の裏のビルに入っているIT関連事業会社を見学に行ってまいりましたけれども、びっくりしました。もともとは有線情報配信で大阪から始めた企業とのことですが、先手を打った対応をされています。ものすごい先手を打って、この会議でどういうものができていくか、この会議がどういう方向を導き出すかということを彼らなりに想定をしながら事業戦略を組んでいるということをつくづく感じました。音楽のダウンロードを実際にやって見せてくれましたけれども、いわゆるISDN経由で行う場合は、外国からのものをうまくダウンロードしようとすると、大体24時間かかるのですが、光ファイバー経由でやりますと1秒でできました。そういうものを現実に見せられまして、民間がどんどん進めているなということをその時非常に強く感じました。

 それから、池袋のパソコン専門店にも行ってみましたけれども、情報機器の販売について、特に通信と放送の融合分野については、単に既存の機械、製品を売るのではなく、彼らが自分たちで積極的に新しいものをどんどん作っています。今回説明のあったICカードもありました。幾つも見せてもらいましたが、パソコンの画面に提示するだけで音が出て「どうぞ」と案内されました。民間企業はむしろ非常に進んでいます。IT戦略会議ではそういった民間企業ができるだけ活性化していくようにするということで、それに向けた課題にできるだけ積極的に取り組んでいかなければならぬと思いました。

 私はこの戦略会議の出井議長から宣言を受けまして、5年後には我が国を世界の情報通信の最先端国家に仕上げる旨の宣言を今国会でいたしました。その実現に向けて内閣を挙げて取り組んでまいりたいと、このように考えております。

 この臨時国会では今日説明がございました「高度情報通信ネットワーク社会形成基本法案」及び「書面の交付等に関する情報通信の技術の利用のための関係法律の整備に関する法律案」の成立に向けまして、ただいまそれぞれ閣僚からも御発言がございましたように、これもまた全力を挙げて努力したいと思います。

 そして、次期通常国会に向けまして、電子商取引の特質に応じたルールや情報化社会の基本ルール整備のための法案を準備するよう、関係閣僚の最大限の努力をお願いしたいと思います。また、去る13日には個人情報保護に関するIT戦略本部としての対応方針を決定したところでございますので、先ほど事務局から御報告申し上げましたとおり、次期通常国会に向けて法案の策定作業を急ぎたいと思います。

 IT国家戦略につきましては、起草委員会におきまして精力的に御検討いただきまして、次回の会議に草案を御提出いただきますよう活発な御審議をお願いいたしまして、本日の閉会の御挨拶といたします。ありがとうございました。

(15) 次回会合については、情報通信インフラ、IT国家戦略等を議題として11月6日(月)8時15分から官邸大食堂で開催する予定である旨、出井議長より説明


(別紙)

第4回IT戦略会議・IT戦略本部合同会議メンバー一覧

[IT戦略会議メンバー]

議長 出 井  伸 之  ソニー株式会社会長兼CEO
   石 井  威 望    東京大学名誉教授
(欠)伊 藤  元 重  東京大学教授
   今 井  賢 一    スタンフォード日本センター理事長
(欠)氏 家 齊一郎   日本テレビ放送網株式会社社長
(欠)牛 尾  治 朗  ウシオ電機株式会社会長  株式会社ディーディーアイ会長
   海老沢 勝 二  日本放送協会会長
   大 山  永 昭  東京工業大学教授
   梶 原    拓   岐阜県知事
   岸     暁   株式会社東京三菱銀行会長
   椎 名  武 雄  日本IBM株式会社最高顧問
   孫   正 義  ソフトバンク株式会社社長
   竹 中  平 蔵  慶應義塾大学教授
   張   富士夫   トヨタ自動車株式会社社長
   西 垣  浩 司  日本電気株式会社社長
   福 井  俊 彦  株式会社富士通総研理事長
   宮 内  義 彦  オリックス株式会社会長兼グループCEO
(欠)宮 津 純一郎   日本電信電話株式会社社長
   村 井   純  慶應義塾大学教授
(欠)室 伏     稔   伊藤忠商事株式会社会長


[IT戦略本部メンバー]

      森      喜 朗    内閣総理大臣
      中 川   秀 直    内閣官房長官、IT担当大臣、沖縄開発庁長官
      堺 屋   太 一    IT担当大臣、経済企画庁長官
      平 林   鴻 三    郵政大臣
      平 沼   赳 夫    通商産業大臣
      保 岡   興 治    法務大臣
(欠)河 野   洋 平    外務大臣
   宮 澤   喜 一    大蔵大臣
			 (※村田吉隆 大蔵総括政務次官 代理出席)
      大 島   理 森    文部大臣、科学技術庁長官
      津 島   雄 二    厚生大臣
      谷      洋 一    農林水産大臣
      森 田      一    運輸大臣、北海道開発庁長官
			 (※泉 信也 運輸総括政務次官
			   橋本聖子 北海道開発総括政務次官 代理出席)
      吉 川   芳 男    労働大臣
      扇      千 景    建設大臣、国土庁長官
   西 田     司    自治大臣、国家公安委員会委員長
   相 沢   英 之  金融再生委員会委員長
      続      訓 弘    総務庁長官
      虎 島   和 夫    防衛庁長官
			 (※鈴木正孝 防衛政務次官 代理出席)
      川 口   順 子    環境庁長官
      安 倍   晋 三    内閣官房副長官(政務、衆)
      上 野   公 成    内閣官房副長官(政務、参)
      古 川  貞二郎    内閣官房副長官(事務)